【二級ボイラー技士】丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー|炉筒煙管・立て・セクション|知識ゼロから【第3回】
ボイラーには形の違うものがいくつもあります。試験でくり返し問われているのは、「丸ボイラー」「水管ボイラー」「鋳鉄製ボイラー」の3つの系統の違いです。第3回で扱うのは、そのうち丸ボイラー(炉筒煙管ボイラーなど)と鋳鉄製ボイラーです。どちらもなぜその形なのかが分かると、特徴を丸暗記しなくても選択肢の正誤を判断できるようになります。
丸ボイラーとは?
大きな円筒形の胴(どう)の中に水をため、その中や外で燃料を燃やして蒸気をつくるボイラー。
💡 なぜ? 大きな容器に水をたっぷりためる形なので、構造が簡単で扱いやすいからです。小〜中規模の工場やビルで広く使われてきました。
ボイラーの3つの系統

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| 系統 | 水のため方 | 代表的なもの |
|---|---|---|
| 丸ボイラー | 大きな胴に水をためる | 炉筒煙管ボイラー・炉筒ボイラー・煙管ボイラー・立てボイラー |
| 水管ボイラー | 細い管(水管)の中に水を通す | 自然循環式・強制循環式・貫流ボイラー(第4回) |
| 鋳鉄製ボイラー | 鋳物の板(セクション)を重ねた中に水を入れる | 暖房用の蒸気・温水ボイラー |
このほかに、電気で温める電気ボイラーや、廃熱を使う廃熱ボイラーなどもありますが、二級の試験の中心はこの3系統です。
見分けるコツは水がどこにあるかです。大きな胴にためるのが丸ボイラー、細い管に通すのが水管ボイラーと覚えておきましょう。
丸ボイラーと水管ボイラー:保有水量で特徴が決まる
2つの違いは、ほぼ1つの数字から説明できます。それが伝熱面積あたりの保有水量、つまり熱を受け取る面の広さに対して、ためている水がどれだけ多いかです。
丸ボイラーは大きな胴に水をたっぷりためるので、保有水量が多い。水管ボイラーは細い管に水を通すので、保有水量が少ないのです。
| 比べる点 | 丸ボイラー(保有水量が多い) | 水管ボイラー(保有水量が少ない) |
|---|---|---|
| 蒸気使用量が変わったときの圧力・水位 | 変動が小さい | 変動しやすい |
| 高圧・大容量 | 向かない | 向いている |
| 破裂したときの被害 | 大きい(たまった水が一気に蒸気になる) | 比較的小さい |
| 構造・設備費・取扱い | 簡単・安い・容易 | 複雑。水の管理(水処理)を厳密に |
| 熱効率 | — | 伝熱面積を大きくとれ、一般に高くできる |
🤔 なぜ保有水量が多いと、圧力が変動しにくいのですか。
たくさんの熱いお湯が熱のたくわえになっているからです。急に蒸気を多く使っても、たまった湯から蒸気が補われるので、圧力や水位が急には下がりません。大きな鍋の湯が冷めにくいのと同じで、量が多いほど変化がゆるやかになります。
⚠ 注意
「水管ボイラーは伝熱面積あたりの保有水量が多いので高圧大容量に適する」は誤り(令和6年10月公表)。「丸ボイラーは高圧・大容量に適する」も誤り(令和8年10月公表)。保有水量が少ないのが水管ボイラーで、だから高圧・大容量に向いている、という順番で理解してください。
水管ボイラーには、燃焼室のまわりに水管を並べた水冷壁があります。炎の熱を水管で受け止めて、燃焼室の壁を水で冷やすしくみです。
内だき式と外だき式
丸ボイラーは、燃やす場所(炉)がどこにあるかで2つに分けられます。炉を胴の中に設けたものが内だき式、胴の外に設けたものが外だき式です。
💡 覚え方
「内だき=胴の内側で燃やす、外だき=胴の外側で燃やす」。漢字どおりなので、炉がどちらにあるかを思い浮かべるだけで判断できます。
丸ボイラーの仲間
| 種類 | 形の特徴 |
|---|---|
| 立てボイラー | 胴を縦に立てた小型のボイラー。据え付ける床面積が小さい |
| 炉筒ボイラー | 胴の中に炉筒(燃焼室の筒)だけを入れたもの |
| 煙管ボイラー | 胴の中に煙管(ガスの通る細い管)だけを多数入れたもの |
| 炉筒煙管ボイラー | 炉筒と煙管の両方を入れたもの。丸ボイラーの代表 |
名前に入っている部品がそのまま入っていると考えると、4つの区別は簡単です。試験では、この中でも炉筒煙管ボイラーがいちばんよく出題されています。
炉筒煙管ボイラー:丸ボイラーの代表選手
炉筒煙管ボイラーは、胴の中に炉筒(燃焼室になる太い筒)と、煙管(燃焼ガスが通る細い管)をたくさん入れたボイラーです。炎は炉筒の中で燃え、燃焼ガスは煙管を通りながら、まわりの水に熱を渡して出ていきます。
炉が胴の中にあるので、炉筒煙管ボイラーは内だき式です。
⚠ 注意
「多数の煙管を設けた外だき式ボイラー」は誤り(令和7年4月公表)。炉筒(燃焼室)が胴の中にあるので内だき式です。
効率を上げる3つの工夫
炉筒煙管ボイラーで出題される工夫
①加圧燃焼方式:燃焼室の圧力を高くし、燃焼室熱負荷を高めて燃焼効率を上げたものがある
②戻り燃焼方式:燃焼ガスを炉筒の奥で折り返して、燃焼効果を高めたものがある
③スパイラル管:煙管にらせん状の溝をつけた管を使い、ガスをかき回して伝熱効果を高めたものが多い
炉筒煙管ボイラーは、水管ボイラーに比べて製作も取扱いも容易です。蒸気使用量が変わっても圧力変動が小さいのも長所で、これは保有水量が多いためです。
ブリージングスペース:炉筒の伸び縮みを逃がす
炉筒は炎に直接さらされるので、ほかの部分より高温になり、熱でよく伸び縮みする部分です。炉筒の両端は鏡板(胴の両端のふた)に固定されているので、伸び縮みのたびに鏡板が押されたり引かれたりします。
そこで鏡板のうち、炉筒の取付け部と胴とのあいだに、ステー(補強材)を入れない余裕の部分を残しておくのです。これがブリージングスペースです。鏡板がこの部分で少したわむことで、炉筒の伸び縮みを逃がします。
⚠ 注意
「胴(胴板)にブリージングスペースを設ける」は誤り(令和7年10月・令和8年4月公表)。設けるのは鏡板です。炉筒がつながっている板=鏡板が、伸び縮みを受け止めると考えてください。
💡 覚え方
ブリージング=「呼吸」。炉筒が伸び縮みするたびに、鏡板がひと呼吸ぶんたわむスペース、とイメージすると場所を間違えません。
鋳鉄製ボイラー:セクションを重ねた暖房用ボイラー
鋳鉄製ボイラーは、鋳物でつくったセクションという板状の部品を、何枚も前後に重ねて組み立てるボイラーです。主にビルなどの暖房用として、低い圧力の蒸気や温水をつくります。鋼の板を溶接してつくる鋼製ボイラーとは、材料もつくり方も違う点がポイントです。
セクションには、となりのセクションと蒸気や水を行き来させる穴があいています。蒸気が通る穴が蒸気部連絡口、水が通る穴が水部連絡口です。
組み立てるときは、この穴にニップルをはめて、となりのセクションとつなぎます。そのうえで、外側から締付ボルトで締め付けて1台のボイラーにするのです。
ニップルとは?
短い管の形をした継手(管と管、穴と穴をつなぐ部品)。両側の穴に差し込んで、2つをつなぎます。
鋳鉄製ボイラーの特徴(試験に出たもの)
①セクションの数は20枚程度まで、伝熱面積は50㎡程度までが一般的
②セクションのガス通路に多数のスタッド(突起)を取り付け、伝熱面積を大きくして効率をよくしている
③温水ボイラーの温水温度は120℃以下に限られる
④鋼製ボイラーに比べ、熱による不同膨張(場所ごとに伸び方が違うこと)で割れやすい
⑤ウェットボトム式は、ボイラーの底まで水が回る構造なので、底部に耐火材がいらない
⑥暖房用の蒸気ボイラーでは、原則として復水(使い終わって水に戻った蒸気)を循環使用する
⑦蒸気ボイラーの使用圧力は0.1MPa以下に限られる
⑧鋼製ボイラーに比べ、強度は弱いが、腐食(さびなどで傷むこと)には強い
⑨加圧燃焼方式を採用して、ボイラー効率を高めたものがある
⑩各セクションは、連絡口にニップルをはめて結合し、外側のボルトで締め付けて組み立てる
🤔 セクションを重ねる形にすると、何がよいのですか。
枚数を増やしたり減らしたりして、能力を調整できるからです。部品を分けて運び込み、現場で組み立てられるので、狭い機械室にも入れやすくなります。一方で鋳物は急な温度変化に弱く割れやすいので、高い圧力には使いません。
蒸気は0.1MPa以下・温水は120℃以下
鋳鉄製ボイラーには、使える圧力と温度の上限があります。蒸気ボイラーは使用圧力0.1MPa以下、温水ボイラーは温水温度120℃以下です。
0.1MPaは、圧力計の読みで、大気圧1つ分くらいを上乗せした圧力です。鋳鉄製の蒸気ボイラーは、それくらい低い圧力の蒸気しかつくらないと考えてください。
⚠ 注意
「蒸気ボイラーの使用圧力は1MPa以下に限られる」は誤り(令和3年4月公表)。正しくは0.1MPa以下で、令和3年10月公表の問題ではこちらが正しい記述でした。「0.1」と「1」の1桁の違いをねらった入れ替えです。
強度は弱いが、腐食には強い
鋳鉄は、鋼に比べて強度(壊れにくさ)は弱い材料です。その一方で、腐食(さびなどで材料が傷むこと)には強いという長所をもっています。
⚠ 注意
「鋼製ボイラーに比べ、強度が強く、腐食にも強い」は誤り(令和2年10月公表)。正しくは「強度は弱いが、腐食には強い」です(平成31年4月・令和3年4月・令和4年4月公表)。弱い所と強い所が1つずつ、とセットで覚えましょう。
鋳鉄製ボイラーにも加圧燃焼方式がある
加圧燃焼方式は、燃焼室の圧力を高くして燃やす方式でした(炉筒煙管ボイラーの工夫①)。この方式は、鋳鉄製ボイラーにも採用されています。
鋳鉄製ボイラーには、加圧燃焼でボイラー効率を高めたものがあるのです。平成31年4月・令和2年10月公表の問題で、正しい記述として出ています。
復水を循環使用するのは、復水がまだ温かく、不純物も少ないからです。冷たい新しい水を毎回入れるより燃料が節約でき、ボイラーの中も汚れにくくなります。
ハートフォード式連結法:低水位事故を防ぐ
暖房用の鋳鉄製蒸気ボイラーでは、暖房に使った蒸気が水(復水)になって、返り管を通ってボイラーに戻ってくる仕組みです。この返り管のつなぎ方がハートフォード式連結法です。
返り管で漏れなどのトラブルがあると、ボイラーの水が返り管の側へ逆流するおそれがあります。そうなると、ボイラーの水位が大きく下がってしまうのです。そこで返り管をボイラーの安全低水面の近くでつなぎ、水が逆流しても安全低水面より下がらないようにしたのが、この連結法です。
安全低水面とは?
ボイラーの運転中に、これより下げてはいけない水位。これより下がると、伝熱面が水から出て焼損するおそれがあります。
目的は低水位事故の防止です。令和7年10月・令和8年4月公表の問題では、この目的そのものが問われました。
| 方式 | 給水管・返り管の取付け |
|---|---|
| ポンプ循環方式 | 返り管は安全低水面以下150mm以内の高さに取り付ける。給水管はボイラーに直接ではなく返り管に取り付ける |
| 重力循環方式 | 給水管はボイラー本体に直接つけず、返り管に取り付ける |
⚠ 注意
「給水管はボイラーに直接取り付ける」は誤り(複数回出題)。給水も返り管を通してボイラーへ入れるのが鋳鉄製蒸気ボイラーの決まりです。
練習問題:保有水量で判断してみよう
次の5つが正しいか誤りか、「保有水量が多いのはどちらか」だけを手がかりに考えてみましょう。
答えと考え方
①丸ボイラーは、水管ボイラーより起動から蒸気が出るまでの時間が短い → 誤り(水が多いぶん温まるのに時間がかかる)
②水管ボイラーは、負荷が変わると水位が変動しやすい → 正しい(水が少ないので変化が急)
③丸ボイラーは、破裂したときの被害が小さい → 誤り(たまった熱水が一気に蒸気になる)
④水管ボイラーは、給水やボイラー水の処理に特に注意がいる → 正しい(細い管は汚れで詰まりやすく、焼損しやすい)
⑤丸ボイラーは、高圧・大容量に向いている → 誤り(大きな胴は高い圧力に耐えにくい)
このように、保有水量という1つの理由から、ほとんどの特徴を組み立てられます。特徴を一つずつ覚えるより、理由から考えるほうが本番で迷いにくいはずです。
試験ではこう出る
| よくある記述 | 判断 |
|---|---|
| 水管ボイラーは、伝熱面積あたりの保有水量が多いので高圧大容量に適する | 誤り。少ないから高圧大容量向き |
| 丸ボイラーは、蒸気使用量の変動による圧力変動が小さい | 正しい |
| 丸ボイラーは、伝熱面積あたりの保有水量が多く、破裂の際の被害が大きい | 正しい |
| 炉筒煙管ボイラーは外だき式ボイラーである | 誤り。内だき式 |
| 炉筒煙管ボイラーの煙管には、スパイラル管を使ったものが多い | 正しい |
| 炉筒の伸縮を逃がすため、胴板にブリージングスペースを設ける | 誤り。鏡板 |
| 鋳鉄製ボイラーのセクションは20枚程度、伝熱面積は50㎡程度まで | 正しい |
| 鋳鉄製温水ボイラーの温水温度は120℃以下に限られる | 正しい |
| 鋳鉄製蒸気ボイラーの使用圧力は1MPa以下に限られる | 誤り。0.1MPa以下 |
| 鋳鉄製ボイラーは、鋼製に比べ強度が強く、腐食にも強い | 誤り。強度は弱いが腐食には強い |
| 各セクションは、連絡口にニップルをはめて結合し、ボルトで締め付ける | 正しい |
| 鋳鉄製ボイラーにも、加圧燃焼方式で効率を高めたものがある | 正しい |
| ハートフォード式連結法の主な目的は、低水位事故の防止である | 正しい |
| 鋳鉄製蒸気ボイラーの給水管は、ボイラーに直接取り付ける | 誤り。返り管に取り付ける |
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(平成31年4月〜令和8年10月公表)。これをもとに、ゼロパスが要点を整理しました。
よくある質問
Q. 丸ボイラーは古い形で、もう使われていないのですか。
A. 今も現役です。炉筒煙管ボイラーはパッケージ形(工場で組み立てて丸ごと運ぶ形)のものが多く、工場やビル、病院などで使われています。
Q. 鋳鉄製ボイラーを扱うとき、特に気をつけることは何ですか。
A. 急な温度変化を与えないことです。鋳物は、場所によって伸び方が違う不同膨張で割れやすい性質があります。熱いボイラーにいきなり冷たい水を入れると、セクションが割れるおそれがあるのです。
Q. 水冷壁があると、何がよいのですか。
A. 燃焼室の壁を水管で囲んで水で冷やすので、炉の壁が熱で傷みにくくなります。同時に、炎の熱を水管でしっかり受け取れるので、熱を無駄にしにくくなるのです。
Q. 鋳鉄製ボイラーで「蒸気」と「温水」はどう違うのですか。
A. 蒸気ボイラーは水を沸騰させて蒸気を送り、温水ボイラーは沸騰させずにお湯を送ります。温水ボイラーは水が膨張するので、逃がし管や逃がし弁で膨張分を逃がします(第6回でくわしく扱います)。
まとめ
・丸ボイラー=保有水量が多い→圧力変動が小さい・扱いやすい・高圧大容量には不向き・破裂時の被害大
・水管ボイラー=保有水量が少ない→高圧大容量向き・効率が高い・水管理が厳密
・炉筒煙管ボイラー=内だき式。加圧燃焼・戻り燃焼・スパイラル管
・ブリージングスペースは鏡板に設ける
・鋳鉄製=セクション20枚・50㎡程度まで/温水120℃以下/ハートフォード式=低水位事故防止
・鋳鉄製蒸気ボイラーの給水管は返り管へ。復水は循環使用/不同膨張で割れやすい
・鋳鉄製の蒸気は0.1MPa以下(1MPaではない)/強度は弱いが腐食には強い
・セクションはニップルで結合・ボルトで締付け/鋳鉄製にも加圧燃焼のものがある
