第2章 ボイラーの取扱い | 第13回 | 学習カリキュラムの目次を見る

第6〜8回で学んだ附属品は、正しく調整し、点検してこそ働くものです。取扱いの科目のしめくくりとなる第13回のテーマは、次の4つです。安全弁の調整と試験・安全弁の蒸気漏れ・給水ポンプの扱い方・水位検出器の点検です。どれも手順と数字がそのまま問われる分野なので、「なぜその順番・その数字なのか」とセットで覚えていきましょう。

吹出し圧力と吹止まり圧力とは?

吹出し圧力は、安全弁が開いて蒸気を吹き出し始める圧力。吹止まり圧力は、圧力が下がって安全弁が閉じ、吹き出しが止まる圧力です。

💡 なぜ? 安全弁は決めた圧力で確実に開き、圧力が下がったら確実に閉じる必要があるからです。試験では、その両方の圧力を実際に確かめることが求められているのです。

安全弁の調整と試験

ばね安全弁の調整ボルトを締めたり緩めたりして吹出し圧力を合わせる様子と、ボイラー本体・過熱器・エコノマイザの安全弁の作動の順番を表したイメージ図
調整ボルトで吹出し圧力を合わせます。過熱器→本体→エコノマイザの順に高い圧力で作動するよう調整します。

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調整ボルトで吹出し圧力を合わせます。過熱器→本体→エコノマイザの順に高い圧力で作動するよう調整します。

ばね安全弁は、調整ボルトでばねの押す力を変えて吹出し圧力を合わせる仕組みです。まず調整ボルトを定められた位置にします。そしてボイラーの圧力をゆっくり上げて安全弁を作動させ、吹出し圧力と吹止まり圧力を確かめましょう。

安全弁の調整の流れ

①調整ボルトを定められた位置に設定する

②ボイラーの圧力をゆっくり上げて、安全弁を作動させる

③吹出し圧力と吹止まり圧力を確かめる

④ずれていたら、いったん80%程度まで圧力を下げてボルトを締めるか緩め、もう一度試す

吹出し圧力がずれていたとき

状況 直し方
設定圧力になっても作動しない(吹出し圧力が高すぎる) いったん圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて再試験
設定圧力より低い圧力で吹き出す いったん圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再試験

💡 覚え方

ボルトを締める=ばねが強くなる=開きにくくなる(吹出し圧力が上がる)。早く吹き出すなら締めて遅らせ、なかなか吹き出さないなら緩めて早める。瓶のふたを強く締めるほど開きにくいのと同じです。

⚠ 注意

「吹出し圧力が設定より低いときは、調整ボルトを緩めて吹出し圧力を上昇させる」は誤り(令和6年10月公表)。緩めるとばねが弱くなり、もっと低い圧力で吹き出してしまいます。上げたいなら締めるです。

調整の前に圧力を80%程度まで下げるのには理由があります。安全弁が吹き出している最中や吹き出す寸前にボルトを回すのは、蒸気が噴き出して危険だからです。

どの安全弁を、どの順番で吹かせるか

安全弁 調整のしかた
過熱器用安全弁 ボイラー本体の安全弁より先に吹き出すように(低い圧力で)調整する
ボイラー本体の安全弁が1個 その1個を最高使用圧力以下で作動するよう調整する
ボイラー本体の安全弁が2個 1個を最高使用圧力以下で先に作動させれば、もう1個は最高使用圧力の3%増以下で作動するよう調整できる
エコノマイザの逃がし弁(安全弁) ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する
最高使用圧力の違うボイラーがつながっている 最高使用圧力がいちばん低いボイラーを基準に調整する

⚠ 注意

「過熱器用安全弁は本体より高い圧力に」(令和6年4月公表)は誤り。「エコノマイザの逃がし弁は本体より低い圧力に」(令和4年4月・令和5年10月公表)も誤りです。

⚠ 注意

「安全弁が1個設けられている場合は、最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整する」は誤り(令和4年4月公表)。3%増以下でよいのは、2個あるときの2個目だけです。1個なら最高使用圧力以下です。

🤔 なぜ過熱器が先で、エコノマイザが後なのですか。

本体の安全弁が先に吹くと、蒸気が本体から逃げて過熱器に蒸気が流れなくなり、炎の熱で過熱器の管が焼けるおそれがあります。だから過熱器を先に吹かせて、蒸気の流れを保つのです。エコノマイザは給水ポンプの圧力がかかる、本体より手前の部分なので、本体より高い圧力に設定します。

💡 覚え方

「過熱器が先、本体が真ん中、エコノマイザが後」。蒸気の流れでいえば下流(過熱器)から先に逃がし、上流(エコノマイザ)はいちばん最後です。

🤔 2個目の安全弁は、なぜ「3%増以下」でよいのですか。

1個目が最高使用圧力以下で確実に吹き出すなら、圧力はそこで抑えられるはずです。2個目は1個目で足りないときに働くものなので、少しだけ高い3%増以下で作動させてもよい、という決まりです。

手動試験は、最高使用圧力の75%以上で

安全弁が固着していないかを確かめるため、試験用レバーで手動で開いてみる試験があります。この手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行います(令和6年4月・令和6年10月公表)。

⚠ 注意

「安全弁の手動試験は、常用圧力の75%以下の圧力で行う」は誤り(令和4年4月公表)。正しくは最高使用圧力の75%以上で、基準の圧力も「以上・以下」も逆です。

安全弁はボイラーを守る最後の砦なので、調整のしかたも点検のしかたも細かく決められています。数字の80%・3%・75%は、別々の場面の数字です。それぞれ調整前に下げる圧力・2個目の上限・手動試験の圧力なので、混ぜないようにしましょう。

安全弁から蒸気が漏れるとき

閉じているはずの安全弁から蒸気が漏れることがあります。原因は弁体と弁座がきちんと当たっていないことです。

蒸気漏れの原因(試験に出たもの)

①弁体と弁座の間にごみなどの異物が付いている

②弁体と弁座のすり合わせが悪くなっている

③弁体と弁座の中心がずれて、当たる力が不均一になっている

④ばねが腐食して、弁体を押し下げる力が弱くなっている

⚠ 注意

蒸気漏れの原因ではないとされたものがあります。「蒸気の熱膨張などで、弁体円筒部とガイド部が密着している」(令和4年10月・令和7年10月・令和8年10月公表)です。密着すると弁が動かなくなる(開かない)トラブルで、漏れとは別の話です。「ばねを締めすぎている」も漏れの原因ではありません(令和8年10月公表)。締めすぎればむしろしっかり閉じる側です。

⚠ 注意

「弁棒に曲がりがあり、弁棒貫通部に弁棒が接触している」も、蒸気漏れの原因としては誤りとされました(令和4年10月公表)。弁棒は、ばねの力を弁体に伝える棒のことです。同じ問題で原因として正しかったのは、弁体と弁座の中心のずれとすり合わせ不良でした。

原因 確かめ方・直し方
異物の付着 弁体と弁座の間を調べ、異物を取り除く
すり合わせ不良 弁体と弁座の当たり面を整える
中心のずれ 弁体と弁座の中心を合わせ直す
ばねの腐食 ばねを調べ、弱っていれば交換する

どの原因も「弁体と弁座がぴったり当たっていない」ことにつながっています。原因を1つずつつぶしていくのが基本です。

漏れたときの措置

蒸気漏れが起きたときに行うこと

①試験用レバーを動かして、弁の当たりを変えてみる

②弁体と弁座の間に異物がないか調べる

③弁体と弁座の中心のずれを調べる

④ばねの腐食を調べる

⚠ 注意

「調整ボルトでばねを強く締め付ける」は誤り(令和7年4月公表)。締めて漏れを止めると、吹出し圧力が上がってしまい、安全弁が決めた圧力で開かなくなります。漏れは原因を見つけて直すのが正解です。

給水ポンプ(ディフューザポンプ)の扱い方

給水ポンプの扱いは、起動・運転・停止の弁の操作がよく問われます。

ディフューザポンプの起動から停止まで

①運転前に、ポンプの中と前後の配管の空気を十分に抜く

②吐出し弁を全閉、吸込み弁を全開にした状態で起動する

③回転と水圧が正常になったら、吐出し弁を徐々に開いて全開にする

④運転中は、吐出し圧力・流量・負荷電流が適正か確かめる。振動・異音・偏心・軸受の過熱・油漏れがないかも点検する

⑤停止するときは、吐出し弁を徐々に閉めて全閉にしてから電動機を止める

⚠ 注意

「起動は、吸込み弁と吐出し弁を両方全開にして行う」は誤り(令和5年10月・令和8年4月公表)。吐出し弁を開いたまま起動すると、いきなり大量の水が流れて電動機に大きな電流(過電流)が流れます。「起動後に空気を抜く」(令和7年4月公表)も誤りで、空気抜きは運転前です。

⚠ 注意

「運転を停止するときは、電動機を止めた後、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にする」は誤り(令和3年10月公表)。順番が逆で、吐出し弁を全閉にしてから電動機を止めます。

💡 覚え方

「吐出し弁は、閉じて起動・閉じて停止」。ポンプが回っていないときに吐出し側を開けておくと、ボイラー側から水が逆流したり、起動時に電動機に無理がかかったりします。

④の点検項目は、令和3年4月・令和3年10月公表で正しい記述として出ました。偏心は、回る軸の中心がずれてぶれること。軸受は、回る軸を支える部品で、これが熱くなりすぎていないかを見ます。

運転中に負荷電流(電動機に流れる電流)を見るのは、ポンプに無理がかかっていないかを知るためです。いつもより電流が大きいときは、弁の開き具合や配管の詰まりなど、どこかに異常がある合図になります。

軸の水漏れの見方

軸の封じ方 正常な状態
グランドパッキンシール式 運転中に少量の水が連続して滴下する程度に締まっている
メカニカルシール式 水漏れがないこと

グランドパッキン式で少し水が垂れているのは、水が軸とパッキンを冷やし、なめらかにしているためです。締めすぎて水が止まると、摩擦で軸やパッキンが傷みます。

⚠ 注意

「グランドパッキンシール式で水漏れが生じたら、グランドボルトを増締めし、漏れを完全に止める」は誤り(令和3年4月公表)。少量の水が連続して滴下する程度が正常です。

🤔 ポンプの空気は、なぜ運転前に抜くのですか。

ポンプの中に空気が残っていると、羽根車が空気をかき回すだけで水を押し出せないからです。そのまま回すと水が送られず、ポンプも傷みやすくなります。だから運転を始める前に、ポンプと配管を水で満たしておくのです。

水位検出器の点検と整備

方式 毎日の点検 年1〜2回程度の整備
電極式 1日1回以上、検出筒内をブローする。水位を上下させて機能を確認する 検出筒を分解して内部を掃除し、電極棒を目の細かいサンドペーパーで磨く。曲がりや損傷を補修する
フロート式 1日1回以上、フロート室をブローする フロート室を分解して、中のスラッジやスケールを取り除く

電極式で毎日ブローするのには理由があります。検出筒の中の水は蒸気の凝縮でどんどん純粋になり、電気が流れにくくなるのです(第8回)。ブローでボイラー水と入れ替えて、正しく検出できる状態に戻すわけです。

⚠ 注意

電極式のブローの問題は理由と頻度の入れ替えが出ます。「1週間に1回以上」(令和8年10月公表)は誤りで、1日1回以上。「水の純度の低下による電気伝導率の上昇を防ぐ」(令和7年4月公表)も向きが逆です。正しくは純度の上昇による電気伝導率の低下を防ぐ、です。

フロート式のスイッチ部では、水銀スイッチが開いたときは電気抵抗が無限大、閉じたときはゼロになるかを調べます。スイッチが確実に入り切りしているかを、電気の通り方で確かめるのです。

燃料遮断弁のうち、電磁弁が故障する原因

第8回で見た燃料遮断弁は、異常のときに燃料を止める弁でした。燃料遮断弁には、電磁石の力で開け閉めする電磁弁があります。試験に出たのは直接開閉形電磁弁です。

電磁弁の遮断機構が故障する原因(令和2年4月公表で正しいとされたもの)

①燃料の中の異物が弁にかみ込んでいる

②弁座が変形したり、傷ついたりしている

③電磁コイルの絶縁性能が低下している

④ばねが折損している

弁座は、弁が閉じるときに弁体が当たる受け座です。電磁コイルは、電気を流すと磁石になる巻き線のこと。絶縁とは、電気がよそへ漏れないようにしていることをいいます。折損は、折れて壊れることです。

⚠ 注意

「バイメタルの接点が損傷している」は、電磁弁の遮断機構の故障原因として適切でないとされました(令和2年4月公表)。バイメタルは、熱での伸び方が違う2枚の金属をはり合わせ、温度で曲がるようにした部品です。第7回では、蒸気トラップの方式の名前として出てきました。

練習問題:調整と点検の判断

答えと考え方

①「安全弁が設定圧力になっても作動しないので、調整ボルトを緩めて再試験した」 → 正しい(いったん80%程度まで下げてから)

②「最高使用圧力の違う2基がつながっているので、高い方を基準に調整した」 → 誤り(低い方が基準)

③「グランドパッキン式で水が少し滴下していたので、完全に止まるまで締めた」 → 誤り(少量の滴下が正常)

④「ポンプを止めるとき、吐出し弁を全閉にしてから電動機を止めた」 → 正しい

⑤「フロート式の水銀スイッチは、開で抵抗ゼロ、閉で無限大になるか調べた」 → 誤り(開で無限大、閉でゼロ)

試験ではこう出る

よくある記述 判断
吹出し圧力が設定より低いときは、80%程度まで下げて調整ボルトを締める 正しい
過熱器用安全弁は、本体の安全弁より先に吹き出すよう調整する 正しい
エコノマイザの逃がし弁は、本体の安全弁より低い圧力に調整する 誤り。高い圧力
安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上で行う 正しい
蒸気漏れが起きたら、調整ボルトでばねを強く締め付ける 誤り。原因を調べて直す
ディフューザポンプは、吐出し弁を全閉・吸込み弁を全開で起動する 正しい
電極式水位検出器は、1週間に1回以上ブローする 誤り。1日1回以上
安全弁が1個のときは、最高使用圧力の3%増以下で作動するよう調整する 誤り。最高使用圧力以下
安全弁の手動試験は、常用圧力の75%以下で行う 誤り。最高使用圧力の75%以上
弁棒が曲がって弁棒貫通部に接触していると、安全弁の蒸気漏れが起きる 誤り
給水ポンプの運転中は、振動・異音・偏心・軸受の過熱・油漏れの有無を点検する 正しい
グランドパッキン式で水漏れが生じたら、増締めして漏れを完全に止める 誤り。少量の滴下が正常
電磁弁の故障原因に、異物のかみ込み・弁座の変形・コイルの絶縁低下・ばねの折損がある 正しい
電磁弁の遮断機構の故障原因に、バイメタルの接点の損傷がある 誤り

出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和2年4月〜令和8年10月公表)。これをもとに、ゼロパスが要点を整理しました。

よくある質問

Q. 最高使用圧力とは何ですか。

A. そのボイラーを安全に使える最高の圧力として、構造から決められた圧力です。安全弁は、圧力がこれを超えないように調整されます。

Q. 最高使用圧力の違うボイラーがつながっているとき、なぜ低い方に合わせるのですか。

A. つながっているボイラーは同じ圧力になります。高い方に合わせると、弱い方のボイラーが最高使用圧力を超えてしまうからです。いちばん弱いものに合わせるのが安全の基本です。

Q. 電極棒をサンドペーパーで磨くのは、なぜですか。

A. 電極棒の表面に汚れや付着物がたまると、水に触れていても電気が流れにくくなり、水位を正しく検出できなくなるからです。目の細かいペーパーを使うのは、電極棒を削りすぎないためです。

まとめ

・吹出し圧力が低い→締める、高い(作動しない)→緩める。調整前に80%程度まで下げる

・過熱器(先)→本体→エコノマイザ(高い圧力)。1個なら最高使用圧力以下、2個なら2個目は3%増以下。手動試験は最高使用圧力の75%以上

・蒸気漏れ=異物・すり合わせ不良・中心ずれ・ばね腐食(密着・弁棒の曲がりは原因ではない)。ばねを締めて止めるのは誤り

・給水ポンプ=空気抜きは運転前、吐出し弁は閉じて起動・閉じて停止。運転中は振動・異音・偏心・軸受の過熱・油漏れも点検。グランドパッキンは少量の滴下が正常

・電磁弁の故障原因=異物のかみ込み・弁座の変形や損傷・電磁コイルの絶縁低下・ばねの折損(バイメタルの接点は誤り)

・水位検出器=1日1回以上ブロー(電極式は純度上昇→伝導率低下を防ぐ)、年1〜2回分解清掃