結論からいうと、「防煙垂れ壁」は、天井から下へ垂れ下がった不燃の壁で、火災のとき天井づたいに広がる煙をせき止め、避難の時間と視界を確保するためのものです。一般に天井面から下方へ50cm以上突き出した、不燃材料の壁(板やガラスなど)を指します。なぜ煙を「せき止める」だけで命を守れるのか、排煙設備とどう連携するのかを、図解とたとえでやさしく解説します。

防煙垂れ壁ってなに?

防煙垂れ壁は、天井から下に突き出した不燃の「ついたて」です。火災の煙は熱くて軽いので、天井に沿って水平にすばやく広がります。

その流れを垂れ壁で区切ることで、煙が建物全体へ一気に広がるのを遅らせます。

📘 防煙垂れ壁とは?

天井面から下方へ50cm以上突出した、不燃材料の壁(間仕切壁でもよい)。火災時に天井付近を流れる煙をせき止め、煙だまりを作って煙の水平方向への流動を抑えます。

なぜ必要なの? 火災で命を奪うのは「煙」

🔧 現場での使いどころ:避難時間と視界を稼ぐ

火災で本当に怖いのは、炎よりもです。視界を奪い、有毒ガスを含むため、逃げ遅れの大きな原因になります。

煙は熱く軽いので天井に沿って水平に高速で広がります。垂れ壁で区切っておくと、煙はいったんその区画の天井付近に溜まり(煙だまり)、隣の区画へ広がるのが遅れます。

その間に人は避難でき、排煙設備が煙を排出できる——つまり「逃げる時間」と「見える視界」を稼ぐのが防煙垂れ壁の役割です。

💡 お風呂の湯気でイメージ

お風呂のお湯から立ちのぼった湯気は、天井にたまっていきますよね。火災の煙も同じで、軽いので天井にたまって横へ広がります。

防煙垂れ壁は、その天井に付けた「ついたて」。煙の横移動をせき止めるイメージです。

排煙設備とセットで効く(防煙区画)

垂れ壁は「煙をためる」役割。ためた煙を外へ出すのが排煙口(排煙設備)です。防煙垂れ壁や不燃の間仕切で床面積を区切ったものを防煙区画といい、各区画に排煙口を設けます。

垂れ壁が煙をせき止め、排煙口が外へ出す防煙垂れ壁(50cm以上下方へ)煙だまり火災排煙口(煙を外へ)こちらは視界が保たれ避難できる
垂れ壁が煙をせき止めて煙だまりを作り、排煙口がその煙を外へ出す。役割分担で避難の安全を確保します。

📘 防煙区画とは?

防煙垂れ壁や不燃の間仕切壁で区切った、煙の広がりを抑えるための区画。垂れ壁=煙をためる/排煙口=ためた煙を出す、という役割分担で機能します。どちらが欠けても効果が下がります。

設置の基準(ざっくり)

  • 天井面から下方へ50cm以上突き出す。
  • 不燃材料でつくる(網入りガラスなど不燃なら可)。
  • 排煙設備が必要な部分に、防煙区画として設ける。間仕切壁で兼ねてもよい。
  • 火災時に天井から降りてくる可動式のタイプもある。

⚠️ 防火と防煙はちがう

防火は炎・熱を区切る(防火区画・防火戸)、防煙は煙を区切る(防煙区画・防煙垂れ壁)。目的が違うので混同しないようにしましょう。

試験でのポイント

  • 定義:天井面から下方50cm以上突出した不燃の壁。
  • 役割:煙の水平流動を抑え、煙だまりを作って避難時間・視界を確保。
  • 排煙設備・防煙区画との関係:垂れ壁でためて排煙口で出す。
  • 防火と防煙の区別:火を区切るのが防火、煙を区切るのが防煙。

防煙垂れ壁・排煙設備は防災設備の頻出テーマです。過去問で関連知識を固めましょう。

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✅ この記事のまとめ

  • 防煙垂れ壁=天井から下方50cm以上突き出した不燃の壁。煙をせき止める。
  • 火災で怖いのは煙(視界喪失・有毒ガス)。煙は天井づたいに高速で広がる
  • 垂れ壁で煙だまりを作り、避難時間と視界を稼ぐ。
  • 垂れ壁=ためる/排煙口=出す。防煙区画として一緒に効く。
  • 防火(火を区切る)と防煙(煙を区切る)は別物

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ50cm以上なの?

A. 天井付近にたまる煙の層を実際にせき止めるには、ある程度の深さが必要だからです。一般に天井から下方50cm以上とされています。

Q. ガラス製でもいいの?

A. 不燃であれば可能です(網入りガラスなど)。透明なら見通しを保てるので、店舗などでよく使われます。

Q. 防火と防煙は何が違うの?

A. 防火は炎・熱を区切るもの、防煙は煙を区切るものです。目的が異なります。

Q. 排煙口がなくても効果はある?

A. 垂れ壁だけでも煙の広がりは遅らせられますが、ためた煙を出す排煙口とセットで使うことで本来の効果を発揮します。

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