第4章 給排水衛生設備 | 第29回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 局所式と中央式のちがいがわかります
  • 給湯温度と、その理由がわかります
  • 膨張タンク・逃し弁がなぜ必要かわかります
  • レジオネラ対策がわかります

給湯は「お湯は膨張する」「お湯は菌が増える」という2つの性質から、給水にはない設備が必要になります。そこが出題の中心です。

局所式と中央式

使う場所で沸かす局所式と、1か所で沸かして配る中央式のちがいを配管で比べた図
赤い管がお湯の往き、青い管が返りです
局所式 中央式(セントラル)
しくみ 使う所ごとに湯沸器を置く 1か所でまとめて沸かし、配管で送る
向いている 住宅・小規模 ホテル・病院・大規模
熱損失 小さい(配管が短い) 大きい(配管が長い・循環する)
湯待ち時間 短い 循環させれば短い
維持管理 台数が多い 1か所で済む

💡 覚え方

「小さい建物は局所、大きい建物は中央」。中央式はまとめて効率よく作れる反面、配管が長いぶん熱を捨ててしまう——この相反する性質が判断の軸になります。

給湯温度

  • 中央式の給湯温度 … 60℃以上で送る
  • 循環して戻ってきた湯 … 55℃以上を保つ
  • 使用温度 … 一般には40℃前後(水と混ぜて使う)
  • ピーク時でも55℃以上を確保する

なぜ60℃も必要なのか?

レジオネラ属菌を増やさないためです。この菌は20〜50℃でよく増え、55℃以上では死滅していきます。ぬるいお湯をためておくのがいちばん危険——だから熱く作って、使うときに水で薄めるのです。

レジオネラ対策

  • 貯湯タンクは60℃以上に保つ
  • 末端の給湯栓でも55℃以上
  • 湯を滞留させない … 使わない枝管(デッドレグ)を作らない
  • 循環ポンプで、常に湯を回しておく
  • 冷却塔・浴槽・加湿器も感染源になりうる

やけどにも注意

  • 60℃の湯は、数秒でやけどします。
  • 混合水栓・サーモスタット付き水栓で使う所では温度を下げるのが前提です。
  • 高齢者施設・保育施設では湯温の上限を設ける配慮が必要です。

膨張──お湯は体積が増える

水は温めると体積が増えるため、逃し弁や膨張タンクで逃がす道を作る必要があることを示した図
密閉した配管では、増えた体積の逃げ場がありません

なぜ膨張対策が必要なのか?

水は温めると体積が増えるからです。10℃の水を60℃にすると、体積は約1.7%増えます。密閉された配管の中では、逃げ場がありません。その結果異常な圧力がかかり、配管や機器が壊れます。

対策 しくみ 使う場面
膨張管(逃し管) 高置水槽の水面より高く立ち上げて、開放する 開放式(高置水槽方式)
密閉式膨張タンク 中のダイヤフラムと空気(窒素)が膨張分を吸収 密閉式
逃し弁(安全弁) 設定圧力を超えたら水を逃がす どちらにも

膨張管でよく出る決まり

  • 膨張管には、絶対に弁を設けてはいけない … 閉じられたら逃げ場がなくなり、意味がなくなります。
  • 高置水槽の水面より高く立ち上げる … ふだんは湯が出ないように。立ち上げ高さは、加熱による膨張と温度差を考えて決める。
  • 膨張タンクの接続は、循環ポンプの吸込み側が原則。

💡 覚え方

「膨張管に弁を付けない」は、安全弁の元弁を閉めない(冷凍三種)とまったく同じ思想です。逃がすための道を、人が塞げるようにしてはいけない。

循環方式

  • 単管式(給湯管のみ) … 小規模。使うまで冷たい水が出る(湯待ち)
  • 複管式(給湯管+返湯管) … 循環ポンプで常に湯を回す。すぐ湯が出る/レジオネラ対策にもなる
  • 先上がり先下がり/先下がり先上がり … 空気だまりを作らない配管の勾配

循環ポンプの選び方

循環量は、配管からの熱損失を補う分で決まります。揚程は、循環回路の圧力損失分だけで足ります(高さを持ち上げる必要はありません——閉じたループの中を回すだけだからです)。

循環ポンプでよく出るところ

  • 返湯管に設ける(返り側) … ポンプに熱い湯が直接入らないように。
  • 揚程は、実揚程を含めない … 循環回路の摩擦損失だけ。
  • 連続運転が原則(滞留を防ぐ)。

加熱機器

機器 特徴
瞬間式ガス湯沸器 使うときだけ沸かす。号数=水温+25℃の湯を1分間に何L出せるか
貯湯式(ガス・電気) ためておく。ピークに強いが放熱損失がある
ヒートポンプ給湯機 空気の熱を汲み上げる。効率が高い
貯湯槽+熱交換器(中央式) ボイラーの蒸気や温水で、給湯用の水を間接的に温める

「号数」とは?

水温プラス25℃の湯を、1分間に何リットル出せるかを表した数字です。16号なら、毎分16Lを25℃上げられる。冬は水が冷たいので、同じ号数でも出せる湯量が減ります。

試験ではこう出る

  • ①給湯温度 … 「中央式給湯設備では、給湯温度を45℃程度とする」→誤り。60℃以上。
  • ②返湯温度 … 「循環して戻る湯の温度は55℃以上とする」→正しい。
  • ③膨張管 … 「膨張管の途中に止水弁を設ける」→誤り。
  • ④循環ポンプ … 「循環ポンプは、給湯管(往き側)に設ける」→誤り。返湯管。
  • ⑤揚程 … 「循環ポンプの揚程には、実揚程を含める」→誤り。
  • ⑥熱損失 … 「中央式は局所式に比べて配管からの熱損失が大きい」→正しい。

よくある質問

Q.「デッドレグ」とは何ですか?

A.湯が流れずに、たまったままになる枝管のことです。使わなくなった水栓につながる配管や、長い枝管の先で起きます。そこだけ温度が下がり、レジオネラが増える温床になります。使わない配管は、根元から切り離すのが正しい対応です。

Q.給湯配管に銅管を使うとき、注意することは?

A.流速を抑えることです。1.2m/s以下が目安で、これを超えるとかい食(エロージョン)で曲がりの外側に穴があきます(第42回)。また異種金属(鉄の金具など)と接触させないことも大切です(第34回)。

Q.貯湯槽の容量は、どう決めるのですか?

A.ピーク時の使用量に耐えられるかで決めます。ホテルなら朝と夜のシャワーの集中、病院なら入浴時間帯のように、建物の使われ方でピークの形が変わります。大きくすれば安心ですが、放熱損失と設置スペースが増えるので、加熱能力とのバランスで決めます。

このページのまとめ

  • 局所式=熱損失が小さい/中央式=管理が1か所だが熱損失が大きい
  • 給湯は60℃以上、返湯は55℃以上(レジオネラ対策)
  • お湯は膨張するので膨張管・膨張タンク・逃し弁が必要
  • 膨張管には弁を設けてはいけない
  • 循環ポンプは返湯管に設け、揚程は摩擦損失分だけ
  • デッドレグ(滞留する枝管)を作らない
  • 銅管は流速1.2m/s以下