第二種電気工事士の技能試験は、13問の候補問題があらかじめ公表されています。当日はそのうち1問が出題される仕組みです。この記事ではNo.1を、知識ゼロの人が読んでも複線図が書けるところまで分解します。

No.1は候補問題の基本形です。照明が3つ、スイッチが3つ。1つのスイッチが1つの照明を担当する、いちばん素直なつくりになっています。ここが書けるようになると、残りの12問がぐっと楽になります。

この記事でわかること

  • 候補問題No.1にどんな器具が出てくるか
  • ホタルスイッチとは何か。パイロットランプとの違い
  • 複線図を白→黒→戻りの3ステップで書く手順
  • スイッチ3つをわたり線でつなぐ考え方
  • EM-EEFケーブルの扱い

候補問題No.1はどんな問題か

公表されている配線図(単線図)は、こういう内容です。

  • 電源は 1φ2W 100V。電源からジョイントボックス(電線どうしをつなぐ箱)までは EM-EEF 2.0-2C
  • ジョイントボックスが2つ
  • 引掛シーリング(角形・イ)が1つ
  • ランプレセプタクル(ロ)が1つ
  • 蛍光灯(ハ)が1つ。※施工省略
  • 点滅器(スイッチ)が3つ。Hイ(ホタルスイッチ)・ロ・ハ。3つとも同じスイッチボックスに並びます

まず用語をそろえます

  • 1φ2W 100V…「単相2線式100ボルト」と読みます。一般的な家庭用コンセントに来ている電気です。線は2本。
  • 引掛シーリング…天井に付いている、照明器具をひねって取り付ける受け口です。No.1は角形(四角い形)。図記号は四角の枠の中に( )。
  • ランプレセプタクル…電球をねじ込んで取り付ける、白い丸い受け口です。図記号はⓇ。
  • 蛍光灯…細長い蛍光管の照明です。図記号は丸の左右に長方形。
  • 点滅器…スイッチのことです。図記号は黒い丸●。
  • H…点滅器の記号に付く「H」はホタルスイッチ(位置表示灯内蔵スイッチ)という意味です。次の章でくわしく説明します。
  • イ・ロ・ハ…どのスイッチがどの照明を担当するかの印です。同じ文字どうしが相手になります。
  • 施工省略…一点鎖線(点と線が交互の枠)で囲まれた部分。そこは作らなくてよいという意味です。

いちばんの山場は「ホタルスイッチ」

No.1で多くの人が身構えるのは、ここでしょう。「Hイ」という見慣れない記号が出てくるからです。

ただ、先に結論を言うと、ホタルスイッチのつなぎ方は、一般的なスイッチとまったく同じです。複線図の書き方は1ミリも変わりません。

ホタルスイッチと確認表示灯(パイロットランプ)の違い

覚える覚え方

ホタルは、暗いところで光る虫です。同じように、照明が消えているときにスイッチが小さく光ります。

夜中の廊下で「スイッチどこだっけ」とならないための仕組みです。スイッチを入れて照明が点くと、ホタルの光は消えます。

ここをパイロットランプ(確認表示灯)と混同する人も少なくありません。

  • ホタルスイッチ…スイッチ本体に小さなランプが入っている。線は2本。ふつうのスイッチと同じ
  • パイロットランプ…まったく別の器具。自分が電気を使うので、白と黒の両方をつなぐ

No.1に出てくるのはホタルスイッチのほうです。複線図では、一般的なスイッチ「イ」として書いてかまいません。

複線図を3ステップで書く

順番は白 → 黒 → 戻りです。この順番はNo.1からNo.13まで全部同じなので、ここでしっかり身につけてください。

ステップ1 白い線を引く

候補問題No.1の複線図 ステップ1 白い線

白い線(接地側。大地とつながっている側の線)は、電気を使うものにつなぎます。No.1で電気を使うのは引掛シーリング・ランプレセプタクル・蛍光灯の3つです。

スイッチには、白を1本も引きません。スイッチは電気を使う道具ではなく、電気の通り道を切ったりつないだりするだけの部品だからです。ここが複線図のいちばん大事なルールです。

ステップ2 黒い線を引く

候補問題No.1の複線図 ステップ2 黒い線

黒い線(非接地側。電圧がかかっている側の線)は、3つのスイッチへ向かいます。

照明には黒を直接引きません。どれもスイッチで点け消しするものだからです。この段階では、まだどの照明も点きません。

ステップ3 戻り線を引く

候補問題No.1の複線図 ステップ3 戻り線

戻りは3本です。同じ文字どうしをつなぎます。

  • スイッチ イ → 引掛シーリング(イ)
  • スイッチ ロ → ランプレセプタクル(ロ)
  • スイッチ ハ → 蛍光灯(ハ)

これで完成です。線が交わって見えるところがありますが、またいでいるだけでつながっていません。とぎれて描いてある側が「またがれている線」です。

スイッチ3つは「わたり線」でつなぐ

複線図では黒い線が3つのスイッチそれぞれに伸びているように見えます。ところが、ジョイントボックスから来る黒い線は1本だけです。

スイッチボックスの中のわたり線

覚える覚え方

足りないぶんは、ボックスの中でスイッチからスイッチへ短い線をつないで補います。これをわたり線といいます。

川を渡るように、イ → ロ → ハ と順番に「渡って」いくイメージです。No.1では2本必要です。

  • わたり線の色は黒(非接地側と同じ)
  • 長さはボックスの中でとどく短さでよい
  • 白いわたり線は要りません。このボックスには白い線が1本も入ってこないからです

EM-EEFケーブルって何?

No.1の電源からジョイントボックスまでは、EM-EEF 2.0-2Cという見慣れない名前のケーブルが指定されています。13問のうち、EM-EEFが出てくるのはNo.1だけです。

  • EM…エコマテリアル(環境に配慮した材料)という意味です。燃やしても有害なガスが出にくい材料で作られています。エコケーブルとも呼ばれます
  • 2.0…中の銅線の太さが直径2.0mmという意味
  • 2C…中に線が2本入っているという意味(黒と白)

見た目は、一般的なVVF(家の配線で広く使われる灰色のケーブル)と違ってうすい緑がかった色をしています。外側の被覆(シース)が少し硬めなので、はじめて触るとむきにくく感じるかもしれません。

用語でも、複線図には関係ありません

ケーブルの種類が変わっても、複線図の書き方はまったく同じです。中に入っているのは黒と白の2本で、役割もVVFと変わりません。

気をつけるのは手を動かす作業のほうです。練習のときに一度EM-EEFを切っておくと、当日あわてずにすみます。

間違えやすいところ

スイッチに白い線を引いてしまう

特に多い失敗です。スイッチには白を引きません。白い線は「電気を使うもの」だけにつなぎます。No.1のスイッチボックスには、白い線が1本も入ってきません。

ホタルスイッチをパイロットランプと勘違いする

「光る」という言葉に引きずられて、白い線もつなごうとしてしまいます。ホタルスイッチはスイッチです。線は2本で、一般的なスイッチと同じです。

わたり線を用意し忘れる

複線図では黒が3本に分かれて見えるので、ケーブルを3本ぶん用意しないといけないと勘違いします。実際に来るのは1本で、残りはボックスの中で作るわたり線です。

イ・ロ・ハの組み合わせを取り違える

スイッチと照明は同じ文字どうしが相手です。複線図を書き終わったら、戻り線を指でなぞって「イはイ、ロはロ、ハはハ」と1本ずつ確認してください。

ジョイントボックスが2つあることを見落とす

No.1はジョイントボックスが2つです。電線をつなぐ場所が2か所あるということなので、どちらのボックスで何本つなぐのかを、複線図の上で数えておきましょう。

覚える電線の色と本数について

この記事では複線図のつながり方を説明しています。実際に使う電線の太さ・本数、わたり線の長さ、リングスリーブ(電線どうしをまとめてつなぐ金属の筒)の大きさや刻印は、試験当日に配られる問題用紙の「施工条件」に書かれています。候補問題の公表段階では決まっていないので、当日の指示を必ず読んでください。

なお公表資料の注記には「器具においては、端子台で代用する場合がある」とあります。

よくある質問

Q. ホタルスイッチの向きに決まりはありますか?

A. 複線図の上では気にしなくて大丈夫です。2つある端子のどちらに黒をつないでも、どちらに戻りをつないでも動きます。取り付ける向き(上下)の指定があれば、当日の施工条件に書かれます。

Q. わたり線は何本つくればいいですか?

A. No.1では2本です。「イ → ロ」と「ロ → ハ」の2本。どちらも黒で、ボックスの中でとどく短さでかまいません。

Q. 蛍光灯は施工省略なのに、線は引くのですか?

A. 複線図の上では、蛍光灯まで線を引いて考えましょう。実際にどこまで作るかは当日の施工条件に書かれるので、そこで指示された位置まで作ります。

Q. EM-EEFは切りにくいと聞きましたが、特別な工具が要りますか?

A. いつものケーブルストリッパー(電線の被覆をむく工具)で切れます。特別な工具は要りません。ただし練習でVVFしか触っていないと、当日の手ごたえの違いに戸惑うことがあります。練習用の材料を買うときに、EM-EEFが入っているか見ておくと安心です。

Q. No.1は簡単なほうですか?

A. 候補問題のなかでは素直なほうです。1つのスイッチが1つの照明を担当するだけで、3路スイッチ(複数の場所から同じ照明を点け消しできるスイッチ)も、電源が2つあるような複雑さもありません。最初に練習する1問としておすすめです。

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候補問題No.2次の問題候補問題No.2の複線図確認表示灯(パイロットランプ)の常時点灯

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複線図が書けたら、次は手を動かす番です

技能試験は、複線図が書けただけでは受かりません。40分のあいだ、実際に電線を切って、つないで、器具に差し込む試験です。ここから先は、読むより手を動かした回数が点数に結びつきやすくなります。

そこで要るのが練習用の材料です。ケーブルも器具も、練習すれば減っていきます。13問を1回ずつ通すだけでも、それなりの量が必要です。通信講座と材料セット、どちらにお金を使うべきかを、実際の値段で比べた記事があります。

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