【候補問題No.5】複線図の書き方|「わたり線」で器具をつなぐ【第二種電気工事士】
第二種電気工事士の技能試験は、13問の候補問題があらかじめ公表されています。当日はそのうち1問が出題される仕組みです。この記事ではNo.5を、知識ゼロの人が読んでも複線図が書けるところまで分解します。
No.5は、No.4と並んで電源が2つある問題です。13問のうち電源が2つあるのはこの2問だけ。ただしNo.5の200V側は、No.4よりずっと簡単です。
この記事でわかること
- 候補問題No.5にどんな器具が出てくるか
- 2つの電源をどう分けて考えるか(No.4との違い)
- 100Vの回路を白→黒→戻りの3ステップで書く手順
- わたり線…1つのボックスに器具が3つ入るときのつなぎ方
- 200Vの回路と、接地線(緑)の扱い
候補問題No.5はどんな問題か
公表されている配線図(単線図)は、こういう内容です。
- 電源が2つ。100V と 200V(対地電圧150V以下)
- 100Vの電源には B(配線用遮断器)、200Vの電源には BE(漏電遮断器)。どちらも施工省略
- 100V側…蛍光灯(イ)※施工省略/ランプレセプタクル(ロ)/点滅器イ・点滅器ロ・コンセント(この3つは同じボックスに並びます)
- 200V側…接地極付コンセント(20A 250V)が1つ。BEの下に接地端子があり、そこから接地極EDへ(施工省略)
- 電線は、100V側が VVF 2.0-2C、200V側が VVF 2.0-3C
まず用語をそろえます
- 200V(対地電圧150V以下)…エアコンやIH調理器のような大きな機器に使う200Vです。線は2本(+接地線1本)。No.4に出てくる三相200V(モーター用・線が3本)とは別物です。
- 対地電圧…地面(アース)に対して何ボルトかという意味です。200Vでも、地面に対しては150V以下におさえられている、ということを表しています。
- BE(漏電遮断器)…ブレーカーの機能に加えて、電気が本来の道から漏れたときにも切ってくれるものです。
- 接地端子…アース線をつなぐためのネジ端子です。図記号は丸の中にアースの記号。
- 接地極付コンセント…アース端子が付いたコンセントです。20A 250Vは「20アンペアまで・250ボルトまで使える」という意味で、差し込み口の形が100V用とは違います。
- 蛍光灯…細長い蛍光管の照明です。図記号は丸の左右に長方形。
- ランプレセプタクル…電球をねじ込んで取り付ける、白い丸い受け口です。図記号はⓇ。
- 施工省略…一点鎖線(点と線が交互の枠)で囲まれた部分。そこは作らなくてよいという意味です。
まず、2つの回路に分けて考える
1枚の図に電源が2つ描いてあるので身構えますが、2つの回路は最後までつながりません。別々の回路が並んでいるだけです。

用語No.4との違い
- No.4の200V側…三相200V。線が3本で、モーター(電動機)を回します
- No.5の200V側…200Vのコンセント1つだけ。ジョイントボックスも通りません
つまりNo.5の200V側は、遮断器からコンセントまで線を引くだけ。スイッチも戻り線もありません。難しいのは100V側のほうです。
100Vの回路を3ステップで書く
書く順番は白 → 黒 → 戻り。この順番を崩さないようにしましょう。
ステップ1 白い線を引く

白い線(接地側。大地とつながっている側の線)は、電気を使うものにつなぎます。No.5では蛍光灯・ランプレセプタクル・コンセントの3つです。
点滅器(スイッチ)には、白を1本も引きません。ここはNo.1からずっと同じです。
ステップ2 黒い線を引く

黒い線(非接地側。電圧がかかっている側の線)の行き先は3つです。
- コンセント(スイッチを通さず直接)
- 点滅器「イ」
- 点滅器「ロ」
蛍光灯とランプレセプタクルには、黒を直接引きません。どちらもスイッチで点け消しするものだからです。
ステップ3 戻り線を引く

戻り線は2本引きます。
- 点滅器「イ」→ 蛍光灯(イ)
- 点滅器「ロ」→ ランプレセプタクル(ロ)
スイッチと器具は、同じ文字(イ・ロ)どうしが相手です。ここを取り違えると動きません。
いちばんの山場は「わたり線」
No.5で特につまずきやすいのは、ここでしょう。
コンセント・点滅器イ・点滅器ロの3つが、1つのスイッチボックスに並びます。ところが、ジョイントボックスから来る黒い線は1本だけ。3つそれぞれに黒を届けないといけないのに、線が足りません。

覚える覚え方
足りないぶんは、ボックスの中で器具から器具へ短い線をつないで補います。これをわたり線といいます。
川を渡るように、コンセント → 点滅器イ → 点滅器ロ と順番に「渡って」いくイメージです。
- わたり線の色は黒(非接地側と同じ)
- 長さはボックスの中でとどく短さでよい
- 白い線には、わたり線は要りません。白がつながるのはコンセントだけだからです
複線図の上では、黒い線が3つの器具それぞれに伸びているように描きます。実際にケーブルを切るときに「あ、黒は1本しか来ていない」と気づけば、それがわたり線の出番です。
200Vの回路は、線を3本引くだけ

200Vのケーブル(VVF 2.0-3C)の中には3本入っています。役割はこうです。
- 電圧線が2本…この2本のあいだに200Vがかかります。コンセントの差し込み口につなぎます
- 接地線が1本…緑色。コンセントの接地端子につなぎます
用語ここが100Vとの違い
100Vの回路では、白は「接地側」、黒は「非接地側」という決まった役割がありました。
200Vの回路にはその分け方がありません。2本ともコンセントの差し込み口につなぐ、電圧のかかった線です。
そのかわり緑の接地線が加わります。200Vは感電したときの危険が大きいので、アースを必ず取ります。
BE(漏電遮断器)・接地極EDは施工省略です。どこまでを実際に作るかは、当日の問題用紙の「施工条件」で確認してください。
間違えやすいところ
わたり線を用意し忘れる
特に多い失敗です。複線図では黒が3本に分かれて見えるので、ケーブルを3本ぶん用意しないといけないと勘違いします。実際に来るのは1本で、残りはボックスの中で作るわたり線です。材料を切りすぎると足りなくなるので気をつけてください。
わたり線の色を間違える
わたり線は黒(非接地側と同じ色)です。白いわたり線を使うと、接地側と非接地側が混ざったことになり欠陥になります。
100Vと200Vの線を同じところでつないでしまう
2つの回路は、どこでも一切つながりません。200V側はジョイントボックスも通らないので、迷ったら100V側と完全に切り離して考えるのが安全です。
接地線の色を間違える
接地線は緑です。ほかの色を使うと欠陥になります。接地極EDが施工省略でも、コンセントの接地端子には緑の線をつなぎます。
スイッチと器具の組み合わせを取り違える
点滅器「イ」は蛍光灯(イ)、点滅器「ロ」はランプレセプタクル(ロ)です。文字が同じものどうしが相手だと覚えてください。
覚える電線の色と本数について
この記事で説明しているのは、複線図のつながり方です。実際に使う電線の太さ・本数、わたり線の長さ、リングスリーブ(電線どうしをまとめてつなぐ金属の筒)の大きさや刻印は、試験当日に配られる問題用紙の「施工条件」に書かれています。候補問題の公表段階では決まっていないので、当日の指示を必ず読んでください。
なお公表資料の注記には「器具においては、端子台で代用する場合がある」とあります。
よくある質問
Q. わたり線は何本つくればいいですか?
A. No.5では2本です。「コンセント → 点滅器イ」と「点滅器イ → 点滅器ロ」の2本。どちらも黒で、ボックスの中でとどく短さでかまいません。正確な長さの指定があれば当日の施工条件に書かれます。
Q. 白い線にもわたり線は要りますか?
A. No.5では要りません。白がつながるのはコンセントだけで、点滅器には白を引かないからです。(器具が2つ以上白を必要とする問題では、白のわたり線が要ることもあります)
Q. 200Vのコンセントは、100Vのものと何が違うのですか?
A. 差し込み口の形が大きく違います。間違って100V用の機器を挿せないように、わざと形を変えているのです。また接地端子が付いているので、アース線をつなぐネジがあります。
Q. 蛍光灯は施工省略なのに、線は引くのですか?
A. 複線図の上では、蛍光灯まで線を引いて考えましょう。実際にどこまで作るかは当日の施工条件に書かれるので、そこで指示された位置まで作ります。
Q. No.4とNo.5は、どちらが難しいですか?
A. 複線図を書く手間はNo.5のほうが多いです。No.4の200V側は3本まとめてつなぐだけですが、No.5は100V側にスイッチが2つとコンセントがあり、わたり線も出てきます。ただしどちらも、2つの回路を分けて考えれば特別に難しい問題ではありません。
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複線図が書けたら、次は手を動かす番です
技能試験は、複線図が書けただけでは受かりません。40分のあいだ、実際に電線を切って、つないで、器具に差し込む試験です。ここから先は、読むより手を動かした回数が点数に結びつきやすくなります。
そこで要るのが練習用の材料です。ケーブルも器具も、練習すれば減っていきます。13問を1回ずつ通すだけでも、それなりの量が必要です。通信講座と材料セット、どちらにお金を使うべきかを、実際の値段で比べた記事があります。



