ビル管(建築物環境衛生管理技術者)の勉強、何から始める?|受験資格・試験のしくみ・合格ライン
ビル管(建築物環境衛生管理技術者)は、ビルの空気・水・掃除・害虫対策を見守る国家資格です。大きなお店や事務所のビル(延べ面積3,000㎡以上)には、この資格を持つ人を必ず配置することになっています。この記事では、受験の条件から勉強の順番までを知識ゼロの方向けにまとめました。
ビル管とは?
ビルで働く人や訪れる人が健康に過ごせるように、環境を見守る人です。正式な名前は「建築物環境衛生管理技術者」といいます。
💡 なぜ資格を持つ人が必要なの? 大勢の人が長い時間を過ごすビルで空気や水が汚れると、一度にたくさんの人が体をこわしてしまうからです。だから法律で専門の資格を持つ人に見守ってもらうことになっています。
ビル管の仕事:空気・水・掃除・害虫対策を見守る

ビル管は、空調の空気や水の汚れ・床やトイレの清潔さ・ねずみや害虫の発生に目を配ります。
掃除や点検を全部自分でするわけではありません。作業がきちんと行われているかを見守るのが仕事です。法律でもビルの持ち主に意見を言えることになっていて、持ち主はその意見を大事にしなければなりません。
ビル管を配置しないといけないビル(特定建築物)
①用途:興行場(映画館など)・百貨店・集会場・図書館・博物館・美術館・遊技場・店舗・事務所・学校・旅館
②広さ:その用途に使う部分の延べ面積が3,000㎡以上
③学校の特例:小学校・中学校・高校・大学などは8,000㎡以上
※建築物衛生法施行令第1条。この条件に当てはまる建物を「特定建築物」と呼びます。
🤔 ビルメンの資格とは何が違う?
電気工事士・ボイラー技士・危険物取扱者・冷凍機械責任者は、それぞれの設備を扱うための資格です。ビル管は、それらの設備も含めたビル全体の環境を見守る資格です。ビルメンテナンスの仕事でこれらの資格を取った人が次に目指すことの多い資格です。
受験資格:決まった建物での実務が2年以上
ビル管の試験はだれでも受けられるわけではありません。決まった種類のビルで空調・水まわり・掃除などの管理の仕事を2年以上していることが条件です。

※共同住宅・病院・老人ホームなども当てはまります。くわしい条件は試験を行うセンターの受験の案内で確かめてください。
仕事をしていたことは勤め先に書いてもらう「実務従事証明書」で証明します。自分が当てはまるか迷ったら、試験を行う日本建築衛生管理教育センターに問い合わせることができます。
試験のしくみ:午前90問・午後90問、7科目180問
試験は1日で7科目を解きます。午前に3科目、午後に4科目です。どの問題も5つの選択肢から1つを選ぶマークシートです。
| 時間 | 科目 | 問題数 |
|---|---|---|
| 午前 9:30〜12:30(3時間) | 建築物衛生行政概論 | 20問 |
| 建築物の環境衛生 | 25問 | |
| 空気環境の調整 | 45問 | |
| 午後 13:30〜16:30(3時間) | 建築物の構造概論 | 15問 |
| 給水及び排水の管理 | 35問 | |
| 清掃 | 25問 | |
| ねずみ、昆虫等の防除 | 15問 |
一番多いのは「空気環境の調整」
7科目のうち空気環境の調整だけで45問あります。全体の4分の1です。空調や換気の計算問題もここで出ます。次に多いのが給水及び排水の管理(35問)です。
合格ライン:全体で65%以上、どの科目も40%以上
合格するには、2つの条件を両方満たす必要があります。1つは全体で117問以上(65%)正解すること。もう1つは7科目すべてで40%以上正解することです。
| 科目 | 問題数 | 最低ライン(40%) |
|---|---|---|
| 建築物衛生行政概論 | 20問 | 8問 |
| 建築物の環境衛生 | 25問 | 10問 |
| 空気環境の調整 | 45問 | 18問 |
| 建築物の構造概論 | 15問 | 6問 |
| 給水及び排水の管理 | 35問 | 14問 |
| 清掃 | 25問 | 10問 |
| ねずみ、昆虫等の防除 | 15問 | 6問 |
| 合計 | 180問 | 117問(65%) |
🤔 得意な科目で稼げば、苦手な科目は捨ててもいい?
捨てられません。1科目でも40%に届かないと、合計が何点でも不合格です。苦手な科目は最低ラインを超えるところまで仕上げ、得意な科目で合計を積み上げるのが基本の作戦です。
合格率は年によって上下します。試験を行うセンターの発表では、令和7年度が30.6%(受験者7,131人・合格者2,180人)でした。令和6年度は23.2%(受験者7,593人・合格者1,759人)です。
日程と申込:試験は年1回、10月の日曜日
| 令和8年度(第56回)の例 | |
|---|---|
| 受験の手引(願書)の配布・申込 | 5月7日〜6月15日 |
| 受験票の発送 | 9月9日 |
| 試験日 | 10月4日(日) |
| 合格発表 | 11月10日 |
| 試験地 | 北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・福岡県 |
| 受験手数料 | 17,900円 |
次の令和9年度(第57回)の試験概要は令和9年4月中旬に公表される予定です。申込は春から初夏の約1か月あまりだけなので、受ける年は早めに実務従事証明書を用意しておくと安心です。
合格したあと:厚生労働大臣から免状をもらう
試験に受かったら、厚生労働省に免状(資格の証明書)を申し込みます。免状を受け取れば、ビル管として働けるようになります。
🤔 試験のほかに、免状をもらう方法はある?
あります。法律では、決まった学歴と実務経験がある人が国に登録された講習会を修了する方法も定められています。講習会の受講資格や日数・費用は試験とは別に決まっているので、センターの講習会の案内で確認してください。
勉強の順番:行政→環境衛生→空気環境→給排水→清掃→防除→構造
ゼロパスでは、建物全体の地図をつかんでから配点の大きい科目へ進む順番をすすめます。
① まず「行政」で、何を管理するのかを知る
特定建築物とは何か、空気や水にどんな基準があるのか。この先の全科目の「目次」になる科目です。
② 「環境衛生」で、人の体のしくみを知る
暑さ寒さや空気の汚れ、音や光が人の体にどう影響するかを学びます。空気環境の基準がなぜその数字なのかが分かるようになります。
③ 「空気環境」で、一番大きな科目に取り組む
45問ある最大の科目です。換気・空調・測定の順に進めると、計算問題もつながって見えてきます。
④ 「給排水」で、水の通り道をたどる
受水槽から蛇口へ、排水管から下水へと水の流れの順に学びます。設備の仕事をしている人には身近な科目です。
⑤ 「清掃」と「防除」で、暗記の科目を固める
床材ごとの手入れやねずみ・ゴキブリ・蚊の生態など、覚えれば点になる科目です。
⑥ 最後に「構造」で、建物そのものを知る
15問と少なめですが、建築の用語が多い科目です。ほかの科目で建物に慣れてから取り組むと楽になります。
過去問を数えて分かった「毎回出るテーマ」
試験を行うセンターの公式の問題から令和2年度〜令和7年度の6年分を選び、科目ごとにテーマで分けて数えました。毎年出ているテーマから押さえるのが合格への近道です。
建築物衛生行政概論(20問)
毎年出る:特定建築物(用途・面積・届出)/建築物環境衛生管理基準(空気・水など)/建築物環境衛生管理技術者(選任・免状・職務)/事業の登録(清掃業など)/立入検査・行政の仕組み/水道法・下水道法・環境の法律
よく出る(6年中4〜5年):学校保健安全法/労働安全衛生法・事務所衛生基準
建築物の環境衛生(25問)
毎年出る:体温調節・熱中症・温熱環境/空気汚染物質と健康(たばこ・ホルムアルデヒド・CO など)/音と振動/光・照明と視覚/電磁波・放射線・紫外線/水と健康・感染症
よく出る(6年中4〜5年):アレルギー・シックビル
空気環境の調整(45問)
毎年出る:熱の移動・結露・湿り空気/換気と必要換気量/空調方式・熱源(冷凍機・ボイラ・冷却塔)/空調機器(ダクト・送風機・吹出口・加湿)/測定法と測定器/維持管理(冷却塔・空調の衛生)/浮遊粉じん・空気清浄/光・照明・音の設計
建築物の構造概論(15問)
毎年出る:建築構造と材料(RC・鉄骨・基礎)/建築基準法・建築計画/電気・ガス・昇降機設備/防災・防火・避難・防犯
よく出る(6年中4〜5年):日射・日照
給水及び排水の管理(35問)
毎年出る:給水設備(方式・貯水槽・汚染)/給湯設備/排水・通気・トラップ/雑用水・排水再利用/浄化槽/衛生器具
清掃(25問)
毎年出る:床材ごとの維持管理(弾性・繊維・硬性・木質)/作業計画・品質評価/清掃用の器具・機械・洗剤/廃棄物の処理(法律・マニフェスト)/外装・床以外の清掃
ねずみ、昆虫等の防除(15問)
毎年出る:蚊/ゴキブリ/ダニ/ネズミ・殺鼠剤/殺虫剤・薬剤
よく出る(6年中4〜5年):衛生動物と感染症/安全管理・調査
ほとんどのテーマが毎年くり返し出ているのがビル管の特徴です。同じテーマでも選択肢の言い回しを変えて出てきます。答えを丸暗記するより、なぜその答えになるのかを理解しておくと強くなります。
ゼロパスの講座と過去問の使い方
ゼロパスでは、ビル管の知識ゼロから講座と公式の試験問題の解説を科目の順に公開していきます。講座で1つのテーマを学んだら、同じテーマの過去問を解いて確かめるのがおすすめの使い方です。
空調や給排水はゼロパスの1級管工事施工管理技士や第三種冷凍機械責任者の解説とも中身が重なります。先に読んでおくと、ビル管の問題もぐっと解きやすくなります。
▶ 1級管工事施工管理技士の過去問と解説
▶ 第三種冷凍機械責任者の過去問と解説
よくある質問
🤔 設備の仕事の経験がなくても受けられる?
受けられません。決まった種類のビルで空調・水まわり・掃除などの管理の仕事を2年以上していることが条件です。
🤔 過去問は何年分ある?
試験を行うセンターのホームページでは直近3年分の問題と正答が公開されています。ゼロパスではそれより前の年度も含めて、公式の問題だけをもとに解説していきます。
🤔 計算問題は出る?
あります。主に空気環境の調整で必要な換気量や熱の移動などの計算が出ます。ゼロパスの講座では1ステップずつ数字で解き方を説明します。
🤔 どのくらい勉強すれば受かる?
必要な時間は、設備の仕事の経験やほかの資格の有無で大きく変わります。ゼロパスでは毎回出るテーマから順に押さえていく進め方をおすすめしています。
この記事のまとめ
・ビル管は、ビルの空気・水・掃除・害虫対策を見守る国家資格
・大きなビル(延べ面積3,000㎡以上、学校は8,000㎡以上)には必ず配置する
・受験には、決まった建物での実務2年以上が必要
・試験は7科目180問。全体65%以上かつ各科目40%以上で合格
・試験は年1回・10月。申込は春〜初夏の約1か月あまり
・勉強は行政で地図をつかみ、配点の大きい空気環境・給排水へ
