第5章 消火・防災設備 | 第35回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 消火設備の配管・ポンプの考え方がわかります
  • 加圧送水装置の3方式がわかります
  • スプリンクラーの配管系統がわかります
  • 消火設備ならではの施工上の注意がわかります

第55回では消防法という法律の側から見ました。この回は設備として、どう作るかという側から見ます。ポンプと配管の話なので、第10回・第11回とつながっています。

加圧送水装置の3方式

ポンプ方式・高架水槽方式・圧力水槽方式の3つの加圧送水装置を、何の力で水を押しているかで比べた図
電気で押すか、高さで押すか、空気で押すかのちがいです
方式 しくみ 特徴
ポンプ方式 消火ポンプで加圧する もっとも一般的。非常電源が必要
高架水槽方式 屋上の水槽の高さで圧力を得る 電源がいらない/必要な高さが取れないと使えない
圧力水槽方式 密閉タンクに空気を圧縮して押し出す 設置場所を選ばない/放水を続けると圧力が下がる

💡 覚え方

「ポンプは電気、高架水槽は高さ、圧力水槽は空気」。何で押しているかで覚えれば、長所・短所も自然に出てきます。

  • 消火ポンプには、必ず非常電源(自家発電設備など)を設ける
  • 呼水槽 … ポンプが水を吸えるように、常に水を満たしておく槽。ポンプが水源より高い位置にあるときに必要
  • 締切運転用の逃し配管(オリフィス) … 弁を閉じたまま運転すると、ポンプ内の水が温度上昇して壊れるのを防ぐ
  • 性能試験配管 … 放水せずに、ポンプの性能を確かめられるようにする

なぜ「逃し配管」が必要なのか?

締切運転(吐出し弁を閉じたままの運転)を続けると、ポンプの中の水が回り続けて温度が上がるからです。ついには沸騰して、ポンプが焼き付きます。少しだけ水を逃がしておくことで、新しい水と入れ替わり、温度が上がりません。

屋内消火栓の配管

  • 主配管の立て上がり管は、呼び径50A以上(2号消火栓は32A以上)
  • 消火設備の配管は、他の配管と兼用しないのが原則
  • ポンプ吐出し側に、圧力計・逆止弁・止水弁
  • ポンプ吸込み側に、連成計・止水弁(ストレーナを入れることもある)
  • 試験用の配管と弁を設ける

よく出るポイント

  • 吸込み側には逆止弁を入れない … 抵抗になって、吸えなくなるため。
  • 吐出し側には必ず逆止弁 … 停止したときの逆流と水撃を防ぐ(第43回)。
  • 非常電源の容量は、30分以上作動できること。

スプリンクラーの配管系統

水源から消火ポンプ・立て管・流水検知装置を通ってスプリンクラーヘッドまでつながる配管系統の図
末端試験弁は、いちばん条件の悪い末端に付けます
  • 水源 → 消火ポンプ → 立て管 → 流水検知装置(アラーム弁)→ 各階の配管 → ヘッド
  • 流水検知装置 … 水が流れたことを検知して、警報を出す。各階または防火区画ごとに設ける
  • 末端試験弁 … いちばん遠いヘッドの先に付け、放水を模擬して作動を確かめる
  • 補助散水栓 … ヘッドが設けられない部分(トイレなど)に

末端試験弁は、なぜ「末端」なのか?

いちばん条件の悪い所で確かめるためです。ポンプから遠いほど圧力が下がり、水が届くまでの時間もかかります。そこで規定の圧力と流量が出れば、手前はすべて大丈夫——という考え方です。

ヘッドの配置

  • 散水が妨げられないように配置する … ダクト・照明・梁などの下には別にヘッドを設けることがある。
  • ヘッドの取付け面から下方に一定の空間を確保する。
  • 天井の高さによって、使えるヘッドが変わる。

連結送水管

連結送水管とは?

消防隊が使うための、建物に組み込まれた配管です(第55回)。1階の送水口に消防車のホースをつなぐと、各階の放水口から水が出せます。

  • 主管の呼び径は100A以上
  • 放水口は、階段室や非常用エレベーターの乗降ロビー付近
  • 11階以上には、放水用器具を格納した箱を設ける
  • 高さ70mを超える建物には、加圧送水装置が必要 … 消防車の圧力だけでは届かないため

施工上の注意

  • 凍結防止 … 寒冷地では、乾式や予作動式にする(第55回)
  • 配管の腐食対策 … ふだん水が動かないので、内面がさびやすい。亜鉛めっき鋼管や樹脂ライニングを使う
  • 他の設備と誤接続しない … 消火用の水は飲めません。クロスコネクション厳禁(第28回)
  • 耐震支持 … 地震のあとに使えなければ意味がない(第45回)

なぜ消火配管はさびやすいのか?

水が動かないからです。常に水が入ったまま、何年も流れません。溶けている酸素が使われて、内面がさびるのに、新しい水が来ないので、さびのかすがその場にたまり続けます。いざというときにヘッドが詰まるおそれがあるため、材質と定期的な点検が大切になります。

試験ではこう出る

  • ①加圧送水装置 … 「高架水槽方式は、非常電源を必要としない」→正しい。
  • ②逃し配管 … 「消火ポンプには、締切運転時の水温上昇を防ぐ配管を設ける」→正しい。
  • ③吸込み側 … 「ポンプの吸込み側に逆止弁を設ける」→誤り。
  • ④末端試験弁 … 「末端試験弁は、ポンプにいちばん近いヘッドの位置に設ける」→誤り。
  • ⑤連結送水管 … 「連結送水管の主管の呼び径は100A以上とする」→正しい。
  • ⑥非常電源 … 「屋内消火栓設備の非常電源は、30分以上作動できるものとする」→正しい。

よくある質問

Q.呼水槽は、どんなときに必要ですか?

A.ポンプが水源より高い位置にあるときです。ポンプは中に水がないと吸い上げられません(呼び水)。水源が下にあると、止まっている間に吸込み管の水が落ちてしまうことがあります。呼水槽が常に水を補給して、いつでも起動できる状態を保つのです。

Q.消火配管に、水道の水を直接つないではいけないのですか?

A.直接つないではいけません。消火配管の水は長く滞留していて、飲用に適さないため、逆流すると飲み水を汚染します。補給が必要な場合は吐水口空間を確保した間接給水にします(第26回・第28回)。

Q.スプリンクラーが誤作動して水浸しになることはないのですか?

A.閉鎖型ヘッドは、熱でしか開きませんので、誤作動はまれです。ただし物をぶつけて壊した場合や、熱源のそばに低い標示温度のヘッドを付けた場合は放水してしまいます。水損を絶対に避けたい場所では、予作動式を使い、感知器とヘッドの両方が働かないと放水しないようにします。

このページのまとめ

  • 加圧送水装置はポンプ方式・高架水槽方式・圧力水槽方式
  • 消火ポンプには非常電源・呼水槽・逃し配管・性能試験配管
  • 吸込み側に逆止弁は入れない/吐出し側には必ず入れる
  • 末端試験弁は、いちばん条件の悪い末端に設ける
  • 連結送水管は消防隊用。主管100A以上
  • 消火配管は水が動かないのでさびやすい
  • 飲み水の配管と絶対につながない