配管の支持・固定と伸縮|支持間隔と伸縮継手【管工事施工管理技士】
この記事でわかること
- 支持・固定・振れ止めのちがいがわかります
- 支持間隔の目安がわかります
- 配管が熱でどれだけ伸びるかが計算できます
- 伸縮継手の種類と使い分けがわかります
配管はただぶら下げればよいわけではありません。「支える」「動かないようにする」「動けるようにする」——この3つを使い分けます。
支持・固定・振れ止めは役割が違う

💡 覚え方
「支持は重さ、固定は位置、振れ止めは揺れ」。全部を固定してしまうと、熱で伸びたときに逃げ場がなくなって配管が壊れます。固定は必要な所だけ——これが基本の考え方です。
なぜ固定点が必要なのか?
伸びる方向を決めるためです。固定点がまったくないと、管がどちらへ動くか分からず、機器の接続部を引っぱって壊してしまいます。固定点を決めて、そこから両側へ逃がすように計画するのです。
支持間隔の目安
💡 覚え方
「鋼管はメートル単位、樹脂管と銅管は1〜2m」。柔らかい管ほど、たわむので間隔を狭くする——この理屈だけ押さえておけば、「樹脂管を3mおきに支持する」は誤りと判断できます。
支持で気をつけること
- 立て管には、各階1か所以上の支持を設ける。
- 機器の近く・弁の近く・曲がりの近くには支持を入れる … 荷重を機器にかけないため。
- 異種金属が接触しないようにする … 銅管を鉄の金具で吊るときは絶縁(第34回)。
- 保冷配管の支持部には断熱材(第44回)。
配管はどれだけ伸びるか

線膨張係数とは?
温度が1℃上がったとき、長さがもとの何倍伸びるかを表した数字です。
- 伸び量 = 線膨張係数 × もとの長さ × 温度差
- 例 鋼管20mが、10℃から80℃になったときの伸びは?
- ① 温度差 80 − 10 = 70℃
- ② 1.2×10⁻⁵ × 20,000mm × 70 = 16.8mm
🔰 簡単なたとえ
20mの配管が17mmも伸びる——小指の第一関節くらいです。両端をがっちり固定していたら、その分どこかが曲がるか、継手が壊れます。塩ビ管なら、同じ条件で約10cm。樹脂管の伸縮対策が特に大切な理由が分かります。
伸縮継手
💡 覚え方
「ベローズはコンパクト、スリーブは大容量、ベンドは故障しないが場所をとる」。ベンド形は動く部品がないので、保守が難しい所(埋設・高所)で選ばれます。
伸縮継手の施工
- 両側に固定点(アンカ)を設ける … 伸縮継手だけで動きを受けるため。
- ガイドを設けて、まっすぐ伸縮させる … 横にずれるとベローズが壊れます。
- スリーブ形はパッキンの交換スペースを確保する。
地震への備え
- 耐震支持 … SA種・A種・B種があり、建物の重要度と設置階で決まる
- 形鋼振れ止め支持 … 横揺れを止める。斜材(ブレース)を入れると耐震支持になる
- 可とう継手 … 建物と地面の境目(引込み部)や、エキスパンションジョイント部で変位を吸収する
- 機器の転倒防止 … アンカーボルトで基礎に固定する
なぜ建物の引込み部に可とう継手がいるのか?
地震のときに、建物と地面は別々に動くからです。建物は基礎ごと揺れ、地面は地面で動きます。そこを固い管でつないでいると、必ず折れます。柔らかい継手を1つ入れておくことで、ずれを吸収して破断を防ぐのです。
試験ではこう出る
- ①支持間隔 … 「呼び径20Aの鋼管の支持間隔は3.0m以下とする」→誤り。1.8m以下。
- ②樹脂管 … 「硬質塩化ビニル管は鋼管より支持間隔を広くできる」→誤り。
- ③線膨張 … 「硬質塩化ビニル管の線膨張係数は、鋼管の約6倍である」→正しい。
- ④ベンド形 … 「ベンド形伸縮継手は、保守が不要である」→正しい。
- ⑤ガイド … 「ベローズ形伸縮継手には、ガイドを設ける必要はない」→誤り。
- ⑥固定点 … 「伸縮継手の両側にはアンカを設ける」→正しい。
よくある質問
Q.吊りボルトの径は、どうやって決めるのですか?
A.管の呼び径と、支持する重さから決まります。管そのものの重さ+中の水の重さ+保温材の重さを合計して考えます。水の重さを忘れるのがよくある間違いで、大口径の管では、水のほうが管より重いこともあります。
Q.固定点は、どこに設けるのがよいのですか?
A.伸縮を「両側に均等に逃がせる位置」です。一般には長い直管の中央付近に固定点を置き、両端に向かって伸びるようにします。またポンプや熱交換器などの機器の近くにも固定点を置き、機器に力がかからないようにします。
Q.立て管の伸縮は、どう処理するのですか?
A.各階で固定するのではなく、何階かおきに固定点を設け、その間で伸縮させます。高層建築の給湯立て管では、ベローズ形伸縮継手を階ごとに入れるか、スイベル形(エルボの組み合わせ)で逃がす方法が取られます。「全階を固定してはいけない」のがポイントです。
このページのまとめ
- 支持=重さ/固定=位置/振れ止め=揺れ
- 柔らかい管ほど支持間隔は狭く(銅・塩ビは1〜2m)
- 伸び = 線膨張係数 × 長さ × 温度差
- 塩ビは鋼の約6倍伸びる
- 伸縮継手はベローズ(小型)・スリーブ(大容量)・ベンド(無保守)・スイベル
- 伸縮継手の両側にアンカ、途中にガイド
- 建物の引込み部には可とう継手
