第4章 取り付ける | 第13回 | 学習カリキュラムの目次を見る

電気の配線にはいくつもの工事方法があります。ケーブルをそのまま留めていく方法、管の中を通す方法、レール状のものに収める方法——目的や場所によって使い分けます。

そして大事なのは、どこでも好きな方法を使ってよいわけではないということです。場所によって、使える工事と使えない工事が法令で決められています。

過去問の問21〜30でたびたび出題されるテーマです。表を丸暗記するのではなく、考え方から入ると、知らない組み合わせが出ても判断できるようになります。

まず「施設場所」の分け方を知る

使える工事を決める前に、その場所がどういう場所なのかを分類します。軸は2つだけです。

施設場所は「見えるか」「乾いているか」で分かれるこの2つの軸だけで、使える工事が決まります見えるかどうか展開した場所(見える)点検できる隠ぺい場所点検できない隠ぺい場所下にいくほど制限が厳しい乾いているかどうか乾燥した場所湿気の多い場所水気のある場所下にいくほど制限が厳しい
「見えるか」と「乾いているか」の組み合わせで施設場所が決まり、それによって使える工事が決まります。

用語展開した場所・隠ぺい場所とは?

展開した場所は、配線が目に見えている場所。倉庫の壁に配線がむき出しで這っているような状態です。隠ぺい場所は、天井裏や壁の中など隠れている場所。さらに、点検口などから点検できるものと点検できないものに分かれます。

なぜ?なぜ点検できるかどうかで区別するのか?

あとから不具合を見つけて直せるかどうかが変わるからです。コンクリートに埋め込んでしまった配線は、不具合が起きても手が届きません。だからより丈夫で、劣化しにくい工事方法しか許されないのです。

用語湿気の多い場所・水気のある場所とは?

湿気の多い場所は、水滴はつかないが空気が湿っている場所。地下室などが当てはまります。水気のある場所は、水が飛んだり床がぬれたりする場所。浴室や屋外の水道まわりです。

なぜ?なぜ水気があると制限が厳しくなるのか?

水は電気を通すからです。絶縁が少しでも傷んでいると、水を伝って電気が漏れるおそれがあります。人が触れば、体を通って地面まで流れます。そのためしっかり密閉された工事しか認められません。

「どこでもできる3つ」を先に覚える

ここがこの回のいちばんの近道です。どんな場所でも使える工事が3つあります。

まず「どこでもできる3つ」を覚えるこの3つ以外は、使える場所に制限があります1ケーブル工事どの場所でも使える2金属管工事どの場所でも使える3合成樹脂管工事(CD管を除く)どの場所でも使える他がいし引き・線ぴ・ダクトなど乾燥した場所や、見える場所だけなど制限あり
「ケーブル・金属管・合成樹脂管の3つはどこでもOK」を先に覚えると、残りを消去法で選べます。

例どこでも使える3つ

ケーブル工事 … ケーブル自体が丈夫な外装で覆われているため。

金属管工事 … 電線が金属の管で完全に守られているため。

合成樹脂管工事(CD管を除く) … 同じく管で守られているため。

つまり、問題で「不適切なものはどれか」と聞かれたとき、この3つが選択肢に出てきたら、まず正解の候補から外せます。残った選択肢の中から探せばよいので、ぐっと楽になります。

覚える覚え方

「閉じているものは、どこでもOK」と覚えてください。ケーブルも管も、電線がすっぽり覆われています。逆に、ふたが開くもの・すき間があるものは、水やほこりが入るので場所が限られる——これが判断の軸です。

制限がある工事は「乾いた・見える場所だけ」

工事の種類と施設場所の組み合わせを○×で示した表。がいし引き・金属線ぴ・金属ダクト・ライティングダクト・平形保護層の各工事が、展開した場所と点検できる隠ぺい場所(それぞれ乾燥/湿気・水気)、点検できない隠ぺい場所で使えるかどうかを示している
制限がある工事は、乾いていて見える場所でしか使えません。

例主な制限つきの工事

がいし引き工事 … 展開した場所と点検できる隠ぺい場所のみ。電線がむき出しなので、点検できない場所には使えません。

金属線ぴ工事(線ぴ=電線を収める細長い金属のカバー) … 乾燥した展開した場所と、乾燥した点検できる隠ぺい場所のみ。

金属ダクト工事(ダクト=電線をまとめて収める金属の通り道) … 金属線ぴと同じ条件。

ライティングダクト工事(照明器具を好きな位置に付けられるレール) … 同じく乾燥した場所のみ。さらに造営材(建物の壁や柱など)を貫通してはいけないという決まりもあります。

平形保護層工事 … 点検できる隠ぺい場所で、乾燥した場所(タイルカーペットの下など)のみ。

用語がいし引き工事とは?

「がいし」という絶縁体(電気を通さない物)で電線を支えて、空中に張っていく工事です。昔の日本家屋の天井などで見られます。電線がむき出しなので、電線どうしや壁との距離が細かく決められています。

なぜ?なぜ今でも試験に出るのか?

古い建物では現役で残っているからです。改修工事で触る機会があるため、どこに使えて、どこに使えないかを知っておく必要があります。

注意CD管の扱いに注意

CD管はオレンジ色の合成樹脂製可とう電線管(自由に曲げられる電線管)です。

耐燃性がないため、コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性の管に収めて使うのが原則です。

同じ見た目でもPF管(グレーやベージュ)は耐燃性があり、そのまま露出配管にも使えます。

「色で見分ける」=オレンジはコンクリート埋設用、と覚えてください。

特殊な場所は、さらに制限が厳しい

可燃性ガスのある場所・爆燃性粉じんのある場所・可燃性粉じんのある場所で使える工事を並べた図。前の2つは金属管工事とケーブル工事(キャブタイヤケーブルを除く)だけ、可燃性粉じんはこれに合成樹脂管工事が加わる
危険な場所ほど、丈夫に囲われた工事しか使えません。

可燃性のガスがある場所や、粉じん(細かい粉)の多い場所では、わずかな火花が爆発や火災につながります。そのため、使える工事はさらに絞られます。

覚える代表的な特殊場所

可燃性ガスのある場所(ガソリンスタンドなど) … 金属管工事、またはキャブタイヤケーブル以外のケーブル工事のみ。

爆燃性粉じんのある場所(マグネシウム粉など) … 上と同じ条件。

可燃性粉じんのある場所(小麦粉・でんぷんなど) … 金属管工事・合成樹脂管工事・ケーブル工事。

細かく覚えようとせず、「危険な場所ほど、丈夫に囲われた工事しか許されない」という筋だけつかんでおけば、選択肢の見当がつきます。最も危険な場所では、がいし引きも線ぴもダクトも使えません。

用語キャブタイヤケーブルとは?

ゴムなどで覆われた、柔らかくて動かしやすいケーブルです。工事現場の仮設電源や、動かす機械への配線に使います。

なぜ?なぜ危険な場所では使えないのか?

柔らかいぶん、傷つきやすいからです。動かしたり踏まれたりするうちに外装が傷み、火花が出るおそれがあります。爆発の危険がある場所では、それが致命的になります。

過去問では、こう出る

例出題のされ方

①場所を示して「不適切な工事」を選ぶ … 「点検できない隠ぺい場所であって湿気の多い場所」などの条件が示され、4つの工事から不適切なものを選ぶ。いちばん多い形です。

②その逆で「適切な工事」を選ぶ … 考え方は同じ。どこでもOKの3つが答えになることが多い。

③特殊場所の工事 … 「可燃性ガスのある場所での工事として不適切なものは」。

④CD管の使い方 … 「CD管を直接コンクリートに埋設した」は適切、「露出配管に使った」は不適切。

注意つまずきやすいところ

「湿気の多い場所」と「水気のある場所」を同じだと思う … 別のものです。水気のほうが厳しい条件です。

ライティングダクトを湿気の多い場所に使ってしまう … 乾燥した場所だけです。試験の引っかけに使われることがあります。

CD管とPF管を取りちがえる … オレンジのCD管は埋設用。露出には使えません。

よくある質問

よくある質問

Q. 「点検できる隠ぺい場所」とは、具体的にどんな場所ですか?

A. 点検口などから人が入って、配線を確認できる場所のことです。天井裏で点検口があるところ、床下収納から入れる床下などが当てはまります。逆に、コンクリートに埋め込んだ部分や、造営材に完全に囲まれた壁の中は「点検できない隠ぺい場所」です。

Q. ケーブル工事なら、本当にどこでも自由に配線してよいのですか?

A. 施設場所の制限はありませんが、施工のしかたには決まりがあります。支持点の間隔(造営材に沿う場合は2m以下など)や、重い物が乗る場所では管に収めて保護するといったルールがあります。「どこでも使える」=「どう施工してもよい」ではありません。

Q. VVFとVVRは何が違うのですか?

A. 形が違います。VVFは平形(きしめん状)で、住宅の屋内配線で広く使われているケーブルです。VVRは丸形で、中に介在物(詰め物)が入っています。写真鑑別(写真を見て材料の名前を答える問題)では断面の形で見分けます。

まとめ

まとめこの回の要点

施設場所は「見えるか」「乾いているか」の2つの軸で分かれる。

ケーブル・金属管・合成樹脂管の3つはどこでも使える。

線ぴ・ダクト類は、乾燥した・見える(点検できる)場所だけ。

がいし引きは点検できない隠ぺい場所では使えない。

CD管はコンクリート埋設用。露出には使えない。

危険な場所ほど、使える工事は少なくなる。