保温・保冷と防露|防湿層を「暖かい側」に入れる理由【管工事施工管理技士】
この記事でわかること
- 保温・保冷・防露の目的のちがいがわかります
- 保温材の種類と使える温度がわかります
- 施工の順番(保温筒→補助材→外装)がわかります
- 防湿層を「どちら側」に入れるかがわかります
保温は「熱を逃がさない」だけの話ではありません。冷たい配管では、結露を防ぐことが主目的になります。この違いが分かると、施工方法の理由も見えてきます。
保温・保冷・防露は目的が違う

なぜ冷たい配管は結露するのか?
まわりの空気が、露点温度より冷やされるからです(第3回)。冷水管の表面が7℃、部屋の露点温度が15℃なら、管に触れた空気は水蒸気を持ちきれず、水滴になります。保温材で表面温度を露点より高く保てば、結露しません。
💡 覚え方
「保温は中の熱を守る、保冷・防露は外から守る」。守る向きが逆なので、防湿層を入れる位置も逆になります(後述)。
保温材の種類
💡 覚え方
「グラス350・ロック600・けいカル650」と「発泡系は70〜100℃止まり」。繊維系=高温に強い/発泡系=水に強いという対比で覚えると、用途の判断ができます。
保冷には発泡系を使う理由
- グラスウールは水を吸うと、断熱性能がほぼゼロになる。
- 保冷では結露水が出る前提なので、吸水しにくい材料でなければなりません。
- ポリスチレン・ポリエチレン・ウレタンは独立気泡で水を吸いにくく、保冷に向きます。
施工の順番
- ①保温筒・保温板を巻く … 継目は同一線上に並べない(千鳥にする)
- ②補助材でとめる … 鉄線・ステープル・粘着テープ
- ③防湿層(保冷の場合)
- ④外装材を巻く … 亜鉛鉄板・ステンレス鋼板・アルミガラスクロス・カラー鉄板・ポリエチレンフィルム
巻き方の決まり
- 外装材は、下から上へ巻き上げる … 水が継目に入らないように(屋根瓦と同じ考え方)。
- 水平の管は、重ね部分を下向きにする。
- 継目は千鳥にする … まっすぐ並ぶと、そこが熱と水の通り道になるため。
- 鉄線の巻き数 … 保温筒1本につき2か所以上(呼び径により異なる)。
防湿層は「暖かい側」に入れる

防湿層とは?
水蒸気が保温材の中に入り込むのを防ぐ層です。アスファルトフェルト・ポリエチレンフィルムなどを使います。
なぜ「暖かい側」なのか?
水蒸気は、暖かいほうから冷たいほうへ移動するからです。冷水管なら外の空気が暖かく、管が冷たい。つまり水蒸気は外から内へ入ろうとします。だから防湿層は保温材の外側(暖かい側)に入れて、入口でせき止めるのです。内側に入れても、もう手遅れです。
保温と保冷で逆になる
- 保冷(冷水・冷媒) … 防湿層は保温材の外側(暖かい側)。
- 保温(蒸気・温水) … 防湿層は不要。管が暖かいので、水蒸気は内から外へ抜けていくだけです。
- 保冷では、支持部にも断熱材を入れる … 金属の支持金具が熱橋(ヒートブリッジ)になってそこだけ結露するのを防ぐため。
🔰 簡単なたとえ
保冷の配管を、冷たいペットボトルだと思ってください。タオルを巻いても、タオルの外側にラップを巻かなければ、タオルが湿ってびしょびしょになります。ラップ=防湿層で、外側に巻くから意味があるのです。
保温をしてはいけない所
- ポンプ・弁の周囲で、点検・操作の妨げになる所
- フランジ・ユニオンの前後 … 取り外しができるよう、そこだけ外せる形(脱着式)にする
- 温度計・圧力計の取り付け部
- スプリンクラーヘッド・煙感知器のまわり
- 排水管(一般には保温しない) … ただし結露するおそれのある所は防露する
試験ではこう出る
- ①保冷の材料 … 「保冷にはグラスウールが適している」→誤り。吸水しにくい発泡系を使います。
- ②防湿層の位置 … 「保冷の防湿層は、保温材の内側(管側)に設ける」→誤り。外側。
- ③外装の巻き方 … 「外装材は上から下へ巻き下げる」→誤り。下から上へ。
- ④継目 … 「保温筒の継目は、同一線上に揃える」→誤り。千鳥にします。
- ⑤使用温度 … 「ロックウールはグラスウールより高い温度に使える」→正しい。
- ⑥支持部 … 「保冷配管の支持部には断熱材を挿入する」→正しい。
よくある質問
Q.保温の厚さは、どうやって決めるのですか?
A.保温では「熱の損失をいくらに抑えるか」、保冷では「表面温度が露点より高くなるか」から決めます。実務では公共建築工事標準仕様書などの表を使い、管の呼び径と流体の温度で厚さが決まります。試験で厚さの数値まで問われることは少ないので、決め方の考え方を押さえてください。
Q.「熱橋(ヒートブリッジ)」とは何ですか?
A.断熱の途切れたところが、熱の通り道(橋)になることです。保冷配管を吊っている金属の支持金具は、熱をよく伝えるので、そこだけ冷えて結露します。だから支持部に断熱材(木製の受け材など)を挟むのです。建築でも鉄骨や梁が熱橋になることが問題になります。
Q.屋外の保温で、外装材に何を使いますか?
A.雨に耐えるもの——亜鉛鉄板・カラー鉄板・ステンレス鋼板が使われます。アルミガラスクロスは屋内向けで、屋外では雨で劣化します。また継目のシール(コーキング)をきちんと行わないと、中に水が入って保温材が使えなくなります。
このページのまとめ
- 保温=熱を逃がさない/保冷・防露=熱の侵入と結露を防ぐ
- 繊維系(グラス350・ロック600・けいカル650)は高温に強い
- 発泡系(70〜100℃)は吸水しにくく保冷向き
- グラスウールは水を吸うと断熱性能を失う
- 継目は千鳥、外装は下から上へ巻き上げる
- 防湿層は暖かい側(保冷なら保温材の外側)
- 保冷の支持部には断熱材を入れる(熱橋対策)
