第9章 法規 | 第54回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 建築設備が建築基準法の対象だということがわかります
  • 換気設備の決まりがわかります
  • 排煙設備の決まりがわかります
  • 防火区画を貫通するときの処理がわかります

建築基準法は建物そのものの法律ですが、配管やダクトは建物を貫通するので、管工事も無関係ではいられません。出題は「換気」「排煙」「防火区画の貫通」の3つにほぼ集中します。

建築設備も「建築物」の一部

建築設備とは?

建築基準法では、建築物に設ける電気・ガス・給水・排水・換気・暖房・冷房・消火・排煙・汚物処理の設備、煙突・昇降機・避雷針を「建築設備」と定めています。これらは建築物の一部として扱われます。

💡 覚え方

つまり「配管やダクトも、建物の一部として法律の対象」。だから確認申請の対象になり、検査も受けます。ここを押さえると、以下の決まりが「なぜあるのか」が読めます。

換気設備

第1種・第2種・第3種の換気を3つならべた図。給気と排気のどちら側に機械(ファン)を使うか、部屋の中が正圧か負圧かつり合うかを示し、それぞれの使い所も挙げている。
機械を使うのがどちら側かで決まります。第2種は押し込んで正圧、第3種は吸い出して負圧です。

換気設備が必要になる場所

  • 居室 … 窓その他の開口部で、換気に有効な部分の面積が床面積の1/20以上ないときは、換気設備を設ける。
  • 火を使用する室 … 厨房など。密閉式燃焼器具のみの場合を除く。
  • 特殊建築物の居室 … 劇場・映画館・病院など。
  • シックハウス対策 … 住宅の居室は換気回数0.5回/h以上、その他の居室は0.3回/h以上の機械換気設備。

換気回数とは?

1時間に、部屋の空気が何回入れ替わるかを表す数字です。換気量[㎥/h]÷ 部屋の容積[㎥]で求めます。0.5回/hなら、2時間で1回ぜんぶ入れ替わる計算です。

換気の方式 給気 排気 向いている室
第1種 機械 機械 どんな室でも。手術室・地下街など
第2種 機械 自然 室内を正圧にしたい。清浄室・ボイラー室
第3種 自然 機械 室内を負圧にしたい。便所・厨房・浴室

💡 覚え方

「第2種は押し込む(正圧)=汚れた空気を入れたくない部屋」、「第3種は吸い出す(負圧)=におい・湿気を外へ出したい部屋」。数字ではなく、圧力の向きで覚えると混ざりません。

排煙設備

排煙設備とは?

火災のときに、煙を建物の外へ出すための設備です。火で亡くなる人より、煙で亡くなる人のほうが多いため、法律で細かく決められています。

  • 排煙口は、防煙区画の各部分から水平距離30m以下に設ける
  • 排煙口は、天井または壁の上部(天井から80cm以内、ただし防煙垂れ壁の下端より上)に設ける
  • 手動開放装置 … 手で操作する部分は、床から80cm以上1.5m以下(壁付け)、天井から吊るす場合は床からおおむね1.8m
  • 排煙機の能力 … 120㎥/分以上、かつ防煙区画の床面積1㎡につき1㎥/分以上(2以上の防煙区画にかかる場合は2㎥/分以上)
  • 予備電源を設ける

なぜ排煙口は天井付近なのか?

煙は熱くて軽いので、天井にたまるからです。床の近くに排煙口があっても、まだきれいな空気を吸い出すだけで意味がありません。防煙垂れ壁(第37回)で天井付近に煙をいったんためて、そこから吸い出すのが基本の考え方です。

数字のまとめ

  • 水平距離30m以下
  • 天井から80cm以内
  • 手動開放装置は床から80cm〜1.5m
  • 排煙機は120㎥/分以上
  • 防煙区画は500㎡以内

防火区画の貫通

防火区画の壁を配管が貫通する図。貫通部の前後1m以内を不燃材料にすることを赤い区間で示し、ダクトの防火ダンパー、樹脂管の熱膨張性耐火材もあわせて描いている。
守るのは貫通部という「点」ではなく、前後1mずつの「区間」です。

防火区画とは?

火や煙が建物の中を広がらないように、耐火構造の床・壁・防火設備で区切ることです。面積区画・高層区画・竪穴区画・異種用途区画があります。

ここに配管やダクトが穴を開けて通ると、せっかくの区画が意味をなさなくなります。そこで、貫通部分の処理が決められています。

  • ①すき間を不燃材料で埋める(モルタル・ロックウールなど)
  • ②貫通部から両側1m以内は不燃材料でつくる … 配管の材質そのものを不燃材料にする
  • ③ダクトには防火ダンパーを設ける(第36回)
  • ④樹脂管は熱で溶けるので、熱膨張性の耐火材で塞ぐ

「両側1m」がポイント

  • 貫通部そのものだけでなく、前後1mずつを不燃材料にするのが決まりです。
  • 理由=塩ビ管などは、離れたところで燃えても熱が伝わって貫通部が溶け、そこから火が回るからです。
  • 「点ではなく区間で守る」という考え方です。

防火ダンパーの温度ヒューズ

一般の換気ダクト=72℃、厨房の排気ダクト=120℃で作動するものを使います。厨房は普段から熱い空気が通るので、72℃では誤作動してしまうためです。

試験ではこう出る

  • ①換気方式 … 「便所の換気は第2種換気とする」→誤り。第3種。
  • ②シックハウス … 「住宅の居室の必要換気回数は0.5回/h以上」→正しい。
  • ③排煙口の位置 … 「排煙口は、防煙区画の各部分から水平距離30m以下となるように設ける」→正しい。
  • ④手動開放装置 … 「壁に設ける手動開放装置は、床面から0.8m以上1.5m以下に設ける」→正しい。
  • ⑤貫通部 … 「防火区画を貫通する配管は、貫通部の両側1m以内を不燃材料とする」→正しい。
  • ⑥防火ダンパー … 「厨房排気ダクトの防火ダンパーの温度ヒューズは72℃とする」→誤り。120℃。

よくある質問

Q.「居室」とは、どんな部屋のことですか?

A.人が継続的に使用する部屋のことです。事務室・教室・病室・客室・食堂などが当たります。便所・洗面所・浴室・廊下・階段・倉庫は居室ではありません。換気や採光の基準は居室にかかるので、この区別は重要です。

Q.防煙区画と防火区画は違うのですか?

A.違います。防火区画は「火」を止めるためで、耐火構造の床・壁・防火設備で区切ります。防煙区画は「煙」をためるためで、防煙垂れ壁などで区切ります(500㎡以内)。煙は天井付近にたまるので、垂れ壁だけでも止められるのです。

Q.確認申請は誰が出すのですか?

A.建築主です。実務では設計者が代理で行いますが、法律上の申請者は建築主です。建築設備(一定規模以上の換気・排煙・昇降機など)も確認の対象になり、工事完了後には完了検査を受けます。

このページのまとめ

  • 換気・排煙・給排水などの設備も「建築設備」として法律の対象
  • 第1種=給排とも機械/第2種=正圧/第3種=負圧(便所・厨房)
  • 住宅の居室は換気回数0.5回/h以上
  • 排煙は水平距離30m以下・天井から80cm以内・手動開放装置は0.8〜1.5m
  • 排煙機は120㎥/分以上。防煙区画は500㎡以内
  • 防火区画の貫通は、両側1m以内を不燃材料に
  • 温度ヒューズは一般72℃・厨房120℃