第7章 材料と施工 | 第43回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 仕切弁・玉形弁・バタフライ弁・ボール弁のちがいがわかります
  • 「開閉用」と「流量調整用」の使い分けがわかります
  • 逆止弁の種類と、どこに使うかがわかります
  • 減圧弁・安全弁・電動二方弁の役割がわかります

弁は「何のために付いているか」で覚えるのがコツです。止めるためか、絞るためか、逆流を防ぐためか——この3つに分けると、選択肢がすぐ絞れます。

開閉用の弁

仕切弁・ボール弁・バタフライ弁・玉形弁の中の通り道を断面で比べ、全開時の抵抗のちがいを示した図
まっすぐ通る弁は抵抗が小さく、通り道が曲がる弁は絞って使えます
名前 しくみ 特徴
仕切弁(ゲート弁) 板が上下に動いて、通路をふさぐ 全開時の抵抗がとても小さい/流量調整には向かない/開閉に時間がかかる
ボール弁 穴のあいた球を90度回す 全開時の抵抗が小さい/90度でパッと開閉できる/小口径向き
バタフライ弁 円板を90度回す 薄くて軽く、安い/大口径に向く/ある程度の流量調整もできる

💡 覚え方

「仕切弁とボール弁は、開けきれば抵抗ゼロに近い」。だからふだん開けっぱなしにしておく所——ポンプの吸込み側や、主管の元弁に使います。

流量調整用の弁

名前 しくみ 特徴
玉形弁(グローブ弁) 弁体が上下して、S字の通路をふさぐ 流量調整に向く/全開でも抵抗が大きい/流れの向きが決まっている
アングル弁 玉形弁を90度曲げた形 配管の曲がり部で使える
ニードル弁 針状の弁体で細かく絞る 微調整用

なぜ玉形弁は流量調整に向くのか?

弁体の動きに対して、開口面積がゆるやかに変わるからです。仕切弁は少し開けただけで一気に流れてしまい、しかも板がガタついて壊れます。玉形弁はハンドルを回した分だけ素直に流量が変わるので、絞って使えます。

仕切弁で絞ってはいけない理由

  • 弁体(板)が水流でばたついて、振動と騒音が出る。
  • 弁座が削れて、閉まらなくなる(シート漏れ)。
  • → 仕切弁は「全開か全閉か」で使うのが原則です。

逆止弁(チェッキ弁)

スイング式・リフト式・衝撃吸収式の逆止弁が、順方向で開き逆方向で閉じるようすを比べた図
取り付けられる向きと、閉まる速さがちがいます

逆止弁とは?

一方向にだけ流れを通し、逆流を止める弁です。ポンプの吐出し側や、逆流させてはいけない所に付けます。

種類 しくみ 特徴
スイング式 ふたが扉のように開閉する 抵抗が小さい/水平・垂直(上向き流れ)に使える/閉まるのが遅く、ウォーターハンマーが出やすい
リフト式 弁体が上下する 水平配管のみ/抵抗が大きい
衝撃吸収式(スモレンスキ) ばねで素早く閉じる ウォーターハンマーを防げる/ポンプの吐出し側に

💡 覚え方

「スイングは静かだが閉まるのが遅い、ばね式は速く閉じて水撃を防ぐ」。ポンプの吐出し側では、止まった瞬間の逆流が水撃の原因になるので(第13回)、速く閉じる弁が選ばれます。

そのほかの弁

  • 減圧弁 … 1次側の圧力が変動しても、2次側を一定に保つ。高層建築の低層階など
  • 安全弁・逃し弁 … 圧力が上がりすぎたら逃がす。給湯設備の膨張対策にも使う
  • 定水位弁(ボールタップ) … 受水槽の水位を一定に保つ
  • 電動二方弁・三方弁 … 空調の温度制御。二方弁は流量を変える(変流量)、三方弁は流れを分ける(定流量)
  • ストレーナ … ゴミを取る。弁ではないが、弁やポンプの手前に付ける

二方弁と三方弁のちがい

二方弁は入口と出口が1つずつ。絞ると、系全体の流量が減ります(変流量方式)。三方弁は口が3つ。コイルへ行く分とバイパスする分に分けるので、系全体の流量は変わりません(定流量方式)。省エネの面では、ポンプの動力が減る二方弁(変流量)が有利です。

弁の材質と圧力の表し方

  • 青銅・黄銅 … 小口径の給水・給湯
  • 鋳鉄・ダクタイル鋳鉄 … 中〜大口径
  • ステンレス鋼 … 耐食性が必要な所
  • 呼び圧力 … 10K・16K・20Kなど。数字が大きいほど高い圧力に耐える

施工上の注意

  • 玉形弁・逆止弁には流れの向きがある … 本体の矢印を確認して取り付ける。逆だと機能しません。
  • 弁の前後には、点検のためのスペースを確保する。
  • ハンドルが操作できる向きに取り付ける。
  • 大口径の弁は、自重を支持する(配管に荷重をかけない)。

試験ではこう出る

  • ①流量調整 … 「仕切弁は流量調整に適している」→誤り。玉形弁です。
  • ②抵抗 … 「全開時の圧力損失は、玉形弁のほうが仕切弁より大きい」→正しい。
  • ③リフト式逆止弁 … 「リフト式逆止弁は、垂直配管に取り付けることができる」→誤り。水平配管のみ。
  • ④水撃 … 「ポンプの吐出し側には、衝撃吸収式逆止弁を用いるとよい」→正しい。
  • ⑤二方弁 … 「電動二方弁を用いると変流量方式となる」→正しい。
  • ⑥バタフライ弁 … 「バタフライ弁は大口径に適し、設置スペースが小さい」→正しい。

よくある質問

Q.「10K」の弁を、もっと高い圧力の所に使ってはいけないのですか?

A.いけません。呼び圧力は、その弁が安全に使える圧力の目安です。超えて使うと漏れたり、破損したりします。一般に給水・給湯は10K、高層の低層階や蒸気は16K・20Kが使われます。フランジの寸法も呼び圧力ごとに違うので、組み合わせを間違えると付きません。

Q.ストレーナはどこに付けるのですか?

A.守りたい機器の手前(上流側)です。ポンプ・自動弁・熱交換器・水道メーターの前に付けます。ゴミが入ると詰まる・傷つく機器を守るためです。清掃できるように、取り外しのスペースとドレン(水抜き)を用意しておきます。

Q.弁を「全開から半回転戻す」と聞きましたが、なぜですか?

A.全開のまま固着するのを防ぐためです。仕切弁を目いっぱい開けきると、ねじ部が締まりきって動かなくなることがあります。いざ閉めたいときに回らないと困るので、全開にしてから少し戻しておくのが現場の習慣です。(試験には出ませんが、実務では大切です。)

このページのまとめ

  • 仕切弁・ボール弁=開閉用(全開時の抵抗が小さい)
  • 玉形弁=流量調整用(全開でも抵抗が大きい)
  • バタフライ弁=大口径・省スペース
  • 逆止弁はスイング式(水平・垂直)/リフト式(水平のみ)
  • ポンプ吐出し側は、水撃を防ぐばね式
  • 二方弁=変流量(省エネ)/三方弁=定流量
  • 玉形弁と逆止弁には流れの向きがある