第7章 材料と施工 | 第42回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 配管材料の記号(SGP・VP・VLPなど)が読めるようになります
  • どの用途にどの管を使うかがわかります
  • ライニング管・被覆管が何のためにあるかわかります
  • それぞれの管の弱点がわかります

材料の問題は記号と用途を結びつけるだけです。記号の意味が分かれば、暗記の量は半分になります。

鋼管(こうかん)

配管記号SGP-VDをSGP・V・Dの3つに分けて意味を説明し、屋内・露出・地中の使い分けを建物の断面で示した図
記号の意味が分かると、覚える量が半分になります
記号 正式名 用途 弱点
SGP 配管用炭素鋼鋼管(ガス管) 空調配管・消火配管・蒸気 さびる
SGP-白 亜鉛めっきをしたもの 同上 めっきが切れるとさびる
SGP-黒 めっきなし 蒸気・油 さびやすい
STPG 圧力配管用炭素鋼鋼管 高い圧力がかかる所 さびる
SUS ステンレス鋼管 給水・給湯 高価/異種金属接触腐食に注意

💡 覚え方

「白は亜鉛めっき、黒はめっきなし」。白ガス管という呼び方は現場でも使います。SGPは安いが、さびるのが最大の弱点——だから次のライニング管が生まれました。

ライニング鋼管・被覆鋼管

ライニング鋼管とは?

鋼管の内側に、樹脂などの層を貼り付けた管です。鋼の強さと、樹脂のさびにくさを両立させています。

記号 中身 用途
SGP-VA 内面のみ硬質塩化ビニルライニング 屋内の給水(外面は亜鉛めっき)
SGP-VB 内面ライニング+外面亜鉛めっき 屋内・屋外の露出
SGP-VD 内面ライニング+外面も塩ビ被覆 地中埋設
SGP-PA/PB/PD ポリ粉体ライニング 同様の使い分け
SGP-HVA 耐熱性硬質塩化ビニルライニング 給湯(85℃以下)

💡 覚え方

「Aは屋内、Bは露出、Dは地中」。外に行くほど外側の守りが厚くなると覚えます。D=地中(Dochu)と語呂で覚える人も多いです。

ライニング管の施工上の注意

  • ねじ切りをすると、切り口の鋼が露出する … 管端防食継手を使って、切り口が水に触れないようにする。
  • 火であぶってはいけない … 内側の樹脂が焼けてしまいます。溶接接合はできません。
  • 切断は、専用の切断機(バンドソーなど)で。パイプカッターは管が変形するので不可。

樹脂管(プラスチック管)

同じ呼び径のVP管とVU管の断面を並べ、肉厚と内径のちがいを比べた図
VPは厚くて給水に使え、VUは薄いので排水・通気に使います
記号 正式名 使える温度 用途
VP 硬質ポリ塩化ビニル管 常温(〜40℃程度) 給水・排水
VU 薄肉の塩ビ管 同上 排水・通気(圧力がかからない所)
HIVP 耐衝撃性硬質塩化ビニル管 常温 寒冷地・埋設
HTVP 耐熱性硬質塩化ビニル管 90℃以下 給湯
ポリエチレン管 — — ガス・水道の埋設
架橋ポリエチレン管・ポリブテン管 — 給湯にも使える さや管ヘッダ工法

VPとVUのちがい

  • VPのほうが肉厚で丈夫。圧力がかかる給水に使える。
  • VUは薄い。排水・通気など、圧力がかからない所に使う。
  • 同じ呼び径でも、VUのほうが内径が大きい(肉が薄いぶん)。

樹脂管の弱点

①熱に弱い … ふつうの塩ビは40℃くらいまで。給湯には耐熱品を使う。
②紫外線に弱い … 屋外の露出では劣化するので、塗装や被覆が必要。
③線膨張係数が大きい … 鋼管の7倍ほど伸び縮みするので、伸縮の逃げを設ける。
④火に弱い … 防火区画の貫通には耐火材が必要(第54回)。

銅管

  • 給湯・冷媒配管・医療ガスによく使う
  • 肉厚でK・L・Mの3種類 … K(厚い)> L > M(薄い)
  • 加工しやすく、腐食に強い
  • 弱点 … アンモニアに弱い/流速が速いとかい食(エロージョン)/異種金属接触腐食(第34回)

かい食(潰食・エロージョン)とは?

速い水流によって、管の内面がえぐられていく現象です。とくに曲がりの外側やT字の分岐で起きます。銅管は柔らかいので起きやすく、給湯の循環配管では流速を1.2m/s以下に抑えるのが目安とされています。

鋳鉄管・その他

  • ダクタイル鋳鉄管 … 強くてねばりがある。水道の本管に使う
  • 排水用鋳鉄管 … 遮音性がよいので、集合住宅の排水立て管に使われる
  • 鉛管 … 健康への影響から、給水には使わない(既存管は取り替えが進行中)

用途別のまとめ

用途 よく使う管
屋内給水 SGP-VA/VB・ステンレス鋼管・架橋ポリエチレン管
埋設給水 SGP-VD・ポリエチレン管・HIVP
給湯 銅管・ステンレス鋼管・SGP-HVA・架橋ポリエチレン管
排水・通気 VP・VU・排水用鋳鉄管
冷温水・蒸気 SGP(白・黒)
冷媒 銅管
消火 SGP・配管用アーク溶接炭素鋼鋼管

試験ではこう出る

  • ①記号 … 「SGP-VDは地中埋設に用いる」→正しい。
  • ②VPとVU … 「VU管はVP管より肉厚が厚い」→誤り。薄い。
  • ③給湯 … 「一般の硬質塩化ビニル管(VP)を給湯配管に用いる」→誤り。
  • ④ライニング管 … 「ライニング鋼管は、溶接接合ができる」→誤り。
  • ⑤銅管 … 「銅管の肉厚はKタイプがいちばん厚い」→正しい。
  • ⑥線膨張 … 「樹脂管は鋼管より線膨張係数が大きい」→正しい。

よくある質問

Q.「呼び径」と実際の内径は同じですか?

A.同じではありません。呼び径は、ほぼ内径に近い「目安の名前」であって、実寸ではありません。同じ呼び径50Aでも、管の種類や肉厚で内径は変わります。Aはミリ基準、Bはインチ基準で、50A=2Bのように対応しています。

Q.管端防食継手を使わないと、どうなりますか?

A.ねじを切った切り口から、赤水が出るようになります。ライニング管はせっかく内面を樹脂で守っていても、ねじを切った瞬間、そこだけ鋼がむき出しになります。そこに水が当たり続けて局部的にさびる(腐食する)のです。「ライニング管には管端防食継手」はセットで覚えてください。

Q.さや管ヘッダ工法とは何ですか?

A.ヘッダ(分岐の親機)から、各水栓へ1本ずつ樹脂管を配る工法です。さや管(保護管)の中に給水管を通すので、あとから管だけ交換できます。継手が途中にないので漏水しにくく、同時に使っても水圧が変動しにくいという利点があります。集合住宅で主流になっています。

このページのまとめ

  • SGP=安いがさびる/白は亜鉛めっき、黒はめっきなし
  • ライニング鋼管はA=屋内・B=露出・D=地中。管端防食継手が必須、溶接不可
  • VP=厚い(給水)/VU=薄い(排水)/HTVP=耐熱(給湯)
  • 樹脂管は熱・紫外線・伸縮・火に弱い
  • 銅管はK>L>Mの順に厚い。かい食に注意
  • 用途で選ぶ——給水・給湯・排水・冷媒でそれぞれ定番がある