給湯設備|60℃以上にする理由と膨張対策【管工事施工管理技士】
この記事でわかること
- 局所式と中央式のちがいがわかります
- 給湯温度と、その理由がわかります
- 膨張タンク・逃し弁がなぜ必要かわかります
- レジオネラ対策がわかります
給湯は「お湯は膨張する」「お湯は菌が増える」という2つの性質から、給水にはない設備が必要になります。そこが出題の中心です。
局所式と中央式

💡 覚え方
「小さい建物は局所、大きい建物は中央」。中央式はまとめて効率よく作れる反面、配管が長いぶん熱を捨ててしまう——この相反する性質が判断の軸になります。
給湯温度
- 中央式の給湯温度 … 60℃以上で送る
- 循環して戻ってきた湯 … 55℃以上を保つ
- 使用温度 … 一般には40℃前後(水と混ぜて使う)
- ピーク時でも55℃以上を確保する
なぜ60℃も必要なのか?
レジオネラ属菌を増やさないためです。この菌は20〜50℃でよく増え、55℃以上では死滅していきます。ぬるいお湯をためておくのがいちばん危険——だから熱く作って、使うときに水で薄めるのです。
レジオネラ対策
- 貯湯タンクは60℃以上に保つ
- 末端の給湯栓でも55℃以上
- 湯を滞留させない … 使わない枝管(デッドレグ)を作らない
- 循環ポンプで、常に湯を回しておく
- 冷却塔・浴槽・加湿器も感染源になりうる
やけどにも注意
- 60℃の湯は、数秒でやけどします。
- 混合水栓・サーモスタット付き水栓で使う所では温度を下げるのが前提です。
- 高齢者施設・保育施設では湯温の上限を設ける配慮が必要です。
膨張──お湯は体積が増える

なぜ膨張対策が必要なのか?
水は温めると体積が増えるからです。10℃の水を60℃にすると、体積は約1.7%増えます。密閉された配管の中では、逃げ場がありません。その結果異常な圧力がかかり、配管や機器が壊れます。
膨張管でよく出る決まり
- 膨張管には、絶対に弁を設けてはいけない … 閉じられたら逃げ場がなくなり、意味がなくなります。
- 高置水槽の水面より高く立ち上げる … ふだんは湯が出ないように。立ち上げ高さは、加熱による膨張と温度差を考えて決める。
- 膨張タンクの接続は、循環ポンプの吸込み側が原則。
💡 覚え方
「膨張管に弁を付けない」は、安全弁の元弁を閉めない(冷凍三種)とまったく同じ思想です。逃がすための道を、人が塞げるようにしてはいけない。
循環方式
- 単管式(給湯管のみ) … 小規模。使うまで冷たい水が出る(湯待ち)
- 複管式(給湯管+返湯管) … 循環ポンプで常に湯を回す。すぐ湯が出る/レジオネラ対策にもなる
- 先上がり先下がり/先下がり先上がり … 空気だまりを作らない配管の勾配
循環ポンプの選び方
循環量は、配管からの熱損失を補う分で決まります。揚程は、循環回路の圧力損失分だけで足ります(高さを持ち上げる必要はありません——閉じたループの中を回すだけだからです)。
循環ポンプでよく出るところ
- 返湯管に設ける(返り側) … ポンプに熱い湯が直接入らないように。
- 揚程は、実揚程を含めない … 循環回路の摩擦損失だけ。
- 連続運転が原則(滞留を防ぐ)。
加熱機器
「号数」とは?
水温プラス25℃の湯を、1分間に何リットル出せるかを表した数字です。16号なら、毎分16Lを25℃上げられる。冬は水が冷たいので、同じ号数でも出せる湯量が減ります。
試験ではこう出る
- ①給湯温度 … 「中央式給湯設備では、給湯温度を45℃程度とする」→誤り。60℃以上。
- ②返湯温度 … 「循環して戻る湯の温度は55℃以上とする」→正しい。
- ③膨張管 … 「膨張管の途中に止水弁を設ける」→誤り。
- ④循環ポンプ … 「循環ポンプは、給湯管(往き側)に設ける」→誤り。返湯管。
- ⑤揚程 … 「循環ポンプの揚程には、実揚程を含める」→誤り。
- ⑥熱損失 … 「中央式は局所式に比べて配管からの熱損失が大きい」→正しい。
よくある質問
Q.「デッドレグ」とは何ですか?
A.湯が流れずに、たまったままになる枝管のことです。使わなくなった水栓につながる配管や、長い枝管の先で起きます。そこだけ温度が下がり、レジオネラが増える温床になります。使わない配管は、根元から切り離すのが正しい対応です。
Q.給湯配管に銅管を使うとき、注意することは?
A.流速を抑えることです。1.2m/s以下が目安で、これを超えるとかい食(エロージョン)で曲がりの外側に穴があきます(第42回)。また異種金属(鉄の金具など)と接触させないことも大切です(第34回)。
Q.貯湯槽の容量は、どう決めるのですか?
A.ピーク時の使用量に耐えられるかで決めます。ホテルなら朝と夜のシャワーの集中、病院なら入浴時間帯のように、建物の使われ方でピークの形が変わります。大きくすれば安心ですが、放熱損失と設置スペースが増えるので、加熱能力とのバランスで決めます。
このページのまとめ
- 局所式=熱損失が小さい/中央式=管理が1か所だが熱損失が大きい
- 給湯は60℃以上、返湯は55℃以上(レジオネラ対策)
- お湯は膨張するので膨張管・膨張タンク・逃し弁が必要
- 膨張管には弁を設けてはいけない
- 循環ポンプは返湯管に設け、揚程は摩擦損失分だけ
- デッドレグ(滞留する枝管)を作らない
- 銅管は流速1.2m/s以下
