第4章 関係法令 | 第19回 | 学習カリキュラムの目次を見る

ボイラーには、つくる・据える・使い続ける・変える・休む・やめるの場面ごとに、検査や届出が決められています。法令の科目では、この手続きの名前と順番が7回すべてで出題されました。第19回では、ボイラーの一生の流れに沿って、どの場面でどの手続きが必要かを整理していきましょう。数字や手続きは、ボイラー及び圧力容器安全規則(ボイラー則)の条文で確かめています。

ボイラー検査証とは?

落成検査に合格したボイラーに、所轄の労働基準監督署長が交付する証明書。これがないボイラーは使えません。

💡 なぜ? ボイラーが法令の基準に合っていることを、検査で確かめた証拠だからです。有効期間があり、期限が来る前に性能検査を受けて更新します。

ボイラーの一生と、必要な手続き

ボイラーが製造されてから設置・使用・変更・休止・廃止されるまでの流れと、各段階の検査や届出を矢印でつないだイメージ図
製造(許可・溶接検査・構造検査)→設置(設置届・落成検査)→使用(検査証・性能検査)→変更・休止・廃止。

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製造(許可・溶接検査・構造検査)→設置(設置届・落成検査)→使用(検査証・性能検査)→変更・休止・廃止。
場面 手続き 相手
つくる 製造許可→(溶接するなら)溶接検査→構造検査 製造許可は都道府県労働局長、検査は登録設計審査等機関
据える 設置届→落成検査→ボイラー検査証の交付 所轄労働基準監督署長
使い続ける 検査証の有効期間が切れる前に性能検査 登録性能検査機関
変える 変更届→変更検査 所轄労働基準監督署長
休む・再開する 休止の報告→再開時に使用再開検査 所轄労働基準監督署長
やめる 検査証を返還 所轄労働基準監督署長

🤔 「都道府県労働局長」「労働基準監督署長」「登録〜機関」は、何が違うのですか。

都道府県労働局は、県ごとに1つある国(厚生労働省)の役所です。労働基準監督署は、その下にあって地域ごとに置かれた、もっと身近な窓口です。「所轄」は、その事業場を受け持っているという意味です。登録〜機関は、国に登録して検査を代わりに行う民間などの団体です。大まかには、製造許可は労働局長、据えたあとの届出と検査の多くは監督署長と分けて覚えましょう。

つくるとき:製造許可・溶接検査・構造検査

ボイラー(小型を除く)を製造する者は、あらかじめ所轄の都道府県労働局長の許可を受けます(ボイラー則第3条)。つくったボイラーは構造検査を受け、合格したものには刻印が押されるしくみです。

溶接でつくるボイラーは、先に溶接検査を受けます。溶接検査に合格した後でなければ、構造検査は受けられません(第5条・第7条)。

なお、すでに許可を受けたものと型式が同じボイラーは、許可型式ボイラーと呼ばれます。これは改めて製造許可を受ける必要がありません(第3条ただし書)。

💡 覚え方

「溶接→構造」の順。溶接の出来ばえは、完成してからでは中が見えないので、先に確かめます。令和7年10月公表では、空欄に「溶接」「構造」を入れる問題が出ました。

据えるとき:設置届と落成検査

ボイラー(移動式を除く)を設置するときは、ボイラー設置届を出します。提出先は所轄労働基準監督署長で、ボイラー明細書などを添えます(第10条)。

第10条には「法第八十八条第一項の規定により」と書かれています。設置届は、労働安全衛生法第88条第1項の計画の届出(計画届)の1つにあたるのです。この回の後半で学ぶ変更届も、同じく計画届の1つです(第41条)。

この計画届には、免除のしくみがあります(労働安全衛生法第88条第1項ただし書)。決められた安全衛生の取組みを行っているとして、労働基準監督署長の認定を受けた事業者は、届出をしなくてよいのです。試験の問題文に出てくる「計画届の免除認定」は、この認定のことです。

設置したら、落成検査を受けます。検査されるのは、ボイラー本体と次の3つです(第14条)。

落成検査で調べる事項(ボイラー則第14条)

①ボイラー室

②ボイラー及びその配管の配置状況

③ボイラーの据付基礎並びに燃焼室及び煙道の構造

設置届に書くこと

設置届には、ボイラー明細書と、次の4つを書いた書面を添えます(第10条)。落成検査で調べる3つに、④燃焼の監視が加わった形です。

設置届に添える書面の内容(ボイラー則第10条) 落成検査で調べるか
①ボイラー室及びその周囲の状況 調べる
②ボイラー及びその配管の配置状況 調べる
③据付基礎並びに燃焼室及び煙道の構造 調べる
④燃焼が正常に行われていることを監視するための措置 (設置届だけ)

移動式ボイラーは扱いが違う

車などに積んで持ち運ぶ移動式ボイラーは、場所が決まっていないため、設置届と落成検査の対象から外されています。移動式は、構造検査(または使用検査)に合格した時点で検査証が交付されます(第5条・第12条)。据えるときは、あらかじめ設置報告書に検査証などを添えて、所轄労働基準監督署長に出します(第11条)。

また移動式ボイラーでは、ボイラー検査証またはその写しを、ボイラー取扱作業主任者に所持させます(第29条第5号)。

落成検査は、構造検査または使用検査に合格した後でなければ受けられません。合格すると、所轄労働基準監督署長からボイラー検査証が交付されます(第15条)。

⚠ 注意

令和5年10月公表では、この条文の空欄に「配管」「燃焼室」「落成」を入れる問題が出ました。「自動制御装置」「通風装置」「使用検査」「性能検査」を入れた選択肢は誤りです。

使い続けるとき:検査証の有効期間と性能検査

決まり 内容(ボイラー則第37条・第38条・第40条)
検査証の有効期間 原則1年
有効期間の更新 登録性能検査機関の性能検査を受ける
更新の期間 性能検査の結果で、1年未満または1年を超え2年以内の期間を定めて更新できる
性能検査の準備 ボイラー(燃焼室を含む)と煙道を冷却し、掃除するなど。検査に立ち会う

検査証をなくしたり傷めたりしたときは、所轄労働基準監督署長に再交付を申請します(第15条)。平成31年4月・令和5年10月・令和7年4月公表では、「再交付を受けなければならない場合」が問われました。正解は「検査証を損傷したとき」です。

事業者が変わったときは「書替え」

設置されたボイラーの事業者に変更があったときは、変更後の事業者が10日以内に手続きをします(第44条)。ボイラー検査証書替申請書に、いま持っているボイラー検査証を添えて、所轄労働基準監督署長に出すのです。そして、検査証の書替えを受けます。

⚠ 注意

「事業者に変更があったときは30日以内に書替え」(令和7年10月公表)は誤り。10日以内です。また、事業者の変更は再交付ではなく書替えなので、「再交付を受けなければならない場合」の答えにはなりません。

⚠ 注意

平成31年4月公表と令和4年10月公表では、第44条の空欄補充が出ました。どちらも正解は10日で、14日・30日は誤りです。平成31年4月公表では、添える書類を「ボイラー明細書」とした選択肢が誤りでした。添えるのはボイラー検査証です。令和4年10月公表では、「書替」の代わりに「再交付」を入れた選択肢が誤りでした。

変えるとき:変更届と変更検査

ボイラーの次の部分や設備を変更しようとするときは、変更届を出し(第41条)、変更したら変更検査を受けます(第42条)。

変更届・変更検査の対象(ボイラー則第41条) 具体的には
本体の主要部分 胴・ドーム・炉筒・火室・鏡板・天井板・管板・管寄せ・ステー
附属設備 過熱器・節炭器(エコノマイザ)
燃焼装置 バーナなど
据付基礎 ボイラーを据える土台

対象に入らないものとして出題されたのは、煙管・空気予熱器・給水装置・水処理装置・主蒸気管などです。令和2年4月・令和5年4月公表では給水ポンプ、令和4年4月公表では水管が、届出の必要のないものの正解でした。水管は、上の表の「本体の主要部分」の一覧に入っていません。

ここでいう附属設備は、過熱器と節炭器に限られます(第7条のかっこ書き)。令和8年4月公表では、自動制御装置も対象外の選択肢として出ました。

💡 覚え方

「本体の骨組み・過熱器と節炭器・燃焼装置・土台」の4つ。空気予熱器は名前が似ていても附属設備の対象(過熱器と節炭器)に入っていない点がひっかけどころです。

🤔 問題文の「ただし、計画届の免除認定を受けていない場合とする。」は、何のためですか。

変更届は、設置届と同じく計画届の1つです(第41条の「法第八十八条第一項の規定により」)。認定を受けた事業者は、届出そのものが免除されます。この断り書きは、免除のない、通常の事業者として考えてくださいという意味です。この断り書きが付くのは、変更届の問題(令和2年4月・令和5年4月公表など)です。廃止したボイラーを再び設置する手順の問題(令和5年10月・令和8年10月公表など)でも同じです。

休むとき・再開するとき

休止の期間が検査証の有効期間を過ぎるときは、所轄労働基準監督署長に報告します。報告するのは有効期間中です(第45条)。

休止したボイラーを再び使うときは、使用再開検査を受けます(第46条)。合格すると、検査証に検査期日と結果が裏書されます(第47条)。

⚠ 注意

「休止中の管理状況が良好なら、使用再開検査の一部を省略できる」(令和7年4月公表)は、法令に定められていません。

やめるとき・もう一度据えるとき・輸入するとき

ボイラーの使用を廃止したときは、遅滞なく、検査証を所轄労働基準監督署長に返還します(第48条)。

次の場合は、使用検査を受けなければなりません(第12条)。

使用検査が必要な場合(ボイラー則第12条)

①ボイラーを輸入した

②構造検査(または使用検査)を受けた後、1年以上設置されなかったボイラーを設置しようとする

③使用を廃止したボイラーを、再び設置し、または使用しようとする

廃止したボイラーを再び設置する手続きの順序

①使用検査(登録設計審査等機関)

②設置届(所轄労働基準監督署長)

③落成検査(所轄労働基準監督署長)

⚠ 注意

輸入したボイラーは構造検査ではなく使用検査です(令和6年4月・令和6年10月公表で「構造検査」が誤り)。「構造検査後1年以上設置されなかったボイラーは使用再開検査」(令和8年10月公表)も誤りで、正しくは使用検査です。使用再開検査は、休止したボイラーを再開するときだけです。

💡 覚え方

「新しく(もう一度)使い始める=使用検査」「休んでいたのを再開=使用再開検査」。廃止・輸入・長く置きっぱなしは、どれも改めて最初から使い始める扱いなので使用検査です。

練習問題:どの検査が必要か

答えと考え方

①海外から輸入したボイラーを据える → 使用検査→設置届→落成検査

②工場で構造検査に合格し、すぐに据えた → 設置届→落成検査

③構造検査のあと1年半倉庫に置いていたボイラーを据える → 使用検査→設置届→落成検査

④節炭器を取り替えた → 変更届→変更検査

⑤空気予熱器を取り替えた → 変更届・変更検査の対象外

⑥有効期間を過ぎて休止していたボイラーをまた使う → 使用再開検査

見分けるコツは、「そのボイラーは今どういう状態か」を先に確かめることです。検査証がない(輸入・未設置が長い・廃止した)なら使用検査から始めます。検査証があって休んでいたなら使用再開検査です。

手続き どこに・誰が
製造許可 所轄都道府県労働局長の許可
溶接検査・構造検査・使用検査 登録設計審査等機関
設置届・落成検査・変更届・変更検査・休止報告・使用再開検査・検査証の返還 所轄労働基準監督署長
性能検査(有効期間の更新) 登録性能検査機関

試験ではこう出る

よくある記述・問い 判断
溶接によるボイラーは、溶接検査に合格した後でなければ構造検査を受けられない 正しい
ボイラー検査証の有効期間は、原則として1年である 正しい
ボイラーを輸入した者は、原則として構造検査を受けなければならない 誤り。使用検査
事業者に変更があったときは、30日以内に書替えを受ける 誤り。10日以内
書替えの申請書には、ボイラー明細書を添える 誤り。ボイラー検査証を添える
給水ポンプ・水管を変更するときは、変更届を出す 誤り。届出の必要はない
「計画届の免除認定を受けていない場合とする」は、通常どおり届出が必要な事業者として考える断り書き 正しい(設置届・変更届は労働安全衛生法第88条第1項の計画届)
ステー・過熱器・燃焼装置を変更したら、変更検査を受ける 正しい
空気予熱器・主蒸気管を変更したら、変更検査を受ける 誤り。対象外
廃止したボイラーを再び設置する順序は、使用検査→設置届→落成検査 正しい
落成検査は、構造検査または使用検査に合格した後でなければ受けられない 正しい
検査証を滅失したときは、再交付を受けなければならない 正しい
使用を廃止したときは、遅滞なく検査証を返還する 正しい
休止したボイラーを再び使うときは、使用検査を受ける 誤り。使用再開検査
性能検査の結果により、有効期間を3年に更新できる 誤り。2年以内

出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(平成31年4月〜令和8年10月公表)。法令は、e-Gov法令検索の原文で確かめました。ボイラー及び圧力容器安全規則は、第3条・第5条・第7条・第10条〜第12条・第14条・第15条です。同じ規則の第29条・第37条〜第48条も確かめています。労働安全衛生法第40条・第88条も確かめ、ゼロパスが要点を整理しました。

よくある質問

Q. 検査証の有効期間が切れたまま使うと、どうなりますか。

A. 有効なボイラー検査証を受けていないボイラーは、使用できません(労働安全衛生法第40条)。そのため、期限が来る前に性能検査を受けて更新しておく必要があります。

Q. 変更届を出せば、必ず変更検査を受けるのですか。

A. 原則は受けます。ただし、所轄労働基準監督署長が検査の必要がないと認めたボイラーは除かれます(第42条)。試験では、変更届・変更検査の対象になる部分かどうかがよく問われます。

Q. 検査証をなくしたときと、会社が変わったときは、同じ手続きですか。

A. 違います。なくした・傷めたときは再交付、事業者が変わったときは書替えです。書替えは、変更後の事業者が10日以内に、ボイラー検査証を添えて申請します(第15条・第44条)。

Q. 性能検査のとき、ボイラーはどうしておけばよいですか。

A. ボイラー(燃焼室を含む)と煙道を冷やして掃除し、検査の準備をします(第40条)。検査のときには立ち会うことも決められています。

まとめ

・つくる=製造許可(都道府県労働局長)→溶接検査→構造検査

・据える=設置届→落成検査(ボイラー室・配管配置・据付基礎と燃焼室・煙道)→検査証

・検査証は原則1年。更新は性能検査(1年未満または1年超2年以内も)。損傷・滅失は再交付、事業者変更は10日以内に書替え

・変更検査の対象=本体の主要部分・過熱器と節炭器・燃焼装置・据付基礎(空気予熱器・主蒸気管・給水ポンプ・水管などは対象外)

・書替えはボイラー検査証を添えて申請(ボイラー明細書ではない)

・設置届・変更届は労働安全衛生法第88条第1項の計画届。「計画届の免除認定を受けていない場合」=通常どおり届出が必要な事業者として考える

・輸入・1年以上未設置・廃止後の再設置=使用検査、休止からの再開=使用再開検査、廃止=検査証を返還