第4章 関係法令 | 第21回 | 学習カリキュラムの目次を見る

講座の最終回は、ボイラーに何を、いくつ、どこに付けるかの決まりです。中身は、ボイラー構造規格という国の基準(厚生労働省告示)にまとめられています。法令の科目では、安全弁・圧力計・水面計・鋳鉄製ボイラー・貫流ボイラーの附属品から、毎回2〜3問の出題です。第6回・第7回で学んだ附属品のしくみを思い出しながら読むと、数字の意味がつかみやすくなります。

ボイラー構造規格とは?

ボイラーの材料・構造・附属品の基準を定めた、厚生労働省の告示(平成15年厚生労働省告示第197号)。

💡 なぜ? 告示は、法律や規則の細かい中身を、国が公に示すための決まりです。試験問題では「法令に定められているもの」として、ボイラー則と同じように出題されます。

安全弁:基本は2個以上

蒸気ボイラーの胴の上に安全弁2個、圧力計、ガラス水面計2個、給水管の給水弁と逆止め弁が付いている様子を示したイメージ図
安全弁2個以上、ガラス水面計2個以上、給水管には給水弁と逆止め弁。

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安全弁2個以上、ガラス水面計2個以上、給水管には給水弁と逆止め弁。
決まり(ボイラー構造規格) 内容
個数(第62条) 蒸気ボイラーには2個以上。伝熱面積50㎡以下なら1個でよい
取付け(第62条) ボイラー本体の容易に検査できる位置に直接取り付け、弁軸を鉛直にする
引火性蒸気(第62条) 安全弁を密閉式にするか、排気をボイラー室の外の安全な場所へ導く
過熱器(第63条) 過熱器の出口付近に、過熱器の温度を設計温度以下に保つ安全弁
貫流ボイラー(第63条) 最大蒸発量以上の吹出し量の安全弁を、過熱器の出口付近に取り付けてもよい

⚠ 注意

「伝熱面積100㎡以下なら1個」(令和7年4月・令和8年10月公表)は誤り。50㎡以下です。過熱器の安全弁は「圧力を設計圧力(常用圧力)以下に」が誤りで、温度を設計温度以下に保つものです。貫流ボイラーの安全弁を「過熱器の入口付近」とする選択肢(令和7年10月・令和8年4月公表)も誤りで、出口付近です。

💡 覚え方

「安全弁は50で1個、ガラス水面計は2個」。過熱器の安全弁は出口・温度の2語をセットに。第13回で学んだとおり、過熱器の安全弁は胴の安全弁より先に吹くよう調整します。

温水ボイラー:120℃が分かれ目

水の温度 備えるもの(構造規格第65条)
120℃以下 逃がし弁。ただし、容易に検査できる位置に逃がし管を備えれば不要
120℃を超える 安全弁

第6回で学んだとおり、逃がし管はボイラーと開放形の膨張タンクをつなぐ管です。温まってふくらんだ水がタンクへ逃げるので、圧力が上がりすぎません。逃がし弁は、圧力が最高使用圧力に達すると直ちに開いて水を逃がす弁です(第65条)。120℃を超える高い温度では、より確実に圧力を保つ安全弁が求められています。

令和5年10月・令和6年10月公表では、「水の温度が120℃を超える鋼製温水ボイラーには安全弁」の空欄補充が出ました。100℃や130℃、逃がし弁・逃がし管・返り管を入れた選択肢は誤りです。

圧力計・水高計・温度計

決まり 内容
圧力計の読み取り(第66条) 指示値を確実に確認できる圧力計にする
圧力計の目盛り(第66条) 最大指示値は最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下
圧力計の付け方(第66条) ①蒸気が直接入らないように ②コックや弁の開閉状況が容易に分かる ③連絡管は容易に詰まらない構造
停電のとき(第66条) 停電の場合でも有効に機能するものにする
温水ボイラー(第67条) 本体または温水の出口付近に水高計(圧力計で代えてもよい)
温度計(第68条) 蒸気ボイラーは過熱器の出口付近の蒸気温度、温水ボイラーは出口付近の温水温度

指示値とは、圧力計が示している圧力の値(針の位置や、表示された数字)のことです。

令和4年10月・令和8年4月公表には、「圧力計の目盛盤の径は、目盛りを確実に確認できるもの」という文が出ました。どちらも法令に定められているものとして扱われています。目盛盤は目盛りが書かれた盤、径はその直径です。令和8年4月公表の文は、語尾だけ違います(「〜ものとすること」)。

今の第66条に「目盛盤の径」という言葉はなく、いちばん近いのは「指示値を確実に確認できる圧力計」です。試験では、この文を正しい記述として覚えておきましょう。

⚠ 注意

「常用圧力の1.5倍以上3倍以下」(令和8年4月公表)は誤り。最高使用圧力の1.5〜3倍です。「1.2倍以上2倍以下」(令和6年10月公表の空欄補充)や「1.5倍以上2倍以下」(令和4年10月公表)も誤りでした。「蒸気側連絡管に直接取り付ける」(令和8年4月公表)も誤りで、蒸気が直接入らないようにします。

💡 覚え方

目盛りは「いちご(1.5)からさん(3)」。管理で目もりに印を付けるのも最高使用圧力(第20回)なので、圧力計の数字の基準は「最高使用圧力」と覚えましょう。

水面測定装置:ガラス水面計は2個以上

決まり 内容
ガラス水面計の数(第69条) 蒸気ボイラーには2個以上(多管式貫流ボイラーは1個以上)。貫流ボイラー(多管式を除く)は対象外
1個を別の装置にできる場合(第69条) 胴の内径750mm以下、または遠隔指示水面測定装置を2個付けたボイラー
取付け位置(第69条) ガラス管の最下部が安全低水面を指す位置
水柱管(第70条) 最高使用圧力1.6MPaを超えるボイラーでは、鋳鉄製にしてはならない
水側連絡管(第71条) 途中に中高・中低のない構造。取付け口は、水面計で見える最低水位より上であってはならない
蒸気側連絡管(第71条) 途中にドレンのたまる部分がない構造。取付け口は、水面計で見える最高水位より下であってはならない
験水コック(第72条) ガラス水面計の範囲に3個以上(内径750mm以下かつ伝熱面積10㎡未満は2個)。最下位は安全低水面

安全低水面とは、ボイラーを使っている間、これより下げてはいけない最低の水面のことです(第69条)。ガラス水面計の一番下をここに合わせるので、水が見えなくなったら危険とすぐ分かります。

🤔 連絡管の「最低水位より上であってはならない」は、どういう意味ですか。

水側の連絡管の口が、水面計で見える最低水位より高い所にあるとします。すると水位が下がったとき、口が先に水面から出てしまい、水面計に正しい水位が届きません。蒸気側はその逆で、口が最高水位より下だと、水位が上がったときに口が水に沈んでしまいます。令和8年10月公表では、この条文の空欄に「水」「最低」「上」を入れる問題が出ました。

給水装置・吹出し・自動制御

決まり 内容
給水装置(第73条) 最大蒸発量以上を給水できるもの
結合して使う蒸気ボイラー(第74条) 近接した2以上の蒸気ボイラーを結合して使うときは、1つの蒸気ボイラーとみなして第73条を当てはめる
給水弁と逆止め弁(第75条) 給水管のボイラーに近い位置に給水弁と逆止め弁。貫流ボイラーと最高使用圧力0.1MPa未満は給水弁だけでよい
給水内管(第76条) 取り外しができる構造
過熱器(第77条) ドレン抜きを備える
吹出し管(第78条) 蒸気ボイラーに吹出し弁・吹出しコック付きの吹出し管。貫流ボイラー(多管式を除く)は対象外
自動給水調整装置(第84条) 蒸気ボイラーごとに設ける
低水位燃料遮断装置(第84条第2項) 自動給水調整装置のある蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く)に。起動時・運転時に水位が安全低水面以下で燃料を自動遮断
貫流ボイラー(第84条) 起動時・運転時にボイラー水が不足したら燃料を自動遮断する装置(または代わりの安全装置)
燃焼安全装置(第85条) 異常消火や燃焼用空気の異常な供給停止を検出し、直ちに燃料を遮断

燃焼安全装置のくわしい決まり

燃焼安全装置には、電気が止まったときの決まりもあります(第85条)。動かすための電源が切れたら、直ちに燃料を遮断します。そして、電源が戻っても自動では遮断が解除されないものでなければなりません。

自動で点火するボイラーでは、点火できないときや火炎を検出できないときに燃料を遮断します。そのあとは、人が手で操作しない限り再起動できないしくみが必要です。第8回で学んだ火炎検出器や、第9回のプレパージ(点火前の換気)と、つながっている決まりです。

⚠ 注意

令和7年10月・令和8年4月公表では、貫流ボイラーの附属品が出ました。正しい記述は、過熱器のドレン抜き・給水弁だけでよい・燃料の自動遮断・吹出し管は設けなくてよい・給水内管は取外し可です。誤りは、安全弁を「過熱器の入口付近」とした選択肢でした。

燃料を自動で止める装置:第84条の第2項と第3項

条文 対象 燃料を自動で遮断するとき
第84条第2項 自動給水調整装置を有する蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く) 起動時・運転時に水位が安全低水面以下のとき(低水位燃料遮断装置)
第84条第3項 貫流ボイラー 起動時・運転時にボイラー水が不足したとき(これに代わる安全装置でもよい)

令和5年10月・令和6年4月公表では、「ボイラー水が不足」したら燃料を遮断する装置を設けるボイラーが問われました。正解はどちらも貫流ボイラーです。

なお、燃料の性質などで緊急遮断ができないボイラーもあります。その場合は、低水位警報装置で低水位燃料遮断装置に代えることができます(第84条第4項)。

⚠ 注意

「自動給水調整装置は、2基の蒸気ボイラーに共通のものとすることができる」(令和6年10月公表)は誤り。蒸気ボイラーごとに設けます(第84条第1項)。

鋳鉄製ボイラーの附属品

決まり(構造規格 第2編) 内容
温水ボイラーの温度計(第96条第3項が第68条第2項を準用) 温水ボイラーには、出口付近の温水温度を示す温度計を付ける
水高計(第96条第2項) 本体または温水の出口付近に水高計(圧力計で代えてもよい)
逃がし弁・逃がし管(第95条) 暖房用・給湯用の温水ボイラーには逃がし弁。条件に合う逃がし管があれば不要
温水温度自動制御装置(第98条) 圧力0.3MPaを超える温水ボイラーには、温水温度が120℃を超えないようにする装置
水道などからの給水(第100条) 給水が水道など圧力のある水源から来るときは、その管を返り管に取り付ける
鋳鉄製にしてはならないもの(第88条) 圧力0.1MPaを超えて使う蒸気ボイラー/圧力0.5MPa(破壊試験で最高使用圧力を決める場合は1MPa)を超える温水ボイラー/温水温度120℃を超える温水ボイラー

120℃を超える温水ボイラーは、鋳鉄製にできません(第88条第3号)。そのため、120℃を超える温水ボイラーの安全弁の決まり(第65条第2項)は鋼製の話になります。令和6年10月公表の空欄補充で「鋼製」が正解だったのは、このためです。

⚠ 注意

「鋳鉄製温水ボイラーに付けなければならない附属品」は、3回出題されました。正解はどれも温度計です(令和6年4月・令和7年4月・令和7年10月公表)。ガラス水面計・験水コック・水柱管は蒸気ボイラーの水位を見る道具です。吹出しコックも、規格で求めているのは蒸気ボイラーです。「返り管に取り付けなければならない」ボイラーは、毎回鋳鉄製ボイラーが正解です。

令和8年4月公表では、選択肢に熱媒ボイラーも並びました。熱媒ボイラーは、水の代わりに沸点の高い油(熱媒)を温めて、常圧で高い温度の熱を送るボイラーです(三浦工業の製品資料)。鋳鉄製ボイラーではないので、第100条の対象にはなりません。

💡 覚え方

「鋳鉄は返り管」。第3回で学んだとおり、暖房用の鋳鉄製ボイラーは、使い終わった水が返り管を通って戻ってきます。給水管もボイラーに直接ではなく返り管に付ける、という第3回の内容と同じ話です。

数をまとめて確認

附属品 数・数字
蒸気ボイラーの安全弁 2個以上(伝熱面積50㎡以下は1個)
ガラス水面計 2個以上(多管式貫流は1個以上)。条件により1個を別の装置に
験水コック(水面計の代わり) 3個以上(内径750mm以下かつ10㎡未満は2個)
圧力計の目盛り 最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下
温水ボイラーの分かれ目 120℃(以下=逃がし弁・逃がし管、超=安全弁)
鋳鉄製の水柱管が使えない 最高使用圧力1.6MPaを超えるボイラー
給水弁だけでよい 貫流ボイラーと最高使用圧力0.1MPa未満

練習問題:その附属品は必要か

答えと考え方

①伝熱面積40㎡の炉筒煙管ボイラーの安全弁 → 50㎡以下なので1個でよい

②最高使用圧力1MPaのボイラーの圧力計 → 目盛りは1.5〜3MPaのもの

③水の温度が130℃の鋼製温水ボイラー → 安全弁が必要

④最高使用圧力2MPaのボイラーに鋳鉄製の水柱管 → 1.6MPaを超えるので使えない

⑤貫流ボイラーの給水管 → 給水弁だけでよい(逆止め弁は省略できる)

⑥鋳鉄製温水ボイラー → 温度計と水高計(または圧力計)を付ける

試験ではこう出る

よくある記述・問い 判断
伝熱面積50㎡を超える蒸気ボイラーには、安全弁を2個以上 正しい
安全弁は本体の検査しやすい位置に直接付け、弁軸を鉛直に 正しい
水の温度が120℃を超える温水ボイラーには安全弁 正しい
圧力計の最大指示値は、最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下 正しい
圧力計の目盛盤の径は、目盛りを確実に確認できるものとする 正しい(公表問題で、法令に定められているものとされた)
圧力計の目盛盤の最大指度は、最高使用圧力の1.5倍以上2倍以下 誤り。3倍以下
鋳鉄製温水ボイラーには、ガラス水面計を付けなければならない 誤り。温度計
水道から給水するとき、返り管に取り付けるのは貫流ボイラー 誤り。鋳鉄製ボイラー
過熱器には、出口付近に過熱器の温度を設計温度以下に保つ安全弁 正しい
引火性蒸気を出すボイラーの安全弁は、密閉式か排気を室外の安全な場所へ 正しい

出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和4年10月〜令和8年10月公表)。法令は、ボイラー構造規格第62条〜第85条・第88条・第95条〜第100条(安全衛生情報センター掲載)で確かめました。その原文をもとに、ゼロパスが要点を整理しました。

よくある質問

Q. ボイラー則と構造規格は、どう読み分ければよいですか。

A. ボイラー則は、ボイラーを置く・使う・管理する人の義務(検査・届出・ボイラー室・管理)が中心です。構造規格は、ボイラーそのものに何を備えるかの基準です。試験の問題文には、どちらの決まりかは書かれていません。管理・設置・検査はボイラー則、附属品の個数や取付け位置は構造規格です。話題で分けて覚えると、頭の中を整理しやすくなります。

Q. 21回の講座を終えたら、次は何をすればよいですか。

A. 公表問題を1回分ずつ解いてみましょう。ゼロパスでは、公表問題の解説記事を順に公開していきます。まちがえた問題は、講座のどの回の内容かを確かめて読み返すのが近道です。

まとめ

・安全弁は2個以上(50㎡以下は1個)、本体に直接・弁軸鉛直。過熱器の安全弁は出口付近・設計温度以下

・温水ボイラーは120℃以下=逃がし弁(逃がし管)、120℃超=安全弁

・圧力計の目盛りは最高使用圧力の1.5〜3倍。蒸気が直接入らないように付ける。指示値を確実に確認できるものにする(公表問題では「目盛盤の径は、目盛りを確実に確認できるもの」が正しい記述)

・ガラス水面計は2個以上、最下部は安全低水面。給水管には給水弁と逆止め弁(貫流は給水弁だけでよい)

・鋳鉄製温水ボイラーは温度計、水道からの給水は返り管へ

ここが最後です。おつかれさまでした。

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