第3章 燃料及び燃焼 | 第15回 | 学習カリキュラムの目次を見る

第15回は、燃料がどう燃えるかと、燃やすための空気の流れ(通風)です。通風は令和5年10月〜令和8年10月公表の7回すべての問30で出題された、燃料と燃焼の科目の定番テーマです。空気比・一次空気と二次空気・燃焼室熱負荷・熱損失もあわせて、言葉の意味を1つずつ押さえていきましょう。

空気比とは?

実際に送り込んだ空気の量(実際空気量)が、燃料を燃やすのに理論上ちょうど必要な空気の量(理論空気量)の何倍かを表す数。空気比=実際空気量÷理論空気量です。

💡 なぜ? 理論空気量ぴったりでは、燃料と空気が完全には混ざりきらず燃え残りが出ます。そこで実際には少し多めの空気を送るので、その多さを表す数が必要なのです。

燃焼の基礎:3つの要素と空気の量

燃料・空気・温度の3つがそろって炎が燃え、ファンで空気が押し込まれ煙突から燃焼ガスが出ていく通風の様子を表したイメージ図
燃焼には燃料・空気・温度の3つが必要です。空気と燃焼ガスの流れが通風です。

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燃焼には燃料・空気・温度の3つが必要です。空気と燃焼ガスの流れが通風です。

燃焼には、燃料・空気(酸素)・温度の3つの要素が必要です。どれか1つでも欠けると燃えません。

燃焼の基礎(試験で「正しい」とされたもの)

①燃焼室の燃焼温度は、特別な場合を除き高温に保つのが望ましい

②着火しやすく燃える速さが速い燃料は、狭い燃焼室でも完全燃焼させられる

③燃焼ガスの成分の割合は、燃料の成分・空気比・燃焼のしかたで変わる

④燃焼ガスには、燃料の水素や水分からできたH2O(水蒸気)が含まれる

⑤燃焼温度は、燃料の種類・燃焼用空気の温度・燃焼効率・空気比などの条件によって変わる

⑤は令和4年4月公表で正しい記述でした。例えば、燃焼用空気を空気予熱器で温めると、燃焼温度は上がります(第7回・第17回)。

②の反対の「燃焼速度が遅いと、ゆっくり燃えるので狭い燃焼室でも良い」(令和5年10月公表)は誤りです。狭い燃焼室でも燃え切るのは、燃焼速度が速い燃料のほうです。

⚠ 注意

空気比は分数の向きが入れ替えられます。「実際空気量に対する理論空気量を空気比という」(令和7年4月・令和7年10月公表)は誤り。実際÷理論です。また「一般の燃焼では、実際空気量は理論空気量より少ない」(令和8年4月公表)も誤りで、多いのが一般的です。

空気比の例

理論空気量が10m³の燃料に、実際は12m³の空気を送った

空気比=12÷10=1.2(理論より2割多い)

記号で書くと、理論空気量をA₀、実際空気量をA、空気比をmとしてA=mA₀です。令和5年10月公表で、正しい関係とされた式です。

燃料の種類で、空気比の大きさが違う

空気比の大きさは、燃料の種類によって違います。一般に、微粉炭(石炭を粉にした固体燃料)は、気体燃料より空気比が大きいのです。気体燃料は、液体燃料と同じか少し小さいくらいです。二級の試験で問われるのは、数字ではなくどちらが大きいかの向きです。

⚠ 注意

「微粉炭を燃焼させる場合の空気比は、一般に気体燃料を燃焼させる場合より小さい」(平成31年4月公表)は誤り。微粉炭のほうが大きい側です。

💡 覚え方

空気比は「実際は理論の何倍か」。一般に1より少し大きい数になります。1より小さければ空気が足りず不完全燃焼、大きすぎれば余った空気が熱を運び去る、と両方の困りごとをセットで覚えましょう。

🤔 なぜ燃焼温度は高く保つのが望ましいのですか。

温度が高いほど、燃料がすばやく、燃え残りなく燃えるからです。温度が下がると燃焼が不安定になり、すすや不完全燃焼が増えます。ただし温度が高すぎるとNOx(窒素酸化物)が増えるので、「特別な場合を除き」とただし書きがついています(第17回)。

一次空気と二次空気

燃焼用の空気は、役割の違う2つに分けて送り込まれます。

燃焼のしかた 一次空気 二次空気
油・ガスだき 噴射された燃料の周りに送り、初期燃焼を安定させる 旋回や交差流で燃料と空気をよく混ぜ、燃焼を完結させる
微粉炭バーナ 微粉炭と予混合してバーナへ送る 燃焼を完結させる空気
火格子燃焼 上向き通風では火格子の下から送る。燃焼用空気の大部分を占める 燃料層の上の可燃性ガスの炎の中へ送る

火格子とは、石炭などの固体燃料を載せて燃やす格子(すき間のある台)のことです。火格子燃焼では、一次空気と二次空気のうち一次空気が大部分を占めます(令和3年4月公表で正しい記述)。

⚠ 注意

「微粉炭バーナ燃焼の二次空気は、微粉炭と予混合して送る」(令和7年10月公表)は誤り。予混合するのは一次空気です。一次=最初に燃料と出会う空気、二次=あとから仕上げる空気と考えれば迷いません。「火格子燃焼における一次空気と二次空気の割合は、二次空気が大部分を占める」(令和4年4月公表)も誤り。一次空気が大部分です。

燃焼室熱負荷と、燃焼室に求められること

燃焼室熱負荷とは?

単位時間あたりに、燃焼室の単位容積(1m³)あたりで発生する熱量。単位はkW/m³。

💡 なぜ? 同じ熱をより小さな燃焼室で出せれば、ボイラーを小さくつくれるからです。燃焼室を設計するときの目安になる数字です。

油・ガスバーナの燃焼室熱負荷は、水管ボイラーで200〜1200kW/m³が通常です。令和6年10月・令和8年10月公表の問題で出ました。通常の炉筒煙管ボイラーでは400〜1200kW/m³とされました(令和8年4月公表)。

⚠ 注意

「単位面積あたり」「吸収熱量」「放射伝熱量」と入れ替えた選択肢が並びます。正しくは単位容積あたりの発生熱量です。

油だきボイラーの燃焼室に求められること(試験で「正しい」とされたもの)

①耐火材は、長く使っても焼損やスラグの溶着が起きにくいこと

②炉壁は、空気や燃焼ガスの漏れ込み・漏れ出しがなく、放射熱の損失が少ない構造であること

③燃料と燃焼用空気との混合が有効に、かつ、急速に行われる構造であること

④バーナタイルを設けるなど、着火を容易にする構造であること

①②は令和6年4月公表、②③④は平成31年4月公表、③④は令和4年10月公表で出ました。バーナタイルとは、バーナのまわりに付ける耐火材の筒のことです(第16回)。

誤りとして出るのは、次の2つです。1つは「炎が伝熱面や炉壁を直射して伝熱効果を高める」(令和4年10月・令和6年4月公表)。もう1つは「燃焼ガスが炉内にとどまる時間が、燃焼が終わる時間より短くなる大きさ」です。こちらは平成31年4月・令和6年4月公表で出ました。正しくは、直射しない構造、炉内にとどまる時間が長くなる大きさです。炎が直接当たると局部的に過熱し、滞留時間が短いと燃え切らないまま出ていってしまいます。

🤔 燃焼室熱負荷が大きいと、何がよくて何が困るのですか。

熱負荷が大きいほど、小さな燃焼室でたくさんの熱を出せるので、ボイラーをコンパクトにできるのが利点です。一方で、燃料が燃え切る前に燃焼室を出てしまうおそれが出てきます。燃えやすい油やガスだからこそ、狭い燃焼室でも完全燃焼させられる、という関係です。

ボイラーの熱損失

燃料の熱のうち、蒸気にならずに逃げてしまう熱が熱損失です。

熱損失の種類 どんな損失か
排ガス熱による損失 煙突から出ていく排ガスが持ち去る熱。一般にいちばん大きい
不完全燃焼ガスによる損失 燃え残ったCOなどのガスが持つ熱
燃えがら中の未燃分による損失 燃えがらに残った燃え残り
ボイラー周壁からの放散熱 ボイラーの外側から周りへ逃げる熱
各部からのドレンによる損失 抜き出したドレン(凝縮水)が持ち出す熱

令和8年4月公表では、この5つから一般に最も大きい熱損失を選ぶ問題が出ました。正解は排ガス熱による損失です。

⚠ 注意

「熱損失を少なくするには、空気比を大きくする必要がある」(令和7年4月公表)は誤り。空気が多すぎると、余った空気が温められて煙突から出ていくので、排ガス熱の損失が増えるのです。

周壁からの放散熱を小さくするには、熱伝導率が小さく、一般に密度の小さい保温材を使います。令和7年4月公表で、正しいとされた記述です。

熱損失を減らす基本は3つです。空気比を適正に保って排ガスの量と温度を抑えること。完全燃焼させて燃え残りを出さないこと。そして保温で放散熱を減らすことです。

通風:空気と燃焼ガスの流れ

炉や煙道を通って起きる空気と燃焼ガスの流れを通風といい、その流れを起こす圧力の差が通風力です。

通風がうまくいかないと、燃焼に必要な空気が足りなくなるか、燃焼ガスが炉にこもってしまいます。どちらも不完全燃焼や逆火につながるので、通風はボイラーの呼吸のようなものです。

自然通風:煙突の力

煙突の中の燃焼ガスは熱くて軽いので、浮き上がる力が生まれます。これが自然通風です。

自然通風力の決まり方

自然通風力 =(外気の密度 − 煙突内ガスの密度)× 煙突の高さ

→ ガスが熱いほど(密度の差が大きいほど)、煙突が高いほど強くなる

⚠ 注意

「煙突は高いほど抵抗が大きくなるので、低いほど良い」(令和7年4月公表)は誤り。高いほど自然通風力は強くなります。

ただし自然通風だけでは力が弱く、大きなボイラーや、通風の抵抗が大きいボイラーでは足りません。そこでファンを使って空気やガスを動かす人工通風が、多くのボイラーで使われています。

人工通風:押込・誘引・平衡

方式 しくみ 特徴
押込通風 ファンで燃焼用空気を、大気圧より高い圧力の炉内へ押し込む 常温の空気を扱うので動力が小さい。空気と燃料の霧がよく混ざり燃焼効率が高い。油だきボイラーに広く使われる
誘引通風 煙道や煙突の入口のファンで、燃焼ガスを吸い出す 高温で体積の大きいガスを扱うので大型のファンが必要。炉内が大気圧より低いのでガスが外へ漏れにくい。ファンの腐食や摩耗が起こりやすい
平衡通風 押込ファンと誘引ファンを併用し、炉内圧を大気圧よりわずかに低く調節 燃焼調節が容易。通風抵抗の大きいボイラーでも強い通風力。動力は押込より大きく、誘引より小さい

誘引ファンが吸い込む燃焼ガスには、すす・ダスト・腐食性物質を含むことが多く、しかもガスは高温です。そのため誘引通風では、ファンの腐食や摩耗が起こりやすいのです(令和3年10月・令和5年4月公表で正しい記述)。腐食は金属がさびて傷むこと、摩耗はこすれてすり減ることです。

⚠ 注意

通風の問題は入れ替えの宝庫です。「誘引通風は、炉内の気密が不十分だとガスが外へ漏れる」(令和6年4月・令和7年4月公表)は誤り。吸い出す側なので漏れにくいのです。「平衡通風の動力は押込通風より小さい」(令和6年10月公表)、「誘引通風より大きい」(令和5年10月公表)も誤りです。

「誘引通風は、平衡通風と押込通風を併用した構造」(令和8年4月公表)も誤り。2つのファンを併用するのは平衡通風です。「平衡通風は、炉内圧を大気圧よりわずかに高く調節する」(令和3年10月公表)も誤り。わずかに低くです。

💡 覚え方

押込=押して入れる(炉内は高圧→漏れやすい)、誘引=引っぱって出す(炉内は低圧→漏れにくい)。動力は冷たい空気を扱う押込が最小、熱く大きなガスを扱う誘引が最大、両方使う平衡はそのあいだです。

方式 炉の中の圧力 使うファン
押込通風 大気圧より高い 押込ファン(入口側)
誘引通風 大気圧より低い 誘引ファン(出口側)
平衡通風 大気圧よりわずかに低い 押込ファン+誘引ファン

炉の中の圧力が大気より高いか低いかを押さえると、「ガスが漏れやすいか」「どちらのファンか」がまとめて判断できます。

人工通風に使うファン

ファン 形 特徴
多翼形 羽根車の外周近くに、幅が長く前向きの羽根を多数 小形・軽量だが効率が低く、大きな動力が必要
後向き形 主板と側板の間に8〜24枚の後向きの羽根 効率が高く、高温・高圧・大容量のボイラーに適する
ラジアル形 中央の回転軸から放射状に6〜12枚の羽根 形が簡単で羽根の取替えが容易。強度が強く、摩耗や腐食に強い

⚠ 注意

「多翼形は大形で重いが効率が高い」(令和7年10月公表)は誤り。「後向き形は効率が低く大容量には使わない」(令和8年10月公表)も誤りです。多翼形=小さく軽いが効率は低い、後向き形=効率が高く大容量向きです。

練習問題:燃焼と通風

答えと考え方

①理論空気量8m³の燃料に10m³の空気を送った。空気比は? → 10÷8=1.25

②「空気比を大きくするほど、排ガスによる熱損失は小さくなる」 → 誤り(余った空気が熱を運び去り大きくなる)

③「押込通風は、常温の空気を扱うので所要動力が小さい」 → 正しい

④「火格子燃焼の一次空気は、上向き通風なら火格子の上から送る」 → 誤り(下から)

⑤「ラジアル形ファンは、強度が強く摩耗や腐食にも強い」 → 正しい

試験ではこう出る

よくある記述 判断
実際空気量に対する理論空気量を空気比という 誤り。実際÷理論
油・ガスだきの一次空気は、燃料の周辺に供給し初期燃焼を安定させる 正しい
燃焼室熱負荷は、燃焼室の単位容積あたりの発生熱量である 正しい
一般に、いちばん大きな熱損失は排ガス熱による損失である 正しい
煙突の自然通風力は、煙突が高いほど強くなる 正しい
誘引通風は、燃焼ガスの外部への漏れ出しがほとんどない 正しい
平衡通風の動力は、押込通風より小さい 誤り。大きい
後向き形ファンは、高温・高圧・大容量のボイラーに適する 正しい
微粉炭の空気比は、一般に気体燃料より小さい 誤り。大きい
燃焼温度は、燃料の種類、燃焼用空気の温度、燃焼効率、空気比などで変わる 正しい
火格子燃焼では、二次空気が大部分を占める 誤り。一次空気
燃焼室は、燃料と空気の混合が有効かつ急速に行われる構造とする 正しい
燃焼室は、バーナタイルを設けるなど、着火を容易にする構造とする 正しい
誘引通風は、ファンの腐食や摩耗が起こりやすい 正しい

出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(平成31年4月〜令和8年10月公表)。これをもとに、ゼロパスが要点を整理しました。

よくある質問

Q. 空気比は、どのくらいがよいのですか。

A. 燃料や燃やし方によって違いますが、完全燃焼できる範囲で、できるだけ小さくするのが基本です。小さすぎると不完全燃焼、大きすぎると排ガスの熱損失が増えるので、排ガスのO2やCOを測りながら調整します(第9回)。

Q. 押込通風で、炉の中のガスが外に漏れないのですか。

A. 押込通風は炉内が大気圧より高いので、炉の気密が悪いとガスが漏れ出すおそれがあります。第9回の加圧燃焼で「燃焼ガスの漏れを防ぐ」とあったのは、このためです。

Q. ファンの3種類は、どう使い分けられているのですか。

A. 効率を重視する大容量のボイラーには後向き形が向いています。小さく軽くしたいときは多翼形、摩耗や腐食に強さが必要なところにはラジアル形、というのが大まかな考え方です。試験では、形と特徴の組み合わせが問われます。

Q. なぜ排ガスの熱損失が、いちばん大きいのですか。

A. 燃焼ガスは、ボイラーで熱を渡したあともまだかなり熱いまま、しかも大量に煙突から出ていくからです。エコノマイザや空気予熱器(第7回)は、このいちばん大きな損失を少しでも取り戻すための装置です。

まとめ

・燃焼の3要素=燃料・空気・温度。空気比=実際空気量÷理論空気量(一般に1より大きい)

・空気比は燃料で違い、微粉炭は気体燃料より大きい。気体燃料は液体燃料と同じか少し小さい。燃焼温度は燃料・空気の温度・燃焼効率・空気比などで変わる

・一次空気=燃料の周りで初期燃焼を安定、二次空気=混ぜて燃焼を完結。火格子燃焼は一次空気が大部分

・燃焼室=混合が有効・急速、バーナタイルで着火を容易、炎を直射させない、滞留時間を長く

・燃焼室熱負荷=単位容積あたりの発生熱量(水管ボイラーの油・ガスで200〜1200kW/m³)。いちばん大きい熱損失は排ガス熱

・自然通風力=(外気密度−ガス密度)×高さ。押込=動力小・高効率、誘引=漏れにくい・大型ファン・ファンが腐食や摩耗しやすい、平衡=その中間

・多翼形=小形軽量・低効率、後向き形=高効率・大容量、ラジアル形=丈夫で羽根交換が容易