【二級ボイラー技士】法令②|検査と届出(製造から廃止まで)|知識ゼロから【第19回】
ボイラーには、つくる・据える・使い続ける・変える・休む・やめるの場面ごとに、検査や届出が決められています。法令の科目では、この手続きの名前と順番が7回すべてで出題されました。第19回では、ボイラーの一生の流れに沿って、どの場面でどの手続きが必要かを整理していきましょう。数字や手続きは、ボイラー及び圧力容器安全規則(ボイラー則)の条文で確かめています。
ボイラー検査証とは?
落成検査に合格したボイラーに、所轄の労働基準監督署長が交付する証明書。これがないボイラーは使えません。
💡 なぜ? ボイラーが法令の基準に合っていることを、検査で確かめた証拠だからです。有効期間があり、期限が来る前に性能検査を受けて更新します。
ボイラーの一生と、必要な手続き

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| 場面 | 手続き | 相手 |
|---|---|---|
| つくる | 製造許可→(溶接するなら)溶接検査→構造検査 | 製造許可は都道府県労働局長、検査は登録設計審査等機関 |
| 据える | 設置届→落成検査→ボイラー検査証の交付 | 所轄労働基準監督署長 |
| 使い続ける | 検査証の有効期間が切れる前に性能検査 | 登録性能検査機関 |
| 変える | 変更届→変更検査 | 所轄労働基準監督署長 |
| 休む・再開する | 休止の報告→再開時に使用再開検査 | 所轄労働基準監督署長 |
| やめる | 検査証を返還 | 所轄労働基準監督署長 |
🤔 「都道府県労働局長」「労働基準監督署長」「登録〜機関」は、何が違うのですか。
都道府県労働局は、県ごとに1つある国(厚生労働省)の役所です。労働基準監督署は、その下にあって地域ごとに置かれた、もっと身近な窓口です。「所轄」は、その事業場を受け持っているという意味です。登録〜機関は、国に登録して検査を代わりに行う民間などの団体です。大まかには、製造許可は労働局長、据えたあとの届出と検査の多くは監督署長と分けて覚えましょう。
つくるとき:製造許可・溶接検査・構造検査
ボイラー(小型を除く)を製造する者は、あらかじめ所轄の都道府県労働局長の許可を受けます(ボイラー則第3条)。つくったボイラーは構造検査を受け、合格したものには刻印が押されるしくみです。
溶接でつくるボイラーは、先に溶接検査を受けます。溶接検査に合格した後でなければ、構造検査は受けられません(第5条・第7条)。
なお、すでに許可を受けたものと型式が同じボイラーは、許可型式ボイラーと呼ばれます。これは改めて製造許可を受ける必要がありません(第3条ただし書)。
💡 覚え方
「溶接→構造」の順。溶接の出来ばえは、完成してからでは中が見えないので、先に確かめます。令和7年10月公表では、空欄に「溶接」「構造」を入れる問題が出ました。
据えるとき:設置届と落成検査
ボイラー(移動式を除く)を設置するときは、ボイラー設置届を出します。提出先は所轄労働基準監督署長で、ボイラー明細書などを添えます(第10条)。
第10条には「法第八十八条第一項の規定により」と書かれています。設置届は、労働安全衛生法第88条第1項の計画の届出(計画届)の1つにあたるのです。この回の後半で学ぶ変更届も、同じく計画届の1つです(第41条)。
この計画届には、免除のしくみがあります(労働安全衛生法第88条第1項ただし書)。決められた安全衛生の取組みを行っているとして、労働基準監督署長の認定を受けた事業者は、届出をしなくてよいのです。試験の問題文に出てくる「計画届の免除認定」は、この認定のことです。
設置したら、落成検査を受けます。検査されるのは、ボイラー本体と次の3つです(第14条)。
落成検査で調べる事項(ボイラー則第14条)
①ボイラー室
②ボイラー及びその配管の配置状況
③ボイラーの据付基礎並びに燃焼室及び煙道の構造
設置届に書くこと
設置届には、ボイラー明細書と、次の4つを書いた書面を添えます(第10条)。落成検査で調べる3つに、④燃焼の監視が加わった形です。
| 設置届に添える書面の内容(ボイラー則第10条) | 落成検査で調べるか |
|---|---|
| ①ボイラー室及びその周囲の状況 | 調べる |
| ②ボイラー及びその配管の配置状況 | 調べる |
| ③据付基礎並びに燃焼室及び煙道の構造 | 調べる |
| ④燃焼が正常に行われていることを監視するための措置 | (設置届だけ) |
移動式ボイラーは扱いが違う
車などに積んで持ち運ぶ移動式ボイラーは、場所が決まっていないため、設置届と落成検査の対象から外されています。移動式は、構造検査(または使用検査)に合格した時点で検査証が交付されます(第5条・第12条)。据えるときは、あらかじめ設置報告書に検査証などを添えて、所轄労働基準監督署長に出します(第11条)。
また移動式ボイラーでは、ボイラー検査証またはその写しを、ボイラー取扱作業主任者に所持させます(第29条第5号)。
落成検査は、構造検査または使用検査に合格した後でなければ受けられません。合格すると、所轄労働基準監督署長からボイラー検査証が交付されます(第15条)。
⚠ 注意
令和5年10月公表では、この条文の空欄に「配管」「燃焼室」「落成」を入れる問題が出ました。「自動制御装置」「通風装置」「使用検査」「性能検査」を入れた選択肢は誤りです。
使い続けるとき:検査証の有効期間と性能検査
| 決まり | 内容(ボイラー則第37条・第38条・第40条) |
|---|---|
| 検査証の有効期間 | 原則1年 |
| 有効期間の更新 | 登録性能検査機関の性能検査を受ける |
| 更新の期間 | 性能検査の結果で、1年未満または1年を超え2年以内の期間を定めて更新できる |
| 性能検査の準備 | ボイラー(燃焼室を含む)と煙道を冷却し、掃除するなど。検査に立ち会う |
検査証をなくしたり傷めたりしたときは、所轄労働基準監督署長に再交付を申請します(第15条)。平成31年4月・令和5年10月・令和7年4月公表では、「再交付を受けなければならない場合」が問われました。正解は「検査証を損傷したとき」です。
事業者が変わったときは「書替え」
設置されたボイラーの事業者に変更があったときは、変更後の事業者が10日以内に手続きをします(第44条)。ボイラー検査証書替申請書に、いま持っているボイラー検査証を添えて、所轄労働基準監督署長に出すのです。そして、検査証の書替えを受けます。
⚠ 注意
「事業者に変更があったときは30日以内に書替え」(令和7年10月公表)は誤り。10日以内です。また、事業者の変更は再交付ではなく書替えなので、「再交付を受けなければならない場合」の答えにはなりません。
⚠ 注意
平成31年4月公表と令和4年10月公表では、第44条の空欄補充が出ました。どちらも正解は10日で、14日・30日は誤りです。平成31年4月公表では、添える書類を「ボイラー明細書」とした選択肢が誤りでした。添えるのはボイラー検査証です。令和4年10月公表では、「書替」の代わりに「再交付」を入れた選択肢が誤りでした。
変えるとき:変更届と変更検査
ボイラーの次の部分や設備を変更しようとするときは、変更届を出し(第41条)、変更したら変更検査を受けます(第42条)。
| 変更届・変更検査の対象(ボイラー則第41条) | 具体的には |
|---|---|
| 本体の主要部分 | 胴・ドーム・炉筒・火室・鏡板・天井板・管板・管寄せ・ステー |
| 附属設備 | 過熱器・節炭器(エコノマイザ) |
| 燃焼装置 | バーナなど |
| 据付基礎 | ボイラーを据える土台 |
対象に入らないものとして出題されたのは、煙管・空気予熱器・給水装置・水処理装置・主蒸気管などです。令和2年4月・令和5年4月公表では給水ポンプ、令和4年4月公表では水管が、届出の必要のないものの正解でした。水管は、上の表の「本体の主要部分」の一覧に入っていません。
ここでいう附属設備は、過熱器と節炭器に限られます(第7条のかっこ書き)。令和8年4月公表では、自動制御装置も対象外の選択肢として出ました。
💡 覚え方
「本体の骨組み・過熱器と節炭器・燃焼装置・土台」の4つ。空気予熱器は名前が似ていても附属設備の対象(過熱器と節炭器)に入っていない点がひっかけどころです。
🤔 問題文の「ただし、計画届の免除認定を受けていない場合とする。」は、何のためですか。
変更届は、設置届と同じく計画届の1つです(第41条の「法第八十八条第一項の規定により」)。認定を受けた事業者は、届出そのものが免除されます。この断り書きは、免除のない、通常の事業者として考えてくださいという意味です。この断り書きが付くのは、変更届の問題(令和2年4月・令和5年4月公表など)です。廃止したボイラーを再び設置する手順の問題(令和5年10月・令和8年10月公表など)でも同じです。
休むとき・再開するとき
休止の期間が検査証の有効期間を過ぎるときは、所轄労働基準監督署長に報告します。報告するのは有効期間中です(第45条)。
休止したボイラーを再び使うときは、使用再開検査を受けます(第46条)。合格すると、検査証に検査期日と結果が裏書されます(第47条)。
⚠ 注意
「休止中の管理状況が良好なら、使用再開検査の一部を省略できる」(令和7年4月公表)は、法令に定められていません。
やめるとき・もう一度据えるとき・輸入するとき
ボイラーの使用を廃止したときは、遅滞なく、検査証を所轄労働基準監督署長に返還します(第48条)。
次の場合は、使用検査を受けなければなりません(第12条)。
使用検査が必要な場合(ボイラー則第12条)
①ボイラーを輸入した
②構造検査(または使用検査)を受けた後、1年以上設置されなかったボイラーを設置しようとする
③使用を廃止したボイラーを、再び設置し、または使用しようとする
廃止したボイラーを再び設置する手続きの順序
①使用検査(登録設計審査等機関)
②設置届(所轄労働基準監督署長)
③落成検査(所轄労働基準監督署長)
⚠ 注意
輸入したボイラーは構造検査ではなく使用検査です(令和6年4月・令和6年10月公表で「構造検査」が誤り)。「構造検査後1年以上設置されなかったボイラーは使用再開検査」(令和8年10月公表)も誤りで、正しくは使用検査です。使用再開検査は、休止したボイラーを再開するときだけです。
💡 覚え方
「新しく(もう一度)使い始める=使用検査」「休んでいたのを再開=使用再開検査」。廃止・輸入・長く置きっぱなしは、どれも改めて最初から使い始める扱いなので使用検査です。
練習問題:どの検査が必要か
答えと考え方
①海外から輸入したボイラーを据える → 使用検査→設置届→落成検査
②工場で構造検査に合格し、すぐに据えた → 設置届→落成検査
③構造検査のあと1年半倉庫に置いていたボイラーを据える → 使用検査→設置届→落成検査
④節炭器を取り替えた → 変更届→変更検査
⑤空気予熱器を取り替えた → 変更届・変更検査の対象外
⑥有効期間を過ぎて休止していたボイラーをまた使う → 使用再開検査
見分けるコツは、「そのボイラーは今どういう状態か」を先に確かめることです。検査証がない(輸入・未設置が長い・廃止した)なら使用検査から始めます。検査証があって休んでいたなら使用再開検査です。
| 手続き | どこに・誰が |
|---|---|
| 製造許可 | 所轄都道府県労働局長の許可 |
| 溶接検査・構造検査・使用検査 | 登録設計審査等機関 |
| 設置届・落成検査・変更届・変更検査・休止報告・使用再開検査・検査証の返還 | 所轄労働基準監督署長 |
| 性能検査(有効期間の更新) | 登録性能検査機関 |
試験ではこう出る
| よくある記述・問い | 判断 |
|---|---|
| 溶接によるボイラーは、溶接検査に合格した後でなければ構造検査を受けられない | 正しい |
| ボイラー検査証の有効期間は、原則として1年である | 正しい |
| ボイラーを輸入した者は、原則として構造検査を受けなければならない | 誤り。使用検査 |
| 事業者に変更があったときは、30日以内に書替えを受ける | 誤り。10日以内 |
| 書替えの申請書には、ボイラー明細書を添える | 誤り。ボイラー検査証を添える |
| 給水ポンプ・水管を変更するときは、変更届を出す | 誤り。届出の必要はない |
| 「計画届の免除認定を受けていない場合とする」は、通常どおり届出が必要な事業者として考える断り書き | 正しい(設置届・変更届は労働安全衛生法第88条第1項の計画届) |
| ステー・過熱器・燃焼装置を変更したら、変更検査を受ける | 正しい |
| 空気予熱器・主蒸気管を変更したら、変更検査を受ける | 誤り。対象外 |
| 廃止したボイラーを再び設置する順序は、使用検査→設置届→落成検査 | 正しい |
| 落成検査は、構造検査または使用検査に合格した後でなければ受けられない | 正しい |
| 検査証を滅失したときは、再交付を受けなければならない | 正しい |
| 使用を廃止したときは、遅滞なく検査証を返還する | 正しい |
| 休止したボイラーを再び使うときは、使用検査を受ける | 誤り。使用再開検査 |
| 性能検査の結果により、有効期間を3年に更新できる | 誤り。2年以内 |
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(平成31年4月〜令和8年10月公表)。法令は、e-Gov法令検索の原文で確かめました。ボイラー及び圧力容器安全規則は、第3条・第5条・第7条・第10条〜第12条・第14条・第15条です。同じ規則の第29条・第37条〜第48条も確かめています。労働安全衛生法第40条・第88条も確かめ、ゼロパスが要点を整理しました。
よくある質問
Q. 検査証の有効期間が切れたまま使うと、どうなりますか。
A. 有効なボイラー検査証を受けていないボイラーは、使用できません(労働安全衛生法第40条)。そのため、期限が来る前に性能検査を受けて更新しておく必要があります。
Q. 変更届を出せば、必ず変更検査を受けるのですか。
A. 原則は受けます。ただし、所轄労働基準監督署長が検査の必要がないと認めたボイラーは除かれます(第42条)。試験では、変更届・変更検査の対象になる部分かどうかがよく問われます。
Q. 検査証をなくしたときと、会社が変わったときは、同じ手続きですか。
A. 違います。なくした・傷めたときは再交付、事業者が変わったときは書替えです。書替えは、変更後の事業者が10日以内に、ボイラー検査証を添えて申請します(第15条・第44条)。
Q. 性能検査のとき、ボイラーはどうしておけばよいですか。
A. ボイラー(燃焼室を含む)と煙道を冷やして掃除し、検査の準備をします(第40条)。検査のときには立ち会うことも決められています。
まとめ
・つくる=製造許可(都道府県労働局長)→溶接検査→構造検査
・据える=設置届→落成検査(ボイラー室・配管配置・据付基礎と燃焼室・煙道)→検査証
・検査証は原則1年。更新は性能検査(1年未満または1年超2年以内も)。損傷・滅失は再交付、事業者変更は10日以内に書替え
・変更検査の対象=本体の主要部分・過熱器と節炭器・燃焼装置・据付基礎(空気予熱器・主蒸気管・給水ポンプ・水管などは対象外)
・書替えはボイラー検査証を添えて申請(ボイラー明細書ではない)
・設置届・変更届は労働安全衛生法第88条第1項の計画届。「計画届の免除認定を受けていない場合」=通常どおり届出が必要な事業者として考える
・輸入・1年以上未設置・廃止後の再設置=使用検査、休止からの再開=使用再開検査、廃止=検査証を返還
