FCU(ファンコイルユニット)とは?各部屋を冷暖する仕組みを初心者にもやさしく図解
FCU(ファンコイルユニット)ってどんな機器?

写真:Air fans / CC BY-SA 4.0(リサイズのみ) via Wikimedia Commons
FCUは、部屋に置ける小型の箱型の空調機です。「ファンコイルユニット」という名前のとおり、中身はファン(送風機)とコイル(熱交換器)の2つが主役。前面のグリルから部屋の空気を吸い込み、上のルーバーから冷風・温風を吹き出します。
本体の側面には、冷温水の配管(往き・還り)と、結露水を流すドレンの管がつながります。床に置く「床置き型」のほか、天井に埋め込むタイプ・露出するタイプなどがあり、部屋の作りに合わせて選べます。
大きさはエアコンの室内機ほど。だから1部屋に1台置いて、その部屋だけを担当させられます。では、その小さな箱の中で何が起きているのか――次に「ファン」と「コイル」の役割を見ていきましょう。
FCUの中身 ― ファンとコイルの役割
FCUの働きは、中身の2つの部品「ファン」と「コイル」を知ると一気に分かります。まずは断面図で、空気と水がどこを通るのかを見てみましょう。
① ファン(送風機)の役割 ― 風を起こす
ファンは、部屋の空気を吸い込み、コイルに通し、また部屋へ送り出す“風を起こす係”です。ファンが回らなければ空気が動かず、せっかくコイルで冷えた(暖まった)空気も部屋に届きません。ファンがあるからこそ、コイルの冷たさ(温かさ)を部屋中に行き渡らせられるのです。
さらに、風量(弱・中・強)を変えれば、冷暖の強さを調整できます。「少し寒い」と思えば風量を弱める、といった微調整がFCU1台でできるのは、このファンのおかげです。
💡 なぜFCUは“その部屋だけ”を細かく調整できる?
ファンが部屋ごとに付いていて、その部屋の風量を個別に変えられるから。隣の部屋に影響せず、自分の部屋だけを好みの強さで冷暖できます。
② コイル(熱交換器)の役割 ― 空気と水で熱を交換する
コイルは、中に冷温水が流れる「熱交換器」です。見た目は、細い管がうねうねと折り返し、その周りに薄い金属の板(フィン)がびっしり付いたもの。材料には、熱をよく伝える銅やアルミが使われます。
ここに冷たい水(冷房時はおよそ7℃)を通すと、管とフィンが冷たくなり、すき間を通り抜ける空気が冷やされます。逆に暖房時は温かい水(およそ40〜60℃)を通せば、空気が暖まります。同じコイルでも、流す水を冷水にするか温水にするかで、冷房にも暖房にもなるのがポイントです。
フィン(薄い金属板)がたくさん付いているのは、空気と触れる面積を増やして、効率よく熱を渡すため。表面積が大きいほど、少しの水でたくさんの空気を冷やせる(暖められる)のです。
💡 なぜ銅やアルミを使う?
金属の中でも特に熱を伝えやすいから。水の冷たさ(熱さ)をムダなくすばやく空気に渡せるので、効率よく冷暖できます。
💡 なぜ冷房のときコイルから水(ドレン)が出る?
冷たいコイルに触れた空気中の水分が冷やされて水滴になるから。冷たいコップの外側に“汗”がつくのと同じ「結露」です。この結露水をドレン水といい、ドレン配管で排水しないと水漏れの原因になります。
🤔 FCU自体が冷たさ・温かさをつくるわけではない
大事な勘どころです。FCUは冷たさや温かさを“つくって”いません。冷たさのもとは冷凍機がつくった冷水、温かさのもとはボイラなどがつくった温水で、それがコイルの中を流れています。
コイルはその冷たさ(温かさ)を、通り抜ける空気に“渡すだけ”。FCUは「水の熱を、ファンの風で部屋に届ける機械」だとイメージすると分かりやすいです。
👉 冷たさのもと「冷凍機」を知る冷凍機とは?建物を冷やす熱源の仕組みと種類を初心者にもやさしく図解
反対に、暖房のときの“温かさ”のもとは、ボイラーがつくった温水です。FCUは、夏は冷水・冬は温水を受け取って、各部屋の空気を冷やしたり暖めたりしています。
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部屋の空気を循環させる(“その部屋だけ”を担当)
ファンとコイルの働きをまとめると、FCUは次の動きをくり返します――部屋の空気を吸い込む → コイルで冷やす(暖める)→ 風にして同じ部屋へ戻す。これを続けることで、その部屋の空気が少しずつ目標の温度に近づいていきます。
上の図のように、吸い込まれた部屋の空気(あたたまった空気)がコイルを通って涼しい風になり、また同じ部屋へ戻ります。1台が担当するのは“その部屋だけ”。だから隣の部屋とは関係なく、自分の部屋の温度を好きに調整できます。
💡 たとえ:部屋専用の冷暖房係
FCUは、各部屋に1人ずつ配置された“冷暖房係”のようなものです。それぞれの係が、その部屋の人の好みに合わせて個別に温度を調整してくれます。
一方AHUは、フロア全体をまとめて面倒みる“大きな係”というイメージです。
👉 くわしく知りたい方はこちらAHU(空調機)とは?空気を整えてダクトで送る仕組みを初心者にもやさしく図解各部屋に冷温水を配る(系統)
では、その冷温水はどこから来るのでしょうか。建物全体では、冷凍機やボイラがつくった冷温水を、1本の配管で各部屋のFCUへ配ります。
上の図のように、同じ冷温水を分けても、部屋ごとにFCUがあるので、「この部屋は涼しく、隣はやや暖かく」と部屋ごとに風量を変えて個別調整できます。これがFCUの一番の強みです。
AHUとの違い・注意点

🔧 現場での使いどころ:換気は別系統/ドレン処理
大型のAHUがダクトで広い空間を一括空調するのに対し、FCUは各部屋を個別に冷暖するのが役目です。
ただしFCUは冷暖が中心で、新鮮な外気の取り入れ(換気)は別系統で確保します。たとえば全熱交換器で外気を入れ、FCUで温度を整える組み合わせがよく使われます。
また冷房時はコイルで結露水(ドレン)が出るため、ドレン配管できちんと排水しないと水漏れの原因になります。
⚠️ FCUは冷暖が中心/冷たさのもとは冷温水
FCUは冷暖が中心で、換気や加湿は別に考えるのが基本です。また冷やす・暖めるおおもとは冷凍機・ボイラがつくる冷温水で、FCU自体が冷たさをつくるわけではありません。コイルに通る水の熱を、ファンの風で室内へ届けています。
試験で問われるポイント
- FCU=ファン(送風機)+コイル(熱交換器)の小型空調機。各部屋ごとに個別に冷暖する。
- ファン=風を起こす/風量で冷暖の強さを調整。コイル=冷温水を通して空気と熱交換(銅・アルミ+フィンで効率よく)。
- 部屋の空気を吸い込み→コイルで冷暖→部屋へ戻す循環。冷たさ・温かさのもとは冷温水。
- AHUは広範囲+換気・加湿、FCUは各室で冷暖中心。換気は別系統(全熱交換器など)。
- 冷房時はコイルで結露 → ドレン配管で排水が必要。
FCU・AHU・空調方式は空調分野の頻出テーマです。過去問で確認しましょう。
過去問解説(1級管工事)を見る →✅ この記事のまとめ
- FCU=ファンとコイルの小型空調機。各部屋ごとに個別に冷暖する。
- ファン=風を起こす係、コイル=冷温水で空気と熱交換する係(銅・アルミ+フィン)。
- 吸い込み→コイルで冷暖→部屋へ戻す循環。FCU自体は冷たさをつくらず、冷凍機の冷水の冷たさを空気に移す。
- AHUは広範囲+換気・加湿、FCUは各室で冷暖中心。換気は別系統(全熱交換器など)。
- 冷房時はコイルで結露 → ドレン排水が必要。
よくある質問(FAQ)
Q. FCUとAHUの違いは?
A. FCUは小型で各部屋を個別に冷暖、AHUは大型でダクトにより広い空間を一括空調+換気・加湿します。
Q. FCUの中はどうなっている?
A. ファン(送風機)とコイル(熱交換器)が入っています。ファンで部屋の空気を吸い込み、コイルで冷暖して戻します。
Q. コイルは何でできている?
A. 熱をよく伝える銅やアルミの細い管に、薄い金属の板(フィン)を付けたものです。フィンで空気と触れる面積を増やし、効率よく熱を交換します。
Q. なぜ冷房のときコイルから水が出るの?
A. 冷たいコイルに触れた空気中の水分が冷やされて水滴になる「結露」です(冷たいコップの汗と同じ)。この水をドレン配管で排水します。
Q. FCU自体が冷たさをつくるの?
A. いいえ。冷凍機やボイラがつくった冷温水をコイルに通し、その熱をファンの風で室内へ届けます。
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