結論からいうと、「冷凍機(れいとうき)」は、冷媒を使って冷水をつくり、建物を冷やすための“冷やす機械”の総称です。ビルの空調にとっては「冷やす力の心臓部」。冷凍機にはいくつもの種類があるので、それぞれの機器の仕組み(冷媒の動き)と特徴まで、図解でやさしく解説します。

冷凍機ってなに?

機械室に設置された冷凍機(チラー)建物全体に冷水をつくって送り出す熱源機
実機の例:機械室に設置された冷凍機(チラー)。建物全体に冷水をつくって送り出す熱源機。
写真:P199 / Public domain via Wikimedia Commons
冷凍機が“冷水”をつくり、建物全体を冷やす冷凍機(チラー)=冷水をつくる建物各階のAHU・FCU(空調機)へ冷水(往き・冷たい)還り(ぬるくなって戻る)
冷凍機(チラー)が冷水をつくり、配管で各階のAHU・FCUへ送る。空気を冷やしてぬるくなった水が戻り、また冷やす、をくり返す。

冷凍機は、冷凍サイクルなどを使って「冷たい水(冷水)」をつくり出す機械です。ビルの空調では、この冷凍機でつくった冷水をポンプで空調機(AHU)やFCUへ送り、各部屋を冷やします

冷凍サイクルとは?熱を運んで冷やす仕組みを初心者にもやさしく図解👉 くわしく知りたい方はこちら冷凍サイクルとは?熱を運んで冷やす仕組みを初心者にもやさしく図解

つまり冷凍機は、建物全体を冷やす“おおもと(心臓部)”にあたります。

📘 冷凍機とは?

冷媒を使って冷水をつくり建物を冷やす機械の総称。大きく圧縮式(電気でモーター駆動)吸収式(熱で駆動)に分かれ、圧縮式はさらに往復動・スクロール・スクリュー・遠心の4種類があります。

まず大きく2タイプ:圧縮式と吸収式

冷凍機の2大タイプ圧縮式(電気で動く)電気でコンプレッサーを回す冷媒を圧縮して冷やすいちばん多く使われる🔥吸収式(“熱”で動く)電気でなく“熱”で動くガス・蒸気・排熱を利用電気の契約を抑えられる
冷凍機は大きく2タイプ。電気でコンプレッサーを回す「圧縮式」と、熱で動く「吸収式」。圧縮式が主流。

🔧 🤔 “電気で動く”のと“熱で動く”の2系統がある

冷凍機はまず大きく2タイプに分かれます。圧縮式冷凍機電気でモーターを回して冷媒を圧縮するタイプで、効率(COP)が高く、もっとも一般的です。

一方吸収式冷凍機ガスや排熱などの“熱”で動かすタイプで、電気をあまり使わないため、夏の電力ピークをずらしたい建物で使われます。

圧縮式冷凍機の種類(圧縮機で分かれる4タイプ)

圧縮式冷凍機は、心臓部の圧縮機(コンプレッサー)の方式で4種類に分かれます。どれも「低圧の冷媒ガスを吸い込み→圧縮して高温・高圧にし→吐き出す」のは同じですが、その“圧縮のしかた”と冷媒の動きがそれぞれ違います。

ここからは、圧縮機の4つの方式を1つずつ、冷媒の動き(青=吸入赤=吐出)と特徴を見ていきましょう。

① 往復動(レシプロ)

①往復動(レシプロ)圧縮機ピストンが上下し、下がって吸い込み・上がって圧縮します。ピストン回転→上下運動低圧で吸入高圧で吐出
往復動(レシプロ)圧縮機。ピストンが下がって低圧で吸い込み、上がって圧縮し高圧で吐き出す。

圧縮のしかた:ピストンの上下動 / 向く容量:小〜中

⭕ メリット:構造が単純で安価。部分負荷に対応しやすい。

❌ デメリット:振動・騒音が出やすい。部品点数が多い。

② スクロール

②スクロール圧縮機うずまき2枚がかみ合い、外周→中心へ押し込んで圧縮します。外周から吸入中心から吐出固定うず+回るうず=静かで効率的
スクロール圧縮機。2枚の渦巻きがかみ合い、外周から吸った冷媒を中心へ押し込んで圧縮する。

圧縮のしかた:2枚の渦巻きのかみ合い / 向く容量:小〜中

⭕ メリット:低振動・低騒音で効率がよい。家庭用エアコンにも使われる。

❌ デメリット:大容量には向かない。

③ スクリュー

③スクリュー圧縮機2本のねじ状ロータが回り、端から端へ送りながら圧縮します。かみ合うねじ状ロータ低圧で吸入高圧で吐出
スクリュー圧縮機。2本のねじ状ロータが回り、端から端へ送りながら連続的に圧縮する。

圧縮のしかた:2本のねじ(ロータ)の回転 / 向く容量:中〜大

⭕ メリット:連続的でなめらか。中〜大容量で信頼性が高い。

❌ デメリット:構造上やや高価。

④ 遠心(ターボ)

④遠心(ターボ)圧縮機羽根車を高速回転させ、遠心力で外へ飛ばして圧縮します。羽根車(インペラ)中心から吸入外周から吐出
遠心(ターボ)圧縮機。羽根車(インペラ)を高速回転させ、遠心力で外周へ飛ばして圧縮する。
吸収式冷凍機の仕組み(電気でなく“熱”で動く)❄️ 蒸発器ここで冷水を冷やす吸収器冷媒を吸収液が吸う🔥 再生器熱で冷媒を追い出す凝縮器冷媒を液にもどす冷媒=水/吸収液=臭化リチウム。再生器を“熱”で温めて冷媒を追い出すのがポイント。
吸収式の4工程:蒸発器で冷水を冷やし→吸収器で冷媒を吸収液が吸い→再生器を熱で温めて冷媒を追い出し→凝縮器で液に戻す。電気でなく熱で動く。

圧縮のしかた:羽根車(インペラ)の高速回転 / 向く容量:大〜超大

⭕ メリット:大容量で高効率。回転式で振動が少ない。

❌ デメリット:低負荷でサージングを起こす。小容量に不向き。

ざっくり「小さい機器はレシプロ・スクロール、大きい機器はスクリュー・ターボ」という流れをつかむのがコツです。