第3章 空調設備 | 第14回 | 目次を見る:1級 / 2級
結論からいうと、「冷凍サイクル」は、冷媒(れいばい:熱を運ぶために機器の中を巡る物質)を「蒸発→圧縮→凝縮→膨張」と循環させて、熱をある場所から別の場所へ“運ぶ”仕組みです。名前のとおり基本は“冷やす”方向——冷やしたい場所(冷蔵庫の中・部屋)から熱を奪い、外へ捨てるのが王道です。冷蔵庫・冷凍機・エアコン(冷房)の心臓部であり、同じ仕組みを逆向きに使えば暖房もできます。図解でやさしく解説します。

冷凍サイクルってなに?(まず“冷やす”仕組み)

冷凍サイクル(熱を運んで冷やす仕組み)のイメージ
冷える理由は「蒸発するときに熱をうばう」から液体のとき冷媒(液)まわりの熱が入ってくる気体になる(蒸発)冷媒(気体)熱をうばわれるのは、まわりの空気や水のほう → だから冷える打ち水や、汗が乾くと涼しくなるのと同じ仕組み
液体が気体に変わるとき、まわりから熱を奪います。これが「冷える」の正体です。

熱は放っておくと、温度の高いほうから低いほうへ自然に流れます。ところが冷蔵庫やエアコン冷房は、その流れに逆らって、冷たい場所からさらに熱を汲み出し、外へ捨てています。

これを冷媒の循環で実現するのが冷凍サイクルです。だから冷蔵庫の中は冷え、背面(外側)は温かくなります——庫内の熱を運び出して、外へ捨てているのです。

4つの工程(冷蔵庫・冷房を例に)

冷媒は次の4つを繰り返して循環します。

冷凍サイクル:冷媒が4つの部品をまわって熱を運ぶ冷媒が圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器を一周しながら、熱を運び出します。圧縮機高温・高圧にする凝縮器熱を捨てる(放熱)膨張弁圧力を下げる蒸発器熱を奪う(冷やす)冷媒がぐるぐる回る蒸発器で部屋の熱を奪い、凝縮器で外へ捨てる=熱を“運ぶ”
冷媒が「圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器」をぐるぐる回り、寒い所の熱を吸って暑い所へ捨てます(冷凍サイクル)。
4つの工程で、冷媒はこう変わる工程何をする圧力冷媒のすがた① 圧縮機押しちぢめる低 → 高気体(高温高圧に)② 凝縮器熱を外へ捨てる高いまま気体 → 液体③ 膨張弁圧力を下げる高 → 低液体(一部が気体に)④ 蒸発器まわりの熱をうばう低いまま液体 → 気体①②は「高い圧力」側、③④は「低い圧力」側。高い側で熱を捨て、低い側で熱をうばう——これが冷凍サイクルの骨格です。
圧縮機で上げた圧力は膨張弁までそのまま=凝縮器が高い圧力の側、蒸発器が低い圧力の側です(すぐ下の表とは番号の振り方が違います)。
工程 はたらき(冷やす場合)
①蒸発器(冷やしたい側) 低圧・低温の冷媒が蒸発して、冷やしたい場所の熱を奪う(液→気)。
②圧縮機 気体の冷媒を圧縮して高温・高圧にする。
③凝縮器(外側) 高温の冷媒が外へ熱を放して液に戻る(気→液)。
④膨張弁 液の冷媒を減圧して低温・低圧に戻す。そして①へ。

例例え:部屋の熱を外へ運び出すポンプ

冷凍サイクルは、いわば「熱を運び出すポンプ」です。冷蔵庫なら庫内の熱を、冷房なら部屋の熱を、せっせと外へ運び出しています。

冷蔵庫の背面やエアコンの室外機が温かいのは、運び出した熱をそこで捨てているからです。

逆向きに使えば暖房もできる(ヒートポンプ)

ここがエアコンの面白いところです。同じ冷凍サイクルを逆向きに使うと、今度は外から熱を奪って室内へ放出=暖房になります。

冷房と暖房で流れの向きを切り替えているのが四方弁です。

例「冷たい外気でなぜ暖房できるの?」の答え

暖房は冷たい外気をそのまま入れているわけではありません。「冷たい=熱がゼロ」ではなく(本当のゼロは−273℃)、外気にも熱はあります。

その熱を冷媒が吸い、圧縮機で室温より高い温度まで上げてから、室内に放出しているのです。だから真冬でも暖房ができ、室外機は冷たい風(熱を奪われた外気)を出します。

同じ機械、冷媒を“逆回し”で暖房にもなる四方弁で冷媒の向きを変えるだけ。冷房と暖房で熱の出入りが逆になります。冷房室内:涼しい室外機室内の熱を外へ暖房室内:暖かい室外機外の熱を室内へ冷媒の流れる向きが逆=同じ機械で冷房も暖房もできる(ヒートポンプ)
冷媒の流れる向きを入れ替えるだけで、同じエアコンが冷房にも暖房にもなります。

COP(効率)との関係

COP=1の電気で、何倍の熱を運べるか使った電気1運んだ熱3〜6(機種や条件による)COP3〜6熱を“作って”いるのではなく外から運んできているから、1より大きくなるCOP=運んだ熱 ÷ 使った電気数字が大きいほど省エネ
COPは「運んだ熱 ÷ 使った電気」。熱を作るのではなく運んでいるので、1より大きくなります。

なぜ?熱を運ぶのが上手=省エネ

冷凍サイクルが少ない電気でたくさんの熱を運ぶほど、効率の指標COP(成績係数)が高くなります。

運ぶ相手の温度差が大きい(真夏・真冬など条件が厳しい)ほど運ぶのが大変になり、COPは下がります。

成績係数(COP)とは?エアコンの“燃費”を初心者にもやさしく図解👉 くわしく知りたい方はこちら成績係数(COP)とは?エアコンの“燃費”を初心者にもやさしく図解

試験で問われるポイント

  • 基本は冷やす方向:蒸発器で熱を奪い、凝縮器で熱を捨てる。
  • 4工程:蒸発器→圧縮機→凝縮器→膨張弁の順と、冷媒の状態変化(液⇄気)。
  • 蒸発器=吸熱(低圧低温)/凝縮器=放熱(高圧高温)。圧縮で高温・高圧。
  • p-h線図(モリエル線図)(冷媒の圧力と持っている熱の量の関係を表したグラフ)の基礎、逆向きで暖房(ヒートポンプ)。

冷凍サイクルは冷凍・空調分野で特によく取り上げられるテーマです。過去問で4工程やp-h線図を確認しましょう。

過去問解説(1級管工事)を見る →

まとめこの記事のまとめ

  • 冷凍サイクル=冷媒を循環させて熱を“運ぶ”仕組み。基本は冷やす方向(熱を奪って外へ捨てる)。
  • 4工程:蒸発器(吸熱)→圧縮機(高温高圧)→凝縮器(放熱)→膨張弁(減圧)。
  • 冷蔵庫の背面・室外機が温かいのは、運び出した熱を捨てているから。
  • 逆向きに使うと暖房(四方弁で切替)。外気の熱を汲み、圧縮で温度を上げて室内へ。
  • 熱を運ぶのが上手なほどCOPが高い。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ「冷凍」サイクルなの?

A. 基本のはたらきが“冷やす”(熱を奪って外へ捨てる)ことだからです。冷蔵庫・冷凍機・冷房がこの代表例です。

Q. 冷蔵庫の背面が温かいのはなぜ?

A. 庫内から奪った熱を、背面の凝縮器で外へ捨てているためです。冷やすとは「熱を別の場所へ運び出す」ことなのです。

Q. 冷たい外気でなぜ暖房できるの?

A. 冷凍サイクルを逆向きに使い、外気の熱を冷媒が吸って、圧縮機で室温以上に温度を上げてから室内へ放すためです。

Q. 冷房と暖房の切り替えはどうやるの?

A. 四方弁で冷媒の流れる向きを切り替えます。冷房は室内の熱を外へ、暖房は外の熱を室内へ運びます。

費用はいくらかかる? 講座は必要?

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