第4章 関係法令 | 第20回 | 学習カリキュラムの目次を見る

第20回は、ボイラーをどこに、どう置くかと、置いたあとの管理の決まりです。法令の科目では、ボイラー室の距離の数字・附属品の管理・定期自主検査が、ほぼ毎回の出題範囲です。数字が多い回ですが、なぜその距離なのかを条文の言葉から押さえると覚えやすくなります。内容はボイラー及び圧力容器安全規則(ボイラー則)の条文で確かめました。

ボイラー室とは?

専用の建物、または建物の中の障壁で区画された場所のこと(ボイラー則第18条)。障壁とは、仕切りの壁です。

💡 なぜ? この回の距離や出入口の決まりは、ほとんどがボイラー室の中の話です。まずどのボイラーをボイラー室に置くのかから押さえましょう。

ボイラー室に置く・出入口は2つ

ボイラー室の中で、ボイラーの上や横に空けるすき間、燃料タンクとの距離、出入口2か所、観測窓を示したイメージ図
ボイラーの上1.2m・横0.45m、燃料は2m(固体は1.2m)、出入口は2か所以上。

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ボイラーの上1.2m・横0.45m、燃料は2m(固体は1.2m)、出入口は2か所以上。

ボイラーは、ボイラー室に設置しなければなりません(第18条)。ただし、伝熱面積3㎡以下のボイラーは除かれます。移動式ボイラーと屋外式ボイラーも、この決まりの対象外です。

条文の言葉は「専用の建物又は建物の中の障壁で区画された場所」です。この場所を、条文はボイラー室と呼んでいます。

⚠ 注意

第18条の空欄補充は、平成31年4月公表と令和8年4月公表に出ました。正解は、平成31年4月が「3」「専用の建物」、令和8年4月が「3」「専用の建物」「障壁」です。「5」「25」「30」「耐火構造物の建物」「密閉された室」「地下」を入れた選択肢は誤りでした。

ボイラー室には、出入口を2つ以上設けます(第19条)。ただし、ボイラーを取り扱う人が緊急のときに避難するのに支障がないボイラー室は除かれます。

⚠ 注意

「3㎡を超える」ボイラーはボイラー室へ、が正しい内容です。令和7年4月公表では「伝熱面積5㎡の蒸気ボイラーはボイラー室に設置」が正しい記述として出ました。

据付位置:上に1.2m、横に0.45m

ボイラーのまわりには、点検や取扱いのための空間を残しておく決まりがあります(第20条)。

場所 距離(ボイラー則第20条) 例外
ボイラーの最上部から天井・配管など上の構造物まで 1.2m以上 安全弁などの附属品の検査・取扱いに支障がないとき
本体を被覆していないボイラー、または立てボイラーの外壁から、壁・配管など横の構造物まで 0.45m以上 胴の内径500mm以下かつ長さ1,000mm以下なら0.3m以上

上に広く空けるのは、ボイラーの上に安全弁などの附属品が並ぶからです。例外の書き方も「附属品の検査及び取扱いに支障がないとき」となっています。

💡 覚え方

上は「いちにー(1.2)」、横は「しごご(0.45)」。小さいボイラー(500mm・1,000mm以下)だけ横を0.3mに縮められます。令和7年10月公表では、胴の内径500mm・長さ1,000mmのボイラーで、横の距離の最小値0.30mが正解でした。

燃えやすい物と燃料の距離

決まり(ボイラー則第21条) 内容
可燃物との距離 ボイラーや、ボイラーに付いた金属製の煙突・煙道の外側から0.15m以内にある可燃性の物は、金属以外の不燃性の材料で被覆する
上の例外 ボイラーや煙突・煙道が、厚さ100mm以上の金属以外の不燃性材料で被覆されているとき
燃料の貯蔵 ボイラーの外側から2m以上離す。固体燃料(石炭など)は1.2m以上
上の例外 ボイラーと燃料(タンク)の間に障壁を設けるなど、防火の措置をしたとき

⚠ 注意

「0.15m以内の可燃物は金属製の材料で被覆」(令和5年10月・令和6年10月公表)は誤り。正しくは金属以外の不燃性の材料です(ボイラー則第21条第1項)。

💡 覚え方

燃料は「液体・気体2m、固体1.2m」。固体のほうが近くてよい、と逆に覚えないよう、「石炭は1.2=上の距離と同じ」とセットにすると混ざりにくくなります。

燃焼の監視:観測窓など

事業者は、煙突からの排ガスの出かたを観測する窓をボイラー室に設けるなどします(第22条)。作業主任者が、燃焼が正常か容易に監視できる措置をとるための決まりです。

第10条の設置届にも「燃焼が正常に行われていることを監視するための措置」を書く欄がありました(第19回)。据える前の届出で書き、据えたあともその措置を続ける、というつながりです。

⚠ 注意

「観測窓を設置できないときは、作業主任者を複数選任」(令和7年4月公表)は、法令に定められていません。

ボイラー室の管理:6つの決まり

事業者は、ボイラー室の管理について、次の事項を行います(第29条)。第18回で学んだ検査証と作業主任者の掲示も、この条文の中の1つです。

ボイラー室の管理等(ボイラー則第29条)

①関係者以外の者がみだりに立ち入ることを禁止し、その旨を見やすい箇所に表示する

②必要がある場合のほか、引火しやすい物を持ち込ませない

③水面計のガラス管・ガスケットなど必要な予備品と修繕用工具類を備えておく

④ボイラー検査証と、ボイラー取扱作業主任者の資格及び氏名を見やすい箇所に掲示する

⑤移動式ボイラーは、ボイラー検査証またはその写しを作業主任者に所持させる

⑥燃焼室・煙道などのれんがの割れや、ボイラーとれんが積みのすき間は、速やかに補修する

⚠ 注意

令和8年10月公表では、②の「引火しやすいものを持ち込ませない」が法令に定められている記述として出ました。この問題で誤りとされたのは、上の距離を「1m以上」とした選択肢です。

附属品の管理:8つの決まり

ボイラー則第28条は、安全弁などの附属品の管理について、事業者が行う事項を8つ並べています。安全弁の調整(①②)は第13回で学びました。ここでは③〜⑧を中心に見ていきます。

附属品の管理(ボイラー則第28条)
① 安全弁は最高使用圧力以下で作動するよう調整
② 過熱器用安全弁は、胴の安全弁より先に作動するよう調整
③ 逃がし管は、凍結しないように保温など
④ 圧力計・水高計は、振動を受けないようにし、内部が凍結または80℃以上にならないようにする
⑤ 圧力計・水高計の目もりには、最高使用圧力を示す位置に見やすい表示
⑥ 蒸気ボイラーの常用水位は、ガラス水面計またはその近くに、現在水位と比べられるよう表示
⑦ 燃焼ガスに触れる給水管・吹出管・水面測定装置の連絡管は、耐熱材料で防護
⑧ 温水ボイラーの返り管は、凍結しないように保温など

⚠ 注意

ひっかけは言葉の入れ替えです。目もりは常用圧力ではなく最高使用圧力。水位の表示は安全低水位・最高水位・最低水位ではなく常用水位。連絡管などは「不燃性材料で保温」ではなく「耐熱材料で防護」です(令和6年〜令和8年公表)。

🤔 圧力計の「80℃以上にならない」は、なぜ決められているのですか。

条文には理由までは書かれていません。ただ、圧力計の中に蒸気が直接入らないようにする決まりが、ボイラー構造規格にあります(第66条)。第6回で学んだサイホン管は、この決まりにそった部品です。中に水をためて、熱い蒸気が圧力計まで届かないようにしています。

吹出し・定期自主検査・内部に入るときの決まり

吹出し(ボイラー水を抜く作業)には、次の決まりがあります(第31条)。1人で同時に2つ以上のボイラーの吹出しをしないこと、そして吹出しの間はほかの作業をしないことです。これは事業者だけでなく、作業する労働者にも守る義務があります。

また、ボイラーは使い始めてから1か月以内ごとに1回、定期に自主検査を行います(第32条)。1か月を超えて使わない期間は不要ですが、使用を再開するときには検査が必要です。結果は記録して3年間保存します。

項目(ボイラー則第32条) 点検する装置など
ボイラー本体 損傷の有無
燃焼装置 油加熱器と燃料送給装置・バーナ・ストレーナ・バーナタイルと炉壁・ストーカと火格子・煙道
自動制御装置 起動・停止の装置、火炎検出装置、燃料しゃ断装置、水位調節装置、圧力調節装置、電気配線(端子の異常)
附属装置及び附属品 給水装置・蒸気管と弁・空気予熱器・水処理装置

💡 覚え方

4項目は「本体・燃焼・自動制御・附属」。煙道は「燃焼装置」の仲間、バーナタイルと炉壁も「燃焼装置」です。令和7年10月公表では、「本体=バーナタイル」「附属=煙道」が誤りでした。表にないスートブロワ(令和7年4月公表)や、集じん装置・排水処理装置は点検の項目に入っていません。

点検事項:何を確かめるか

第32条の表は、装置ごとに何を点検するか(点検事項)まで決めています。

点検する装置など 点検事項(ボイラー則第32条)
ボイラー本体 損傷の有無
油加熱器及び燃料送給装置・ストーカ及び火格子 損傷の有無
バーナ・バーナタイル及び炉壁 汚れ又は損傷の有無
ストレーナ つまり又は損傷の有無
煙道 漏れその他の損傷の有無及び通風圧の異常の有無
起動及び停止の装置・火炎検出装置・燃料しゃ断装置・水位調節装置・圧力調節装置 機能の異常の有無
電気配線 端子の異常の有無
給水装置 損傷の有無及び作動の状態
蒸気管及びこれに附属する弁 損傷の有無及び保温の状態
空気予熱器 損傷の有無
水処理装置 機能の異常の有無

⚠ 注意

令和7年4月公表では、「附属装置及び附属品」のスートブロワを点検する、という記述が誤りでした。スートブロワは表のどこにも入っていないからです。その選択肢の「漏れ…通風圧の異常の有無」は、煙道の点検事項です。

ボイラーや煙道の中に入るとき:4つの措置

そうじや修繕などのため、労働者がボイラー(燃焼室を含む)や煙道の内部に入るときの決まりです。そのとき事業者が行う事項として、ボイラー則第34条は次の4項目を挙げています。

内部に入るときの措置(ボイラー則第34条)

①ボイラーや煙道を冷却する

②ボイラーや煙道の内部の換気を行う

③内部で使う移動電線はキャブタイヤケーブルなど、移動電灯はガードのあるものを使わせる

④使用中のほかのボイラーとの管連絡を確実にしゃ断する

移動電線とは、持ち運んで使う電気のコードのことです。キャブタイヤケーブルは、ゴムやビニルの丈夫な外皮で覆った、移動して使うための電線です。条文では「キャブタイヤケーブル又はこれと同等以上の絶縁効力及び強度を有するもの」となっています。

移動電灯は、持ち運んで使う照明です。電球のまわりを囲む枠をガードといいます。管連絡とは、ほかのボイラーと管でつながっていることです。そのつながりを確実にしゃ断する(断ち切る)ことが求められています。

⚠ 注意

「監視人を配置すること」は、第34条に定められていません。令和2年4月公表で、定められていないものの正解でした。残りの選択肢(冷却・換気・ガード付きの移動電灯・管連絡のしゃ断)は、どれも条文どおりです。

第19回で学んだ性能検査の準備でも、ボイラーと煙道を冷却し、掃除しました。中に人が入る場面では、それに加えて換気・電気の安全・ほかのボイラーとのしゃ断まで決められています。

数字をまとめて確認

数字 何の決まりか
3㎡ これを超えるボイラーはボイラー室に設置
2つ ボイラー室の出入口(避難に支障がなければ例外)
1.2m ボイラーの上の構造物までの距離/固体燃料を離す距離
0.45m 被覆していない・立てボイラーの横の構造物までの距離
0.3m 上の例外(胴の内径500mm以下かつ長さ1,000mm以下)
0.15m この範囲の可燃物を不燃性材料で被覆
100mm ボイラー側がこの厚さ以上の不燃性材料で覆われていれば、可燃物の被覆は不要
2m 液体・気体燃料を離す距離
80℃ 圧力計・水高計の内部をこの温度以上にしない
1か月・3年 定期自主検査の間隔と記録の保存期間

1.2mが2回出てくるのが、まぎらわしいところです。「上の空間」と「石炭」の2つが1.2m、と組にしておきましょう。

練習問題:法令に合っているか

答えと考え方

①伝熱面積4㎡の蒸気ボイラーを、工場の作業場の隅に置いた → 3㎡を超えるのでボイラー室が必要

②ボイラーの最上部から天井の配管まで1m(附属品の取扱いに支障あり) → 1.2m以上必要で不適合

③ボイラー室に重油タンクを、ボイラーから1.5mの位置に置いた(障壁なし) → 2m以上必要で不適合

④ボイラー室に石炭を、ボイラーから1.2m離して置いた → 適合

⑤圧力計の目もりの常用圧力の位置に赤い印を付けた → 表示するのは最高使用圧力

⑥定期自主検査を2か月に1回行い、記録を1年保存した → 1か月以内ごとに1回・3年保存

附属品の管理:言葉の入れ替えを見抜く

答えと考え方

①「圧力計の目もりには、常用圧力を示す位置に表示」 → 誤り(最高使用圧力)

②「蒸気ボイラーの最高水位を、現在水位と比べられるよう表示」 → 誤り(常用水位)

③「燃焼ガスに触れる給水管などは、不燃性材料により保温」 → 誤り(耐熱材料で防護)

④「温水ボイラーの返り管は、凍結しないよう保温」 → 正しい

⑤「水高計の内部が80℃以上にならない措置」 → 正しい

第28条の問題は、正しい文の一語だけを入れ替えた選択肢がほとんどです。「最高使用圧力・常用水位・耐熱材料で防護・凍結」の4つの言葉を、条文どおりに覚えておくと見抜けます。

試験ではこう出る

よくある記述・問い 判断
伝熱面積が3㎡を超える蒸気ボイラーは、ボイラー室に設置する 正しい
ボイラーの最上部から上の構造物までは、原則1m以上 誤り。1.2m以上
立てボイラーの外壁から横の構造物までは、原則0.45m以上 正しい
0.15m以内の可燃物は、金属製の材料で被覆する 誤り。金属以外の不燃性の材料
重油は2m以上、石炭は1.2m以上離して貯蔵する 正しい
常用水位を、ガラス水面計の近くに現在水位と比べられるよう表示する 正しい
定期自主検査は6か月以内ごとに1回 誤り。1か月以内ごと
定期自主検査の結果は、記録して3年間保存する 正しい
ボイラー室には、必要がある場合のほか、引火しやすい物を持ち込ませない 正しい
「附属装置及び附属品」のスートブロワについて、通風圧の異常の有無を点検する 誤り。表にない(通風圧は煙道)
伝熱面積3㎡を超えるボイラーは、専用の建物又は建物の中の障壁で区画された場所に設置する 正しい(「密閉された室」「耐火構造物の建物」「地下」は誤り)
ボイラーの内部に入るときは、冷却・換気・ガード付きの移動電灯・ほかのボイラーとの管連絡のしゃ断を行う 正しい(ボイラー則第34条)
ボイラーの内部に入るときは、監視人を配置する 誤り。第34条に定めなし

出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(平成31年4月〜令和8年10月公表)。法令は、e-Gov法令検索の原文で確かめました。ボイラー及び圧力容器安全規則第18条〜第22条・第28条・第29条・第31条・第32条・第34条です。ボイラー構造規格第66条(安全衛生情報センター掲載)も確かめ、ゼロパスが要点を整理しました。

よくある質問

Q. 「事業者」と「ボイラー取扱作業主任者」は、どちらが守る決まりですか。

A. 第20回の決まりは、ほとんどが事業者(会社)の義務です。ただし吹出しの決まりは、作業する労働者にも守る義務があります(第31条第2項)。作業主任者の職務(第18回)とは、別の条文だと分けて覚えましょう。

Q. 伝熱面積3㎡以下のボイラーなら、距離の決まりも守らなくてよいのですか。

A. いいえ。3㎡以下で外れるのは「ボイラー室に置く」という決まりだけです(第18条ただし書)。上1.2m・横0.45mの据付位置や、可燃物・燃料との距離は、同じ節の別の条文として定められています。ボイラー室の外に置く場合も、これらの距離を確かめておきましょう。

Q. 「本体を被覆していないボイラー」とは、どういうものですか。

A. ボイラーの外側を保温材などで覆っていないボイラーのことです。条文では、このボイラーと立てボイラーに、横の距離0.45m以上を求めています。試験では、数字だけでなくどのボイラーが対象かもあわせて読みましょう。

Q. 定期自主検査は、ボイラー技士が自分で行うのですか。

A. 条文は、事業者が自主検査を行わなければならないという書き方です。誰が行うかまでは定めていません。試験では、間隔(1か月)・項目(4つ)・保存(3年)が問われます。

まとめ

・伝熱面積3㎡を超えるボイラーはボイラー室(専用の建物又は建物の中の障壁で区画された場所)へ。出入口は2つ以上

・上の構造物まで1.2m以上、横は0.45m以上(内径500mm・長さ1,000mm以下なら0.3m)

・0.15m以内の可燃物は金属以外の不燃性材料で被覆。燃料は2m以上、固体は1.2m以上

・附属品の管理=目もりは最高使用圧力、水位の表示は常用水位、連絡管などは耐熱材料で防護、逃がし管と返り管は凍結防止

・吹出しは1人で2つ以上同時にしない。定期自主検査は1か月以内ごと・4項目・3年保存

・内部に入るとき=冷却・換気・キャブタイヤケーブルとガード付き移動電灯・管連絡のしゃ断。監視人の配置は定めなし