第4章 取り付ける | 第15回 | 学習カリキュラムの目次を見る

接地(せっち)とは、電気機器の金属部分を地面につないでおくことです。「アース」と呼ばれることもあります。

洗濯機や電子レンジから緑色の線が出ていて、コンセントの下にあるふたを開けてネジで留める——あれがまさに接地です。

学科試験の問21〜30で出題されることが多い分野です。数字を覚えるだけの単元に見えますが、「なぜ地面につなぐのか」から入ると忘れにくくなります。

接地は「万一のときの逃げ道」を作る工事

洗濯機の内部で漏電したとき、電気がどこを通るかを比べた図。接地がないと人の体を通って地面へ流れて感電し、接地があると接地線と接地極を通って地面へ逃げるので人は安全になる
接地は「人より先に、電気が通りたくなる道」を作る工事です。

用語接地工事とは?

接地工事とは、電気機器の金属部分を、電線で地面につなぐ工事のことです。地中に埋めた金属(接地極)と機器を、接地線でつなぎます。

なぜ?なぜ地面につなぐと安全になるのか?

漏れた電気が、人ではなく地面のほうへ流れてくれるからです。洗濯機の内部で漏電(電気が本来の通り道から漏れ出すこと)が起きたとき、接地がなければ触った人の体を通って地面へ流れます。接地があれば、電気は抵抗の小さい接地線のほうを通ります。人の体より、太い銅線のほうがずっと流れやすいからです。

接地にはもうひとつ大事な役割があります。漏電遮断器に「異常が起きた」と気づかせることです。

用語漏電遮断器とは?

電気が漏れていることを見つけて、自動で回路を切る装置です。分電盤(家の電気を各部屋の回路へ分ける箱)の中にあります。行きと帰りの電流を比べて、差があれば「どこかへ漏れている」と判断します。

なぜ?なぜ接地がないと漏電遮断器が働きにくいのか?

電気の逃げ道がないと、そもそも電流が漏れないからです。機器の金属部分に電気が来ていても、どこにも流れなければ差は生まれません。人が触った瞬間にはじめて流れ出す——それでは遅いのです。接地があれば、触る前に電気が地面へ流れ、遮断器がすぐ切ってくれます。

覚える覚え方

接地は「電気に、人より先に通りたくなる道を用意しておく」工事です。電気はいちばん流れやすいところを通ります。人の体より流れやすい道が用意してあれば、人には流れません。

接地工事はA・B・C・Dの4種類

接地工事はA・B・C・Dの4種類第二種で覚えるのは、ほぼC種とD種ですA種高圧・特別高圧の機器接地抵抗 10Ω以下B種変圧器の低圧側(中性点)接地抵抗 計算で決まるC種300Vを超える低圧の機器接地抵抗 10Ω以下D種300V以下の低圧の機器接地抵抗 100Ω以下D種は0.5秒以内に切れる漏電遮断器があれば500Ω以下でよい
数字は「A・C=10Ω/D=100Ω」。第二種の試験では特にD種が大切です。

第二種電気工事士が扱うのは低圧(交流600V以下)なので、実際に出てくるのはC種とD種がほとんどです。300Vを境に、超えたらC種、以下ならD種と覚えてください。

用語4種類のちがい

A種=10Ω以下 … 高圧・特別高圧の機器。いちばん厳しい。

B種 … 変圧器の低圧側(中性点)。数値は計算で決まるので、種類と役割だけ覚えれば十分です。

C種=10Ω以下 … 300Vを超える低圧の機器。

D種=100Ω以下 … 300V以下の低圧の機器。

用語「接地抵抗が小さい」とはどういうことか?

電気が地面へ流れやすいということです。接地極と大地のあいだの抵抗が小さいほど、漏れた電気がすばやく地面へ逃げてくれます。

なぜ?なぜ電圧が高い機器ほど、抵抗を小さくしなければならないのか?

高い電圧ほど、漏れたときの危険が大きいからです。危険が大きいぶん、より速く、より確実に逃がす必要があるので、「10Ω以下」という厳しい条件になります。

覚える覚え方

「厳しいほうが10、ゆるいほうが100」。電圧が高い機器ほど危ないので、接地抵抗は小さく——この理屈で結びつけると、数字がひっくり返りません。

注意緩和されるケース

D種 … 電路に0.5秒以内に動作する漏電遮断器があれば、500Ω以下でよいことになっています。

C種 … 同じ条件で500Ω以下まで緩和されます。

「0.5秒」と「500Ω」がセットです。

D種接地工事を省略できる場合

試験では「省略できないものはどれか」という聞き方で出題されます。省略できる条件を知っていれば、消去法で解けます。

D種接地工事を省略できる主な場合「省略できないもの」を選ばせる問題が定番です乾いた場所対地電圧150V以下の機器を乾燥した場所に設置する絶縁台の上乾いた木の床など絶縁物の上で取りあつかう低圧の機器漏電遮断器15mA以下・0.1秒以内の漏電遮断器を電源側に付けている※水気のある場所では、これらの省略はできません
省略できるのは「乾いている」「絶縁されている」「漏電遮断器がある」の3つ。水気のある場所は例外なく必要です。

覚える省略できる主な条件

①乾燥した場所 … 対地電圧150V以下の機器を乾燥した場所に設置する場合

②絶縁物の上 … 乾いた木の床など絶縁性のものの上で取り扱う低圧の機器

③漏電遮断器 … 電源側に定格感度電流(漏電を感知する電流の大きさ)15mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器がある場合

ほかに、二重絶縁構造の機器や、絶縁変圧器(300V以下・容量3kVA以下)を使っている場合なども省略できます。

なぜ?なぜ水気のある場所では省略できないのか?

水は電気を通すからです。乾いていれば人の体にも電気が流れにくいのですが、床や手がぬれていると体を通って地面まで一気に流れます。

「対地電圧150V以下」とは何のことか?
対地電圧とは、電線と大地のあいだの電圧のことです。一般家庭の100Vの回路は、対地電圧も100Vなので条件に当てはまります。単相3線式の200V回路は、線と線の間は200Vでも、対地電圧は100V——ここが引っかけどころです。

例省略できない代表例(試験の答えになりやすい)

水気のある場所に設置する機器 … 条件①〜③にかかわらず省略できません。

対地電圧が150Vを超える機器を乾燥した場所に置いた場合 … 条件①に当てはまりません。

絶縁抵抗の基準値も、ここで覚える

接地抵抗と絶縁抵抗のちがいを比べた図。接地抵抗は小さいほど良く、絶縁抵抗は大きいほど良い。あわせて対地電圧ごとの絶縁抵抗の基準値(0.1MΩ・0.2MΩ・0.4MΩ)を示している
名前は似ていますが、良し悪しの向きは逆です。

接地とセットで出題されやすいのが絶縁抵抗です。名前が似ていますが、まったく逆の考え方なので注意してください。

用語絶縁抵抗とは?

電線と大地のあいだ(または電線どうしのあいだ)が、どれだけ電気を通しにくいかを表す値です。絶縁抵抗計(メガー)という測定器で測ります。

なぜ?なぜ絶縁抵抗は「大きいほど良い」のか?

電気が漏れていないことを意味するからです。本来、電線の外へ電気が流れてはいけません。抵抗が大きい=漏れていない=正常。接地抵抗が「小さいほど良い」のとは、まったく逆になります。

例絶縁抵抗の最低値

使用電圧300V以下で対地電圧150V以下 … 0.1MΩ以上

使用電圧300V以下(上記以外) … 0.2MΩ以上

使用電圧300V超 … 0.4MΩ以上

覚える覚え方

接地抵抗は小さいほど良い、絶縁抵抗は大きいほど良い。逆に覚えると、関連する問題をまとめて間違えやすくなります。「接地は逃がしたいから小さく、絶縁は漏らしたくないから大きく」——目的から思い出してください。

過去問では、こう出る

例出題のされ方

①D種接地を省略できないものを選ぶ … 定番の形。4つの状況から、省略できないものを1つ選びます。

②接地工事の種類と抵抗値 … 「300Vを超える低圧の機器に施す接地工事とその抵抗値は」→C種・10Ω以下。

③絶縁抵抗の最低値 … 「単相100Vの屋内配線の絶縁抵抗の最小値は」→0.1MΩ。

④接地線の太さ … D種接地工事の接地線は直径1.6mm以上(軟銅線の場合)。

⑤配線図での出題 … 「⑯で示す部分の接地工事の種類と接地抵抗の最大値は」という形でも出ます。

注意つまずきやすいところ

接地抵抗と絶縁抵抗を混同する … 接地はΩ(小さいほど良い)、絶縁はMΩ(大きいほど良い)。単位も違います。

C種とD種の境目を忘れる … 300Vが境。超えたらC種(10Ω)、以下ならD種(100Ω)。

対地電圧と線間電圧を取り違える … 単相3線式の200Vは、対地電圧では100Vです。

よくある質問

よくある質問

Q. B種接地工事だけ、なぜ数値が決まっていないのですか?

A. 変圧器の大きさや、電路の状態によって必要な値が変わるからです。高圧側で地絡(漏電)が起きたときに、低圧側の電圧が上がりすぎないようにするための接地なので、計算で求めます。第二種の試験では、「変圧器の低圧側に施すのがB種」と覚えておけば十分です。

Q. 接地線の色に決まりはありますか?

A. 緑を使うのが原則です。技能試験でも、接地線には緑色の電線が支給されます。緑の線を接地以外に使ってはいけません。

Q. 絶縁抵抗を測るとき、機器はつないだままでよいのですか?

A. 原則として外します。絶縁抵抗計は測定のために高めの電圧をかけるので、電子回路の入った機器をつないだまま測ると壊すおそれがあるからです。どうしても外せない場合は、電路と大地のあいだの漏えい電流(1mA以下)で判定してよいという決まりもあります。

まとめ

まとめこの回の要点

接地は漏れた電気を、人より先に地面へ逃がすための工事。

漏電遮断器を確実に働かせる役割もある。

300Vを超えたらC種、以下ならD種。

A種・C種は10Ω以下、D種は100Ω以下。

D種・C種は0.5秒以内に切れる漏電遮断器があれば500Ω以下。

省略できるのは乾いた場所・絶縁物の上・漏電遮断器あり。水気のある場所は省略できない。

絶縁抵抗は0.1/0.2/0.4MΩ。接地とは逆で大きいほど良い。