第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年度 下期(2024年10月27日実施)の問21〜問30です。
問21〜問30は施工方法・検査と測定器・法令のゾーンです。どれも「決まりごとを知っているか」を聞くだけなので、理由とセットで覚えれば忘れません。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和6年度下期第二種電気工事士試験(学科試験)
問21
分野:施工(三相200Vのエアコン工事)重要度 ★★★
店舗付き住宅の屋内に三相3線式200 V,定格消費電力2.5 kWのルームエアコンを施設した。このルームエアコンに電気を供給する電路の工事方法として,適切なものは。ただし,配線は接触防護措置を施し,ルームエアコン外箱等の人が触れるおそれがある部分は絶縁性のある材料で堅ろうに作られているものとする。
イ.専用の過電流遮断器を施設し,合成樹脂管工事で配線し,コンセントを使用してルームエアコンと接続した。
ロ.専用の漏電遮断器(過負荷保護付)を施設し,ケーブル工事で配線し,ルームエアコンと直接接続した。
ハ.専用の配線用遮断器を施設し,金属管工事で配線し,コンセントを使用してルームエアコンと接続した。
ニ.専用の開閉器のみを施設し,金属管工事で配線し,ルームエアコンと直接接続した。
答え・解説を見る
正解
ロ.専用の漏電遮断器(過負荷保護付)+ケーブル工事+直接接続
この問題は何を聞いているの?
「住宅に三相200Vのエアコンを付けるとき、正しい工事はどれか」という問題です。ふつうの100Vエアコンとのルールの違いがポイントです。
対地電圧とは?
電線と大地(地面)との間の電圧のことです。住宅の屋内配線は原則対地電圧150V以下と決められています。三相200Vは対地電圧も200Vなので、例外として使う代わりに厳しい条件が付きます。
なぜ対地電圧が大きいと厳しくなるのか? 感電するとき、電気は体を通って大地へ流れるからです。対地電圧が大きいほど感電の被害が大きくなるため、150Vを超える場合は追加の安全対策が要求されます。
対地電圧150V超のときの3つの条件
①専用の開閉器と過電流遮断器を施設する。②漏電遮断器を施設する。③電気機械器具は屋内配線と直接接続する(コンセントは使えない)。
なぜコンセントを使ってはいけないのか? コンセントにすると誰でも抜き差しでき、他の機器をつなげてしまうからです。対地電圧200Vの電路は「そのエアコン専用・工事士が直結」に限定して、感電と誤使用のリスクを封じています。
「漏電遮断器(過負荷保護付)」が1台で2役
選択肢ロの過負荷保護付の漏電遮断器は、漏電を止める働きと、電流の流しすぎを止める働きの両方を持っています。つまりこれ1台で、上の条件①と②を同時に満たせます。
なぜ「過負荷保護付」の5文字が重要なのか? ただの漏電遮断器では電流の流しすぎ(過負荷)を止められないからです。この5文字が付いているかどうかで、条件①を満たすかどうかが変わります。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 誤り … コンセント接続がNG。漏電遮断器も無い
ロ これが正しい … 過負荷保護付の漏電遮断器+直接接続。3条件をすべて満たす
ハ 誤り … やはりコンセント接続がNG
ニ 誤り … 開閉器のみで、過電流遮断器も漏電遮断器も無い
よって答えはロです。
この問題の覚え方
三相200Vエアコンは「漏電を守る+電流を守る+直結(コンセント禁止)」の3点セット。選択肢に「コンセント」の文字が見えたら、その時点で候補から外せます。残った中から漏電と過電流の両方をカバーしているものを選びます。
問22
分野:施工(D種接地工事の省略)重要度 ★★★
D種接地工事を省略できないものは。ただし,電路には定格感度電流15 mA,動作時間0.1秒以下の電流動作型の漏電遮断器が取り付けられているものとする。
イ.乾燥した場所に施設する三相200 V(対地電圧200 V)動力配線の電線を収めた長さ3 mの金属管
ロ.水気のある場所のコンクリートの床に施設する三相200 V(対地電圧200 V)誘導電動機の鉄台
ハ.乾燥した木製の床の上で取り扱うように施設する三相200 V(対地電圧200 V)空気圧縮機の金属製外箱部分
ニ.乾燥した場所に施設する単相3線式100/200 V(対地電圧100 V)配線の電線を収めた長さ7 mの金属管
答え・解説を見る
正解
ロ.水気のある場所のコンクリートの床に施設する誘導電動機の鉄台(省略できない)
この問題は何を聞いているの?
「アース工事を省いてもよいのはどれか、逆にダメなのはどれか」という問題です。省略できる条件のリストを1つずつ当てはめます。
D種接地工事とは?
300V以下の低圧機器の金属部分に施すアース工事です。接地抵抗は原則100Ω以下(0.5秒以内に動作する漏電遮断器があれば500Ω以下)。
なぜ金属部分にアースが必要なのか? 機械の中で電線の被覆が傷つくと、金属の外箱全体が電気を帯びて、触った人が感電するからです。アースをしておけば、漏れた電気は人ではなく大地へ流れます。
D種接地を省略できる主な場合
①乾燥した場所で、対地電圧150V以下の機械器具を施設する場合。②金属管の長さが4m以下で乾燥した場所に施設する場合(対地電圧150V超のとき)。③乾燥した木製の床など、絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合。④定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を施設した場合。
なぜ漏電遮断器があると省略してよいのか? アースの目的は感電を防ぐことですが、漏電した瞬間に電気そのものを切ってしまえば、同じ目的が達成できるからです。15mAという小さな漏れでも0.1秒で切れるなら、人体への危険は避けられます。
ただし「水気のある場所」は例外の例外
漏電遮断器による省略には大きな除外規定があります。水気のある場所は省略できません。
なぜ水気のある場所だけは認められないのか? 水にぬれた体は電気を通しやすく、抵抗が極端に下がるからです。乾いた状態なら耐えられる電流でも、ぬれていると致命傷になります。だから「漏電遮断器があるから大丈夫」とは言わせない、というのが法令の考え方です。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 省略できる … 乾燥した場所の4m以下(3m)の金属管
ロ これが省略できない … 水気のある場所なので、漏電遮断器があっても省略不可
ハ 省略できる … 乾燥した木製の床の上で取り扱う機器
ニ 省略できる … 対地電圧100V(150V以下)で乾燥した場所なので、7mでも省略可
よって答えはロです。
この問題の覚え方
接地の省略問題は「水気のある場所と出てきたら、それが答え」と考えてほぼ間違いありません。ほかの選択肢は乾燥・木製の床・150V以下・4m以下といった省略OKのキーワードが必ず入っています。
問23
分野:施工(金属管工事)重要度 ★★☆
金属管工事による低圧屋内配線の施工方法として,不適切なものは。
イ.太さ25 mmの薄鋼電線管に断面積8 mm²の600Vビニル絶縁電線3本を引き入れた。
ロ.太さ25 mmの薄鋼電線管相互の接続にコンビネーションカップリングを使用した。
ハ.薄鋼電線管とアウトレットボックスとの接続部にロックナットを使用した。
ニ.ボックス間の配管でノーマルベンドを使った屈曲箇所を2箇所設けた。
答え・解説を見る
正解
ロ.薄鋼電線管相互の接続にコンビネーションカップリングを使用した(これが不適切)
この問題は何を聞いているの?
「金属管工事のやり方として間違っているものはどれか」という問題です。部品の名前が何を意味しているかで判断します。
コンビネーションカップリングとは?
種類の違う管どうしをつなぐための部品です。コンビネーション=組み合わせという名前のとおり、たとえば「ねじなし電線管と2種金属製可とう電線管」のように、異なる2種類をつなぐとき専用の部品です。
なぜ同じ薄鋼電線管どうしには使えないのか? 同じ種類どうしをつなぐならふつうのカップリングで足りるからです。コンビネーションカップリングは左右で口の形が違うので、同じ管を2本差し込むことはそもそもできません。
ほかの選択肢に出てくる部品
ロックナット=管をボックスに固定する六角のナット(表と裏から締めます)。ノーマルベンド=あらかじめ直角に曲げてある管の部品。曲げ加工の代わりに使います。
なぜ屈曲箇所は数が問題になるのか? 曲がりが多いほど電線を通すのが難しくなるからです。ボックス間で3か所を超える屈曲は避けるのが原則で、2か所なら問題ありません。それ以上になるときは、途中にプルボックス(問11)を入れます。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 適切 … 25mmの管に8mm²×3本は収容できる標準的な組合せ
ロ これが不適切 … 同種の管どうしにはふつうのカップリングを使う
ハ 適切 … 管とボックスの接続にロックナットは正しい
ニ 適切 … 屈曲2か所は原則(3か所以下)の範囲内
よって答えはロです。
この問題の覚え方
「コンビネーション=組み合わせ=種類の違う管どうし」。この名前の意味を知っているだけで解けます。管の部品は「同種をつなぐ・異種をつなぐ・ボックスにつなぐ・曲げる」の4つの役割で整理しておくと混乱しません。
問24
分野:測定器(回路計の読み取り)重要度 ★★★
アナログ式回路計(電池内蔵)の測定レンジを図のように選定し測定したところ,目盛板の値を示した。測定値として,正しいものは。
イ.直流205 V
ロ.抵抗4.5 Ω
ハ.交流205 V
ニ.直流20.5 mA
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「テスターのダイヤルの位置と針の位置から、いくつと読むか」という問題です。ダイヤル→どの目盛を読むか→数値の順に、3ステップで確実に解けます。
回路計(テスター)のダイヤルの意味
ダイヤルの周りにはDCV(直流電圧)・ACV(交流電圧)・DCA(直流電流)・Ω(抵抗)の4つのグループがあり、それぞれに測れる範囲(レンジ)の数字が並んでいます。まずダイヤルがどのグループのどの数字を指しているかを見ます。
なぜレンジを切り替える必要があるのか? 1本の針で数Vから数百Vまでを1つの目盛で測ろうとすると、目盛が細かすぎて読めないからです。だいたいの大きさに合わせてレンジを選ぶことで、針が振れる幅を大きくして精度よく読めます。
3ステップで読む
ステップ1 ダイヤルの位置を見る → この図ではACVの250を指している → 交流電圧を、最大250Vのレンジで測っている
ステップ2 目盛板の中から最大が250の目盛を探す → 目盛板には0・50・100・150・200・250と刻まれた列がある
ステップ3 その目盛で針の位置を読む → 200と250の間、205あたりを指している
測っているのは交流電圧で、値は約205V。よって答えはハの交流205Vです。
なぜほかの選択肢が誤りなのか
イ(直流205V)はダイヤルがDCVではなくACVなので誤り。ロ(抵抗4.5Ω)はダイヤルがΩの位置にないので誤り。ニ(直流20.5mA)はDCAの位置にないので誤り。数値は合っていても、種類が違えば不正解です。
なぜ数値より先にダイヤルを見るのか? ダイヤルを見た瞬間に、4つの選択肢のうち3つが消えるからです。針の細かい読み取りは最後でかまいません。この順番だと、目盛の読み間違いによる失点も防げます。
この問題の覚え方
テスターの読み取りは「①ダイヤルで種類とレンジ→②同じ最大値の目盛を探す→③針を読む」の3ステップ。先にダイヤルを見るだけで正答率が跳ね上がります。レンジに×10などの倍率表示があるときは、最後に読んだ値へ掛けるのも忘れずに。
問25
分野:測定器(絶縁抵抗計)重要度 ★★★
絶縁抵抗計(電池内蔵)に関する記述として,誤っているものは。
イ.絶縁抵抗計には,ディジタル形と指針形(アナログ形)がある。
ロ.絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗計の電池が有効であることを確認する。
ハ.絶縁抵抗計の定格測定電圧(出力電圧)は,交流電圧である。
ニ.電子機器が接続された回路の絶縁測定を行う場合は,機器等を損傷させない適正な定格測定電圧を選定する。
答え・解説を見る
正解
ハ.定格測定電圧は交流電圧である(これが誤り)
この問題は何を聞いているの?
「絶縁抵抗計(メガー)の説明で間違っているものはどれか」という問題です。ポイントは出す電圧が直流か交流かの1点です。
絶縁抵抗計(メガー)とは?
電線や機器の絶縁(電気を漏らさない性能)を測る測定器です。単位はMΩ(メガオーム)=100万Ω。値が大きいほど「漏れていない=良い状態」です。内蔵電池の電圧を数百Vまで昇圧して測定対象にかけ、どれだけ漏れるかを見ます。
なぜわざわざ高い電圧をかけるのか? 絶縁の弱いところはふつうの低い電圧では見つからないからです。実際に使う電圧かそれ以上をかけてみて、それでも漏れないことを確認します。健康診断で負荷をかけて調べるのと似ています。
メガーが出すのは直流電圧
絶縁抵抗計の定格測定電圧(出力電圧)は直流です。125V・250V・500V・1000Vなどの直流電圧が用意されており、測る回路に合わせて選びます。
なぜ直流でなければいけないのか? 交流をかけると、電線とアースの間にある静電容量(コンデンサのような性質)を通って電流が流れてしまい、絶縁が悪くないのに「漏れている」と誤って測ってしまうからです。直流なら、この影響を受けずに本当の漏れだけを測れます。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 正しい … ディジタル形と指針形の両方がある
ロ 正しい … 電池内蔵なので最初に電池の確認
ハ これが誤り … 定格測定電圧は直流。交流ではない
ニ 正しい … 電子機器は高い電圧で壊れることがあるので低めの電圧を選ぶ
よって答えはハです。
この問題の覚え方
「メガーの出力は直流」。この1点だけで解ける問題が繰り返し出ています。あわせて目盛は右が0・左が∞(前年度の出題)、電子機器には低い電圧を選ぶという3点をセットで覚えておくと万全です。
問26
分野:検査(絶縁抵抗と接地)重要度 ★★★
次の空欄(A),(B)及び(C)に当てはまる組合せとして,正しいものは。
使用電圧が300 Vを超える低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は区切ることのできる電路ごとに (A)[MΩ]以上でなければならない。また,当該電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱には (B) 接地工事を施し,接地抵抗値は (C)[Ω]以下に施設することが必要である。ただし,当該電路に施設された地絡遮断装置の動作時間は0.5秒を超えるものとする。
イ.(A)0.4 (B)C種 (C)10
ロ.(A)0.4 (B)C種 (C)500
ハ.(A)0.2 (B)D種 (C)100
ニ.(A)0.4 (B)D種 (C)500
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「300Vを超える低圧の回路について、絶縁抵抗・接地工事の種類・接地抵抗の3つの数字を答えよ」という問題です。2つの表を思い出せば埋まります。
(A)絶縁抵抗の表
使用電圧で3段階に分かれます。対地電圧150V以下=0.1MΩ以上/150Vを超え300V以下=0.2MΩ以上/300Vを超える=0.4MΩ以上。この問題は「300Vを超える」なので0.4MΩです。
なぜ電圧が高いほど大きい値が求められるのか? 同じ絶縁の状態でも、電圧が高いほど漏れる電流は大きくなるからです。高い電圧を使う回路ほど、より良い絶縁(大きい抵抗値)が必要になります。0.1・0.2・0.4と倍々で覚えます。
(B)接地工事の種類
低圧の機器は300V以下ならD種、300Vを超えるならC種です。この問題は「300Vを超える」なのでC種になります。
なぜ300Vが境目なのか? 300Vを超えると感電したときの危険が一段上がると考えられているからです。そこで、より厳しい基準のC種を求めています。C種のほうがD種より厳しいという上下関係も覚えておきましょう。
(C)接地抵抗の値
C種は原則10Ω以下、D種は原則100Ω以下。どちらも0.5秒以内に動作する地絡遮断装置があれば500Ω以下に緩和されます。この問題は「動作時間は0.5秒を超える」と書いてあるので緩和は使えず、原則の10Ωです。
なぜ問題文がわざわざ動作時間に触れているのか? そこが10Ωか500Ωかの分かれ道だからです。「0.5秒以内」なら500Ω、「0.5秒を超える」なら原則どおり。この一文を読み飛ばすとロやニを選んでしまうように作られています。
(A) 300V超 → 絶縁抵抗0.4MΩ以上
(B) 300V超 → C種接地工事
(C) 地絡遮断は0.5秒を超える(緩和なし) → C種の原則10Ω以下
3つとも当てはまるのはイです。
この問題の覚え方
覚えるのは2つの表だけ。絶縁抵抗=0.1/0.2/0.4(150V以下/300V以下/300V超)と、接地=300V以下はD種100Ω・300V超はC種10Ω。そして0.5秒以内の地絡遮断があれば、どちらも500Ωに緩和。この3行がそのまま問題になります。
問27
分野:検査(漏れ電流の測定)重要度 ★★★
単相3線式回路の漏れ電流を,クランプ形漏れ電流計を用いて測定する場合の測定方法として,正しいものは。ただし,網かけの線は中性線を示す。
答え・解説を見る
正解
ハ.3本すべて(電圧線2本+中性線)をまとめてはさむ
この問題は何を聞いているの?
「漏れ電流を測るとき、クランプで何本の電線をはさむのが正しいか」という問題です。1つの考え方さえ理解すれば、どんな回路でも判断できます。
クランプ形漏れ電流計とは?
電線をはさむだけで電流が測れる測定器です。電線のまわりにできる磁気を読み取る仕組みなので、電線を切ったり被覆をむいたりせずに測れるのが便利なところです。
なぜはさむだけで電流が分かるのか? 電流が流れる電線のまわりには必ず磁気が発生するからです。その強さを測れば、電流の大きさが逆算できます。だから電線に直接触れる必要がありません。
漏れ電流を測るときの大原則
その回路のすべての電線をまとめてはさむ。これが唯一のルールです。単相3線式なら電圧線2本+中性線=3本すべて、単相2線式なら2本、三相3線式なら3本です。
なぜ全部まとめてはさむと漏れだけが分かるのか? 正常なら行った電気は全部帰ってくるので、まとめてはさむと磁気が打ち消し合ってゼロになります。ところがどこかで大地へ漏れていると、その分だけ帰ってこないので、差が残ってゼロになりません。この残りこそが漏れ電流です。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 誤り … 3本のうち2本だけをはさんでいる。残り1本が抜けている
ロ 誤り … 電圧線2本だけで中性線が外れている
ハ これが正しい … 電圧線2本+中性線の3本すべてをまとめてはさんでいる
ニ 誤り … 中性線1本だけをはさんでいる
よって答えはハです。
この問題の覚え方
「漏れ電流は全部まとめて、負荷電流は1本だけ」。この対で覚えると混乱しません。同じクランプメータでも、負荷にどれだけ流れているかを知りたいときは1本だけはさみます。目的が逆なので、はさみ方も逆になります。
問28
分野:法令(電気工事士法)重要度 ★★★
「電気工事士法」において,一般用電気工作物に係る工事の作業でa,bともに電気工事士でなければ従事できないものは。
イ.a:配電盤を造営材に取り付ける。/b:電線管を曲げる。
ロ.a:地中電線用の管を設置する。/b:定格電圧200 Vの電力量計を取り付ける。
ハ.a:電線を支持する柱を設置する。/b:電線管に電線を収める。
ニ.a:接地極を地面に埋設する。/b:定格電圧125 Vの差込み接続器にコードを接続する。
答え・解説を見る
正解
イ.a:配電盤を造営材に取り付ける/b:電線管を曲げる
この問題は何を聞いているの?
「aとbの両方とも資格が必要な組合せはどれか」という問題です。資格がいらない作業(軽微な作業)のリストを覚えて、それに当てはまるものを消していきます。
なぜ資格が必要な作業と不要な作業があるのか?
電気工事士法は「間違えると感電や火災につながる作業」だけを資格者に限定しています。逆に、電気の通り道そのものに触れない準備作業や、危険の少ない作業は「軽微な作業」として資格がなくてもできます。
なぜ全部を資格者だけに限定しないのか? 現場では穴を掘る・柱を立てる・材料を運ぶといった作業も必要だからです。これらまで資格者に限定すると工事が回りません。危険なところだけ資格者が担当するという線引きです。
資格がいらない「軽微な作業」の代表
①電線を支持する柱・腕木の設置 ②地中電線用の管や暗きょの設置 ③接地極を地面に埋設する(接地線と接地極を接続する作業は資格が必要) ④電力量計・電流制限器・ヒューズの取付け ⑤差込み接続器(600V以下)にコードを接続する
なぜ電力量計の取付けは資格がいらないのか? 電力量計は電力会社が所有し、決められた場所に決められた方法で取り付けるものだからです。屋内配線そのものを触る作業ではないため、軽微な作業に分類されています。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 両方とも資格が必要 … 配電盤の取付けも電線管を曲げるのも、屋内配線に直接かかわる作業
ロ bが軽微 … aの地中電線用の管の設置も、bの電力量計の取付けもどちらも軽微
ハ aが軽微 … 柱の設置は軽微(bの電線管に電線を収めるのは資格が必要)
ニ 両方とも軽微 … 接地極の埋設も差込み接続器にコードを接続も軽微
aとbの両方に資格が必要なのはイだけです。
この問題の覚え方
軽微な作業は「柱を立てる・地中管を埋める・接地極を埋める・メーターを付ける・コードをプラグにつなぐ」の5つを覚えます。これらが1つでも入っていたらその選択肢は消えるので、消去法で一気に絞れます。
問29
分野:法令(電気用品安全法)重要度 ★★☆
低圧の屋内電路に使用する次の電気用品のうち,特定電気用品の組合せとして,正しいものは。
A:定格電圧200 V,定格電流30 Aの配線用遮断器
B:定格電圧300 V,定格電流20 Aのリモートコントロールリレー
C:定格電圧125 V,定格電流15 Aのライティングダクト
D:定格電圧125 V,定格電流15 Aの差込み接続器
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「A〜Dのうち特定電気用品はどれとどれか」という問題です。電気用品安全法の2つの区分を整理すれば選べます。
特定電気用品とは?
電気用品のうち、構造や使い方から特に危険・障害が起きやすいものとして指定された品目です。ひし形のPSEマークが付きます。それ以外は「特定以外の電気用品」で、丸いPSEマークが付きます。
なぜ2つに分けているのか? 危険度に応じて検査の厳しさを変えるためです。特定電気用品は、国に登録された第三者機関の検査を受ける必要があります。危険なものほど手間をかけて確認する、という考え方です。
特定電気用品になる配線器具の3グループ
配線器具のうち特定電気用品になるのは、①点滅器(スイッチ類)で定格電流30A以下 ②開閉器(配線用遮断器・漏電遮断器など)で定格電流100A以下 ③接続器(差込み接続器・ソケットなど)で定格電流50A以下の3つです。
なぜ配線器具が特定電気用品なのか? スイッチ・ブレーカー・コンセントは電気の通り道そのものに組み込まれ、電流が常に通過する部品だからです。壊れても気づきにくく、そのまま火災につながります。
特定以外になるもの
リモートコントロールリレーとライティングダクトは、どちらも特定以外の電気用品に分類されています。電線管や換気扇なども同じ区分です。
なぜリモートコントロールリレーは特定に入らないのか? リモートコントロールリレーは小さな信号で照明などを遠隔操作する制御用の部品で、法令上は特定以外の配線器具として整理されているためです。「開閉器」ではなくリレーとして別に列挙されているのがポイントです。
A〜Dを1つずつ判定する
A 特定電気用品 … 配線用遮断器30A(100A以下の開閉器)
B 特定以外 … リモートコントロールリレーは特定以外に分類
C 特定以外 … ライティングダクトは特定以外に分類
D 特定電気用品 … 差込み接続器15A(50A以下の接続器)
特定電気用品はAとDなので、答えはロです。
この問題の覚え方
特定電気用品は「スイッチ30A以下・ブレーカー100A以下・コンセント50A以下」の3つの数字で覚えるのが確実です。そのうえで、リモートコントロールリレーとライティングダクトは特定以外という2つの例外を丸暗記しておきましょう。
問30
分野:法令(電圧の区分)重要度 ★★★
「電気設備に関する技術基準を定める省令」で定められている交流の電圧区分で,正しいものは。
イ.低圧は600 V以下,高圧は600 Vを超え10 000 V以下
ロ.低圧は600 V以下,高圧は600 Vを超え7 000 V以下
ハ.低圧は750 V以下,高圧は750 Vを超え10 000 V以下
ニ.低圧は750 V以下,高圧は750 Vを超え7 000 V以下
答え・解説を見る
正解
ロ.低圧は600 V以下,高圧は600 Vを超え7 000 V以下
この問題は何を聞いているの?
「交流の低圧・高圧の境目は何Vか」という、完全な暗記問題です。ただし直流と交流で数字が違うので、そこがひっかけどころです。
電圧の3区分
交流 … 低圧=600V以下/高圧=600Vを超え7,000V以下/特別高圧=7,000V超
直流 … 低圧=750V以下/高圧=750Vを超え7,000V以下/特別高圧=7,000V超
なぜ直流のほうが低圧の範囲が広いのか? 同じ電圧なら交流のほうが人体への危険が大きいとされているからです。交流は筋肉を痙攣させて手が離れなくなる作用があります。そのぶん交流は低めの600Vで線を引いています。
7,000Vはどちらも共通
高圧の上限7,000Vは、交流も直流も同じです。違うのは低圧と高圧の境目(600Vか750Vか)だけと覚えると、記憶する量が半分になります。
なぜ第二種電気工事士の試験でこれを問うのか? 第二種電気工事士が工事できるのは低圧(600V以下)の一般用電気工作物だけだからです。自分の資格でどこまで触れるのかを示す、いちばん基本の数字にあたります。
手順1 問題文は「交流の電圧区分」 → 境目は600V(750Vのハ・ニは消える)
手順2 高圧の上限は7,000V → 10,000Vのイも消える
手順3 残ったロが正解
よって答えはロです。
この問題の覚え方
「交流600・直流750・高圧の上は共通で7,000」。この1行を唱えて覚えます。問題文が交流か直流かを必ず最初に確認してください。そこを読み違えると、正しく覚えていても間違えます。
この記事のまとめ
この10問で必ず持ち帰ること
問21 三相200Vエアコン … 漏電+過電流+直結。コンセント禁止
問22 接地の省略 … 「水気のある場所」は漏電遮断器があっても省略不可
問23 金属管 … コンビネーションカップリングは異種管どうし専用
問24 テスター … ①ダイヤル→②同じ最大値の目盛→③針を読む
問25 メガー … 出力は直流。交流ではない
問26 絶縁と接地 … 0.1/0.2/0.4MΩ・300V超はC種10Ω
問27 漏れ電流 … その回路の電線を全部まとめてはさむ
問28〜30 法令 … 軽微な作業5つ/特定は30A・100A・50A/交流600・直流750
出典
令和6年度下期第二種電気工事士試験(学科試験)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和6年度下期 全5記事)
▶ 問1〜10
計算と電気の基礎(合成抵抗・電線の抵抗・熱量・単相2線式・幹線)
▶ 問11〜20
材料と工具(プルボックス・CV・写真鑑別・絶縁処理・工事の種類)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(電線本数・引込口開閉器・接地・絶縁抵抗)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(接地抵抗計・スリーブ・コネクタ・トラフ・工具)