【第二種電気工事士】モーターと進相コンデンサのきほんをゼロから解説
学科試験の問14・15あたりでは、三相かご形誘導電動機(モーター)と進相コンデンサがたびたび出題されてきました。問われるポイントがある程度決まっているので、この1記事で要点を押さえられます。
この記事では、モーターを見たことがない人を想定して、しくみから試験の急所まで順に説明します。後半では練習問題と、実際の過去問6問も解いてみましょう。
三相かご形誘導電動機とは
用語三相かご形誘導電動機とは?
工場やビルでいちばん多く使われているモーターです。ポンプ・送風機・エレベーターなど、さまざまな機械を回しています。
「三相」=3本の電線で動く。「かご形」=内部の回転子(回転する部分)が鳥かごのような形。
なぜ?なぜこのモーターがいちばん使われているのか?
構造が単純で壊れにくく、安いからです。ブラシ(回転部に電気を送るために擦れ合う部品)のような、すり減って取り替える部品がありません。そのぶん、手入れの手間が少なくて済むことが多いのです。
「誘導」とは 磁石の力で、金属の中に電流を生むこと
名前の残りの2つも見ておきます。電動機は、電気で動く機械、つまりモーターのことです。
誘導は、回るしくみの名前です。磁石を金属の近くで動かすと、金属の中に電流が生まれます。この働きが電磁誘導です。自転車のライトの発電機も、同じ働きで光ります。
モーターを輪切りにすると、外側は動かない部分で、固定子と呼ぶ部品です。電線をぐるぐる巻いたコイルが入っています。内側の回る部分が回転子(鳥かごの形)です。
外側のコイルが作る磁石の力が、内側の鳥かごに電流を生みます。その電流が磁石の力に引っぱられて回るので、誘導電動機と呼ぶのです。
なぜ回るのか 3本の電気が順番に押して、磁石の力が回る
三相交流は、タイミングを少しずつずらした3つの電気を、3本の電線で送るものです。
外側のコイルに3つの電気が順番に流れ込むと、磁石の力がぐるぐる回っていきます。これが回転磁界です。回転子は、この力に引っぱられてついて回るのです。
単相(2本の電線で送る、家庭用の100Vなど)のモーターは、こうはいきません。回り始めるための仕掛けが別に必要です。
配線図では 丸の中にM
配線図では、モーターを丸の中にアルファベットのMを書いて表します。Mは英語のMotor(モーター)の頭文字です。
回転の速さは「周波数」で決まる
用語周波数と回転速度の関係
モーターの回る速さは電源の周波数(電流の向きが入れ替わる速さ)に比例します。周波数が高いほど速く、低いほど遅く回るのです。日本では、おおむね東日本50Hz・西日本60Hzです。
なぜ?なぜ周波数で速さが変わるのか?
モーターの中では、電流の向きが入れ替わるのに合わせて磁石の力がぐるぐる回っています(回転磁界)。入れ替わりが速い(周波数が高い)ほど、磁石の力も速く回ります。いちばん単純な2極のモーターなら、電気の波が1回来るたびに、ちょうど1周するのです。
覚える試験の定番ポイント【4つ】
周波数60Hz→50Hzに変わると … 回転速度は下がる(「増加する」は誤り)
負荷(モーターが回している機械の重さ)が増えると … 回転速度はやや下がる(坂道の自転車と同じ)
3本の電線のうち2本を入れ替えると … 逆回転する
極数(モーター内部の磁石の極の数)が多いモーターほど … 回転は遅い
回転の速さを数字で出す 同期速度=120×周波数÷極数
「周波数が高いほど速い」「極数が多いほど遅い」の2つを、1つの式にまとめたものが同期速度の式です。学科試験では「極数◯のモーターを◯Hzで使うと、回転速度は約いくつか」という計算がくり返し出題されています。
用語同期速度とは?
モーターの中で磁石の力(回転磁界)が1分間に回る回数のことです。単位はmin⁻¹(毎分)で、「1分間に何回転か」という意味です。
用語極数とは?
モーターの中にできる磁石のN極とS極の数の合計です。N極とS極は必ずペアでできるので、極数は2・4・6…と偶数になります。
覚える同期速度の式
同期速度[min⁻¹] = 120 × 周波数[Hz] ÷ 極数
記号で書くと Ns = 120f ÷ p(f=周波数、p=極数)
覚える覚え方 速くするものは「かける」、遅くするものは「割る」
周波数 … 高いほど速く回る。だからかける
極数 … 多いほどゆっくり回る。だから割る
120 … 1分の60秒と、NとSの組の2をかけた数(60 × 2 = 120)
つなげると 同期速度 = 120 × 周波数 ÷ 極数
なぜ?なぜ「120」という数字が出てくるのか?
いちばん単純な2極(N・Sが1組)のモーターでは、電気の向きが1往復するたびに、磁石の力がちょうど1周します。60Hzなら1秒に60周、1分(60秒)では60 × 60 = 3 600周です。
極が4つ(N・Sが2組)になると、電気が1往復しても磁石の力は半周しか進みません。つまり「60 × 周波数」を、N・Sの組の数(極数÷2)で割ることになります。
60 ÷(極数 ÷ 2)は 120 ÷ 極数 と同じなので、式は120 × 周波数 ÷ 極数になるのです。2極・60Hzを入れると 120 × 60 ÷ 2 = 3 600 で、上の計算と一致します。
例計算の例(順にかけて、割る)
6極・50Hz … 120 × 50 = 6 000 → 6 000 ÷ 6 = 1 000 min⁻¹
4極・60Hz … 120 × 60 = 7 200 → 7 200 ÷ 4 = 1 800 min⁻¹
6極・60Hz … 120 × 60 = 7 200 → 7 200 ÷ 6 = 1 200 min⁻¹
覚えるよく出る組合せの早見
50Hz … 2極 3 000/4極 1 500/6極 1 000
60Hz … 2極 3 600/4極 1 800/6極 1 200
同じ極数なら、60Hzは50Hzの1.2倍(60 ÷ 50 = 1.2)。問題文の周波数を必ず確かめてください。
注意実際の回転は、同期速度よりわずかに遅い
かご形誘導電動機の回転子(回転する部分)は、回転磁界に少し遅れて回るのです。この遅れをすべりといいます。
そのため試験では「最も近い回転速度は」と聞かれます。同期速度を計算して、いちばん近い選択肢を選べば大丈夫です。
なぜ?なぜ回転磁界と同じ速さでは回れないのか?
回転子に電流が生まれるのは、回転磁界が回転子を追い越していくからです。まったく同じ速さで並んで回ると追い越しがなくなり、電流も回す力も生まれません。そのため、いつもわずかに遅れて回り続けます。
負荷が増えると、なぜ少しだけ遅くなるのか
用語負荷とは?
モーターが回している機械の重さ、つまりモーターにかかる仕事の重さのことです。
負荷が増えると、回転子は回転磁界からもう少し遅れます。遅れが大きいほど、回転磁界に追い越される量も増えるのです。
追い越しが増えると、回転子に大きな電流が生まれ、重い負荷を回せるようになります。
つまり、負荷が増えると回転速度はやや下がる。坂道に入った自転車が、少し遅くなるのと同じです。
60Hzのモーターを50Hzの地域で使うと、遅くなる
周波数が下がると、同期速度も下がります。4極のモーターで計算してみましょう。
例4極のモーターを、60Hzから50Hzへ
60Hz … 120 × 60 = 7 200 → 7 200 ÷ 4 = 1 800 min⁻¹
50Hz … 120 × 50 = 6 000 → 6 000 ÷ 4 = 1 500 min⁻¹
1 800 − 1 500 = 1分間に300回転、下がる
試験では「60Hzから50Hzに変わると回転速度が増加する」が、誤りの選択肢として出ています(令和8年度上期 問14)。
練習問題 同期速度
同期速度を3問。どれも120 × 周波数 ÷ 極数の型です。1問ずつ計算してから、答えを開いてください。
練習 1/32極のモーターを50Hzで使う。同期速度は、1分間に何回転?
答えを見る
3 000 min⁻¹ … 120 × 50 = 6 000。これを極数の2で割って、1分間に3 000回転です
練習 2/38極のモーターを60Hzで使う。同期速度は、1分間に何回転?
答えを見る
900 min⁻¹ … 120 × 60 = 7 200。これを8で割って、1分間に900回転。極数が多いほど、遅くなります
練習 3/360Hzの地域で使っていた4極のモーターを、50Hzの地域で使う。同期速度は1分間あたり何回転下がる?
答えを見る
300回転下がる … 60Hzは 7 200 ÷ 4 = 1 800。50Hzは 6 000 ÷ 4 = 1 500。1 800 − 1 500 = 300です
逆に回したいときは 3本のうち2本を入れ替える
三相のモーターが逆向きに回ってしまったら、3本の電線のうちどれか2本を入れ替えます。それだけで逆向きに回るのです。
2本を入れ替えると、3つの電気が押す順番が逆になります。そのため、回転磁界も逆向きに回るからです。
この押す順番が相回転です。3本とも入れ替える必要はなく、2本だけで足ります。
始動電流 動き出しの一瞬が大食い

用語始動電流とは?
始動電流とは、モーターが動き始める一瞬に流れる大きな電流のことです。いっぱいに働いているときの電流(全負荷電流)の4〜8倍ほどになります。
なぜ?なぜ動き出しだけ大きな電流が流れるのか?
止まっている重い回転子を回し始めるには大きな力が必要だからです。回り始めてしまえば、電流はすっと通常値まで下がります。
試験では「始動電流は全負荷電流の2倍程度」が、誤りの選択肢として出ています(令和5年度上期 午後 問14の正解ロ)。正しくは4〜8倍ほどで、2倍では小さすぎます。
例令和5年度上期 午後 問14のほかの選択肢(どれも正しい)
イ 負荷が増加すると、回転速度はやや低下する
ハ 周波数が60Hzから50Hzに変わると、回転速度が低下する
ニ 3本のうち2本を入れ替えると逆回転する
用語スターデルタ始動とは?
大きなモーターで、始動電流を約3分の1に抑える始動方法です。巻線(モーター内部のコイル)をまずY(スター)結線でつないで、弱めに動かし始めるのです。回転が上がったらΔ(デルタ)結線に切り替えて本来の力で運転します。
なぜ?なぜわざわざ2段階で始動するのか?
いきなり全力で始動すると、大電流で、電線の途中の電圧が下がり、同じ回路の照明が一瞬暗くなるなどの影響が出るからです。「最初はそっと、あとで全力」に切り替えるのがこの方式です。
スイッチを入れた瞬間、明かりが一瞬暗くなるのはなぜ?
モーターの入った機械のスイッチを入れた瞬間、部屋の明かりが一瞬だけ暗くなることがあります。原因は始動電流です。
電流が増えると、電線の途中で電圧が下がる量(電圧降下)が大きくなります。そのため、同じ回路の照明にかかる電圧も下がるのです。
止まった車を押すとき、最初のひと押しがいちばん重いのと同じです。大きなモーターほど影響が大きいので、電流をおさえる工夫をします。その代表がスターデルタ始動です。
なぜY(スター)結線だと、そっと動くのか
Δ(デルタ)結線は、3つのコイルを三角形につなぐ形です。コイル1つに、電線と電線の間の電圧200Vがそのままかかります。
Y(スター)結線は、3つのコイルを真ん中の1点に集める形です。コイル1つにかかる電圧は、200Vを1.73で割った約115Vに下がります。
1.73は√3(2回かけると3になる数)のことです。電圧が下がるので、電流も、回す力も小さくなるのです。
電線の電流は、約3分の1になる
例コイル1つに10A流れるモーターで比べる
Δ結線 … 電線の電流は、コイルの電流の1.73倍。10 × 1.73 = 約17.3A
Y結線 … コイルの電圧が1.73で割った値になるので、電流も 10 ÷ 1.73 = 約5.8A
Y結線では、電線の電流もコイルの電流と同じ約5.8A
17.3 ÷ 5.8 ≒ 3 → 始動電流は約3分の1
スターデルタ始動で変わる4つ 時間だけが長くなる
用語トルクとは?
モーターが回そうとする力のことです。動き出すときの回そうとする力を、始動トルクといいます。
覚えるスターデルタ始動で変わるもの(全電圧始動と比べて)
始動電流 … 約3分の1に小さくなる(これが目的)
始動トルク … 約3分の1に小さくなる
コイル(巻線)にかかる電圧 … √3分の1に小さくなる(1.73で割った値)
始動時間 … 力が弱いぶん長くなる
小さくなるものばかりで、時間だけが長くなる。「大きくなる」「短くなる」は誤り
全電圧始動とは、いきなり全部の電圧をかけて動かす方法です。じか入れ始動ともいいます。
スターデルタ始動を使うのは 三相かご形誘導電動機
スターデルタ始動を使うのは、三相かご形誘導電動機です。外側の3つのコイルの両端を外に出しておけば、つなぎ替えられるからです。
同じ三相でも、回転子に電線を巻いた巻線形(まきせんがた)誘導電動機は別です。回転子に抵抗をつなぐ方法で動き出すのが一般的です。
直流のモーターや単相のモーターは、三相のコイルの組がないので、YとΔの切り替えができません。
令和6年度上期 問15には「スターデルタ始動装置と一般用低圧三相かご形誘導電動機」という選択肢があります。これは正しい組み合わせの側です(問題は、誤った組み合わせを選ぶもの)。
練習問題 回転の向きと動き出し
向きと動き出しを3問。1問ずつ考えてから、答えを開いてください。
練習 1/3三相のモーターをつないだら、逆向きに回った。電線をどう直せばよい?
答えを見る
3本のうち2本を入れ替える … 押す順番(相回転)が逆になり、回転磁界の向きも逆になります
練習 2/3いきなり全部の電圧をかけると、始動電流が120A流れるモーター。スターデルタ始動にすると、約何A?
答えを見る
約40A … スターデルタ始動の始動電流は約3分の1。120 ÷ 3 = 40です
練習 3/3スターデルタ始動にすると、始動トルクと、動き出しにかかる時間はどうなる?
答えを見る
トルクは約3分の1に小さく、時間は長くなる … 小さくなるものばかりで、時間だけが長くなる、と覚えます
進相コンデンサ モーターの相棒
用語進相コンデンサとは?
モーターと並列につないで、力率(電気がどれだけムダなく仕事に使われているかの割合)を改善するためのコンデンサです。コンデンサとは、電気を一時的にためる部品のことです。
なぜ?なぜコンデンサをつなぐと力率が良くなるのか?
モーターは、仕事をしない「遅れた電流」を必要とする性質があります。コンデンサは逆向きの「進んだ電流」を作るので、打ち消し合って電源から流れるムダな電流が減るのです。
「進相」とは 電流のタイミングを進めること
進相とは、電流のタイミングを進める、という意味です。モーターのコイルの遅れた電流を、コンデンサの進んだ電流で打ち消すので、この名前です。
シーソーで考えると分かりやすくなります。コイルは、仕事をしない行ったり来たりの電気を吸い込む側。コンデンサは、正反対のタイミングで吐き出す側です。
両方が釣り合うと、行ったり来たりがモーターのそばで済みます。そのため、電源から流れる電流が減るのです。
つなぎ方は並列 直列ではない
進相コンデンサは、モーターと並列(枝分かれのつなぎ方)につなぎます。
並列なら、モーターにかかる電圧はそのままです。コンデンサは横で、行ったり来たりの電気だけを引き受けます。
もし直列(一列のつなぎ方)にすると、モーターの電流がすべてコンデンサを通ります。モーターにかかる電圧まで変わってしまうので、並列にするのです。
付ける場所は 手元開閉器の負荷側
用語手元開閉器とは?
モーターのすぐそばで、モーターを入れたり切ったりするスイッチのことです。
用語負荷側とは?
そのスイッチから見て、モーター(負荷)のある側のことです。反対の、電気が来る側を電源側といいます。
手元開閉器の負荷側に付けると、スイッチでモーターを切ったとき、コンデンサも一緒に切れます。
なぜ?なぜモーターと一緒に切れるようにするのか?
モーターが止まると、シーソーのモーター側が軽くなります。コンデンサだけがつながったままだと、シーソーはコンデンサ側に傾くのです。これが入りすぎで、行ったり来たりの電気が、かえって増えてしまいます。
負荷側に付ければ、いつも一緒に入り、一緒に切れるので、入りすぎを防げるのです。規程(内線規程)では、モーター1台ごとに付けることがすすめられています。
力率が良くなると 減るもの・変わらないもの
例進相コンデンサで力率が良くなったとき
減る … 電線を流れる電流/電線で熱になってむだになる電力(電力損失)/電圧降下
変わらない … モーターの消費電力(有効電力)/回転速度
電源からの電流は減るが、0にはならない(仕事をする分の電流は残る)
回転速度が変わらないのは、回転の速さが周波数と極数で決まるからです。
モーターのところの電圧は、少し上がる
電流が減ると、電線の途中の電圧降下が小さくなります。そのため、モーターのところの電圧は少し上がるのです。
覚える覚え方 「電流が減る」から順にたどる
電線の電流が減る … コンデンサが行ったり来たりの電気を引き受けるから
電力損失・電圧降下が減る … 電線を流れる電流が減ったから
モーターのところの電圧は少し上がる … 途中で下がる電圧が減ったから
いちばん初めの「電流が減る」さえ押さえれば、あとは順にたどれます
目的は力率の改善だけ ほかの目的が誤りになる理由
試験では、ほかの目的が誤りの選択肢としてよく並びます。どれもコンデンサでは変わりません。
注意進相コンデンサの目的ではないもの
振動を防ぐ … 振動の原因は、回る部分の重さの偏りや、取り付け方など機械の側にあることが多い
周波数の変動を防ぐ … 周波数は、発電所の発電機で決まる
回転速度の変動を防ぐ … 回転の速さは、周波数と極数で決まる
実物の見た目 本体に µF(マイクロファラド)の数字
進相コンデンサは、四角い箱の形のものが多く、三相用なら電線をつなぐ端子が3つ付いています。
本体には、µF(マイクロファラド)という単位で数字が書かれていることが多いです。
ファラド(F)は、コンデンサが電気をためる大きさの単位で、学者ファラデーの名前から来ています。マイクロ(µ)は100万分の1という意味です。 → 写真の見分けは第12回
覚える進相コンデンサの試験ポイント
目的は力率の改善。これだけが目的(振動・周波数の変動・回転速度の変動を防ぐ、は誤り)
つなぎ方はモーターと並列(手元開閉器の負荷側)
力率が改善すると … 電線の電流が減る/電力損失が減る
回転速度と消費電力(有効電力)は変わらない
練習問題 進相コンデンサ
進相コンデンサを3問。1問ずつ考えてから、答えを開いてください。
練習 1/3進相コンデンサは、モーターと直列・並列のどちらにつなぐ? 手元開閉器から見て、どちら側に付ける?
答えを見る
並列に、手元開閉器の負荷側 … モーターと一緒に入って、一緒に切れるので、入りすぎを防げます
練習 2/3進相コンデンサで力率が良くなった。電線を流れる電流と、モーターの回転速度はそれぞれどうなる?
答えを見る
電流は減る・回転速度は変わらない … 回転の速さは周波数と極数で決まるので、コンデンサでは変わりません
練習 3/3進相コンデンサを付けると、モーターのところの電圧は少し上がる? 少し下がる?
答えを見る
少し上がる … 電流が減って、電線の途中の電圧降下が小さくなるからです。電流が減れば、途中で下がる電圧も減る、でしたね
太陽光発電で使う機械 パワーコンディショナ
モーターのほかに、建物で使う機械として屋根の太陽光発電も出題されています。ここでは、試験に出る2つの言葉を見ておきましょう。
用語パワーコンディショナとは?
太陽電池がつくる直流を、家で使える交流に変える装置です。パワー=電力、コンディショナ=整えるもの、という意味の名前です。
なぜ?なぜ直流を交流に変える必要があるのか?
太陽電池がつくるのは、乾電池と同じ向きが変わらない直流だからです。家のコンセントや電力会社の電線は、向きが行ったり来たりする交流。そのままでは家電に使えず、電力会社の電線にも送れません。
系統連系とは 電力会社の電線とつないで使うこと
用語系統連系とは?
家で発電した電気を、電力会社の電線とつないで一緒に使うことです。「系統」は電力会社の電線のつながり、「連系」はつなぐという意味です。
晴れた昼は、余った電気を電力会社へ送ります。夜や雨の日は、電力会社から電気を買う。このやり取りのために、両方をつないでおくのです。
系統連系では「逆接続可能型」の漏電遮断器を使う
ふつうの家では、電気は電力会社から家へ、一方向に流れます。そのため一般的な漏電遮断器は、電気が入ってくる側(電源側)と出ていく側(負荷側)が決まっているのです。
太陽光発電では、余った電気が家から電力会社へ、逆向きにも流れます。そこで、電源側と負荷側を逆につないでも使える漏電遮断器を付けるのです。これを逆接続可能型といいます。
例漏電遮断器の名前に付く言葉
過負荷保護付 … 漏電だけでなく、電流の流れすぎ(使いすぎ)でも切れる
高感度形 … 小さな漏れでも切れる(定格感度電流30mA以下)。電気の向きとは関係ない
逆接続可能型 … 電源側と負荷側を逆につないでも使える
過去問で確かめる 6問
この回の内容だけで解ける6問を選びました。問題文は、各年度の過去問ページで確認できます。解く前に、つまずきやすい3つを確かめておきましょう。
① 同期速度は120 × 周波数 ÷ 極数。実際の回転は、すべりのぶん少しだけ遅い。
② スターデルタ始動は小さくなるものばかりで、時間だけが長くなる。
③ 進相コンデンサの目的は力率の改善だけ。
令和6年度下期 問14 6極・60Hzの回転速度
極数6の三相かご形誘導電動機を、周波数60Hzで使うときの、最も近い回転速度を選ぶ問題です。選択肢は600・1 200・1 800・3 600 min⁻¹。
120 × 60 = 7 200。これを極数の6で割って、1分間に1 200回転。答えは1 200(正解ロ)です。実際の回転はすべりのぶん少し遅いので、いちばん近い数を選びます。
1 800は4極、3 600は2極のときの数字です。600は、120の代わりに60を使ってしまったときに出る数字です。 → 令和6年度下期 問11〜20の解説
令和8年度上期 問14 三相かご形誘導電動機の誤った記述
一般用低圧三相かご形誘導電動機についての記述で、誤っているものを選ぶ問題です。
答えはハ「電源の周波数が60Hzから50Hzに変わると回転速度が増加する」(正解ハ)。周波数が下がれば、回転速度も下がります。
イ「負荷が増加すると回転速度はやや低下する」は正しい。回転子の遅れが大きくなるからです。
ロ「全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の4〜8倍程度」も正しい記述です。全負荷電流とは、モーターがいっぱいに働いているときの電流のことです。
ニ「3本の結線のうちいずれか2本を入れ替えると逆回転する」も正しい記述です。 → 令和8年度上期 問11〜20の解説
令和6年度上期 問14 スターデルタ始動の特徴
全電圧始動(じか入れ始動)と比べた、スターデルタ始動の特徴として正しいものを選ぶ問題です。
答えはロ「始動電流が小さくなる」(正解ロ)。これがスターデルタ始動の目的です。
イ「始動時間が短くなる」は誤りで、力が弱いぶん長くなります。ハ「始動トルクが大きくなる」も誤りで、約3分の1に小さくなるのです。
ニ「始動時の巻線に加わる電圧が大きくなる」も誤り。巻線(コイル)の電圧は√3分の1に下がります。 → 令和6年度上期 問11〜20の解説
令和8年度上期 問15 進相コンデンサを並列につなぐ目的
低圧三相誘導電動機に、低圧進相コンデンサを並列に接続する目的を選ぶ問題です。
答えはイ「回路の力率を改善する」(正解イ)。行ったり来たりの電気をコンデンサが引き受け、電源からの電流が減ります。
ロの振動、ハの周波数の変動、ニの回転速度の変動は、どれもコンデンサでは防げません。周波数は発電所で、回転速度は周波数と極数で決まります。 → 令和8年度上期 問11〜20の解説
令和7年度下期 問15 太陽光発電で使う機器
系統連系型の小出力太陽光発電設備で使われる機器を選ぶ問題です。選択肢は調光器・低圧進相コンデンサ・自動点滅器・パワーコンディショナ。
答えはニ「パワーコンディショナ」(正解ニ)。太陽電池の直流を、交流に変える装置です。
イの調光器は、照明の明るさを変える器具。ロの低圧進相コンデンサは、モーターの力率を改善する機器です。ハの自動点滅器は、周りの明るさで照明を自動で入り切りする器具。どれも太陽光発電のための機器ではありません。 → 令和7年度下期 問11〜20の解説
令和5年度上期 午前 問21 太陽光発電に付ける漏電遮断器
住宅に、系統連系型の発電設備(出力5.5kW)をつなぐ問題です。順番は太陽電池→パワーコンディショナ→漏電遮断器→商用電源側。商用電源とは、電力会社から送られてくる電気のこと。漏電遮断器の種類を選びます。
答えはニ「過負荷保護付 逆接続可能型」(正解ニ)。電気が家から電力会社へ逆向きにも流れるので、逆につないでも使える型が要ります。
イ「過負荷保護なし」は、使いすぎで切れず、逆向きにも対応していません。ロ「過負荷保護付」は、逆向きに対応していません。
ハ「過負荷保護付 高感度形」の高感度は、小さな漏れで切れるという意味です。電気の向きとは関係がないので、誤りになります。
まとめ
まとめこの記事で覚えること
周波数が下がれば回転も下がる(60Hz→50Hzで減速)
2本入れ替えで逆回転
同期速度 = 120 × 周波数 ÷ 極数(6極50Hz=1 000、4極60Hz=1 800、6極60Hz=1 200)
始動電流は4〜8倍。抑えたいときはスターデルタ始動(約3分の1)
進相コンデンサ=力率改善・並列につなぐ
力率が良くなっても回転速度は変わらない
回転子は回転磁界に少し遅れてついていく(すべり)。負荷が増えるとやや遅くなる
同期速度の式の120は、1分の60秒×NとSの2。周波数はかけて、極数で割る
スターデルタ始動は電流もトルクも約3分の1、巻線の電圧は√3分の1、時間だけ長くなる。使うのは三相かご形
進相コンデンサは手元開閉器の負荷側に、モーターと並列。電流は減り、電圧は少し上がる
目的は力率の改善だけ(振動・周波数・回転速度は関係ない)
太陽光の直流を交流に変えるのはパワーコンディショナ。系統連系では逆接続可能型の漏電遮断器
実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)
▶ 問1〜10
計算と電気の基礎
▶ 問11〜20
材料と工具
▶ 問21〜30
工事のルールと法令
▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
