電気の勉強でいちばん混ざりやすいのが、W(ワット)・Wh(ワット時)・J(ジュール)の3つです。名前が似ているうえ、試験ではこの違いを狙って引っかけてきます。

この記事では、電気をまったく知らない人を想定して、3つの違いと計算のしかたを説明します。

W・Wh・J 3つの単位のちがい「勢い」と「たまった量」を分けて考えるのがコツW(ワット)Wh(ワット時)J(ジュール)1秒あたりの勢い= 電力勢い × 時間= 電力量熱や仕事の量= 熱量1 kWh = 1,000 Wh / 1 Wh = 3,600 J (1時間=3,600秒だから)
電力(W)は「今この瞬間の勢い」、電力量(Wh)は「勢い×時間でたまった量」。ジュール(J)は熱として表した同じ量で、1Whは3,600Jにあたります。

W(ワット)= 1秒あたりに使う電気の量

電力(W)とは?

1秒あたりに使っている電気の量です。今この瞬間の勢いを表します。

なぜ「1秒あたり」で表すのか? 「たくさん使う」だけでは比べられません。1秒あたりに直すことで、どの機器がどれだけ電気を食うかを比べられるようにした単位です。

電力の求め方

電力[W] = 電圧[V] × 電流[A]

形を変えると
電流 = 電力 ÷ 電圧

計算の例

100Vで16A流れている → 電力 = 100 × 16 = 1 600W

100Vで1 600Wの機器 → 電流 = 1 600 ÷ 100 = 16A

この「電流 = 電力 ÷ 電圧」は、過去問の電圧降下の問題で最初にやる計算です。必ず使えるようにしておいてください。

Wh(ワット時)= 使った量の合計

電力量(Wh)とは?

ある時間に使った電気の合計です。W(勢い)× 時間で求めます。

なぜ時間をかけるのか? 車でいえばW=速度、Wh=走った距離です。速度計を見ても走行距離は分かりません。合計を知るには時間をかける必要があります。

電力量の求め方

電力量[Wh] = 電力[W] × 時間[時間]

1 000Wh = 1kWh(キロワット時)。電気料金の請求書に出てくる単位です。

計算の例

300Wの電熱器を2時間 → 300 × 2 = 600Wh

1 000Wのドライヤーを30分(0.5時間) → 1 000 × 0.5 = 500Wh

J(ジュール)= 熱や仕事の量

熱量(J)とは?

発生した熱の量を表す単位です。1Wの電力を1秒使うと1Jになります。

なぜ電力×秒で求まるのか? Wが「1秒あたりの量」なので、それに秒数をかければ合計になります。時給×働いた時間=給料、と同じ考え方です。

熱量の求め方

熱量[J] = 電力[W] × 時間[秒]

※ここだけ時間の単位が「秒」です。1 000J = 1kJ(キロジュール)

WhとJの関係

1Wh = 3 600Jです。

なぜ3 600倍になるのか? 1時間=3 600秒だからです。Wh は「時間」で、J は「秒」で数えているだけの違いです。

つまずくのは単位の変換だけ

計算そのものは掛け算1回です。間違えるとしたら単位を直し忘れたときだけです。

300Wの電熱器を2時間使ったときの発熱量[kJ]

手順1 時間を秒に直す … 2時間 = 2 × 60 × 60 = 7 200秒

手順2 掛け算する … 300 × 7 200 = 2 160 000 J

手順3 kJに直す … 2 160 000 ÷ 1 000 = 2 160 kJ

別の道(Whを経由する)

手順1 300W × 2時間 = 600Wh

手順2 600 × 3 600 = 2 160 000 J

手順3 ÷1 000 = 2 160 kJ … 同じ答えになります

試験で狙われるポイント

「電力」と「電力量」を入れ替える引っかけ

測定器の問題で「電力計で消費電力量を測定する」という選択肢が出ます。これは誤りです。

なぜ「量」の一文字で意味が変わるのか? 電力計が測れるのは電力[W]だけ。電力量[Wh]を測るのは電力量計(家の外にある電気メーター)です。「量」の一文字で意味が変わります。

まとめ

この記事で覚えること

W = 電圧 × 電流(1秒あたりの勢い)

Wh = W × 時間(合計。電気料金の単位)

J = W × 秒(熱の量。時間は必ず秒に直す)

1Wh = 3 600J

電力計は「電力」、電力量計は「電力量」。「量」の一文字を見逃さない

実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)

▶ 問1〜10
計算と電気の基礎

▶ 問11〜20
材料と工具

▶ 問21〜30
工事のルールと法令

▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け