【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)
電気の勉強でいちばん混同しやすいのが、W(ワット)・Wh(ワットアワー)・J(ジュール)の3つです。名前が似ているうえ、試験ではこの違いを狙って引っかけてきます。
この記事では、電気をまったく知らない人を想定して、3つの違いと計算のしかたを説明します。
W(ワット)= 1秒あたりに使う電気の量

用語電力(W)とは?
電力とは、1秒あたりに使っている電気の量のことです。今この瞬間の勢いを表します。
なぜ?なぜ「1秒あたり」で表すのか?
「たくさん使う」だけでは比べられません。1秒あたりに直すことで、どの機器がどれだけ電気を使うかを比べられるようにした単位です。
覚える電力の求め方
電力[W] = 電圧[V] × 電流[A]
形を変えると
電流 = 電力 ÷ 電圧
例計算の例
100Vで16A流れている → 電力 = 100 × 16 = 1 600W
100Vで1 600Wの機器 → 電流 = 1 600 ÷ 100 = 16A
この「電流 = 電力 ÷ 電圧」は、過去問の電圧降下(電線を通る間に電圧が少し下がること)の問題で最初に行う計算です。確実に使えるようにしておきましょう。
練習問題 W = 電圧 × 電流
同じ型の問題を3問。1問ずつ、自分で計算してから答えを開いてください。単位にも注意します。
練習 1/3100Vで5A流れているとき、電力は何W?
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500W … 100 × 5 = 500W
練習 2/3200Vで10A流れているとき、電力は何kW?
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2kW … 200 × 10 = 2 000W。kWで聞かれているので ÷1 000 して 2kW
練習 3/3100Vで0.8A流れているとき、電力は何W?
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80W … 100 × 0.8 = 80W。小数でも、かけ算の手順は同じです
Wh(ワットアワー)= 使った量の合計
用語電力量(Wh)とは?
電力量とは、ある時間に使った電気の合計のことです。W(勢い)× 時間で求めます。
なぜ?なぜ時間をかけるのか?
車でいえばW=速度、Wh=走った距離です。速度計を見ても走行距離は分かりません。合計を知るには時間をかける必要があります。
覚える電力量の求め方
電力量[Wh] = 電力[W] × 時間[時間]
1 000Wh = 1kWh(キロワットアワー)。電気料金の請求書に出てくる単位です。
例計算の例
300Wの電熱器を2時間 → 300 × 2 = 600Wh
1 000Wのドライヤーを30分(0.5時間) → 1 000 × 0.5 = 500Wh
練習問題 Wh = W × 時間
分で書かれていたら、何時間かに直してからかけます。
練習 1/3500Wの機器を3時間使ったときの電力量は何Wh?
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1 500Wh … 500 × 3 = 1 500Wh
練習 2/31 200Wのドライヤーを30分使ったときの電力量は何Wh?
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600Wh … 30分=0.5時間。1 200 × 0.5 = 600Wh
練習 3/3600Wの電子レンジを20分使ったときの電力量は何Wh?
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200Wh … 20分は60分のうちの20分=3分の1時間。600 ÷ 3 = 200Wh。分のままかけて最後に60で割っても同じです(600 × 20 ÷ 60 = 200)
J(ジュール)= 熱や仕事の量
用語熱量(J)とは?
発生した熱の量を表す単位です。1Wの電力を1秒使うと1Jになります。
なぜ?なぜ電力×秒で求まるのか?
Wが「1秒あたりの量」なので、それに秒数をかければ合計になります。時給×働いた時間=給料、と同じ考え方です。
覚える熱量の求め方
熱量[J] = 電力[W] × 時間[秒]
※ここだけ時間の単位が「秒」です。1 000J = 1kJ(キロジュール)
用語WhとJの関係
1Wh = 3 600Jです。
なぜ?なぜ3 600倍になるのか?
1時間=3 600秒だからです。Wh は「時間」で、J は「秒」で数えているだけの違いです。
練習問題 J = W × 秒
時間は必ず秒に直してからかけます。
練習 1/3100Wを10秒使ったときの熱量は何J?
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1 000J … 100 × 10 = 1 000J
練習 2/320Wを1分使ったときの熱量は何J?
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1 200J … 1分=60秒。20 × 60 = 1 200J
練習 3/3500Wの電熱器を1時間使ったときの熱量は何kJ?
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1 800kJ … 1時間=3 600秒。500 × 3 600 = 1 800 000J。kJで聞かれているので ÷1 000 して 1 800kJ
つまずきやすいのは単位の変換
計算そのものは掛け算1回です。間違える原因の多くは、単位の直し忘れです。
例300Wの電熱器を2時間使ったときの発熱量[kJ]
手順1 時間を秒に直す … 2時間 = 2 × 60 × 60 = 7 200秒
手順2 掛け算する … 300 × 7 200 = 2 160 000 J
手順3 kJに直す … 2 160 000 ÷ 1 000 = 2 160 kJ
例別の道(Whを経由する)
手順1 300W × 2時間 = 600Wh
手順2 600 × 3 600 = 2 160 000 J
手順3 ÷1 000 = 2 160 kJ … 同じ答えになります
電流と抵抗だけで電力を出す P=I²R
ここまでの電力の式は電圧×電流でした。ところが試験では、電圧が書かれておらず、電流と抵抗だけが与えられる問題がよく出ます。例えば「電線のつなぎ目が0.4Ωの抵抗になり、そこに10Aが流れた。熱はどれだけ出るか」という形です。
このときは、第1回のオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力=電圧×電流を組み合わせた式を使います。
用語P=I²R とは?
抵抗R[Ω]に電流I[A]が流れたとき、その抵抗で使われる電力P[W]を、電流と抵抗だけで求める式です。抵抗で使われた電力は、熱になって出ていきます。
I²(アイの2乗)は「I × I」のことです。
なぜ?なぜ電流を2回かけることになるのか?
電力は電圧 × 電流です。そして抵抗にかかる電圧は、オームの法則で電流 × 抵抗と分かります。
この「電流 × 抵抗」を電圧のところに入れると、(電流 × 抵抗)× 電流 = 電流 × 電流 × 抵抗。こうして電流が2回出てくるのです。
覚える電力を出す3つの形
電力 = 電圧 × 電流(電圧と電流が分かるとき)
電力 = 電流 × 電流 × 抵抗(電流と抵抗が分かるとき)
電力 = 電圧 × 電圧 ÷ 抵抗(電圧と抵抗が分かるとき。電流=電圧÷抵抗を入れた形)
形を変えると 抵抗 = 電力 ÷(電流 × 電流)/抵抗 = 電圧 × 電圧 ÷ 電力
例計算の例(どの形でも同じ答えになる)
問題 … 10Ωの抵抗に2Aが流れている。電力は?
P=I²R で … 2 × 2 × 10 = 40W
確かめ … 電圧 = 2 × 10 = 20V → 電力 = 20 × 2 = 40W(同じ答え)
逆向き … 電力100W・電流2Aの抵抗は 100 ÷(2 × 2)= 25Ω
注意電流が2倍になると、熱は4倍になる
電流を2回かけるので、電流が2倍になると電力(熱)は2 × 2 = 4倍になります。
上の例で、電流を2Aから4Aにすると 4 × 4 × 10 = 160W。40Wのちょうど4倍です。
電流が半分になれば、熱は4分の1。この「2乗で効く」性質は、第6回の電線の電力損失でも使います。
例題 つなぎ目の接触不良で出る熱
電線のつなぎ目がゆるむと、そこに小さな抵抗(接触抵抗)が生まれます。電流が流れ続けるとその抵抗で熱が出続け、焼損や火災の原因になります。試験では、この熱の量を計算させる問題がくり返し出ています。
例接触抵抗0.4Ωに10Aが1時間流れたときの熱量[kJ]
手順1 電力を出す(P=I²R) … 10 × 10 × 0.4 = 40W
手順2 時間を秒に直す … 1時間 = 60 × 60 = 3 600秒
手順3 熱量を出す … 40 × 3 600 = 144 000 J
手順4 kJに直す … 144 000 ÷ 1 000 = 144 kJ
覚える三相の回路で抵抗が3つあるとき
三相(3本の電線で送る方式。第4回で学びます)の問題では、同じ抵抗が3つつながっていることがあります。
このときは、1つの抵抗に流れる電流でI²Rを出してから、3倍します。例えば1つの抵抗8Ωに20Aが流れていれば、20 × 20 × 8 = 3 200W、3つで9 600W=9.6kWです。
練習問題 電流 × 電流 × 抵抗
まず電流 × 電流 × 抵抗で電力を出します。
練習 1/35Ωの抵抗に2A流れているとき、電力は何W?
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20W … 2 × 2 × 5 = 20W
練習 2/30.5Ωの抵抗に20A流れているとき、電力は何W?
答えを見る
200W … 20 × 20 = 400。これに0.5をかけて 200W
練習 3/30.4Ωの抵抗に5Aが1分間流れたとき、発生する熱量は何J?
答えを見る
600J … 電力は 5 × 5 × 0.4 = 10W。1分=60秒なので 10 × 60 = 600J
試験で狙われるポイント
注意「電力」と「電力量」を入れ替える引っかけ
測定器の問題で「電力計で消費電力量を測定する」という選択肢が出ることがあります。これは誤りです。
なぜ?なぜ「量」の一文字で意味が変わるのか?
電力計が測れるのは電力[W]だけ。電力量[Wh]を測るのは電力量計(家の外にある電気メーター)です。「量」の一文字で意味が変わります。
過去問で確かめる 3問
この回の内容だけで解ける過去問を3つ選びました。問題文と図は、各年度の過去問ページで確認できます。
令和6年度上期 問1 図の回路で、8Ωの消費電力を求める
20Ωと30Ωの並列をまず1つにまとめて(600 ÷ 50 = 12Ω)、8Ωと足して全体20Ω。電流は200 ÷ 20 = 10A。8Ωは1本道の途中なので10Aがそのまま流れ、10 × 10 × 8 = 800W(正解ロ)。回路のまとめ方は第1回で学んだ方法です。 → 令和6年度上期 問1〜10の解説
令和7年度上期 問3 接触抵抗0.2Ωに10Aが1時間流れたときの熱量
電力は 10 × 10 × 0.2 = 20W。1時間=3 600秒なので 20 × 3 600 = 72 000J=72kJ(正解イ)。上の例題(0.4Ωで144kJ)と同じ手順で、接触抵抗が半分なら熱も半分です。 → 令和7年度上期 問1〜10の解説
令和7年度下期 問2 抵抗Rを表す式として誤っているもの
覚える式の読み方
ななめの線(/)は割り算、文字が並んでいるところは掛け算、右上の小さな2は同じものを2回かけるという意味です。
例:PI/V = P × I ÷ V / P/I² = P ÷(I × I) / V²/P = V × V ÷ P
V/I はオームの法則そのもの、P/I² は「電力=電流×電流×抵抗」を、V²/P は「電力=電圧×電圧÷抵抗」を、それぞれ抵抗について直した形で、どれも正しい式です。PI/V だけはどの形からも出てこないので、これが誤り(正解イ)。 → 令和7年度下期 問1〜10の解説
まとめ
まとめこの記事で覚えること
W = 電圧 × 電流(1秒あたりの勢い)
Wh = W × 時間(合計。電気料金の単位)
J = W × 秒(熱の量。時間は必ず秒に直す)
1Wh = 3 600J
電流と抵抗だけなら P = I × I × R。電流2倍で熱は4倍
電力計は「電力」、電力量計は「電力量」。「量」の一文字を見逃さない
実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)
▶ 問1〜10
計算と電気の基礎
▶ 問11〜20
材料と工具
▶ 問21〜30
工事のルールと法令
▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
