第2章 燃えるしくみ(物理・化学) | 第6回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 「温度」と「熱量」のちがいがわかります
  • 比熱をつかった熱量の計算ができるようになります
  • 伝導・対流・放射の見分け方がわかります
  • 熱膨張が危険物の保管でなぜ問題になるかがわかります

物理・化学の10問のうち、2問前後がこの「熱」の分野から出題される傾向があります。計算が出てくるので身構えてしまいますが、熱量の計算で使う式は基本の1つです。順番に見ていきましょう。

「温度」と「熱量」は別のもの

熱と温度・比熱・熱の伝わり方

まず、ここはつまずきやすいところです。温度と熱量は、似ているようでまったく別のものです。

用語温度とは?

温度とは、熱さ・冷たさの度合いのことです。単位は℃(セルシウス度)。温度計で測れるのがこれです。

用語熱量とは?

熱量とは、やり取りされた熱の量そのものです。単位はJ(ジュール)。「どれだけ熱を加えたか」「どれだけ熱を奪ったか」を表します。

例簡単なたとえ

お風呂で考えてみてください。湯船いっぱいのお湯とコップ1杯のお湯が、どちらも40℃だったとします。温度は同じです。でも、それを沸かすのに必要だったガス代はまったく違いますね。この「沸かすのに必要だった量」が熱量です。温度が同じでも、量が多ければ熱量は大きくなります。

覚える覚え方

温度=熱さの「度合い」/熱量=熱の「量」。温度は温度計、熱量は電卓、と覚えておくと混ざりにくくなります。

絶対温度(ケルビン)は「−273℃を0にした温度」

試験にはもうひとつ絶対温度が出てきます。単位はK(ケルビン)です。

用語絶対温度とは?

絶対温度とは、これ以上は下がらないという最低の温度(−273℃)を、0とした温度の測り方です。目盛りの幅は℃とまったく同じなので、K = ℃ + 273 で行き来できます。

  • 0℃ → 273K
  • 27℃ → 300K
  • 100℃ → 373K

「なぜわざわざ別の測り方をするのか」というと、気体の体積は、Kで測った温度にちょうど比例するからです(圧力が同じ場合)。℃のままだと0℃や−10℃が出てきて比例の計算が成り立ちませんが、Kなら必ずプラスの数になり、比の計算がそのまま使えます。第8回の気体の計算で使います。

比熱と熱量の計算(基本の式はこれ1つ)

用語比熱とは?

比熱とは、ある物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量です。単位はJ/(g・℃)。比熱が大きい物質ほどあたたまりにくく、冷めにくいという性質になります。

水の比熱は約4.2J/(g・℃)です。これは物質のなかでもかなり大きい値で、だからお風呂はなかなか沸かないし、なかなか冷めないのです。

用語熱量の式

熱量Q = 比熱c × 質量m × 温度差Δt (Qの単位はJ、cはJ/(g・℃)、mはg、Δtは℃)

  • 例題 水200gを20℃から70℃まで上げるのに必要な熱量は?(水の比熱4.2)
  • ① 温度差を出す 70 − 20 = 50℃
  • ② 式にあてはめる Q = 4.2 × 200 × 50
  • ③ 計算する 4.2 × 200 = 840 → 840 × 50 = 42,000J(42kJ)

覚える覚え方

式は「比熱 × 重さ × 温度差」の3つをかけるだけ。かける順番は自由なので、まず温度差を出してから3つをかけるとミスが減ります。

覚える計算問題でひっかかりやすいところ

  • 温度差は「引き算」 … 70℃と20℃なら、差の50を使います。70をそのまま入れないこと。
  • 質量の単位はg … 「1kg」と書いてあったら1000gに直します。
  • KでもΔtは同じ … 温度差はKでも℃でも同じ数字になります(目盛りの幅が同じだから)。

熱の伝わり方は3つ

熱の伝わり方3つ(伝導・対流・放射)
熱の伝わり方は伝導・対流・放射の3つ

熱が移動するしかたは、伝導・対流・放射の3つに分けられます。試験では「次のうち対流によるものはどれか」といった形で問われやすい分野です。

名前どうやって伝わるか身近な例
伝導物の中を、熱がじわじわ移っていくフライパンの取っ手が熱くなる/金属のスプーンが熱くなる
対流あたたまった液体や気体そのものが動いて運ぶお風呂の上のほうが熱い/エアコンの暖房で部屋の上が暖かい
放射間に何もなくても、光のように飛んでくるたき火に手をかざすと暖かい/日なたが暖かい

覚える覚え方

見分け方は「何が動いているか」です。動かない物の中を伝わる=伝導、液体や空気そのものが動く=対流、何も間になくても届く=放射。「宇宙から太陽の熱が届く」のは、間に空気が無いので放射です。

金属は熱を伝えやすく(伝導しやすく)、木・空気・発泡スチロールは伝えにくい、という熱伝導率の違いもあわせて覚えておきましょう。

熱膨張──タンクを満タンにしてはいけない理由

用語熱膨張とは?

熱膨張とは、温度が上がると、物の体積がふくらむことです。固体より液体、液体より気体のほうが大きくふくらみます。

危険物の世界では、この熱膨張が直接の事故の原因になることがあります。ガソリンや灯油をタンクや容器にぎりぎりまで入れておくと、夏の暑さで中身がふくらんで、あふれる・容器が壊れるのです。

覚えるだから、こういう決まりがあります

  • 危険物を運搬容器に入れるときは、内容積の98%以下にする(=すき間を残す)。
  • 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)などにも空間容積(ふくらむ分のために残しておく空き)が必要。
  • ドラム缶をふたまでいっぱいにしないのも同じ理由です。

体積の増え方は膨張率 × もとの体積 × 温度差で出せます(膨張率は、温度が上がったときにどれだけふくらむかを表す割合)。式の形は熱量の計算とそっくりなので、セットで覚えると楽です。

よくある質問

Q.比熱が大きいと「あたたまりにくい」のはなぜですか?

A.比熱は1℃上げるのに必要な熱量だからです。この値が大きいということは、1℃上げるだけでもたくさん熱がいるということ。だから同じ火力ならなかなか温度が上がりません。逆に、冷えるときもたくさん熱を出さないと下がらないので、冷めにくくなります。

Q.絶対温度の「273」は、273.15ではないのですか?

A.正確には273.15ですが、試験では273で計算して問題ありません。選択肢も、一般的にはその前提で作られています。

Q.「熱容量」という言葉も出てきました。比熱とどう違いますか?

A.熱容量は「その物体まるごと」を1℃上げるのに必要な熱量です。比熱が1gあたりなのに対し、熱容量は物体まるごと。熱容量 = 比熱 × 質量の関係になります。

試験ではこう出る

例出題のされ方

  • ①熱量の計算 … 「比熱◯の物質△gを□℃上げるのに必要な熱量は」。Q=c×m×Δtにあてはめるだけ。
  • ②絶対温度への換算 … 「27℃は何Kか」→300K。
  • ③熱の伝わり方 … 「次のうち対流によるものはどれか」。何が動いているかで判断。
  • ④熱膨張 … 「容器に危険物を入れるときの空間容積」と結びつけて問われる。
問題で確かめる▶ 物理・化学の予想問題10問②(熱・気体・酸とアルカリ)

まとめこのページのまとめ

  • 温度=熱さの度合い(℃)/熱量=熱の量(J)
  • 絶対温度K = ℃ + 273
  • 熱量Q = 比熱c × 質量m × 温度差Δt。熱量の計算で使う式はこれ
  • 水の比熱は約4.2J/(g・℃)と大きい=あたたまりにくく冷めにくい
  • 熱の伝わり方は伝導・対流・放射。「何が動くか」で見分ける
  • 熱膨張があるので、容器は98%以下にして空間を残す
📘
独学に不安があるなら
独学のムダ、減らしませんか?
スマホで完結するeラーニングなら、通勤や休憩のスキマ時間に“出るところ”だけを効率よく対策できます。
✓出題傾向を分析した映像講義
✓スマホ・PCでスキマ学習
✓疑問は講師が無料でサポート
\ 30日間、全額返金保証! /
講座を見てみる →
受講生25万人突破・現場系の国家資格に対応