熱と温度・比熱・熱の伝わり方|計算のしかたをゼロからやさしく解説【危険物乙4】
この記事でわかること
- 「温度」と「熱量」のちがいがわかります
- 比熱をつかった熱量の計算ができるようになります
- 伝導・対流・放射の見分け方がわかります
- 熱膨張が危険物の保管でなぜ問題になるかがわかります
物理・化学の10問のうち、2問前後がこの「熱」の分野から出題される傾向があります。計算が出てくるので身構えてしまいますが、熱量の計算で使う式は基本の1つです。順番に見ていきましょう。
「温度」と「熱量」は別のもの

まず、ここはつまずきやすいところです。温度と熱量は、似ているようでまったく別のものです。
用語温度とは?
温度とは、熱さ・冷たさの度合いのことです。単位は℃(セルシウス度)。温度計で測れるのがこれです。
用語熱量とは?
熱量とは、やり取りされた熱の量そのものです。単位はJ(ジュール)。「どれだけ熱を加えたか」「どれだけ熱を奪ったか」を表します。
例簡単なたとえ
お風呂で考えてみてください。湯船いっぱいのお湯とコップ1杯のお湯が、どちらも40℃だったとします。温度は同じです。でも、それを沸かすのに必要だったガス代はまったく違いますね。この「沸かすのに必要だった量」が熱量です。温度が同じでも、量が多ければ熱量は大きくなります。
覚える覚え方
温度=熱さの「度合い」/熱量=熱の「量」。温度は温度計、熱量は電卓、と覚えておくと混ざりにくくなります。
絶対温度(ケルビン)は「−273℃を0にした温度」
試験にはもうひとつ絶対温度が出てきます。単位はK(ケルビン)です。
用語絶対温度とは?
絶対温度とは、これ以上は下がらないという最低の温度(−273℃)を、0とした温度の測り方です。目盛りの幅は℃とまったく同じなので、K = ℃ + 273 で行き来できます。
- 0℃ → 273K
- 27℃ → 300K
- 100℃ → 373K
「なぜわざわざ別の測り方をするのか」というと、気体の体積は、Kで測った温度にちょうど比例するからです(圧力が同じ場合)。℃のままだと0℃や−10℃が出てきて比例の計算が成り立ちませんが、Kなら必ずプラスの数になり、比の計算がそのまま使えます。第8回の気体の計算で使います。
比熱と熱量の計算(基本の式はこれ1つ)
用語比熱とは?
比熱とは、ある物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量です。単位はJ/(g・℃)。比熱が大きい物質ほどあたたまりにくく、冷めにくいという性質になります。
水の比熱は約4.2J/(g・℃)です。これは物質のなかでもかなり大きい値で、だからお風呂はなかなか沸かないし、なかなか冷めないのです。
用語熱量の式
熱量Q = 比熱c × 質量m × 温度差Δt (Qの単位はJ、cはJ/(g・℃)、mはg、Δtは℃)
- 例題 水200gを20℃から70℃まで上げるのに必要な熱量は?(水の比熱4.2)
- ① 温度差を出す 70 − 20 = 50℃
- ② 式にあてはめる Q = 4.2 × 200 × 50
- ③ 計算する 4.2 × 200 = 840 → 840 × 50 = 42,000J(42kJ)
覚える覚え方
式は「比熱 × 重さ × 温度差」の3つをかけるだけ。かける順番は自由なので、まず温度差を出してから3つをかけるとミスが減ります。
覚える計算問題でひっかかりやすいところ
- 温度差は「引き算」 … 70℃と20℃なら、差の50を使います。70をそのまま入れないこと。
- 質量の単位はg … 「1kg」と書いてあったら1000gに直します。
- KでもΔtは同じ … 温度差はKでも℃でも同じ数字になります(目盛りの幅が同じだから)。
熱の伝わり方は3つ

熱が移動するしかたは、伝導・対流・放射の3つに分けられます。試験では「次のうち対流によるものはどれか」といった形で問われやすい分野です。
覚える覚え方
見分け方は「何が動いているか」です。動かない物の中を伝わる=伝導、液体や空気そのものが動く=対流、何も間になくても届く=放射。「宇宙から太陽の熱が届く」のは、間に空気が無いので放射です。
金属は熱を伝えやすく(伝導しやすく)、木・空気・発泡スチロールは伝えにくい、という熱伝導率の違いもあわせて覚えておきましょう。
熱膨張──タンクを満タンにしてはいけない理由
用語熱膨張とは?
熱膨張とは、温度が上がると、物の体積がふくらむことです。固体より液体、液体より気体のほうが大きくふくらみます。
危険物の世界では、この熱膨張が直接の事故の原因になることがあります。ガソリンや灯油をタンクや容器にぎりぎりまで入れておくと、夏の暑さで中身がふくらんで、あふれる・容器が壊れるのです。
覚えるだから、こういう決まりがあります
- 危険物を運搬容器に入れるときは、内容積の98%以下にする(=すき間を残す)。
- 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)などにも空間容積(ふくらむ分のために残しておく空き)が必要。
- ドラム缶をふたまでいっぱいにしないのも同じ理由です。
体積の増え方は膨張率 × もとの体積 × 温度差で出せます(膨張率は、温度が上がったときにどれだけふくらむかを表す割合)。式の形は熱量の計算とそっくりなので、セットで覚えると楽です。
よくある質問
Q.比熱が大きいと「あたたまりにくい」のはなぜですか?
A.比熱は1℃上げるのに必要な熱量だからです。この値が大きいということは、1℃上げるだけでもたくさん熱がいるということ。だから同じ火力ならなかなか温度が上がりません。逆に、冷えるときもたくさん熱を出さないと下がらないので、冷めにくくなります。
Q.絶対温度の「273」は、273.15ではないのですか?
A.正確には273.15ですが、試験では273で計算して問題ありません。選択肢も、一般的にはその前提で作られています。
Q.「熱容量」という言葉も出てきました。比熱とどう違いますか?
A.熱容量は「その物体まるごと」を1℃上げるのに必要な熱量です。比熱が1gあたりなのに対し、熱容量は物体まるごと。熱容量 = 比熱 × 質量の関係になります。
試験ではこう出る
例出題のされ方
- ①熱量の計算 … 「比熱◯の物質△gを□℃上げるのに必要な熱量は」。Q=c×m×Δtにあてはめるだけ。
- ②絶対温度への換算 … 「27℃は何Kか」→300K。
- ③熱の伝わり方 … 「次のうち対流によるものはどれか」。何が動いているかで判断。
- ④熱膨張 … 「容器に危険物を入れるときの空間容積」と結びつけて問われる。
まとめこのページのまとめ
- 温度=熱さの度合い(℃)/熱量=熱の量(J)
- 絶対温度K = ℃ + 273
- 熱量Q = 比熱c × 質量m × 温度差Δt。熱量の計算で使う式はこれ
- 水の比熱は約4.2J/(g・℃)と大きい=あたたまりにくく冷めにくい
- 熱の伝わり方は伝導・対流・放射。「何が動くか」で見分ける
- 熱膨張があるので、容器は98%以下にして空間を残す
