二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年10月公表分の「燃料及び燃焼」(問21〜問30)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和5年10月公表)

問21 引火点(液体燃料が燃え始める温度)

令和5年10月公表分野:引火点(液体燃料が燃え始める温度)重要度 ★★★
次の文中の 内に入れるA及びBの語句の組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
「液体燃料を加熱するとAが発生し、これに小火炎を近づけると瞬間的に光を放って燃え始める。この光を放って燃える最低の温度をBという。」
A B
(1) 酸素 引火点
(2) 酸素 発火温度
(3) 蒸気 発火温度
(4) 蒸気 引火点
(5) 水素 着火温度
答え・解説を見る
正解

(4)
蒸気 / 引火点

この問題は何を聞いている?

液体燃料が燃え始める温度の名前を、空欄に当てはめる問題です。火を近づけるのか、火なしで燃え出すのかで、2つの用語を区別できるかが問われています。

用語 意味
引火点 液体燃料を加熱して出た蒸気に小さな炎を近づけたとき、瞬間的に光を放って燃え始める最低の温度
着火温度(発火温度) 燃料を空気中で加熱し、ほかから点火しないで自然に燃え始める最低の温度

空欄A = 蒸気

液体燃料を温めると、燃料から蒸気が出てきます。炎を近づけたときに燃え始めるのは、この燃料の蒸気です。公式の正解も蒸気で、「酸素」「水素」は当てはまりません。

空欄B = 引火点

問題文は「小火炎を近づけると、瞬間的に光を放って燃え始める」最低の温度です。火を近づけて燃え始めるので、これは引火点に当たります。着火温度(発火温度)は、ほかから点火しないで自然に燃え始める最低の温度のこと。火を近づけるかどうかが、2つの用語の分かれ目です。

選択肢のしぼり方

①「小火炎を近づけると」とある → 火を近づける話 → B=引火点((2)(3)(5)が消える)

②加熱して出てくるのは燃料の蒸気 → A=蒸気((1)が消える)

③残るのは(4)

💡 覚え方

引火点=火を「引いて(近づけて)」つく温度、着火温度=火がなくても「着く」温度。問題文に「小火炎を近づける」とあれば引火点です。火を近づけるぶん、引火点のほうが低い温度になります。

A=蒸気、B=引火点なので、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質

問22 重油の水分とスラッジによる障害

令和5年10月公表分野:重油の水分とスラッジによる障害重要度 ★★★
重油に含まれる水分及びスラッジによる障害について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水分が多いと、熱損失が増加する。
(2)水分が多いと、息づき燃焼を起こす。
(3)水分が多いと、炭化物が生成される。
(4)スラッジは、弁、ろ過器、バーナチップなどを閉塞させる。
(5)スラッジは、ポンプ、流量計、バーナチップなどを摩耗させる。
答え・解説を見る
正解

(3)
水分が多いと、炭化物が生成される。

この問題は何を聞いている?

重油に混じっている水分とスラッジが、どんな困りごとを起こすかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

スラッジとは?

重油の中にできる沈殿物のこと。水分と一緒に、貯蔵タンクの底にたまりやすいものです。

(1) ⭕ 正しい記述

水分が多いと、熱損失が増加する。

重油の水分が多いと、熱損失が増えます。熱損失とは、燃料の熱のうち蒸気にならずに逃げてしまう熱のことです。

(2) ⭕ 正しい記述

水分が多いと、息づき燃焼を起こす。

息づき燃焼とは、炎が息をするように、ふくらんだり縮んだりして不安定になる燃え方です。油に水が混じると、バーナ(燃料を燃やす装置)から出る油に水のかたまりが混じる瞬間があります。その瞬間だけ燃える油が途切れたり、水が急に蒸発したりするので、炎が不安定になるのです。

(3) ❌ 誤りの記述

水分が多いと、炭化物が生成される。

公表問題で誤りとされた記述です。水分が多いときの障害は、熱損失の増加・息づき燃焼・貯蔵中のスラッジの形成の3つ。「炭化物の生成」は、この中に入っていません。

(4) ⭕ 正しい記述

スラッジは、弁、ろ過器、バーナチップなどを閉塞させる。

スラッジは、弁・ろ過器・バーナチップなどを詰まらせます(閉塞)。バーナチップは、バーナの先端で油を噴き出す部品です。

(5) ⭕ 正しい記述

スラッジは、ポンプ、流量計、バーナチップなどを摩耗させる。

スラッジは、ポンプ・流量計・バーナチップなどをすり減らします(摩耗)。

原因 起きる障害
水分が多い 熱損失が増える/息づき燃焼を起こす/貯蔵中にスラッジを形成する
スラッジ 弁・ろ過器・バーナチップなどの閉塞/ポンプ・流量計・バーナチップなどの摩耗

⚠ 注意

この問題は、水分の障害の3つ目だけを別の言葉に変えた形で、くり返し出ています。令和7年10月・令和8年10月公表では、「水分が多いとベーパロックを起こす」が誤りでした。ベーパロックは、油の加熱温度が高すぎて管の中で油が気化し、流れなくなる現象です。

💡 覚え方

水分=熱損失・息づき燃焼・スラッジ、スラッジ=詰まり(閉塞)とすり減り(摩耗)。水分の障害はこの3つだけと決めておけば、「炭化物」「ベーパロック」のような別の言葉に気づけます。

以上から、正解は(3)です。

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問23 気体燃料(都市ガスとLPG)

令和5年10月公表分野:気体燃料(都市ガスとLPG)重要度 ★★★
ボイラー用気体燃料に関するAからDまでの記述で、適切なもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
A 気体燃料は、石炭や液体燃料に比べて成分中の炭素に対する水素の比率が高い。
B LPGは、常温・常圧では気体であるが、常温で加圧することにより液化できる。
C 都市ガスは、漏えいすると窪みなどの低部に滞留しやすい。
D 都市ガスは、液体燃料に比べてNOxやCO₂の排出量が少なく、また、SOxは排出しない。
(1)A,B
(2)A,B,D
(3)A,C
(4)A,C,D
(5)B,D
答え・解説を見る
正解

(2)
A,B,D

この問題は何を聞いている?

ボイラーで使う気体燃料(都市ガス・LPG)の特徴を問う問題です。AからDのうち、適切なものだけを全部ふくむ組合せを選びます。

LPGとは?

液化石油ガスのこと。常温・常圧では気体ですが、常温で圧力を加えると液体にできるガスです。

A ⭕ 正しい記述

気体燃料は、石炭や液体燃料に比べて成分中の炭素に対する水素の比率が高い。

気体燃料は、メタンなどの炭化水素(炭素と水素の化合物)が主な成分です。石炭や液体燃料に比べると、成分中の炭素に対する水素の割合が高いのが特徴です。

B ⭕ 正しい記述

LPGは、常温・常圧では気体であるが、常温で加圧することにより液化できる。

LPGは、常温・常圧では気体です。しかし常温のまま圧力を加えると、液体にできます。名前の「液化」は、この性質を表しているのです。

C ❌ 誤りの記述

都市ガスは、漏えいすると窪みなどの低部に滞留しやすい。

漏れたときに、くぼみなどの低い所にたまりやすいのは、LPGのほうです。LPGは空気より重いガスなので、底にたまります。LPGの性質が、都市ガスの性質として書かれている点が誤りです。

D ⭕ 正しい記述

都市ガスは、液体燃料に比べてNOxやCO₂の排出量が少なく、また、SOxは排出しない。

都市ガスは、液体燃料に比べてNOx(窒素酸化物)やCO₂(二酸化炭素)の排出量が少ない燃料です。SOx(硫黄酸化物)は排出しません。気体燃料は、硫黄分が少ないのが特徴です。

ガス 特徴
都市ガス 一般に天然ガスが原料。液体燃料よりNOxやCO₂が少なく、SOxは出さない
LPG 常温で加圧すると液化できる。都市ガスより発熱量が大きい。漏れると底にたまりやすい

💡 覚え方

くぼみにたまるのは、空気より重いLPG。「低部に滞留」という言葉を見たら、主語がLPGかどうかを確かめましょう。都市ガスは「NOx・CO₂が少なく、SOxは出さない」とセットで押さえます。

適切な記述はA・B・Dなので、正解は(2)です。

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問24 燃料油の供給装置(タンク・油ストレーナ・油加熱器)

令和5年10月公表分野:燃料油の供給装置(タンク・油ストレーナ・油加熱器)重要度 ★★★
ボイラーの液体燃料の供給装置について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される。
(2)サービスタンクには、油面計、温度計、自動油面調節装置などを取り付ける。
(3)サービスタンクの貯油量は、一般に最大燃焼量の2時間分程度とする。
(4)油ストレーナは、油中の、ごみや水分などを除去するもので、オートクリーナなどがある。
(5)燃料油にA重油の粘度以下及び軽質油を用いる場合は、一般に油加熱器を必要としないことが多い。
答え・解説を見る
正解

(4)
油ストレーナは、油中の、ごみや水分などを除去するもので、オートクリーナなどがある。

この問題は何を聞いている?

重油などの燃料油をバーナまで送る装置についての問題です。適切でないものを1つ選びます。

油ストレーナとは?

燃料油の中のごみを取り除く装置。オートクリーナは、その一種です。

(1) ⭕ 正しい記述

燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される。

燃料油のタンクには、貯蔵タンクとサービスタンクの2種類があります。使いみち(用途)の違いで分けられているのです。

(2) ⭕ 正しい記述

サービスタンクには、油面計、温度計、自動油面調節装置などを取り付ける。

サービスタンクは、バーナ(燃料を燃やす装置)の近くで使う分をためておくタンクです。油面計・温度計・自動油面調節装置などを取り付けます。

(3) ⭕ 正しい記述

サービスタンクの貯油量は、一般に最大燃焼量の2時間分程度とする。

サービスタンクにためる油の量は、最大燃焼量の2時間分程度が一般的です。油をまとめて蓄える貯蔵タンクは1週間〜1か月分なので、ずっと少ない量です。

(4) ❌ 誤りの記述

油ストレーナは、油中の、ごみや水分などを除去するもので、オートクリーナなどがある。

オートクリーナが油ストレーナの一種である点は、そのとおりです。しかし油ストレーナが取り除くのは、油の中のごみです。水分は取り除けません。「ごみや水分などを除去する」と、水分まで加えられている点が誤りです。

(5) ⭕ 正しい記述

燃料油にA重油の粘度以下及び軽質油を用いる場合は、一般に油加熱器を必要としないことが多い。

油加熱器は、粘り気の強い油を温めて、霧にしやすい粘度にする装置です。A重油や軽質油(軽油など)は、もともと粘度の低い(さらさらした)油です。一般に加熱しなくてもそのまま霧にできるので、油加熱器がいらないことが多いのです。

⚠ 注意

「油ストレーナで水分を除去できる」という誤りは、令和6年4月・令和7年10月公表でも出ました。「貯蔵タンクに自動油面調節装置を付ける」も、誤りとして出題されています。付けるのはサービスタンクです。

💡 覚え方

ストレーナが取るのは「ごみ」、水分は取れない。「ごみ」のあとに「水分」が足されていないかを、文の途中まで読んで確かめましょう。

以上から、正解は(4)です。

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問25 燃焼の基礎(燃焼の3要素・空気比・燃焼速度)

令和5年10月公表分野:燃焼の基礎(燃焼の3要素・空気比・燃焼速度)重要度 ★★★
ボイラーにおける燃料の燃焼について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼には、燃料、空気及び温度の三つの要素が必要である。
(2)理論空気量をA₀、実際空気量をA、空気比をmとすると、A=mA₀という関係が成り立つ。
(3)実際空気量は、一般の燃焼では、理論空気量より多い。
(4)一定量の燃料を完全燃焼させるときに、燃焼速度が遅いと燃焼がゆっくり進行するので、狭い燃焼室でも良い。
(5)燃焼ガスの成分割合は、燃料の成分、空気比及び燃焼の方法によって変わる。
答え・解説を見る
正解

(4)
一定量の燃料を完全燃焼させるときに、燃焼速度が遅いと燃焼がゆっくり進行するので、狭い燃焼室でも良い。

この問題は何を聞いている?

燃料が燃えるための条件と、送り込む空気の量、燃える速さについての問題です。適切でないものを1つ選びます。

理論空気量と実際空気量とは?

理論空気量は、燃料を燃やすのに理論上ちょうど必要な空気の量。実際空気量は、実際に送り込んだ空気の量です。

💡 なぜ? 理論空気量ぴったりでは、燃料と空気が完全には混ざりきらず、燃え残りが出ます。そこで実際には少し多めの空気を送るのです。

(1) ⭕ 正しい記述

燃焼には、燃料、空気及び温度の三つの要素が必要である。

燃焼には、燃料・空気(酸素)・温度の3つの要素が必要です。どれか1つでも欠けると燃えません。

(2) ⭕ 正しい記述

理論空気量をA₀、実際空気量をA、空気比をmとすると、A=mA₀という関係が成り立つ。

空気比は、実際空気量が理論空気量の何倍かを表す数です。式にすると、空気比m=実際空気量A÷理論空気量A₀。この式の両辺にA₀を掛けると、A=mA₀になります。問題文の式のとおりです。

(3) ⭕ 正しい記述

実際空気量は、一般の燃焼では、理論空気量より多い。

一般の燃焼では、実際空気量は理論空気量より多いのが正しい関係です。ぴったりの量では混ざりきらずに燃え残るので、少し多めに送ります。

(4) ❌ 誤りの記述

一定量の燃料を完全燃焼させるときに、燃焼速度が遅いと燃焼がゆっくり進行するので、狭い燃焼室でも良い。

狭い燃焼室(燃料を燃やす部屋)でも完全燃焼させられるのは、着火しやすく、燃焼速度が速い燃料です。燃焼ガスが燃焼室にとどまる時間が、燃え終わるまでの時間より短いと、燃え切らないまま出ていってしまいます。「速い」が「遅い」に入れ替えられている点が誤りです。

(5) ⭕ 正しい記述

燃焼ガスの成分割合は、燃料の成分、空気比及び燃焼の方法によって変わる。

燃焼ガスとは、燃料が燃えたあとにできるガスのことです。その成分の割合は、燃料の成分・空気比・燃焼の方法によって変わります。

A=mA₀ の使い方(例)

理論空気量A₀が10m³の燃料に、空気比m=1.2で空気を送る

実際空気量A=m×A₀=1.2×10=12m³

→ 理論より2割多い空気を送っている、という意味になる

💡 覚え方

速く燃えるから、狭くても燃え切る。ゆっくり燃える燃料には、燃え切るまでとどまれる広さがいります。空気比は「実際は理論の何倍か」で、一般に1より少し大きい数です。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第15回 燃焼の基礎・空気比・通風

問26 油バーナの種類(ガンタイプバーナ)

令和5年10月公表分野:油バーナの種類(ガンタイプバーナ)重要度 ★★★
ボイラーの油バーナについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)圧力噴霧式バーナは、油に高圧力を加え、これをノズルチップから炉内に噴出させて微粒化するものである。
(2)戻り油式圧力噴霧バーナは、単純な圧力噴霧式バーナに比べ、ターンダウン比が広い。
(3)高圧蒸気噴霧式バーナは、比較的高圧の蒸気を霧化媒体として油を微粒化するもので、ターンダウン比が広い。
(4)回転式バーナは、回転軸に取り付けられたカップの内面で油膜を形成し、遠心力により油を微粒化するものである。
(5)ガンタイプバーナは、ファンと空気噴霧式バーナを組み合わせたもので、燃焼量の調節範囲が広い。
答え・解説を見る
正解

(5)
ガンタイプバーナは、ファンと空気噴霧式バーナを組み合わせたもので、燃焼量の調節範囲が広い。

この問題は何を聞いている?

油バーナの名前と、油を霧にするしくみ・調節できる範囲の組み合わせを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

微粒化(霧化)とは?

液体の燃料をごく細かい粒(霧)にすること。

💡 なぜ? 油は表面からしか燃えないので、細かい粒にして空気に触れる面積を増やすほど、すばやく燃え切るからです。

ターンダウン比とは?

1本のバーナで、最大の燃焼量と最小の燃焼量の比。燃焼量を調節できる範囲の広さを表します。

(1) ⭕ 正しい記述

圧力噴霧式バーナは、油に高圧力を加え、これをノズルチップから炉内に噴出させて微粒化するものである。

圧力噴霧式バーナは、油に高い圧力を加えます。その油を、ノズルチップ(先端の小さな穴の部品)から炉内へ噴き出させて霧にするしくみです。

(2) ⭕ 正しい記述

戻り油式圧力噴霧バーナは、単純な圧力噴霧式バーナに比べ、ターンダウン比が広い。

戻り油式は、バーナへ送った油の一部を戻して、噴き出す量を減らすしくみです。ノズルにかける圧力を保ったまま噴射量だけを減らせます。そのため単純な圧力噴霧式より、ターンダウン比が広いのです。

(3) ⭕ 正しい記述

高圧蒸気噴霧式バーナは、比較的高圧の蒸気を霧化媒体として油を微粒化するもので、ターンダウン比が広い。

比較的高圧の蒸気の勢いで、油を霧にするバーナです。霧にするために使う蒸気や空気を、霧化媒体といいます。油の量を減らしても、霧の細かさは蒸気が保つので、ターンダウン比が広くなるのです。

(4) ⭕ 正しい記述

回転式バーナは、回転軸に取り付けられたカップの内面で油膜を形成し、遠心力により油を微粒化するものである。

回転式バーナは、回転軸に付けたカップの内面に油の膜をつくります。その膜を遠心力で飛ばして、霧にするしくみです。

(5) ❌ 誤りの記述

ガンタイプバーナは、ファンと空気噴霧式バーナを組み合わせたもので、燃焼量の調節範囲が広い。

ガンタイプバーナは、ファン(送風機)と圧力噴霧式バーナを組み合わせたものです。「空気噴霧式」ではありません。さらに、燃焼量の調節範囲は狭いバーナです。バーナの種類と、調節範囲の広さの2か所が入れ替えられている点が誤りです。

バーナ 油を霧にする力 調節範囲
単純な圧力噴霧式 油そのものの圧力 狭い
戻り油式圧力噴霧 油そのものの圧力 単純な圧力噴霧式より広い
高圧蒸気噴霧式 蒸気(霧化媒体)の勢い 広い
回転式 回して飛ばす遠心力 —
ガンタイプ ファン+圧力噴霧式 狭い

💡 覚え方

ガンタイプ=ファン+圧力噴霧式・調節範囲が狭い。調節範囲が狭いので、点けたり消したり(オンオフ)で蒸気の量を合わせるものが多く、小容量のボイラーに使われます。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第16回 燃焼装置

問27 気体燃料の燃焼の特徴

令和5年10月公表分野:気体燃料の燃焼の特徴重要度 ★★★
ボイラーにおける気体燃料の燃焼の特徴として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼させるときに、微粒化や蒸発のプロセスが不要である。
(2)空気との混合状態を比較的自由に設定でき、火炎の広がり、長さなどの調節が容易である。
(3)安定した燃焼が得られ、点火及び消火が容易で、かつ、自動化しやすい。
(4)ガス火炎は、油火炎に比べて、放射率が高いので、接触伝熱面での伝熱量が多い。
(5)燃料の霧化媒体としての高圧空気や蒸気を必要としない。
答え・解説を見る
正解

(4)
ガス火炎は、油火炎に比べて、放射率が高いので、接触伝熱面での伝熱量が多い。

この問題は何を聞いている?

都市ガスなどの気体燃料が、油と比べてどんな燃え方をするかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

放射伝熱と接触伝熱とは?

放射伝熱は、炎が出す光や熱線で熱が伝わること。接触伝熱は、熱いガスが伝熱面(熱を受け取る面)に触れて熱が伝わることです。

(1) ⭕ 正しい記述

燃焼させるときに、微粒化や蒸発のプロセスが不要である。

油は、細かい霧にして(微粒化)、蒸発させてから燃やします。気体燃料はもともと気体なので、その微粒化や蒸発の手間がいりません。

(2) ⭕ 正しい記述

空気との混合状態を比較的自由に設定でき、火炎の広がり、長さなどの調節が容易である。

気体燃料は、空気との混ぜ方を比較的自由に決められます。そのため、炎の広がりや長さの調節が容易です。

(3) ⭕ 正しい記述

安定した燃焼が得られ、点火及び消火が容易で、かつ、自動化しやすい。

気体燃料は安定した燃焼が得られ、点火も消火も容易です。そのうえ、自動化しやすいという特徴もあります。

(4) ❌ 誤りの記述

ガス火炎は、油火炎に比べて、放射率が高いので、接触伝熱面での伝熱量が多い。

ガスの炎は、油の炎より放射が弱いのが特徴です。「放射率が高い」ではありません。弱いものが高いと書かれている点が誤りです。放射が弱いので、火炉(燃料を燃やす部屋)での放射伝熱は減り、そのぶん接触伝熱面での伝熱が増えます。

(5) ⭕ 正しい記述

燃料の霧化媒体としての高圧空気や蒸気を必要としない。

霧化媒体とは、油を霧にするために使う高圧の空気や蒸気のことです。気体燃料は霧にする必要がないので、霧化媒体もいりません。

油の炎と比べたガスの炎
炎の放射 弱い
火炉での放射伝熱量 減る
接触伝熱面での伝熱量 増える

⚠ 注意

この選択肢は、後半の「接触伝熱面での伝熱量が多い」だけを見ると正しく見えます。誤りは、理由にあたる前半の「放射率が高い」です。文の前半まで確かめましょう。令和6年10月・令和8年4月公表では、「放射伝熱量は増え、接触伝熱面での伝熱量は減る」という形の誤りが出ました。

💡 覚え方

ガスの炎は青く透き通って、光が弱いと思い浮かべてください。光が弱いので放射は弱く、そのぶん接触伝熱面での伝熱が増えるのです。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質

問28 大気汚染物質(NOx・SOx・すす・ダスト)

令和5年10月公表分野:大気汚染物質(NOx・SOx・すす・ダスト)重要度 ★★
ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)排ガス中のNOxは、大部分がNOである。
(2)排ガス中のSOxは、大部分がSO₂である。
(3)フューエルNOxは、燃料中の窒素化合物が酸化されて生じる。
(4)ダストは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。
(5)SOxは、NOxとともに酸性雨の原因となる。
答え・解説を見る
正解

(4)
ダストは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。

この問題は何を聞いている?

燃料を燃やしたときに出る大気汚染物質の、名前と中身を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

NOx(ノックス)とSOx(ソックス)とは?

NOx=窒素酸化物(窒素と酸素の化合物)、SOx=硫黄酸化物(硫黄と酸素の化合物)。どちらも燃焼で生まれる大気汚染物質です。

(1) ⭕ 正しい記述

排ガス中のNOxは、大部分がNOである。

排ガス(煙突から出ていくガス)の中のNOxは、大部分がNO(一酸化窒素)です。

(2) ⭕ 正しい記述

排ガス中のSOxは、大部分がSO₂である。

排ガスの中のSOxは、大部分がSO₂(二酸化硫黄)です。

(3) ⭕ 正しい記述

フューエルNOxは、燃料中の窒素化合物が酸化されて生じる。

NOxには、でき方の違う2種類があります。フューエルNOxは、燃料にふくまれる窒素化合物が酸化されてできるものです。フューエル(fuel)は、燃料という意味の言葉です。

(4) ❌ 誤りの記述

ダストは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。

「燃焼により分解した炭素が、遊離炭素として残ったもの」は、すすの説明です。ダストは、燃料にふくまれる灰分などが固体の粒になったものをいいます。すすの説明が、ダストの説明として書かれている点が誤りです。

(5) ⭕ 正しい記述

SOxは、NOxとともに酸性雨の原因となる。

SOxとNOxは、どちらも雨に溶けて酸性雨の原因になります。

物質 中身
NOx 排ガス中では大部分がNO
SOx 排ガス中では大部分がSO₂
すす 燃焼で分解した炭素が遊離炭素として残ったもの
ダスト 燃料の灰分などが固体の粒になったもの

⚠ 注意

令和6年4月公表では、「NOxは大部分がNO₂」という記述が誤りとされました。正しくは大部分がNOです。

💡 覚え方

すす=炭素の燃え残り、ダスト=灰。「炭素」という言葉が出てきたら、すすの説明です。あわせて「NOxはNO、SOxはSO₂」も押さえておきましょう。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第17回 大気汚染・重油の障害・低温腐食

問29 一次空気と二次空気(油・ガスだき燃焼)

令和5年10月公表分野:一次空気と二次空気(油・ガスだき燃焼)重要度 ★★
次の文中の 内に入れるAからCまでの語句の組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
「A燃焼におけるBは、燃焼装置にて燃料の周辺に供給され、初期燃焼を安定させる。また、Cは、旋回又は交差流によって燃料と空気の混合を良好に保ち、燃焼を完結させる。」
A B C
(1) 流動層 一次空気 二次空気
(2) 流動層 二次空気 一次空気
(3) 油・ガスだき 一次空気 二次空気
(4) 油・ガスだき 二次空気 一次空気
(5) 火格子 一次空気 二次空気
答え・解説を見る
正解

(3)
油・ガスだき / 一次空気 / 二次空気

この問題は何を聞いている?

燃焼用の空気を2つに分けて送るときの、それぞれの役割を空欄に当てはめる問題です。どの燃やし方の話かもあわせて問われています。

燃焼用の空気は、役割の違う2つに分けて送り込まれます。一次空気=最初に燃料と出会う空気、二次空気=あとから仕上げる空気です。

燃焼のしかた 一次空気 二次空気
油・ガスだき 燃料の周りに送り、初期燃焼を安定させる 旋回や交差流でよく混ぜ、燃焼を完結させる
火格子燃焼 上向き通風では火格子の下から送る 燃料層の上の可燃性ガスの炎の中へ送る

空欄A = 油・ガスだき

問題文の2つの説明は、油やガスをバーナで燃やすときの空気の役割です。火格子は、固体の燃料を載せて燃やす格子のこと。火格子燃焼の一次空気は火格子の下から送るもので、「燃料の周辺に供給」という説明とは合いません。

空欄B = 一次空気

「燃料の周辺に供給され、初期燃焼を安定させる」のは、一次空気です。最初に燃料と出会う空気なので、燃え始めを支える役目を持っています。

空欄C = 二次空気

「旋回又は交差流によって燃料と空気の混合を良好に保ち、燃焼を完結させる」のは、二次空気です。旋回はうずを巻く流れ、交差流は交わる流れのこと。あとから送ってよく混ぜ、燃え残りなく仕上げる空気です。

選択肢のしぼり方

①「初期燃焼を安定」=燃え始め → B=一次空気((2)(4)が消える)

②「燃焼を完結」=仕上げ → C=二次空気

③「燃料の周辺に供給」「旋回又は交差流」はバーナで燃やす話 → A=油・ガスだき

④残るのは(3)

💡 覚え方

一次=最初に燃料と出会って「初期燃焼を安定」、二次=あとから混ぜて「燃焼を完結」。「初期」と「完結」という言葉が、そのまま一次・二次の順番を表しています。

A=油・ガスだき、B=一次空気、C=二次空気なので、正解は(3)です。

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問30 ボイラーの通風(自然通風・押込・誘引・平衡)

令和5年10月公表分野:ボイラーの通風(自然通風・押込・誘引・平衡)重要度 ★★★
ボイラーの通風に関して、適切でないものは次のうちどれか。
(1)通風を起こさせる圧力差を通風力という。
(2)煙突によって生じる自然通風力は、煙突の高さが高いほど強くなる。
(3)押込通風は、燃焼用空気をファンを用いて、大気圧より高い圧力の炉内に押し込むものである。
(4)誘引通風は、比較的高温で体積の大きな燃焼ガスを取り扱うので、大型のファンを必要とする。
(5)平衡通風は、燃焼ガスの外部への漏れ出しはないが、誘引通風より大きな動力を必要とする。
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正解

(5)
平衡通風は、燃焼ガスの外部への漏れ出しはないが、誘引通風より大きな動力を必要とする。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの通風の方式と、それぞれの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

通風とは?

炉や煙道(燃焼ガスの通り道)を通って起きる、空気と燃焼ガスの流れのこと。

💡 なぜ? 通風がうまくいかないと、燃焼に必要な空気が足りなくなるか、燃焼ガスが炉にこもってしまうからです。

(1) ⭕ 正しい記述

通風を起こさせる圧力差を通風力という。

通風の流れを起こすのは、圧力の差です。この圧力差を通風力といいます。

(2) ⭕ 正しい記述

煙突によって生じる自然通風力は、煙突の高さが高いほど強くなる。

煙突の中の燃焼ガスは熱くて軽いので、浮き上がる力が生まれます。これが自然通風です。その力は、(外気の密度−煙突内ガスの密度)×煙突の高さで決まります。だから、煙突が高いほど強くなるのです。

(3) ⭕ 正しい記述

押込通風は、燃焼用空気をファンを用いて、大気圧より高い圧力の炉内に押し込むものである。

押込通風は、ファン(送風機)で燃焼用の空気を炉内へ押し込む方式です。押し込むので、炉の中の圧力は大気圧より高くなります。

(4) ⭕ 正しい記述

誘引通風は、比較的高温で体積の大きな燃焼ガスを取り扱うので、大型のファンを必要とする。

誘引通風は、煙道や煙突の入口に置いたファンで、燃焼ガスを吸い出す方式です。燃えたあとの高温で体積の大きいガスを扱うので、大型のファンがいります。

(5) ❌ 誤りの記述

平衡通風は、燃焼ガスの外部への漏れ出しはないが、誘引通風より大きな動力を必要とする。

平衡通風は、押込ファンと誘引ファンを併用する方式です。ファンを回す動力は、押込通風より大きく、誘引通風より小さくなります。「小さな」が「大きな」に入れ替えられている点が誤りです。

方式 炉の中の圧力 ファンを回す動力
押込通風 大気圧より高い 小さい(常温の空気を扱う)
平衡通風 大気圧よりわずかに低い 押込より大きく、誘引より小さい(中間)
誘引通風 大気圧より低い 大きい(高温で体積の大きいガスを扱う)

⚠ 注意

平衡通風の動力は、比べる相手を変えて出題されます。令和6年10月公表では、「平衡通風の動力は押込通風より小さい」が誤りでした。

💡 覚え方

動力は冷たい空気を扱う押込が最小、熱く大きなガスを扱う誘引が最大、両方使う平衡はそのあいだ。押込<平衡<誘引の順に並べておけば、どちらと比べられても答えられます。

以上から、正解は(5)です。

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令和5年10月公表「燃料及び燃焼」のまとめ

まとめ

・引火点=小さな炎を近づけて燃え始める最低温度。着火温度(発火温度)=火なしで自然に燃え始める最低温度

・重油の水分=熱損失・息づき燃焼・スラッジ、スラッジ=閉塞と摩耗。「炭化物の生成」は水分の障害ではない

・くぼみにたまりやすいのはLPG。都市ガスは液体燃料よりNOx・CO₂が少なく、SOxは出さない

・油ストレーナが取るのはごみで、水分は取れない。サービスタンクは最大燃焼量の2時間分程度

・狭い燃焼室でも完全燃焼できるのは燃焼速度が速い燃料。空気比の式はA=mA₀

・ガンタイプ=ファン+圧力噴霧式・調節範囲が狭い。ガスの炎は油より放射が弱い

・すす=炭素の燃え残り、ダスト=灰。一次空気は初期燃焼の安定、二次空気は燃焼の完結。平衡通風の動力は誘引より小さい