二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年10月公表分の「ボイラーの構造」(問1〜問10)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和6年10月公表)

問1 熱と蒸気(過熱度・乾き度・蒸発熱)

令和6年10月公表分野:熱と蒸気(過熱度・乾き度・蒸発熱)重要度 ★★★
熱及び蒸気について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)過熱蒸気の温度と、同じ圧力の飽和蒸気の温度との差を過熱度という。
(2)乾き飽和蒸気は、乾き度が1の飽和蒸気である。
(3)飽和蒸気の比エンタルピは、飽和水の比エンタルピに蒸発熱の比エンタルピを加えた値である。
(4)飽和蒸気の比体積は、圧力が高くなるほど小さくなる。
(5)飽和水の蒸発熱は、圧力が高くなるほど大きくなり、臨界圧力に達すると最大になる。
答え・解説を見る
正解

(5)
飽和水の蒸発熱は、圧力が高くなるほど大きくなり、臨界圧力に達すると最大になる。

この問題は何を聞いている?

蒸気の言葉と性質についての問題です。適切でないものを1つ選びます。圧力が上がると何が増え、何が減るかが決め手です。

蒸発熱とは?

沸騰している水を、同じ温度のまま蒸気に変えるのに使われる熱。温度計に表れない熱(潜熱)の1つです。

💡 なぜ? 沸騰が始まると、加えた熱は水を蒸気に変えることだけに使われ、温度は上がらないからです。

(1) ⭕ 正しい記述

過熱蒸気の温度と、同じ圧力の飽和蒸気の温度との差を過熱度という。

過熱蒸気は、水滴のない蒸気をさらに熱して、沸騰する温度(飽和温度)より高くした蒸気です。その温度と、同じ圧力の飽和蒸気の温度との差を過熱度といいます。

(2) ⭕ 正しい記述

乾き飽和蒸気は、乾き度が1の飽和蒸気である。

乾き度は、蒸気1kgのうち蒸気になっている部分の割合です。水滴がなく全部が蒸気になった乾き飽和蒸気は、乾き度が1になります。

(3) ⭕ 正しい記述

飽和蒸気の比エンタルピは、飽和水の比エンタルピに蒸発熱の比エンタルピを加えた値である。

比エンタルピは、水や蒸気1kgが持っている熱の量です。飽和蒸気の比エンタルピは、飽和水(沸騰している水)の分に蒸発熱を加えた値になります。

(4) ⭕ 正しい記述

飽和蒸気の比体積は、圧力が高くなるほど小さくなる。

比体積は、1kgあたりの体積のことです。圧力が高くなると蒸気は押し縮められるので、比体積は小さくなります。

(5) ❌ 誤りの記述

飽和水の蒸発熱は、圧力が高くなるほど大きくなり、臨界圧力に達すると最大になる。

蒸発熱は、圧力が高くなるほど小さくなります。そして臨界圧力に達するとゼロです。臨界圧力とは、それ以上では水と蒸気の境目がなくなる圧力のこと。蒸発という変化そのものが起きないので、蒸発熱はなくなります。「大きくなり」「最大になる」と、向きが逆にされている点が誤りです。

値 圧力が高くなると
飽和温度(沸騰する温度) 高くなる
飽和水の比エンタルピ 大きくなる
飽和蒸気の比体積 小さくなる
蒸発熱 小さくなり、臨界圧力でゼロ

💡 覚え方

高い圧力ほど、沸かすまでの熱は増え、沸いたあとの蒸発熱は減る。2つは逆向きに動き、蒸発熱は臨界圧力でゼロになると押さえましょう。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第1回 熱と蒸気のきほん

問2 ボイラーの水循環

令和6年10月公表分野:ボイラーの水循環重要度 ★★★
ボイラーの水循環について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー内で、温度が上昇した水及び気泡を含んだ水は上昇し、その後に温度の低い水が下降して、水の循環流ができる。
(2)自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が小さくなり、循環力が弱くなる。
(3)水管ボイラーは、水循環を良くするため、水と気泡の混合体が上昇する管と、水が下降する管を区別して設けているものが多い。
(4)炉筒を有するボイラーでは、水循環を良くするため、炉筒をボイラーの中央に配置するのが良い。
(5)水循環が不良であると気泡が停滞することなどにより、伝熱面が焼損、膨出するなどの原因となる。
答え・解説を見る
正解

(4)
炉筒を有するボイラーでは、水循環を良くするため、炉筒をボイラーの中央に配置するのが良い。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの中で水がどう回っているかについての問題です。適切でないものを1つ選びます。

水循環とは?

ボイラーの中で、温まった水が上がり、冷たい水が下りてくる流れのこと。

💡 なぜ? 水は温まると軽くなり、冷えると重くなるからです。鍋でお湯を沸かすと、底の水が上がってくるのと同じ動きです。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラー内で、温度が上昇した水及び気泡を含んだ水は上昇し、その後に温度の低い水が下降して、水の循環流ができる。

温まった水や気泡をふくんだ水は軽いので上がります。そのあとへ温度の低い重い水が下りてきて、循環の流れになるのです。

(2) ⭕ 正しい記述

自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が小さくなり、循環力が弱くなる。

自然循環の力は、水と蒸気の重さ(密度)の差から生まれます。圧力が高くなると蒸気が押し縮められて重くなり、密度の差が小さくなるのです。その結果、循環する力は弱まります。

(3) ⭕ 正しい記述

水管ボイラーは、水循環を良くするため、水と気泡の混合体が上昇する管と、水が下降する管を区別して設けているものが多い。

水管ボイラーは、細い管の中に水を通すボイラーです。水と気泡が上がる管と、水が下りる管を分けたものが多く、水がスムーズに回ります。

(4) ❌ 誤りの記述

炉筒を有するボイラーでは、水循環を良くするため、炉筒をボイラーの中央に配置するのが良い。

炉筒は、胴(円筒形の容器)の中にある、火を燃やす筒です。炉筒ボイラーには、水循環をよくするため、炉筒を中央から片方へ少しずらしたものがあります。「中央に配置するのが良い」としている点が誤りです。

(5) ⭕ 正しい記述

水循環が不良であると気泡が停滞することなどにより、伝熱面が焼損、膨出するなどの原因となる。

水循環が悪いと、熱を受け取る面(伝熱面)に気泡がとどまり、熱が水に渡らなくなります。鉄の壁だけが熱くなり、焼損(焼けて傷む)や膨出(ふくれ出す)の原因になるのです。

💡 覚え方

炉筒は「中央」ではなく「片方へ少しずらす」。水循環の問題で「炉筒」と「中央」が並んでいたら、まず疑いましょう。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率 / 第4回 水管ボイラーと貫流ボイラー

問3 ボイラーの容量と効率

令和6年10月公表分野:ボイラーの容量と効率重要度 ★★★
ボイラーの容量、効率などについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー効率とは、全供給熱量に対する発生蒸気の吸収熱量の割合をいう。
(2)蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力、蒸気温度及び給水温度によって異なる。
(3)蒸気ボイラーの容量(能力)は、最大連続負荷の状態で、1時間に発生する蒸発量で示される。
(4)換算蒸発量は、実際の蒸発量を基準状態のときの蒸発量に換算したものである。
(5)ボイラー効率を算定するときの液体燃料の発熱量は、一般に、水蒸気の潜熱を含んだ高発熱量を用いる。
答え・解説を見る
正解

(5)
ボイラー効率を算定するときの液体燃料の発熱量は、一般に、水蒸気の潜熱を含んだ高発熱量を用いる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの大きさ(能力)の表し方と、効率の決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

高発熱量と低発熱量とは?

燃料が燃えると水蒸気ができます。その水蒸気が持つ熱(潜熱)までふくめた発熱量が高発熱量、ふくめない発熱量が低発熱量です。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラー効率とは、全供給熱量に対する発生蒸気の吸収熱量の割合をいう。

ボイラー効率は、燃料などで入れた全部の熱(全供給熱量)のうち、何%が蒸気に入ったかを表す割合です。

(2) ⭕ 正しい記述

蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力、蒸気温度及び給水温度によって異なる。

同じ量の蒸気をつくるのでも、蒸気の圧力・温度や入れる水(給水)の温度によって、必要な熱は変わります。冷たい水から高い圧力の蒸気をつくるほど、多くの熱が必要です。

(3) ⭕ 正しい記述

蒸気ボイラーの容量(能力)は、最大連続負荷の状態で、1時間に発生する蒸発量で示される。

蒸気ボイラーの容量は、最大連続負荷(無理なく続けて出せる最大の運転)の状態で示します。そのときに1時間に発生する蒸発量が容量です。

(4) ⭕ 正しい記述

換算蒸発量は、実際の蒸発量を基準状態のときの蒸発量に換算したものである。

換算蒸発量は、条件の違うボイラーを同じ物差しで比べるための数字です。基準の状態とは、100℃の水を100℃の蒸気にすること。実際の蒸発量を、この状態での蒸発量に直します。

(5) ❌ 誤りの記述

ボイラー効率を算定するときの液体燃料の発熱量は、一般に、水蒸気の潜熱を含んだ高発熱量を用いる。

効率の計算に使う燃料の発熱量は、一般に低発熱量です。排ガスの水蒸気は、通常水に戻らないまま煙突から出ていきます。その潜熱は実際には使えないので、除いて計算するのです。低発熱量が高発熱量に入れ替えられている点が誤りです。

💡 覚え方

効率は「使える熱」で計算するから低発熱量。煙突から逃げる水蒸気の熱は使えないので、数に入れないと考えましょう。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率

問4 丸ボイラーと水管ボイラーの比較

令和6年10月公表分野:丸ボイラーと水管ボイラーの比較重要度 ★★★
丸ボイラーと比較した水管ボイラーの特徴として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水冷壁が燃焼室に配置されている。
(2)伝熱面積当たりの保有水量が多いので、高圧大容量用に適している。
(3)伝熱面積を大きくとれるので、一般に熱効率を高くできる。
(4)使用蒸気量の変動により圧力及び水位が変動しやすい。
(5)給水及びボイラー水の処理に注意を要し、特に高圧ボイラーでは厳密な水管理を行う必要がある。
答え・解説を見る
正解

(2)
伝熱面積当たりの保有水量が多いので、高圧大容量用に適している。

この問題は何を聞いている?

水管ボイラーを、丸ボイラーと比べたときの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

丸ボイラー 水管ボイラー
形 大きな胴に水をためる 細い管の中に水を通す
伝熱面積あたりの保有水量 多い 少ない

2つの違いは、ためている水の量(保有水量)からほとんど説明できます。

(1) ⭕ 正しい記述

水冷壁が燃焼室に配置されている。

水冷壁は、燃焼室(燃料を燃やす部屋)の壁に水管を並べたものです。炎の熱を水管で受け止めて、燃焼室の壁を水で冷やすしくみです。

(2) ❌ 誤りの記述

伝熱面積当たりの保有水量が多いので、高圧大容量用に適している。

水管ボイラーは細い管に水を通すので、保有水量は少ないボイラーです。細い管は高い圧力に耐えやすいので、高圧・大容量に適しているという後半は合っています。理由の部分が「保有水量が多い」に入れ替えられている点が誤りです。

(3) ⭕ 正しい記述

伝熱面積を大きくとれるので、一般に熱効率を高くできる。

水を細い管に分けて流すと、熱を受け取る面(伝熱面)の面積を大きくとれます。そのため、一般に熱効率を高くできるのです。

(4) ⭕ 正しい記述

使用蒸気量の変動により圧力及び水位が変動しやすい。

保有水量が少ないと、熱のたくわえも少なくなります。蒸気を使う量が変わると、圧力や水位が変動しやすいのです。

(5) ⭕ 正しい記述

給水及びボイラー水の処理に注意を要し、特に高圧ボイラーでは厳密な水管理を行う必要がある。

細い管は汚れで詰まりやすく、焼けて傷みやすい部分です。そのため給水やボイラー水の処理に注意がいり、高圧ボイラーでは特に厳密な水管理が必要になります。

💡 覚え方

水管ボイラー=水が少ない。だから「高圧大容量向き・効率が高い」が長所で、「圧力と水位が揺れやすい・水管理が厳密」が弱点です。「保有水量が多い」は丸ボイラーの言葉だと覚えましょう。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第3回 丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー / 第4回 水管ボイラーと貫流ボイラー

問5 ステー(管ステー・ガセットステー・棒ステー)

令和6年10月公表分野:ステー(管ステー・ガセットステー・棒ステー)重要度 ★★
ボイラーに用いられるステーについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)管ステーは、鋼管を管板に溶接又はねじ込みによって取り付ける。
(2)管ステーを火炎に触れる部分にねじ込みによって取り付ける場合には、管ステーの端部を縁曲げする。
(3)ガセットステーは、熱応力を緩和するため、鏡板にブリージングスペースを設けて取り付ける。
(4)ガセット板を胴に直接溶接で取り付ける場合には、T継手の片側すみ肉溶接とする。
(5)棒ステーは、棒状のステーで、胴の両鏡板の間に設けたものを長手ステー、鏡板と胴板の間に設けたものを斜めステーという。
答え・解説を見る
正解

(4)
ガセット板を胴に直接溶接で取り付ける場合には、T継手の片側すみ肉溶接とする。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの弱い板を支えるステーの種類と、取り付け方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

ステーとは?

ボイラーの平らで弱い板を、ほかの部分とつないで支える補強材。棒・管・板などの形があります。

💡 なぜ? 平らな板は、内側から押されると外へふくらんで変形しやすいからです。

(1) ⭕ 正しい記述

管ステーは、鋼管を管板に溶接又はねじ込みによって取り付ける。

管ステーは、管板(煙管を取り付ける板)を支える、管の形のステーです。鋼管を管板に溶接またはねじ込みで取り付けます。

(2) ⭕ 正しい記述

管ステーを火炎に触れる部分にねじ込みによって取り付ける場合には、管ステーの端部を縁曲げする。

火炎に触れる部分にねじ込みで取り付けるときは、管の端を縁曲げ(ふちを曲げること)します。管の端が炎で焼けて傷むのを防ぐためです。

(3) ⭕ 正しい記述

ガセットステーは、熱応力を緩和するため、鏡板にブリージングスペースを設けて取り付ける。

ガセットステーは、平らな板(ガセット板)で、鏡板(胴の両端のふた)を胴につないで支えるステーです。鏡板にはブリージングスペースという、ステーを入れない余裕の部分を残します。炉筒(火を燃やす筒)の伸び縮みで生じる熱応力をやわらげるためです。

(4) ❌ 誤りの記述

ガセット板を胴に直接溶接で取り付ける場合には、T継手の片側すみ肉溶接とする。

ガセット板を胴板に溶接するときに使えるのは、K形溶接・レ形溶接・両側すみ肉溶接です(JIS B 8201)。K形・レ形溶接は、板の端を削って溶かし込む溶接のことです。すみ肉溶接なら両側に行う必要があり、片側だけでは足りません。「両側」が「片側」に入れ替えられている点が誤りです。

ガセット板を取り付ける相手 使える溶接(JIS B 8201)
鏡板 K形溶接またはレ形溶接(すみ肉溶接は使えない)
胴板 K形溶接・レ形溶接・両側すみ肉溶接(片側すみ肉溶接は使えない)

(5) ⭕ 正しい記述

棒ステーは、棒状のステーで、胴の両鏡板の間に設けたものを長手ステー、鏡板と胴板の間に設けたものを斜めステーという。

棒ステーは、棒の形をしたステーです。胴の両側の鏡板どうしを結ぶものが長手ステー、鏡板と胴板を斜めに結ぶものが斜めステーです。

棒ステーの名前 結ぶ場所
長手ステー 胴の両側の鏡板どうし
斜めステー 鏡板と胴板

💡 覚え方

長手=胴の長さいっぱいに渡す、斜め=鏡板から胴へ斜めに渡す。名前がそのまま形を表しています。管ステーは「火炎に触れる所は縁曲げ」、ガセットステーは「鏡板にブリージングスペース」が要点です。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第5回 各部の構造と強さ

問6 水面測定装置(ガラス水面計・二色水面計)

令和6年10月公表分野:水面測定装置(ガラス水面計・二色水面計)重要度 ★★★
ボイラーの水面測定装置について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーには、原則として、2個以上のガラス水面計を見やすい位置に取り付ける。
(2)ガラス水面計は、可視範囲の最下部がボイラーの安全低水面と同じ高さになるように取り付ける。
(3)ガラス水面計は、ボイラー本体又は蒸気ドラムに直接取り付けるか、又は水柱管を設けこれに取り付ける。
(4)丸形ガラス水面計は、主として最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに用いられる。
(5)二色水面計は、光線の屈折率の差を利用したもので、蒸気部は緑色(青色)に、水部は赤色に見える。
答え・解説を見る
正解

(5)
二色水面計は、光線の屈折率の差を利用したもので、蒸気部は緑色(青色)に、水部は赤色に見える。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水位を見る道具(水面計)についての問題です。適切でないものを1つ選びます。

安全低水面とは?

ボイラーを使っている間、これより水位を下げてはいけない最低の水面のこと。

💡 なぜ? 水位が下がりすぎると、熱を受ける面が水から出てしまい、焼けて傷むからです。

(1) ⭕ 正しい記述

貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーには、原則として、2個以上のガラス水面計を見やすい位置に取り付ける。

水面計は、汚れや詰まりで正しい水位を示さなくなることがあります。2個以上あれば見比べて異常に気づけるので、原則として2個以上付ける決まりです。貫流ボイラーは除かれます。

(2) ⭕ 正しい記述

ガラス水面計は、可視範囲の最下部がボイラーの安全低水面と同じ高さになるように取り付ける。

ガラスの見える範囲の最下部を、安全低水面と同じ高さに合わせます。こうしておけば、水面がガラスから消えた瞬間=安全低水面だと分かるからです。

(3) ⭕ 正しい記述

ガラス水面計は、ボイラー本体又は蒸気ドラムに直接取り付けるか、又は水柱管を設けこれに取り付ける。

ガラス水面計は、ボイラー本体や蒸気ドラムに直接付けるのが1つの方法です。水柱管(水面計を付けるための縦の管)を設けて、それに付ける方法もあります。

(4) ⭕ 正しい記述

丸形ガラス水面計は、主として最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに用いられる。

丸形ガラス水面計は、主に最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに使われます。

(5) ❌ 誤りの記述

二色水面計は、光線の屈折率の差を利用したもので、蒸気部は緑色(青色)に、水部は赤色に見える。

二色水面計が、光の屈折率の差を利用している点は合っています。ただし見え方は、蒸気部が赤、水部が緑(青)です。赤と緑が入れ替えられている点が誤りです。

水面計 見え方
二色水面計 蒸気部は赤、水部は緑(青)
平形反射式水面計 水部は黒、蒸気部は白く光る

💡 覚え方

蒸気は赤(熱い)、水は緑・青(冷たい)。熱い方が赤と考えれば、色の入れ替えに気づけます。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計)

問7 送気系統装置(主蒸気弁・沸水防止管・蒸気逆止め弁)

令和6年10月公表分野:送気系統装置(主蒸気弁・沸水防止管・蒸気逆止め弁)重要度 ★★
ボイラーの送気系統装置について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
(2)主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
(3)沸水防止管は、気水分離器の一種で、低圧ボイラーの蒸気取出し口の下の胴内に設ける。
(4)主蒸気管の配置に当たっては、曲がり部に十分な半径を持たせ、ドレンのたまる部分がないように傾斜を付けるとともに、要所に蒸気トラップを設ける。
(5)2基以上のボイラーが蒸気出口で同一管系に連絡している場合は、一般に、主蒸気弁の後に蒸気逆止め弁を設ける。
答え・解説を見る
正解

(1)
主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。

この問題は何を聞いている?

ボイラーでつくった蒸気を送り出す装置についての問題です。適切でないものを1つ選びます。

主蒸気弁とは?

ボイラーでつくった蒸気を、主蒸気管(蒸気を使う場所へ送る管)へ出す所にある弁。

弁 弁の中の蒸気の流れ 流れの抵抗
仕切弁 まっすぐ流れる(板を上下させて仕切る) 小さい
玉形弁 弁の中でS字形に曲がる 大きい

(1) ❌ 誤りの記述

主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。

仕切弁の抵抗が小さいという結論は合っています。ただし理由は、蒸気が弁の中をまっすぐ流れるからです。流れ方が「Y字形」にされている点が誤りです。

(2) ⭕ 正しい記述

主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。

玉形弁は、蒸気が弁の中でS字形に曲がって流れます。曲がるぶん、流れの抵抗は大きくなるのです。

(3) ⭕ 正しい記述

沸水防止管は、気水分離器の一種で、低圧ボイラーの蒸気取出し口の下の胴内に設ける。

沸水防止管は、蒸気と水滴を分ける気水分離器の一種です。低圧ボイラーの蒸気取出し口の下の胴内に設け、水滴が蒸気と一緒に出ていくのを防ぎます。

(4) ⭕ 正しい記述

主蒸気管の配置に当たっては、曲がり部に十分な半径を持たせ、ドレンのたまる部分がないように傾斜を付けるとともに、要所に蒸気トラップを設ける。

主蒸気管にドレン(蒸気が冷えてできた水)がたまると、蒸気に押されて配管にぶつかります。これがウォータハンマという大きな衝撃です。そこで傾斜をつけて水を集め、蒸気トラップで抜くのです。曲がり部には十分な半径を持たせます。

(5) ⭕ 正しい記述

2基以上のボイラーが蒸気出口で同一管系に連絡している場合は、一般に、主蒸気弁の後に蒸気逆止め弁を設ける。

ボイラーどうしが同じ管でつながっていると、止まっているボイラーへ蒸気が逆流するおそれがあります。それを防ぐため、主蒸気弁の後に蒸気逆止め弁を設けるのです。

💡 覚え方

仕切弁は「まっすぐ通り抜けられる門」、玉形弁は「中でS字に曲がる通路」。曲がりが多いほど抵抗は大きくなります。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収)

問8 温水ボイラーの逃がし管と逃がし弁

令和6年10月公表分野:温水ボイラーの逃がし管と逃がし弁重要度 ★★★
温水ボイラーの逃がし管及び逃がし弁について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)逃がし管は、ボイラーと高所に設けた開放形膨張タンクとを接続する管である。
(2)膨張タンクには、タンク内の水位をみる験水管、オーバーフロー管などが設けられている。
(3)逃がし管には、ボイラーに近い側に弁又はコックを取り付ける。
(4)逃がし弁は、逃がし管を設けない場合又は膨張タンクを密閉形とした場合に用いられる。
(5)逃がし弁は、水の膨張による圧力上昇によって、弁体を押し上げ、水を逃がすものである。
答え・解説を見る
正解

(3)
逃がし管には、ボイラーに近い側に弁又はコックを取り付ける。

この問題は何を聞いている?

温水ボイラーの圧力の上がりすぎを防ぐ、逃がし管と逃がし弁の問題です。適切でないものを1つ選びます。

膨張タンクとは?

温めて体積が増えた分の水を受け止めるタンク。上が大気に開いた開放形と、閉じた密閉形の2種類です。

💡 なぜ? 水は温めるとふくらむ性質があります。逃げ場がないと、ボイラーの中の圧力が上がってしまうからです。

(1) ⭕ 正しい記述

逃がし管は、ボイラーと高所に設けた開放形膨張タンクとを接続する管である。

逃がし管は、ボイラーと、高い所に設けた開放形の膨張タンクをつなぐ管です。ふくらんだ水は、この管を通ってタンクへ上がります。

(2) ⭕ 正しい記述

膨張タンクには、タンク内の水位をみる験水管、オーバーフロー管などが設けられている。

膨張タンクには、験水管やオーバーフロー管などが設けられています。験水管は、タンクの中に水がどれだけあるかを確かめる管です。オーバーフロー管は、増えすぎてあふれた分を外へ流す管です。

(3) ❌ 誤りの記述

逃がし管には、ボイラーに近い側に弁又はコックを取り付ける。

逃がし管の途中には、弁やコックを取り付けてはなりません。弁やコックが閉まっていると、ふくらんだ水の逃げ道がなくなるからです。「ボイラーに近い側に取り付ける」としている点が誤りです。

(4) ⭕ 正しい記述

逃がし弁は、逃がし管を設けない場合又は膨張タンクを密閉形とした場合に用いられる。

逃がし弁は、逃がし管の代わりに使う部品です。逃がし管を設けない場合や、膨張タンクを密閉形にした場合に使われます。

(5) ⭕ 正しい記述

逃がし弁は、水の膨張による圧力上昇によって、弁体を押し上げ、水を逃がすものである。

逃がし弁は、水の膨張で圧力が上がると、弁体(ふた)を押し上げて水を逃がすしくみです。

💡 覚え方

逃がし管は「いつでも開いている逃げ道」。途中に弁やコックがあると、閉めたときに逃げ道がふさがります。だから弁もコックも付けないと考えましょう。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計)

問9 エコノマイザ

令和6年10月公表分野:エコノマイザ重要度 ★★
ボイラーのエコノマイザについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)エコノマイザは、煙道ガスの余熱を回収して、給水の予熱に利用する装置である。
(2)エコノマイザの種類には鋼管形と鋼板形があり、エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。
(3)エコノマイザを設置すると、ボイラー効率を向上させ、燃料が節約できる。
(4)エコノマイザを設置すると、通風抵抗が多少増加する。
(5)エコノマイザを設置すると、燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。
答え・解説を見る
正解

(2)
エコノマイザの種類には鋼管形と鋼板形があり、エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。

この問題は何を聞いている?

排ガスの熱を取り戻す装置、エコノマイザの種類と、設置したときの影響を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

エコノマイザとは?

煙突へ向かう煙道ガス(燃えたあとのガス)の余熱で、給水(ボイラーに入れる水)を前もって温める装置。

💡 なぜ? 燃焼ガスは、ボイラーを通ったあともまだかなり熱いまま煙突へ向かうからです。

(1) ⭕ 正しい記述

エコノマイザは、煙道ガスの余熱を回収して、給水の予熱に利用する装置である。

エコノマイザは、煙道ガスの余熱を回収して、給水の予熱に使う装置です。

(2) ❌ 誤りの記述

エコノマイザの種類には鋼管形と鋼板形があり、エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。

エコノマイザには、一般に使われるのは鋼管形です。管に平滑管やひれ付き管が使われるという後半は合っています。種類を「鋼管形と鋼板形がある」としている点が誤りです。

(3) ⭕ 正しい記述

エコノマイザを設置すると、ボイラー効率を向上させ、燃料が節約できる。

捨てるはずの熱を取り戻すので、ボイラー効率が上がります。そのぶん燃料が節約できるのです。

(4) ⭕ 正しい記述

エコノマイザを設置すると、通風抵抗が多少増加する。

エコノマイザは、ガスの通り道に置く装置です。そのため、ガスの流れにくさ(通風抵抗)は多少増えます。

(5) ⭕ 正しい記述

エコノマイザを設置すると、燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。

エコノマイザで熱を取ると、ガスの温度が下がります。温度が下がりすぎると、ガスにふくまれる硫黄分から硫酸ができ、管などを腐らせるのです。これが低温腐食で、燃料によっては起こることがあります。

💡 覚え方

エコノマイザは一般に鋼管形。「鋼板形」という種類が出てきたら誤りを疑いましょう。設置すると「効率は上がる・通風抵抗は増える・低温腐食のおそれ」と、良い面と悪い面をセットで覚えましょう。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収)

問10 ドラム水位制御(単要素式・二要素式・三要素式)

令和6年10月公表分野:ドラム水位制御(単要素式・二要素式・三要素式)重要度 ★★★
ボイラーのドラム水位制御について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水位の制御方式には、単要素式、二要素式及び三要素式がある。
(2)単要素式は、負荷変動が激しいときは良好な制御が期待できない。
(3)二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。
(4)電極式水位検出器は、蒸気の凝縮によって検出筒内部の水の純度が高くなると、正常に作動しなくなる。
(5)単要素式には、ドラム水位の変化を偏差信号として給水調節器へ伝え、比例制御で弁の開度を変えるようにしたものなどがある。
答え・解説を見る
正解

(3)
二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水位を自動で保つしくみについての問題です。適切でないものを1つ選びます。

方式 測るもの
単要素式 水位だけ
二要素式 水位と蒸気流量
三要素式 水位・蒸気流量・給水流量

(1) ⭕ 正しい記述

水位の制御方式には、単要素式、二要素式及び三要素式がある。

水位の制御方式は、何を測って給水量を決めるかで3つに分かれます。単要素式・二要素式・三要素式です。

(2) ⭕ 正しい記述

単要素式は、負荷変動が激しいときは良好な制御が期待できない。

単要素式は、水位だけを見て給水量を決めます。蒸気を使う量(負荷)が激しく変わるときは、良好な制御が期待できません。

(3) ❌ 誤りの記述

二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。

二要素式が測るのは、水位と蒸気流量(出ていく蒸気の量)です。「蒸気圧力」ではありません。蒸気流量が蒸気圧力に入れ替えられている点が誤りです。

(4) ⭕ 正しい記述

電極式水位検出器は、蒸気の凝縮によって検出筒内部の水の純度が高くなると、正常に作動しなくなる。

電極式水位検出器は、水に電気が流れる性質を使って水位を知る装置です。検出筒の中では蒸気が凝縮して、純度の高い水がたまりやすくなります。水が純粋になるほど電気は流れにくくなるので、正常に作動しなくなるのです。

(5) ⭕ 正しい記述

単要素式には、ドラム水位の変化を偏差信号として給水調節器へ伝え、比例制御で弁の開度を変えるようにしたものなどがある。

単要素式には、水位の変化を偏差信号として給水調節器へ伝えるものなどがあるのです。そして比例制御で、給水の弁の開き具合を変えます。比例制御とは、ずれの大きさに比例して弁の開きを変える動かし方のことです。

🤔 なぜ単要素式は、負荷変動が激しいときに弱いのですか?

蒸気を急にたくさん使うと、ボイラーの中の圧力が下がります。すると水の中の気泡がふくらんで、一時的に水位が上がって見えることがあるのです。水位だけを見ていると、そこで給水を減らしてしまいます。蒸気流量も見る二要素式なら、給水を増やすと正しく判断できるのです。

💡 覚え方

要素が1つ増えるごとに「量」が1つ増える。単要素=水位、二要素=+蒸気流量、三要素=+給水流量です。足していくのは出入りの量なので、圧力は入りません。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第8回 自動制御

令和6年10月公表「ボイラーの構造」のまとめ

まとめ

・蒸発熱は、圧力が高くなるほど小さくなり、臨界圧力でゼロ。飽和蒸気の比体積も小さくなる

・炉筒は中央から片方へ少しずらす。自然循環は高圧ほど循環力が弱くなる

・容量=最大連続負荷で1時間の蒸発量。ボイラー効率は低発熱量で計算

・水管ボイラーは保有水量が少ない。だから高圧大容量向きで、圧力と水位は変動しやすい

・二色水面計は蒸気部が赤、水部が緑(青)。仕切弁は蒸気がまっすぐ流れて抵抗が小さい

・逃がし管には弁やコックを付けない。エコノマイザは一般に鋼管形

・二要素式が測るのは水位と蒸気流量。蒸気圧力ではない