二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年10月公表分の「燃料及び燃焼」(問21〜問30)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和6年10月公表)

問21 燃料の分析と性質(元素分析・成分分析・着火温度・発熱量)

令和6年10月公表分野:燃料の分析と性質(元素分析・成分分析・着火温度・発熱量)重要度 ★★★
燃料の分析及び性質について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)組成を示す場合、通常、液体燃料及び固体燃料には成分分析が用いられる。
(2)燃料を空気中で加熱し、他から点火しないで自然に燃え始める最低の温度を、着火温度という。
(3)発熱量とは、燃料を完全燃焼させたときに発生する熱量である。
(4)液体燃料及び固体燃料の発熱量の単位は、通常、MJ/kg で表す。
(5)高発熱量と低発熱量の差は、燃料に含まれる水素及び水分の割合によって決まる。
答え・解説を見る
正解

(1)
組成を示す場合、通常、液体燃料及び固体燃料には成分分析が用いられる。

この問題は何を聞いている?

燃料の調べ方(分析)と、着火温度・発熱量という基本の言葉を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

分析 どの燃料に使うか
元素分析 液体燃料・固体燃料の組成を示すときに使う(炭素・水素などの割合)
成分分析 気体燃料の組成を示すときに使う(メタンなどの成分の割合)

(1) ❌ 誤りの記述

組成を示す場合、通常、液体燃料及び固体燃料には成分分析が用いられる。

液体燃料と固体燃料の組成は、炭素や水素などの割合で表す元素分析で示します。成分分析は、メタンなどの成分の割合で表す方法で、気体燃料に使うものです。元素分析が成分分析に入れ替えられている点が誤りです。

(2) ⭕ 正しい記述

燃料を空気中で加熱し、他から点火しないで自然に燃え始める最低の温度を、着火温度という。

燃料を空気中で加熱し、ほかから点火しないで自然に燃え始める最低の温度が着火温度です。似た言葉の引火点は、液体燃料から出た蒸気に小さな炎を近づけたときに燃え始める最低の温度をいいます。

(3) ⭕ 正しい記述

発熱量とは、燃料を完全燃焼させたときに発生する熱量である。

発熱量は、燃料を完全に燃やしたときに出る熱の量です。同じ量の燃料で、どれだけ蒸気をつくれるかを比べる基本の数字になります。

(4) ⭕ 正しい記述

液体燃料及び固体燃料の発熱量の単位は、通常、MJ/kg で表す。

液体燃料と固体燃料の発熱量は、通常MJ/kgで表します。1kgあたり何メガジュールの熱が出るかという意味の単位です。

(5) ⭕ 正しい記述

高発熱量と低発熱量の差は、燃料に含まれる水素及び水分の割合によって決まる。

燃料が燃えると水蒸気ができます。この水蒸気が水に戻るときに出す熱(潜熱)をふくめたのが高発熱量、差し引いたのが低発熱量です。水蒸気のもとは燃料の水素(燃えて水になる)と水分なので、差はこの2つの割合で決まります。

⚠ 注意

この入れ替えは、令和6年4月公表でも誤りとして出ました。「気体燃料には元素分析」と書かれた形にも注意してください。

💡 覚え方

ガスは「メタン何%」と成分で、液体や固体は「炭素何%」と元素で表します。気体=成分分析、液体・固体=元素分析と、燃料の形とセットで押さえましょう。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質

問22 重油の性質(密度・粘度・引火点・発熱量)

令和6年10月公表分野:重油の性質(密度・粘度・引火点・発熱量)重要度 ★★★
重油の性質について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)重油の密度は、温度が上昇すると減少する。
(2)重油の実際の引火点は、一般に100℃前後である。
(3)重油の粘度は、温度が上昇すると低くなる。
(4)重油の比熱は、温度及び密度によって変わる。
(5)C重油は、A重油より単位質量当たりの発熱量が大きい。
答え・解説を見る
正解

(5)
C重油は、A重油より単位質量当たりの発熱量が大きい。

この問題は何を聞いている?

重油の性質が、温度や種類によってどう変わるかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

A重油とC重油とは?

重油の種類のこと。A重油は粘り気が小さく(さらさら)、C重油は粘り気が大きい(どろっとしている)油です。

(1) ⭕ 正しい記述

重油の密度は、温度が上昇すると減少する。

重油の密度は、温度が上がると減少します。問題文のとおりの性質です。

(2) ⭕ 正しい記述

重油の実際の引火点は、一般に100℃前後である。

引火点とは、油を温めて出た蒸気に小さな炎を近づけたとき、燃え始める最低の温度のこと。重油の実際の引火点は、一般に100℃前後です。

(3) ⭕ 正しい記述

重油の粘度は、温度が上昇すると低くなる。

粘度とは、液体の粘り気の強さのことです。重油の粘度は、温度が上がると低くなります(さらさらになる)。

(4) ⭕ 正しい記述

重油の比熱は、温度及び密度によって変わる。

比熱とは、1kgの物の温度を1℃上げるのに必要な熱の量のことです。重油の比熱は、温度と密度によって変わります。

(5) ❌ 誤りの記述

C重油は、A重油より単位質量当たりの発熱量が大きい。

単位質量(1kg)あたりの発熱量が大きいのは、A重油のほうです。軽い油ほど、成分の中の水素の割合が多い傾向があります。水素は、同じ重さあたりで出す熱がとても大きい成分です。A重油とC重油の向きが入れ替えられている点が誤りです。

温度が上がると どうなるか
重油の密度 減少する
重油の粘度 低くなる(さらさらになる)

⚠ 注意

令和6年4月公表では、「密度の大きい重油の方が、単位質量あたりの発熱量が大きい」が誤りとされました。言い方を変えた同じ入れ替えです。

💡 覚え方

軽い(密度が小さい)A重油ほど、1kgあたりの発熱量は大きい。温度の話は、「温めると密度も粘度も下がる」と1つにまとめて覚えましょう。

以上から、正解は(5)です。

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問23 固体燃料と比べた気体燃料の特徴

令和6年10月公表分野:固体燃料と比べた気体燃料の特徴重要度 ★★★
ボイラー用固体燃料と比べた場合のボイラー用気体燃料の特徴として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)一般に、成分中の炭素に対する水素の比率が高い。
(2)クリンカの発生が多い。
(3)一般に、メタンなどの炭化水素が主成分である。
(4)発生する熱量が同じ場合、CO₂の発生割合は石炭の約60%で、温室効果ガスの削減に有効である。
(5)漏えいすると、可燃性混合気を作りやすく、爆発の危険性がある。
答え・解説を見る
正解

(2)
クリンカの発生が多い。

この問題は何を聞いている?

都市ガスなどの気体燃料を、石炭などの固体燃料と比べたときの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

クリンカとは?

燃料の灰が溶けて固まったもののこと。

(1) ⭕ 正しい記述

一般に、成分中の炭素に対する水素の比率が高い。

気体燃料は、成分の中の炭素に対する水素の割合が高い燃料です。

(2) ❌ 誤りの記述

クリンカの発生が多い。

気体燃料は、硫黄分や灰分が少ない燃料です。灰がもとになるクリンカも、ほとんど出ません。「ほとんど出ない」が「発生が多い」に入れ替えられている点が誤りです。

(3) ⭕ 正しい記述

一般に、メタンなどの炭化水素が主成分である。

気体燃料は、メタンなどの炭化水素(炭素と水素の化合物)が主な成分です。

(4) ⭕ 正しい記述

発生する熱量が同じ場合、CO₂の発生割合は石炭の約60%で、温室効果ガスの削減に有効である。

同じ熱量を出すとき、気体燃料のCO₂の発生は石炭の約60%です。そのため、温室効果ガスの削減に有効とされています。

(5) ⭕ 正しい記述

漏えいすると、可燃性混合気を作りやすく、爆発の危険性がある。

気体燃料は、漏れると燃えやすい混合気(可燃性混合気)をつくりやすい燃料です。そのため、爆発の危険があります。

⚠ 注意

数字の入れ替えも出ています。令和6年4月公表では、「CO₂の発生は石炭の1/3以下」が誤りとされました。正しくは約60%です。

💡 覚え方

気体燃料は灰分が少ない→灰が固まったクリンカもほとんど出ない、とつなげて覚えましょう。気をつける点は、漏れたときの爆発の危険です。

以上から、正解は(2)です。

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問24 燃料油タンク(貯蔵タンクとサービスタンク)

令和6年10月公表分野:燃料油タンク(貯蔵タンクとサービスタンク)重要度 ★★★
ボイラーの燃料油タンクについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される。
(2)サービスタンクの貯油量は、一般に、最大燃焼量の2時間分程度とする。
(3)貯蔵タンクの油送入管は油タンクの上部に取り付ける。
(4)貯蔵タンクの油取出し管は、タンクの底部から20~30cm上方に取り付ける。
(5)貯蔵タンクには、一般に、自動油面調節装置を取り付ける。
答え・解説を見る
正解

(5)
貯蔵タンクには、一般に、自動油面調節装置を取り付ける。

この問題は何を聞いている?

重油などをためておく2種類のタンクと、そこに取り付けるものの決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

タンク 役目・決まり
貯蔵タンク 1週間〜1か月分の油を蓄える。油の送入管は上部、取出し管は底から20〜30cm上
サービスタンク バーナ(燃料を燃やす装置)の近くで使う分をためる。最大燃焼量の2時間分程度。油面計・温度計・自動油面調節装置を付ける

(1) ⭕ 正しい記述

燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される。

燃料油タンクは、使いみち(用途)によって貯蔵タンクとサービスタンクの2つに分けられます。

(2) ⭕ 正しい記述

サービスタンクの貯油量は、一般に、最大燃焼量の2時間分程度とする。

サービスタンクにためる油の量は、最大燃焼量の2時間分程度が一般的です。貯蔵タンクの1週間〜1か月分と比べると、ずっと少ない量です。

(3) ⭕ 正しい記述

貯蔵タンクの油送入管は油タンクの上部に取り付ける。

貯蔵タンクへ油を入れる管(油送入管)は、タンクの上部に取り付けます。

(4) ⭕ 正しい記述

貯蔵タンクの油取出し管は、タンクの底部から20~30cm上方に取り付ける。

油を取り出す管(油取出し管)は、タンクの底から20〜30cm上に取り付けます。タンクの底には、油より重い水やスラッジ(沈殿物)がたまるからです。底から直接取り出すと、それらまで吸い込んでしまいます。

(5) ❌ 誤りの記述

貯蔵タンクには、一般に、自動油面調節装置を取り付ける。

自動油面調節装置は、油の面の高さを自動で保つ装置です。これを取り付けるのは、サービスタンクのほうです。サービスタンクが貯蔵タンクに入れ替えられている点が誤りです。

🤔 油は、どんな順番で流れていくのですか。

一般的には、貯蔵タンク→サービスタンク→バーナの順です。大きな貯蔵タンクから、バーナの近くの小さなサービスタンクへ油を移して使います。

💡 覚え方

貯蔵タンク=大きくためる(1週間〜1か月分)、サービスタンク=使う分だけ(2時間分程度)。自動油面調節装置はサービスタンクに付くと覚えましょう。同じ入れ替えは、令和8年4月公表でも出ています。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質

問25 低温腐食の抑制方法

令和6年10月公表分野:低温腐食の抑制方法重要度 ★★★
重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)硫黄分の少ない重油を選択する。
(2)低温伝熱面に耐食材料を使用する。
(3)給水温度を上昇させて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保つ。
(4)蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。
(5)排ガスのO₂%を下げ、二酸化硫黄から三酸化硫黄への転換を抑制して、燃焼ガスの露点を上げる。
答え・解説を見る
正解

(5)
排ガスのO₂%を下げ、二酸化硫黄から三酸化硫黄への転換を抑制して、燃焼ガスの露点を上げる。

この問題は何を聞いている?

重油を燃やすボイラーで起きる低温腐食を、どうやって抑えるかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

低温腐食とは?

燃料の硫黄からできた硫酸が、温度の低い伝熱面(熱を受け取る面)で結露して金属を腐らせること。エコノマイザや空気予熱器など、排ガスの温度が下がる場所で起きやすい腐食です。

低温腐食が起きるまで

①燃料の硫黄が燃えて二酸化硫黄(SO₂)になる

②その一部が、さらに酸素と結びついて三酸化硫黄(SO₃)になる

③三酸化硫黄が、燃焼ガス中の水蒸気と結びついて硫酸になる

④伝熱面の温度が露点(結露し始める温度)より低いと、硫酸が結露して腐食する

(1) ⭕ 低温腐食を抑える方法である

硫黄分の少ない重油を選択する。

硫酸のもとは、燃料にふくまれる硫黄です。硫黄分の少ない重油を選ぶのは、正しい方法です。

(2) ⭕ 低温腐食を抑える方法である

低温伝熱面に耐食材料を使用する。

温度の低い伝熱面に、腐食に強い材料(耐食材料)を使う方法です。

(3) ⭕ 低温腐食を抑える方法である

給水温度を上昇させて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保つ。

エコノマイザは、排ガスの熱で給水(ボイラーに入れる水)を温める装置です。給水温度を上げて伝熱面の温度を高く保てば、露点を下回りにくくなります。

(4) ⭕ 低温腐食を抑える方法である

蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。

空気予熱器は、燃焼ガスの余熱で燃焼用の空気を温める装置です。蒸気式空気予熱器を使って、ガス式空気予熱器の伝熱面が冷えすぎないようにするのは、正しい方法です。

(5) ❌ 低温腐食を抑える方法ではない

排ガスのO₂%を下げ、二酸化硫黄から三酸化硫黄への転換を抑制して、燃焼ガスの露点を上げる。

前半は正しい内容です。排ガスの酸素を減らすと、二酸化硫黄から三酸化硫黄への変化が抑えられます。その結果、燃焼ガスの露点は下がるのです。露点が低ければ、伝熱面がかなり冷えるまで結露しません。最後の「下げる」が「上げる」に入れ替えられている点が誤りです。

💡 覚え方

低温腐食は「冷えた窓ガラスの結露」と同じ考え方です。防ぐ方法は、面を温めるか、結露しにくくする(露点を下げる・硫黄を減らす)かの2方向。「露点を上げる」は、結露しやすくなる向きなので誤りです。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第17回 大気汚染・重油の障害・低温腐食

問26 圧力噴霧式バーナの噴射油量の調節

令和6年10月公表分野:圧力噴霧式バーナの噴射油量の調節重要度 ★★
ボイラーの圧力噴霧式バーナの噴射油量を調節し、又はその調節範囲を大きくする方法として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)バーナの数を加減する。
(2)バーナのノズルチップを取り替える。
(3)油加熱器を用いる。
(4)戻り油式圧力噴霧バーナを用いる。
(5)プランジャ式圧力噴霧バーナを用いる。
答え・解説を見る
正解

(3)
油加熱器を用いる。

この問題は何を聞いている?

圧力噴霧式バーナで、噴き出す油の量を調節する方法を問う問題です。調節の方法として適切でないものを1つ選びます。

圧力噴霧式バーナとは?

油に高い圧力を加え、ノズルチップ(先端の小さな穴の部品)から噴き出させて霧にするバーナ。

💡 なぜ? 油の圧力で霧をつくるので、燃焼量を減らそうと圧力を下げると霧が粗くなります。そのままではあまり絞れないのです。

(1) ⭕ 調節の方法である

バーナの数を加減する。

使うバーナの数を増やしたり減らしたりして、全体の油の量を調節する方法です。

(2) ⭕ 調節の方法である

バーナのノズルチップを取り替える。

ノズルチップの穴の大きさで、同じ圧力でも噴き出す油の量が変わります。穴の大きいチップに替えれば多く、小さいチップなら少なくなるのです。

(3) ❌ 調節の方法ではない

油加熱器を用いる。

油加熱器は、油を温めて粘り気(粘度)を下げ、霧にしやすくする装置です。噴き出す量を調節するものではありません。霧の細かさの話が、量の話にすり替えられている点がひっかけです。

(4) ⭕ 調節の方法である

戻り油式圧力噴霧バーナを用いる。

戻り油式は、バーナへ送った油の一部を戻して、噴き出す量を減らすしくみです。ノズルにかける圧力を保ったまま、噴射量だけを減らせます。

(5) ⭕ 調節の方法である

プランジャ式圧力噴霧バーナを用いる。

プランジャ式は、プランジャ(ピストンのような部品)で油を押し出すポンプを使うバーナです。押し出す量そのものを変えて、噴射量を調節できます。

💡 覚え方

「霧の細かさ」と「噴き出す量」は別の話です。油加熱器は粘度を下げて霧にしやすくする装置。量を変える4つの方法とは、役目が違います。

油加熱器は噴射油量を調節する装置ではないので、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第16回 燃焼装置

問27 気体燃料の燃焼の特徴

令和6年10月公表分野:気体燃料の燃焼の特徴重要度 ★★★
ボイラーにおける気体燃料の燃焼の特徴として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼させる際に、微粒化や蒸発のプロセスが不要である。
(2)空気との混合状態を比較的自由に設定でき、火炎の広がり、長さなどの調節が容易である。
(3)安定した燃焼が得られ、点火及び消火が容易で、かつ、自動化しやすい。
(4)燃料の加熱及び霧化媒体の高圧空気又は蒸気が不要である。
(5)ガス火炎は、油火炎に比べて火炉での放射伝熱量は増えるが、接触伝熱面での伝熱量は減る。
答え・解説を見る
正解

(5)
ガス火炎は、油火炎に比べて火炉での放射伝熱量は増えるが、接触伝熱面での伝熱量は減る。

この問題は何を聞いている?

都市ガスなどの気体燃料が、油と比べてどんな燃え方をするかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

放射伝熱と接触伝熱面とは?

放射伝熱は、炎が出す光や熱線で熱が伝わること。接触伝熱面は、熱いガスが触れて熱を伝える面のことです。

(1) ⭕ 正しい記述

燃焼させる際に、微粒化や蒸発のプロセスが不要である。

油は、細かい霧にして(微粒化)から燃やします。気体燃料はもともと気体なので、微粒化や蒸発の手間がいりません。

(2) ⭕ 正しい記述

空気との混合状態を比較的自由に設定でき、火炎の広がり、長さなどの調節が容易である。

気体燃料は、空気との混ぜ方を比較的自由に決められます。そのため、炎の広がりや長さの調節が容易です。

(3) ⭕ 正しい記述

安定した燃焼が得られ、点火及び消火が容易で、かつ、自動化しやすい。

気体燃料は安定した燃焼が得られ、点火も消火も容易です。そのうえ、自動化しやすいという特徴もあります。

(4) ⭕ 正しい記述

燃料の加熱及び霧化媒体の高圧空気又は蒸気が不要である。

霧化媒体とは、油を霧にするために使う高圧の空気や蒸気のことです。気体燃料は霧にする必要がないので、燃料の加熱も霧化媒体も不要です。

(5) ❌ 誤りの記述

ガス火炎は、油火炎に比べて火炉での放射伝熱量は増えるが、接触伝熱面での伝熱量は減る。

ガスの炎は、油の炎より放射が弱いのが特徴です。そのため火炉(燃料を燃やす部屋)での放射伝熱量は減り、接触伝熱面での伝熱量が増えます。増える・減るの向きが入れ替えられている点が誤りです。

油の炎と比べたガスの炎
火炉での放射伝熱量 減る
接触伝熱面での伝熱量 増える

💡 覚え方

ガスの炎は青く透き通って、光が弱いと思い浮かべてください。光が弱いので放射伝熱は減り、接触伝熱面での伝熱が増えます。この入れ替えは、令和8年4月公表でも出ました。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質

問28 NOx(窒素酸化物)の抑制方法

令和6年10月公表分野:NOx(窒素酸化物)の抑制方法重要度 ★★★
ボイラーの燃料の燃焼により発生するNOxの大気中への放出の抑制方法として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼域での酸素濃度を低くする。
(2)空気予熱器を設けて燃焼温度を高くする。
(3)高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を短くする。
(4)排煙脱硝装置を設置する。
(5)排ガス再循環法によって燃焼させる。
答え・解説を見る
正解

(2)
空気予熱器を設けて燃焼温度を高くする。

この問題は何を聞いている?

燃焼で出るNOxを減らす方法として、正しくないものを見分ける問題です。適切でないものを1つ選びます。

NOx(ノックス)とは?

窒素酸化物(窒素と酸素の化合物)のこと。燃焼で生まれる大気汚染物質で、酸性雨の原因です。

💡 なぜ? NOxは、高い温度・多い酸素・高温にさらされる時間の長さがそろうほど増えます。だから減らす方法は、その逆をすることです。

(1) ⭕ NOxを抑える方法である

燃焼域での酸素濃度を低くする。

酸素が多いほど、NOxは増えます。燃焼域の酸素濃度を低くするのは、NOxを減らす正しい方法です。

(2) ❌ NOxを抑える方法ではない

空気予熱器を設けて燃焼温度を高くする。

燃焼温度が高いほど、NOxは増えます。空気予熱器(燃焼ガスの余熱で、燃焼用の空気を温める装置)を設けると、燃焼温度が上がるので逆効果です。NOxを減らすには燃焼温度を低くします。温度の向きが逆になっている点が誤りです。

(3) ⭕ NOxを抑える方法である

高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を短くする。

高温にさらされる時間が長いほど、NOxは増えます。高温燃焼域に燃焼ガスがとどまる時間(滞留時間)を短くするのは、正しい方法です。

(4) ⭕ NOxを抑える方法である

排煙脱硝装置を設置する。

排煙脱硝装置は、排ガスからNOxを取り除く装置です。これを設けるのも、大気中への放出を抑える方法の1つです。

(5) ⭕ NOxを抑える方法である

排ガス再循環法によって燃焼させる。

排ガス再循環法は、酸素の少ない排ガスを燃焼用の空気に混ぜる燃やし方です。温度と酸素を下げるので、NOxを抑えられます。

⚠ 注意

誤りとして出るのは、どれもNOxを増やす向きの記述です。「空気予熱器を設けて燃焼温度を高くする」は、令和8年10月公表でも誤りとして出ました。

💡 覚え方

NOxを減らす合言葉は「低温・低酸素・短時間」。「温度を高く」「酸素を高く」「時間を長く」は、どれも増やす向きなので誤りと判断できます。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第17回 大気汚染・重油の障害・低温腐食

問29 燃焼室熱負荷

令和6年10月公表分野:燃焼室熱負荷重要度 ★★
次の文中の 内に入れるAからCまでの語句又は数値の組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
「ボイラーの燃焼室熱負荷とは、単位時間における燃焼室のA当たりのBをいう。通常の水管ボイラーで油・ガスバーナのときの燃焼室熱負荷は、CkW/m³である。」
A B C
(1) 単位容積 発生熱量 200~1200
(2) 単位容積 放射伝熱量 150~200
(3) 単位容積 吸収熱量 200~1200
(4) 単位面積 発生熱量 200~1200
(5) 単位面積 放射伝熱量 150~200
答え・解説を見る
正解

(1)
単位容積 / 発生熱量 / 200~1200

この問題は何を聞いている?

燃焼室熱負荷という言葉の意味と、その目安の数字を、空欄に当てはめる問題です。

燃焼室熱負荷とは?

単位時間あたりに、燃焼室(燃料を燃やす部屋)の単位容積(1m³)あたりで発生する熱量。単位はkW/m³です。

💡 なぜ? 同じ熱をより小さな燃焼室で出せれば、ボイラーを小さくつくれるからです。燃焼室を設計するときの目安になります。

空欄A = 単位容積

燃焼室熱負荷は、燃焼室の容積(中の広さ)あたりで考えます。問題文の単位がkW/m³で、m³は容積の単位であることも手がかりです。面積なら単位はm²になります。

空欄B = 発生熱量

数えるのは、燃焼室の中で発生する熱量です。「吸収熱量」「放射伝熱量」は、言葉を入れ替えたひっかけです。

空欄C = 200~1200

通常の水管ボイラー(細い管に水を通すボイラー)で、油・ガスバーナのときの燃焼室熱負荷は200〜1200kW/m³です。炉筒煙管ボイラーでは400〜1200kW/m³とされた回もあるので、数字の始まりで見分けます。

選択肢のしぼり方

①単位を見る:kW/m³ → 容積あたり → A=単位容積((4)(5)が消える)

②燃焼室で発生する熱 → B=発生熱量((2)(3)が消える)

③残るのは(1)。C=200〜1200も合っている

💡 覚え方

燃焼室熱負荷は「1m³の燃焼室で、どれだけ熱を出すか」。容積あたり・発生熱量の2語を押さえれば、単位のm³から思い出せます。

A=単位容積、B=発生熱量、C=200〜1200なので、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第15回 燃焼の基礎・空気比・通風

問30 ボイラーの通風(押込通風・誘引通風・平衡通風)

令和6年10月公表分野:ボイラーの通風(押込通風・誘引通風・平衡通風)重要度 ★★★
ボイラーの通風について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)押込通風は、ファンを用いて、燃焼用空気を大気圧より高い圧力の炉内に押し込むものである。
(2)押込通風は、空気流と燃料噴霧流が有効に混合するため、燃焼効率が高まる。
(3)誘引通風は、燃焼ガスを煙道又は煙突入口に設けたファンによって吸い出すもので、燃焼ガスの外部への漏れ出しがほとんどない。
(4)平衡通風は、必要とする動力が押込通風より小さい。
(5)平衡通風は、押込ファンと誘引ファンを併用したもので、炉内圧を大気圧よりわずかに低く調節する。
答え・解説を見る
正解

(4)
平衡通風は、必要とする動力が押込通風より小さい。

この問題は何を聞いている?

ファンを使う3つの通風方式のしくみと特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

通風とは?

炉や煙道(燃焼ガスの通り道)を通って起きる、空気と燃焼ガスの流れのこと。

💡 なぜ? 通風がうまくいかないと、燃焼に必要な空気が足りなくなるか、燃焼ガスが炉にこもってしまうからです。

方式 使うファン 炉の中の圧力 動力
押込通風 押込ファン(入口側) 大気圧より高い 小さい
誘引通風 誘引ファン(出口側) 大気圧より低い 大きい
平衡通風 押込ファン+誘引ファン 大気圧よりわずかに低い そのあいだ

(1) ⭕ 正しい記述

押込通風は、ファンを用いて、燃焼用空気を大気圧より高い圧力の炉内に押し込むものである。

押込通風は、ファンで燃焼用の空気を炉内へ押し込む方式です。押し込むので、炉内の圧力は大気圧より高くなります。

(2) ⭕ 正しい記述

押込通風は、空気流と燃料噴霧流が有効に混合するため、燃焼効率が高まる。

押込通風では、空気の流れと燃料の霧の流れがよく混ざります。そのため、燃焼効率が高まるのです。

(3) ⭕ 正しい記述

誘引通風は、燃焼ガスを煙道又は煙突入口に設けたファンによって吸い出すもので、燃焼ガスの外部への漏れ出しがほとんどない。

誘引通風は、煙道や煙突の入口に置いたファンで、燃焼ガスを吸い出す方式です。吸い出す側なので炉内は大気圧より低く、ガスは外へ漏れにくいのです。

(4) ❌ 誤りの記述

平衡通風は、必要とする動力が押込通風より小さい。

平衡通風に必要な動力は、押込通風より大きく、誘引通風より小さいのが正しい関係です。押込通風は常温の空気を扱うので、動力が小さくて済みます。平衡通風は、そこに誘引ファンも加わる方式です。「大きい」が「小さい」に入れ替えられている点が誤りです。

(5) ⭕ 正しい記述

平衡通風は、押込ファンと誘引ファンを併用したもので、炉内圧を大気圧よりわずかに低く調節する。

平衡通風は、押込ファンと誘引ファンを併用する方式です。炉内の圧力は、大気圧よりわずかに低く調節します。

⚠ 注意

動力の入れ替えは形を変えて出ます。令和5年10月公表では、「平衡通風の動力は誘引通風より大きい」が誤りでした。押込<平衡<誘引の順です。

💡 覚え方

動力は、冷たい空気を扱う押込が最小、熱く体積の大きなガスを扱う誘引が最大。両方のファンを使う平衡はそのあいだ、と順番で覚えましょう。

以上から、正解は(4)です。

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令和6年10月公表「燃料及び燃焼」のまとめ

まとめ

・液体・固体燃料=元素分析、気体燃料=成分分析。着火温度は火なしで自然に燃え始める最低の温度

・重油は温度が上がると密度も粘度も下がる。1kgあたりの発熱量はA重油のほうが大きい

・気体燃料は灰分が少なく、クリンカはほとんど出ない。CO₂の発生は石炭の約60%

・自動油面調節装置はサービスタンクに付ける。貯蔵タンクの送入管は上部、取出し管は底から20〜30cm上

・低温腐食は露点を下げて抑える。油加熱器は霧にしやすくする装置で、噴射油量は調節しない

・ガスの炎は放射伝熱が減り、接触伝熱面での伝熱が増える。NOxを減らすのは低温・低酸素・短時間

・燃焼室熱負荷=単位容積あたりの発生熱量(水管ボイラーで200〜1200kW/m³)。動力は押込<平衡<誘引