ネットワーク工程表の問題では、多くの場合クリティカルパスが問われます。「クリティカルパスはどれか」「工期は何日か」——この2つは、実は同じことを聞いています。

この記事は工程表の丸と矢印を見たことがない人が読んでも分かるように書きました。言葉の意味から始めて、最後は実際に手を動かして求めるところまでいきます。

クリティカルパスとは? ひとことで言うと

用語クリティカルパス

クリティカルパスとは、工程表の最初から最後までの道筋のうち、いちばん日数がかかる道のこと。この道の長さが、そのまま工事全体の工期になります。

なぜ「いちばん長い道」が工期になるのか?

他の道がどれだけ早く終わっても、いちばん遅い道が終わらないと工事は完成しないからです。全部の作業が終わって初めて完成なので、最後まで残る道が工期を決めます。

「クリティカル(critical)」は英語で「決定的な・危機的な」という意味です。この道の作業が1日遅れると、工事全体が1日遅れます。逃げ場がない道なので、こう呼ばれます。

身近な例で考える

朝、家を出るまでの支度を考えてください。

例朝の支度を工程表にすると

・洗濯機を回す(45分)→ 干す(10分)= 合計55分
・朝ごはんを作る(15分)→ 食べる(10分)= 合計25分
・シャワー(10分)→ 着替え(5分)= 合計15分

3つは同時に進められます。では家を出られるのは何分後でしょうか。

答えは55分後です。洗濯を干し終わるまで出られないからです。朝ごはんもシャワーも、その間に余裕をもって終わります。

このとき「洗濯機を回す→干す」がクリティカルパスです。ここを5分短くすれば、家を出るのも5分早くなります。逆に、朝ごはんを5分早く作っても、家を出る時刻は1分も変わりません。

覚える覚え方・語呂合わせ

「工期を縮めたければ、クリティカルパスを縮めるしかない」
それ以外の作業をいくら急がせても、完成日は1日も動きません。この一文に、クリティカルパスの意味が詰まっています。

クリティカルパスの3つの特徴

特徴 内容
いちばん長い 開始から完了までの全部の道の中で、所要日数の合計が最大
フロートがゼロ トータルフロートもフリーフロートも0日。余裕がまったくない
1本とは限らない 同じ日数の道が2本以上あれば、その全部がクリティカルパス

3つめは見落とされがちです。クリティカルパスが複数ある工程表は珍しくありません。試験でも「クリティカルパスは2本ある」という選択肢が正解になることがあります。

実際に求める手順

時刻を書き込んで、余裕ゼロの道をたどるA 5日B 3日C 4日ダミー 0日D 6日E 7日10025533949951616左=最早開始時刻(前から足す)右=最遅完了時刻(うしろから引く)2つが同じ丸をつないだ道=クリティカルパス(①→②→④→⑤)工期=最後の丸の16日。A→C→E の道が 5+4+7=16日でいちばん長い。③は 3 と 9 でずれている=6日の余裕があり、この道は工期を決めていません。
丸の左に最早開始時刻(そこから先の作業をいちばん早く始められる日)、右に最遅完了時刻(そこまでの作業を遅くとも終えるべき日)。2つが同じ丸をつないだ赤い道がクリティカルパスです。

やり方は2つあります。どちらでも同じ答えになりますが、試験では方法2のほうが間違えにくいでしょう。

方法1 全部の道の日数を足して比べる

開始から完了までの道を全部書き出して、それぞれの日数を合計します。いちばん大きい道がクリティカルパスです。

作業が10個くらいまでならこれで解けます。ただし道の数が増えると数え漏らします。試験の工程表は分岐が多いので、この方法だけに頼るのは危険です。

方法2 時刻を書き込んでから、余裕ゼロをたどる

コツ確実に求める4ステップ

ステップ1 前から順に「最早開始時刻」を書き込む
 最初の丸は0。あとは「前の丸の数字+作業日数」。
 矢印が複数入ってくる丸は、いちばん大きい数字を採用します。全部終わらないと先へ進めないからです。

ステップ2 最後の丸の数字を確認する
 これが工期です。ここまでで工期は出ます。

ステップ3 後ろから順に「最遅完了時刻」を書き込む
 最後の丸は工期と同じ数字。あとは「次の丸の数字 − 作業日数」。
 矢印が複数出ていく丸は、いちばん小さい数字を採用します。いちばん厳しい締め切りに合わせる必要があるからです。

ステップ4 2つの数字が同じ丸をつなぐ
 最早開始時刻と最遅完了時刻が同じ値になっている丸が、クリティカルパス上の丸です。それを開始から完了までつないだ道がクリティカルパスになります。

用語なぜ2つの数字が同じだとクリティカルパスなのか?

「いちばん早く着ける日」と「遅くともここまでに着かないといけない日」が同じ日ということは、1日の余裕もないという意味です。余裕がない=フロートが0=クリティカルパス上、ということになります。

つまずきやすいポイント

入ってくる矢印は「大きいほう」、出ていく矢印は「小さいほう」

ここを逆にすると、数字が大きくずれてしまいます。理由をセットで覚えてください。

場面 採用する数字 理由
前から計算(最早開始)
矢印が複数入ってくる
いちばん大きい 全部の作業が終わらないと次に進めないから
うしろから計算(最遅完了)
矢印が複数出ていく
いちばん小さい いちばん厳しい締め切りを守らないと間に合わないから

ダミー作業を忘れない

用語ダミー作業

点線の矢印で書かれる、所要日数0日の作業のこと。実際の工事ではなく、作業の前後関係だけを表すための矢印です。

なぜ0日の矢印が必要なのか?

「作業Cは、AとBの両方が終わってから始める。でも作業DはAが終われば始められる」——こういう関係を実線だけでは描けないからです。点線で「順番の縛り」だけを表します。

ダミー作業は0日ですが、クリティカルパスの一部になることがあります。点線だからと無視するのは禁物です。

試験での出方

例出題される形

形1 工期を聞く
「この工程表の工期は何日か」=最後の丸の最早開始時刻を答えます。クリティカルパスの長さと同じです。

形2 経路を聞く
「クリティカルパスはどれか」=2つの時刻が一致する丸をたどります。

形3 性質を聞く
「クリティカルパス上の作業のトータルフロートは0である」→ 正しい。
「クリティカルパスは必ず1本である」→ 誤り。複数あることがあります。

形4 短縮を聞く
「工期を2日短縮するにはどの作業を短くすればよいか」=クリティカルパス上の作業から選びます。それ以外を短くしても工期は変わりません。

よくある質問

クリティカルパス上の作業を1日短くすれば、必ず工期も1日縮みますか?

クリティカルパスが1本だけなら、1日短くすれば工期も1日縮みます(2本以上あるときは、下の質問のとおり両方を短くしないと縮みません)。ただし短くし続けると、別の道がいちばん長くなって、そちらがクリティカルパスに変わります。その時点から先は、新しいクリティカルパスを短くしないと工期は縮みません。工期短縮の問題では、ここが問われやすいポイントです。

クリティカルパスが2本あるとき、どちらを短くすればよいですか?

両方です。片方だけ短くしても、もう1本が残っているので工期は変わりません。2本が重なっている区間があれば、そこを短くすると一度に両方が縮みます。

トータルフロートが0の作業は、全部クリティカルパス上ですか?

はい。トータルフロート0=余裕なし=クリティカルパス上、で一致します。逆に、クリティカルパス上の作業はトータルフロートが必ず0です。

手で計算するとき、時間を短くするコツはありますか?

丸の中に数字を2段で書くことです。上段に最早開始時刻、下段に最遅完了時刻と決めておけば、あとは見比べるだけになります。図の余白に書き散らすと、どの数字がどれだか分からなくなります。

まとめこの記事のまとめ

・クリティカルパス=いちばん日数がかかる道。その長さが工期
・この道の上の作業はフロートが全部0
・1本とは限らない(複数あることがある)
・求め方=前から最早開始時刻、後ろから最遅完了時刻を書き、2つが一致する丸をつなぐ
・入ってくる矢印は大きいほう、出ていく矢印は小さいほう
・工期を縮めたいならこの道の作業を短くするしかない

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