【第二種電気工事士】技能試験の「欠陥」12分類を知識ゼロから全部やさしく解説【令和8年度】
第二種電気工事士の技能試験は、点数で採点される試験ではありません。「欠陥」と決められたものが1つでもあれば、その場で不合格です。
逆に言えば、欠陥さえ作らなければ受かります。きれいに作る必要も、必要以上に速く作る必要もありません。だからこの試験は、何が欠陥になるのかを先に知っているかどうかで結果が変わります。
この記事では、試験センターが公表している「欠陥の判断基準」の12の分類を、電気の知識がまったくない人にも分かる言葉で、すべて説明します。
「欠陥」とは何か 1つでもあれば不合格
用語欠陥とは?
欠陥とは、試験センターが「これがあったら不合格」と決めている、作品の不具合のことです。公表されている一覧に載っているものだけが欠陥で、そこに載っていないこと(見た目の美しさなど)は採点されません。
なぜ?なぜ部分点がないのか?
電気工事は、1か所の不具合が火事や感電につながる仕事だからです。「9割できていれば合格」という考え方が通じません。だから点数制ではなく、欠陥がゼロかどうかだけで判定されます。
技能試験は40分で、公表されている候補問題13問のうち1問が出ます。その1問を、配られた材料と自分の工具で組み立てます。試験そのものの流れを知らない方は、先にこちらを読んでください。
12の分類を、5つのかたまりで覚える
公式の判断基準は12の分類に分かれています。数字の順番のまま覚えようとすると頭に入りにくいので、作業の順番に並べ替えて、5つのかたまりにします。
例5つのかたまり
①作品ぜんたい(分類1〜4) … 完成しているか、図のとおりか、つなぎ先は合っているか
②電線そのもの(分類5) … 電線を傷つけていないか
③つなぎ目(分類6・7) … リングスリーブと差込形コネクタ
④器具に留めるところ(分類8・11) … スイッチやコンセントへの結線と取付枠
⑤管の工事とその他(分類9・10・12) … 金属管・PF管・支給品のルール
【かたまり1】作品ぜんたい(分類1〜4)
最初の4つは、作品を遠くから見て分かるレベルの間違いです。ここを外すと、細かい仕上げがどれだけ良くても不合格になります。
用語分類1「未完成」とは?
未完成とは、40分の時間内に作品ができあがらなかったもののことです。つなぎ忘れが1か所あるだけでも未完成として扱われます。
なぜ?なぜ未完成になりやすいのか?
複線図に時間を使いすぎて、後半の作業が間に合わなくなりやすいからです。複線図は5分以内を目安にして、残り35分を作業に回せるように練習しておきましょう。
例分類2 配置・寸法・接続方法の相違
2-1 配線や器具の配置が、配線図と違っている
2-2 寸法が、配線図に示された寸法の50%以下(器具は中心からの寸法)
2-3 電線の種類が配線図と違っている
2-4 接続方法が施工条件と違っている
この中で特に誤解が多いのが2-2の寸法です。ぴったりでなくても欠陥にはなりません。図面に「150mm」と書かれていれば、75mm以下になったときだけ欠陥です。ものさしで神経質に測るより、短くしすぎないことだけ意識すれば十分です。
用語分類3「誤接続・誤結線」と 分類4「色別・極性」とは?
つなぐ相手を間違えたもの(3)と、白と黒を逆につないだものやコンセントの向きを逆にしたもの(4)です。どちらも複線図のミスがそのまま形になったものといえます。
なぜ?なぜ白と黒を逆にしてはいけないのか?
電球を交換するときに感電するおそれがあるからです。白(接地側=地面とつながっている側の線)は必ず器具の決まった側につなぎます。ランプレセプタクル(電球をねじ込む受け口)なら「W」と刻印された、ねじの受け金の側が白です。
この2つを防ぐいちばんの方法は、作り始める前に複線図を正しく描くことです。描き方は別の記事で1ステップずつ説明しています。
覚える覚え方
分類1〜4は「遠目で分かる間違い」だと考えてください。完成しているか/図のとおりか/つなぎ先は合っているか/白黒は正しいか。この4つは、作品を持ち上げて眺めるだけで自分で気づきやすいものです。
【かたまり2】電線の損傷(分類5)

次は電線そのものを傷つけていないかです。被覆(電線を覆うビニール)をむくときに力を入れすぎると起こります。
例分類5 電線の損傷
5-1 イ ケーブルを折り曲げたときに、絶縁被覆が露出する(外装の傷)
5-1 ロ 外装の縦われが20mm以上
5-1 ハ VVR・CVVの介在物が抜けた
5-2 絶縁被覆の傷で、電線を折り曲げると心線が露出する(ただしリングスリーブの下端から10mm以内の傷は欠陥としない)
5-3 心線を折り曲げると折れる程度の傷がある
5-4 より線の素線を減らした(切って本数を減らした)
用語「介在物」とは?
介在物とは、VVRなどの丸いケーブルの中で、電線どうしのすき間を埋めている紙やひものような詰め物のことです。外装をむいたときに一緒に抜けてしまうと欠陥になります。
なぜ?なぜ詰め物が入っているのか?
ケーブルを丸い形に保ち、中の電線が動いて傷つくのを防ぐためです。役割があるものなので、抜けた状態は「正しく施工されていない」と判断されます。
5-2のただし書きは覚えておく価値があります。リングスリーブでつないだ部分は、下端から10mm以内の被覆の傷なら見逃してもらえます。ここは工具の刃が当たりやすい場所なので、あらかじめ許容されているのです。
【かたまり3】つなぎ目(分類6・7)
電線どうしをつなぐ部分です。リングスリーブ(分類6)と差込形コネクタ(分類7)の2種類があり、どちらを使うかは当日の施工条件(問題用紙に書かれる作り方の指定)で指定されます。
リングスリーブ(分類6)
リングスリーブは、電線をまとめて金具に通し、専用の工具でつぶして固定する部品です。見られるのは「上」と「下」の両方です。
例分類6-1 工具の使い方が適切でない
イ リングスリーブの選択を誤った(大きさの選び間違い)
ロ 圧着マークが不適正(刻印の選び間違い)
ハ リングスリーブを破損した
ニ スリーブの先端または末端で、圧着マークの一部が欠けた
ホ 1つのリングスリーブに圧着マークが2つ以上ある(二度押し)
ヘ 1か所の接続に、リングスリーブを2個以上使った
例分類6-2 心線の端末処理が適切でない
イ 上から見て、つなぐ心線の先端が1本でも見えない
ロ スリーブの上端から心線が5mm以上出ている
ハ むきすぎで、スリーブの下端から心線が10mm以上出ている
ニ 外装のはぎ取り不足で、絶縁被覆が20mm以下しかない
ホ 絶縁被覆の上から圧着した
ヘ より線の素線の一部がスリーブに入っていない
用語「圧着マーク(刻印)」とは?
圧着マークとは、圧着工具でつぶしたときに、リングスリーブの表面に残る印のことです。工具には印の種類が複数あり、つなぐ電線の太さと本数によって、押す印が決まっています。
なぜ?なぜ印の種類が決まっているのか?
電線の量に対して、つぶす強さが決まっているからです。弱すぎれば抜け、強すぎれば電線を傷めます。判断はJIS(日本産業規格)C 2806という規格に沿って行われる、と公式に明記されています。
スリーブの大きさと刻印の組み合わせは、工具や材料の説明書、練習セットの早見表にたいてい付いています。暗記より、練習のたびに手元の表を見て確認するほうが確実です。
差込形コネクタ(分類7)
差込形コネクタは、穴に電線を差し込むだけでつながる部品です。見られるところは2つだけで、リングスリーブよりずっと単純です。
例分類7 差込形コネクタ
7-1 コネクタの先端を真横から見て、心線が見えない(差し込み不足)
7-2 コネクタの下端を真横から見て、心線が見える(むきすぎ)
覚える覚え方
差込形コネクタは「上から見えて、下から見えない」が正解です。奥まで届いていないと上から見えず、被覆をむきすぎると下からはみ出します。差したあとに真横から一度のぞくだけで確認できます。
【かたまり4】器具への結線(分類8)
欠陥の項目がいちばん多いのがここです。ただし器具は2種類に分かれるので、分けて覚えれば整理できます。
ねじで締める器具(8-1〜8-7)
ランプレセプタクル・露出形コンセント・端子台・配線用遮断器(ブレーカー)など、ドライバーでねじを締めてとめる器具です。
例ねじ締め端子で見られるところ
8-1 ねじで締め付けていない(引っ張ると外れる/持ち上げると外れる)
8-2 より線の素線の一部が端子に入っていない
8-3 被覆のむきすぎ。ランプレセプタクル・露出形コンセントは、ねじの端から心線が5mm以上出たら欠陥(配線用遮断器なども器具の端から5mm以上、端子台の低圧側は5mm以上、高圧側は20mm以上)
8-4 絶縁被覆をねじで締め付けた
8-5 ケーブルを台座の引込口を通さずに結線した
8-6 ケーブル外装が台座の中に入っていない
そして、この試験で特に練習が必要なのが8-7の「巻き付け」です。ランプレセプタクルや露出形コンセントでは、心線を輪の形にしてねじに巻きつけます。
例分類8-7 巻き付けの処理が適切でない
イ 心線の巻き付けが不足(3/4周以下)、または重ね巻きした
ロ 心線を左巻きにした
ハ 心線がねじの端から5mm以上はみ出した
ニ カバーが締まらない
なぜ?なぜ「右巻き」でないといけないのか?
ねじを締める向きと、巻いた輪が締まる向きをそろえるためです。ねじは時計回りで締まるので、心線も時計回り(右巻き)に巻いておくと、締めるほど輪が縮んで密着します。
左巻きだと何が起きるのか?
ねじを締めるほど輪が広がる方向に力がかかり、心線がずれて外れやすくなります。見た目は似ていても、電気が流れる面積が減って発熱の原因になります。
覚える覚え方
巻き付けは「時計回りに、3/4周以上、はみ出さない」。時計の文字盤で言えば、9時から始めて6時を越えるくらいまで巻けば3/4周です。短すぎても、重ねて巻いても欠陥になります。
差し込むだけの器具(8-8〜8-10)
埋込連用タンブラスイッチ(片切・両切・3路・4路)、埋込連用コンセント、パイロットランプ、引掛シーリングローゼットなど、穴に差し込むだけでとまる器具です。
例ねじなし端子で見られるところ
8-8 電線を引っ張ると外れる
8-9 心線が差込口から2mm以上露出している(引掛シーリングローゼットだけは1mm以上)
8-10 引掛シーリングローゼットで、絶縁被覆が台座の下端から5mm以上露出している
引掛シーリングだけ基準が厳しいのがポイントです。ほかの器具は2mmなのに、引掛シーリングは1mmで欠陥になります。ここは器具に「ストリップゲージ」というむく長さの目印が付いているので、必ず合わせてから差し込みましょう。
【かたまり5】管の工事(分類9・10)

金属管とPF管(合成樹脂製可とう電線管)を使う問題で見られます。令和8年度の候補問題では、ねじなし電線管(E19)とPF管(PF16)がそれぞれ出てきます。
覚える分類9 金属管工事のポイント
構成部品(管・ねじなしボックスコネクタ・ボックス・ロックナット・絶縁ブッシング)が正しい位置に使われていない
管を引っ張ると外れる/絶縁ブッシングが外れている/管とボックスの間にすき間が見える
ねじなしボックスコネクタの止めねじをねじ切っていない(頭が折れるまで締める)
ボンド線(接地線)の取り付けが適切でない(引っ張ると外れる、ねじで締めていない、接地用のねじ穴以外に付けた)
覚える分類10 PF管工事のポイント
構成部品(管・コネクタ・ボックス・ロックナット)が正しい位置に使われていない
管を引っ張ると外れる/管とボックスの間にすき間が見える
用語「止めねじをねじ切る」とは?
ねじなしボックスコネクタの止めねじは、強く締めていくと頭がポキッと折れる(ねじ切れる)ように作られています。この頭が折れた状態が正解で、折らずに残っていると欠陥です。
なぜ?なぜわざと折れるように作ってあるのか?
誰が施工しても、決まった強さ以上で締めたことが目で分かるようにするためです。頭が残っていれば「締めが足りない」と一目で判断できます。
取付枠の位置(分類11)
取付枠とは、スイッチやコンセントをはめ込む金属の枠のことです。取り付ける位置が決まっていて、間違えるだけで欠陥になります。
例分類11 取付枠
11-1 取付枠を、指定された箇所以外で使った
11-2 取付枠を裏返して器具を取り付けた
11-3 取り付けがゆるく、器具を引っ張ると外れる
11-4 器具の位置を誤った。1個なら中央/2個なら中央を空けて上下/3個なら指定された器具を中央
取付枠には表と裏があります。「上」の刻印や、器具をはめる爪の向きで見分けられるので、器具をはめる前に必ず向きを確認してください。
その他のルール(分類12)
例分類12 その他
12-1 支給された材料以外を使った(持ち込み材料の使用)
12-2 不要な工事、余分な工事、用途外の工事をした
12-3 支給品(押しボタンスイッチ等)の既設配線を変えた・取り除いた
12-4 ゴムブッシングを使っていない、または穴の大きさと合っていない
12-5 器具を破損させた(ただしランプレセプタクル・引掛シーリング・露出形コンセントの台座の欠けは欠陥としない)
用語「ゴムブッシング」とは?
ゴムブッシングとは、ボックス(電線のつなぎ目を収める箱)の穴のふちにはめるゴムの輪のことです。穴の大きさに合わせて19mm用と25mm用があり、大きさが違うものを付けると欠陥になります。
なぜ?なぜゴムの輪が必要なのか?
ボックスの金属の切り口でケーブルの外装が傷つくのを防ぐためです。電線を通す穴には必ず入れる、と覚えてください。
12-5のただし書きは知っておくと気が楽になります。ランプレセプタクルなどの台座が少し欠けても欠陥にはなりません。練習で欠けさせてしまっても、本番で慌てる必要はありません。
数字が出てくる欠陥は、主にこの6つ
ここまで見てきたとおり、欠陥の判断に具体的な数字が出てくる場面は限られています。作り終わったあとの見直しは、この6つを順に確かめるのが効率的です。
コツ見直しの順番(おすすめ)
1 完成しているか(つなぎ忘れがないか)
2 複線図どおりにつながっているか(白と黒は逆になっていないか)
3 リングスリーブの上と下(心線の出すぎ・被覆のむきすぎ)
4 差込形コネクタを真横から(上は見える・下は見えない)
5 ねじの巻き付け(右巻き・3/4周以上・はみ出しなし)
6 取付枠の向きと器具の位置
この順番は「直すのに時間がかかる順」になっています。残り時間が少ないときほど、上から順に見てください。
欠陥は「知っている」だけでは減りません
ここに書いた欠陥の多くは、実際に手を動かして初めて「あ、これか」と分かるものです。被覆をむく長さも、ねじへの巻き付けも、練習用の材料がなければ試せません。通信講座は必要か、工具と材料はどこで買うのが安いか——実際の価格で比べました。
まとめ
まとめこの記事の要点
技能試験は点数制ではなく、欠陥が1つでもあれば不合格。
公式の判断基準は12分類。作業の順番に並べ替えると5つのかたまりになる。
分類3・4(誤接続と色別)は、複線図のミスがそのまま形になったもの。
リングスリーブは上5mm・下10mm・被覆20mm。差込形コネクタは上は見える・下は見えない。
ねじへの巻き付けは右巻き・3/4周以上・5mm未満。
引掛シーリングだけ、心線の露出は1mmで欠陥(ほかの器具は2mm)。
寸法は50%以下でなければセーフ。台座の欠けも欠陥ではない。
欠陥の一覧は、読んだだけでは身につきません。1回作るごとに、この見直しの6項目を声に出して確認する——それを何回か繰り返せば、手が自然に正しい形を作れるようになっていくでしょう。
この記事の情報について
この記事は、一般財団法人 電気技術者試験センターが公表している「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」「令和8年度第二種電気工事士技能試験候補問題の公表について」をもとに、2026年9月2日時点でまとめたものです。分類の番号と項目は公表資料に合わせ、説明の言葉づかいは初学者向けに書き直しています。
なぜ公式サイトも見たほうがよいのか?
判断基準は改定されることがあるからです。また、実際にどの接続方法を使うかは当日の施工条件で指定されます。受験の前には、必ず試験センターの公式サイトで最新の資料を確認してください。
ここが最後の回です。おつかれさまでした。
