第4章 給排水衛生設備 | 第26回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 4つの給水方式のちがいがわかります
  • それぞれの長所と短所が言えるようになります
  • 受水槽の容量の決め方がわかります
  • クロスコネクション・逆流を防ぐ考え方がわかります

給排水設備のなかでもっとも出題が多いところです。4つの方式を表で対比すれば、ほとんどの問題に対応できます。

4つの給水方式

水道直結直圧・水道直結増圧・高置水槽・ポンプ直送の4つの給水方式で、水がどこを通って蛇口まで届くかを比べた図
青い太線が水の通り道です。長所は緑、短所は赤で書いています
方式 しくみ 向いている建物
水道直結直圧方式 配水管の水圧のまま、そのまま蛇口へ 戸建て・小規模(2〜3階まで)
水道直結増圧方式 増圧ポンプで圧力を上げて直接送る 中規模の集合住宅・事務所
高置水槽方式 受水槽 → 揚水ポンプ → 屋上の高置水槽 → 重力で落とす 大規模・高層
圧力水槽方式・ポンプ直送方式 受水槽 → ポンプで直接送る 屋上に水槽を置けない建物

💡 覚え方

「直結は水道の水そのまま、受水槽を置いたらそこから先は建物の責任」(第58回)。タンクに落とすかどうかが水質管理・法律の区切りになります。

水道直結直圧方式

  • ◎ 水質がいちばん良い(滞留しない)
  • ◎ 設備が少なく、維持管理が楽
  • ◎ 停電しても水が出る
  • × 配水管の圧力しだいで、高い階に届かない
  • × 断水すると即、水が使えない

水道直結増圧方式

  • ◎ 受水槽がいらない(スペースが空く・清掃が不要・水質がよい)
  • ◎ 中層まで届く
  • × 停電するとポンプが止まって断水
  • × 断水時に貯めがない
  • × 逆流防止器(減圧式逆流防止器)が必須

なぜ逆流防止器が必須なのか?

配水管に建物の水が逆流してはいけないからです。増圧方式は水道本管と建物が直接つながっているので、万一、建物側の水が汚れて逆流すると、町中の水道が汚染されます。だから減圧式逆流防止器を必ず設けます。

高置水槽方式

  • ◎ 圧力が安定している(重力で落ちるので、使う量に左右されにくい)
  • ◎ 停電・断水しても、しばらく水が使える(貯めがある)
  • × 水槽が2つ(受水槽と高置水槽)=清掃・点検の手間が2倍
  • × 水が滞留するので、水質管理が必要
  • × 屋上に重い水槽を置くので、構造の負担
  • × 最上階では圧力が不足しがち

高置水槽の高さ

  • 最上階の器具から、必要な圧力ぶんの高さが必要です。
  • 一般水栓=30kPa(3m)、シャワー=70kPa(7m)、ガス瞬間湯沸器=40〜80kPaが目安。
  • 圧力が足りない最上階には、増圧ポンプを付けることがあります。

ポンプ直送方式

  • ◎ 屋上に水槽がいらない
  • ◎ 受水槽があるので断水に強い
  • × 停電すると出ない
  • × ポンプの制御が複雑(インバータによる回転数制御・台数制御)

受水槽の容量と構造

受水槽のまわりの吐水口空間・オーバーフロー管・点検スペースなど、覚えるべき決まりと数字を示した図
受水槽まわりは、数字がそのまま出題されます

容量の目安

  • 受水槽=1日使用水量の 4/10〜6/10(おおむね半日分)
  • 高置水槽=1日使用水量の 1/10 程度
  • 大きすぎると水が滞留して水質が悪くなるので、「大きければよい」ではありません。
  • 六面点検 … 周囲60cm以上・上部100cm以上・下部60cm以上(第58回)
  • オーバーフロー管は間接排水とし、防虫網を設ける
  • マンホールのふちは、上面から10cm以上立ち上げる
  • 通気管を設ける
  • 吐水口空間を確保する(下記)
  • 2槽に分ける(迂回壁)と、清掃時も断水せずにすむ

吐水口空間とは?

給水管の出口(吐水口)と、水があふれる面(あふれ縁)とのすき間です。ここが空いていれば、万一の逆圧でも汚れた水が給水管へ吸い上がりません。物理的に切り離すのが、逆流防止のいちばん確実な方法です。

💡 覚え方

「逆流を防ぐ最強の方法は、つながないこと」。弁は壊れますが、空気のすき間は壊れません。だから吐水口空間が基本で、それが取れないときにバキュームブレーカや逆流防止器を使う——という順序です(第28回)。

ウォータハンマと騒音への配慮

  • 流速を1.5m/s程度以下に抑える(第10回)
  • 急閉止する器具(洗濯機・食洗機)の近くにウォータハンマ防止器(第13回)
  • ポンプの吐出し側に、衝撃吸収式逆止弁(第43回)

試験ではこう出る

  • ①水質 … 「高置水槽方式は、水道直結方式より水質管理が容易である」→誤り。
  • ②停電 … 「水道直結直圧方式は、停電時にも給水できる」→正しい。
  • ③受水槽の容量 … 「受水槽の有効容量は、1日使用水量の1/10程度とする」→誤り。4/10〜6/10。それは高置水槽です。
  • ④増圧方式 … 「水道直結増圧方式には、逆流防止器を設ける」→正しい。
  • ⑤圧力 … 「シャワーに必要な最低必要圧力は30kPaである」→誤り。70kPa。
  • ⑥高置水槽方式 … 「高置水槽方式は、給水圧力の変動が小さい」→正しい。

よくある質問

Q.最近は受水槽を減らす方向だと聞きました。なぜですか?

A.水質の面と、維持管理の手間の面です。受水槽は年1回の清掃と検査が必要で(第58回)、管理が悪いと水質が悪化します。直結増圧方式なら、水槽そのものが不要。水道事業者の配水管の圧力が上がってきたことも後押しし、中規模までは直結増圧が主流になってきました。

Q.高置水槽方式で、最上階だけ水の出が悪いのはなぜですか?

A.高置水槽との高さの差が小さいからです。給水圧力は高さの差でできるので、最上階は水槽のすぐ下=差が小さい=圧力が低いのです。対策は水槽をさらに高く据えるか、最上階だけ増圧ポンプを付けることです。

Q.受水槽を2槽に分けるのは、なぜですか?

A.清掃のときに断水しないためです。1槽だと、清掃中は水が使えません。2槽に分けておけば、片方ずつ清掃できます。また使用水量が少ない時期は片方だけ使うことで、水の滞留を減らせるという利点もあります。

このページのまとめ

  • 直結直圧=水質最良・停電に強い/小規模
  • 直結増圧=受水槽不要・水質よい/停電に弱い・逆流防止器が必須
  • 高置水槽=圧力が安定・断水に強い/水槽2つ・水質管理が必要
  • ポンプ直送=屋上水槽不要/制御が複雑
  • 受水槽は1日使用水量の4/10〜6/10、高置水槽は1/10
  • 必要圧力は一般水栓30kPa・シャワー70kPa
  • 逆流防止の基本は吐水口空間(つながない)