第3章 第4類の性質と消火 | 第11回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 特殊引火物の定義(4つの数字)が分かります
  • ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレンの特徴が分かります
  • 二硫化炭素だけが水中貯蔵される理由が分かります
  • アルコール類の定義と、消火で泡が効かない理由が分かります

第4類の中で最も危険なグループが特殊引火物です。数は少ないものの、くり返し出題されやすい分野となっています。覚える品名も4つだけなので、ここは得点源にしたいところです。

特殊引火物とは──定義の数字を先に

特殊引火物とアルコール類

用語特殊引火物の定義

特殊引火物とは、次のどちらかに当てはまる第4類の危険物です。①発火点(火を近づけなくても、加熱によって自然に燃え出す温度)が100℃以下のもの、または②引火点(火を近づけたときに燃え始める最低の液温)が−20℃以下で、沸点(液体が沸騰する温度)が40℃以下のもの。指定数量(法令で規制の対象になる量の基準)は50L(第4類でいちばん少ない)。

覚える覚え方

数字は「発火100・引火−20・沸点40・指定50」。4つの数字を順に並べて唱えると覚えやすいです。指定数量が50Lしかない=それだけ危ない、という筋で理解しておくと忘れにくくなります。

ここでは、沸点が40℃以下という条件が大きな意味を持つのです。夏の車内や倉庫は簡単に40℃を超えます。つまり夏場は普通に置いておくだけでも沸いてしまうおそれがあるということです。

覚えるのは4つの品名

品名引火点発火点特徴・注意
ジエチルエーテル−45℃160℃麻酔作用あり。過酸化物ができると爆発の危険。燃焼範囲(燃えることができる蒸気の濃さの範囲)が1.9〜36%と非常に広い
二硫化炭素−30℃90℃発火点がとても低い。比重1.26で水より重い→水中貯蔵。燃えると有毒な亜硫酸ガス
アセトアルデヒド−39℃175℃水によく溶ける。沸点21℃と低い。銅・銀などと反応するので使えない
酸化プロピレン−37℃449℃水に溶ける。重合(分子どうしが次々につながる反応)して発熱する。こちらも銅などを避ける

覚える特にねらわれやすいポイント

  • 二硫化炭素の発火点90℃ … 第4類でいちばん低い発火点。「熱い蒸気配管に触れただけで発火する」ほどの低さです。
  • ジエチルエーテルの燃焼範囲の広さ … 薄い蒸気(1.9%)から濃い蒸気(36%)まで燃えるため、燃える濃さの幅がとても広いといえます。
  • アセトアルデヒド・酸化プロピレンは銅・銀・水銀・マグネシウムと反応する … 配管や容器にこれらの金属を使えません。

二硫化炭素だけが「水の中」に貯蔵される

二硫化炭素を水の中に沈めて貯蔵するようす
二硫化炭素は水の中に沈めて貯蔵する

第10回で見たとおり、第4類は一般的に水より軽く、水に浮きます。ところが二硫化炭素は比重1.26で水より重いので、水に入れると底に沈みます。

用語水没貯蔵(水中貯蔵)とは?

水没貯蔵とは、液面を水で覆って貯蔵する方法です。二硫化炭素はタンクの中で水の下に沈んでいる状態になります。

なぜ?なぜ水でふたをするのか?

蒸気を出させないためです。二硫化炭素は発火点が90℃しかなく、蒸気が出ると熱い配管や電球に触れただけで発火します。水でふたをすれば蒸気が空気に出られません。水より重いという性質を、そのまま安全対策に使っているわけです。

覚える覚え方

「重いから沈む → 水でふたができる → 蒸気が出ない」。丸暗記ではなく、この3ステップの理屈で覚えてください。選択肢で「二硫化炭素は水に浮くので…」と書いてあれば、その時点で誤りだと分かります。

アルコール類

用語アルコール類の定義

炭素の数が1〜3個の飽和1価アルコールで、含有量60%以上のもの。指定数量は400L(アルコール類には水溶性・非水溶性の区分はありません)。

難しく書かれていますが、実際に該当するのはメタノール・エタノール・プロパノール(1-プロパノールと2-プロパノール=イソプロピルアルコール)の4つだと思って差し支えありません。

品名引火点特徴
メタノール11℃毒性が強い(失明のおそれ)。炎が見えにくい
エタノール13℃お酒の成分。毒性は低い。こちらも炎が見えにくい
イソプロピルアルコール12℃消毒用など

注意アルコール類の注意点

  • 水によく溶ける … そのため、一般的な泡消火剤が効きません(次項)。
  • 燃えても炎が見えにくい … メタノール・エタノールの炎は青白く淡いため、明るい場所では見落としやすい炎です。燃えていることに気づかず近づく事故が起きることもあります。
  • メタノールは毒性が強い … 飲むと失明・死亡のおそれ。蒸気の吸入にも注意します。

なぜ?なぜ普通の泡が効かないのか?

泡が水でできているからです。泡は油の表面を覆って酸素を断つ消火剤ですが、アルコールは水に溶ける=泡の水分を吸ってしまうため、泡が壊れてフタになりません。そこで水溶性液体用泡(耐アルコール泡)という特別な泡を使います。

よくある質問

Q.特殊引火物の定義に「または」があるのが混乱します。

A.どちらか片方を満たせば特殊引火物です。発火点100℃以下なら、それだけで該当します。二硫化炭素(発火点90℃)は、こちらの条件で特殊引火物に当たるわけです。もう一方の「引火点−20℃以下 かつ 沸点40℃以下」は2つとも満たす必要があります。「または」と「かつ」がどこにかかるかだけ、気をつけてください。

Q.ジエチルエーテルの「過酸化物」とは何ですか?

A.長く保管している間に、空気中の酸素とゆっくり反応してできる物質です。これは衝撃や加熱で爆発する危険があります。そのため直射日光を避け、密栓し、古いものは使わないという管理が必要です。容器に不活性ガス(窒素など)を封入して酸素と触れさせない方法も取られます。

Q.アルコール類の「60%以上」とは何のことですか?

A.そのアルコールがどれくらいの濃さで入っているかです。60%以上ならアルコール類として規制対象になり、60%未満だと第4類のアルコール類には当たりません(水で薄まりすぎて燃えにくくなるためです)。消毒用アルコールが70〜80%なのは、この線を超えている=危険物に当たる濃さだということです。

試験ではこう出る

例出題のされ方

  • ①特殊引火物の定義 … 発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下。
  • ②二硫化炭素の貯蔵 … 「水中に貯蔵する」→正しい。理由は蒸気を出させないため。
  • ③ジエチルエーテル … 過酸化物ができるので、直射日光を避け密栓する。
  • ④アルコールの消火 … 水溶性液体用泡(耐アルコール泡)を使う。
問題で確かめる▶ 性質・火災予防・消火の予想問題10問①

まとめこのページのまとめ

  • 特殊引火物=発火点100℃以下、または(引火点−20℃以下 かつ 沸点40℃以下)。指定数量50L
  • 品名はジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレン
  • 二硫化炭素は発火点90℃・比重1.26 → 水没貯蔵
  • ジエチルエーテルは燃焼範囲が広い・過酸化物に注意
  • アルコール類=炭素1〜3個・60%以上・指定数量400L
  • アルコールは水に溶けるので耐アルコール泡。炎が見えにくい
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