第4類に共通する5つの性質|火災予防の考え方をゼロからやさしく解説【危険物乙4】
この記事でわかること
- 第4類ぜんぶに共通する5つの性質がわかります
- なぜ「燃えるのは液体ではなく蒸気」なのかがわかります
- 火災予防でやるべき3つのことがわかります
- 共通しない(例外の)性質もわかります
「性質・消火」は10問中6問(60%)取らないと落ちる科目です。そしてこの10問では、個別の品名だけでなく「第4類ぜんぶに共通する性質」も問われます。つまりこの回の内容は、性質・消火で合格ラインに近づくための土台になります。
まず結論──共通する5つの性質


- ①引火性の液体である … 常温または加熱すると蒸気を出し、その蒸気に火がつく
- ②蒸気は空気より重い … 低いところにたまり、床をはって流れる
- ③液体は水より軽く、水に溶けない(ものが多い) … 水に浮いて広がる
- ④電気を通しにくい(不良導体) … 静電気がたまりやすい
- ⑤燃えるのは蒸気であって、液体そのものではない
覚える覚え方
5つは「引火する・蒸気は沈む・液は浮く・電気を通さない・燃えるのは蒸気」。この順で唱えられるようにしておくと、選択肢を見たときに○×を付けやすくなります。
①引火性の液体である
用語引火性液体とは?
引火性液体とは、液体そのものではなく、そこから出る蒸気に火がつく液体のことです。第4類はすべてこれ。固体でも気体でもなく、液体であることが第4類の条件です。
引火するかどうかの境目が引火点でした(第5回)。引火点が低いものほど低い温度でも蒸気を出す=危険ということになります。
覚えるよく出る言い回し
- 「第4類は常温ですべて引火する」→ 誤り。重油やギヤー油のように引火点が常温よりずっと高いものもあります。
- 「第4類の危険物はすべて液体である」→ 正しい。
②蒸気は空気より重い
第4類の蒸気比重(蒸気の重さが空気の何倍かを表す数字)はほぼすべて1より大きい、つまり空気より重いです。結果として、蒸気は上に逃げず、低いところへ流れてたまります。
例簡単なたとえ
こぼれたガソリンの蒸気は、目に見えない「重たい霧」だと思ってください。床の上をゆっくり広がって、くぼみ・排水溝・階段の下・地下ピット(床下に掘られたくぼみ)にたまります。離れた場所のストーブや電気のスイッチに届いて着火し、火がこぼれた場所まで戻ってくる——これが「火が走る」と言われる現象です。
覚えるここから出てくる決まり
- 低所に滞留させない(ためたままにしない) … 換気は低いところから行います。
- くぼみ・ピットを作らない … 地下に蒸気がたまると、そこは着火すれば爆発するおそれのある空間になります。
- 火気を近づけるのは「液のそば」だけの話ではない … 離れていても、蒸気が届く範囲はすべて危険です。
③液体は水より軽く、水に溶けない
第4類の比重(液体の重さが水の何倍かを表す数字)はおおむね1より小さいので、水に浮きます。しかも多くは水に溶けません。
この2つが合わさると、棒状の水で消火してはいけないという結論になります。水をかけても油が水の上に浮いて、水と一緒に広がってしまうからです。
例この性質の「例外」も出ます
- 二硫化炭素は比重1.26で、水より重い。沈むので、水中に貯蔵する(水没貯蔵)という特別な扱いをします。
- アルコール類・アセトン・酢酸などは水に溶けるという点で例外です。溶けるものには一般的な泡が効かないので、水溶性液体用泡(耐アルコール泡)を使います(第14回)。
④電気を通しにくい(静電気がたまる)
第4類は電気の不良導体です。生まれた静電気の逃げ道がないので、たまり続けます(第7回)。
- 注入するときは流速を遅くする
- 容器や配管を接地(アース)する
- 作業前に人の体の静電気を逃がす
⑤燃えるのは蒸気であって、液体ではない
これは①の言い換えですが、試験ではこの形で問われることも多いので独立させておきます。
なぜ?なぜ液体そのものは燃えないのか?
酸素と混ざれるのは、気体になった分だけだからです。液体の内部には酸素が入り込めません。液面から出てきた蒸気が空気と混ざり、燃焼範囲の濃さになったところに火種が来て初めて燃えます。
覚える覚え方
だから「ふたをする」ことが基本かつ効果の高い予防になります。蒸気が出ていかなければ、燃える相手がいません。密閉して冷暗所(涼しくて日の当たらない場所)に置く、という基本はここからきています。
火災予防でやるべき3つのこと
- ①火気を近づけない・火花を出さない … 点火源(火をつけるきっかけになる火や火花)を断つ。静電気対策もここに入ります。
- ②蒸気を外に出さない・たまらせない … 容器は密栓する。換気は低いところから。
- ③温度を上げない … 冷暗所に置く。直射日光を避ける。容器は98%以下にして熱膨張の余地を残す(第6回)。
覚えるよくある誤りの選択肢
- 「換気は高いところから行う」→ 誤り。蒸気は重いので低いところから。
- 「容器はいっぱいまで満たしておくとよい」→ 誤り。熱膨張であふれます。
- 「第4類は水に溶けないので、水をかければ薄めて消せる」→ 誤り。浮いて広がります。
よくある質問
Q.「第4類はすべて水に浮く」と覚えてよいですか?
A.よくありません。二硫化炭素(比重1.26)は水より重く沈みます。この1つが代表的な例外として問われやすいので、「二硫化炭素は沈む」と一緒に覚えてください。ほかにも比重が1に近いものなどはありますが、まずはここを押さえましょう。
Q.引火点が高いものは安全ということですか?
A.常温では引火しにくい、というだけです。重油のように引火点が高いものでも、加熱されて引火点を超えれば、ガソリンと同じように引火します。また、いったん燃え始めると火を消しにくいという別の難しさがあります。
Q.「蒸気が空気より重い」ことを一発で確かめる方法はありますか?
A.蒸気比重の数字を見るのがいちばん確実です。1より大きければ空気より重い、ということです。第4類はガソリン約3〜4、灯油約4.5など、ほとんどが1より大きい値になっています。
試験ではこう出る
例出題のされ方
- ①共通性質の正誤 … 「第4類の危険物に共通する性質として誤っているものは」。代表的な出題の形です。
- ②蒸気の重さ … 「蒸気は空気より軽いので上方に拡散する」→誤り。
- ③火災予防 … 「換気は高所から行う」→誤り。低所から。
- ④例外 … 「すべて水に浮く」→誤り(二硫化炭素は沈む)。
まとめこのページのまとめ
- 共通性質は①引火性液体 ②蒸気は空気より重い ③液は水より軽く溶けない ④電気の不良導体 ⑤燃えるのは蒸気
- 蒸気は低所にたまるので、換気は低いところから
- 棒状の水はNG(浮いて広がる)
- 例外は二硫化炭素(水より重い)とアルコール類など水に溶けるもの
- 予防は火気を断つ・蒸気を出さない・温度を上げないの3つ
