学科試験の計算問題で毎回出るのが、幹線の太さ分岐回路の組合せです。どちらも決まったルールに数字をあてはめるだけで解けるので、確実な得点源にできます。

この記事では、電気をまったく知らない人を想定して、建物の配電のしくみから順に説明します。

建物の電気は「幹線」から「分岐回路」へ

幹線とは?

建物に引き込んだ電気を分電盤まで運ぶ、いちばん太い大もとの電線です。木にたとえるとにあたります。

なぜ幹線はいちばん太いのか? 大もとにはつながっている機器すべての電流が合流して流れるからです。枝より幹が太いのと同じ理屈です。

分岐回路とは?

分電盤から各部屋・各コンセントへ枝分かれしていく回路です。それぞれに配線用遮断器(ブレーカー)が付きます。

なぜ回路を分けるのか? 全部を1本でまかなうと、どこかで漏電や使いすぎが起きたとき建物全体が止まるからです。分けておけば、台所だけ切れる、という動きができます。

幹線の太さの決め方 まず分けて、比べる

幹線に必要な電流は、つながる機器を「電動機(モーター)」と「電動機以外」に分けるところから始めます。

なぜ電動機だけ特別あつかいなのか?

モーターは動き始めの一瞬だけ、通常の4〜8倍の電流が流れるからです(始動電流)。この一瞬に電線が耐えられるよう、電動機が多い場合は割増して計算します。

なぜ動き始めだけ大きな電流が流れるのか? 止まっている重いものを回し始めるには大きな力がいる、と考えてください。自転車のこぎ始めがいちばん重いのと同じです。

幹線の計算ルール【IM=電動機の合計、IH=それ以外の合計】

手順1 … 機器を電動機(IM)とそれ以外(IH)に分けて、それぞれ合計する

手順2 … IMとIHの大小を比べる(ここが最初の分かれ道)

IM ≦ IH のとき … 割増なし。IM + IH がそのまま答え

IM > IH で、IMが50A以下 … IM × 1.25 + IH

IM > IH で、IMが50A超 … IM × 1.1 + IH

計算の例(過去問そのまま)

問題 … 電動機10A、電熱器15Aと20A。幹線の太さを決める電流は?

手順1 … IM = 10A / IH = 15 + 20 = 35A

手順2 … IM(10A)≦ IH(35A) → 割増なし

手順3 … 10 + 35 = 45A

幹線を守るブレーカーの大きさ

幹線の頭に付ける過電流遮断器の定格は、IM × 3 + IH 以下(かつ幹線の許容電流の2.5倍以下)と決められています。

なぜ幹線のブレーカーは3倍まで許されるのか? 電動機の始動電流でいちいち切れては仕事にならないので、少し余裕をもたせた上限になっています。それでも電線が燃えない範囲、というのがこの式です。

分岐回路 表を1つ覚えれば全部解ける

分岐回路の決まりとは?

ブレーカーの大きさごとに、使ってよい電線の太さ付けてよいコンセントが決められています。

なぜ3つの組合せが決められているのか? ブレーカーは電線を守る見張り役です。ブレーカーより電線が細いと、切れる前に電線が燃えます。ブレーカーよりコンセントが小さいと、コンセントが焼けても切れません。3つの強さをそろえる必要があるのです。

分岐回路の組合せ表【必ず暗記】

15A … 電線1.6mm以上/コンセント15A以下

20A(配線用遮断器) … 電線1.6mm以上/コンセント20A以下

30A … 電線2.6mm以上/コンセント20A以上30A以下

40A … 電線8mm²以上/コンセント30A以上40A以下

50A … 電線14mm²以上/コンセント40A以上50A以下

30A以上は「下限」もあることに注意

30Aの回路に15Aのコンセントは付けられません。コンセント自体が15Aまでしか耐えられないのに、ブレーカーは30Aまで切れないからです。

なぜ小さすぎるコンセントがだめなのか? 守る側(ブレーカー)より守られる側(コンセント)が弱いと、守りにならないのです。試験では「30Aに15Aコンセント」という引っかけが定番です。

分岐点からブレーカーまでの距離

分岐点からブレーカーまでの距離で決まる無防備な区間が長いほど、電線を太くして耐えさせる考え方幹線(100Aの過電流遮断器で保護)3m 以下B制限なし好きな太さでよい3m 超 8m 以下B35% 以上100A なら 35A 以上8m 超B55% 以上100A なら 55A 以上「サンパチ(3m・8m)で、サンゴー・ゴーゴー(35%・55%)」
分岐点からブレーカーまでが無防備な区間になるため、長いほど太い電線が必要になります。3mと8mの境目、35%と55%の数字がそのまま出題されます。

3m・8m・制限なしの使い分け

原則 … 幹線からの分岐点からブレーカーまで3m以内

分岐した電線の許容電流が、幹線を守るブレーカーの定格の35%以上あるなら … 8m以内まで延ばせる

55%以上あるなら … 距離の制限なし

なぜ3m以内なのか?

分岐した直後の電線は、まだ自分のブレーカーに守られていないからです。守られていない区間は、できるだけ短くしたいのです。

なぜ太い電線なら距離を延ばせるのか? ただし電線が十分太い(35%・55%以上)なら、そもそも燃えにくいので、距離をゆるめてよいことになっています。

まとめ

この記事で覚えること

幹線はまず電動機とそれ以外に分けて、大小を比べる。電動機が小さければ足すだけ

割増は電動機が大きいときだけ。50A以下なら1.25倍、50A超なら1.1倍

分岐回路の表 20A→1.6mm・20A以下/30A→2.6mm・20〜30A

30A以上のコンセントには下限がある

分岐点からブレーカーまで原則3m。35%で8m、55%で制限なし

実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)

▶ 問1〜10
計算と電気の基礎

▶ 問11〜20
材料と工具

▶ 問21〜30
工事のルールと法令

▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け