学科試験の問14・15は、ほぼ毎回三相かご形誘導電動機(モーター)進相コンデンサから出ます。出るポイントが決まっているので、この1記事で対策が完了します。

この記事では、モーターを見たことがない人を想定して、しくみから試験の急所まで順に説明します。

三相かご形誘導電動機とは

三相かご形誘導電動機とは?

工場やビルでいちばん多く使われているモーターです。ポンプ・送風機・エレベーターなど、あらゆる機械を回しています。
「三相」=3本の電線で動く。「かご形」=内部の回転子が鳥かごのような形

なぜこのモーターがいちばん使われているのか? 構造が単純で壊れにくく、安いからです。ブラシのような消耗部品がなく、ほぼメンテナンスフリーで回り続けます。

回転の速さは「周波数」で決まる

周波数と回転速度の関係

モーターの回る速さは電源の周波数に比例します。周波数が高いほど速く、低いほど遅く回ります。日本では東日本50Hz・西日本60Hzです。

なぜ周波数で速さが変わるのか? モーターの中では、電流の向きが入れかわるのに合わせて磁石の力がぐるぐる回っています(回転磁界)。入れかわりの速さ=周波数がそのまま回転の速さになるのです。

試験の定番ポイント【4つ】

周波数60Hz→50Hzに変わると … 回転速度は下がる(「増加する」は誤り)

負荷が増えると … 回転速度はやや下がる(坂道の自転車と同じ)

3本の電線のうち2本を入れかえると … 逆回転する

極数が多いモーターほど … 回転は遅い

始動電流 動き出しの一瞬が大食い

始動電流とは?

モーターが動き始める一瞬に流れる大きな電流のことです。通常運転の4〜8倍にもなります。

なぜ動き出しだけ大きな電流が流れるのか? 止まっている重い回転子を回し始めるには大きな力が必要だからです。回り始めてしまえば、電流はすっと通常値まで下がります。

スターデルタ始動とは?

大きなモーターで、始動電流を3分の1に抑える始動方法です。巻線をまずスター(Y)結線でつないで弱めに始動し、回転が上がったらデルタ(Δ)結線に切り替えて本気を出します。

なぜわざわざ2段階で始動するのか? いきなり全力で始動すると、大電流で電圧が下がり、同じ回路の照明がちらつくなどの迷惑が出るからです。「最初はそっと、あとで全力」に切り替えるのがこの方式です。

進相コンデンサ モーターの相棒

進相コンデンサを付けると電流が小さくなるモーターの「遅れ」を、コンデンサの「進み」で打ち消しますコンデンサなしコンデンサあり電源M電流が大きい遅れたぶんも電線に流れる電源Mコンデンサ電流が小さい進みが遅れを打ち消す同じ仕事なのに電流が小さい = 電線のムダ(損失)が減る
モーターのコイルは電流を遅らせ、コンデンサは進ませます。両方あると打ち消し合い、同じ仕事でも電線を流れる電流が小さくなります。

進相コンデンサとは?

モーターと並列につないで、力率を改善するためのコンデンサです。

なぜコンデンサをつなぐと力率が良くなるのか? モーターは、仕事をしない「遅れた電流」を必要とする性質があります。コンデンサは逆向きの「進んだ電流」を作るので、打ち消し合って電源から流れるムダな電流が減るのです。

進相コンデンサの試験ポイント

目的は力率の改善。これ一択(振動防止・回転数調整などは全部誤り)

つなぎ方はモーターと並列(手元開閉器の負荷側

力率が改善すると … 電線の電流が減る/電力損失が減る

回転速度と消費電力(有効電力)は変わらない

まとめ

この記事で覚えること

周波数が下がれば回転も下がる(60Hz→50Hzで減速)

2本入れかえで逆回転

始動電流は4〜8倍。抑えたいときはスターデルタ始動(3分の1)

進相コンデンサ=力率改善・並列につなぐ

力率が良くなっても回転速度は変わらない

実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)

▶ 問1〜10
計算と電気の基礎

▶ 問11〜20
材料と工具

▶ 問21〜30
工事のルールと法令

▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け