第7章 材料と施工 | 第45回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 支持・固定・振れ止めのちがいがわかります
  • 支持間隔の目安がわかります
  • 配管が熱でどれだけ伸びるかが計算できます
  • 伸縮継手の種類と使い分けがわかります

配管はただぶら下げればよいわけではありません。「支える」「動かないようにする」「動けるようにする」——この3つを使い分けます。

支持・固定・振れ止めは役割が違う

天井から吊った配管の図。重さを受けるハンガ(支持)、動かさないアンカ(固定)、横ゆれを止めるガイド(振れ止め)の3つを色分けし、それぞれ長さ方向に動けるかどうかを示している。
全部を固定してしまうと、熱で伸びたときに逃げ場がなくなります。
名前 役割 動きは
支持(サポート・ハンガ) 重さを受ける 管の伸縮は許す
固定(アンカ) その場所を動かないようにする まったく動かさない
振れ止め(ガイド・ブレース) 横揺れを止める 管の長さ方向には動ける

💡 覚え方

「支持は重さ、固定は位置、振れ止めは揺れ」。全部を固定してしまうと、熱で伸びたときに逃げ場がなくなって配管が壊れます。固定は必要な所だけ——これが基本の考え方です。

なぜ固定点が必要なのか?

伸びる方向を決めるためです。固定点がまったくないと、管がどちらへ動くか分からず、機器の接続部を引っぱって壊してしまいます。固定点を決めて、そこから両側へ逃がすように計画するのです。

支持間隔の目安

管の種類 水平管の支持間隔
鋼管(20A以下) 1.8m以下
鋼管(25A〜40A) 2.0m以下
鋼管(50A〜80A) 3.0m以下
鋼管(100A〜150A) 4.0m以下
銅管(20A以下) 1.0m以下
硬質塩化ビニル管(50A以下) 1.0m以下
硬質塩化ビニル管(75A以上) 2.0m以下

💡 覚え方

「鋼管はメートル単位、樹脂管と銅管は1〜2m」。柔らかい管ほど、たわむので間隔を狭くする——この理屈だけ押さえておけば、「樹脂管を3mおきに支持する」は誤りと判断できます。

支持で気をつけること

  • 立て管には、各階1か所以上の支持を設ける。
  • 機器の近く・弁の近く・曲がりの近くには支持を入れる … 荷重を機器にかけないため。
  • 異種金属が接触しないようにする … 銅管を鉄の金具で吊るときは絶縁(第34回)。
  • 保冷配管の支持部には断熱材(第44回)。

配管はどれだけ伸びるか

長さ10mの配管の温度が50℃上がったときの伸び量を、鋼6mm・ステンレス鋼8.5mm・銅8.5mm・硬質塩化ビニル35mmと横棒の長さでくらべた図。
同じ長さ・同じ温度差でも、硬質塩化ビニルは鋼の約6倍のびます。

線膨張係数とは?

温度が1℃上がったとき、長さがもとの何倍伸びるかを表した数字です。

材料 線膨張係数(1℃あたり) 10mが50℃上がると
鋼 約1.2×10⁻⁵ 約6mm
ステンレス鋼 約1.7×10⁻⁵ 約8.5mm
銅 約1.7×10⁻⁵ 約8.5mm
硬質塩化ビニル 約7×10⁻⁵ 約35mm
  • 伸び量 = 線膨張係数 × もとの長さ × 温度差
  • 例 鋼管20mが、10℃から80℃になったときの伸びは?
  • ① 温度差 80 − 10 = 70℃
  • ② 1.2×10⁻⁵ × 20,000mm × 70 = 16.8mm

🔰 簡単なたとえ

20mの配管が17mmも伸びる——小指の第一関節くらいです。両端をがっちり固定していたら、その分どこかが曲がるか、継手が壊れます。塩ビ管なら、同じ条件で約10cm。樹脂管の伸縮対策が特に大切な理由が分かります。

伸縮継手

種類 しくみ 特徴
ベローズ形(単式・複式) じゃばらが伸び縮みする コンパクト/ガイドが必要/単式はアンカ・ガイドが重要
スリーブ形 管が筒の中をすべる 吸収量が大きい/パッキンの定期交換が必要
ベンド形(ループ形) 管をΩ形やU形に曲げて、そのたわみで吸収 故障がない・保守不要/場所をとる
スイベル形 エルボを組み合わせて回転で吸収 枝管の取り出しによく使う

💡 覚え方

「ベローズはコンパクト、スリーブは大容量、ベンドは故障しないが場所をとる」。ベンド形は動く部品がないので、保守が難しい所(埋設・高所)で選ばれます。

伸縮継手の施工

  • 両側に固定点(アンカ)を設ける … 伸縮継手だけで動きを受けるため。
  • ガイドを設けて、まっすぐ伸縮させる … 横にずれるとベローズが壊れます。
  • スリーブ形はパッキンの交換スペースを確保する。

地震への備え

  • 耐震支持 … SA種・A種・B種があり、建物の重要度と設置階で決まる
  • 形鋼振れ止め支持 … 横揺れを止める。斜材(ブレース)を入れると耐震支持になる
  • 可とう継手 … 建物と地面の境目(引込み部)や、エキスパンションジョイント部で変位を吸収する
  • 機器の転倒防止 … アンカーボルトで基礎に固定する

なぜ建物の引込み部に可とう継手がいるのか?

地震のときに、建物と地面は別々に動くからです。建物は基礎ごと揺れ、地面は地面で動きます。そこを固い管でつないでいると、必ず折れます。柔らかい継手を1つ入れておくことで、ずれを吸収して破断を防ぐのです。

試験ではこう出る

  • ①支持間隔 … 「呼び径20Aの鋼管の支持間隔は3.0m以下とする」→誤り。1.8m以下。
  • ②樹脂管 … 「硬質塩化ビニル管は鋼管より支持間隔を広くできる」→誤り。
  • ③線膨張 … 「硬質塩化ビニル管の線膨張係数は、鋼管の約6倍である」→正しい。
  • ④ベンド形 … 「ベンド形伸縮継手は、保守が不要である」→正しい。
  • ⑤ガイド … 「ベローズ形伸縮継手には、ガイドを設ける必要はない」→誤り。
  • ⑥固定点 … 「伸縮継手の両側にはアンカを設ける」→正しい。

よくある質問

Q.吊りボルトの径は、どうやって決めるのですか?

A.管の呼び径と、支持する重さから決まります。管そのものの重さ+中の水の重さ+保温材の重さを合計して考えます。水の重さを忘れるのがよくある間違いで、大口径の管では、水のほうが管より重いこともあります。

Q.固定点は、どこに設けるのがよいのですか?

A.伸縮を「両側に均等に逃がせる位置」です。一般には長い直管の中央付近に固定点を置き、両端に向かって伸びるようにします。またポンプや熱交換器などの機器の近くにも固定点を置き、機器に力がかからないようにします。

Q.立て管の伸縮は、どう処理するのですか?

A.各階で固定するのではなく、何階かおきに固定点を設け、その間で伸縮させます。高層建築の給湯立て管では、ベローズ形伸縮継手を階ごとに入れるか、スイベル形(エルボの組み合わせ)で逃がす方法が取られます。「全階を固定してはいけない」のがポイントです。

このページのまとめ

  • 支持=重さ/固定=位置/振れ止め=揺れ
  • 柔らかい管ほど支持間隔は狭く(銅・塩ビは1〜2m)
  • 伸び = 線膨張係数 × 長さ × 温度差
  • 塩ビは鋼の約6倍伸びる
  • 伸縮継手はベローズ(小型)・スリーブ(大容量)・ベンド(無保守)・スイベル
  • 伸縮継手の両側にアンカ、途中にガイド
  • 建物の引込み部には可とう継手