第8章 施工管理 | 第48回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 施工計画で決めることがわかります
  • 着工前に出す届出がわかります
  • 施工図と製作図の役割がわかります
  • 4つの管理(工程・品質・原価・安全)の関係がわかります

施工管理法のいちばん最初にくる分野です。「何を、いつ、誰が決めるのか」という段取りの全体像をつかみましょう。

施工計画とは

設計図書と施工計画を左右にならべ、前者は発注者がつくる「何を作るか」、後者は請負者がつくる「どう作るか」であることを示し、下に工程・品質・原価が引っぱり合う三角の図を置いている。
設計図書は「何を作るか」、施工計画は「どう作るか」。安全管理はこの3つより常に優先されます。

施工計画とは?

設計図書に書かれたものを、実際にどうやって作るかを決めることです。設計図書は「何を作るか」、施工計画は「どう作るか」——ここが役割の違いです。

  • 工事の順序と工程
  • 使う材料と機器
  • 作業の方法と、使う機械
  • 人員と、下請への割り振り
  • 仮設の計画(足場・電源・水・仮囲い)
  • 安全と環境の計画
  • 品質管理の計画

💡 覚え方

施工計画は「段取り八分」という言葉どおり、ここで工事の出来がほとんど決まります。着工してから考えるのでは遅い——この思想が問題文の背景にあります。

4つの管理は、たがいに引っぱり合う

管理 ねらい 他とぶつかるところ
工程管理 決めた期日に終わらせる 急ぐと品質が落ち、原価が上がる
品質管理 決めた品質にする こだわると時間と費用がかかる
原価管理 予算内に収める 削ると品質と安全が落ちる
安全管理 災害を出さない 他の3つより常に優先される

工期と原価の関係

工期を短くしすぎても、長すぎても、原価は上がります。短くすると残業代・応援・機械の増強で直接費が増え、長くすると現場事務所の維持費など間接費が増えます。両方を足した総費用がいちばん小さくなる工期=最適工期です。

💡 覚え方

「安全は他の3つに優先する」。これは絶対に例外がありません。選択肢に「工期を守るため、安全対策を簡略化した」とあれば、迷わず誤りです。

着工前の届出

着工前の届出6種類を、届出の名前・出す先・いつまでに、の3列の表にまとめた図。道路使用許可は警察署長、道路占用許可は道路管理者であることを強調している。
取りちがえやすいのは「使用は警察、占用は道路管理者」。日数は7日前・14日前・60日前の3つだけです。
届出 出す先 いつ
建築工事届 都道府県知事 工事に着手する前
特定建設作業実施届出(騒音・振動) 市町村長 作業開始の7日前まで
道路使用許可 警察署長 使用前
道路占用許可 道路管理者 占用前
危険物製造所等の設置許可 市町村長など 設置前
ばい煙発生施設設置届出(ボイラー等) 都道府県知事 60日前まで
建設工事計画届(一定の工事) 労働基準監督署長 14日前まで

混ざりやすい2つ

  • 道路「使用」許可=警察署長 … 一時的に道路を使う(工事車両を止める、資材を置く)
  • 道路「占用」許可=道路管理者 … 継続して道路に物を置く(埋設管、仮囲い)
  • → 「使用は警察、占用は管理者」と唱えて覚えます。

施工図と製作図

施工図とは?

設計図をもとに、実際に施工できるところまで細かく描き起こした図です。配管の高さ・ルート・他の設備とのぶつかりまで決めます。

  • 総合図 … 建築・電気・空調・衛生をすべて重ねた図。天井内の取り合いを調整する
  • 施工図 … 平面・断面・詳細
  • 製作図(工作図) … ダクトや配管加工品を工場で作るための図

なぜ総合図が大事なのか?

天井の中は、いろいろな設備が取り合う狭い空間だからです。ダクト・配管・電気の配線・スプリンクラー・照明——それぞれが自分の図面どおりに作ると、必ずぶつかります。着工前に紙の上でぶつけておくのが総合図の役割で、現場で手戻りを出さないための最大の武器です。

仮設計画

  • 直接仮設 … 足場・養生・墨出し・作業に直接必要な仮設材など、その工事のためだけに使うもの
  • 共通仮設 … 現場事務所・仮設電気・仮設水道・仮囲い・トイレ
  • 仮設は原則として請負者が計画する … 設計図書に指定がなければ、方法は請負者の裁量

指定仮設と任意仮設

  • 指定仮設 … 発注者が方法まで指定するもの。変更すると設計変更になり、費用も見てもらえる。
  • 任意仮設 … 請負者が自由に決めてよいもの。やり方を変えても、原則として費用は増減しない。

試験ではこう出る

  • ①優先順位 … 「工期に間に合わせるため、安全対策を一部省略した」→誤り。
  • ②道路の許可 … 「道路占用許可は警察署長に申請する」→誤り。道路管理者です。
  • ③総合図 … 「総合図は、各設備の取り合いを事前に調整するために作成する」→正しい。
  • ④最適工期 … 「工期を短縮すれば、総原価は必ず小さくなる」→誤り。
  • ⑤仮設 … 「任意仮設は、請負者の判断で方法を変更できる」→正しい。

よくある質問

Q.施工計画書は、誰に提出するのですか?

A.発注者(または監理者)です。着工前に提出して承認を受けるのが一般的な流れです。公共工事では総合施工計画書を最初に出し、工種ごとに工種別施工計画書を出していきます。

Q.「設計図書」には何が含まれますか?

A.設計図・仕様書・現場説明書・質問回答書です。優先順位があり、一般に「質問回答書 > 現場説明書 > 特記仕様書 > 設計図 > 標準仕様書」の順に優先されます。あとから出たもの・その工事に固有のものほど強い、と考えると覚えられます。

Q.施工計画を立てるとき、いちばん最初にすることは何ですか?

A.設計図書をよく読み、現場を見に行くことです。現地調査で、搬入経路・電源や水の取り合い・近隣の状況・既存設備の位置などを自分の目で確かめます。図面に描いていないことが、現場には必ずあります。ここを飛ばすと、あとで大きな手戻りになります。

このページのまとめ

  • 設計図書=何を作るか/施工計画=どう作るか
  • 4つの管理は引っぱり合うが、安全は常に優先
  • 工期は短すぎても長すぎても原価が上がる(最適工期)
  • 道路「使用」は警察署長/道路「占用」は道路管理者
  • 特定建設作業は7日前/建設工事計画届は14日前
  • 総合図で、着工前に取り合いを調整する
  • 任意仮設は請負者の裁量、指定仮設は変更すると設計変更