第9章 法規 | 第56回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 安全衛生管理体制が人数で整理できます
  • 作業主任者が必要な作業がわかります
  • 特別教育と技能講習のちがいがわかります
  • 元請と下請が混在する現場の決まりがわかります

第52回の安全管理を、法律の側から見た回です。「何人以上で、誰を選任するか」が出題の中心になります。

単独の事業場の体制

働く人数を数直線にとり、10人以上で安全衛生推進者、50人以上で安全管理者・衛生管理者・産業医と各委員会、100人以上で総括安全衛生管理者が必要になることを帯で示した図。
「10で推進者、50で管理者と委員会、100で総括」。選任は事由が生じた日から14日以内です。
選任するもの 建設業では 届出
総括安全衛生管理者 常時100人以上 労働基準監督署長
安全管理者 常時50人以上 同上
衛生管理者 常時50人以上 同上
産業医 常時50人以上 同上
安全衛生推進者 常時10人以上50人未満 不要(周知はする)
安全委員会・衛生委員会 常時50人以上 毎月1回以上開催

💡 覚え方

「10で推進者、50で管理者と委員会、100で総括」。推進者だけ届出が不要——ここが問われます。

選任の期限

  • 選任すべき事由が生じた日から14日以内に選任する。
  • 選任したら、遅滞なく労働基準監督署長に届け出る(安全衛生推進者を除く)。

元請と下請が混在する現場

元請と下請3社の関係図。元請が統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者を置き、下請はそれぞれ安全衛生責任者を置いて、元請が連絡・調整をすることを示している。
元請と下請の合計が常時50人以上で統括安全衛生責任者を選任します。巡視は毎作業日に1回以上です。

なぜ特別な体制がいるのか?

1つの現場に、いくつもの会社の人が同時に働いているからです。会社ごとに安全管理をしていても、会社をまたいだ危険(上から物が落ちる、重機と人が交錯する)は誰も見ていません。そこで元請が全体をまとめることになっています。

選任するもの いつ 誰が
統括安全衛生責任者 元請+下請の合計が常時50人以上(ずい道・橋りょう・圧気工法は30人以上) 元請
元方安全衛生管理者 統括を選任した現場 元請
安全衛生責任者 統括を選任した現場 下請それぞれ
店社安全衛生管理者 20人以上50人未満(一定の工事) 元請(本店・支店から)
  • 元請がしなければならないこと
  • 協議組織(災害防止協議会)を設置し、運営する
  • 作業間の連絡・調整
  • 作業場所を巡視する(毎作業日に少なくとも1回)
  • 下請が行う安全衛生教育に対する指導・援助
  • クレーンなどの運転についての合図の統一

数字で問われるもの

  • 統括安全衛生責任者=50人以上(ずい道・橋りょう等は30人以上)
  • 作業場所の巡視=毎作業日に少なくとも1回
  • 協議組織の会議=定期的に開催

作業主任者

作業主任者とは?

危険または有害な作業について、その作業を直接指揮する人です。都道府県労働局長の免許を受けた者、または技能講習を修了した者から選任します。

管工事で関係する作業主任者

  • 酸素欠乏危険作業主任者 … ピット・タンク・マンホール内の作業(第52回)
  • 足場の組立て等作業主任者 … 高さ5m以上
  • ガス溶接作業主任者
  • 特定化学物質作業主任者
  • 石綿作業主任者
  • 地山の掘削作業主任者 … 掘削面の高さ2m以上
  • 土止め支保工作業主任者
  • 作業主任者の氏名と職務を、作業場の見やすい箇所に掲示する
  • 選任の届出は不要(掲示で足りる)

特別教育と技能講習

特別教育 技能講習
位置づけ その作業に就くための教育 より高度。作業主任者になれる
実施 事業者が行う 登録教習機関が行う
記録 3年間保存 修了証が交付される
例 酸素欠乏危険作業/アーク溶接/研削といしの取替え/小型車両系建設機械(3t未満) 酸素欠乏危険作業主任者/足場の組立て等作業主任者/ガス溶接/車両系建設機械(3t以上)

💡 覚え方

「特別教育は会社が、技能講習は外の機関が」。作業主任者になれるのは技能講習のほうです。同じ「酸素欠乏危険作業」でも、作業する人は特別教育、指揮する人は技能講習——この対比がそのまま出ます。

その他よく出るもの

  • 雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育 … すべての労働者に必要
  • 新規入場者教育 … その現場のルールを教える
  • 健康診断 … 雇入れ時と、1年以内ごとに1回(有害業務は6か月以内ごとに1回)
  • 労働者死傷病報告 … 休業4日以上は遅滞なく、休業4日未満は四半期ごとに労働基準監督署長へ

試験ではこう出る

  • ①人数 … 「建設業では、常時50人以上で総括安全衛生管理者を選任する」→誤り。100人以上です。
  • ②統括 … 「統括安全衛生責任者は、元請と下請を合わせた人数で判断する」→正しい。
  • ③巡視 … 「元方事業者は、少なくとも毎週1回、作業場所を巡視する」→誤り。毎作業日に少なくとも1回。
  • ④作業主任者 … 「作業主任者を選任したときは、労働基準監督署長に届け出る」→誤り。掲示すれば足ります。
  • ⑤足場 … 「高さ5m以上の足場の組立て等の作業には、作業主任者を選任する」→正しい。
  • ⑥死傷病報告 … 「休業4日以上の場合は、遅滞なく報告する」→正しい。

よくある質問

Q.「常時50人」とは、その日にいる人数ですか?

A.常態としてその事業場で働いている人数です。建設現場ではその現場に常時働いている労働者の数で見ます。一時的に増減することはありますが、ふだんの状態で判断します。統括安全衛生責任者は、元請と下請を合わせた数である点に気をつけてください。

Q.安全衛生責任者と安全管理者は、どう違うのですか?

A.安全管理者は、会社(事業場)ごとに置く人で、常時50人以上の事業場に必要です。安全衛生責任者は、混在現場で下請が置く人で、統括安全衛生責任者との連絡役になります。「管理者は会社の話、責任者は現場の話」と分けて覚えてください。

Q.特別教育の記録は、なぜ3年保存なのですか?

A.その人がその作業に就く資格を持っていることを、あとから示せるようにするためです。労働災害が起きたとき、「教育を受けていない人にやらせていなかったか」が必ず問われます。記録がなければ、やっていないのと同じ扱いになります。

このページのまとめ

  • 10人で推進者/50人で安全・衛生管理者と委員会/100人で総括
  • 統括安全衛生責任者は元請+下請で50人以上(ずい道等は30人以上)
  • 元請は毎作業日に1回以上、作業場所を巡視
  • 作業主任者は技能講習修了者から選任。届出は不要で掲示する
  • 特別教育=事業者が実施・記録3年保存/技能講習=登録教習機関
  • 休業4日以上の死傷病報告は遅滞なく