二級ボイラー技士は、ビルや工場、病院、ホテルでお湯や蒸気をつくるボイラーを扱うための国家資格です。受験資格がなく、合格率も5割を超えるので、設備の仕事の入り口として選ばれることが多い資格です。この記事では、試験の中身・合格ライン・免許をもらうまでの流れ・勉強の順番を、知識ゼロの人向けに1本にまとめました。

ボイラーとは?

燃料を燃やした熱で水を温め、蒸気やお湯をつくって外へ送り出す装置。建物の暖房・給湯や、工場で使う蒸気をつくっています。

💡 なぜ? 水を密閉した容器で熱すると、中の圧力が高くなり、扱いを誤ると破裂する危険があるからです。だから法律で、決まった資格を持つ人が扱うことになっているのです。

▶ この回は動画でも勉強できます(約13分)

動画と記事は同じ内容です。読むのが苦手な方は動画で、復習は記事で、どうぞ。

ボイラーは、家庭の給湯器と何が違うのか

家庭の給湯器も、ガスを燃やして水を温める点ではボイラーと同じ仕組みです。違いは大きさと圧力です。

ビルや工場のボイラーは、大量の水を密閉した容器で熱し、高い圧力の蒸気をつくることもあります。圧力のかかった蒸気は、容器が壊れると一気に噴き出して大事故になりかねません。

そこで法律は、一定の大きさ・圧力を超えるボイラーについて、検査や届出と資格のある人による取扱いを求めています。家庭用の給湯器の多くは、この決まりの対象外の小さなものです。

🤔 小さなボイラーなら、資格はいらないのですか。

法令では、大きさによって「ボイラー」「小型ボイラー」「簡易ボイラー」のように区分されているのです。小型ボイラーは特別教育を受ければ扱える、といった違いがあります。区分の細かい数字は、講座の法令の回でまとめて扱う予定です。

二級ボイラー技士で、何ができるようになるのか

ビルの機械室で、ボイラーから配管を通って蒸気とお湯が送られていく様子を表したイメージ図
ボイラーでつくった蒸気やお湯が、配管で建物の各所へ送られます。
” alt=”ビルの機械室で、ボイラーから配管を通って蒸気とお湯が送られていく様子を表したイメージ図” style=”max-width:100%;height:auto;border-radius:8px;” />
ボイラーでつくった蒸気やお湯が、配管で建物の各所へ送られます。

二級ボイラー技士の免許があると、法律で資格が必要とされるボイラーを取り扱えるようになります。さらに、ボイラーの取扱作業主任者(現場の責任者)にもなれるのが大きな点です。

ただし、作業主任者になれるボイラーの大きさには上限があります。大きさは伝熱面積(火や燃焼ガスの熱を受け取る面の広さ)で決まる仕組みです。

ボイラーの伝熱面積(合計)作業主任者になれる免許
25㎡未満二級・一級・特級ボイラー技士
25㎡以上500㎡未満一級・特級ボイラー技士
500㎡以上特級ボイラー技士

ビルの暖房や給湯に使う中小のボイラーは、25㎡未満のものが多いとされます。そのため二級でも、ビル管理や設備管理の現場で役立つ場面は少なくありません。

⚠ 注意

貫流ボイラーなど一部のボイラーは、伝熱面積を実際より小さく数える決まりがあります。くわしい数え方は、講座の法令の回で説明しましょう。ここでは「二級=25㎡未満の責任者」とだけ覚えておけば十分です。

試験のしくみ:4科目×10問、5択のマークシート

試験は学科だけで、実技試験はありません。4つの科目から10問ずつ、合計40問の出題です。

科目問題数どんなことを聞かれるか
ボイラーの構造に関する知識10問ボイラーの種類・各部の名前・附属品・自動制御
ボイラーの取扱いに関する知識10問点火から停止までの手順・異常時の対応・水の管理
燃料及び燃焼に関する知識10問重油やガスの性質・燃え方・バーナー・大気汚染
関係法令10問伝熱面積・検査と届出・作業主任者・設置場所の決まり

試験の基本情報

①受験資格:なし(本人確認の書類は必要)

②試験時間:3時間(午後に4科目まとめて)

③形式:五肢択一のマークシート(5つから1つ選ぶ)

④受験手数料:8,800円(令和5年6月1日現在)

⑤会場:全国7か所の安全衛生技術センター(ほかに出張特別試験もある)

3時間で40問。1問あたり4分半

試験時間は3時間で40問なので、1問あたり約4分半使えます。計算問題は少なく、文章の正誤を見分ける問題が中心です。時間が足りなくなる人は多くないでしょう。

試験開始から1時間たてば途中退室もできます(問題用紙の注意事項より)。ただし問題用紙は持ち帰れない決まりなので、見直しは試験時間の中で済ませておきましょう。

試験を行っているのは公益財団法人 安全衛生技術試験協会です。日程はセンターごとに毎月のように組まれており、試験日の2か月前から14日前までが受付期間とされています。

合格ライン:各科目4問以上、合計24問以上

合格の基準は「科目ごとの得点が40%以上で、かつ合計が60%以上」です。1科目10問なので、問題数に直すと次のようになります。

合格ラインを問題数に直すと

①各科目=10問×40%=4問以上の正解が必要

②合計=40問×60%=24問以上の正解が必要

③どれか1科目でも3問以下だと、合計が高くても不合格

例構造取扱い燃料と燃焼法令合計結果
Aさん6問6問6問6問24問合格
Bさん9問8問8問3問28問不合格(法令が4問未満)
Cさん7問5問5問6問23問不合格(合計が24問未満)

Bさんは合計28問と高得点でも、法令の1科目だけで不合格です。足切り(1科目でも基準を下回ると不合格)がある試験だと覚えておいてください。

🤔 得意な科目で稼げば、苦手な科目は捨ててもよいですか。

捨てるのは危険です。1科目でも4問を下回ると不合格になるからです。苦手な科目でも、まず4問は確実に取れるところまで仕上げてください。そのうえで得意な科目を伸ばして合計24問を目指すのが、いちばん安全な戦い方です。

令和6年度(令和6年4月〜令和7年3月)の全国の結果は、合格率53.8%でした。受験者21,226人のうち、11,428人が合格しています(出典:安全衛生技術試験協会「各種免許試験(学科)の合格率一覧表」)。2人に1人ほどが合格している計算です。

合格したあと、免許をもらうまで

ここが見落とされやすいところです。試験に合格しただけでは、免許はもらえません。合格に加えて、実際にボイラーを扱った経験や講習のどれかが必要になります。

免許をもらうための主な要件(どれか1つ)

①ボイラー実技講習(20時間)を修了した

②6か月以上、ボイラーの取扱いの実地修習を経た

③大学・高専・高校などでボイラーに関する学科を修め、3か月以上の実地修習を経た

④ボイラー取扱技能講習を修了し、4か月以上小規模ボイラーを取り扱った

ボイラーに触れる仕事をしていない人は、①のボイラー実技講習を選ぶことが多いでしょう。講習は試験の前に受けても後に受けてもかまいません。日程や受講料は、講習を行う日本ボイラ協会の各支部などで確認してください。

要件がそろったら、合格通知書と必要書類をそろえて、東京労働局の免許証発行センターへ免許を申請します。申請書の書き方や手数料は、厚生労働省・都道府県労働局の案内で最新のものを確かめるのが確実です。

勉強を始めてから免許を受け取るまで

①講座で4科目を理解する(ゼロパスの全21回)

②公表問題を繰り返し解き、各科目4問以上・合計24問以上を安定して取れるようにする

③試験に申し込み、合格する

④ボイラー実技講習(20時間)などで免許の要件をそろえる(試験の前でもよい)

⑤労働局へ免許を申請し、免許証を受け取る

④の講習は受付が埋まることもあるので、試験勉強と並行して日程を調べておくと、免許を受け取るまでが早くなるでしょう。

勉強の順番:構造→取扱い→燃料と燃焼→法令

ゼロパスの講座は、この4科目の順番で進みます。順番には、きちんとした理由があるのです。

① まず「構造」でボイラーの体を知る

どこに水があり、どこで火が燃え、どの部品が何を見張っているか。これが分からないと、ほかの3科目の話がすべて宙に浮いてしまいます。

② 次に「取扱い」で動かし方を知る

構造で覚えた部品を、点火・運転・停止の手順の中で使っていく段階です。「なぜその順番なのか」が構造の知識で説明できるので、丸暗記が減ります。

③ 「燃料と燃焼」で火の側を知る

重油やガスの性質、空気の量と燃え方の関係を学ぶ科目です。取扱いで出てきた不完全燃焼や逆火の理由が、ここでつながるのです。

④ 最後に「法令」で決まりを整理する

法令は数字と手続きの暗記が中心です。ボイラーの姿が頭に入ってから読むと、「なぜその決まりがあるのか」が分かり、覚えやすくなります。

💡 覚え方

「体→動かし方→火→決まり」の順。車の免許でいえば、車の仕組み→運転のしかた→ガソリン→交通法規と同じ流れです。

7回分の公表問題を数えて分かった「毎回出るテーマ」

ゼロパスでは、令和5年10月公表〜令和8年10月公表の7回分(280問)を、問題ごとにテーマを分けて数えました。その結果、毎回のように同じテーマが同じ番号あたりに出ていることが分かりました。

科目よく出るテーマ7回中の出題
構造熱と蒸気・伝熱(いつも問1)7回
構造鋳鉄製ボイラー5回
取扱い点火前の点検・たき始め・逆火7回
取扱いボイラー水の管理(不純物・清缶剤・脱酸素剤など)7回
取扱いキャリオーバ/安全弁の調整と蒸気漏れ各6回
燃料と燃焼通風(いつも問30)7回
燃料と燃焼重油の性質と、重油が起こす障害7回
燃料と燃焼気体燃料の性質・燃焼方式7回
関係法令検査・検査証・変更や廃止の手続き7回
関係法令作業主任者の職務/水道から給水する場合の決まり各5回

同じテーマが繰り返し出るので、テーマごとに理由から理解しておけば、毎回の得点源にできます。講座では、これらのテーマに多めに時間を割いて説明していく方針です。

⚠ 注意

出題の順番やテーマは、これまでの7回の傾向です。次の試験で必ず同じになるとは限らないので、ほかのテーマも講座で一通り押さえておいてください。

ゼロパスの講座と過去問の使い方

ゼロパスでは、知識ゼロから全21回の講座を順番に公開していく予定です。講座の内容は、公表試験問題の選択肢すべての知識を、どこかの回で教えるように組み立てています。照らし合わせたのは、平成31年4月公表〜令和8年10月公表の15回分です。令和元年10月公表の回は、公式の資料が残っておらず入手できませんでした。国が定めた試験の範囲(ボイラー技士免許規程)とも突き合わせています。

科目講座の回主な内容
ボイラーの構造第1〜8回熱と蒸気/ボイラーの種類/附属品/自動制御
ボイラーの取扱い第9〜13回点火と運転/異常時の対応/停止と保存/水の管理
燃料及び燃焼第14〜17回燃料の性質/燃焼の基礎/燃焼装置/大気汚染
関係法令第18〜21回区分と作業主任者/検査と届出/設置場所と管理/附属品の規格

講座を読み終えたら、公表試験問題の解説で力試しをしましょう。使うのは、安全衛生技術試験協会の公表試験問題7回分(280問)です。令和5年10月公表〜令和8年10月公表の問題を、科目ごとに1問ずつ解説していきます。

よくある質問

Q. 一級と二級は、どちらから受けるのですか。

A. まず二級です。一級を受けるには、二級の免許を持っていることなどの受験資格が必要になります。二級に受験資格はないので、誰でも二級から始められるというわけです。

Q. 文系で、機械の知識がまったくありません。大丈夫ですか。

A. 大丈夫です。必要な計算は中学校の算数の範囲が中心です。ゼロパスの講座は、用語の意味から1つずつ説明していくので、順番に読めば理解できるように作っています。

Q. ほかにも一緒に取るとよい資格はありますか。

A. ビルの設備管理の仕事では、よく一緒に求められる4つの資格があります。第二種電気工事士・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者・危険物取扱者乙種第4類で、「ビルメン4点セット」と呼ばれるものです。ゼロパスでは、第二種電気工事士・冷凍三種・危険物乙4も知識ゼロからの講座で学べるようにしています。

Q. 独学でも合格できますか。

A. 独学で合格する人も多い試験です。出題テーマが毎回ほぼ決まっているので、講座で理由を理解してから、公表問題を繰り返し解くやり方が合っています。ただし免許をもらうにはボイラー実技講習などが別に必要なので、その日程は早めに確認しておきましょう。

Q. 試験に落ちたら、すぐに受け直せますか。

A. はい。受験回数の制限はなく、次の日程に申し込めます。試験は毎月のように行われているので、間をあけずに再挑戦しやすい試験です。

まとめ

・受験資格なし・4科目×10問・五肢択一・3時間

・合格=各科目4問以上かつ合計24問以上。1科目でも3問以下なら不合格

・令和6年度の合格率は53.8%

・免許には合格+ボイラー実技講習(20時間)などが必要

・勉強は構造→取扱い→燃料と燃焼→法令の順