第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 下期・午前(2023年10月29日実施)の問11〜20です。

ここからは材料・工具・電気機器・工事のやり方の分野に入ります。計算はほとんど出てきませんが、そのかわり見たことも聞いたこともない部品や工具の名前が並びます。「MIケーブル」「パイプベンダ」「スターデルタ始動」——名前だけ丸暗記しても、すぐに忘れてしまいやすいものです。この記事ではそれが何をするための物なのか、なぜその名前なのかを、道具を1つも見たことがない人でも頭に絵が浮かぶように書きました。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度下期第二種電気工事士試験(午前)

問11

分野:材料(ボックス類)重要度 ★★☆

プルボックスの主な使用目的は。

イ.多数の金属管が集合する場所等で,電線の引き入れを容易にするために用いる。
ロ.多数の開閉器類を集合して設置するために用いる。
ハ.埋込みの金属管工事で,スイッチやコンセントを取り付けるために用いる。
ニ.天井に比較的重い照明器具を取り付けるために用いる。
答え・解説を見る
正解

イ.多数の金属管が集合する場所等で,電線の引き入れを容易にするために用いる。
この問題は何を聞いているの?

「プルボックスという箱は、何のために取り付けるものですか」と聞いている問題です。選択肢はどれも「〇〇のために用いる」という形で、4つとも実在する部品の使い道が書かれています。つまり、プルボックスの役目を知っていれば一瞬で解け、知らなければ4つとももっともらしく見えてしまうでしょう。まず、選択肢に出てくる言葉から説明していきます。

用語金属管(きんぞくかん)とは?

電線を中に通して守るための、鉄でできたパイプのことです。見た目は水道管に似た灰色〜銀色の管で、ビルや工場など電線がむき出しだと傷つきやすい場所の壁や天井に取り付けます。この管を使う工事を金属管工事といいます。

なぜ?なぜ電線をわざわざ管の中に通すのか?

電線をそのまま壁に留めると、物がぶつかったり、ネズミにかじられたりして外側の皮(絶縁物=電気を通さない材料)が破れることがあります。破れた所に人が触れると感電のおそれがあるのです。硬い金属の管に入れておけば、その心配がぐっと減ります。

用語「電線の引き入れ」とは?

先に取り付けておいた空っぽの管の中へ、あとから電線を引っぱり込む作業のことです。「通線(つうせん)」とも呼ばれます。「容易にする」は「かんたんにする」という意味です。

なぜ?なぜ管を先に付けて、電線はあとから入れるのか?

管を取り付けるときには、管を切ったり曲げたりします。中に電線が入っていたら、その作業で電線を傷つけてしまいます。だから管の道を先に完成させ、最後に電線を引き入れる順番になっているのです。

なぜ?なぜ管がたくさん集まる所では引き入れが大変になるのか?

管が長く、曲がりが多いほど、電線と管の内側がこすれて引っぱっても動かなくなるからです。何本もの管が1か所に集まると、どの電線がどの管から来たのかも分かりにくくなります。そこで集まる場所に大きな箱を置き、「ここまで引く」「ここから次の管へ引く」と区切ってやると、1回に引っぱる距離が短くなり、作業が楽になります。

答えの「プルボックス」とは何か

用語プルボックスとは?

金属管がたくさん集まる所に取り付ける、大きめの箱です。側面に何本もの管をつなぎ込み、箱の中で電線を引き出したり、次の管へ入れ直したりします。ふたが付いていて、あとから開けて中を確認できます。

なぜ?なぜ「プル」ボックスという名前なのか?

英語の pull(プル)=引っぱる から来ています。電線を引っぱるための箱だから、そのままプルボックスです。名前の意味が分かれば、「引き入れを容易にする」=引っぱるための箱、と一直線につながります。

つまり正解は、そのままプルボックスの説明になっているイです。

他の3つは何の説明なのか

ロ・ハ・ニも、別の部品の使い道としては正しい文章です。どの部品の説明なのかを知っておくと、ほかの年度で同じ部品が問われたときにも役に立ちます。

用語ロ「多数の開閉器類を集合して設置する」=分電盤など

開閉器(かいへいき)とは、電気の通り道を開けたり閉じたりするスイッチの仲間です。家の分電盤に並んでいるブレーカー(電気を自動で止める装置)も開閉器の一種です。たくさんの開閉器をまとめて収める箱は分電盤や開閉器箱で、プルボックスではありません。

なぜ?なぜ開閉器をまとめる箱はプルボックスと呼ばないのか?

目的が違うからです。分電盤は電気を部屋ごとに分け、事故のときに止めるための箱です。電線は集まってきますが、それはブレーカーにつなぐためであって、引き入れを楽にするためではありません。

用語ハ「スイッチやコンセントを取り付ける」=スイッチボックス

壁の中に埋め込み、スイッチやコンセントを取り付けるための小さな箱がスイッチボックスです。金属管工事の場合は、管の先にこの箱をつないで、箱の中で器具に電線をつなぎます。

なぜ?なぜスイッチボックスでは引き入れを楽にする役目にならないのか?

スイッチ1〜2個が収まるだけの小ささだからです。多数の管が集まる場所で電線をさばけるほどの広さはありません。あくまで器具を取り付けるための箱です。

用語ニ「天井に比較的重い照明器具を取り付ける」=フィクスチュアスタッドなど

重い照明器具を天井から吊るときは、天井のボックスの中にフィクスチュアスタッドと呼ばれる金具を付け、そこで重さを受けます。fixture(フィクスチュア)=照明器具という英語から来た名前です。

なぜ?なぜ重い照明には専用の金具が要るのか?

重い照明を電線やボックスのふただけで吊ると、抜け落ちて危険だからです。電線を引き入れる話とは関係がないので、プルボックスの目的にはなりません。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 「プル(pull)=引っぱる」という名前の意味を思い出す。

ステップ2 選択肢の中から「電線を引っぱる・引き入れる」に関係する文を探す。それが書いてあるのはイだけ。

ステップ3 残りを確かめる。ロは開閉器をまとめる箱(分電盤など)、ハはスイッチボックス、ニは照明を吊る金具の説明。どれも引き入れとは関係がない。

ステップ4 よって答えはイ。

覚えるこの問題の覚え方

プル=引っぱる、プルボックス=電線を引っぱるための箱。「多数の金属管が集合」「引き入れを容易に」という言葉が出たら、プルボックスと結びつけましょう。あわせて開閉器をまとめる=分電盤、器具を付ける=スイッチボックス、重い照明を吊る=フィクスチュアスタッドも覚えておきましょう。名前と仕事をセットにしておくと、聞き方が逆になっても対応できます。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

ロ.多数の開閉器類を集合して設置する … 「多数の〇〇を集合」という言い回しがイとそっくりなので、言葉の形だけで選んでしまうことがあります。集めているのが管(電線の通り道)なのか、開閉器(スイッチ類)なのかを見分けましょう。開閉器を集めるのは分電盤です。

ハ.スイッチやコンセントを取り付ける … 「金属管工事」という言葉が入っているので、金属管つながりで選んでしまうパターンです。これはスイッチボックスの説明です。

ニ.重い照明器具を取り付ける … 「ボックス=天井に付いている箱」という連想から選ぶ人がいます。重い照明を支えるのはフィクスチュアスタッドなどの金具の仕事です。

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問12

分野:材料(電線・ケーブル)重要度 ★★★

耐熱性が最も優れているものは。

イ.600V 二種ビニル絶縁電線
ロ.600V ビニル絶縁電線
ハ.MI ケーブル
ニ.600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル
答え・解説を見る
正解

ハ.MI ケーブル
この問題は何を聞いているの?

「4種類の電線のうち、いちばん熱に強いのはどれですか」と聞いている問題です。「耐熱性(たいねつせい)」とは熱に耐える力のこと。電線の熱への強さは、主に芯を包んでいる材料(絶縁物)が何でできているかで決まります。まず、言葉を1つずつ見ていきましょう。

用語絶縁物(ぜつえんぶつ)とは?

電気を通さない材料のことです。電線は「電気を通す銅の芯」を「電気を通さない材料」で包んで作られていて、その包んでいる部分が絶縁物です。ビニル(プラスチックの一種)がよく使われます。

なぜ?なぜ絶縁物の熱への強さが電線の耐熱性になるのか?

電線に電流が流れると、電線そのものが熱を持ちます。銅の芯は熱くなっても平気ですが、ビニルは熱くなりすぎると柔らかくなり、やがて劣化してひび割れてしまうのです。割れれば中の銅がむき出しになり、感電や火災につながります。だから電線がどこまで熱に耐えられるかは、絶縁物で決まるのです。

用語名前の頭の「600V」とは?

この電線を使ってよい電圧の上限が600V(ボルト)という意味です。家庭の100Vや200Vより高い値なので、住宅では問題なく使えます。

なぜ?なぜ「600V」はこの問題の答えに関係しないのか?

600Vは電圧への強さの目安で、熱への強さとは別の話だからです。しかもイ・ロ・ニの3つはどれも600Vなので、ここでは差がつきません。

4つの電線を1つずつ見ていく

用語ロ.600Vビニル絶縁電線(IV)とは?

銅の芯をビニルで1枚包んだだけの、もっとも基本的な電線です。記号はIV(アイブイ)。絶縁物が一般的なビニルなので、最高許容温度(傷まずに使い続けられる温度の上限)は60℃です。

なぜ?なぜ一般的なビニルは熱に弱いのか?

ビニルは、柔らかくするために可塑剤(かそざい)という油のような成分を混ぜて作られています。熱でこの成分が少しずつ抜けると、ビニルは硬くなってひび割れます。そのため使える温度が低めに決められているのです。

用語イ.600V二種ビニル絶縁電線(HIV)とは?

ビニルの中でも、熱に強くなるよう改良したビニル(二種ビニル)を絶縁物に使った電線です。記号はHIV。HはHeat-resistant(ヒート・レジスタント=耐熱)の頭文字です。最高許容温度は75℃です。

なぜ?なぜHIVでもいちばんにはならないのか?

HIVはあくまで「ビニルの中では熱に強い」という電線だからです。材料がビニルである以上、ビニルとはまったく違う材料を使ったMIケーブルにはかないません。

用語ニ.600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVF・VVR)とは?

絶縁物もその外側のカバー(シース)も、両方ビニルのケーブルです。シース(sheath=さや)とは、絶縁物の外側をさらに包む保護用の皮のこと。住宅の配線で最もよく使われる種類で、最高許容温度は60℃です。

なぜ?なぜビニルが2重になっても熱に強くならないのか?

熱への強さを決めるのは芯をじかに包んでいる絶縁物で、それが一般的なビニルだからです。外側のシースはキズや水から守るための皮で、耐熱温度を上げる役目ではありません。

用語ハ.MIケーブルとは?

銅の芯のまわりを、無機物(むきぶつ)の粉で固め、さらに銅の管で包んだケーブルです。MIは Mineral Insulated(ミネラル・インシュレーテッド)=鉱物で絶縁したの頭文字。絶縁物に使われているのは酸化マグネシウムという白い粉です。

なぜ?なぜMIケーブルは熱にとても強いのか?

絶縁物がビニルのようなプラスチックではなく、鉱物(石や土の仲間)の粉だからです。プラスチックは熱で溶けたり燃えたりしますが、鉱物の粉は燃えず、高い温度でも溶けません。外側も金属の銅管なので、ケーブル全体が熱に強い作りになっています。このため、高温になる場所など、熱への強さが求められる所で使われます。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 4つの名前から、絶縁物の材料を読み取る。イ=二種ビニル、ロ=ビニル、ハ=無機物(酸化マグネシウム)、ニ=ビニル。

ステップ2 ビニルの仲間(イ・ロ・ニ)は、60℃〜75℃が上限。ビニルはプラスチックなので、熱で柔らかくなる。

ステップ3 ハのMIケーブルだけが、燃えない鉱物の粉で絶縁している。

ステップ4 よって最も耐熱性が優れているのはハ(MIケーブル)。

覚えるこの問題の覚え方

MI=ミネラル(鉱物)で絶縁。石の仲間は燃えない、だから耐熱性ナンバーワン、と名前の意味ごと覚えましょう。ビニルの仲間は無印のビニル=60℃、H(耐熱)付き=75℃。「耐熱性が最も優れている」と聞かれて選択肢にMIケーブルがあれば、それが答えです。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

イ.600V二種ビニル絶縁電線(HIV) … 特に選ばれやすい間違いです。「二種」「耐熱ビニル」を知っている人ほど、耐熱と付いているからこれが一番と考えてしまいます。HIVの75℃はビニルの中での最強にすぎず、材料がまったく違うMIケーブルには届きません。

ニ.600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル … ビニルが2回出てきて2重に守られていて強そうに見えます。しかし絶縁物は一般的なビニルなので、60℃です。

ロ.600Vビニル絶縁電線(IV) … いちばんよく見る名前なので選んでしまう人がいます。IVはもっとも基本的な電線で、熱への強さも基本的な60℃です。

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問13

分野:工具重要度 ★★★

ねじなし電線管の曲げ加工に使用する工具は。

イ.トーチランプ
ロ.ディスクグラインダ
ハ.パイプレンチ
ニ.パイプベンダ
答え・解説を見る
正解

ニ.パイプベンダ
この問題は何を聞いているの?

「ねじなし電線管という金属の管を曲げるときに使う工具はどれですか」と聞いている問題です。選択肢はどれも管を扱う工事で実際に使う工具なので、それぞれが何をするための道具かを知っているかが勝負になります。

用語電線管(でんせんかん)とは?

電線を中に通して守るための管の総称です。金属でできた金属管と、プラスチックでできた合成樹脂管があります。

なぜ?なぜ電線管を曲げる必要があるのか?

建物の壁や天井は、角があったり、柱やはりをよけたりしなければなりません。電線管はまっすぐな状態で売られているので、建物の形に合わせて曲げながら取り付けていくのです。

用語ねじなし電線管とは?

金属管の一種で、管の端にねじを切らずに使う、薄い鋼(はがね)の管です。記号はEで、配線図では「E19」のように書かれます。管どうしや箱とは、ねじを締め付けて管を押さえる専用の部品でつなぎます。

なぜ?なぜ「ねじなし」という名前なのか?

金属管には、管の端に「ねじ山」を刻んで、ねじ込んでつなぐ種類もあります(厚鋼電線管・薄鋼電線管)。それに対してねじ山を刻まずにつなげるのがねじなし電線管です。ねじを切る手間がかからないので、工事が早く済みます。

答えの「パイプベンダ」とは何か

用語パイプベンダとは?

金属の管を、つぶさずにきれいに曲げるための手動の工具です。管を工具の溝にはめ、長い柄をてこのように押して、少しずつ円を描くように曲げます。英語の pipe(パイプ=管)+bender(ベンダ=曲げるもの)で、名前がそのまま「管を曲げる道具」です。

なぜ?なぜ専用の工具で曲げなければならないのか?

金属管を手や膝で無理に曲げると、曲げた所がつぶれて、管の中が狭くなってしまいます。中が狭いと電線が通りにくくなり、通すときに電線を傷つけるおそれもあるでしょう。パイプベンダは溝で管の外側を支えながら曲げるので、管の丸い形を保ったまま曲げられます。

他の3つは何に使う工具なのか

用語イ.トーチランプとは?

ガスを燃やして炎を出す工具です。電気工事では、硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管=硬いプラスチックの管)を温めて柔らかくし、曲げるときに使います。

なぜ?なぜトーチランプは金属管の曲げに使わないのか?

トーチランプはプラスチックを熱で柔らかくするための道具だからです。プラスチックの管は温めると柔らかくなりますが、鋼の管はトーチランプで温めても手で曲げられるほど柔らかくはなりません。金属管は熱ではなく力で曲げるのです。

用語ロ.ディスクグラインダとは?

円盤(ディスク)を電動で高速回転させて、金属を切ったり削ったりする工具です。電気工事では、金属管を切断するときなどに使います。

なぜ?なぜディスクグラインダは曲げ加工の工具ではないのか?

回転する円盤で「切る・削る」のが仕事で、管の形を曲げる仕組みを持っていないからです。

用語ハ.パイプレンチとは?

管をしっかりつかんで回すための工具です。あごの部分に細かいギザギザがあり、丸い管でも滑らずにつかめます。ねじを切った金属管をねじ込んでつなぐときなどに使います。

なぜ?なぜパイプレンチでは管を曲げられないのか?

つかんで「回す」ための道具で、管を曲げる溝やてこの仕組みがないからです。「パイプ」と名前に付いていても、仕事はまったく違います。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 問題文から「金属の管(ねじなし電線管)」を「曲げる」工具だと読み取る。

ステップ2 選択肢の仕事を並べる。トーチランプ=プラスチック管を温める、ディスクグラインダ=切る・削る、パイプレンチ=つかんで回す、パイプベンダ=曲げる。

ステップ3 金属管を曲げるのはパイプベンダ。よって答えはニ。

覚えるこの問題の覚え方

ベンダ(bender)=曲げるもの。「金属管を曲げる=パイプベンダ、プラスチック管を曲げる=トーチランプで温める」と、管の材料で道具が変わることをセットで覚えましょう。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

イ.トーチランプ … 特に選ばれやすい間違いです。「管を曲げるときに使う道具」として覚えていて、管の材料を確かめずに選んでしまいます。トーチランプで曲げるのは硬質ポリ塩化ビニル電線管(プラスチックの管)です。

ハ.パイプレンチ … 「パイプ」と付いているのでパイプベンダと混同してしまうパターンです。パイプレンチはつかんで回す道具です。

ロ.ディスクグラインダ … 金属管の工事で使う道具なので、なんとなく選んでしまう人がいます。役目は切断や研磨(削ること)です。

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問14

分野:電気機器(電動機)重要度 ★★☆

必要に応じ,スターデルタ始動を行う電動機は。

イ.一般用三相かご形誘導電動機
ロ.三相巻線形誘導電動機
ハ.直流分巻電動機
ニ.単相誘導電動機
答え・解説を見る
正解

イ.一般用三相かご形誘導電動機
この問題は何を聞いているの?

「スターデルタ始動という動かし始め方をするのは、どの種類のモーターですか」と聞いている問題です。言葉が難しく見えますが、ポイントは2つだけ。スターデルタ始動とは何かと、それができるのはどんなモーターかです。

用語電動機(でんどうき)とは?

電気の力で軸を回す機械、つまりモーターのことです。工場のポンプや換気扇、エレベーターなど、回るものの多くに使われています。

なぜ?なぜモーターは「動かし始め」が問題になるのか?

止まっているモーターに電気を入れた瞬間は、ふだん回っているときの何倍もの大きな電流が流れます。これが始動電流(しどうでんりゅう)と呼ばれるもの。大きな電流が一気に流れると、同じ電源につながる照明が一瞬暗くなったり、ブレーカーが落ちたりすることがあります。そこで大きなモーターでは、動かし始めの電流を小さくする工夫が必要になるのです。

用語三相(さんそう)とは?

3本の電線を使って、タイミングを少しずつずらした3つの電気を送る方式です。工場やビルの大きなモーターで使われます。家庭のコンセントは単相(たんそう)という、2本の電線で送る方式です。

なぜ?なぜ三相がモーターに向いているのか?

タイミングのずれた3つの電気を、モーターの中の3組のコイル(電線を巻いたもの)に順番に流すと、回転する磁石の力(回転磁界)が自然に生まれます。この力に引っぱられて軸が回るので、三相のモーターはしくみが簡単で力強く回ります。

スターデルタ始動とは何か

用語スターデルタ始動とは?

モーターの中の3組のコイルのつなぎ方を、動かし始めは「スター(Y)結線」、回転が上がったら「デルタ(Δ)結線」に切り替える始動方法です。スター結線は、3組のコイルの片端を1点にまとめたYの字形のつなぎ方。デルタ結線は、3組のコイルを三角形(Δ)につなぐ方法です。

なぜ?なぜつなぎ方を変えると始動電流が小さくなるのか?

スター結線にすると、1組のコイルにかかる電圧が、デルタ結線のときの√3分の1(約0.58倍)に下がります。電圧が下がるので流れる電流も減り、結果として電源から流れ込む始動電流はデルタ結線で直接始動したときの3分の1になります。例えば、そのまま始動すると120Aの電流が流れるモーターなら、スターデルタ始動では120÷3=40Aほどに抑えられる計算です。ただし、回す力(トルク)も3分の1になるので、回転が上がってからデルタ結線に戻して本来の力を出します。

この切り替えには、モーターの3組のコイルの両端、合わせて6本の線を外に出しておく必要があります。この条件にぴったり合うのが、次に説明する三相かご形誘導電動機です。

4つの電動機を1つずつ見ていく

用語イ.三相かご形誘導電動機とは?

三相の電気で回る、もっとも広く使われているモーターです。回る部分(回転子)に、鳥かごのような形に組んだ金属の棒が入っているので「かご形」と呼ばれます。「誘導」とは、回転する磁石の力に誘われて回転子に電流が生まれ、それで回るしくみのことです。

なぜ?なぜかご形にはスターデルタ始動が使われるのか?

かご形はしくみが簡単で丈夫な反面、そのまま始動すると始動電流が大きくなりやすいからです。回転子は鳥かご形の棒だけで、外から手を加える仕組みがないので、電源側(コイルのつなぎ方)で電流を抑えるスターデルタ始動がよく使われます。問題文の「必要に応じ」とは、小さなモーターなら直接始動でもよいが、大きなものは必要に応じてスターデルタ始動にするという意味です。

用語ロ.三相巻線形誘導電動機とは?

回転子に、鳥かご形の棒ではなくコイル(巻線)を巻いた三相モーターです。回転子のコイルを外に引き出して、外側に抵抗器(電気を流れにくくする部品)をつなげるようになっています。

なぜ?なぜ巻線形ではスターデルタ始動を使わないのか?

巻線形は、回転子につないだ抵抗器で始動電流を抑える方法(二次抵抗始動)が使えるからです。始動の工夫を回転子の側でできる作りなので、スターデルタ始動を使う代表としては出てきません。

用語ハ.直流分巻電動機とは?

乾電池と同じ「直流」の電気で回るモーターの一種です。「分巻(ぶんまき)」は、磁石の役目をするコイルのつなぎ方の名前です。

なぜ?なぜ直流のモーターにスターデルタ始動は使えないのか?

スターデルタ始動は、三相の3組のコイルのつなぎ方を変える方法だからです。直流のモーターには三相の3組のコイルがないので、スター結線もデルタ結線もできません。

用語ニ.単相誘導電動機とは?

家庭のコンセントと同じ単相(2本の電線)の電気で回るモーターです。扇風機や洗濯機など、家庭の機械に使われています。

なぜ?なぜ単相のモーターにスターデルタ始動は使えないのか?

単相の電気は2本の線で送られるので、3組のコイルをYやΔにつなぐという考え方がそもそもないからです。スターデルタ始動は三相専用の方法です。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 スターデルタ始動は、三相の3組のコイルのつなぎ方を切り替える方法だと思い出す。

ステップ2 三相でないハ(直流)とニ(単相)を消す。

ステップ3 残ったイ(かご形)とロ(巻線形)のうち、巻線形は回転子につないだ抵抗器で始動電流を抑えられる。

ステップ4 回転子に手を加えられないかご形で、電源側の工夫として使うのがスターデルタ始動。よって答えはイ。

覚えるこの問題の覚え方

スターデルタ=三相の3組のコイルを、Y(星)→Δ(三角)につなぎ替える。だから三相でなければ使えない。そして巻線形には抵抗器、かご形にはスターデルタ。「始動電流は3分の1」もあわせて覚えておくと、ほかの年度の問題でも役に立ちます。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

ロ.三相巻線形誘導電動機 … 特に選ばれやすい間違いです。「三相」で「誘導電動機」なので、イと見分けがつきにくいのです。巻線形は回転子側の抵抗器で始動電流を抑えるモーター、と区別しましょう。

ニ.単相誘導電動機 … 「誘導電動機」という言葉だけで選んでしまうパターンです。スターデルタ始動は三相専用なので、単相では使えません。

ハ.直流分巻電動機 … 「分巻」という言葉を「コイルを分けて巻く=つなぎ替えられる」と思い込む人がいます。直流には三相の3組のコイルがないので、スターデルタ始動はできません。

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問15

分野:電気機器(配線用遮断器)重要度 ★★★

低圧電路に使用する定格電流30 Aの配線用遮断器に37.5 Aの電流が継続して流れたとき,この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間[分]の限度(最大の時間)は。

イ.2
ロ.4
ハ.60
ニ.120
答え・解説を見る
正解

ハ.60
この問題は何を聞いているの?

「30A用のブレーカーに37.5Aの電流が流れ続けたら、何分以内に電気を止めなければならない決まりですか」と聞いている問題です。答えは「電気設備の技術基準の解釈」という決まりで数字が定められています。計算は割り算1回だけです。

用語低圧電路(ていあつでんろ)とは?

電圧が低い区分の電気の通り道のことです。法令では、交流なら600V以下が低圧と決められています。家庭の100V・200Vの配線は、すべて低圧電路です。

なぜ?なぜ「低圧」とわざわざ書いてあるのか?

電圧の区分によって、使う機器や守るべき決まりが変わるからです。この問題の時間の決まりは、低圧電路に使う配線用遮断器についてのものです。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

電線に電流が流れすぎたとき、自動で電気を止める装置です。家の分電盤に並んでいるブレーカーがこれにあたります。

なぜ?なぜ電流が流れすぎたら止めなければならないのか?

電線は、流れる電流が大きいほど熱くなります。決められた量より多い電流が流れ続けると、電線を包むビニルが傷み、最悪の場合は火災になります。そうなる前に電気を止めるのが配線用遮断器の役目です。

用語定格電流(ていかくでんりゅう)とは?

その機器がふだん流してよい電流の大きさのことです。「定格電流30Aの配線用遮断器」なら、30Aまでは流し続けても動作しない(電気を止めない)ように作られています。

なぜ?なぜ定格電流を少し超えただけでは、すぐに止めないのか?

電気を使っていると、機械が動き始める瞬間などに、短い時間だけ電流が増えることがあるからです。少し超えるたびに止まっていては使いものになりません。そこで「少しの超過なら長めに待つ、大きな超過ならすぐ止める」という決まりになっています。

決まりの表を読む

「電気設備の技術基準の解釈」には、配線用遮断器の動作時間の決まりがあります。定格電流の1.25倍と2倍の電流が流れたとき、それぞれ何分以内に自動で動作すればよいかが定められているのです。

例配線用遮断器が動作しなければならない時間(電気設備の技術基準の解釈 第33条)

定格電流30A以下 … 1.25倍で60分以内/2倍で2分以内

定格電流30Aを超え50A以下 … 1.25倍で60分以内/2倍で4分以内

定格電流50Aを超え100A以下 … 1.25倍で120分以内/2倍で6分以内

なぜ?なぜ2倍のほうが時間が短いのか?

電流が大きいほど、電線が熱くなるのが早いからです。1.25倍なら電線の温度はゆっくり上がるので、しばらく様子を見てもすぐには危険になりません。2倍も流れると一気に熱くなるので、数分以内に止める決まりになっているのです。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 流れた電流が定格電流の何倍かを求める。37.5A ÷ 30A = 1.25。つまり定格電流の1.25倍。

ステップ2 表の中から「定格電流30A以下」の行を選ぶ(30Aは「30A以下」に入る)。

ステップ3 その行の1.25倍の欄を見ると60分。

ステップ4 よって答えはハ(60)。

コツ割り算をラクにするコツ

37.5÷30が難しく感じたら、30の1.25倍を先に計算してみましょう。30の1倍は30、30の0.25倍(4分の1)は7.5。30+7.5=37.5で、問題の数字とぴったり合います。この問題は「1.25倍か2倍か」を見抜けば、あとは表を読むだけです。

覚えるこの問題の覚え方

配線用遮断器の時間は、1.25倍のときは「60分」が基本(50Aを超えると120分)。2倍のときは「2分・4分・6分」と2ずつ増えます。小さな超過は1時間待つ、大きな超過は数分で止める、と理由とセットで覚えましょう。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

イ.2 … 特に選ばれやすい間違いです。表の「30A以下」の行は合っていても、2倍の欄(2分)を読んでしまうと2になります。37.5Aは30Aの1.25倍であって2倍ではありません。2倍なら60Aです。

ロ.4 … 「30Aを超え50A以下」の行の2倍の欄を読むと4分になります。定格電流30Aは「30A以下」の行に入るので、行も欄も違います。

ニ.120 … 「50Aを超え100A以下」の行の1.25倍の欄を読むと120分になります。1.25倍の欄は合っていますが、行が違います。

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問16

分野:材料の写真鑑別重要度 ★★☆

写真に示す材料の名称は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午前 問16 の材料の写真(銅線用裸圧着端子)
イ.銅線用裸圧着スリーブ
ロ.銅管端子
ハ.銅線用裸圧着端子
ニ.ねじ込み形コネクタ
答え・解説を見る
正解

ハ.銅線用裸圧着端子
この問題は何を聞いているの?

「写真の、先に丸い穴があいた銀色の金具の名前はどれですか」と聞いている問題です。写真をよく見ると、上は穴のあいた平たい板、下は筒の形になっています。この2つの部分が何のためにあるのかが分かれば、名前も自然に選べます。

用語端子(たんし)とは?

電線の先に取り付けて、機械やブレーカーのねじに留めやすくするための金具のことです。電線の先を直接ねじに巻き付けるかわりに、端子を付けて穴にねじを通して締めるようにします。

なぜ?なぜ電線の先に端子を付けるのか?

電線の先をそのままねじに巻き付けると、締め付けがゆるんだり、細い線がばらけたりしやすくなります。つなぎ目がゆるむと、そこで熱が出て、焦げや火災の原因にもなりかねません。端子を付けておけば、平らな板をねじでしっかり押さえられるので、確実につなげます。

用語圧着(あっちゃく)とは?

金具を専用の工具(圧着工具)で強い力で押しつぶして、電線と一体にするつなぎ方です。はんだ(溶かした金属)を使わず、力だけでしっかり固定します。

なぜ?なぜ押しつぶすだけでしっかりつながるのか?

筒の中に電線を入れて外からぎゅっとつぶすと、筒と電線がすき間なく密着し、引っぱっても抜けなくなります。金属どうしが広い面で触れ合うので、電気もよく流れます。

用語「裸(はだか)」とは?

金具の表面が、ビニルなどのカバーで覆われていないという意味です。写真の金具も、銀色の金属がそのまま見えています。

なぜ?なぜ「裸」とわざわざ名前に付けるのか?

同じ形の金具に、筒の部分にビニルのカバーが付いた種類(絶縁被覆付き)もあるからです。カバーのないものを区別するために「裸」と付けて呼んでいます。

写真の金具を読み解く

写真の金具は、下の筒に電線を入れて圧着し、上の丸い穴にねじを通して機械などに留めて使います。電線の「端」に付ける「子(部品)」で端子、それを圧着で付けるので圧着端子です。表面にカバーがないので「裸」、銅の電線に使うので「銅線用」が付きます。

用語ハ.銅線用裸圧着端子とは?

銅の電線の先に圧着して付ける、カバーのない端子です。先が丸い輪になっている形は丸形(R形)と呼ばれます。

なぜ?なぜ先が丸い輪の形をしているのか?

ねじを通して締めたとき、どの向きに引っぱられても抜けにくいからです。分電盤のブレーカーや機械の端子台など、しっかり固定したい所でよく使われます。

他の3つはどんな材料なのか

用語イ.銅線用裸圧着スリーブとは?

電線どうしをつなぐための、金属の筒です。スリーブ(sleeve)は「袖(そで)」の意味で、筒の形をしています。リングスリーブと呼ばれる小さな輪の形のものなどがあり、何本かの電線をまとめて入れて圧着します。

なぜ?なぜスリーブには丸い穴の板が付いていないのか?

スリーブは電線と電線をつなぐためのもので、ねじに留める必要がないからです。写真の金具はねじを通す穴の板が付いているので、スリーブではなく端子です。

用語ロ.銅管端子とは?

銅の管を加工して作った、太い電線用の端子です。役目は圧着端子と同じく電線の先をねじに留めることで、主に太いケーブルに使われます。

なぜ?なぜ写真の金具は銅管端子ではないのか?

銅管端子は太いケーブル用なので、電線を受ける筒の部分が太く作られています。写真の金具は筒が短く細めで、細い銅線に圧着して使う「銅線用裸圧着端子」の形です。

用語ニ.ねじ込み形コネクタとは?

電線どうしをつなぐための、帽子のような形の部品です。外側はプラスチックで、中にらせん状の金属が入っています。束ねた電線の先にかぶせて、ねじるように回して締め付けます。

なぜ?なぜ写真の金具はねじ込み形コネクタではないのか?

ねじ込み形コネクタは外側がプラスチックの帽子形で、写真のようなむき出しの金属の板と筒ではないからです。役目も電線どうしをつなぐことで、ねじに留める端子とは違います。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 写真の形を見る。上に丸い穴のあいた板、下に電線を入れる筒がある。

ステップ2 丸い穴はねじを通して機械などに留めるためのもの。ねじに留める金具は端子。

ステップ3 電線どうしをつなぐスリーブ(イ)とねじ込み形コネクタ(ニ)を消す。

ステップ4 表面にカバーのない薄い金具なので銅線用裸圧着端子(ハ)が答え。

覚えるこの問題の覚え方

穴のあいた板があれば「端子」(ねじに留める)、筒だけなら「スリーブ」(電線どうしをつなぐ)。名前の「端子=電線の端に付ける部品」という意味を手がかりにすると、写真を見たときに迷いにくくなります。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

イ.銅線用裸圧着スリーブ … 特に選ばれやすい間違いです。「銅線用」「裸」「圧着」まで正解とまったく同じなので、最後の「スリーブ」と「端子」の違いを見落としてしまいます。ねじを通す板があるかどうかで見分けましょう。

ロ.銅管端子 … 同じ「端子」なので迷いやすい選択肢です。銅管端子は太いケーブル用の、厚みのある銅管から作った端子です。

ニ.ねじ込み形コネクタ … 「ねじ」という言葉から、ねじで留める金具だと連想して選ぶ人がいます。これは帽子形のプラスチック部品で、電線どうしをねじってつなぎます。

【第二種電気工事士】写真鑑別のコツ|材料・器具・工具を実物写真で見分ける【令和8年度】👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】写真鑑別のコツ|材料・器具・工具を実物写真で見分ける【令和8年度】

問17

分野:器具の写真鑑別重要度 ★★☆

写真に示す機器の名称は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午前 問17 の機器の写真(低圧進相コンデンサ)
イ.水銀灯用安定器
ロ.変流器
ハ.ネオン変圧器
ニ.低圧進相コンデンサ
答え・解説を見る
正解

ニ.低圧進相コンデンサ
この問題は何を聞いているの?

「写真の灰色の箱形の機器の名前はどれですか」と聞いている問題です。この写真の最大のヒントは、正面のラベルにあります。大きく「50 μF」、その左に「三相 200V」という文字も見えるでしょう。このμF(マイクロファラド)という単位の意味が分かれば、答えが決まります。

用語コンデンサとは?

電気を一時的にためたり出したりする部品です。2枚の金属の板を、すき間をあけて向かい合わせた作りが基本で、電気をためられる量を静電容量(せいでんようりょう)といいます。

なぜ?なぜラベルの「μF」がコンデンサの目印になるのか?

F(ファラド)は静電容量の単位で、μ(マイクロ)は100万分の1を表します。つまり「50μF」は「電気をためられる量が50μF」という意味で、この単位が大きく書かれた機器はコンデンサだと分かるのです。

用語進相(しんそう)コンデンサとは?

モーターなどと並べてつなぎ、「力率(りきりつ)」を良くするためのコンデンサです。力率とは、送った電気のうち、実際に仕事に使われる割合を指します。「低圧」は、600V以下の低い電圧の電路で使うという意味です。

なぜ?なぜコンデンサをつなぐと力率が良くなるのか?

モーターは、回るために仕事をしない電流(無効電流)も電源から引き込んでいます。この電流は、電線を流れて熱を出すのに、仕事には使われないむだな電流です。コンデンサは、モーターとは逆向きのタイミングの電流を流す性質があり、2つが打ち消し合います。すると電源から流れる電流が減り、同じ仕事をするのに必要な電流が小さくなるのです。これを「力率を改善する」といいます。

写真のラベルの「三相 200V」は、工場などで使う三相200Vのモーター用であることを示しています。容量(μF)と電圧が書かれ、そこから3本の電線が出ている——これが低圧進相コンデンサの典型的な姿です。

他の3つはどんな機器なのか

用語イ.水銀灯用安定器とは?

水銀灯(体育館や街灯などに使われてきた明るいランプ)を、安定して光らせるための機器です。ランプに流れる電流が増えすぎないように抑える役目をします。

なぜ?なぜ写真の機器は安定器ではないのか?

写真のラベルでいちばん大きく書かれているのは、コンデンサの大きさを表す「50μF」です。安定器はランプの電流を抑えるための機器で、選択肢の中でμFが主役になるのはコンデンサだけ。だから安定器ではないと判断できます。

用語ロ.変流器とは?

大きな電流を、測りやすい小さな電流に変える機器です。CT(シーティー)とも呼ばれます。中央に穴のあいたドーナツ形のものが多く、その穴に電線を通して使います。

なぜ?なぜ写真の機器は変流器ではないのか?

変流器は電線を通す穴のある形が多く、写真のような四角い箱から線が出ている形とは違います。何より、ラベルの「50μF」はコンデンサの大きさを表す単位です。

用語ハ.ネオン変圧器とは?

ネオンサイン(ガラス管を光らせる看板)用に、電圧を非常に高く上げる機器です。変圧器とは電圧を上げ下げする機器のことです。

なぜ?なぜ写真の機器はネオン変圧器ではないのか?

ネオン変圧器は電圧を変える機器で、その性能は電圧(V)などで表します。写真の機器のラベルで主役になっているのは静電容量の「50μF」なので、電気をためる部品=コンデンサと判断できます。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 写真のラベルのいちばん大きな文字を見る。「50 μF」。

ステップ2 μF(マイクロファラド)は静電容量の単位。静電容量で大きさを表すのはコンデンサ。

ステップ3 選択肢の中でコンデンサはニ.低圧進相コンデンサだけ。

ステップ4 ラベルの「三相 200V」も、三相200Vのモーターの力率改善用であることと合う。よって答えはニ。

覚えるこの問題の覚え方

「μF(ファラド)」が見えたらコンデンサ。進相コンデンサはモーターの「むだな電流」を打ち消して、力率を良くする部品です。写真問題では、機器に貼られたラベルの単位が大きなヒントになることがあります。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

イ.水銀灯用安定器 … 四角い金属の箱から電線が出ている見た目が似ているため、選ばれやすい間違いです。ラベルのμFを確かめれば区別できます。

ハ.ネオン変圧器 … ラベルの「危険 感電危険」の表示から、高い電圧を出す機器を連想して選ぶ人がいます。注意の表示はいろいろな機器に貼られるので、単位(μF)で判断しましょう。

ロ.変流器 … 名前の響きだけで選ぶパターンです。変流器は電線を通す穴があるドーナツ形が代表的です。

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問18

分野:工具の写真鑑別重要度 ★★★

写真に示す工具の電気工事における用途は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午前 問18 の工具の写真(トーチランプ)
イ.硬質ポリ塩化ビニル電線管の曲げ加工に用いる。
ロ.金属管(鋼製電線管)の曲げ加工に用いる。
ハ.合成樹脂製可とう電線管の曲げ加工に用いる。
ニ.ライティングダクトの曲げ加工に用いる。
答え・解説を見る
正解

イ.硬質ポリ塩化ビニル電線管の曲げ加工に用いる。
この問題は何を聞いているの?

「写真の工具は、電気工事で何に使いますか」と聞いている問題です。写真は、青いガスボンベの上に、炎を出す筒(火口)が付いた工具。これはトーチランプです。選択肢はすべて「〇〇の曲げ加工」なので、炎で温めて曲げる管はどれかを考えます。

用語トーチランプとは?

ボンベのガスを燃やして、筒の先から炎を出す工具です。写真の赤いレバーを押すと火がつき、狙った所だけを温めることができます。

なぜ?なぜ電気工事で炎を出す工具を使うのか?

電線を通す管の中には、温めると柔らかくなるプラスチックの管があるからです。そうした管をトーチランプで温めて柔らかくし、曲げてから冷ますと、曲げた形のまま固まります。

用語イ.硬質ポリ塩化ビニル電線管とは?

硬いプラスチック(ポリ塩化ビニル)でできた、まっすぐな電線管です。VE管(ブイイーかん)とも呼ばれます。ふだんは硬くて手では曲げられません。

なぜ?なぜ硬質ポリ塩化ビニル電線管は温めると曲げられるのか?

ポリ塩化ビニルは熱を加えると柔らかくなり、冷えると再び硬くなる性質を持つプラスチックだからです。トーチランプでまんべんなく温めて柔らかくなった所で曲げ、そのまま冷やすと形が決まります。だからトーチランプの用途として正しいのはイです。

他の3つの管はどうやって曲げるのか

用語ロ.金属管(鋼製電線管)とは?

鋼(はがね)でできた電線管です。丈夫で、電線を物理的な衝撃から守る力が強い管です。

なぜ?なぜ金属管にはトーチランプを使わないのか?

鋼はトーチランプで温めても、手で曲げられるほど柔らかくはならないからです。金属管はパイプベンダという工具を使い、てこの力で曲げます。

用語ハ.合成樹脂製可とう電線管とは?

蛇腹(じゃばら)状の、手で自由に曲げられるプラスチックの管です。PF管(ピーエフかん)とも呼ばれます。「可とう(かとう)」とは曲げられる、しなやかという意味です。

なぜ?なぜ可とう電線管にはトーチランプが要らないのか?

もともと手で曲げられるように作られているからです。温めなくても、そのまま建物の形に合わせて曲げながら取り付けられます。

用語ニ.ライティングダクトとは?

天井などに取り付ける、細長いレール状の配線器具です。レールの溝に電気が通っていて、好きな位置に照明器具を取り付けたり、ずらしたりできます。お店のスポットライトなどで見かけます。

なぜ?なぜライティングダクトはトーチランプの用途にならないのか?

ライティングダクトは中に電気を通す金属を組み込んだ器具で、炎で温めて曲げるような使い方をする物ではないからです。トーチランプの用途として選べるのは、温めると柔らかくなる硬質ポリ塩化ビニル電線管です。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 写真の工具を見分ける。ガスボンベ+炎を出す筒なのでトーチランプ。

ステップ2 トーチランプの仕事は温めること。温めて曲げるのは、熱で柔らかくなるプラスチックの管。

ステップ3 選択肢の管を比べる。金属管=パイプベンダで曲げる、可とう電線管=手で曲がる、ライティングダクト=温めて曲げる物ではない。

ステップ4 残った硬質ポリ塩化ビニル電線管(イ)が答え。

覚えるこの問題の覚え方

硬いプラスチック管は「温めて曲げる」=トーチランプ。金属管は「力で曲げる」=パイプベンダ。可とう電線管は「そのまま手で曲げる」。管の材料ごとに曲げ方が違う、と3つを並べて覚えておくと、写真でも文章でも対応できます。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

ロ.金属管(鋼製電線管)の曲げ加工 … 特に選ばれやすい間違いです。「硬い管を曲げるには熱が要る」と考え、いちばん硬い金属管を選んでしまいます。金属管を曲げるのはパイプベンダです。

ハ.合成樹脂製可とう電線管の曲げ加工 … 「合成樹脂(プラスチック)」という言葉から、プラスチックなら温めて曲げると考えて選ぶパターンです。可とう電線管はもともと手で曲げられる管です。

ニ.ライティングダクトの曲げ加工 … 見慣れない言葉なので、なんとなく選んでしまう人がいます。ライティングダクトは照明を取り付けるレールです。

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問19

分野:施工(電線の接続)重要度 ★★★

600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形1.6 mm を使用した低圧屋内配線工事で,絶縁電線相互の終端接続部分の絶縁処理として,不適切なものは。
ただし,ビニルテープはJIS に定める厚さ約0.2 mm の電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープとする。

イ.リングスリーブ(E形)により接続し,接続部分をビニルテープで半幅以上重ねて3回(6層)巻いた。
ロ.リングスリーブ(E形)により接続し,接続部分を黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープ(厚さ約0.5 mm)で半幅以上重ねて3回(6層)巻いた。
ハ.リングスリーブ(E形)により接続し,接続部分を自己融着性絶縁テープ(厚さ約0.5 mm)で半幅以上重ねて1回(2層)巻いた。
ニ.差込形コネクタにより接続し,接続部分をビニルテープで巻かなかった。
答え・解説を見る
正解

ハ.リングスリーブ(E形)により接続し,接続部分を自己融着性絶縁テープ(厚さ約0.5 mm)で半幅以上重ねて1回(2層)巻いた。
この問題は何を聞いているの?

「電線どうしをつないだ所を、テープで覆うやり方として、決まりに合わないものはどれですか」と聞いている問題です。設問は「不適切なもの」を選ぶ形なので注意しましょう。テープの種類ごとに何回巻けばよいかが決まっていて、それを覚えているかが問われています。

用語600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形(VVF)とは?

住宅の配線で最もよく使われる、平たいケーブルです。ビニルで包んだ電線(心線)が2本か3本並び、その外側をさらにビニルの皮(シース)で包んでいます。「1.6mm」は中の銅線の太さ(直径)です。

なぜ?なぜケーブルの種類が問題文に書いてあるのか?

つないだ所の覆い方の決まりは、使っている電線と同じくらい電気を通さない状態に戻すことが目的だからです。どんな電線を使っているかで、覆うべき厚さの目安が決まります。

用語終端接続(しゅうたんせつぞく)とは?

電線の先どうしを束ねて、同じ方向にそろえてつなぐつなぎ方です。ジョイントボックス(電線をつなぐための箱)の中で、何本かの電線の先をまとめてつなぐときがこれにあたります。

なぜ?なぜつないだ所を覆わなければならないのか?

電線をつなぐには、外側のビニルをはがして銅線を出す必要があります。そのままにしておくと、人が触れて感電したり、ほかの電線に触れてショート(短絡)したりします。だから、はがした分をテープなどで覆って、元の電線と同じくらい電気を通さない状態に戻すのです。この作業を絶縁処理といいます。

用語リングスリーブ(E形)とは?

電線どうしをつなぐための、小さな金属の輪(筒)です。束ねた電線の先を通し、専用の圧着ペンチで押しつぶして固定します。つないだあとは銅がむき出しになるので、テープで覆う必要があります。

なぜ?なぜ差込形コネクタならテープが要らないのか?

差込形コネクタは、電線の先を差し込むだけでつながる部品で、外側がはじめから電気を通さないプラスチックで覆われているからです。銅がむき出しにならないので、テープを巻く必要はありません。だからニは適切です。

「半幅以上重ねて1回(2層)」の意味

テープを巻くときは、前に巻いたテープの幅の半分以上に重ねながら巻いていきます。こうすると、どこを切ってもテープが2枚重なった状態になります。これが「1回巻くと2層」の意味です。同じように、往復して2回巻けば4層、3回巻けば6層になります。

テープごとの決まり

例つないだ所の絶縁処理の決まり(VVF1.6mmなどを使う場合)

ビニルテープ(厚さ約0.2mm) … 半幅以上重ねて2回(4層)以上

黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープ(厚さ約0.5mm) … 半幅以上重ねて1回(2層)以上

自己融着性絶縁テープ(厚さ約0.5mm) … 半幅以上重ねて1回(2層)以上巻き、さらにその上に保護テープ(ビニルテープなど)を1回以上巻く

なぜ?なぜテープによって巻く回数が違うのか?

テープの厚さが違うからです。ビニルテープは約0.2mmなので、2回(4層)巻くと0.2×4=0.8mmの厚さになります。黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープは約0.5mmあるので、1回(2層)でも0.5×2=1.0mmになります。薄いテープはたくさん巻き、厚いテープは少なくてよい、という考え方です。

用語自己融着性絶縁テープ(じこゆうちゃくせい)とは?

引き伸ばしながら巻くと、重なったテープどうしがくっついて一体になるテープです。「自己融着」とは、自分自身で溶け合うようにくっつくという意味です。粘着のりはなく、巻いたあとはゴムのかたまりのようになります。

なぜ?なぜ自己融着性絶縁テープには保護テープが要るのか?

自己融着性絶縁テープで絶縁処理をするときは、上から保護テープを巻いて表面を守ることが決まりになっています。ハは1回(2層)巻いただけで、保護テープを巻いていないので、決まりを満たしていません。

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 設問は「不適切なもの」を選ぶ。決まりを満たしていないものを探す。

ステップ2 イ:ビニルテープは2回(4層)以上。3回(6層)巻いているので適切。

ステップ3 ロ:黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープは1回(2層)以上。3回(6層)巻いているので適切。

ステップ4 ニ:差込形コネクタはテープ不要なので適切。

ステップ5 ハ:自己融着性絶縁テープは1回(2層)で厚さは足りるが、保護テープを巻いていないので不適切。よって答えはハ。

覚えるこの問題の覚え方

ビニル(薄い0.2mm)は2回、黒色ポリエチレン(厚い0.5mm)は1回、自己融着(0.5mm)は1回+保護テープ。差込形コネクタはテープなし。厚さと回数を掛け算するとだいたい同じくらいの厚さになる、と理屈で押さえると忘れにくくなります。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

ロ.黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープで3回(6層) … 見慣れないテープ名なので「これが間違いでは」と選んでしまう人がいます。このテープは1回(2層)以上でよいので、3回は多めに巻いているだけで、決まりは満たしています。

ニ.差込形コネクタでテープを巻かなかった … 「つないだらテープを巻くもの」と思い込んでいると、巻かなかった=手抜きに見えます。差込形コネクタははじめからプラスチックで覆われているので、テープは不要です。

イ.ビニルテープで3回(6層) … 決まりは2回(4層)以上なので、3回は満たしています。「以上」という決まりなので、多く巻く分には問題ありません。

【第二種電気工事士】電線の接続|リングスリーブと差込形コネクタ【第14回】👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電線の接続|リングスリーブと差込形コネクタ【第14回】

問20

分野:施工(施設場所と工事の種類)重要度 ★★★

次表は使用電圧100 V の屋内配線の施設場所による工事の種類を示す表である。表中のa~f のうち,「施設できる工事」を全て選んだ組合せとして,正しいものは。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午前 問20 の表(施設場所の区分と工事の種類)
イ.a,f
ロ.a,b,d,e,f
ハ.b,d,e
ニ.d,e,f
答え・解説を見る
正解

ロ.a,b,d,e,f
この問題は何を聞いているの?

「100Vの屋内配線で、2種類の場所それぞれに、3種類の工事のどれが使えますか。使えるものを全部選んでください」と聞いている問題です。表の縦が場所、横が工事の種類で、a〜fのマス目ごとに使えるか使えないかを判断します。

用語「展開した場所」とは?

配線が目に見える状態になっている場所のことです。例えば、天井や壁の表面に配線がそのまま取り付けられている場所がこれにあたります。

なぜ?なぜ場所によって使える工事が変わるのか?

工事の種類ごとに、電線の守られ方が違うからです。外から触れたり、物がぶつかったり、水がかかったりしやすい場所ほど、しっかり守れる工事しか使えません。そこで法令(電気設備の技術基準の解釈)で、場所ごとに使える工事が決められています。

用語「点検できる隠ぺい場所」とは?

天井裏や押し入れの奥など、配線は隠れているが、点検口などを開ければ中を見たり触ったりできる場所のことです。「隠ぺい(いんぺい)」とは隠れているという意味です。

なぜ?なぜ「点検できる」かどうかを区別するのか?

点検できない場所(壁の中やコンクリートの床の中など)では、あとから傷んだ所を見つけたり直したりできないからです。点検できる場所なら、あとで確認できるので、使える工事の種類が多くなります。表の2つの場所はどちらも「乾燥した場所」、つまり水気や湿気の少ない場所です。

3つの工事の種類を知る

用語金属ダクト工事とは?

金属でできた大きな四角い樋(とい)のような箱(ダクト)の中に、たくさんの電線をまとめて入れる工事です。ビルの電気室などで、多くの電線をまとめて運ぶときに使われます。

なぜ?なぜ金属ダクト工事は、表の2つの場所で使えるのか?

金属ダクト工事は、展開した場所と点検できる隠ぺい場所の、乾燥した場所で使える決まりになっています。反対に、点検できない隠ぺい場所や、湿気・水気の多い場所では使えません。表の2つの場所はどちらも乾燥した場所なので、a・dは施設できる。

用語合成樹脂管工事(CD管を除く)とは?

プラスチックの電線管(硬質ポリ塩化ビニル電線管やPF管など)の中に電線を通す工事です。「CD管を除く」とあるのは、CD管(オレンジ色の蛇腹の管)だけは使える場所が限られているからです。

なぜ?なぜ合成樹脂管工事は、表の2つの場所で使えるのか?

合成樹脂管工事は、展開した場所でも隠ぺい場所でも、乾燥していても湿気が多くても使える工事だからです。プラスチックの管は水にも強く、管の中で電線を守れるので、使える場所がとても広いのです。だからb・eは施設できる。一方のCD管は、原則としてコンクリートに埋め込んで使う管なので、表からは外されています。

用語セルラダクト工事とは?

建物の床に使う波形の鋼板(デッキプレート)の溝を、電線の通り道として使う工事です。セルラ(cellular)は「小部屋に分かれた」という意味で、床の中に並ぶ溝を表しています。

なぜ?なぜセルラダクト工事は展開した場所で使えないのか?

セルラダクトは床の中に作る配線の通り道で、決まりの上でも展開した場所は使える場所に入っていないからです。使えるのは点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所の、乾燥した場所と決められています。だからcは施設できない、fは施設できる。

表に〇×を書き込む

例表のa〜fの判定

a(展開・乾燥/金属ダクト工事) … 〇 施設できる

b(展開・乾燥/合成樹脂管工事) … 〇 施設できる

c(展開・乾燥/セルラダクト工事) … × 施設できない

d(点検できる隠ぺい・乾燥/金属ダクト工事) … 〇 施設できる

e(点検できる隠ぺい・乾燥/合成樹脂管工事) … 〇 施設できる

f(点検できる隠ぺい・乾燥/セルラダクト工事) … 〇 施設できる

言葉で考える、答えの出し方

ステップ1 合成樹脂管工事はどこでも使えるので、b・eは〇。

ステップ2 金属ダクト工事は、展開した場所・点検できる隠ぺい場所の乾燥した場所で使えるので、a・dは〇。

ステップ3 セルラダクト工事は床の中の工事なので、展開した場所(c)は×、点検できる隠ぺい場所(f)は〇。

ステップ4 〇はa・b・d・e・f。これを全部含む組合せはロ。

覚えるこの問題の覚え方

セルラダクトは「床の中」。だから見える場所(展開した場所)には作らない。表の中で×になるのはc(展開した場所のセルラダクト)だけです。あわせて合成樹脂管(CD管を除く)は、どの場所でも使えると覚えておくと、この形の表の問題を解く大きな手がかりになります。

間違えた人が選びやすい選択肢

なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか?

ニ.d,e,f … 特に選ばれやすい間違いです。「展開した場所は人が触れやすいから、使える工事が少ないはず」と考え、上の段をまるごと外してしまいます。実際には金属ダクト工事・合成樹脂管工事は展開した場所でも使えます。

ハ.b,d,e … 金属ダクト工事は展開した場所で使えない、セルラダクト工事はどこでも使えないと思い込むと、この組合せになります。金属ダクト工事はa・dの両方、セルラダクト工事はfで使えます。

イ.a,f … 設問の「全て選んだ」を読み落とし、使えるものを一部だけ選んだ組合せです。表の6マスを1つずつ判定すると、〇は5つあります。

【第二種電気工事士】工事の種類と使える場所|施設場所のルール【第13回】👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】工事の種類と使える場所|施設場所のルール【第13回】

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令和5年度 下期 午前 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ
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この記事のまとめ

問11〜20でおさえた内容を、1問1行でふり返ります。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問11 プルボックス … プル(pull)=引っぱる。多数の金属管が集まる所で電線の引き入れを容易にする箱。開閉器をまとめる=分電盤、器具を付ける=スイッチボックス

問12 耐熱性 … MIケーブル=鉱物(酸化マグネシウム)で絶縁して最も熱に強い。ビニルは無印60℃、H(耐熱)75℃

問13 ねじなし電線管の曲げ … 金属管はパイプベンダ(力で曲げる)。トーチランプは硬質ポリ塩化ビニル電線管を温めて曲げる道具

問14 スターデルタ始動 … 三相かご形誘導電動機の始動電流を3分の1に。巻線形は回転子側の抵抗器、単相・直流では使えない

問15 配線用遮断器の動作時間 … 37.5÷30=1.25倍。30A以下は1.25倍で60分・2倍で2分以内

問16 銅線用裸圧着端子 … 穴のあいた板=ねじに留める「端子」、筒だけ=電線どうしをつなぐ「スリーブ」

問17 低圧進相コンデンサ … ラベルのμF(静電容量の単位)が目印。モーターの力率を改善する

問18 トーチランプ … 硬質ポリ塩化ビニル電線管を温めて曲げる。金属管はパイプベンダ、可とう電線管は手で曲がる

問19 接続部の絶縁処理 … ビニル(0.2mm)2回、黒色ポリエチレン(0.5mm)1回、自己融着(0.5mm)1回+保護テープ。差込形コネクタはテープ不要

問20 施設場所と工事 … セルラダクトは床の中=展開した場所では×。金属ダクトは展開・点検できる隠ぺいの乾燥した場所で〇、合成樹脂管はどこでも〇

この10問は、「知っていれば一瞬、知らなければ手も足も出ない」問題が中心でした。そのぶん、覚えた分がそのまま点数になりやすい分野です。

覚えるときのコツは、名前を単語として覚えないことです。プルボックスは「引っぱる箱」、パイプベンダは「管を曲げる道具」、MIケーブルは「鉱物で絶縁したケーブル」。名前の意味と、その物の仕事を結びつけておくと、写真を見ても名前を見ても用途が浮かびやすくなります。

また、この範囲では設問の向きにも注意が必要です。この10問でも、問19は「不適切なもの」、問20は「全て選んだ組合せ」を聞いていました。設問の最後の一文に印をつけてから選択肢を読むと、実力と関係のない失点を減らせます。

出典

令和5年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和5年度下期 午前 全5記事)

▶ 問1〜10
計算のきほん(直流回路・抵抗の比・発熱量・力率・電圧降下・許容電流・分岐回路)

▶ 問21〜30
施工・検査・法令(接地工事・検電器・絶縁性能・計器・電気工事士法・電気用品安全法)

▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(電線本数・傍記表示・絶縁抵抗・接地工事・電線管)

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(リングスリーブ・差込形コネクタ・ケーブル・器具・工具)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
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▶ 配線図の図記号の読み方
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▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する