二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和8年10月公表分の「ボイラーの取扱い」(問11〜問20)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和8年10月公表)

問11 油だきボイラーの逆火の原因

令和8年10月公表分野:油だきボイラーの逆火の原因重要度 ★★
油だきボイラーの点火時に逆火が発生する原因となる場合として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)噴霧蒸気(空気)の圧力が強すぎるとき。
(2)煙道ダンパの開度が不足しているとき。
(3)点火の際に着火遅れが生じたとき。
(4)空気より先に燃料を供給したとき。
(5)複数のバーナを有するボイラーで、燃焼中のバーナの火炎を利用して次のバーナに点火したとき。
答え・解説を見る
正解

(1)
噴霧蒸気(空気)の圧力が強すぎるとき。

この問題は何を聞いている?

油を燃やすボイラーに火をつけるときの事故、逆火(ぎゃっか)の原因を問う問題です。原因に当たらないものを1つ選びます。

逆火とは?

点火のときなどに、炉(火を燃やす部屋)の中で一気に燃え広がった炎が、たき口などから外へ吹き出す現象。

💡 なぜ? 炉の中に燃料がたまった状態で火がつくと、急に大量のガスが燃えて、炉内の圧力が上がるからです。

(1) ❌ 誤りの記述

噴霧蒸気(空気)の圧力が強すぎるとき。

公表問題では、逆火の原因に当たらないとされた記述です。噴霧蒸気(空気)とは、油を細かい霧にするために勢いを借りる蒸気や空気のこと。その圧力が強すぎることは、原因の4つにふくまれません。

(2) ⭕ 正しい記述

煙道ダンパの開度が不足しているとき。

煙道ダンパは、燃えたあとのガスの通り道(煙道)の開き具合を変える板です。開き方が足りないとガスの逃げ場がないので、逆火の原因になります。

(3) ⭕ 正しい記述

点火の際に着火遅れが生じたとき。

着火が遅れると、そのあいだに燃料が炉の中にたまります。たまった燃料に一気に火がつくので、逆火の原因です。

(4) ⭕ 正しい記述

空気より先に燃料を供給したとき。

点火の基本は「空気が先、燃料が後」です。燃料を先に入れると、点火するまでに燃料がたまって、一気に燃え広がるおそれがあります。

(5) ⭕ 正しい記述

複数のバーナを有するボイラーで、燃焼中のバーナの火炎を利用して次のバーナに点火したとき。

バーナ(燃料を吹き出して燃やす器具)が複数あるボイラーの話です。燃えているバーナの炎を使って、次のバーナに点火したときも、逆火の原因になります。

逆火の原因(4つ) 原因に当たらないとされたもの
煙道ダンパの開度不足 噴霧蒸気(空気)の圧力が強すぎる
着火遅れ 煙道にすすの堆積や未燃ガスが多い
空気より先に燃料を供給
燃焼中のバーナの炎で次のバーナに点火

💡 覚え方

逆火は「燃料がたまった所に火がつく」「ガスの逃げ場がない」ときに起きます。選択肢を読むときは、この2つに結びつくかを確かめましょう。

以上から、正解は(1)です。

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問12 蒸気圧力上昇時の取扱い(たき始めの水位)

令和8年10月公表分野:蒸気圧力上昇時の取扱い(たき始めの水位)重要度 ★★★
ボイラーの蒸気圧力上昇時の取扱いに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)点火後は、ボイラー本体に大きな温度差などを生じさせないように時間をかけ、徐々に昇圧する。
(2)ボイラーをたき始めると、ボイラー本体の膨張により水位が下がるので、給水を行い常用水位に戻す。
(3)蒸気が発生し始め、白色の蒸気の放出を確認してから、空気抜き弁を閉じる。
(4)圧力計の指針の動きを注視し、圧力の上昇度合いに応じて燃焼を加減する。
(5)整備した直後の使用始めのボイラーでは、マンホールなどのふた取付け部は、漏れの有無にかかわらず、昇圧中や昇圧後増し締めする。
答え・解説を見る
正解

(2)
ボイラーをたき始めると、ボイラー本体の膨張により水位が下がるので、給水を行い常用水位に戻す。

この問題は何を聞いている?

火をつけてから蒸気の圧力が上がるまでの扱い方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

常用水位とは?

ふだんの運転で保つ水位のこと。水位が低ければ給水し、高ければ吹出し(水を外へ出す操作)で合わせます。

(1) ⭕ 正しい記述

点火後は、ボイラー本体に大きな温度差などを生じさせないように時間をかけ、徐々に昇圧する。

点火後は、ボイラー本体に大きな温度差を生じさせないようにします。そのために時間をかけて、徐々に圧力を上げるのです。

(2) ❌ 誤りの記述

ボイラーをたき始めると、ボイラー本体の膨張により水位が下がるので、給水を行い常用水位に戻す。

たき始めに水位が下がるとしている点が誤りです。温まった水は体積が増えるので、水位は上がります。「下がるので給水する」は向きが逆です。

(3) ⭕ 正しい記述

蒸気が発生し始め、白色の蒸気の放出を確認してから、空気抜き弁を閉じる。

空気抜き弁は、ボイラーの中の空気を外へ逃がす弁です。たき始めから開けておきます。白い蒸気が出るのは、空気が追い出された合図です。それを確認してから閉じます。

(4) ⭕ 正しい記述

圧力計の指針の動きを注視し、圧力の上昇度合いに応じて燃焼を加減する。

圧力計の針の動きをよく見ます。圧力の上がり方に応じて、燃焼を強めたり弱めたりするのです。

(5) ⭕ 正しい記述

整備した直後の使用始めのボイラーでは、マンホールなどのふた取付け部は、漏れの有無にかかわらず、昇圧中や昇圧後増し締めする。

マンホールは、人が入って点検するための穴です。整備した直後は、ふたの取付け部を昇圧中や昇圧後に増し締めします。漏れがあってもなくても行う、という記述です。

🤔 たき始めに、水位を見るときの注意はありますか。

2個の水面計の水位が同じかを確かめながら、水位の動きを見ます。水面計は、ボイラーの水位を外から見るための道具です。

💡 覚え方

温めた水はふくらむ=水位は上がる。たき始めの水位について「下がる」と書いてあったら、誤りだと判断できます。

以上から、正解は(2)です。

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問13 油だきボイラーの燃焼の調節(炎の色と長さ)

令和8年10月公表分野:油だきボイラーの燃焼の調節(炎の色と長さ)重要度 ★★
油だきボイラーの燃焼の維持及び調節などに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)加圧燃焼では、断熱材やケーシングの損傷、燃焼ガスの漏出などを防止する。
(2)蒸気圧力又は温水温度を一定に保つように、負荷の変動に応じて燃焼量を増減する。
(3)火炎がボイラー本体やれんが壁に触れないように、火炎の方向を監視する。
(4)燃焼用空気量が少ない場合には、炎は短くなる。
(5)燃焼用空気量が適量である場合には、炎がオレンジ色で、炉内の見通しがきく。
答え・解説を見る
正解

(4)
燃焼用空気量が少ない場合には、炎は短くなる。

この問題は何を聞いている?

運転中に燃焼を保ち、調節するときの決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

加圧燃焼とは?

燃焼室(火を燃やす部屋)の中を、大気より高い圧力にして燃やす方式。

💡 なぜ? 中の圧力が外より高いので、気密が悪いと燃焼ガスが外へ漏れ出すおそれがあります。

(1) ⭕ 正しい記述

加圧燃焼では、断熱材やケーシングの損傷、燃焼ガスの漏出などを防止する。

加圧燃焼では、断熱材やケーシング(外側をおおう箱)の損傷を防ぎます。あわせて燃焼ガスの漏れも防ぐ、という記述です。

(2) ⭕ 正しい記述

蒸気圧力又は温水温度を一定に保つように、負荷の変動に応じて燃焼量を増減する。

負荷とは、蒸気の使用量のことです。負荷の変化に合わせて燃焼量を増減し、蒸気圧力や温水温度を一定に保ちます。

(3) ⭕ 正しい記述

火炎がボイラー本体やれんが壁に触れないように、火炎の方向を監視する。

炎が直接当たると、れんがや本体の一部だけが高温になって傷みます。そこで炎の向きを見張り、本体やれんが壁に触れないようにするのです。

(4) ❌ 誤りの記述

燃焼用空気量が少ない場合には、炎は短くなる。

空気が少ないときに炎が短くなるとしている点が誤りです。空気が少ないと、燃え切るまでに時間がかかるので、炎は長くなります。短くなるのは、空気が多すぎるときです。

(5) ⭕ 正しい記述

燃焼用空気量が適量である場合には、炎がオレンジ色で、炉内の見通しがきく。

空気の量が適量のとき、炎はオレンジ色です。炉の中の見通しがきくのも、適量のしるしです。

空気の量 炎の様子
適量 オレンジ色で、炉の中の見通しがきく
少なすぎる 炎が長く、色が暗く、すすが出やすい
多すぎる 炎が短く、輝白色になる

💡 覚え方

空気が足りない炎は長い、多すぎる炎は短く白い、ちょうどよい炎はオレンジ色。「空気が少ない」と「短い」の組み合わせを見たら、入れ替えを疑いましょう。

以上から、正解は(4)です。

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問14 キャリオーバ(プライミングとホーミング)

令和8年10月公表分野:キャリオーバ(プライミングとホーミング)重要度 ★★★
ボイラーのキャリオーバに関する現象及び原因に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。
(2)ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。
(3)プライミングは、蒸気流量が減少したときに発生する。
(4)キャリオーバは、高水位であるときに発生する。
(5)キャリオーバは、ボイラー水に不純物が多く含まれているときに発生する。
答え・解説を見る
正解

(3)
プライミングは、蒸気流量が減少したときに発生する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水が蒸気と一緒に出ていくキャリオーバの、呼び名と原因を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

キャリオーバとは?

ボイラー水が、水滴や泡のまま蒸気と一緒にボイラーの外へ運び出されること。

💡 なぜ? 蒸気に水が混じると蒸気の純度が下がり、水に溶けていた不純物まで配管や機械へ運ばれてしまいます。

(1) ⭕ 正しい記述

ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。

ドラム(水と蒸気をためる円筒形の容器)の中で泡が広がり、蒸気に水分が混じって運び出される現象です。これをホーミング(泡立ち)といいます。

(2) ⭕ 正しい記述

ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。

ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。これがプライミング(水気立ち)です。

(3) ❌ 誤りの記述

プライミングは、蒸気流量が減少したときに発生する。

蒸気流量が減少したときとしている点が誤りです。原因になるのは、蒸気流量が急に増えたとき(蒸気を一度に大量に取り出したとき)です。向きが逆になっています。

(4) ⭕ 正しい記述

キャリオーバは、高水位であるときに発生する。

水位が高いと、水面と蒸気の取出し口が近くなります。はね上がった水滴や泡が、取出し口へ吸い込まれやすくなるのです。

(5) ⭕ 正しい記述

キャリオーバは、ボイラー水に不純物が多く含まれているときに発生する。

ボイラー水に有機物・油脂分・不純物が多いことは、キャリオーバの原因の1つです。

キャリオーバの原因 誤りとされた記述(向きが逆)
蒸気流量が急に増えた 蒸気流量が減少した/蒸気負荷が過小
水位が高い 低水位である
ボイラー水に不純物が多い

💡 覚え方

キャリオーバの原因は「水が多すぎ・汚れすぎ・急ぎすぎ」の3つ。呼び名は、泡立ちがホーミング、水滴がプライミングと区別します。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問15 水面計の機能試験の順序

令和8年10月公表分野:水面計の機能試験の順序重要度 ★★★
ボイラーに蒸気圧力がある場合、水面計の機能試験を行うときの操作順序として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。ただし、A~Dは、それぞれ次の操作をいうものとする。
A 水コックを開いて水だけをブローし、噴出状態を見て水コックを閉じる。
B ドレンコックを閉じて、蒸気コックを少しずつ開き、次いで水コックを開いて水位の上昇具合を見る。
C 蒸気コックを開いて蒸気だけをブローし、噴出状態を見て蒸気コックを閉じる。
D 蒸気コック及び水コックを閉じ、ドレンコックを開いてガラス管内の気水を排出する。
(1)A→B→C→D
(2)A→C→D→B
(3)C→A→B→D
(4)D→A→C→B
(5)D→C→B→A
答え・解説を見る
正解

(4)
D→A→C→B

この問題は何を聞いている?

水面計が正しく動くかを試す機能試験の、操作の順番を問う問題です。A〜Dの4つの操作を正しい順に並べたものを選びます。

水面計の機能試験とは?

水面計(ボイラーの水位を外から見る道具)の中をブローして、正しく動くかを試すこと。ブローは、中の水や蒸気を勢いよく外へ出す操作です。

💡 なぜ? 水面計が詰まっていると、本当の水位と違う高さを示してしまうからです。

水面計には3つのコック(栓)があります。蒸気コックは蒸気側の通り道、水コックは水側の通り道、ドレンコックは中の水を抜く出口です。

D ⭕ 1番目の操作

蒸気コック及び水コックを閉じ、ドレンコックを開いてガラス管内の気水を排出する。

最初に、蒸気コックと水コックを閉じます。そしてドレンコックを開き、ガラス管の中の水と蒸気を出すのです。中を一度空にするのが出発点です。

A ⭕ 2番目の操作

水コックを開いて水だけをブローし、噴出状態を見て水コックを閉じる。

次に水コックを開いて、水だけをブローします。噴き出し方を見て、水側の通り道が詰まっていないかを確かめるのです。確かめたら水コックを閉じます。

C ⭕ 3番目の操作

蒸気コックを開いて蒸気だけをブローし、噴出状態を見て蒸気コックを閉じる。

続いて蒸気コックを開いて、蒸気だけをブローします。今度は蒸気側の通り道を確かめる番です。確かめたら蒸気コックを閉じます。

B ⭕ 4番目の操作

ドレンコックを閉じて、蒸気コックを少しずつ開き、次いで水コックを開いて水位の上昇具合を見る。

最後にドレンコックを閉じ、蒸気コックを少しずつ開き、次に水コックを開きます。水位がすっと元の高さまで戻れば、両方の通り道は正常です。

蒸気圧力があるときの機能試験の順番

①D:両方のコックを閉じ、ドレンコックを開いて中を空にする

②A:水コックを開いて、水だけをブローする

③C:蒸気コックを開いて、蒸気だけをブローする

④B:ドレンコックを閉じ、蒸気コック→水コックの順に開いて水位を見る

🤔 なぜ、中を空にしてから1本ずつ通すのですか。

ガラス管の中を空にしてから水側・蒸気側を1本ずつ通すと、どちらの通り道が詰まっているかを確かめられるからです。

💡 覚え方

「全部抜いて、水を通して、蒸気を通して、元に戻す」。最初はD(中を空にする)、最後はB(水位の上がり方を見る)と決まれば、選択肢をしぼれます。

順番はD→A→C→Bなので、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問16 ばね安全弁の蒸気漏れの原因

令和8年10月公表分野:ばね安全弁の蒸気漏れの原因重要度 ★★★
ボイラーのばね安全弁に蒸気漏れが生じる原因となる場合に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A ばねを締めすぎている。
B 蒸気による熱膨張などにより、弁体円筒部と弁体ガイド部が密着している。
C 弁体と弁座のすり合わせが悪くなっている。
D 弁体と弁座の中心がずれて、当たり面の接触圧力が不均一になっている。
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,D
(4)B,C,D
(5)C,D
答え・解説を見る
正解

(5)
C,D

この問題は何を聞いている?

閉じているはずの安全弁から蒸気が漏れる原因を問う問題です。A〜Dのうち、原因に当たるものを全部選びます。

ばね安全弁とは?

ばねの力で、弁体(ふた)を弁座(受け口)に押しつけている安全弁。圧力が上がりすぎると開いて、蒸気を逃がします。

蒸気漏れの原因は、どれも「弁体と弁座がぴったり当たっていない」ことにつながっています。この見方でA〜Dを判断するのがコツです。

A ❌ 原因に当たらない

ばねを締めすぎている。

ばねを締めすぎても、漏れの原因にはなりません。締めすぎれば、むしろ弁体がしっかり閉じる側だからです。

B ❌ 原因に当たらない

蒸気による熱膨張などにより、弁体円筒部と弁体ガイド部が密着している。

弁体円筒部とガイド部が密着すると、弁が動かなくなる(開かない)トラブルになります。これは漏れとは別の話です。

C ⭕ 原因に当たる

弁体と弁座のすり合わせが悪くなっている。

弁体と弁座のすり合わせが悪いと、弁体と弁座がぴったり当たりません。そのため、蒸気漏れの原因になるのです。

D ⭕ 原因に当たる

弁体と弁座の中心がずれて、当たり面の接触圧力が不均一になっている。

弁体と弁座の中心がずれると、当たる力が不均一になります。これも蒸気漏れの原因です。

蒸気漏れの原因 原因ではないとされたもの
弁体と弁座の間の異物 ばねの締めすぎ
すり合わせ不良 弁体円筒部とガイド部の密着
中心のずれ
ばねの腐食(押し下げる力が弱くなる)

⚠ 注意

漏れたからといって、調整ボルトでばねを強く締め付けるのは誤りです。締めると吹出し圧力が上がり、安全弁が決めた圧力で開かなくなるからです。

💡 覚え方

漏れるのは「ふたと受け口がぴったり当たっていない」とき。締めすぎや密着は、漏れる方向ではなく、開きにくくなる方向の話です。

原因に当たるのはCとDなので、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第13回 附属品の取扱い

問17 水位検出器の点検と整備(電極式・フロート式)

令和8年10月公表分野:水位検出器の点検と整備(電極式・フロート式)重要度 ★★
ボイラーの水位検出器の点検及び整備に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)フロート式では、1日に1回以上、フロート室のブローを行う。
(2)フロート式では、1年に1~2回程度、フロート室を分解し、フロート室内のスラッジやスケールを除去する。
(3)電極式では、1週間に1回以上、水の純度の上昇による電気伝導率の低下を防ぐため、検出筒内のブローを行う。
(4)電極式では、1年に1~2回程度、検出筒を分解し、内部を掃除するとともに、電極棒を目の細かいサンドペーパーで磨く。
(5)電極式では、1日に1回以上、ボイラー水の水位を上下させ、水位検出器の機能を確認する。
答え・解説を見る
正解

(3)
電極式では、1週間に1回以上、水の純度の上昇による電気伝導率の低下を防ぐため、検出筒内のブローを行う。

この問題は何を聞いている?

水位を自動で見張る水位検出器の、点検の回数と内容を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

水位検出器とは?

ボイラーの水位を感じ取る装置。浮き(フロート)の上下で知るフロート式と、水に電気が流れる性質を使う電極式があります。

(1) ⭕ 正しい記述

フロート式では、1日に1回以上、フロート室のブローを行う。

フロート式では、1日に1回以上、フロート室(浮きが入っている部屋)をブローします。ブローは、中の水を勢いよく外へ出す操作です。

(2) ⭕ 正しい記述

フロート式では、1年に1~2回程度、フロート室を分解し、フロート室内のスラッジやスケールを除去する。

フロート室の中には、スラッジ(泥のような沈殿物)やスケール(湯あか)がたまります。そこで1年に1〜2回程度、フロート室を分解して取り除くのです。

(3) ❌ 誤りの記述

電極式では、1週間に1回以上、水の純度の上昇による電気伝導率の低下を防ぐため、検出筒内のブローを行う。

ブローの回数を1週間に1回以上としている点が誤りです。正しくは1日に1回以上です。理由の部分(純度の上昇による電気伝導率の低下を防ぐ)は正しいので、回数だけが入れ替えられています。

(4) ⭕ 正しい記述

電極式では、1年に1~2回程度、検出筒を分解し、内部を掃除するとともに、電極棒を目の細かいサンドペーパーで磨く。

電極式では、1年に1〜2回程度、検出筒(電極棒が入っている筒)を分解して掃除します。このとき電極棒は、目の細かいサンドペーパーで磨く決まりです。

(5) ⭕ 正しい記述

電極式では、1日に1回以上、ボイラー水の水位を上下させ、水位検出器の機能を確認する。

電極式では、1日に1回以上、ボイラー水の水位を上下させて、検出器がきちんと働くかを確かめます。

🤔 電極式は、なぜ毎日ブローするのですか。

検出筒の中の水は、蒸気が冷えて水に戻ることでどんどん純粋になります。純粋な水ほど電気が流れにくいのです。そのままだと、水があるのに「水がない」と誤って判断するおそれがあります。ブローでボイラー水と入れ替えて防ぐのです。

方式 1日に1回以上 1年に1〜2回程度
電極式 検出筒内のブロー。水位を上下させて機能を確認 検出筒を分解して掃除し、電極棒を磨く
フロート式 フロート室のブロー フロート室を分解し、スラッジやスケールを除去

💡 覚え方

ブローは毎日(1日1回以上)、分解は年1〜2回。電極式もフロート式も同じ回数です。「1週間に1回」という数字は、この表のどこにも出てきません。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第8回 自動制御 / 第13回 附属品の取扱い

問18 休止中の保存法(満水保存法と乾燥保存法)

令和8年10月公表分野:休止中の保存法(満水保存法と乾燥保存法)重要度 ★★
ボイラーの休止中の保存法に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラーの燃焼側及び煙道は、すすや灰を完全に除去して、防錆油、防錆剤などを塗布する。
(2)乾燥保存法では、吸湿剤としてシリカゲル、活性アルミナなどが用いられる。
(3)乾燥保存法では、密閉の1~2週間後に吸湿剤を点検し、その結果に基づき吸湿剤の増減や取替時期を決める。
(4)満水保存法は、休止期間が3か月以上の長期にわたる場合に採用される。
(5)満水保存剤は、所定の濃度になるようにボイラーに連続注入するか、又は間欠的に注入する。
答え・解説を見る
正解

(4)
満水保存法は、休止期間が3か月以上の長期にわたる場合に採用される。

この問題は何を聞いている?

ボイラーをしばらく使わないときの保存のしかたを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

満水保存法と乾燥保存法とは?

どちらも、休止中のボイラーの内側がさびないようにする方法。満水保存法は薬剤(保存剤)を入れた水でボイラーを満たし、乾燥保存法は中を乾かして吸湿剤を置きます。

💡 なぜ? さびは水と酸素がそろうと進むからです。水で満たして空気を入れないか、水分そのものをなくすかで、条件を断ち切ります。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラーの燃焼側及び煙道は、すすや灰を完全に除去して、防錆油、防錆剤などを塗布する。

燃焼側と煙道(燃えたあとのガスの通り道)は、すすや灰をきれいに取り除きます。そのうえで防錆油や防錆剤(さび止め)を塗っておく決まりです。

(2) ⭕ 正しい記述

乾燥保存法では、吸湿剤としてシリカゲル、活性アルミナなどが用いられる。

乾燥保存法の吸湿剤(湿気を吸う薬)には、一般にシリカゲルや活性アルミナを使います。

(3) ⭕ 正しい記述

乾燥保存法では、密閉の1~2週間後に吸湿剤を点検し、その結果に基づき吸湿剤の増減や取替時期を決める。

乾燥保存法では、密閉してから1〜2週間後に吸湿剤を点検します。湿り具合から、吸湿剤を増やすか、いつ取り替えるかを決めるのです。

(4) ❌ 誤りの記述

満水保存法は、休止期間が3か月以上の長期にわたる場合に採用される。

満水保存法を3か月以上の長期に使うとしている点が誤りです。満水保存法の目安は3か月程度以内です。それより長く休ませるときは、乾燥保存法を採用します。

(5) ⭕ 正しい記述

満水保存剤は、所定の濃度になるようにボイラーに連続注入するか、又は間欠的に注入する。

満水保存法の保存剤は、所定の濃度になるように入れます。入れ方は、連続して注入するか、間をおいて(間欠的に)注入するかのどちらかです。

比べる点 満水保存法 乾燥保存法
休止期間の目安 3か月程度以内 それより長いとき
凍結のおそれがあるとき 採用しない 採用できる
管理 月1回以上、薬剤の濃度などを測る 密閉の1〜2週間後に吸湿剤を点検

💡 覚え方

「水で守るのは短期、乾かして守るのは長期」。満水保存法と「長期」が結びついていたら、入れ替えだと気づけます。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第11回 運転の停止・保存・清掃

問19 ボイラーの水管理(酸消費量と全硬度)

令和8年10月公表分野:ボイラーの水管理(酸消費量と全硬度)重要度 ★
ボイラーの水管理に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)一般にボイラー給水として用いられるものには、天然水(自然水)、水道水(飲料用水道水、工業用水道水)、復水及びボイラー用処理水がある。
(2)ボイラー用処理水は、原水をボイラー外でボイラー給水用に処理した水である。
(3)酸消費量は、水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示すものである。
(4)酸消費量には、酸消費量(pH4.8)と酸消費量(pH8.3)がある。
(5)全硬度は、水中のマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。
答え・解説を見る
正解

(5)
全硬度は、水中のマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。

この問題は何を聞いている?

ボイラーに入れる水の種類と、水の性質を表す数字の意味を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

硬度とは?

水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表す数字。

💡 なぜ? この2つは、伝熱面にこびりつくスケール(湯あか)のもとになるからです。

(1) ⭕ 正しい記述

一般にボイラー給水として用いられるものには、天然水(自然水)、水道水(飲料用水道水、工業用水道水)、復水及びボイラー用処理水がある。

ボイラーの給水(ボイラーに入れる水)に使われるのは、一般に次の4つです。天然水(自然水)・水道水・復水・ボイラー用処理水です。復水は、使い終わった蒸気が冷えて水に戻ったものです。

(2) ⭕ 正しい記述

ボイラー用処理水は、原水をボイラー外でボイラー給水用に処理した水である。

ボイラー用処理水は、もとの水(原水)をボイラーの外で、給水用に処理した水のことです。

(3) ⭕ 正しい記述

酸消費量は、水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示すものである。

酸消費量は、水にふくまれるアルカリ分の量を示します。アルカリ分とは、水酸化物・炭酸塩・炭酸水素塩などのことです。

(4) ⭕ 正しい記述

酸消費量には、酸消費量(pH4.8)と酸消費量(pH8.3)がある。

酸消費量には、酸消費量(pH4.8)と酸消費量(pH8.3)の2種類があります。pHは、水が酸性かアルカリ性かを表す数字です。

(5) ❌ 誤りの記述

全硬度は、水中のマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの量に換算し、試料1リットル中のmg数で表す。

マグネシウムイオンだけとしている点が誤りです。全硬度は、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの両方の量から求めます。カルシウムイオンが抜かれているのです。

正しい全硬度は、次のとおりです。水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を、炭酸カルシウムの量に換算します。それを、試料1リットル中のmg数で表すのです。

💡 覚え方

全硬度の「全」は、カルシウムとマグネシウムの両方の合計。片方しか書いていない選択肢は、誤りだと判断できます。

以上から、正解は(5)です。

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問20 清缶剤の種類とはたらき

令和8年10月公表分野:清缶剤の種類とはたらき重要度 ★★★
ボイラーの清缶剤に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)清缶剤は、水に起因するスケールの付着、腐食、キャリオーバ等の障害を防止するために、給水及びボイラー水に直接添加する薬品である。
(2)清缶剤の作用を分類すると、pH及び酸消費量の調節剤、軟化剤、スラッジ分散剤、脱酸素剤などがある。
(3)低圧ボイラーの酸消費量抑制剤としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムが用いられる。
(4)スラッジ分散剤は、ボイラー内で生じた泥状沈殿物の結晶の成長を防止する。
(5)脱酸素剤は、ボイラー給水中の溶存酸素を除去する。
答え・解説を見る
正解

(3)
低圧ボイラーの酸消費量抑制剤としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムが用いられる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水に加える薬品、清缶剤(せいかんざい)の種類とはたらきを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

清缶剤とは?

水が原因で起きるスケールの付着・腐食・キャリオーバなどを防ぐため、給水やボイラー水に直接加える薬品。

(1) ⭕ 正しい記述

清缶剤は、水に起因するスケールの付着、腐食、キャリオーバ等の障害を防止するために、給水及びボイラー水に直接添加する薬品である。

清缶剤は、水が原因の障害を防ぐための薬品です。スケール(伝熱面にこびりつく湯あか)、腐食、キャリオーバ(水が蒸気と一緒に運び出されること)などを防ぎます。

(2) ⭕ 正しい記述

清缶剤の作用を分類すると、pH及び酸消費量の調節剤、軟化剤、スラッジ分散剤、脱酸素剤などがある。

清缶剤をはたらきで分けると、次のようになります。pH・酸消費量の調節剤、軟化剤、スラッジ分散剤、脱酸素剤などです。

(3) ❌ 誤りの記述

低圧ボイラーの酸消費量抑制剤としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムが用いられる。

酸消費量抑制剤としている点が誤りです。水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムは、低圧ボイラーの酸消費量付与剤です。「付与」が「抑制」に入れ替えられています。

(4) ⭕ 正しい記述

スラッジ分散剤は、ボイラー内で生じた泥状沈殿物の結晶の成長を防止する。

スラッジ分散剤は、ボイラーの中でできた泥状の沈殿物(スラッジ)にはたらく薬です。その結晶が大きくなるのを防ぎます。

(5) ⭕ 正しい記述

脱酸素剤は、ボイラー給水中の溶存酸素を除去する。

脱酸素剤は、給水に溶けている酸素(溶存酸素)を取り除く薬です。溶けた酸素は、鋼材の腐食の原因になります。

🤔 なぜ、酸消費量を「付与」するのですか。

酸消費量は、水にふくまれるアルカリ分の量のことです。アルカリ分を加えて酸消費量を適度に保つと、ボイラー水が適度なアルカリ性になり、鉄の腐食を抑えられます。だから、加える薬は「付与剤」と呼ぶのです。

💡 覚え方

水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムは、アルカリ分を足す薬=付与剤。「抑制剤」と書かれていたら向きが逆だと気づけます。

以上から、正解は(3)です。

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令和8年10月公表「ボイラーの取扱い」のまとめ

まとめ

・逆火の原因=ダンパの開度不足・着火遅れ・燃料が先・燃焼中のバーナの炎で点火。噴霧蒸気の圧力が強すぎることは当たらない

・たき始めは水がふくらんで水位が上がる。空気が少ないと炎は長く、適量ならオレンジ色

・キャリオーバの原因=蒸気流量の急増・高水位・不純物。水面計の機能試験はD→A→C→B(空にする→水→蒸気→元に戻す)

・安全弁の蒸気漏れ=すり合わせ不良・中心のずれなど。ばねの締めすぎ・ガイド部の密着は原因ではない

・水位検出器のブローは1日に1回以上、分解は1年に1〜2回程度

・満水保存法は3か月程度以内。全硬度はカルシウム+マグネシウム

・水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウムは、低圧ボイラーの酸消費量付与剤(抑制剤ではない)