二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和8年4月公表分の「燃料及び燃焼」(問21〜問30)です。
専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和8年4月公表)
問21 燃料の分析と性質(発熱量・引火点)
令和8年4月公表分野:燃料の分析と性質(発熱量・引火点)重要度 ★★★
燃料の分析及び性質に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 総発熱量と真発熱量の差は、燃料に含まれる水素及び水分の割合によって決まる。
B 液体燃料の発熱量の単位は、通常、MJ/kgで表す。
C 低発熱量は、高発熱量から燃料に含まれる水の顕熱を差し引いたものである。
D 燃料を空気中で加熱し、他から点火しないで自然に燃え始める最低の温度を、引火点という。
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,B,D
(4)B,D
(5)C,D
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この問題は何を聞いている?
発熱量と引火点という、燃料の基本の言葉を正しく覚えているかを問う問題です。AからDのうち、適切なものだけを集めた組合せを選びます。
発熱量とは?
燃料を完全に燃やしたときに出る熱の量。
💡 なぜ? 同じ量の燃料でどれだけ蒸気をつくれるかを比べるための、基本の数字だからです。
燃料が燃えると水蒸気ができます。この水蒸気が水に戻るときに出す熱を潜熱といい、これを数えるかどうかで発熱量は2通りに分かれるのです。
| 呼び方 |
別名 |
中身 |
| 高発熱量 |
総発熱量 |
水蒸気の潜熱をふくめた発熱量 |
| 低発熱量 |
真発熱量 |
高発熱量から水蒸気の潜熱を差し引いた発熱量 |
A ⭕ 正しい記述
総発熱量と真発熱量の差は、燃料に含まれる水素及び水分の割合によって決まる。
総発熱量と真発熱量の差は、燃えてできる水蒸気の量で決まります。水蒸気のもとは、燃料にふくまれる水素(燃えて水になる)と水分です。だから差は、水素と水分の割合で決まるのです。
B ⭕ 正しい記述
液体燃料の発熱量の単位は、通常、MJ/kgで表す。
液体燃料の発熱量は、通常MJ/kgで表します。1kgあたり何メガジュールの熱が出るかという意味の単位です。
C ❌ 誤りの記述
低発熱量は、高発熱量から燃料に含まれる水の顕熱を差し引いたものである。
低発熱量は、高発熱量から水蒸気の潜熱を差し引いたものです。「水の顕熱」ではありません。潜熱が顕熱に入れ替えられている点が誤りです。
D ❌ 誤りの記述
燃料を空気中で加熱し、他から点火しないで自然に燃え始める最低の温度を、引火点という。
「ほかから点火しないで自然に燃え始める最低の温度」は、着火温度(発火温度)の説明です。引火点は、液体燃料を加熱して出た蒸気に小さな炎を近づけたとき、瞬間的に光を放って燃え始める最低の温度をいいます。用語の名前が入れ替えられている点が誤りです。
💡 覚え方
引火点=火を近づけてつく温度、着火温度=火がなくても自然につく温度。発熱量は「高(総)は全部、低(真)は潜熱を引いた分」と対にして覚えましょう。
適切なものはAとBなので、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質
問22 重油の成分による影響(硫黄分・水分・残留炭素分・灰分)
令和8年4月公表分野:重油の成分による影響(硫黄分・水分・残留炭素分・灰分)重要度 ★★★
重油に含まれる成分などによる影響に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 硫黄分は、JISによる重油分類の主要な要素であり、3種(C重油)1号で質量パーセントで5%以下とされている。
B 水分が多く含まれると、貯蔵中にスラッジを形成する。
C 残留炭素分が多いほど、ばいじん量は増加する。
D 灰分は、ボイラーの伝熱を良好にする。
(1)A,B
(2)A,B,D
(3)A,D
(4)B,C
(5)C,D
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
重油にふくまれる硫黄分・水分・残留炭素分・灰分が、それぞれ何を引き起こすかを問う問題です。AからDのうち、適切なものだけを集めた組合せを選びます。
スラッジとは?
重油の中にできる沈殿物のこと。水分と一緒に、貯蔵タンクの底にたまりやすいものです。
💡 なぜ? スラッジは弁やバーナの先を詰まらせたり、すり減らしたりするので、できるだけ出したくないものだからです。
| 成分 |
影響 |
| 水分 |
熱損失が増える/いきづき燃焼を起こす/貯蔵中にスラッジを形成する |
| 残留炭素分 |
多いほどばいじんが増える |
| 硫黄分 |
燃えて硫黄酸化物(SOx)になり、低温腐食の原因になる |
| 灰分 |
伝熱面に付いて伝熱をさまたげる |
A ❌ 誤りの記述
硫黄分は、JISによる重油分類の主要な要素であり、3種(C重油)1号で質量パーセントで5%以下とされている。
前半の「硫黄分は、JISによる重油分類の主要な要素」は正しい内容です。しかし後半の「3種(C重油)1号で5%以下」という数字が誤りです。JIS K 2205では、3種(C重油)1号の硫黄分は質量3.5%以下とされています。3.5%が5%に入れ替えられているので、数字の部分まで確かめましょう。
B ⭕ 正しい記述
水分が多く含まれると、貯蔵中にスラッジを形成する。
重油に水分が多くふくまれると、貯蔵しているあいだにスラッジを形成します。水分の害は、このほかに熱損失の増加といきづき燃焼(炎が息をするように不安定になる燃え方)です。
C ⭕ 正しい記述
残留炭素分が多いほど、ばいじん量は増加する。
残留炭素分が多いほど、ばいじん量は増加します。ばいじんとは、排ガスにふくまれるすすなどの固体の粒をまとめた呼び名です。
D ❌ 誤りの記述
灰分は、ボイラーの伝熱を良好にする。
灰分は、熱を受け取る面(伝熱面)に付いて伝熱をさまたげます。「伝熱を良好にする」は向きが逆です。悪くするものが良くするものに入れ替えられている点が誤りです。
💡 覚え方
重油の成分は、どれも「多いと困るもの」です。水分→スラッジ、残留炭素分→ばいじん、硫黄分→低温腐食、灰分→伝熱のじゃま。「良好にする」のように役に立つ向きで書かれた記述は、まず疑いましょう。
適切なものはBとCなので、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第17回 大気汚染・重油の障害・低温腐食
問23 燃焼の基礎(燃焼の3要素・実際空気量と理論空気量)
令和8年4月公表分野:燃焼の基礎(燃焼の3要素・実際空気量と理論空気量)重要度 ★★★
ボイラーにおける燃料の燃焼に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼には、燃料、空気(酸素)及び温度の三つの要素が必要である。
(2)着火性が良く、燃焼速度が速い燃料は、狭い燃焼室でも完全燃焼させることができる。
(3)実際空気量は、一般の燃焼では、理論空気量より少ない。
(4)燃焼ガスの成分割合は、燃料の成分、空気比及び燃焼の方法で変わる。
(5)燃焼ガスの成分には、燃料に含まれる水素や水分などによるH₂Oがある。
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正解
(3)
実際空気量は、一般の燃焼では、理論空気量より少ない。
この問題は何を聞いている?
燃料が燃えるための条件と、送り込む空気の量についての問題です。適切でないものを1つ選びます。
理論空気量と実際空気量とは?
理論空気量は、燃料を燃やすのに理論上ちょうど必要な空気の量。実際空気量は、実際に送り込んだ空気の量です。
💡 なぜ? 理論空気量ぴったりでは、燃料と空気が完全には混ざりきらず、燃え残りが出ます。そこで実際には少し多めの空気を送るのです。
(1) ⭕ 正しい記述
燃焼には、燃料、空気(酸素)及び温度の三つの要素が必要である。
燃焼には、燃料・空気(酸素)・温度の3つの要素が必要です。どれか1つでも欠けると燃えません。
(2) ⭕ 正しい記述
着火性が良く、燃焼速度が速い燃料は、狭い燃焼室でも完全燃焼させることができる。
着火しやすく、燃える速さが速い燃料は、短い時間で燃え切ります。そのため狭い燃焼室(燃料を燃やす部屋)でも、完全燃焼させることができるのです。
(3) ❌ 誤りの記述
実際空気量は、一般の燃焼では、理論空気量より少ない。
一般の燃焼では、実際空気量は理論空気量より多いのが正しい関係です。「少ない」ではありません。多いが少ないに入れ替えられている点が誤りです。空気が理論空気量より少ないと、空気が足りずに不完全燃焼になります。
(4) ⭕ 正しい記述
燃焼ガスの成分割合は、燃料の成分、空気比及び燃焼の方法で変わる。
燃焼ガス(燃えたあとのガス)の成分の割合は、燃料の成分・空気比・燃焼の方法で変わります。空気比とは、実際空気量が理論空気量の何倍かを表す数のことです。
(5) ⭕ 正しい記述
燃焼ガスの成分には、燃料に含まれる水素や水分などによるH₂Oがある。
燃焼ガスには、水蒸気(H₂O)がふくまれます。燃料の水素が燃えてできた水と、燃料にもともとあった水分がもとです。
実際空気量と理論空気量の関係(例)
理論空気量が10m³の燃料に、実際は12m³の空気を送った
空気比=実際空気量÷理論空気量=12÷10=1.2
→ 実際空気量のほうが多いので、空気比は1より大きい数になる
💡 覚え方
実際の空気は、理論より少し多め。ぴったりでは混ざりきらず燃え残るからです。空気比=実際÷理論で、一般に1より少し大きいと押さえましょう。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第15回 燃焼の基礎・空気比・通風
問24 低温腐食の抑制方法
令和8年4月公表分野:低温腐食の抑制方法重要度 ★★★
重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。
(2)燃焼ガス中の酸素濃度を下げ、二酸化硫黄から三酸化硫黄への転換を抑制し、燃焼ガスの露点を下げる。
(3)給水温度を下げ、エコノマイザの伝熱面の温度を低く保つ。
(4)硫黄分の少ない重油を選択する。
(5)重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げる。
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正解
(3)
給水温度を下げ、エコノマイザの伝熱面の温度を低く保つ。
この問題は何を聞いている?
重油を燃やすボイラーで起きる低温腐食を、どうやって抑えるかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
低温腐食とは?
燃料の硫黄からできた硫酸が、温度の低い伝熱面で結露して金属を腐らせること。エコノマイザ(排ガスの熱で給水を温める装置)など、排ガスの温度が下がる場所で起きやすい腐食です。
低温腐食が起きるまで
①燃料の硫黄が燃えて二酸化硫黄(SO₂)になる
②その一部が、さらに酸素と結びついて三酸化硫黄(SO₃)になる
③三酸化硫黄が、燃焼ガス中の水蒸気と結びついて硫酸になる
④伝熱面の温度が露点(結露し始める温度)より低いと、硫酸が結露して腐食する
(1) ⭕ 低温腐食を抑える方法である
燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。
燃焼室や煙道(燃焼ガスの通り道)に外の冷たい空気が漏れ込むと、ガスの温度が下がります。漏れ込みを防いで煙道ガスの温度を下げないのは、正しい方法です。
(2) ⭕ 低温腐食を抑える方法である
燃焼ガス中の酸素濃度を下げ、二酸化硫黄から三酸化硫黄への転換を抑制し、燃焼ガスの露点を下げる。
燃焼ガス中の酸素濃度を下げると、二酸化硫黄から三酸化硫黄への変化が抑えられます。硫酸のもとが減るので、燃焼ガスの露点が下がるのです。露点が下がれば、伝熱面がかなり冷えるまで結露しません。
(3) ❌ 低温腐食を抑える方法ではない
給水温度を下げ、エコノマイザの伝熱面の温度を低く保つ。
正しくは、給水温度を上げて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保ちます。伝熱面が冷えるほど、硫酸が結露しやすくなるからです。「下げ」「低く」と、向きが逆に入れ替えられている点が誤りです。
(4) ⭕ 低温腐食を抑える方法である
硫黄分の少ない重油を選択する。
硫酸のもとは、燃料にふくまれる硫黄です。硫黄分の少ない重油を選べば、できる硫酸も減ります。
(5) ⭕ 低温腐食を抑える方法である
重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げる。
重油に添加剤を加えて、燃焼ガスの露点を下げる方法もあります。
💡 覚え方
低温腐食は「冷えた窓ガラスの結露」と同じ考え方です。防ぐ方法は、面を温めるか、結露しにくくする(露点を下げる・硫黄を減らす)かの2方向。「冷やす」向きの記述は誤りです。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第17回 大気汚染・重油の障害・低温腐食
問25 燃料油タンク(貯蔵タンクとサービスタンク)
令和8年4月公表分野:燃料油タンク(貯蔵タンクとサービスタンク)重要度 ★★★
ボイラーの燃料油タンクに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)貯蔵タンクには、一般的に自動油面調節装置を取り付ける。
(2)貯蔵タンクの油取出し管は、タンクの底部から20~30cm上方に取り付ける。
(3)貯蔵タンクの油送入管は、油タンクの上部に取り付ける。
(4)燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される。
(5)サービスタンクの貯油量は、最大燃焼量の2時間分程度が一般的である。
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正解
(1)
貯蔵タンクには、一般的に自動油面調節装置を取り付ける。
この問題は何を聞いている?
重油などをためておく燃料油タンクの種類と、取り付けるものの決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
| タンク |
役目・決まり |
| 貯蔵タンク |
1週間〜1か月分の油を蓄える。油の送入管は上部、取出し管は底から20〜30cm上 |
| サービスタンク |
バーナの近くで使う分をためる。最大燃焼量の2時間分程度。油面計・温度計・自動油面調節装置を付ける |
(1) ❌ 誤りの記述
貯蔵タンクには、一般的に自動油面調節装置を取り付ける。
自動油面調節装置を取り付けるのは、サービスタンクのほうです。「貯蔵タンクには」ではありません。タンクの名前が入れ替えられている点が誤りです。
(2) ⭕ 正しい記述
貯蔵タンクの油取出し管は、タンクの底部から20~30cm上方に取り付ける。
貯蔵タンクの油取出し管は、底から20〜30cm上に取り付けます。タンクの底には、油より重い水やスラッジ(沈殿物)がたまるからです。底から直接取り出すと、それらを吸い込んでバーナの詰まりや燃焼不良の原因になります。
(3) ⭕ 正しい記述
貯蔵タンクの油送入管は、油タンクの上部に取り付ける。
貯蔵タンクへ油を入れる管(油送入管)は、タンクの上部に取り付けます。
(4) ⭕ 正しい記述
燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される。
燃料油タンクは、使いみちによって2つに分けられます。油を長く蓄えておく貯蔵タンクと、バーナの近くで使う分をためるサービスタンクです。
(5) ⭕ 正しい記述
サービスタンクの貯油量は、最大燃焼量の2時間分程度が一般的である。
サービスタンクにためる油の量は、最大燃焼量の2時間分程度が一般的です。貯蔵タンクの1週間〜1か月分と比べると、ずっと少ない量です。
🤔 油は、どんな順番で流れていくのですか。
一般的には、貯蔵タンク→サービスタンク→バーナの順です。大きな貯蔵タンクから、バーナの近くの小さなサービスタンクへ油を移して使います。
💡 覚え方
貯蔵タンク=大きくためる(1週間〜1か月分)、サービスタンク=使う分だけ(2時間分程度)。自動油面調節装置はサービスタンクに付くと覚えましょう。同じ入れ替えは、令和6年10月公表でも出ています。
以上から、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質
問26 油バーナの種類と微粒化のしくみ
令和8年4月公表分野:油バーナの種類と微粒化のしくみ重要度 ★★★
ボイラーの油バーナに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ガンタイプバーナは、ファンと圧力噴霧式バーナを組合せたもので、小容量ボイラーに多く用いられている。
(2)圧力噴霧式バーナは、霧化媒体を混合し、ノズルから噴霧して油を微粒化する。
(3)回転式バーナは、回転軸に取り付けられたカップの内面で油膜を形成し、遠心力により油を微粒化する。
(4)圧力蒸気噴霧式バーナは、比較的高圧の蒸気を霧化媒体として油を微粒化するもので、ターンダウン比が広い。
(5)戻り油式圧力噴霧バーナは、単純な圧力噴霧式バーナに比べ、ターンダウン比が広い。
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正解
(2)
圧力噴霧式バーナは、霧化媒体を混合し、ノズルから噴霧して油を微粒化する。
この問題は何を聞いている?
油バーナの名前と、油を霧にするしくみの組み合わせを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
微粒化(霧化)とは?
液体の燃料をごく細かい粒(霧)にすること。
💡 なぜ? 油は表面からしか燃えないので、細かい粒にして空気に触れる面積を増やすほど、すばやく燃え切るからです。
ターンダウン比とは?
1本のバーナで、最大の燃焼量と最小の燃焼量の比。燃焼量を調節できる範囲の広さを表します。
(1) ⭕ 正しい記述
ガンタイプバーナは、ファンと圧力噴霧式バーナを組合せたもので、小容量ボイラーに多く用いられている。
ガンタイプバーナは、ファン(空気を送る送風機)と圧力噴霧式バーナを組み合わせたものです。小容量のボイラーに多く使われています。
(2) ❌ 誤りの記述
圧力噴霧式バーナは、霧化媒体を混合し、ノズルから噴霧して油を微粒化する。
圧力噴霧式バーナは、油に高い圧力を加え、ノズルチップから噴き出させて霧にします。霧化媒体(油を霧にするために使う蒸気や空気)は使いません。霧化媒体を使うのは蒸気噴霧式・空気噴霧式のバーナで、しくみが入れ替えられている点が誤りです。
(3) ⭕ 正しい記述
回転式バーナは、回転軸に取り付けられたカップの内面で油膜を形成し、遠心力により油を微粒化する。
回転式バーナは、回転軸に付けたカップの内面に油の膜をつくります。その膜を遠心力で飛ばして、霧にするしくみです。
(4) ⭕ 正しい記述
圧力蒸気噴霧式バーナは、比較的高圧の蒸気を霧化媒体として油を微粒化するもので、ターンダウン比が広い。
比較的高圧の蒸気を霧化媒体として、その勢いで油を霧にするバーナです。問題文の「圧力蒸気噴霧式」は、令和5年10月公表で高圧蒸気噴霧式として出た文と同じ中身です。油の量を減らしても、霧の細かさは蒸気が保つので、ターンダウン比が広くなります。
(5) ⭕ 正しい記述
戻り油式圧力噴霧バーナは、単純な圧力噴霧式バーナに比べ、ターンダウン比が広い。
戻り油式は、バーナへ送った油の一部を戻して、噴き出す量を減らすしくみです。ノズルにかける圧力を保ったまま噴射量だけを減らせます。そのため単純な圧力噴霧式より、ターンダウン比が広いのです。
| バーナ |
油を霧にする力 |
| 圧力噴霧式 |
油そのものの圧力 |
| 蒸気噴霧式・空気噴霧式 |
蒸気や空気(霧化媒体)の勢い |
| 回転式 |
回して飛ばす遠心力 |
💡 覚え方
名前が、霧にする力を表していると考えましょう。圧力噴霧は油の圧力、蒸気噴霧は蒸気の勢い、回転式は遠心力です。「霧化媒体」という言葉は、名前に蒸気・空気が付くバーナだけに結びつきます。
以上から、正解は(2)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第16回 燃焼装置
問27 気体燃料の燃焼の特徴
令和8年4月公表分野:気体燃料の燃焼の特徴重要度 ★★★
ボイラーにおける気体燃料の燃焼の特徴に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)温暖化ガス削減、公害防止上などに有利である。
(2)空気との混合状態を比較的自由に設定でき、火炎の広がり、長さなどの調節が容易である。
(3)油火炎に比べると、ガス火炎は火炉での放射伝熱量は増えるが、接触伝熱面での伝熱量は減る。
(4)安定した燃焼が得られ、点火及び消火が容易である。
(5)燃料の加熱及び霧化媒体の高圧空気又は蒸気が不要である。
答え・解説を見る
正解
(3)
油火炎に比べると、ガス火炎は火炉での放射伝熱量は増えるが、接触伝熱面での伝熱量は減る。
この問題は何を聞いている?
都市ガスなどの気体燃料が、油と比べてどんな燃え方をするかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
放射伝熱と接触伝熱とは?
放射伝熱は、炎が出す光や熱線で熱が伝わること。接触伝熱は、熱いガスが伝熱面に触れて熱が伝わることです。
(1) ⭕ 正しい記述
温暖化ガス削減、公害防止上などに有利である。
気体燃料は、同じ熱量を出すときの二酸化炭素(CO₂)の発生が少ない燃料です。硫黄分や灰分も少ないので、温暖化ガスの削減や公害防止の面で有利です。
(2) ⭕ 正しい記述
空気との混合状態を比較的自由に設定でき、火炎の広がり、長さなどの調節が容易である。
気体燃料は、空気との混ぜ方を比較的自由に決められます。そのため、炎の広がりや長さの調節が容易です。
(3) ❌ 誤りの記述
油火炎に比べると、ガス火炎は火炉での放射伝熱量は増えるが、接触伝熱面での伝熱量は減る。
ガスの炎は、油の炎より放射が弱いのが特徴です。そのため火炉(燃料を燃やす部屋)での放射伝熱量は減り、接触伝熱面での伝熱量が増えます。「放射は増え、接触は減る」と、増える・減るの向きが入れ替えられている点が誤りです。
(4) ⭕ 正しい記述
安定した燃焼が得られ、点火及び消火が容易である。
気体燃料は安定した燃焼が得られ、点火も消火も容易です。
(5) ⭕ 正しい記述
燃料の加熱及び霧化媒体の高圧空気又は蒸気が不要である。
気体燃料はもともと気体なので、細かい霧にする手間がいりません。そのため燃料の加熱も、霧にするための高圧の空気や蒸気(霧化媒体)も不要です。
|
油の炎と比べたガスの炎 |
| 火炉での放射伝熱量 |
減る |
| 接触伝熱面での伝熱量 |
増える |
💡 覚え方
ガスの炎は青く透き通って、光が弱いと思い浮かべてください。光が弱いので放射伝熱は減り、そのぶん接触伝熱面での伝熱が増えるのです。この入れ替えは、令和6年10月公表でも出ています。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第14回 燃料の性質
問28 燃焼室熱負荷
令和8年4月公表分野:燃焼室熱負荷重要度 ★★
次の文中の 内に入れるAからCまでの語句の組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
「ボイラーの燃焼室熱負荷とは、単位時間における燃焼室のA当たりのBをいう。通常のCで、油・ガスバーナのときの燃焼室熱負荷は、400~1200kw/㎥である。」
|
A |
B |
C |
| (1) |
単位容積 |
発生熱量 |
炉筒煙管ボイラー |
| (2) |
単位容積 |
吸収熱量 |
水管ボイラー |
| (3) |
単位面積 |
発生熱量 |
貫流ボイラー |
| (4) |
伝熱面積 |
発生熱量 |
水管ボイラー |
| (5) |
伝熱面積 |
吸収熱量 |
炉筒煙管ボイラー |
答え・解説を見る
正解
(1)
単位容積 / 発生熱量 / 炉筒煙管ボイラー
この問題は何を聞いている?
燃焼室熱負荷という言葉の定義を、空欄に当てはめる問題です。「何あたりの」「どんな熱量か」を正確に覚えているかが問われています。
燃焼室熱負荷とは?
単位時間あたりに、燃焼室(燃料を燃やす部屋)の単位容積(1m³)あたりで発生する熱量。単位はkW/m³です。
💡 なぜ? 同じ熱をより小さな燃焼室で出せれば、ボイラーを小さくつくれるからです。燃焼室を設計するときの目安になります。
空欄A = 単位容積
燃焼室熱負荷は、燃焼室の単位容積あたりで考える数字です。単位がkW/m³(m³は体積の単位)であることからも、容積だと分かります。「単位面積」「伝熱面積」は、容積を面積に入れ替えたひっかけです。
空欄B = 発生熱量
燃焼室の中で、燃料が燃えて発生した熱量をいいます。水などが受け取った熱を指す「吸収熱量」ではありません。
空欄C = 炉筒煙管ボイラー
油・ガスバーナのときの燃焼室熱負荷は、通常の炉筒煙管ボイラーで400〜1200kW/m³です。炉筒煙管ボイラーとは、胴(円筒形の容器)の中に、火を燃やす筒と、燃焼ガスを通す管を収めたボイラーのこと。水管ボイラーの場合は200〜1200kW/m³なので、数字の始まりで見分けます。
| ボイラー |
油・ガスバーナの燃焼室熱負荷 |
| 炉筒煙管ボイラー |
400〜1200kW/m³ |
| 水管ボイラー |
200〜1200kW/m³ |
💡 覚え方
燃焼室熱負荷は「単位容積あたりの発生熱量」。単位のkW/m³を見れば、容積あたりだと思い出せます。数字は400から始まれば炉筒煙管、200から始まれば水管と対にしましょう。
A=単位容積、B=発生熱量、C=炉筒煙管ボイラーなので、正解は(1)です。
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問29 ボイラーの熱損失(最も大きいもの)
令和8年4月公表分野:ボイラーの熱損失(最も大きいもの)重要度 ★★
ボイラーの熱損失に関する記述について、一般的に、最も大きな熱損失となるのは次のうちどれか。
(1)燃えがら中の未燃分による損失
(2)不完全燃焼ガスによる損失
(3)各部からのドレンによる損失
(4)排ガス熱による損失
(5)ボイラー周壁からの放散熱による損失
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
ボイラーの熱損失のうち、一般にいちばん大きいものを1つ選ぶ問題です。
熱損失とは?
燃料の熱のうち、蒸気にならずに逃げてしまう熱のこと。
(1) ❌ 最も大きい熱損失ではない
燃えがら中の未燃分による損失
燃えがらに残った燃え残りによる損失です。熱損失の1つですが、いちばん大きいものではありません。
(2) ❌ 最も大きい熱損失ではない
不完全燃焼ガスによる損失
燃え切らなかった一酸化炭素(CO)などのガスが持つ熱による損失です。これも、いちばん大きいものではありません。
(3) ❌ 最も大きい熱損失ではない
各部からのドレンによる損失
抜き出したドレン(蒸気が冷えてできた水)が持ち出す熱による損失です。これも、いちばん大きいものではありません。
(4) ⭕ 最も大きい熱損失
排ガス熱による損失
煙突から出ていく排ガスが持ち去る熱による損失で、一般にいちばん大きい熱損失です。燃焼ガスは、ボイラーで熱を渡したあともまだかなり熱いまま、しかも大量に煙突から出ていくからです。
(5) ❌ 最も大きい熱損失ではない
ボイラー周壁からの放散熱による損失
ボイラーの外側から周りへ逃げる熱による損失です。これも、いちばん大きいものではありません。
🤔 空気をたくさん送れば、熱損失は減りますか。
いいえ、逆に増えます。空気が多すぎると、余った空気が温められて煙突から出ていくからです。排ガス熱による損失が大きくなるので、空気の量は適正に保つ必要があります。
💡 覚え方
いちばん大きい熱損失=煙突から出ていく排ガスの熱。エコノマイザ(排ガスの熱で給水を温める装置)は、このいちばん大きな損失を取り戻すための装置だと結びつけましょう。
一般に最も大きな熱損失は排ガス熱による損失なので、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第15回 燃焼の基礎・空気比・通風
問30 ボイラーの通風(自然通風・押込・誘引・平衡)
令和8年4月公表分野:ボイラーの通風(自然通風・押込・誘引・平衡)重要度 ★★★
ボイラーの通風に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 誘引通風は、平衡通風と押込通風を併用した構造で、炉内圧は大気圧よりわずかに低く調整する。
B 煙突によって生じる自然通風力は、外気の密度と煙突内のガスの密度との差に、煙突の高さを乗じることにより求められる。
C 押込通風は、一般に、常温の空気を取り扱い、所要動力が小さいので、油だきボイラーなどに広く用いられている。
D 平衡通風は、燃焼調節が容易で、通風抵抗の大きなボイラーでも強い通風力が得られる。
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,D
(4)B,C,D
(5)C,D
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この問題は何を聞いている?
ボイラーの通風の方式と、それぞれの特徴を問う問題です。AからDのうち、適切なものだけを集めた組合せを選びます。
通風とは?
炉や煙道(燃焼ガスの通り道)を通って起きる、空気と燃焼ガスの流れのこと。その流れを起こす圧力の差を通風力といいます。
💡 なぜ? 通風がうまくいかないと、燃焼に必要な空気が足りなくなるか、燃焼ガスが炉にこもってしまうからです。
| 方式 |
しくみ |
炉の中の圧力 |
| 押込通風 |
ファンで燃焼用の空気を炉内へ押し込む |
大気圧より高い |
| 誘引通風 |
煙道や煙突の入口のファンで、燃焼ガスを吸い出す |
大気圧より低い |
| 平衡通風 |
押込ファンと誘引ファンを併用する |
大気圧よりわずかに低い |
A ❌ 誤りの記述
誘引通風は、平衡通風と押込通風を併用した構造で、炉内圧は大気圧よりわずかに低く調整する。
2種類のファンを併用し、炉内圧を大気圧よりわずかに低く調節するのは、平衡通風です。平衡通風は、押込通風と誘引通風を併用した方式をいいます。誘引通風と平衡通風の名前が入れ替えられている点が誤りです。
B ⭕ 正しい記述
煙突によって生じる自然通風力は、外気の密度と煙突内のガスの密度との差に、煙突の高さを乗じることにより求められる。
煙突の中の燃焼ガスは熱くて軽いので、浮き上がる力が生まれます。これが自然通風です。その力は、(外気の密度−煙突内ガスの密度)×煙突の高さで求められます。ガスが熱いほど、煙突が高いほど強くなるのです。
C ⭕ 正しい記述
押込通風は、一般に、常温の空気を取り扱い、所要動力が小さいので、油だきボイラーなどに広く用いられている。
押込通風は、燃やす前の常温の空気を扱うので、ファンを回す動力が小さいのが特徴です。そのため、油だきボイラーなどに広く使われています。
D ⭕ 正しい記述
平衡通風は、燃焼調節が容易で、通風抵抗の大きなボイラーでも強い通風力が得られる。
平衡通風は、押し込む力と吸い出す力の両方を使います。燃焼調節が容易で、通風抵抗の大きなボイラーでも強い通風力が得られるのです。
💡 覚え方
押込=押して入れる、誘引=引っぱって出す、平衡=その両方。「併用」という言葉が出てきたら、平衡通風の説明だと判断しましょう。自然通風力は「密度の差×煙突の高さ」です。
適切なものはB・C・Dなので、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第15回 燃焼の基礎・空気比・通風
令和8年4月公表「燃料及び燃焼」のまとめ
まとめ
・高(総)発熱量−水蒸気の潜熱=低(真)発熱量。差は水素と水分の割合で決まる
・引火点=火を近づけて、着火温度=火なしで自然に燃え始める最低の温度
・重油の水分→スラッジ、残留炭素分→ばいじん、灰分→伝熱をさまたげる。実際空気量は理論空気量より多い
・低温腐食を抑えるには、給水温度を上げて伝熱面を温めるか、露点を下げる
・自動油面調節装置はサービスタンク。霧化媒体を使うのは蒸気噴霧式・空気噴霧式で、圧力噴霧式は使わない
・ガスの炎は放射伝熱が減り、接触伝熱面での伝熱が増える。燃焼室熱負荷は単位容積あたりの発生熱量
・最も大きい熱損失は排ガス熱。押込と誘引の併用が平衡通風で、炉内圧は大気圧よりわずかに低い