第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和3年度 下期・午前(2021年10月24日実施)の問1〜10です。
問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字が並ぶと身構えてしまいますが、土台になるのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式がほとんどです。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和3年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問1
分野:電気の基礎(合成抵抗)重要度 ★★★
図のような回路で,スイッチS1を閉じ,スイッチS2を開いたときの,端子a−b間の合成抵抗[Ω]は。
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この問題は何を聞いているの?
図の左はしにある「a」と「b」の2つの出口から見て、この回路全体を1つの抵抗にまとめると何Ωになるかを聞いています。スイッチが2つあり、1つは閉じて、もう1つは開いているのがポイントです。まず、出てくる言葉を1つずつ確かめましょう。
用語抵抗[Ω]とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど電気は流れにくくなるのが特徴です。図の中の細長い長方形が抵抗で、この問題には30Ωのものが4つ描かれています。
なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?
ホースにスポンジが詰まっていると水が通りにくくなるのと同じで、電線や部品の中にも電気の通り道を邪魔するものがあるからです。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。
用語合成抵抗(ごうせいていこう)とは?
いくつもの抵抗を、同じ働きをする1つの抵抗に置きかえたときの値のことです。「a−b間の合成抵抗」なら、aとbの間にある部品をまとめて1個の抵抗と見たときの大きさを指します。
なぜ?なぜ1つにまとめて考えるのか?
まとめてしまえば、あとの計算がオームの法則1本で済むからです。いくつもの部品が入り組んだままでは、流れる電流を求めにくくなります。
用語端子(たんし)とは?
電気を取り出したり、機械をつないだりするための出口のことです。図の左にある小さな丸が端子で、上がa、下がbです。
なぜ?なぜ端子から見た抵抗を聞かれるのか?
実際には、このaとbに電源や測定器をつなぐ場面を想定しているからです。つないだ相手から見て回路がどれだけ流れにくいかが分かれば、流れる電流も計算できます。
用語スイッチを「閉じる」「開く」とは?
閉じる=つながって電気が通る(ON)、開く=切れて電気が通らない(OFF)という意味です。この問題ではS1が閉じていて、S2が開いています。
なぜ?なぜ「閉じる」がONになるのか?
スイッチを道路の跳ね橋だと思ってください。橋を下ろして(閉じて)道がつながれば車は通れ、橋を上げれば(開けば)通れません。日常の「ドアを閉じる=通れない」とは逆に感じるので、取りちがえに気をつけましょう。
S1を閉じると、上の30Ωは「消える」
図の左上を見ると、30Ωの抵抗の真下にスイッチS1が並んでいます。抵抗とスイッチが同じ2つの点を、上と下の2本の道でつないでいる形です。
用語短絡(たんらく)とは?
抵抗のある部品を、抵抗のない電線(またはスイッチ)でまたいでしまうことです。「ショート」とも呼ばれる現象です。またがれた部品には電気が流れなくなり、計算ではないものとして扱えます。
なぜ?なぜ電気は抵抗のほうを通らなくなるのか?
電気は通りやすい道へ流れる性質があるからです。30Ωの道と、ほぼ0Ωのスイッチの道が並んでいれば、電気はスイッチ側へ流れます。広い道と狭い道が並んでいたら、車が広い道に集まるのと同じです。
つまりS1を閉じたので、上の30Ωは計算から外してかまいません。
S2が開いているので、右の30Ωにも電流は流れない
次に右側を見ます。右上の30Ωの先はS2を通ってbにつながる道です。ところがS2は開いている(切れている)ので、この道は途中で行き止まりになっています。
用語開放(かいほう)とは?
回路の先が、どこにもつながらず途切れている状態のことです。行き止まりの道と同じで、そこには電流が流れません。
なぜ?なぜ行き止まりの道には電流が流れないのか?
電気は出発点から出て、ぐるっと回って戻ってこないと流れないからです。右の30Ωはその先が切れているので、電気が戻る道がなく、計算から外してかまいません。
残るのは「30Ωが2本の1本道」
ここまでで2本の抵抗を外しました。残るのは左の30Ωと、まん中で縦に立っている30Ωの2本です。a → 左の30Ω → (S1を通過)→ 縦の30Ω → b という1本道になっています。
用語直列(ちょくれつ)とは?
部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の抵抗はそのまま足し算して1つにまとめます。
なぜ?なぜ直列だと抵抗が足し算になるのか?
1本道なので、電気はどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより2倍通りにくくなります。
手順1 S1が閉じているので、上の30Ωは短絡されて計算から外す。
手順2 S2が開いているので、右の30Ωには電流が流れない。計算から外す。
手順3 残りは左の30Ωと縦の30Ωの直列。
手順4 合成抵抗 = 30 + 30 = 60Ω
よって答えはロの60Ωです。
覚えるこの問題の覚え方
「閉じたスイッチの横の抵抗は消す。開いたスイッチの先の抵抗も消す」。スイッチの問題は、この2種類の「消す」を先に済ませると、残った回路がぐっと単純になります。消し終わってから足し算をする、という順番を守りましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.45 … S2も閉じていると読みちがえた人が選ぶ数字です。S2が閉じていれば、縦の30Ωと右の30Ωが横並び(並列)になって15Ω。左の30Ωと足して45Ωになります。
ハ.75 … S1とS2の開閉を逆に読んだ人が選ぶ数字です。上の30Ωが残り(30+30)、右側が並列の15Ωになるので、30+30+15=75Ωになります。
ニ.120 … スイッチを無視して4つの抵抗を全部足した人が選ぶ数字です(30×4=120)。
問2
分野:電気の基礎(抵抗率)重要度 ★★☆
電気抵抗R[Ω],直径D[mm],長さL[m]の導線の抵抗率[Ω・m]を表す式は。
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この問題は何を聞いているの?
電線の抵抗・太さ・長さが分かっているとき、その電線の材料の「抵抗率」を表す式はどれかを聞いています。数字を入れる問題ではなく、4つの式から正しい形を1つ選ぶ問題です。式の組み立て方が分かれば、計算力はほとんど要りません。
用語導線(どうせん)とは?
電気を通すための線のことです。一般的には銅でできています。この問題では1本の細長い金属の棒だと思って読んでください。
なぜ?なぜ導線の材料に銅が多いのか?
銅は電気をよく通し、値段も比較的安く、曲げやすいからです。銀のほうがよく通しますが、値段が高すぎて電線には向きません。
用語抵抗率(ていこうりつ)とは?
その材料そのものの、電気の通しにくさを表す数字です。単位はΩ・m(オーム・メートル)で、記号はρ(ロー)を使います。銅は小さく鉄は大きい、というように材料ごとに決まっている値です。
なぜ?なぜ抵抗Ωとは別に抵抗率が必要なのか?
同じ銅でも、長い電線ほど抵抗は大きく、太い電線ほど抵抗は小さくなるからです。抵抗Ωは「その1本の長さと太さ」で変わってしまうのです。そこで長さと太さの影響を取り除いた、材料だけの数字として抵抗率が使われます。
もとになる式は「抵抗=抵抗率×長さ÷断面積」
電線の抵抗を表す基本の式はR = ρ × L ÷ Aです(Aは断面積)。この問題は、この式を「ρ=」の形に並べかえるだけで答えが出ます。
用語この式が言っていること
長いほど抵抗は大きく、太いほど抵抗は小さいということです。長さLはかけ算の位置に、断面積Aはわり算の位置にあります。
なぜ?なぜ長いと大きく、太いと小さくなるのか?
水道のホースで考えてみましょう。長いホースほど水は通りにくく、太いホースほどたくさん流れます。電気も同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。
用語断面積(だんめんせき)とは?
電線を輪切りにしたときの、切り口の面積のことです。切り口は円なので、直径をDとすると断面積 = π × D × D ÷ 4で求まります(πは円周率で約3.14)。
なぜ?なぜ直径Dを2回かけて4で割るのか?
円の面積は半径×半径×πで求める決まりだからです。半径は直径の半分(D÷2)なので、(D÷2)×(D÷2)×π = π×D²÷4になります。4で割るのは「半分」を2回かけた名残です。
この問題の山場は「mm」を「m」に直すところ
問題文では直径Dがmm(ミリメートル)、長さLがm(メートル)と、単位がそろっていません。ここが出題のねらいです。
なぜ?なぜ単位をそろえないといけないのか?
抵抗率の単位がΩ・mで、中に「m(メートル)」が入っているからです。式に入れる長さも面積もメートルの世界の数字でなければ、正しい答えになりません。「1000円+2ドル」をそのまま足せないのと同じです。
コツmm²をm²に直すには10⁻⁶をかける
1m = 1000mmなので、面積では1m² = 1000 × 1000 = 1 000 000mm²です。つまり1mm² = 100万分の1 m²。式では×10⁻⁶と書きます。例えば断面積2mm²の電線なら、2×10⁻⁶ m²、つまり0.000002m²です。
なぜ?なぜ長さは1000倍なのに、面積は100万倍になるのか?
面積はたて×よこだからです。たても1000倍、よこも1000倍なので、1000×1000=100万倍になります。1辺1mの正方形の中に、1辺1mmの小さな正方形が100万個並ぶと想像してみてください。
1ステップずつ式を組み立てる
手順1 もとの式を書く → R = ρ × L ÷ A
手順2 断面積をmm²で表す → A = πD² ÷ 4 [mm²]
手順3 m²に直す → A = (πD² ÷ 4)× 10⁻⁶ [m²]
手順4 ρを求める形に並べかえる → ρ = R × A ÷ L
手順5 手順3のAを入れる → ρ = R × (πD² ÷ 4)× 10⁻⁶ ÷ L
手順6 整理する → ρ = πD²R ÷ (4L × 10⁶) (10⁻⁶をかけることは、10⁶で割ることと同じ)
よって答えはハです。
なぜ?なぜR=ρL÷Aを「ρ=R×A÷L」に並べかえてよいのか?
両方に同じ数をかけたり割ったりしても、等しい関係は崩れないからです。R=ρL÷A の両方にAをかけると R×A=ρ×L、さらに両方をLで割ると ρ=R×A÷L の形です。例えば 6=3×4÷2 なら、3=6×2÷4 も成り立ちます。
式を組み立てなくても、見比べるだけで選べる
覚える見分けるポイントは2か所
① 直径Dは必ず2乗 … Dは面積を作るために2回かけるので、D²の形です。Dが1乗のイとニが消えます。
② 長さLは1乗 … 長さは1回かけ算(ここではわり算)に入るだけです。L²になっているロが消えます。
残るのはハだけ … πD²R ÷(4L×10⁶)。分母に4が残り、mmの影響で10⁶が出てくる形です。
覚えるこの問題の覚え方
「太さ(直径)は2乗、長さは1乗」。そして「mmが混ざったら10⁶が出てくる」。抵抗を求める式でも、抵抗率を求める式でも、この2つは変わりません。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.πDR÷(4L×10³) … 直径Dを2乗し忘れた人の形です。Dを1回しかかけていないので、mm→mの直しも1回分(10³)になっています。
ロ.πD²R÷(L²×10⁶) … 長さLまで2乗してしまった人の形です。2乗するのは面積を作る直径だけ、と分けて覚えましょう。分母の4もなくなっています。
ニ.πDR÷(4L²×10³) … DとLの両方を取りちがえた人の形です。
問3
分野:電気の基礎(電力量と熱量)重要度 ★★★
消費電力が300 Wの電熱器を,2時間使用したときの発熱量[kJ]は。
イ.600
ロ.1 080
ハ.2 160
ニ.3 600
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この問題は何を聞いているの?
300Wの電熱器を2時間使ったら、どれだけの熱が出るかを、kJ(キロジュール)という単位で答える問題です。「時間を秒に直す」ことさえ忘れなければ、かけ算2回で解けます。
用語消費電力[W]とは?
その機械が1秒間に使う電気の量のことです。単位はW(ワット)。300Wの電熱器なら、1秒ごとに300の電気のエネルギーを使っています。
なぜ?なぜ「1秒あたり」で表すのか?
機械の強さを比べやすくするためです。使う時間が長いか短いかに関係なく、「この機械はどれだけ勢いよく電気を使うか」を1つの数字で表せます。
用語電熱器(でんねつき)とは?
電気を熱に変えて使う器具のことです。電気ストーブや電気コンロなどが代表例です。電熱器は使った電気がほぼそのまま熱になると考えて計算します。
なぜ?なぜ消費電力がそのまま発熱量になるのか?
電熱器は、電気を光や動きではなく熱に変えることが目的の器具だからです。試験の計算では、使った電気のエネルギー=出た熱として扱います。
用語ジュール[J]とは?
エネルギーや熱の量を表す単位です。1Wの電気を1秒間使ったときのエネルギーが1Jと決められています。kJ(キロジュール)は1000Jのことです。
なぜ?なぜ「W×秒」でジュールになるのか?
Wが「1秒あたりのエネルギー」だからです。1秒あたりの量に秒数をかければ、合計の量になります。時速60kmで2時間走れば120km進む、というのと同じ考え方です。
2時間を秒に直してからかける
Wは「1秒あたり」なので、時間も秒で数えなければなりません。1時間=60分=60×60=3600秒です。
手順1 2時間を秒に直す → 2 × 3600 = 7200秒
手順2 発熱量[J]= 消費電力 × 秒数 = 300 × 7200 = 2 160 000J
手順3 kJに直す(1000で割る)→ 2 160 000 ÷ 1000 = 2 160kJ
よって答えはハの2 160kJです。
コツ「1kWh=3600kJ」を使う別の解き方
300Wは0.3kWです。2時間使うと 0.3 × 2 = 0.6kWh(キロワット時)。1kWh=3600kJなので、0.6 × 3600 = 2 160kJと同じ答えになります。1kWは1秒に1kJなので、1時間(3600秒)では3600kJになる、という理屈です。
覚えるこの問題の覚え方
「W×秒=J」。時間で与えられたらまず3600をかけて秒に直す、と決めておきましょう。答えをkJで聞かれたら、最後に1000で割るのを忘れずに。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.600 … 秒に直さず、300×2をしただけの人が選ぶ数字です。600はWh(ワット時)の値で、kJではありません。
ロ.1 080 … 2時間をかけ忘れた人が選ぶ数字です。300×3600=1 080 000J=1 080kJは、1時間ぶんの発熱量にあたります。
ニ.3 600 … 誤りです。秒数(7200)と消費電力(300)を両方かけることを確かめましょう。
問4
分野:電気の基礎(交流回路の消費電力)重要度 ★★★
図のような抵抗とリアクタンスとが直列に接続された回路の消費電力[W]は。
イ.600
ロ.800
ハ.1 000
ニ.1 250
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この問題は何を聞いているの?
100Vの交流電源に、8Ωの抵抗と6Ωのコイル(リアクタンス)を1本道でつないだとき、回路で使われる電力は何Wかを聞いています。「電気を使うのは抵抗だけ」と知っているかどうかが分かれ目です。
用語交流(こうりゅう)とは?
電気の流れる向きが、1秒間に100回以上も入れかわる電気のことです。家庭用コンセントの電気が交流です。図の丸の中に波の形「〜」がある記号が交流の電源を表しています。
なぜ?なぜ交流だと抵抗以外の「邪魔」が出てくるのか?
向きが入れかわるたびに、コイルが電流の変化に逆らうからです。向きが変わらない直流ではこの邪魔は起きず、交流だからこそ出てくる性質です。
用語リアクタンス[Ω]とは?
コイルなどが交流の流れを邪魔する度合いのことです。単位は抵抗と同じΩ。図のくるくる巻いた線(6Ω)がコイルで、そのリアクタンスが6Ωという意味です。
なぜ?なぜリアクタンスは電気を使わないのか?
コイルは電気のエネルギーをいったんためて、すぐ電源に返すことをくり返しているだけだからです。ためては返すので、差し引きで使われる電気は0になります。電気を熱に変えて本当に使うのは抵抗だけです。
用語インピーダンス[Ω]とは?
抵抗とリアクタンスを合わせた、回路全体の流れにくさのことです。直列の場合は√(抵抗² + リアクタンス²)で求めます(√は「2回かけるとその数になる数」)。
なぜ?なぜ8+6=14Ωにならないのか?
抵抗の邪魔とリアクタンスの邪魔は、タイミングが4分の1周期ずれて起きるからです。ずれている2つは単純に足せず、直角三角形の斜めの辺のように合わせます。8と6なら、√(64+36)=√100=10Ωです。
電流を出してから、抵抗の分だけ電力を計算する
手順1 インピーダンス = √(8² + 6²)= √(64 + 36)= √100 = 10Ω
手順2 流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 100 ÷ 10 = 10A
手順3 直列なので、抵抗にもコイルにも同じ10Aが流れる。
手順4 消費電力 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 8 = 800W
よって答えはロの800Wです。
なぜ?なぜ消費電力は「電流×電流×抵抗」なのか?
電力は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は電流×抵抗(オームの法則)です。2つを組み合わせると、電流×抵抗×電流になります。この問題なら、抵抗にかかる電圧は10×8=80V、電力は80×10=800Wと、どちらで計算しても同じ答えです。
覚えるこの問題の覚え方
「電気を使うのは抵抗だけ。コイルは使わない」。インピーダンスは電流を求めるためだけに使い、電力は抵抗の数字(8Ω)で計算します。8・6・10の組み合わせ(3・4・5の2倍)は、この分野でよく見かける数字です。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.1 250 … コイルを無視して、100Vが8Ωだけにかかると考えた人が選ぶ数字です(100×100÷8=1 250)。
ハ.1 000 … 電圧×電流(100×10)をそのまま消費電力とした人が選ぶ数字です。これはコイルの分も含んだ見かけの電力で、実際に使われる電力ではありません。
イ.600 … 抵抗ではなくコイルの6Ωで計算した人が選ぶ数字です(10×10×6=600)。コイルは電気を使わないので、この計算は成り立ちません。
問5
分野:電気の基礎(三相交流)重要度 ★★★
図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき,各線に20 Aの電流が流れた。線間電圧E[V]は。
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この問題は何を聞いているの?
3本の電線で送る三相交流で、6Ωの抵抗3つをY(スター)の形につないだところ、どの線にも20Aが流れました。このとき電線と電線の間の電圧Eは何Vかを聞いています。
用語三相交流(さんそうこうりゅう)とは?
タイミングを少しずつずらした3つの交流を、3本の電線で送る方式のことです。図の「3φ3W」は三相(3φ)・3本の線(3W)という意味です。工場のモーターなど、大きな機械によく使われます。
なぜ?なぜ3つの交流をずらして送るのか?
3つの波の山がずれていると、どの瞬間でも合計の電力がほぼ一定になるからです。モーターがなめらかに回り、少ない電線で多くの電力を送れます。
用語負荷(ふか)とは?
電気を使う側の機械や部品のことです。この問題では6Ωの抵抗3つが負荷にあたります。
なぜ?なぜ「負荷」という言葉を使うのか?
電源から見ると、電気を使う機械は電源に「負担をかける」相手だからです。電灯でもモーターでも、まとめて負荷と呼びます。
用語Y結線(スター結線)とは?
3つの負荷の片方の端を1か所に集め、もう片方をそれぞれの電線につなぐ形のことです。図のように、上・左下・右下へアルファベットのYの形に広がっています。
なぜ?なぜY結線では線間電圧が負荷1つの電圧の√3倍になるのか?
線と線の間には負荷が2つ通り道に入るのに、2つの電圧はタイミングがずれているので、単純な2倍にならないからです。ずれた2つを合わせると、ちょうど√3倍(約1.73倍)になります。
用語線間電圧(せんかんでんあつ)とは?
3本の電線のうち、2本の間の電圧のことです。図のE[V]の矢印が、線と線の間を指しているのです。一方、負荷1つにかかる電圧は「相電圧(そうでんあつ)」と呼びます。
なぜ?なぜ線間電圧と相電圧を分けて考えるのか?
Y結線では線間電圧と負荷1つの電圧が同じにならないからです。どちらを聞かれているのかを区別しないと、√3をかけ忘れたり、余計にかけたりしてしまいます。
負荷1つの電圧を出してから√3倍する
Y結線では、電線に流れる20Aが、そのまま負荷1つに流れる電流です。電線1本の先に負荷が1つずつつながっているからです。
手順1 負荷1つに流れる電流 = 20A(Y結線なので線の電流と同じ)
手順2 負荷1つにかかる電圧 = 電流 × 抵抗 = 20 × 6 = 120V
手順3 線間電圧E = 120 × √3 = 120 × 1.73 = 207.6V
手順4 いちばん近い選択肢は 208V
よって答えはハの208Vです。問題の注意書きどおり、√3は1.73として計算します。
覚えるこの問題の覚え方
「Y(スター)は、電流そのまま・電圧√3倍」。Yの形では、電線の電流がそのまま負荷を流れ、線と線の間の電圧は負荷1つの電圧の√3倍になります。まず負荷1つの電圧(20×6=120V)を出し、最後に1.73をかけると覚えましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.120 … 負荷1つの電圧(相電圧)を答えてしまった人が選ぶ数字です。聞かれているのは線と線の間の電圧なので、√3倍が必要です。
ニ.240 … 負荷が2つ通り道に入るから、と単純に2倍した人が選ぶ数字です(120×2)。2つの電圧はタイミングがずれているので、2倍ではなく√3倍になります。
ロ.173 … 誤りです。20×6=120Vを出してから1.73をかけるという順番を確かめましょう。
問6
分野:配電理論(電圧降下)重要度 ★★★
図のような単相2線式回路において,d−d′間の電圧が100 Vのときa−a′間の電圧[V]は。ただし,r1,r2及びr3は電線の電気抵抗[Ω]とする。
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この問題は何を聞いているの?
電源(左のa−a′)から、3つの負荷へ電線で電気を送っている回路です。いちばん遠いd−d′で100Vになっているとき、出発点のa−a′では何Vだったかを聞いています。電線にも少し抵抗があり、そこで電圧が少しずつ減っていくのがポイントです。
用語単相2線式(たんそうにせんしき)とは?
行きの電線1本と帰りの電線1本、合わせて2本で電気を送る方式のことです。図の「1φ2W」は単相(1φ)・2本の線(2W)という意味です。図では上の線が行き、下の線が帰りになっています。
なぜ?なぜ電線が2本必要なのか?
電気は出発点から出て、ぐるっと回って戻ってこないと流れないからです。行きの道だけでは流れが始まりません。だから行きと帰りの両方の電線に電流が流れます。
用語電圧降下(でんあつこうか)とは?
抵抗に電流が流れると、その前後で電圧が下がることです。下がる大きさは電流×抵抗です。例えば0.1Ωの電線に5Aが流れると、5×0.1=0.5V下がります。
なぜ?なぜ電線でも電圧が下がるのか?
電線にもわずかな抵抗があるからです。水道管が長いと、先の蛇口では水の勢いが少し弱くなるのと同じです。電源の電圧は、電線で少しずつ使われながら負荷まで届きます。
用語抵抗負荷とは?
電気を使う機械(負荷)のうち、抵抗だけでできているもののことです。電熱器のような器具をイメージしてください。図の矢印(10A・5A・5A)は、それぞれの負荷に流れる電流です。
なぜ?なぜ負荷の電流から電線の電流が分かるのか?
電線を流れる電流は、その先にある負荷へ配られていくからです。水道の本管が、途中の家に水を配りながら細っていくのと同じで、電源に近い電線ほど、先の負荷の電流をまとめて運んでいます。
まず、区間ごとに電線を流れる電流を出す
右(遠い側)から順に考えると分かりやすくなります。
例区間ごとの電流
c〜dの電線(r3) … 先にあるのはdの負荷だけ → 5A
b〜cの電線(r2) … 先にあるのはcとdの負荷 → 5 + 5 = 10A
a〜bの電線(r1) … 先にあるのはb・c・dの負荷全部 → 10 + 5 + 5 = 20A
d−d′から、1区間ずつ電圧をさかのぼる
下がった分を足していけば、電源側の電圧に戻れます。行きと帰りの2本ぶんを足すのを忘れないようにしましょう。
手順1 c−c′間の電圧 = 100 + 2本 × (5A × 0.1Ω)= 100 + 1 = 101V
手順2 b−b′間の電圧 = 101 + 2本 × (10A × 0.1Ω)= 101 + 2 = 103V
手順3 a−a′間の電圧 = 103 + 2本 × (20A × 0.05Ω)= 103 + 2 = 105V
よって答えはニの105Vです。
なぜ?なぜ電圧降下を「2本分」足すのか?
単相2線式では、行きの電線と帰りの電線の両方に同じ電流が流れるからです。図でも上の線と下の線に、同じ大きさの抵抗(r1・r2・r3)が描かれています。上で下がり、下でも下がるので2倍です。
覚えるこの問題の覚え方
「遠い側から、電流を足しながらさかのぼる」。電源に近い電線ほど、先の負荷の電流をまとめて運んでいます。そして単相2線式は「行きと帰りで2倍」。この2つを守れば、区間が何個あっても同じやり方で解けます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.103 … 電線の電流を足し合わせず、負荷の矢印の電流(10A・5A・5A)をそのまま使った人が選ぶ数字です。2×(0.05×10+0.1×5+0.1×5)=3Vで、100+3=103Vになってしまいます。
イ.102 … 誤りです。区間ごとの電流(5A・10A・20A)と2本分の両方を確かめましょう。
ハ.104 … 誤りです。b〜cの電線にはcとdの2つの負荷の電流(10A)が流れる点を見落とさないようにしましょう。
問7
分野:配電理論(単相3線式)重要度 ★★★
図のような単相3線式回路において,電線1線当たりの抵抗が0.05 Ωのとき,a−b間の電圧[V]は。
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この問題は何を聞いているの?
3本の電線で電気を送る単相3線式で、上と下の負荷にどちらも20Aが流れている回路です。このとき上の負荷にかかる電圧(a−b間)は何Vかを聞いています。まん中の線に電流が流れるかどうかが最大のポイントです。
用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?
3本の電線で、100Vと200Vの両方を使えるようにした方式のことです。図の「1φ3W」は単相・3本の線という意味です。多くの住宅で使われています。この問題の電源は104V+104V=208Vです。
なぜ?なぜ住宅で3本の線を使うのか?
照明やコンセントは100V、エアコンなどは200Vと、両方を使い分けたいからです。上の線とまん中の線の間、まん中の線と下の線の間がそれぞれ100V級、上と下の線の間が200V級になります。
用語中性線(ちゅうせいせん)とは?
単相3線式のまん中の電線のことです。上の回路と下の回路の両方の帰り道を兼ねています。
なぜ?なぜ上下の電流が同じだと中性線に電流が流れないのか?
上の回路の電流と下の回路の電流は、中性線の中で向きが逆になるからです。上から20A、下から20Aが逆向きに来ると、打ち消し合って0Aになります。綱引きで両側が同じ力で引くと、綱が動かないのと同じです。
用語電圧降下とは?
電線の抵抗に電流が流れて、その分だけ電圧が下がることです。下がる大きさは電流×抵抗で求めます。電流が0なら、下がる電圧も0です。
なぜ?なぜ電線で下がった分を電源の電圧から引くのか?
電源が出した電圧は、電線で少し使われてから負荷に届くからです。負荷にかかる電圧=電源の電圧−電線で下がった分、という関係になります。
上の回路だけを1周して考える
a−b間の電圧は、上の電線(0.05Ω)→ 上の負荷 → 中性線(0.05Ω)という上半分の回路で決まるからです。電源はこの部分に104Vをかけています。
手順1 上の電線に流れる電流 = 20A → 電圧降下 = 20 × 0.05 = 1V
手順2 中性線に流れる電流 = 上20A − 下20A = 0A → 電圧降下 = 0 × 0.05 = 0V
手順3 a−b間の電圧 = 104 − 1 − 0 = 103V
よって答えはニの103Vです。
覚えるこの問題の覚え方
「上下の電流が同じなら、中性線はお休み」。単相3線式で上下の負荷の電流が等しいときは、中性線の電圧降下を0として、外側の線1本分だけ引きます。上下の電流がちがうときは、中性線に「差」の電流が流れるので注意しましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.102 … 中性線にも20Aが流れると考えた人が選ぶ数字です。104−1−1=102Vになりますが、上下の電流が同じなので中性線の電流は0Aです。
イ.100 … 誤りです。上の電線の電圧降下(1V)だけを引けばよい、と確かめましょう。
ロ.101 … 誤りです。中性線の電流が0Aになる理由(上下の電流が打ち消し合う)をもう一度確かめましょう。
問8
分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★
低圧屋内配線の合成樹脂管工事で,管内に直径2.0 mmの600Vビニル絶縁電線(軟銅線)を4本収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30℃以下とする。
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この問題は何を聞いているの?
プラスチックの管の中に、太さ2.0mmの電線を4本まとめて通したとき、電線1本に何Aまで流してよいかを聞いています。覚えている数字に、本数で決まる係数をかけるだけの問題です。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
その電線に安全に流してよい電流の上限のことです。これを超えて流し続けると電線が熱くなりすぎ、まわりのビニルが傷んで火事の原因になります。
なぜ?なぜ電線ごとに上限が決まっているのか?
電線に電流が流れると、電線の抵抗によって熱が出るからです。太い電線ほど抵抗が小さく熱が出にくいので、太いほどたくさん流せます。
用語600Vビニル絶縁電線(IV線)とは?
銅の線を、ビニルの皮(絶縁物)で1重に包んだ電線のことです。略してIV(アイブイ)と呼びます。「軟銅線(なんどうせん)」はやわらかく加工した銅の線のことです。
なぜ?なぜ電線をビニルで包むのか?
銅がむき出しだと、人がさわって感電したり、ほかの電線とふれてショートしたりするからです。電気を通さないビニルで包むことを「絶縁(ぜつえん)」といいます。
用語合成樹脂管工事とは?
プラスチック(合成樹脂)でできた管の中に電線を通して配線する工事のことです。管が電線を傷や衝撃から守ります。
なぜ?なぜ管に入れると流せる電流が減るのか?
管の中は風通しが悪く、熱がこもりやすいからです。しかも電線が何本も入っていると、お互いの熱で温め合ってしまうのです。そこで本数が多いほど、流してよい電流を減らす決まりになっています。
用語電流減少係数とは?
管の中の電線の本数に応じて、許容電流にかける数のことです。本数が多いほど小さな数になり、流してよい電流が減ります。
なぜ?なぜ「30℃以下」と書いてあるのか?
許容電流の基本の数字は、まわりの温度が30℃以下の場合を前提に決められているからです。この条件があるので、表の数字をそのまま使ってよいと分かります。
覚えておく2つの表
覚える電線1本の許容電流(がいし引き配線など、管に入れないとき)
直径1.6mm … 27A
直径2.0mm … 35A
直径2.6mm … 48A
覚える同じ管に入れる電線の本数と電流減少係数
3本以下 … 0.70
4本 … 0.63
5〜6本 … 0.56
7〜15本 … 0.49
表の数字に係数をかける
手順1 直径2.0mmの電線の許容電流 = 35A
手順2 管に4本入れるので、電流減少係数 = 0.63
手順3 電線1本当たりの許容電流 = 35 × 0.63 = 22.05A
手順4 いちばん近い選択肢は 22A
よって答えはハの22Aです。35×0.63の計算は、35×0.6=21と35×0.03=1.05に分けて、21+1.05=22.05とすると暗算しやすくなります。
コツ係数の並びの覚え方
係数は0.70 → 0.63 → 0.56 → 0.49と、0.07ずつ小さくなる並びです。いちばん上の0.70だけ覚えておけば、残りは7を引いていけば思い出せます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.24 … 「3本以下」の係数0.70を使った人が選ぶ数字です(35×0.70=24.5)。今回は4本なので0.63です。
ロ.19 … 「5〜6本」の係数0.56を使った人が選ぶ数字です(35×0.56=19.6)。本数と係数の組み合わせを1段ずらさないようにしましょう。
イ.17 … 1.6mmの許容電流27Aを使った人が選ぶ数字です(27×0.63=17.01)。2.0mmは35Aです。
問9
分野:配線設計(幹線の分岐)重要度 ★★★
図のように定格電流40 Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10 mの位置に過電流遮断器を施設するとき,a−b間の電線の許容電流の最小値[A]は。
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この問題は何を聞いているの?
40Aのブレーカーで守られた太い電線(幹線)から枝分かれして、10m先に別のブレーカーを付けるとき、その10mの電線(a−b間)は、少なくとも何Aまで流せる太さが必要かを聞いています。距離で決まる3段階のルールを当てはめる問題です。
用語幹線(かんせん)とは?
電源から各部屋の方向へ電気を運ぶ、太い本線の電線のことです。図の横に伸びる太い線が幹線です。木に例えると幹にあたります。
なぜ?なぜ幹線から枝分かれさせるのか?
1本の太い線から部屋ごと・用途ごとに電気を分けて配るためです。枝分かれした先の線は、幹線より細くてよい場合があります。
用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?
決められた以上の電流が流れたとき、自動で電気を止める装置のことです。家庭のブレーカー(配線用遮断器)がその代表で、図の四角に「B」の記号がこれにあたります。
なぜ?なぜ電気を自動で止める装置が必要なのか?
電線に許容電流を超える電流が流れ続けると、電線が熱くなって火事になるおそれがあるからです。遮断器は、そうなる前に電気を止めて電線を守ります。
用語定格電流(ていかくでんりゅう)とは?
その器具が安全に使える電流の基準の値のことです。「定格電流40Aの過電流遮断器」は、40Aを目安に働くブレーカーという意味です。
なぜ?なぜ枝分かれした電線は、幹線のブレーカーで守り切れないのか?
細い電線に、40Aより少ない電流(例えば30A)が流れ続けると、幹線の40Aのブレーカーは落ちないのに、細い電線は熱くなりすぎることがあるからです。だから枝分かれした電線には、距離に応じて「最低これだけの太さ」が決められています。
分岐点からの距離で決まる3段階のルール
覚える分岐した電線の許容電流(幹線のブレーカーの定格電流に対して)
3m以下 … 制限なし
3mを超え8m以下 … 35%以上
8mを超える … 55%以上
なぜ?なぜ距離が長いほど太い電線が必要なのか?
分岐点から次のブレーカーまでの電線は、どちらのブレーカーにも十分守られていない区間だからです。この区間が長いほど、ショートなどの事故が起きうる場所も増えるでしょう。そこで長くなるほど、幹線に近い太さを求める決まりになっています。
10mは「8mを超える」に当てはまる
手順1 分岐点(a)から次のブレーカー(b)までの距離 = 10m
手順2 10mは8mを超えるので、55%以上のルールを使う。
手順3 必要な許容電流 = 40 × 0.55 = 22A
よって答えはニの22Aです。40×0.55は、40×0.5=20と40×0.05=2を足して22と計算できます。
覚えるこの問題の覚え方
「3・8で、なし・35・55」。距離の区切りは3mと8m、割合は35%と55%です。まず距離を見てどの段か決め、幹線側のブレーカーの数字に割合をかけます。枝の先のブレーカーの数字ではない点に注意しましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.14 … 「8m以下」の35%を使った人が選ぶ数字です(40×0.35=14)。10mは8mを超えるので55%です。
イ.10 … 誤りです。10mは8mを超えるので、40Aの55%を求めます。
ハ.18 … 誤りです。割合は35%か55%の2種類だけなので、40×0.55=22を確かめましょう。
問10
分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
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正解
イ.30A(配線用遮断器)・2.6mm・定格電流20Aのコンセント1個
この問題は何を聞いているの?
ブレーカー・電線の太さ・コンセントの3つの組み合わせのうち、決まりに合っているものはどれかを聞いています。ブレーカーの大きさごとに、使える電線とコンセントが表で決まっているので、その表と照らし合わせるだけです。
用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
幹線から枝分かれして、コンセントや照明まで電気を届ける回路のことです。1つの分岐回路には1つのブレーカーが付きます。
なぜ?なぜ回路をいくつにも分けるのか?
1つの回路に何でもつなぐと、1か所の故障で家じゅうの電気が止まってしまうからです。分けておけば、ブレーカーが落ちてもその回路だけで済みます。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
電流が流れすぎたときに自動で電気を止める装置で、いわゆるブレーカーのことです。図の四角に「B」の記号で、横の数字(30Aや20A)がその定格電流です。
なぜ?なぜブレーカーの大きさで電線の太さが決まるのか?
ブレーカーは電線を守るための装置だからです。30Aのブレーカーなら30A近くまで電気を止めないので、その電流に耐えられる太さの電線を使わなければなりません。
用語コンセントの定格電流とは?
そのコンセントに安全に流せる電流の基準のことです。家庭でよく見るものは15Aで、20Aや30Aのものもあります。
なぜ?なぜ小さすぎるコンセントも使えないのか?
例えば30Aの回路に15Aのコンセントを付けると、コンセントに20A流れて熱くなっても、ブレーカーは30Aまで落ちないからです。守る仕組みが働かないまま焼けるおそれがあるので、大きすぎても小さすぎても使えません。
ブレーカー・電線・コンセントの決まり
覚える分岐回路の組み合わせ(軟銅線)
20Aのブレーカー … 電線 1.6mm以上(2mm²以上)/コンセント 20A以下
30Aのブレーカー … 電線 2.6mm以上(5.5mm²以上)/コンセント 20A以上30A以下
40Aのブレーカー … 電線 8mm²以上/コンセント 30A以上40A以下
この表で電線は「以上」、つまり太い分にはかまいません。一方、コンセントには上と下の両方に範囲があります。
選択肢を1つずつ表と照らし合わせる
例4つの選択肢の判定
イ ブレーカー30A/電線2.6mm/コンセント20A×1個 … 電線は2.6mm以上なのでOK。コンセントは20A以上30A以下なのでOK。 → 適切
ロ ブレーカー20A/電線2.6mm/コンセント30A×1個 … 電線は1.6mm以上なのでOK。しかし20A回路のコンセントは20A以下。30Aは大きすぎる。 → 不適切
ハ ブレーカー30A/電線5.5mm²/コンセント15A×2個 … 電線は5.5mm²以上なのでOK。しかし30A回路のコンセントは20A以上。15Aは小さすぎる。 → 不適切
ニ ブレーカー20A/電線2.0mm/コンセント30A×2個 … 電線はOK。しかし20A回路に30Aのコンセントは大きすぎる。 → 不適切
よって答えはイです。
「3m」「8m」「兼用コンセントではない」は条件をはっきりさせるため
なぜ?なぜ「分岐点から配線用遮断器までは3m」と書いてあるのか?
幹線から枝分かれした電線は、ブレーカーまでの距離が3m以下なら太さの追加の制限がないというルールがあるからです。この条件で距離のことは考えなくてよいと分かり、表だけで判断できます。
なぜ?なぜ「兼用コンセントではない」と断っているのか?
兼用コンセントは15Aと20Aの両方のプラグが差せるタイプで、表への当てはめ方が変わってしまうからです。この一文で、図に書かれた定格電流のとおりに考えればよいと決まります。
覚えるこの問題の覚え方
「電線は太ければOK、コンセントは範囲の中だけOK」。電線の数字は「20Aは1.6mm、30Aは2.6mm、40Aは8mm²」。コンセントは「ブレーカーの1つ下の段からブレーカーまで」(30A回路なら20A〜30A)と覚えると、上限と下限を一緒に思い出せます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.30A・5.5mm²・15Aコンセント2個 … 「小さいコンセントなら安全だろう」と考えた人が選びやすい形です。電線は合っていますが、30A回路に15Aのコンセントは小さすぎて使えません。
ロ.20A・2.6mm・30Aコンセント1個 … 電線が太いから大丈夫と考えた人が選びやすい形です。電線は問題ありませんが、20A回路に30Aのコンセントは付けられません。
ニ.20A・2.0mm・30Aコンセント2個 … 電線の2.0mmは1.6mm以上なので問題ありません。しかし20A回路のコンセントは20A以下でなければならず、30Aのコンセントは付けられません。
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この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で持ち帰ること
問1 合成抵抗 … 閉じたスイッチの横の抵抗は消す。開いたスイッチの先の抵抗も消す。残りは30+30=60Ω
問2 抵抗率 … 直径Dは2乗、長さLは1乗。mmが混ざったら10⁶が出てくる
問3 発熱量 … W×秒=J。2時間=7200秒、300×7200=2 160 000J=2 160kJ
問4 交流の消費電力 … インピーダンスは電流を出すためだけ。電力は抵抗の8Ωで10×10×8
問5 三相交流 … Y(スター)は電流そのまま・電圧√3倍。20×6=120V、×1.73で208V
問6 電圧降下 … 遠い側から電流を足しながらさかのぼる。単相2線式は行きと帰りで2倍
問7 単相3線式 … 上下の電流が同じなら中性線の電流は0。外側の線1本分だけ引く
問8 許容電流 … 2.0mm=35A。4本なら係数0.63をかけて22A
問9 幹線の分岐 … 3m以下は制限なし、8mまで35%、それより先は55%。40×0.55=22A
問10 分岐回路 … 電線は太ければOK。コンセントは範囲の中だけOK(30A回路は20A〜30A)
この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流×電流×抵抗)の2本でした。そこに抵抗率・インピーダンス・√3が加わり、残りは暗記した表に当てはめる問題です。新しい式を増やすより、この2本をどう使うかに慣れるほうが近道になるでしょう。
出典
令和3年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
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▶ 問11〜20
材料と器具(リングレジューサ・ゴムコードの許容電流・工具・電動機の始動・配線用遮断器の動作時間・写真の見分け・D種接地工事)
▶ 問21〜30
施工・検査・法令(電動機回路の施工・進相コンデンサ・金属管工事・測定器・絶縁抵抗・接地抵抗計・電気工事士法・電気用品安全法・一般用電気工作物)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(図記号の名称・最少電線本数・工事の種類・絶縁抵抗・接地工事・電線管の種類)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(器具の結線・取付け材料・リングスリーブと差込形コネクタ・遮断器・工具)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
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