【令和5年度】第二種電気工事士の過去問と解説【上期 午前 学科 問11〜20】
第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 上期・午前(2023年5月28日実施)の問11〜20です。
ここからは材料・工具・電気機器・工事のやり方の分野に入ります。問1〜10のような計算はほとんど出てきませんが、そのかわり見たことも聞いたこともない部品の名前がいきなり並びます。「プルボックス」「カールプラグ」「同期速度」——名前だけ丸暗記しようとしても、3日もすれば忘れてしまうでしょう。この記事ではそれが何をするための物なのか、どこで、どんなふうに使われているのかを、道具を1つも見たことがない人でも頭に絵が浮かぶように書きました。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問11
多数の金属管が集合する場所等で,通線を容易にするために用いられるものは。
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「金属の管がたくさん集まってくる場所で、電線を通しやすくするために置く箱はどれですか」と聞いている問題です。文章が短いので簡単そうに見えますが、出てくる4つの選択肢がどれも見慣れない名前なので、そこで止まってしまいやすい問題です。まず、問題文の中の言葉から順に説明していきます。
用語金属管(きんぞくかん)とは?
電線を中に通して守るための、鉄でできたパイプのことです。見た目は水道管によく似た灰色〜銀色の管で、ビルや工場、駐車場など電線がむき出しだと危ない場所の壁や天井に取り付けます。この管を使う工事を金属管工事といいます。
なぜ?なぜ電線をわざわざ管の中に通すのか?
電線をそのまま壁に留めておくと、ぶつけられて傷ついたり、ネズミにかじられたり、水がかかったりします。電線の外側のゴム(絶縁物)が破れると、そこに人が触れたときに感電するおそれがあるのです。硬い金属の管の中に入れておけば、その心配がぐっと減ります。だから人がよく通る場所や、物がぶつかりそうな場所ほど金属管が使われます。
用語通線(つうせん)とは?
管の中に電線を通す作業のことです。工事は「まず空っぽの管だけを先に取り付ける」→「あとから電線を引っぱって通す」という順番で進みます。この2番目の作業が通線です。
なぜ?なぜ電線を先に入れておかないのか?
管を壁や天井に取り付けるときには、管を曲げたり、切ったり、ねじを切ったりします。中に電線が入っていたら、その作業で電線を傷つけてしまいます。そこで管の道を先に完成させてから、あとで電線を通すという手順になっているのです。通線には、細い鋼のワイヤ(呼び線挿入器)を管に突っ込んで、反対側から出てきた先に電線をくくりつけて引き戻す、という方法を使います。
用語「通線を容易にする」とはどういうことか?
電線を引っぱって通す作業を、ラクにするという意味です。「容易(ようい)」とは「かんたん」ということ。つまりこの問題は「電線を通しにくくなる原因をなくす部品はどれ?」と聞いているのと同じです。
なぜ?なぜ管が多いと通線が難しくなるのか?
長い管、曲がりの多い管ほど、電線と管の内側がこすれて摩擦が大きくなり、引っぱっても動かなくなるからです。とくに何本もの管が1か所に集まってくると、管どうしが交差してぎゅうぎゅうになり、どの電線がどの管から来ているのかも分からなくなります。そこで、集まる場所にいったん大きな箱を置いて、「ここまで引っぱる」「ここから次の管へ引っぱる」と区切ってやると、1回に引っぱる距離が短くなって作業がぐっとラクになります。
用語プルボックスとは?
金属管がたくさん集まる所に取り付ける、大きめの金属の箱です。箱の側面に穴をあけて何本もの管をつなぎ込み、箱の中で電線を引き出したり、次の管へ入れ直したりします。ふたが付いていて、工事のあともふたを開ければ中を触れます。
なぜ?なぜ「プル」ボックスという名前なのか?
英語の pull(プル)=引っぱる から来ています。電線を「引っぱる」ための箱だから、そのままプルボックスです。名前の意味が分かると、「通線を容易にするもの」=「引っぱるための箱」=プルボックス、と一直線につながって忘れにくくなります。
大きさは、20cm角くらいの小さなものから、1m近い大きなものまであります。電線がたくさん集まるほど大きな箱になります。天井裏やパイプシャフト(配管を通す縦の空間)の中でよく見かける部品です。
選択肢に出てくる残りの3つも、すべて実際に使われている部品です。「聞いたことがないから違うだろう」ではなく、1つずつ役目を覚えておくと、他の年度の問題でも取りこぼしません。
用語分電盤(ぶんでんばん)とは?
家や建物に入ってきた電気を、部屋ごと・用途ごとに分ける箱です。自分の家の玄関や廊下の上のほうにある、小さなスイッチ(ブレーカー)がずらっと並んだ白い箱がそれです。
なぜ?なぜ分電盤は「通線を容易にするもの」ではないのか?
分電盤の役目は電気を分けることと、事故のときに電気を止めることだからです。確かに分電盤にも電線は集まってきますが、それはブレーカーにつなぐためであって、電線を通しやすくするために置いている箱ではありません。目的がまったく違います。
用語フィクスチュアスタッドとは?
天井のボックスの中に取り付けて、重い照明器具をぶら下げるための金具です。英語の fixture(フィクスチュア)=照明器具、stud(スタッド)=支える柱・突起という意味です。
なぜ?なぜ照明を吊るのに専用の金具が要るのか?
シャンデリアのような重い照明を、電線やボックスのふただけでぶら下げると、抜け落ちて危険だからです。ボックスの内側にがっしりした金具を先に付けておき、その金具で重さを受けるようにします。電線を通す話とはまったく関係ありません。
用語スイッチボックスとは?
壁の中に埋め込んで、スイッチやコンセントを取り付けるための小さな箱です。壁のスイッチプレート(カバー)を外すと、その奥に入っている金属や樹脂の箱がこれです。
なぜ?なぜスイッチボックスでは通線がラクにならないのか?
小さすぎるからです。スイッチボックスは「スイッチ1個か2個がちょうど収まる」大きさしかありません。多数の管が集まってくる場所で使う箱としては、まったく容量が足りないのです。あくまで器具を取り付けるための箱であって、電線を引き回すための箱ではありません。
ステップ1 問題文のキーワードを2つに絞る。「多数の金属管が集合」=たくさんの管が1か所に集まる。「通線を容易に」=電線を引っぱりやすくする。
ステップ2 この2つを両方みたすには、管を何本もつなぎ込めて、中で電線を引き回せる「大きな箱」が要る、と考える。
ステップ3 選択肢を「箱かどうか」「大きいかどうか」でふるいにかける。フィクスチュアスタッドは箱ではなく金具なので消える。スイッチボックスは箱だが小さすぎるので消える。
ステップ4 残った分電盤とプルボックスを、目的で比べる。分電盤は電気を分けるための箱、プルボックスは電線を引っぱるための箱。聞かれているのは通線なので、プルボックスが答え。
覚えるこの問題の覚え方
プル(pull)=引っぱる。「通線=電線を引っぱる作業」なので、通線とくればプルボックスと、英語の意味ごとセットで覚えてしまうのがいちばん速いです。あわせて「ボックスが付く名前は箱、スタッドが付く名前は金具」と覚えておくと、選択肢を見た瞬間にフィクスチュアスタッドを外せます。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
イ.分電盤 … 特に選ばれやすい間違いです。「電線がたくさん集まる箱」と聞いて、家で実際に見たことがある分電盤を思い浮かべてしまうのが原因です。しかし分電盤は電気を各部屋に分けるための箱で、通線をラクにするために置くものではありません。「聞いたことがある名前」に飛びつかないことが大切です。
ニ.スイッチボックス … 「ボックス(箱)」という言葉が入っているので、箱つながりで選んでしまうパターンです。正解のプルボックスも「ボックス」なので、どちらの箱なのかを大きさと目的で見分ける必要があります。スイッチボックスは手のひらサイズで、多数の管をつなぐことはできません。
ハ.フィクスチュアスタッド … いちばん見慣れないカタカナなので、逆に「これが答えかも」と思ってしまう人がいます。難しそうな名前だから正解、ということはありません。これは照明をぶら下げる金具で、電線を通す話とは無関係です。
問12
絶縁物の最高許容温度が最も高いものは。
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「4種類の電線のうち、いちばん熱に強いのはどれですか」と聞いている問題です。選択肢の名前がとても長くて、それだけで読む気をなくしますが、名前は「材料の名前をつなげただけ」なので、分解して読めば意味が分かるようになっています。まず、出てくる言葉を全部説明します。
用語絶縁物(ぜつえんぶつ)とは?
電気を通さない材料のことです。電線は「電気を通す金属の芯」を「電気を通さない材料」でくるんで作られていて、その外側のくるんでいる部分が絶縁物です。ゴムやビニル(プラスチックの一種)が使われます。
なぜ?なぜ電線に絶縁物が巻いてあるのか?
金属の芯がむき出しだと、触った人が感電し、電線どうしが触れ合えばショート(短絡)して火災になるからです。絶縁物は電気を「そこから出さない」ためのフタの役目をしています。だから絶縁物が溶けたり焦げたりすると、電線としてはすぐに使えなくなるのです。
用語最高許容温度(さいこうきょようおんど)とは?
その絶縁物が、傷まずにずっと使い続けられる温度の上限のことです。「許容(きょよう)」=「ここまでは許す」という意味です。60℃、75℃、90℃といった数字で決められています。
なぜ?なぜ電線に温度の上限があるのか?
電線に電流が流れると、電線自身が発熱するからです。流す電流が大きいほど熱くなります。ところが絶縁物のビニルは、熱くなりすぎると柔らかくなり、やがて劣化してひび割れてしまうのです。割れれば中の金属が露出して、感電や火災につながります。そこで「この温度までなら絶縁物が持ちます」という線引きをしたのが最高許容温度です。そしてこの温度が高い電線ほど、同じ太さでも大きな電流を流せます。
選択肢の名前は「電圧」+「絶縁物の材料」+「外側のカバーの材料」+「形」をそのまま並べたものです。分解のしかたを覚えると、初めて見る電線の名前でも中身が想像できるようになります。
用語名前の頭にある「600V」とは?
この電線に加えてよい電圧の上限が600V(ボルト)という意味です。家庭で使う100Vや200Vは、これよりずっと低いので問題なく使えます。
なぜ?なぜ電線に電圧の上限が書いてあるのか?
電圧が高いほど、絶縁物を突き破って電気が飛び出そうとする力が強くなるからです。風船を強く押すと破れるのと同じで、絶縁物にも「これ以上の電圧をかけると突き破られる」限界があります。600Vというのは、その限界に余裕を見て決めた使用上限です。4つの選択肢はどれも600Vなので、ここでは差がつきません。
用語ビニルとポリエチレンのちがいは?
どちらも電気を通さないプラスチックですが、熱への強さが違います。ビニル(正しくはポリ塩化ビニル)は熱に弱く、ポリエチレンはそれより熱に強い——これがこの問題の核心です。
なぜ?なぜポリエチレンのほうが熱に強いのか?
ビニルは、やわらかくするために「可塑剤(かそざい)」という油のような成分を混ぜて作られています。この成分が熱で少しずつ抜けていくと、ビニルは硬くなってひび割れます。ポリエチレンにはその成分が入っていないので、熱による劣化が起きにくいのです。
用語架橋(かきょう)ポリエチレンとは?
ポリエチレンの分子どうしを、化学的につなぎ合わせて(=橋をかけて)網の目のようにした材料です。英語で cross-linked(クロスリンクト)といい、記号のCはここから来ています。
なぜ?なぜ橋をかけると熱に強くなるのか?
一般的なポリエチレンは、細長い分子がバラバラに絡まっているだけなので、熱くなると分子が滑って動き出し、あめのように柔らかくなってしまいます。分子どうしを橋でつないで網にしてしまえば、熱くなっても分子が動けず、形を保てます。これが架橋ポリエチレンが90℃という高い温度に耐えられる理由です。
用語シースとは?
電線の絶縁物の、さらに外側を包んでいる保護カバーのことです。英語の sheath(シース)=さや・覆い から来ています。「ビニルシース」なら、いちばん外側の皮がビニルという意味です。
なぜ?なぜ絶縁物の外にもう1枚カバーが要るのか?
絶縁物は電気を止めるのが仕事で、擦れやキズには強くありません。そこで外側にもう1枚、キズや水から守るための丈夫な皮をかぶせます。この皮があるものをケーブル、なくて絶縁物だけのものを絶縁電線と呼び分けます。
用語イ.CV(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)=90℃
絶縁物が架橋ポリエチレン、外側のシースがビニルのケーブルです。記号のCは Cross-linked polyethylene(架橋ポリエチレン)、Vは Vinyl(ビニル)の頭文字で、「中がC、外がV」でCVと並んでいます。最高許容温度は90℃で、この4つの中でいちばん高い値です。
なぜ?なぜCVはビルや工場でよく使われるのか?
熱に強い=同じ太さでもたくさん電流を流せるからです。大きな電気を使う設備では、電線を太くするとお金も場所もかかります。CVなら細いままで大電流を送れるので、結果的に安くすみます。
用語ロ.HIV(600V二種ビニル絶縁電線)=75℃
ビニルの中でも、熱に強くなるよう改良したビニルを使った電線です。記号のHは Heat-resistant(ヒート・レジスタント=耐熱)の頭文字で、IV(一般的なビニル絶縁電線)の耐熱版という意味になります。最高許容温度は75℃です。
なぜ?なぜ「二種」と呼ばれるのか?
絶縁物に、IVのビニルより熱に強くしたビニル(二種ビニル)を使っているからです。IVを「一種」と呼ぶことはないので、「二種ビニル=耐熱ビニル」とそのまま覚えてください。分電盤の中など熱がこもる場所の配線によく使われます。
用語ハ.VVR(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)=60℃
絶縁物もシースも両方ビニルのケーブルです。記号はV(ビニル絶縁)+V(ビニルシース)+R(Round=丸形)。最後のRは断面が丸いという意味です。最高許容温度は60℃です。
なぜ?なぜVVRは60℃どまりなのか?
絶縁物が一般的なビニルだからです。外側のシースが何であっても、最高許容温度を決めているのは「絶縁物」のほう。ここが引っかけポイントで、名前の中の「絶縁」の直前に書いてある材料だけを見ればよいのです。
用語ニ.IV(600Vビニル絶縁電線)=60℃
金属の芯をビニルで1枚くるんだだけの、いちばん基本の電線です。記号はI(Indoor=屋内用)+V(Vinyl=ビニル)。シース(外側のカバー)はありません。最高許容温度は60℃です。
なぜ?なぜシースのないIVをそのまま壁に留めてはいけないのか?
キズに弱いからです。IVはケーブル工事のように壁へ直接留めることはできず、電線管(金属管やPF管など)の中に通して使うのが一般的です。管が外側の皮の代わりをしてくれる、という考え方になっています。
ステップ1 4つの名前から、「◯◯絶縁」と書いてある部分だけを抜き出す。イは「架橋ポリエチレン絶縁」、ロは「二種ビニル絶縁」、ハは「ビニル絶縁」、ニは「ビニル絶縁」。シースや形(丸形)は温度に関係ないので、ここでは見ません。
ステップ2 抜き出した材料を、熱への強さで並べる。架橋ポリエチレン > 耐熱ビニル(二種) > 一般的なビニル。
ステップ3 温度の数字を当てはめる。架橋ポリエチレン=90℃、二種ビニル=75℃、一般的なビニル=60℃。
ステップ4 いちばん高いのは90℃のイ(CV)。よって答えはイ。
覚えるこの問題の覚え方
60・75・90の3つの数字だけ覚えれば、この形の問題の多くに対応できます。一般的なビニル(IV・VVF・VVR)=60℃、H(耐熱)が付いたら=75℃、C(架橋ポリエチレン)が付いたら=90℃。記号の頭文字と温度をセットにして、「Hで75、Cで90、無印は60」と唱えて覚えるのがおすすめです。そして温度を決めるのは絶縁物であってシースではない——この一言を必ず一緒に覚えてください。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ロ.HIV(二種ビニル絶縁電線) … 特に選ばれやすい間違いです。「二種」「耐熱」という言葉から「耐熱と書いてあるのだからこれが最強だろう」と考えてしまいます。しかしHIVの75℃は、あくまでビニルの中での最強です。材料そのものが違う架橋ポリエチレンの90℃には届きません。
ハ.VVR(ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形) … 名前がいちばん長くて、ビニルが2回も出てくるので、「二重に守られているから強そう」と感じて選んでしまう人がいます。ビニルが2回出てくるのは絶縁物とシースの両方がビニルというだけで、枚数が増えても耐熱温度は上がりません。60℃です。
ニ.IV(ビニル絶縁電線) … いちばんよく聞く名前だからという理由で選んでしまうパターンです。IVは工事でもっとも身近な電線ですが、もっとも基本的=もっとも普通の性能ということでもあります。60℃どまりです。
問13
コンクリート壁に金属管を取り付けるときに用いる材料及び工具の組合せとして,適切なものは。
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「コンクリートの壁に、金属のパイプを固定したい。そのときに使う材料と道具の組合せとして、正しいものはどれ」という問題です。道具の名前が4つずつ、合計16個も並んでいるので圧倒されますが、実際に使うのは4つだけで、残りは「別の場面で使う道具」です。まず、この作業が実際にどんな手順で進むのかを想像してみてください。それが分かれば、必要な道具は自然に決まります。
用語コンクリートとは、工事の上で何が厄介なのか?
砂利とセメントを混ぜて固めた、石のように硬い壁です。木の壁とちがって、釘を打ち込んでも刺さらず、ねじも直接ねじ込めません。
なぜ?なぜコンクリートには釘やねじが効かないのか?
木の場合、釘を打つと木の繊維が押しのけられて、その反発力で釘をつかんでくれます。ところがコンクリートは繊維がなく、押しのけられずに割れるだけです。そのため、コンクリートに何かを固定するときは「まず穴をあけて、その穴に“つかまる相手”を差し込んでから、ねじを入れる」という3段階の手順が必要になります。この手順を知っているかどうかが、この問題を解けるかどうかの分かれ目です。
ステップ1 コンクリートに穴をあける。硬いので、一般的なドリルでは歯が立ちません。振動ドリルを使います。
ステップ2 あけた穴に「カールプラグ」を差し込む。ねじが直接つかまれないので、ねじがつかまるための相手をあらかじめ埋めておくわけです。
ステップ3 金属管に「サドル」をかぶせて壁に当てる。サドルは管を抱きかかえる形の金具です。
ステップ4 サドルの穴から「木ねじ」をねじ込む。ねじがカールプラグを押し広げ、プラグが穴の内側にぎゅっと食い込んで抜けなくなり、管が壁に固定される。
この4ステップで出てきた道具・材料は、振動ドリル・カールプラグ・サドル・木ねじの4つ。これがそのまま選択肢ロの中身です。順番は入れ替わっていますが、内容は完全に一致します。
用語サドルとは?
電線管を壁や天井に押さえつけて留めるための、U字形の金具です。saddle(サドル)=馬の鞍(くら)という意味で、管にまたがるようにかぶせる形からこの名前が付いています。両端にねじを通す穴があいています。
なぜ?なぜ管を留めるのに専用の金具が要るのか?
金属管は丸くてつるつるしていて、そのままではねじが打てないからです。サドルで上からまたいで押さえ、サドルの両端の穴でねじ留めすることで、管そのものに穴をあけずに固定できます。管に穴をあけると中の電線が傷つくので、絶対にやってはいけません。
用語振動ドリルとは?
回しながら同時に前後にガガガと叩く、コンクリート専用のドリルです。見た目は一般的な電動ドリルに似ていますが、「回転+打撃」の2つの動きを同時にするところが違います。
なぜ?なぜ回すだけではコンクリートに穴があかないのか?
コンクリートの中には硬い砂利(石)が混ざっているからです。刃で削ろうとしても石が滑ってしまい、なかなか進みません。叩いて砕きながら、回して砕けた粉をかき出す——この2つを同時にやることで、はじめて穴があきます。コンクリート=振動ドリル、と直結で覚えてください。
用語カールプラグとは?
コンクリートにあけた穴に差し込んでおく、プラスチックや鉛の筒です。「ねじを受け止める相手」を穴の中に作っておくための、直径5〜8mmくらいの小さな部品です。
なぜ?なぜプラグを入れるとねじが効くようになるのか?
プラグは先が割れた筒になっています。そこにねじをねじ込むと、ねじの太さでプラグが外へ押し広げられ、穴の内壁に強く食い込みます。傘を開いて筒に突っかえ棒をするようなイメージです。こうなると引っぱっても抜けません。コンクリートに直接ねじを入れる代わりに、「広がって引っかかる部品」をはさむのがコツなのです。
用語木ねじ(もくねじ)とは?
ねじ山が粗くて、先がとがっているねじのことです。もともとは木材に直接ねじ込むためのねじですが、カールプラグとセットで使うのが定番です。
なぜ?なぜコンクリート工事なのに「木ねじ」を使うのか?
ねじ込む相手が、コンクリートではなくプラスチックのプラグだからです。カールプラグはやわらかい樹脂なので、木材と同じように、ねじ山の粗い木ねじがよく食い込みます。名前に「木」と付いているせいで「コンクリートに木ねじはおかしい」と感じて外してしまいがちですが、これがこの問題の大きな引っかけです。
残りの選択肢には、実在するけれど、この作業では使わない道具が混ぜてあります。「どこで使う道具なのか」まで覚えておくと、他の年度で似た問題が出たときにもすぐに見抜けます。
用語ステープルとは?
コの字形をした、大きなホチキスの針のような金具です。VVFケーブル(平たいケーブル)を木の柱や壁に打ち付けて留めるときに使います。
なぜ?なぜステープルは金属管に使えないのか?
ステープルはハンマでコンクリートに直接打ち込むことができませんし、そもそも平たいケーブル用で、丸くて硬い金属管を押さえる形になっていません。ステープル=木造+VVFケーブルとセットで覚えると、金属管の問題では即座に外せます。
用語ホルソとは?
金属の板に大きな丸い穴をあけるための、コップ形の刃です。英語の hole saw(ホールソー)=穴あけのこぎりがなまった名前です。電動ドリルの先に取り付けて使います。
なぜ?なぜホルソはコンクリートに使わないのか?
ホルソの刃は薄い金属板を切り抜くために作られているからです。主な使いみちは金属製のボックスや分電盤の板に、電線管を通す穴をあけること。これを硬いコンクリートに当てても、刃がすぐに傷んで穴はあきません。ホルソ=金属の板と覚えてください。
用語たがね・コンクリート釘とは?
たがねはハンマで叩いて、金属やコンクリートを削り取る、のみのような工具です。コンクリート釘は硬い鋼でできた、コンクリートに打ち込める釘です。
なぜ?なぜコンクリート釘で金属管を留めてはいけないのか?
釘には、管を抱える機能がないからです。釘は「刺して押さえる」道具であって、丸い管をまたいで押さえることはできません。管を留めるには、必ず「管をまたぐ金具(サドル)」+「その金具を留めるねじ」という組合せが要ります。また、たがねは削るための道具で、何かを取り付けるための道具ではありません。
用語ボルトとは?
ナットと組で使う、太くて頭が六角形のねじです。反対側にナットを回してはさみ込むことで物を固定します。
なぜ?なぜボルトはこの作業に向かないのか?
コンクリートの壁は、裏側に手が回らないからです。ボルトはナットで裏から締めるのが基本ですが、壁の裏には行けません。コンクリートにボルトを使う場合は「アンカーボルト」という、穴の中で広がる専用品が必要で、ただの「ボルト」では固定できません。
ステップ1 「穴をあける道具」が入っているかを見る。コンクリートなので振動ドリルが絶対に要ります。振動ドリルが入っていないイとハは、この時点で消えます。
ステップ2 残ったロとニのうち、「管を抱える金具(サドル)」が入っているかを見る。ロにもニにもサドルが入っているので、まだ決まりません。
ステップ3 「あけた穴に入れるもの」があるかを見る。ロにはカールプラグがあり、ニにはありません。プラグがなければねじが効かず、管は落ちてしまいます。
ステップ4 ニに入っているホルソは金属板用、ボルトは裏から締められないので不可。ニは2つも余計な道具が入っているので消えます。
ステップ5 残ったロが答え。中身はサドル・振動ドリル・カールプラグ・木ねじで、先に考えた4ステップの手順と完全に一致します。
覚えるこの問題の覚え方
コンクリートに何かを留めるなら「あける→入れる→留める」の3点セットです。あける=振動ドリル/入れる=カールプラグ/留める=木ねじ。これに「何を留めるのか」の相手=サドル(管を抱える金具)を足せば4つそろいます。逆にステープルとコンクリート釘は「木造でケーブルを留める側」の道具、ホルソは「金属板に穴をあける側」の道具とグループ分けしておくと、選択肢を見た瞬間にふるい落とせます。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ニ.ボルト・ホルソ・振動ドリル・サドル … 特に引っかかりやすい選択肢です。振動ドリルとサドルという「正解にも入っている2つ」が含まれているので、正しそうに見えてしまいます。しかしあけた穴に入れるカールプラグがないため、ねじやボルトが効かず管は固定できません。「正解の道具が半分入っている選択肢」ほど危険、と覚えてください。
イ.カールプラグ・ステープル・ホルソ・ハンマ … カールプラグが最初に来ているので飛びついてしまうパターンです。しかし穴をあける道具(振動ドリル)がありません。カールプラグは穴がなければ入れられないので、この組合せでは作業が1歩も進みません。
ハ.たがね・コンクリート釘・ハンマ・ステープル … 「コンクリート釘」という名前だけで選んでしまうパターンです。名前にコンクリートと入っているので正しく見えますが、釘では丸い管を抱えられません。管を留めるには必ずサドルが要ることを思い出せば、サドルの入っていないこの選択肢はすぐ消せます。
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定格周波数60 Hz,極数4の低圧三相かご形誘導電動機の同期速度[min-1]は。
答え・解説を見る
「あるモーターが、1分間に何回転するペースで回るか」を計算する問題です。問題文が漢字とカタカナだらけで身構えてしまいますが、やることは、たった1つの式に2つの数字を入れるだけです。式は120×周波数÷極数。これだけです。ただし「周波数って何?」「極数って何?」が分からないと数字を入れられないので、そこから順に説明します。
用語電動機(でんどうき)とは?
電気の力で軸を回す機械のことです。英語でいうモーターのこと。扇風機、洗濯機、エレベーター、工場のポンプなど、「電気で何かが回る物」の中身は、多くが電動機です。
なぜ?なぜ電気を流すと軸が回るのか?
電気を流したコイル(電線をぐるぐる巻いたもの)は磁石になるからです。磁石のN極とS極が引き合ったり反発したりする力で、軸を押して回します。電気→磁石の力→回転という順番で変換されている、と考えてください。
用語三相(さんそう)とは?
電気を3本の電線で送る方式のことです。3本それぞれに、タイミングを少しずつずらした電気が流れています。家庭用コンセントは電線2本(単相)ですが、工場やビルの大きな機械には3本の三相が使われます。
なぜ?なぜモーターにわざわざ3本も電線を使うのか?
3本あると、磁石のN極・S極が「勝手にぐるぐる回ってくれる」からです。3つのコイルを円周上に120度ずつ離して置き、そこにタイミングをずらした電気を順番に流すと、磁石のN極の位置が1→2→3→1……と円をえがいて移動していきます。これが回転磁界(かいてんじかい)と呼ばれるものです。2本(単相)だと磁石は往復するだけで回らないので、回すための余計な仕掛けが必要になります。三相はそれが要らないぶん、単純で丈夫で力が強いのです。
用語かご形誘導電動機とは?
三相の回転磁界を使って回す、いちばん普及しているタイプのモーターです。中の回る部分(回転子)がハムスターの回し車のような「かご」の形をした金属のカゴになっているので、この名前が付いています。
なぜ?なぜ「誘導(ゆうどう)」と呼ばれるのか?
回る部分に、電線をつないでいないからです。外側のコイルが作った回転磁界が、カゴの金属に「勝手に」電流を発生させる——この「触れずに電流を起こす現象」を誘導といいます。発生した電流がまた磁石の力を生み、カゴが磁界に引きずられて回るのです。回る部分に配線がないので壊れにくく、手入れがほとんど要らないのが大きな長所で、だからこそ世界中で広く使われています。
用語周波数[Hz]とは?
電気の向きが1秒間に何回入れかわるかを表す数字です。単位はHz(ヘルツ)。コンセントに来ている交流の電気は、プラスとマイナスが目にも留まらぬ速さで入れかわり続けています。60Hzなら1秒間に60回そのサイクルをくり返します。
なぜ?なぜ日本には50Hzと60Hzの2つがあるのか?
明治時代に発電機を輸入したとき、東日本がドイツ製(50Hz)、西日本がアメリカ製(60Hz)を買ったためです。それがそのまま今日まで残り、おおむね静岡県の富士川あたりを境に東が50Hz、西が60Hzに分かれています。試験では問題文に書いてある数字をそのまま使えばよいので、どちらの地域かを悩む必要はありません。この問題では60Hzと指定されています。
用語極数(きょくすう)とは?
モーターの中に作られる磁石の極(N極とS極)が、全部で何個あるかという数です。N極とS極は必ずペアでできるので、極数はいつも2、4、6、8……と偶数になります。この問題では極数4、つまりN・S・N・Sの4つが円周上に並んでいる、ということです。
なぜ?なぜ極数が増えると回転が遅くなるのか?
磁界が1周するのに必要な「電気のサイクル数」が増えるからです。極が2つ(N・Sが1組)だけなら、電気が1サイクルするあいだに磁界はちょうど1周します。ところが極が4つ(N・Sが2組)あると、電気が1サイクルしても磁界は半周しか進みません。時計の文字盤に目印が2個あるか4個あるかの違いだと思ってください。目印が多いほど、1つ隣に進むのにかかる距離が短くなり、1周するには多くの回数が要るのです。だから極数が2倍になると、回転数は半分になります。
用語同期速度(どうきそくど)とは?
モーターの中の回転磁界そのものが回っている速さのことです。実際にカゴが回る速さではありません。磁界が回る速さ=そのモーターの理論上の最高ペースだと考えてください。
なぜ?なぜ実際の回転はそれより少し遅くなるのか?
磁界とカゴが同じ速さで回ってしまうと、誘導が起きなくなるからです。カゴに電流が生まれるのは、磁界がカゴを「追い越していく」からでした。完全に同じ速さで並んで走ってしまうと、追い越しがなくなり、電流も、回す力も消えてしまいます。そのため実際のカゴは磁界よりわずかに遅れて回り続けます。この遅れをすべりといい、一般的に数%です。この問題で聞かれているのは、あくまで磁界の速さ(同期速度)なので、すべりのことは考えなくて構いません。
用語[min-1]という単位は何と読むのか?
「毎分(まいふん)」と読み、1分間あたりの回転数を表します。rpm(アール・ピー・エム)や「回転/分」とまったく同じ意味です。1 800 min-1なら「1分間に1 800回転」です。
なぜ?なぜ「-1」という右肩の小さな数字が付いているのか?
「割り算」を右肩の−1で表すという数学の書き方だからです。「1分あたり何回」=回数÷分なので、分(min)で割っていることを min-1 と書いて示しています。見た目が難しいだけで、意味はただの「1分間に何回転」です。選択肢の「1 200」のような数字のあいだの空白は、3けたごとの区切り(1,200と同じ)で、小数点ではありません。ここも読み間違えやすいので注意してください。
公式は同期速度=120×周波数÷極数です。丸暗記でも解けますが、「120」がどこから来た数字なのかを知っておくと、式をど忘れしても自力で組み立て直せます。順を追って見てみましょう。
ステップ1 極が2つ(N・Sが1組)のモーターを考える。このとき電気が1サイクルすると、磁界はちょうど1周する。60Hzなら1秒間に60周ということ。
ステップ2 これを1分(60秒)あたりに直す。60周/秒 × 60秒 = 3 600回転/分。ここで出てきた60(秒)×2(極数2で割る前提)=120が、公式の120の正体。
ステップ3 極数が2より多いときは、その増えたぶんだけ磁界の進みが遅くなるので、極数で割って調整する。ただし極数2のときに3 600になるよう、分子は120×周波数にしておく。
ステップ4 こうして同期速度=120×周波数÷極数という式が出来上がる。検算として極数2・60Hzを入れると120×60÷2=3 600となり、ステップ2の答えと一致する。
ステップ1 問題文から数字を2つだけ拾う。周波数=60(Hz)、極数=4。「低圧」「三相」「かご形」はモーターの種類を説明しているだけで、計算には一切使いません。
ステップ2 式に当てはめる。同期速度 = 120 × 60 ÷ 4。
ステップ3 先にかけ算をする。120 × 60 = 7 200。
ステップ4 次に割り算をする。7 200 ÷ 4 = 1 800。
ステップ5 単位を付けて答える。1 800 min-1(1分間に1 800回転)。選択肢のハが答え。
念のため確かめておくと、極数2なら3 600、極数4なら1 800、極数6なら1 200、極数8なら900(いずれも60Hz)。極数が2倍になると回転数はきれいに半分になっているのが分かります。この関係を頭に入れておくと、計算した答えが桁違いになっていないかを自分でチェックできます。
覚えるこの問題の覚え方
同期速度=120 × 周波数 ÷ 極数——この1本だけ覚えれば済みます。思い出せないときは「60Hz・極数4なら1 800」という組合せをまるごと1つ覚えておくのが強力です。これは実際の工場でもよく使われるモーターの回転数で、試験でもたびたび出題されるので、「60Hz・4極=1 800」を知っていれば即答できる場面が多いでしょう。ついでに50Hz・4極なら1 500(120×50÷4)も一緒に覚えておくと万全です。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ロ.1 500 … 特に選ばれやすい間違いです。周波数を50Hzと取りちがえたときにぴったり出てくる数字(120×50÷4=1 500)だからです。50Hzと60Hzはどちらも身近なので、問題文の数字を見ずに「日本は50Hz」と思い込んで計算してしまうと、この落とし穴にはまります。周波数は必ず問題文から読み取ると徹底してください。
イ.1 200 … 極数を6と読み違えたときに出る数字(120×60÷6=1 200)です。
ニ.3 000 … 極数を2として計算し、さらに周波数を50Hzにしてしまったときの数字(120×50÷2=3 000)です。
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組み合わせて使用する機器で,その組合せが明らかに誤っているものは。
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「2つの機器がペアで書いてあります。この組合せは実際にありえますか、ありえませんか」という問題です。注意してほしいのは、「誤っているもの」を選ぶという点です。3つは正しい組合せで、1つだけおかしい——そのおかしい1つを探します。正しいものを選んでしまう取りちがえが起こりやすいので、問題文の「誤っている」に線を引いてから読み進めてください。
この問題を解く考え方はシンプルです。それぞれの機器が「何をする物なのか」を1つずつ思い出し、2つの役目がかみ合うかどうかを見るだけです。順番に見ていきましょう。
用語ネオン変圧器とは?
ネオンサイン(ネオン管の看板)を光らせるために、電圧をものすごく高くする装置です。100Vや200Vの電気を、数千V〜1万V以上まで引き上げます。
なぜ?なぜネオン管にはそんな高い電圧が必要なのか?
ネオン管はガラス管の中にネオンなどの気体を封じ込めたもので、気体の中を電気が飛んで通るときの光を利用しています。ところが気体はふだん電気を通しません。通させるには気体を無理やり突き破るほどの高い電圧が要ります。だから専用の「電圧を上げる装置」がセットで必要になるのです。ネオン変圧器はネオン管専用だと覚えてください。
用語高圧水銀灯(こうあつすいぎんとう)とは?
体育館・工場・道路・公園などを照らす、大きくて明るい照明です。HIDランプ(とても明るく光る放電ランプ)と呼ばれる仲間の1つで、管の中の水銀の蒸気が光ります。名前の「高圧」は電圧のことではなく、管の中の気体の圧力が高いという意味です。
なぜ?なぜ高圧水銀灯にネオン変圧器を使ってはいけないのか?
必要な装置がまったく別物だからです。高圧水銀灯に必要なのは安定器(あんていき)という装置で、その仕事は「点灯したあと、流れる電流が増えすぎないよう抑えること」です。水銀灯はいったん光り始めると急に電気を通しやすくなり、放っておくと電流がどんどん増えて自分で焼き切れてしまう性質があります。それを抑えるのが安定器の役目です。一方ネオン変圧器の仕事は電圧を何千Vにも引き上げること。「抑える装置」と「上げる装置」で、目的が正反対なのです。だからこの組合せは明らかに誤りで、これが答えになります。
用語光電式自動点滅器(こうでんしきじどうてんめつき)とは?
まわりの明るさを感じ取って、暗くなったら自動で照明をつけ、明るくなったら自動で消すスイッチです。EEスイッチとも呼ばれます。「光電式」は光を電気の信号に変えるしくみという意味です。
なぜ?なぜ庭園灯との組合せが正しいのか?
庭の照明こそ、まさに「暗くなったら自動でついてほしい」照明だからです。庭園灯や玄関灯、防犯灯、街路灯は毎日日没に人が手でスイッチを入れに行くわけにいきません。季節によって日没時刻も変わります。明るさで判断して勝手に入り切りしてくれるこの装置は、屋外照明の相棒そのものです。組合せとして完全に正しいので、答えではありません。
用語漏電(ろうでん)とは?
本来の通り道から外れて、電気が地面のほうへ漏れ出してしまうことです。電線の絶縁物が傷んだり、機械の中が湿ったりすると起こります。
なぜ?なぜ漏電がそれほど危険なのか?
人が触れたときに、その人の体を通って電気が地面へ流れるからです。これが感電で、量によっては命に関わります。また、漏れた電気がじわじわ熱を出して火災の原因にもなるのです。そのため「漏れをいち早く見つけるしくみ」が電気設備には必ず用意されています。
用語零相変流器(れいそうへんりゅうき・ZCT)とは?
漏電が起きていないかを見張るための、輪っか形のセンサーです。電線をまとめて輪の中に通すだけで使えます。英語の Zero-phase-sequence Current Transformer の頭文字をとってZCT(ゼット・シー・ティー)と呼ばれます。
なぜ?なぜ電線を輪に通すだけで漏電が分かるのか?
「行きの電流」と「帰りの電流」を足し算させているからです。正常なときは、行った電気は必ず全部そのまま帰ってきます。この2つは向きが逆なので、まとめて輪に通すと足し合わせてちょうどゼロになり、輪は何も感じません。ところが漏電があると、行った電気の一部が地面へ逃げてしまい、帰ってくる量が足りなくなります。すると足し算の答えがゼロでなくなり、その差のぶんだけ輪が反応する——これが検出のしくみです。
用語漏電警報器とは?
漏電を見つけたときに、ブザーやランプで知らせる装置です。ZCTが感じ取った小さな信号を受け取って、音や表示に変えます。
なぜ?なぜZCTと漏電警報器はセットで使われるのか?
役割分担が「見つける係」と「知らせる係」できれいに分かれているからです。ZCTは漏れを感じ取るだけで、音を出す機能はありません。警報器は音を出すだけで、漏れを感じ取る機能はありません。2つがつながって初めて「漏電を知らせる装置」として成り立ちます。教科書どおりの正しい組合せなので、答えではありません。
用語始動電流(しどうでんりゅう)とは?
モーターのスイッチを入れた瞬間だけ流れる、とても大きな電流のことです。通常の運転中の5〜7倍にもなります。
なぜ?なぜ動き出すときだけ電流が大きくなるのか?
止まっている重い物を動かし始めるのが、いちばん力が要るからです。自転車も、こぎ出しがいちばん重く、走り出してしまえば軽くなります。モーターも同じで、止まっている状態から回し始める瞬間に大きな力=大きな電流を必要とするのです。この大きな電流は建物全体の電圧を一瞬下げてしまい、照明がちらついたりブレーカーが落ちたりする原因になります。
用語スターデルタ始動装置とは?
大きなモーターを動かし始めるとき、最初だけ電圧を下げて、そっと回し始めるための装置です。モーターの3つのコイルのつなぎ方を、最初は「スター(Y字形)」でつないでおき、回り始めたら「デルタ(三角形)」に切りかえます。
なぜ?なぜつなぎ方を変えると始動電流が小さくなるのか?
Y字形につなぐと、1つのコイルにかかる電圧が下がるからです。三角形につないだときに比べ、Y字形では1つのコイルにかかる電圧がおよそ0.58倍(1÷√3)になります。電圧が下がれば流れる電流も減り、結果として始動電流は3分の1程度まで抑えられます。そして回り始めてしまえば大きな電流は要らないので、そこで三角形につなぎ替えて本来の力を出させるわけです。三相かご形誘導電動機のための、まさに定番の装置なので、この組合せは正しく、答えではありません。
ステップ1 まず「誤っているもの」を探す問題だと確認する。正しいものを3つ消していけばよい。
ステップ2 ロを見る。暗くなったらつける装置と、庭の照明。用途がぴったり合うので正しい。消える。
ステップ3 ハを見る。漏電を見つけるセンサーと、漏電を知らせる装置。見つける係と知らせる係のペアなので正しい。消える。
ステップ4 ニを見る。始動電流を抑える装置と、三相のモーター。抑えられる側と抑える側のペアなので正しい。消える。
ステップ5 残ったイを確かめる。ネオン変圧器はネオン管のために電圧を上げる装置。高圧水銀灯に必要なのは電流を抑える安定器。まったくの別物なので、これが誤った組合せ=答え。
覚えるこの問題の覚え方
「照明の名前が出たら、その照明専用の相棒は何かを考える」のがコツです。ネオン管の相棒=ネオン変圧器、水銀灯・ナトリウム灯・蛍光灯の相棒=安定器。この2つを分けて覚えておけば、「ネオン変圧器と◯◯灯」という選択肢は、◯◯がネオン以外ならすべて誤りと即断できます。この形は年度を変えて出題されることがある定番なので、ここは確実に取りたいところです。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ハ.零相変流器と漏電警報器 … 特に選ばれやすい間違いです。「零相変流器」という名前が4つの中でいちばん見慣れないため、「知らない言葉=あやしい」と感じて選んでしまいます。しかし中身を知ってしまえば、これ以上ないほど自然なペアです。知らない名前を「間違い」と決めつけない——これは全問に共通する大事な姿勢です。
ニ.スターデルタ始動装置と三相かご形誘導電動機 … 選択肢の文章がいちばん長いので、「わざわざ長く書いてあるのはひっかけだろう」と文の長さで判断してしまうパターンです。実際には教科書の見出しにそのまま載っている王道の組合せです。
ロ.光電式自動点滅器と庭園灯 … 問題文の「誤っているもの」を読み落とし、「正しいもの」を選ぶ問題だと思い込んだ人が選びます。ロはいちばん分かりやすく正しい組合せなので、取りちがえた人が真っ先に飛びつく選択肢になっています。設問の「誤っている」「適切でない」には必ず印をつける習慣をつけてください。
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写真に示す材料の特徴として,誤っているものは。
なお,材料の表面には「タイシガイセン EM600V EEF/F1.6mm JIS JET 〈PS〉E 〇〇社 タイネン 2014」が記されている。

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「写真のケーブルについて4つの説明が書いてあります。そのうち間違っているものはどれですか」という問題です。ここでも「誤っているもの」を選ぶことに注意してください。3つは正しい説明で、1つだけ嘘が混ざっています。
写真だけ見ると一般的な平べったい白いケーブルにしか見えません。実際、見た目は家の壁の中でいちばんよく使われているVVFケーブルとそっくりです。ではどうやって見分けるのか——答えは問題文の中に全部書いてあります。「なお、材料の表面には……が記されている」の部分が、この問題最大のヒントです。
ケーブルの表面には、そのケーブルが何者なのかを示す文字が一定間隔で印刷されています。この問題では、その内容がわざわざ問題文に書き出してあります。1つずつ意味を見ていきましょう。
例表面の表示が意味していること
「タイネン」 … 耐燃(たいねん)=燃えにくいという意味のカタカナ表記です。この1語がこの問題の決め手になります。
「タイシガイセン」 … 耐紫外線(たいしがいせん)=日光に含まれる紫外線に強いという意味です。屋外で使っても劣化しにくいことを示しています。
「EM」 … Eco Material(エコ マテリアル)=環境に配慮した材料の頭文字です。これが付いているケーブルは通称「エコケーブル」と呼ばれます。
「EEF」 … E(ポリエチレン絶縁)+E(ポリエチレンシース)+F(Flat=平形)。絶縁物もシースも両方ポリエチレンで、断面が平べったいケーブルという意味です。
「600V」「1.6mm」 … 使ってよい電圧の上限が600V、中の銅線の直径が1.6mmという意味です。
「JIS」「JET」「〈PS〉E」 … いずれも国の規格や検査に合格していることを示す表示です。この問題を解くうえでは使いません。
用語このケーブルの正式名称は?
600V耐燃性ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形、記号でEM-EEFといいます。長すぎて覚えられないので、現場では「エコケーブル」「EM-EEF(イーエム・イーイーエフ)」と呼ばれます。
なぜ?なぜ「エコ」ケーブルと呼ばれるのか?
環境への負担が小さくなるように作られているからです。一般的なVVFケーブルはビニル(ポリ塩化ビニル)でできていますが、EM-EEFはポリエチレンでできています。この材料の違いが、燃やしたときに出るガス・リサイクルのしやすさ・熱への強さ——この問題で問われている3点すべてに効いてきます。
例イ.分別が容易でリサイクル性がよい … 正しい
EM-EEFは絶縁物もシースも同じポリエチレンという1種類の材料だけでできています。だから使い終わったあと、銅線とポリエチレンに分けるだけで再利用に回せます。
なぜ?なぜ材料が1種類だとリサイクルしやすいのか?
材料が混ざっていると、より分ける手間とお金がかかるからです。一般的なVVFは絶縁物とシースの成分が違ううえ、ビニルにはやわらかくするための添加物も混ざっています。混ざり物が多いほど、溶かして作り直したときの品質が落ちます。EM-EEFは最初から材料をそろえてあるので、そのまま溶かして再利用できるのです。よってこの説明は正しく、答えではありません。
例ロ.焼却時に有害なハロゲン系ガスが発生する … 誤り=これが答え
まったく逆です。EM-EEFの最大の売りは、燃やしても有害なハロゲン系ガスが出ないことにあります。
なぜ?なぜEM-EEFからはハロゲン系ガスが出ないのか?
材料の中にハロゲンという成分が入っていないからです。ハロゲンとは塩素(えんそ)やフッ素などの仲間の総称で、ビニル(ポリ塩化ビニル)には名前のとおり塩素が入っています。ビニルが燃えると、この塩素が塩化水素という、目や のどを激しく刺す有毒なガスになって出ます。火災のとき、逃げ遅れの原因は炎そのものより煙とガスであることが多く、ここが大きな問題でした。一方ポリエチレンは炭素と水素だけでできていて、塩素をまったく含みません。だから燃えてもハロゲン系ガスは出ないのです。「EM=エコ=ハロゲンを出さない」——これがこのケーブルの存在理由そのものなので、「発生する」と書いてあるロが誤り=答えになります。
例ハ.ビニル絶縁ビニルシースケーブルより最高許容温度が高い … 正しい
最高許容温度とは、絶縁物が傷まずに使い続けられる温度の上限のことです。EM-EEFは75℃、ビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVF)は60℃。EM-EEFのほうが15℃高いので、この説明は正しく、答えではありません。
なぜ?なぜEM-EEFはVVFより15℃も高い温度に耐えられるのか?
ビニルはやわらかくするために「可塑剤(かそざい)」という油のような成分を混ぜて作られています。熱を受け続けるとこの成分が少しずつ抜けていき、ビニルは硬くなってひび割れます。ポリエチレンにはその成分が入っていないので、熱による劣化が起きにくいのです。ちなみに最高許容温度が高い=同じ太さでもより大きな電流を流せるという実用上の利点にもつながります。
例ニ.難燃性(なんねんせい)がある … 正しい
難燃性=燃え広がりにくい性質のことです。「まったく燃えない」という意味ではなく、「火を近づけても燃え広がりにくく、火を離すと自分で消える」という意味です。表面に書かれた「タイネン(耐燃)」がまさにこの性質を示しています。
なぜ?なぜポリエチレンなのに燃え広がりにくいのか?
ポリエチレンそのものは、じつはよく燃えるからです。そこでEM-EEFでは、燃え広がりを抑える成分(金属水酸化物など)をあらかじめ混ぜ込んであります。この成分は熱を受けると水分を出して、炎の熱と酸素を奪うはたらきをします。ハロゲンを使わずに燃えにくさを実現しているところが、このケーブルの技術的なポイントです。表示に「タイネン」とある以上、この説明は正しく、答えではありません。
ステップ1 問題文の「誤っているもの」に印をつける。正しい説明を3つ消す作業だと確認する。
ステップ2 表面の表示から「EM」と「タイネン」を見つける。EM=エコマテリアル、タイネン=耐燃。この2語で「これはエコケーブル(EM-EEF)だ」と正体が分かる。
ステップ3 エコケーブルの売り文句を3つ思い出す。①燃やしても有害ガスが出ない ②リサイクルしやすい ③熱に強い(75℃)。
ステップ4 選択肢と照らし合わせる。イは②、ハは③、ニは表示の「タイネン」そのもの——3つとも売り文句と一致。
ステップ5 残ったロだけが①の逆を言っている。「有害なハロゲン系ガスが発生する」のはビニル(VVF)のほうであって、このケーブルではない。よってロが答え。
覚えるこの問題の覚え方
「EM」が付いていたらエコケーブル、そしてエコケーブルは「出さない・分けやすい・熱に強い」の3つが売り——この形で丸ごと覚えてしまうのが確実です。出さない=ハロゲン系ガスを出さない/分けやすい=リサイクルしやすい/熱に強い=75℃(VVFの60℃より高い)。出題ではこの3つのどれかをわざと逆に書いてくることが多いので、3点セットで覚えておけば、どこを逆にされても見抜けます。ハロゲンを出すのはビニル(VVF)の側という対比も一緒に押さえてください。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ニ.難燃性がある … 特に選ばれやすい間違いです。「ポリエチレンはプラスチックだから、よく燃えるはずだ」と常識で考えてしまうと、これを「誤り」だと判断してしまいます。しかし表面に「タイネン(耐燃)」と書いてあるのが動かぬ証拠です。問題文が与えてくれた情報を、自分の推測より優先する——これが写真鑑別の問題で点を落とさないコツです。
ハ.最高許容温度が高い … 「エコ=環境にやさしい=性能は控えめ」というイメージから、「VVFより性能が高いはずがない」と考えて選ぶパターンです。実際にはEM-EEFは75℃でVVFの60℃より高性能です。エコケーブルは性能を落とさずに環境負荷だけ下げた製品だと理解しておいてください。
イ.リサイクル性がよい … 設問の「誤っている」を読み落として、「正しいものを選ぶ問題」だと思い込んだ人が選びます。イはいちばん分かりやすく正しい説明なので、取りちがえた人が真っ先に選ぶ選択肢になっています。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】写真鑑別のコツ|材料・器具・工具を実物写真で見分ける【令和8年度】問17
写真に示す器具の用途は。

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「写真の器具は、何をするための物ですか」という、ごくストレートな問題です。写真鑑別(しゃしんかんべつ)と呼ばれる形式で、器具の名前を知っているかどうかだけが問われます。ただし、名前を知らなくても写真の中の手がかりから絞り込めるので、その見方も一緒に説明します。
用語自動点滅器(じどうてんめつき)とは?
まわりの明るさを感じ取って、暗くなったら自動で照明をつけ、明るくなったら自動で消すスイッチです。EEスイッチ、または光電式自動点滅器(こうでんしきじどうてんめつき)とも呼ばれます。街路灯・防犯灯・玄関灯・庭園灯に取り付けられています。
なぜ?なぜ照明を自動で入り切りする必要があるのか?
屋外の照明は、毎日人がスイッチを入れに行けないからです。街路灯が何百本もあれば、1本ずつ手で操作するのは現実的に不可能です。しかも日没の時刻は季節によって2時間近くもずれます。タイマーで時刻を決めても、季節ごとに設定を直しに行かなければなりません。「明るさそのもの」で判断させれば、設定を一度もいじらずに、一年じゅう正しく入り切りできるのです。曇りの日に早めに点灯してくれるのも、この方式の利点です。
用語「光電式」とはどういう意味か?
光を電気の信号に変えるしくみという意味です。中には光が当たると電気の通りやすさが変わる部品(光導電素子)が入っていて、これが明るさを感じ取ります。
なぜ?なぜ光で電気の通りやすさが変わるのか?
光のエネルギーが、材料の中の電気を運ぶ粒を動けるようにするからです。暗いところでは粒がじっとしていて電気が流れにくく、光が当たると粒が活発になって電気が流れやすくなります。この「流れやすさの変化」を読み取って、内部のスイッチを入れたり切ったりしているわけです。名前の「光電」は、まさに光→電気を表しています。
写真には3つの部品が並んでいます。形は違いますが、どれも同じ「自動点滅器」の仲間です。取り付け方が違うだけで、3つに共通している特徴を探すと正体が見えてきます。
コツ写真から読み取れる手がかり
手がかり1 どれにも「白い半透明のカバー」が付いている … 光を中に取り込むための窓です。外の明るさを感じ取る必要がある器具だと分かります。人の熱を感じる器具なら、この位置にはレンズが細かく区切られた黒っぽいカバーが付きます。
手がかり2 電線が3本(黒・白・赤)出ている … 電源を受け取る2本+照明へ送り出す1本という構成です。器具自身が電気を使って動き、かつ照明への電気を入り切りするタイプだと分かります。
手がかり3 右の1つは屋外用の防水ボックスに入っている … 雨の当たる屋外に取り付ける器具だと分かります。屋外=屋外灯を制御する器具という結び付きが見えてきます。
手がかり4 まん中の1つは、ソケットのような丸い形で金具に取り付けられている … 電柱や街路灯のポールに直接取り付ける形です。街路灯とセットで使われる器具だと裏づけられます。
この4つを合わせると、「屋外に付ける」「明るさを取り込む窓がある」「照明を入り切りする」——周囲の明るさで屋外灯を自動で点滅させる器具という結論に自然にたどり着きます。
用語イ.LED電球の明るさを調節する器具=調光器(ちょうこうき)
照明の明るさを、つまみやスライダーで自由に変えられるスイッチです。ライトコントロールとも呼ばれます。見た目は壁に埋め込むスイッチで、正面につまみやスライドレバーが付いています。
なぜ?なぜ写真の器具が調光器ではないと分かるのか?
明るさを変えるためのつまみやレバーが、写真のどこにも写っていないからです。調光器は人が手で操作する器具なので、必ず操作する部分が表に出ています。また調光器は屋内の壁に埋め込むもので、写真のような屋外用の防水ボックスには入りません。
用語ロ.人の接近による自動点滅に用いる器具=熱線式自動スイッチ(人感センサ)
人が近づいたのを感じ取って、照明を自動でつけるスイッチです。人の体から出ている熱(赤外線)を感じ取るので、熱線式(ねっせんしき)と呼ばれます。トイレや廊下、玄関でよく使われます。
なぜ?なぜ写真の器具が人感センサではないと分かるのか?
人感センサの窓は、白い半透明ではなく、細かい区画に分かれた特徴的なレンズになっているからです。人の動きを検知するには「どの方向から熱が来たか」を細かく分けて見る必要があるので、表面にぶつぶつした細かい模様のレンズが必ず付きます。写真の器具のカバーはのっぺりした白い半透明——これは明るさの量だけを見ればよい器具の特徴です。「明るさで動く」と「人で動く」を混同させるのが、この問題の大きなねらいなので、しっかり区別してください。
用語ハ.蛍光灯の力率改善に用いる器具=進相コンデンサ
電気のむだづかいを減らすために取り付ける部品です。見た目は金属や樹脂の四角い箱、あるいは円筒形で、センサーの窓のようなものは一切ありません。
「力率(りきりつ)」とは何のことか?
送り込んだ電気のうち、実際に仕事に使われた割合のことです。蛍光灯やモーターのようにコイルが入っている機器では、電気が行ったり来たりするだけで仕事をしない分が生まれ、そのぶん電線に余計な電流が流れて、むだな熱になります。コンデンサはこの行ったり来たりを打ち消すはたらきをするので、取り付けるとむだな電流が減り、力率がよくなります。ただしこれは電気の質を整える部品であって、照明を入り切りするスイッチではありません。写真の器具からは電線が3本出ていてスイッチとして働くことが読み取れるので、コンデンサではないと分かります。
ステップ1 写真の器具に白い半透明の窓があることに気づく。何かを「感じ取る」器具だと分かる。
ステップ2 感じ取る対象が光か、人の熱かを見分ける。窓がのっぺりした半透明=光の量を見るタイプ。人の熱を見るなら細かく区切られたレンズになるので、ロ(人の接近)は消える。
ステップ3 操作するつまみやレバーがないことを確認する。人が手で調節する器具ではないので、イ(明るさの調節=調光器)は消える。
ステップ4 電線が3本出ていて、スイッチとして照明を入り切りする形だと確認する。力率改善のコンデンサはスイッチではないので、ハは消える。
ステップ5 残ったニを確かめる。周囲の明るさに応じて屋外灯を自動点滅させる——窓・防水ボックス・3本の電線、すべての手がかりと一致する。よってニが答え。
覚えるこの問題の覚え方
屋外照明のスイッチには「明るさで動く」と「人で動く」の2種類がある——まずこの2つを分けて覚えます。明るさで動く=自動点滅器(EEスイッチ)/人で動く=熱線式自動スイッチ(人感センサ)。見分け方は窓の見た目で、のっぺりした半透明なら明るさ、ぶつぶつした細かいレンズなら人です。さらに自動点滅器は「街路灯・防犯灯・庭園灯」とセットで出題されることが多いので、「屋外灯」という言葉を見たら自動点滅器を疑うと決めておくと判断が速くなります。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ロ.人の接近による自動点滅に用いる … 特に選ばれやすい間違いです。選択肢にどちらも「自動点滅」という同じ言葉が入っているため、「自動点滅」だけを見て飛びついてしまうのが原因です。正解のニと見比べると、違いは「人の接近による」か「周囲の明るさに応じて」かの1点だけ。何をきっかけに動くのか(人か、明るさか)を必ず最後まで読む——ここを飛ばさなければ防げます。
イ.LED電球の明るさを調節する … 選択肢に「明るさ」という言葉があるため、「明るさ」つながりで選んでしまうパターンです。しかし「明るさを調節する」(=人が変える)と「明るさに応じて」(=明るさを見て判断する)では意味がまったく違います。器具に操作用のつまみが付いているかを見れば、すぐ区別できます。
ハ.蛍光灯の力率改善に用いる … 「力率改善」という言葉がいちばん難しそうなので、難しい言葉=正解だろうと考えて選んでしまうパターンです。力率改善に使うのはコンデンサという四角い箱で、窓も、3本の電線も、防水ボックスも付きません。写真とまったく結び付かないので、落ち着いて見れば外せます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】写真鑑別のコツ|材料・器具・工具を実物写真で見分ける【令和8年度】問18
写真に示す工具の用途は。

答え・解説を見る
「写真の工具は、何をするための道具ですか」という問題です。写真にはペンチのような形をした工具が2つ写っています。選択肢を見ると4つとも「はぎ取るのに用いる」で終わっていて、違うのは「何をはぎ取るか」だけです。つまりこの問題は、「工具が何をする道具か」ではなく「どの電線用の道具か」を聞いているのだと分かります。まず、共通して出てくる言葉から説明します。
用語外装(がいそう)と絶縁被覆(ぜつえんひふく)とは?
ケーブルは3層のつくりになっています。中心が電気を通す銅の線、それを1本ずつ包んでいるのが絶縁被覆、さらに全体をまとめて包んでいるいちばん外側の皮が外装(シース)です。
なぜ?なぜ皮を2重にしているのか?
2つの皮に、別々の仕事をさせているからです。内側の絶縁被覆は「電気を外に出さない」のが仕事で、線ごとに色分け(黒・白・赤)されていて、どれがどの線かを見分ける役目も果たしています。外側の外装は「キズや水から中身を守る」のが仕事です。工事ではまず外装をはぎ、次に必要な長さだけ絶縁被覆をはぐという2段階の作業をします。
例「はぎ取る」作業は、なぜ専用の工具が要るのか?
皮だけを切って、中の銅線には傷を付けてはいけないからです。深く切れば銅線を傷つけ、浅ければ皮が取れません。
なぜ?なぜ銅線に傷が付くとまずいのか?
傷の分だけ銅線が細くなり、そこだけ電気が通りにくくなるからです。細くなった場所はそこだけ発熱し、長い時間のうちに焼けて断線したり、火災の原因になります。また曲げたときにその傷から折れやすくもなります。だから「ちょうど皮の厚さだけ切れる」よう刃の深さがあらかじめ決められた専用工具を使うのです。
用語VVFケーブルとは?
家の壁や天井の中で、いちばん多く使われている平べったいケーブルです。記号はV(ビニル絶縁)+V(ビニルシース)+F(Flat=平形)。断面が平たい長方形で、中に2本または3本の銅線が横一列に並んでいます。
なぜ?なぜ平たい形にしてあるのか?
壁の柱に沿わせて、まっすぐ留めやすいからです。丸いケーブルは転がってしまいますが、平たければ面で柱に当たって安定し、ステープル(コの字の金具)で簡単に打ち留められます。住宅の工事で圧倒的に多く使われるので、専用の工具が作られるほど需要が大きいのです。
用語ケーブルストリッパとは?
ケーブルの皮をはぎ取る専用の工具です。英語の strip(ストリップ)=はぎ取る から来ています。握るだけで外装と絶縁被覆を一度に切り、引っぱれば皮が抜けるようにできています。
なぜ?なぜ電工ナイフではなく専用工具を使うのか?
速さと確実さがまったく違うからです。ナイフでも皮はむけますが、手加減を誤れば銅線に傷が付き、慣れないと時間もかかります。専用ストリッパなら刃の入る深さが固定されているので、誰がやっても同じ仕上がりになり、失敗しにくくなります。技能試験でも時間短縮のために多くの受験者が使う定番工具です。
コツ写真から読み取れる手がかり
手がかり1 刃の部分が「横一列に並んだ溝」になっている … 平たいケーブルを、平たいまま挟んで切る形です。丸いケーブル用なら刃が丸い穴(円形)になります。ここがVVF用かどうかを見分ける最大のポイントです。
手がかり2 刃の溝が段違いに何段か用意されている … 外装用の切り込みと、絶縁被覆用の切り込みが別々にあることを示します。1本の工具で2段階の作業ができるという、VVFストリッパの特徴です。
手がかり3 握り手が長く、片手で強く握れる形 … 片手で握って、もう一方の手でケーブルを引く使い方をする工具です。1回の動作で皮が抜けることを前提にした形をしています。
手がかり4 刃先が小さく、細いケーブル向けの大きさ … 住宅用の1.6mmや2.0mmといった細いケーブル用だと分かります。太い高圧用のケーブルを切る工具は、もっと大きく頑丈な形になります。
用語ロ.CVケーブル(低圧用)とは?
絶縁物が架橋ポリエチレン、外装がビニルの、断面が丸いケーブルです。記号はC(架橋ポリエチレン絶縁)+V(ビニルシース)。ビルや工場で、大きな電気を送るときに使われます。
なぜ?なぜCV用の工具はVVF用と別物になるのか?
断面の形が違い、太さもまるで違うからです。CVは丸い断面で、中の銅線も細い線を何本もより合わせた太いものが入っています。平たいケーブル用の横長の溝では、丸くて太いCVを均等に挟めません。CV用には丸い刃で全周をぐるりと切る形の工具が別に用意されています。
用語ハ.VVRケーブルとは?
VVFと同じ材料(ビニル絶縁・ビニルシース)でできた、断面が丸いケーブルです。記号の最後のRはRound=丸形。Fが平形、Rが丸形という違いだけです。
なぜ?なぜVVRにVVFストリッパが使えないのか?
形が丸いうえ、中に「介在物(かいざいぶつ)」が詰まっているからです。VVRは丸い形を保つために、銅線のすきまに紙やひものような詰め物が入っています。平形用の横長の溝で挟んでも丸い外装を一周ぐるりと切ることができず、中の詰め物も邪魔になるのです。VVRの皮むきには電工ナイフか、丸形専用のストリッパを使います。FとRの1文字違いで工具が変わる——ここが引っかけどころです。
用語ニ.VFFコード(ビニル平形コード)とは?
電気スタンドや延長コードに使われている、2本の細い線がくっついた平たいコードです。コードとケーブルは別物で、コードは持ち運ぶ器具につなぐ、やわらかい電線です。
なぜ?なぜコード用とケーブル用で工具が違うのか?
コードには外装(シース)がなく、絶縁被覆しかないからです。VVFストリッパは「まず外装、次に絶縁被覆」という2段階を前提に作られています。外装のないコードに使うと刃が深く入りすぎて銅線を切ってしまうおそれがあるのです。またコードの中の銅線は、細い線を何十本もより合わせたものなので、少し刃が当たっただけでバラバラに切れてしまいます。コードにはワイヤストリッパという、線の太さごとに穴が並んだ別の工具を使います。
ステップ1 選択肢を見比べ、4つとも「はぎ取る工具」だと言っていることを確認する。争点は「どの電線用か」の1点だけだと絞り込む。
ステップ2 電線を「平たい」か「丸い」かで仕分ける。平たい=VVF(イ)とVFFコード(ニ)、丸い=CV(ロ)とVVR(ハ)。
ステップ3 写真の刃を見る。横一列に並んだ溝=平たいケーブルを挟む形。丸い刃ではないので、ロとハが消える。
ステップ4 残ったイとニを、「外装があるかないか」で見分ける。写真の工具には切り込みが段違いに何段かある=外装用と絶縁被覆用の2種類がある。VFFコードには外装がないので、この工具はコード用ではない。ニが消える。
ステップ5 残ったイ(VVFケーブル)が答え。選択肢の文も「外装や絶縁被覆をはぎ取る」と両方に触れていて、工具の形と完全に一致する。
覚えるこの問題の覚え方
記号の最後の1文字で形が分かる——ここを覚えるのが最短です。F=Flat(平たい)/R=Round(丸い)。そして工具の刃の形は、切る相手の断面の形と同じになります。横長の溝の刃=平形(VVF)用/丸い穴の刃=丸形(VVR・CV)用。さらに「コードには外装がない」ことを覚えておけば、外装用の刃を持つ工具はコード用ではないと即断できます。第二種電気工事士の工具の問題ではVVFストリッパがたびたび出題されるので、この形は確実に取りたいところです。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ニ.VFFコードの絶縁被覆をはぎ取る … 特に選ばれやすい間違いです。VFFも「平形」なので、写真の平たい刃と形が合うように見えるのが原因です。見分けの決め手は「外装」という言葉。ニの選択肢にだけ「外装」が書かれていないことに気づけば、外装をはぐ刃を持つこの工具とは合わないと判断できます。選択肢どうしの「書かれていない言葉」を比べるのが有効です。
ハ.VVRケーブルの外装や絶縁被覆をはぎ取る … VVFとVVRが1文字違いで見た目がそっくりなため、読み飛ばして選んでしまうパターンです。選択肢を読むときは最後の1文字(FかRか)に必ず印をつけると防げます。Rは丸形なので、丸い刃の工具が必要です。
ロ.CVケーブル(低圧用)の外装や絶縁被覆をはぎ取る … 「CV」という記号がいちばん専門的に見えるので、難しそうな選択肢=正解と考えて選んでしまうパターンです。CVは丸くて太いケーブルで、写真の小ぶりで平たい刃の工具では扱えません。工具の大きさが相手の太さに合っているかも、判断の材料になります。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】写真鑑別のコツ|材料・器具・工具を実物写真で見分ける【令和8年度】問19
単相100Vの屋内配線工事における絶縁電線相互の接続で,不適切なものは。
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「電線と電線をつなぐとき、やってはいけないことはどれですか」という問題です。「不適切なもの」を選ぶことに注意してください。3つは問題のない作業で、1つだけルール違反が混ざっています。
電線の接続には国が定めた4つの決まりがあり、この問題の選択肢はその決まりをもとに作られています。つまり決まりを覚えてしまえば、同じ形で出題されたときに得点しやすい問題です。まず、なぜそんな決まりがあるのかから説明します。
用語電線の「接続」とは、どういう作業か?
2本以上の電線の皮をむいて、中の銅線どうしをつなぎ合わせる作業のことです。リングスリーブ(金属の輪)で圧着する方法や、差込形コネクタに差し込む方法があります。
なぜ?なぜ電線をつなぐ必要があるのか?
電線は決まった長さでしか売っておらず、また途中で枝分かれさせる必要があるからです。家の中の配線は1本の電線から、各部屋のスイッチやコンセントへ何度も枝分かれしています。その枝分かれの点で、必ず接続が発生します。そして接続部分は、電線の中でも事故が起きやすい弱点です。だからこそ細かい決まりがあるのです。
なぜ?なぜ接続部分が「弱点」になるのか?
つなぎ目は、もともと1本だった電線を切って作った「境目」だからです。境目では電気の通りが悪くなりやすく、力がかかったときに抜けやすく、皮をむいたぶん電気が漏れやすい——この3つの弱点が同時に生まれます。
なぜ?なぜ通りが悪いと火事になるのか?
電気が通りにくい場所では、そこだけが熱くなるからです。電気は通りにくい場所を無理やり通るときに熱を出します。つなぎ目が甘いとそこだけが局所的に高温になり、周りの木材やほこりに火がつくこともあるのです。これは接触不良による火災と呼ばれ、実際の住宅火災の原因として今も数多く起きています。接続の決まりは、すべてこの3つの弱点をふさぐためにあります。
覚える国が定めている電線接続のルール
決まり1 電線の電気抵抗を増加させないこと … つないだことで電気が通りにくくなってはいけない。増やしてよい割合は決まっていません。「増加させない」=1%でもだめという、いちばん厳しい決まりです。
決まり2 電線の引張強さを20%以上減少させないこと … つないだ場所が、引っぱりに弱くなりすぎてはいけない。こちらは20%という数字が決められていて、20%未満の減少なら許されます。
決まり3 接続部分にはスリーブやコネクタなどの接続器具を使うか、ろう付けすること … ねじって巻きつけただけ(ろう付けもしない)、というのは認められません。
決まり4 接続部分は、もとの絶縁物と同じかそれ以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆すること … 皮をむいた場所を、必ず元どおり以上に覆い直す。
この4つのうち、「増加させない(0%)」と「20%以上減少させない」という2つの数字の扱いの違いが、この問題の勝負どころです。抵抗はいっさい増やしてはいけない、引張強さは20%までなら減ってよい——ここを取りちがえないでください。
例イ.同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した … 適切
決まり4をそのまま実行している作業です。皮をむいてむき出しになった銅線を、もとの絶縁物と同じかそれ以上の性能があるもので覆い直したということです。
なぜ?なぜ「同等以上」でなければならないのか?
もとより弱いもので覆うと、そこが新しい弱点になるからです。せっかく丈夫な絶縁物で守られている電線でも、つなぎ目だけ薄い紙を巻いたのでは、そこから電気が漏れて感電や火災の原因になります。鎖はいちばん弱い輪の強さで切れるのと同じ考え方です。決まりどおりなので適切——答えではありません。
例ロ.電線の引張強さが15%減少した … 適切
決まり2に照らして判断します。決まりは「20%以上減少させないこと」。15%は20%より小さいので、この範囲に収まっており、問題ありません。
なぜ?なぜ引張強さは少しなら減ってもよいのか?
接続すれば、強さが多少落ちるのは避けられないからです。皮をむいて銅線をひねったり、スリーブで押しつぶしたりすれば、その部分の金属はどうしても元より弱くなります。「まったく減らすな」と決めてしまうと、そもそも接続という作業が成り立ちません。そこで「実用上ここまでなら安全」という線を20%に引いたのです。一方抵抗のほうは、正しく接続すれば増加させずに済むので、「増加させない」という厳しい決まりにできる——この違いが2つの決まりの数字の差になっています。15%なので適切——答えではありません。
例ハ.差込形コネクタの終端接続で、ビニルテープを巻かなかった … 適切
差込形コネクタとは、皮をむいた電線を穴に差し込むだけでつながる、透明や乳白色のプラスチックの部品です。テープを巻かなくても問題ありません。
なぜ?なぜコネクタならテープを巻かなくてよいのか?
コネクタの本体そのものが、絶縁の役目を果たしているからです。決まり4が求めているのは「同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆すること」であって、「テープを巻くこと」ではありません。差込形コネクタは電線を差し込むと、金属部分がすっぽりプラスチックの中に収まる構造になっていて、これ自体が絶縁被覆として認められています。適切——答えではありません。
例ニ.電線の電気抵抗が5%増加した … 不適切=これが答え
決まり1は「電線の電気抵抗を増加させないこと」。「◯%まで」という許容範囲がありません。したがって5%でも増加させた時点でルール違反です。
なぜ?なぜ抵抗だけは1%も増やしてはいけないのか?
抵抗の増加が、そのまま発熱と火災に直結するからです。接続部分の抵抗が増えると、電流が流れるたびにその一点だけが熱を出し続けます。しかも熱くなると金属が酸化して、さらに抵抗が増える——という悪循環に入ります。抵抗が増える→熱くなる→もっと抵抗が増える→もっと熱くなる。これが進むと、最後は赤熱して発火します。引張強さのように「少しなら大丈夫」と線を引ける性質のものではないので、「増加させない」という言い切りの決まりになっているのです。正しく接続すれば抵抗を増加させずに済むので、守れない決まりではありません。
ステップ1 問題文の「不適切なもの」に印をつける。ルール違反を1つ探す作業だと確認する。
ステップ2 数字が書かれている選択肢を先に見る。この問題ではロ(引張強さ15%減少)とニ(電気抵抗5%増加)の2つ。数字のある選択肢に答えが仕込まれていることがある。
ステップ3 ロを決まりと照合する。引張強さの決まりは「20%以上減少させない」。15%<20%なのでセーフ。消える。
ステップ4 ニを決まりと照合する。電気抵抗の決まりは「増加させない」——許容範囲の数字がない。5%でもアウト。これが答えの候補。
ステップ5 念のためイとハを確認する。イは決まり4そのままで適切。ハはコネクタ自身が絶縁しているので適切。残ったニが答えで確定。
覚えるこの問題の覚え方
「抵抗はゼロ、強さは20」——この一言で覚えてください。電気抵抗は増加させない(許容ゼロ)、引張強さは20%以上減少させない(20%までOK)。出題はこの2つの数字を入れ替えたり、抵抗のほうに「◯%まで大丈夫」と書いたりして引っかけてきます。理屈で覚えたい人は「抵抗が増える=熱くなる=火事になる。だから一切だめ」、「強さが減る=抜けやすくなる。でも接続すれば多少は減るのが当たり前。だから20%まで許す」と結び付けておくと、どちらがゼロでどちらが20かを取りちがえません。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
ロ.引張強さが15%減少した … 特に選ばれやすい間違いです。「15%も弱くなったなら、さすがにだめだろう」と感覚で判断してしまうのが原因です。また2つの決まりの数字を混同して、「引張強さもゼロでなければいけない」と思い込む人もここを選びます。引張強さには20%という許容範囲があることをはっきり覚えておいてください。
ハ.ビニルテープによる絶縁は行わなかった … 「絶縁をしなかった」という言葉の響きだけで危険だと判断してしまうパターンです。実際にはコネクタ自体が絶縁物なので、絶縁をしていないわけではありません。決まりが求めているのは「テープを巻くこと」ではなく「絶縁効力のあるもので覆うこと」——手段ではなく目的で判断するのがコツです。
イ.同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した … 設問の「不適切な」を読み落とし、「適切なものを選ぶ問題」だと思い込んだ人が選びます。イはいちばん教科書どおりの正しい記述なので、取りちがえた人が真っ先に飛びつく選択肢です。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電線の接続|リングスリーブと差込形コネクタ【第14回】問20
低圧屋内配線工事(臨時配線工事の場合を除く)で,600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルを用いたケーブル工事の施工方法として,適切なものは。
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「ケーブルを使った工事のやり方が4つ書いてあります。ルールを守れているのはどれですか」という問題です。今度は「適切なもの」を選ぶ問題です。3つがルール違反で、1つだけ正しい——前の問19とは逆向きなので、ここで頭を切り替えないと取りちがえます。
用語ケーブル工事とは?
外装(シース)で守られたケーブルを、そのまま壁や天井に留めていく工事のことです。管に通さずに、ケーブル単体で配線できるのが特徴で、住宅の工事ではもっとも一般的な方法です。
なぜ?なぜケーブルは管に入れなくてよいのか?
ケーブル自身が、外装という「鎧」を持っているからです。IVのような絶縁物1枚だけの電線(絶縁電線)は必ず管の中に通さなければなりませんが、ケーブルは外装が管の代わりを務めてくれます。そのぶん工事が速く安くできるので、住宅ではケーブル工事が主流です。ただし「管がない=守りが薄い」のも事実なので、この問題のような細かい施工ルールが定められているのです。
用語「臨時配線工事の場合を除く」とは?
イベントや工事現場などで、短い期間だけ仮に配線する場合は、この問題では考えないという意味です。
なぜ?なぜ臨時の工事だけルールが違うのか?
使う期間が短く、終わったら必ず撤去するからです。何十年も使い続ける建物の配線と、数日で片づける仮設の配線では、求められる丈夫さが変わります。試験ではこの但し書きがあったら「通常の決まりで考えよ」という合図だと受け取ってください。答えを出すのに使う情報ではありません。
用語支持点間(しじてんかん)の距離とは?
ケーブルを壁や天井に留めている金具から、次の金具までの間隔のことです。留め具と留め具のあいだが何メートル空いているか、ということです。
なぜ?なぜ留める間隔に上限があるのか?
間隔が空きすぎると、ケーブルが自分の重さで垂れ下がってしまうからです。垂れ下がったケーブルは人や物が引っかけやすく、引っぱられれば接続部分が抜けたり、ケーブルが傷ついたりします。またケーブル自身の重みが、いちばん上の留め具の一点に集中してかかることにもなります。だから「これ以上は空けてはいけない」という上限が決められているのです。
覚えるケーブル工事の支持点間距離の決まり
原則 2m以下 … 造営材(壁・柱・天井などの建物の骨組み)の下面や側面に沿って取り付ける場合の基本の数字です。
例外 6m以下 … 接触防護措置を施した場所で、垂直に取り付ける場合に限ってここまで緩められます。
この選択肢は8m … いちばん緩い6mの決まりすら超えています。したがって不適切。
用語「接触防護措置(せっしょくぼうごそち)」とは?
人がうっかり触れないようにする対策のことです。手の届かない高さに設置する、さくや囲いを設けるといった方法をとります。
なぜ?なぜ触れない場所だと6mまで緩められるのか?
引っかけられる心配が減るからです。支持点間の距離を制限している大きな理由は「垂れ下がったケーブルに人や物が引っかかること」でした。人が近づけない場所なら、その心配はほぼなくなります。さらに垂直に取り付ける場合は、ケーブルの重さが真下に向かってまっすぐかかるので、横向きに渡すときのようにたるんで垂れ下がることがありません。この2つの条件がそろって、はじめて6mが認められます。それでも8mは認められていません。
用語弱電流電線(じゃくでんりゅうでんせん)とは?
電話・インターホン・テレビ・LANなど、「信号」を運ぶための電線のことです。照明やコンセントに電気を送る強電(きょうでん)の電線と区別して、こう呼ばれます。
なぜ?なぜ強電の電線と同じ管に入れてはいけないのか?
理由が2つあります。1つめは安全の問題。万一強電側の絶縁が破れて、電話線に100Vが流れ込んだら、電話機を持っている人が感電します。弱電の機器は数Vから数十Vで動くように作られているので、100Vが入れば壊れますし、火災の危険もあります。2つめは雑音の問題。強電の電線のまわりには目に見えない電気的な波が出ていて、すぐ隣に信号線があるとその波が信号にまぎれ込みます。電話ならブーンという雑音、テレビなら画像の乱れになって現れます。「金属製遮へい層のない」=雑音を防ぐ金属の覆いがないので、なおさら一緒にしてはいけません。よって不適切です。
用語「直接埋設(ちょくせつまいせつ)」とは?
ケーブルを管などに入れず、そのままコンクリートに埋め込んでしまうことです。
なぜ?なぜVVFケーブルをコンクリートに直接埋めてはいけないのか?
理由が2つあります。1つめは取り替えられなくなること。コンクリートは固まれば石と同じです。ケーブルが傷んでも、壁を壊さないと交換できません。電気設備は建物より先に寿命が来るものなので、これは大きな欠点です。2つめは力がかかること。コンクリートは固まるときに縮み、建物が動けばケーブルを押しつぶす力がかかります。どうしてもコンクリート内を通したい場合は、先に管(電線管)を埋めておいて、その中にケーブルを通す——こうすればあとから引き替えができます。よってこの選択肢は不適切です。
用語「屈曲部(くっきょくぶ)の内側の半径」とは?
ケーブルを曲げたときの、カーブの内側がえがく円の半径のことです。半径が大きいほど、ゆるやかなカーブになります。外径はケーブルの外側の太さ(直径)のことです。
なぜ?なぜケーブルを急に曲げてはいけないのか?
曲げの内側と外側で、伸び縮みの差が出るからです。ケーブルを曲げると、カーブの外側は引き伸ばされ、内側は押しつぶされます。急に曲げるほどこの差が大きくなり、外側の外装が薄く伸びて裂け、内側では中の銅線がよじれて折れる原因になるのです。とくに絶縁物が薄くなった場所は、そこから電気が漏れる弱点になります。曲げたときは無事に見えても、何年もたってからその場所が壊れることもあるので、あらかじめ「これ以上きつく曲げるな」という決まりが設けられているのです。
覚える決まりは「外径の6倍以上」
ケーブルを曲げるときの決まりは、屈曲部の内側の半径を、ケーブル外径の6倍以上にすることです。この選択肢は8倍——6倍より大きい=よりゆるやかに曲げているので、決まりを余裕をもって満たしています。
なぜ?なぜ「6倍以上」で、8倍でもよいのか?
決まりが求めているのは「これよりきつく曲げるな」という下限だからです。ゆるやかに曲げるぶんには、いくらでも安全です。6倍が最低ラインで、8倍・10倍はもっと安全ということになります。ここで「8は6より大きいからだめ」と考えてしまう人も少なくないのですが、「以上」という決まりでは、大きいほど良いのです。よってこの選択肢が適切=答えになります。
ステップ1 問題文の「適切なもの」に印をつける。ルール違反を3つ消す作業だと確認する。直前の問19が「不適切なもの」だったので、ここで必ず頭を切り替える。
ステップ2 イを判定する。支持点間距離は原則2m以下、接触防護措置+垂直でも6m以下。8mは上限超えなので消える。
ステップ3 ロを判定する。強電と弱電を同じ管に入れるのは禁止。感電と雑音の両方の理由から不可。消える。
ステップ4 ハを判定する。VVFのコンクリート直接埋設は不可。管を先に埋めて、あとからケーブルを通すのが正しい。消える。
ステップ5 残ったニを確かめる。曲げ半径の決まりは外径の6倍以上。8倍は6倍より大きい=ゆるやかで安全なので決まりを満たしている。よってニが答え。
覚えるこの問題の覚え方
ケーブル工事の数字は「2・6・6」の3つで覚えられます。支持点間は原則2m以下、接触防護措置+垂直なら6m以下、曲げ半径は外径の6倍以上。ここで大事なのは「以下」と「以上」の向きの違いです。支持点間は「以下」=小さいほど安全(こまめに留める)、曲げ半径は「以上」=大きいほど安全(ゆるく曲げる)。数字だけ覚えて向きを間違えると、正解が不正解に見えてしまうので、「留めるのはこまめに、曲げるのはゆるやかに」と言葉でセットにして覚えるのが確実です。あわせて「強電と弱電は同居させない」「コンクリートに直接埋めない」の2つの禁止事項も定番です。
なぜ?なぜその選択肢を選んでしまうのか
イ.支持点間の距離を8mとした … 特に選ばれやすい間違いです。「接触防護措置を施した」「垂直に取り付け」という“正しそうな条件”が並んでいるので、条件を満たしているように読めてしまいます。実際その条件で緩和は受けられるのですが、緩和されても上限は6mです。条件だけ見て安心せず、最後に数字を確かめることが必要です。
ニを「8倍だからだめ」と考えて外してしまう … 正解を自分から捨ててしまう、もっとも惜しい間違いです。「決まりは6倍なのに8倍と書いてある=違う=不適切」と数字の一致だけで判断してしまうのが原因です。「6倍以上」の「以上」を読み落とさないでください。8倍は6倍以上を満たしています。
ハ.コンクリート壁の中に直接埋設した … 「壁の中に隠せるのだから、いちばん安全で美しい工事だろう」とイメージで判断してしまうパターンです。見た目はきれいですが、壁を壊さない限りあとから交換できないという決定的な欠点があります。電気設備は「あとから直せること」が安全と同じくらい重視される——この視点を持っておくと、似た選択肢を見抜けます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】工事の種類と使える場所|施設場所のルール【第13回】
📝 読んだあとは、解いて確かめる令和5年度 上期 午前 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ全50問。選択肢を選ぶとその場で正解・不正解と解説が出ます。登録も料金もいりません。ドリルで解く →
この記事のまとめ
問11〜20でおさえた内容を、1問1行でふり返ります。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で必ず持ち帰ること
問11 プルボックス … プル(pull)=引っぱる。通線を容易にする箱。分電盤は電気を分ける箱、スイッチボックスは器具を付ける小さな箱
問12 最高許容温度 … 無印のビニル=60℃、H(耐熱)=75℃、C(架橋ポリエチレン)=90℃。温度を決めるのは絶縁物であってシースではない
問13 コンクリートに金属管 … あける(振動ドリル)→入れる(カールプラグ)→留める(木ねじ)+管を抱えるサドル。ステープルは木造のVVF用
問14 同期速度 … 120×周波数÷極数。60Hz・4極=1 800 min-1は丸ごと暗記推奨
問15 機器の組合せ … ネオン変圧器はネオン管専用。水銀灯・蛍光灯に必要なのは安定器
問16 EM-EEF(エコケーブル) … ハロゲン系ガスを出さない・リサイクルしやすい・75℃で熱に強い。ガスを出すのはビニル(VVF)の側
問17 自動点滅器 … 明るさで動く=自動点滅器/人で動く=熱線式(人感センサ)。窓がのっぺり半透明なら明るさ
問18 VVFストリッパ … F=平形、R=丸形。刃の形は切る相手の断面の形と同じ。コードには外装がない
問19 電線の接続 … 抵抗はゼロ(増加させない)、強さは20(%以上減少させない)。差込形コネクタはテープ不要
問20 ケーブル工事 … 支持点間は原則2m以下(接触防護+垂直で6m以下)、曲げ半径は外径の6倍以上。留めるのはこまめに、曲げるのはゆるやかに
この10問には、問1〜10のような計算がほとんどありませんでした。そのぶん「知っていれば一瞬、知らなければ手も足も出ない」問題が並びます。ここは努力がそのまま点数になる、いちばん割のいい分野です。
覚えるときのコツは、名前を単語として覚えないことです。プルボックスは「引っぱる箱」、ケーブルストリッパは「はぎ取る道具」、サドルは「馬の鞍のようにまたぐ金具」——名前の意味と、その物の仕事を結びつけておけば、写真を見た瞬間に名前が出てきますし、名前を見た瞬間に用途が浮かびます。丸暗記より、はるかに忘れにくくなります。
また、この範囲では設問が「適切なもの」を聞いているのか、「誤っているもの・不適切なもの」を聞いているのかが問題ごとに入れ替わります。実際、この10問だけでも問15・問16・問19は「誤り/不適切」、問13・問20は「適切」と向きが逆になっていました。設問の最後の一文に必ず印をつけてから選択肢を読む——これだけで、実力とは関係のない失点を大きく減らせます。
出典
令和5年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和5年度上期 午前 全5記事)
▶ 問1〜10
計算のきほん(回路の電圧・抵抗率・電力量・交流の消費電力・三相)
▶ 問21〜30
施工・検査・法令(工事の種類・接地・絶縁抵抗・電気工事士法)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(電線本数・接地工事・遮断器・図記号の読み取り)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(材料・工具・器具を写真から選ぶ)
用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)
▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから
▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量
▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい
▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号
▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント
▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品
▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表
▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる
▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方
▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備
▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
