第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 上期・午前(2023年5月28日実施)の問1〜10です。
問1〜問10は計算問題と電気の基礎がまとまって出てくるところです。ここで「公式を覚えていないから無理」とあきらめてしまう人も少なくありませんが、使う式は全部で5つか6つしかありません。この記事では、その式がどうしてそうなるのか、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを、電気を習ったことがない人でも追えるように1段ずつ書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問1
分野:電気の基礎(回路の電圧)重要度 ★★★
図のような回路で,スイッチS を閉じたとき,a−b 端子間の電圧[V]は。
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この問題は何を聞いているの?
図のような配線に100Vの電池をつないで、スイッチを入れたとき、右はしにある「a」と「b」という2つの出口のあいだに、何ボルトの電圧が出ているかを聞いています。まず、出てくる言葉を1つずつ説明します。
用語電圧[V]とは?
電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)。図の左にある「100 V」が、この回路を動かしている力です。
なぜ?なぜ電圧を「押す力」に例えるのか?
水道でいうと水圧にあたるからです。水圧が高いほど水が勢いよく出るのと同じで、電圧が高いほど電気がたくさん流れようとします。電圧そのものは流れではなく、流れを起こす“もと”だと思ってください。
用語抵抗[Ω]とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど流れにくくなります。図の中の細長い長方形が抵抗で、この問題では30Ωのものが4つ入っています。
なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?
ホースの中にスポンジが詰まっていると水が通りにくいのと同じで、電線や部品の中にも電気の通り道を邪魔するものがあります。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。
用語端子(たんし)とは?
電気を取り出したり、機械をつないだりするための出口のことです。図の右にある小さな丸が端子で、上がa、下がbという名前になっています。
なぜ?なぜ端子の電圧を聞かれるのか?
実際の工事では、ここにコンセントや照明をつなぐことになるからです。「この出口に何ボルト来ているか」が分からないと、つないでよい機器を選べません。
用語スイッチSを「閉じる」とは?
スイッチを入れて、電気が通る状態にすることです。閉じる=つながる(ON)/開く=切れる(OFF)です。
なぜ?なぜ「閉じる」がONで「開く」がOFFなのか?
スイッチを道路に架かる跳ね橋だと思ってください。橋を下ろして(閉じて)道がつながれば車は通れ、橋を上げれば(開けば)道は途切れて通れません。電気の世界では道がつながることを「閉じる」と言うので、日常の感覚とは逆に感じます。ここを取りちがえると答えが変わってしまうので要注意です。
スイッチを閉じると、まん中の30Ωは「消える」
図をよく見ると、まん中の上に30Ωの抵抗があり、その真下にスイッチSがあるのが分かります。抵抗とスイッチが同じ2点のあいだで並んでいる形です。この形になっているとき、スイッチを閉じると、電気は抵抗のあるほうを通らず、スイッチのほうだけを通ります。
用語短絡(たんらく)とは?
抵抗のある部品を、抵抗のない電線でまたいでしまうことです。「ショート」ともいいます。またがれた部品には電気がほとんど流れなくなり、その部品は無いのと同じ扱いになります。
なぜ?なぜ電気は抵抗のほうを通らなくなるのか?
電気は通りやすいほうへ流れる性質があるからです。30Ωの道と、抵抗0Ωの道(スイッチの側)が並んでいれば、当然ほとんど全部が0Ωの道を通ります。川の流れが、狭い水路よりも広く開いた水路に集まるのと同じです。
つまりスイッチSを閉じた瞬間に、まん中の30Ωは計算から外してよいということです。これがこの問題の1つ目のポイントです。
a−b間には何もつながっていない=右の30Ωには電気が流れない
2つ目のポイントは、端子aとbのあいだに何もつながっていないことです。「a−b端子間の電圧は?」と聞かれているだけで、ここに電球やモーターがつながっているとはひと言も書かれていません。
用語開放(かいほう)とは?
回路の先が、どこにもつながらず途切れている状態のことです。道が行き止まりになっているのと同じで、そこには電流が流れません。
なぜ?なぜ行き止まりだと電流が流れないのか?
電気はぐるっと1周まわって元の場所に帰ってこないと流れないからです。電池から出た電気が電池に戻る道がなければ、そもそも流れは始まりません。この問題ではaから先が途切れているので、aにつながる30Ωには1Aも流れていないことになります。
用語電圧降下(でんあつこうか)とは?
抵抗に電流が流れると、その抵抗の前と後ろで電圧が下がることです。下がる大きさは電流×抵抗で決まります。
なぜ?なぜ電流が0だと電圧降下も0になるのか?
下がる大きさが電流×抵抗だからです。電流が0なら、抵抗がいくら大きくても0×30=0Vにしかなりません。だから右の30Ωは、あってもなくても電圧の値は同じです。これに気づけると、この問題は一気に簡単になります。
残った回路は「30Ωが2本の1本道」だけ
ここまでの2つを当てはめると、計算に関係する部品は左の30Ωと、まん中から下に伸びている縦の30Ωの2本だけになります。100Vの電池 → 左の30Ω → 縦の30Ω → 電池にもどる、という1本道です。
用語直列(ちょくれつ)とは?
部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列につながった抵抗は、そのまま足し算して1本にまとめられます。
なぜ?なぜ直列だと抵抗が足し算になるのか?
1本道なので、電気はどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときの2倍通りにくくなります。だから30Ω+30Ω=60Ωです。
用語オームの法則とは?
電圧=電流×抵抗(V=I×R)という関係のことです。ここから電流=電圧÷抵抗という形にして使うことがいちばん多くなります。
なぜ?なぜこの1本だけ覚えれば足りるのか?
電気の計算問題は電圧・電流・抵抗のうち2つが分かっていて、残り1つを聞かれる形が多いからです。V=I×R の3つの文字のうち、知りたい文字を左に持ってくるだけで、すべての形が作れます。
手順1 スイッチSを閉じたので、まん中の30Ωは短絡されて0Ωと同じになる。計算から外す。
手順2 a−b間には何もつながっていないので、右の30Ωには電流が流れない。ここでの電圧降下は0V。
手順3 残るのは左の30Ωと縦の30Ωの1本道。合計=30 + 30 = 60Ω
手順4 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 100 ÷ 60 = 約1.67A
手順5 縦の30Ωにかかる電圧 = 電流 × 抵抗 = 1.67 × 30 = 50V
手順6 右の30Ωで電圧は下がらないので、a−b間の電圧もそのまま = 50V
よって答えはハの50Vです。
わり算をしないで解く方法もある
じつは100÷60という割り切れない計算をしなくても答えは出せます。同じ大きさの抵抗が2本、1本道に並んでいるときは、100Vをきっちり半分ずつ分け合うからです。
用語分圧(ぶんあつ)とは?
直列に並んだ抵抗が、電源の電圧を抵抗の大きさの比で分け合うことです。30Ωと30Ωなら1対1なので、100Vは50Vと50Vに分かれます。
なぜ?なぜ抵抗の比で分け合うことになるのか?
1本道ではどの部品にも同じ電流が流れるからです。電圧降下は「電流×抵抗」で、電流が共通なら電圧降下の比=抵抗の比になります。抵抗が2倍の部品には、2倍の電圧がかかるということです。
覚えるこの問題の覚え方
この問題は「消す」作業を2回やるだけです。①スイッチを閉じたら、そのスイッチが横に並んでいる抵抗を消す(短絡)。②端子の先に何もつながっていなければ、そこへ向かう抵抗も消す(電流が0だから電圧も下がらない)。2つ消したあとに残った回路を見れば、30Ωが2本の1本道=100Vを半分ずつで、わり算すらせずに50Vと分かります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.30 … スイッチを閉じたことを見落として、まん中の30Ωを残したまま計算した人。30Ωが3本の直列(90Ω)と考えると電流は約1.1Aで、縦の30Ωには約33Vとなり、いちばん近い30を選んでしまいます。
ニ.60 … 誤りです。a−b間が開放(何もつながっていない)なので右の30Ωには電流が流れない、と気づけるかどうかが分かれ目です。
ロ.40 … 誤りです。「消してよい抵抗を先に消す」という順番でやれば、正しい50Vにたどり着けます。
問2
分野:電気の基礎(抵抗率)重要度 ★★☆
抵抗率ρ[Ω・m],直径D[mm],長さL[m]の導線の電気抵抗[Ω]を表す式は。
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この問題は何を聞いているの?
「電線の材質・太さ・長さが分かっているとき、その電線の電気抵抗は、どんな式で表せるか」を聞いています。数字を入れて計算する問題ではなく、4つの式から正しい形を1つ選ぶだけです。計算力は要りません。式の組み立て方さえ分かれば、得点しやすい問題です。
用語導線(どうせん)とは?
電気を通すための線のことです。一般的には銅(どう)でできています。この問題では「1本の細長い金属の棒」だと思って読んでください。
なぜ?なぜ導線に銅を使うのか?
銅は電気をよく通すわりに値段が安く、曲げやすいからです。銀のほうがよく通しますが高すぎるので、実際の電線はほとんどが銅です。
用語抵抗率ρ(ロー)とは?
その材料そのものの、電気の通しにくさを表す数字です。単位はΩ・m(オーム・メートル)。銅は小さく、鉄は大きい、というように材料ごとに最初から決まっている値です。
なぜ?なぜ抵抗(Ω)とは別に抵抗率(Ω・m)が必要なのか?
同じ銅線でも、長ければ抵抗は大きくなり、太ければ抵抗は小さくなるからです。つまり抵抗Ωは「その1本の事情」で変わってしまい、材料そのものの性質を表せません。そこで長さと太さの影響を取りのぞいた材料そのものの数字として、抵抗率が用意されています。
コツρの読み方と書き方
ρはギリシャ文字の「ロー」です。アルファベットの小文字のpではありません。電気の世界では、抵抗率をこの記号で書く決まりになっています。
なぜ?なぜアルファベットではなくギリシャ文字を使うのか?
電気の式にはすでにP(電力)やR(抵抗)といったアルファベットが使われていて、同じ文字を別の意味で使うと混乱するからです。記号の見た目でおどろく必要はありません。「ρ=材料の通しにくさ」とだけ覚えれば十分です。
もとになる式はたった1本
電線の抵抗を求める式は、抵抗=抵抗率×長さ÷断面積です。記号で書くとR = ρL ÷ A(Aは断面積)。この1本だけ覚えていれば、あとはその中身を入れかえていくだけで答えにたどりつきます。
用語この式が言っていること
長ければ長いほど抵抗は大きく、太ければ太いほど抵抗は小さくなるということです。長さLはかけ算の位置に、断面積Aはわり算の位置にあります。
なぜ?なぜ長いと大きく、太いと小さくなるのか?
水道のホースで考えると分かります。ホースが長いほど水は通りにくくなり、太いほどたくさん流れます。電気もまったく同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。この向きが身についていれば、式の上と下をひっくり返す間違いを防ぎやすくなります。
用語断面積(だんめんせき)とは?
電線をぷつんと輪切りにしたときの、切り口の面積のことです。電線の切り口は円なので、直径をDとすると断面積 = π(円周率)× D × D ÷ 4で求まります。
なぜ?なぜ直径を2で割ってから2回かけるのか?
円の面積は半径×半径×πで求める決まりだからです。半径は直径の半分(D÷2)なので、(D÷2)×(D÷2)×π = π×D²÷4 になります。4で割るのは「半分を2回かけた」名残だと思ってください。
この問題の山場は単位をそろえるところ
問題文をよく読むと、直径Dはmm(ミリメートル)、長さLはm(メートル)と、単位がわざとバラバラに与えられています。ここがこの問題の本当の出題ポイントです。
なぜ?なぜ単位をそろえないといけないのか?
抵抗率ρの単位がΩ・mだからです。ρの中に「m(メートル)」が入っている以上、式に入れる長さも面積もメートルの世界の数字でなければ、答えの単位がΩになりません。
なぜ?なぜ単位がそろわないと答えが合わないのか?
「1000円+2ドル」を計算できないのと同じです。ものさしが違う数字は、そのままでは足したり割ったりできません。だから、まずミリの世界の数字をメートルの世界に引っ越しさせます。
コツmm²をm²に直すには10⁻⁶をかける
1m = 1000mmなので、面積では1m² = 1000 × 1000 = 1 000 000 mm²になります。つまり1mm² = 100万分の1 m²。式では×10⁻⁶と書きます。
なぜ?なぜ長さは1000倍なのに、面積は100万倍になるのか?
面積はたて×よこだからです。たてが1000倍、よこも1000倍になれば、面積は1000×1000=100万倍になります。1辺1mの正方形の中に、1辺1mmの小さな正方形が100万個並ぶ——と想像すると納得できます。
用語10⁻⁶と10⁶の関係
10⁻⁶をかけることと10⁶で割ることは同じ意味です。逆に、10⁻⁶で割ると10⁶をかけることになります。
なぜ?なぜ選択肢では10⁶が「かける」側にいるのか?
断面積Aは式の下(わり算の側)にあり、そのAに10⁻⁶が付いているからです。下にある小さい数で割ると、答えは大きくなる——つまり10⁻⁶で割ることは10⁶をかけることと同じなので、式を整理すると10⁶が上に出てきます。
1ステップずつ式を組み立てる
手順1 もとの式を書く → 抵抗R = 抵抗率ρ × 長さL ÷ 断面積A
手順2 断面積をmm²で表す → A = π × D² ÷ 4 [mm²]
手順3 m²に引っ越す → A = (π × D² ÷ 4)× 10⁻⁶ [m²]
手順4 手順1に入れる → R = ρL ÷ 〔(πD² ÷ 4)× 10⁻⁶〕
手順5 「÷4」で割ることは「×4」と同じなので上へ移す → R = 4ρL ÷ (πD² × 10⁻⁶)
手順6 10⁻⁶で割ることは10⁶をかけることと同じ → R = 4ρL ÷ πD² × 10⁶
よって答えはイです。
式を組み立てなくても、見るだけで選べる
本番でいちばん速いのは、4つの式のちがっているところだけを見比べるやり方です。4つの式を並べると、見比べるべきちがいはLが1乗か2乗かと、Dが1乗か2乗かの2か所です。
覚える見分けるポイントは2か所だけ
① 長さLは必ず1乗 … 長さは「かけ算に1回入るだけ」なので、L²になっているものは全部まちがい。これでロとニが消えます。
② 直径Dは必ず2乗 … Dは面積を作るために2回かけるので、必ずD²。Dが1乗のものはまちがいで、これでハが消えます。
残るのはイだけ … 4ρL ÷ πD² × 10⁶。組み立てなくても、この2つのふるいだけで1つに絞れます。
覚えるこの問題の覚え方
「長さは1乗、太さは2乗」——これだけ覚えてください。長さは道の長さそのものなので1回だけ、太さは面積を作るためにたて・よこで2回かける、という意味です。さらに「mmが混ざっていたら10⁶が出てくる」もセットで覚えておくと、式を組み立てる問題でも、数字を入れる問題でも同じように使えます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.ρL²÷πD²×10⁶ … 長さLを2乗してしまった人。「2乗するのは面積のほうだけ」と分けて覚えれば防げます。
ハ.4ρL÷πD×10⁶ … 直径Dを2乗し忘れた人。特に起こりやすいまちがいです。Dは面積を作るために必ず2回かけると唱えてください。
ニ.4ρL²÷πD×10⁶ … LとDの両方をまちがえた人。
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問3
分野:電気の基礎(電力量)重要度 ★★★
抵抗に100 V の電圧を2 時間30 分加えたとき,電力量が4 kW・h であった。抵抗に流れる電流[A]は。
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この問題は何を聞いているの?
「100Vをつないだ抵抗を2時間30分ずっと使ったら、電気を4kW・h使った。このとき流れていた電流は何アンペアか」を聞いています。家の電気代の明細に出てくる「kWh」がそのまま出てくる問題です。
用語電流[A]とは?
電気がどれだけの量、流れているかを表す数字です。単位はA(アンペア)。水道でいえば1秒あたりに流れる水の量にあたります。
なぜ?なぜ電圧とは別に電流という言葉があるのか?
電圧は「押す力」、電流は「実際に流れた量」で、別のものだからです。水圧が高くても、ホースの先を細くすれば流れる水は少なくなります。電気でも、電圧が同じでも抵抗が大きければ電流は少なくなります。
用語電力[W]とは?
1秒間に使う電気の量のことです。単位はW(ワット)。電力 = 電圧 × 電流で求まります。ドライヤーの「1200W」などは、この数字です。
なぜ?なぜ電圧と電流をかけると電力になるのか?
押す力(電圧)が強いほど、流れる量(電流)が多いほど、たくさん仕事ができるからです。水車を回すのに、水圧が高くて水量も多いほど強く回るのと同じ関係です。
用語電力量[kW・h]とは?
使った電気の合計のことです。電力量 = 電力 × 時間で求めます。単位のkW・h(キロワットアワー)は、「1kWの電力を1時間使ったときの量」という意味です。
なぜ?なぜ電力(W)と電力量(Wh)を分けるのか?
Wは「勢い」、Whは「たまった量」だからです。水道でいえば、Wが「毎秒の出る勢い」、Whが「バケツにたまった水の総量」にあたります。1200Wのドライヤーを1分使うのと1時間使うのでは、勢いは同じでも使った量はまるでちがいます。電気代の請求は「たまった量」=kWhで計算されるので、この区別は実生活でも大事です。
用語k(キロ)とは?
1000倍を表す記号です。1kW = 1000W、4kW・h = 4000W・hになります。
なぜ?なぜわざわざキロを使うのか?
大きな数字を書くのが面倒だからです。「4000W・h」より「4kW・h」のほうが短くて読みやすいので、電気の世界では1000をこえたらキロを使うのが一般的です。計算するときは必ず1000倍して元に戻すのを忘れないでください。
まず「2時間30分」を数字に直す
この問題で特につまずきやすいのが、ここです。「2時間30分」を「2.30」と書いてしまうと、その先の答えは全部まちがいます。
用語2時間30分は2.5時間
30分 = 半時間 = 0.5時間なので、2時間30分は2.5時間です。
なぜ?なぜ2.30時間ではないのか?
時間は60分で1つ上がるからです。長さや重さのように10で位が上がってくれません。30分は60分のちょうど半分なので0.5、15分なら0.25、45分なら0.75と直します。「分 ÷ 60」で小数の時間になると覚えてください。
計算は4ステップだけ
この問題は「電力量→電力→電流」と、順に1段ずつほどいていくだけです。一度に答えを出そうとせず、必ずこの順番でいきます。
コツ手順1 時間を直す = 2時間30分 = 2 + 0.5 = 2.5時間
手順2 電力を出す = 電力量 ÷ 時間 = 4 ÷ 2.5 = 1.6kW
手順3 Wに直す = 1.6 × 1000 = 1600W
手順4 電流を出す = 電力 ÷ 電圧 = 1600 ÷ 100 = 16A
よって答えはイの16Aです。
なぜ?なぜ手順2で「割り算」なのか?
もとの関係が電力量 = 電力 × 時間だからです。かけ算でつながっている3つのうち1つを知りたいときは、残りの2つで割るのがきまりです。
なぜ?なぜ抵抗の値が問題文に書かれていないのか?
抵抗の値を知らなくても答えが出るからです。電圧100Vと電力1600Wが分かっていれば、電流は「1600÷100」で出ます。「抵抗に」と書いてあるので抵抗を求めたくなりますが、聞かれているのは電流です。問題文で聞かれているものを、計算をはじめる前に指さして確認するくせをつけてください。
覚えるこの問題の覚え方
「時間を先に直す」——これだけです。2時間30分を2.5時間にする、この一手をやってから計算に入れば、あとは「割って、1000倍して、また割る」という単純な流れになります。出てくる式は電力量 = 電力 × 時間と電力 = 電圧 × 電流の2本だけ。どちらも中学校の「速さ・時間・距離」と同じ形なので、知りたいものが左、残りをかけ算かわり算と考えれば迷いません。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.40 … 時間で割るのを忘れた人が選ぶ数字です。4kW・hをそのまま4kW=4000Wと勘違いして、4000÷100=40としてしまう形。「・h」が付いていたら必ず時間で割ると覚えてください。
ロ.24 / ハ.32 … どちらも誤りです。正しくは4÷2.5=1.6kW、1600÷100=16Aです。時間の換算は計算をはじめる前にすませておくのが確実です。
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問4
分野:電気の基礎(交流回路の消費電力)重要度 ★★★
図のような回路で,抵抗R に流れる電流が4 A,リアクタンスX に流れる電流が3 A であるとき,この回路の消費電力[W]は。
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この問題は何を聞いているの?
「100Vの交流に、抵抗Rとコイル(リアクタンスX)を横に並べてつないだとき、この回路が本当に使っている電力は何ワットか」を聞いています。一見むずかしそうですが、考え方さえ分かれば、かけ算1回(100×4)で解ける問題です。
用語交流(こうりゅう)とは?
電気の流れる向きが、1秒間に何十回も入れかわる電気のことです。家庭用コンセントに来ているのは全部これです。図の左にある丸の中に波線が入った記号が交流の電源を表します。
なぜ?なぜ向きが入れかわる電気をわざわざ使うのか?
変圧器(トランス)で電圧を自由に上げ下げできるからです。発電所から遠くまで送るときは高い電圧にしたほうがムダが少なく、家に届いてから低い電圧に落とせます。向きが変わらない電気(直流)ではこれが簡単にできません。
用語リアクタンスXとは?
コイルやコンデンサ(電気を一時的にためる部品)が持っている、交流に対する「流れにくさ」のことです。単位は抵抗と同じΩですが、抵抗とは性質がまったくちがいます。図のぐるぐる巻いた記号がコイルで、Xと書かれています。
なぜ?なぜ抵抗と別の名前が付いているのか?
抵抗は電気を熱に変えて使い切るのに対し、リアクタンスは使い切らないからです。リアクタンスは電気をいったん受け取って、すぐそのまま返します。流れにくくはするけれど、電気を消費はしていない——ここがこの問題の核心です。
用語コイルとは?
電線をぐるぐる巻いたものです。モーターや変圧器、蛍光灯の安定器の中身は、中心となる部品がこのコイルです。
なぜ?なぜコイルは電気を「返す」のか?
コイルに電気を流すとそのまわりに磁石の力(磁界)が生まれ、そこに電気がたくわえられるからです。交流は向きが入れかわるので、たくわえる → 返す → たくわえる → 返すをひたすら繰り返します。ブランコを押しては戻ってくるのと同じで、行ったり来たりするだけなら、最後には何も減っていません。
この回路で電気を「使っている」のはどっちか
図では、抵抗Rとコイル(X)が横に並んで、両方とも同じ100Vにつながっています。そしてRには4A、Xには3Aが流れていると書いてあります。ここで大事なのは、この2つの部品はまったく別のはたらきをしているということです。
用語並列(へいれつ)とは?
部品が枝分かれして横に並んでつながっている形のことです。並列につながった部品には、どれにも同じ電圧がかかります。
なぜ?なぜ並列だと電圧が同じになるのか?
両はしがまったく同じ2本の電線につながっているからです。マンションの同じ階の部屋がどれも同じ廊下に面しているのと同じで、RにもXにも電源の100Vがそのまま丸ごとかかります。この問題では、これによって「Rに100V、4Aが流れている」と確定します。
用語消費電力(有効電力)とは?
本当に熱や光や動きに変わって、使い切られた電力のことです。単位はW(ワット)。使い切るのは抵抗だけで、リアクタンスは1Wも消費しません。
なぜ?なぜリアクタンスは電力を消費しないのか?
受け取ってはすぐ返すだけだからです。友達に1000円を貸して、すぐ1000円返してもらえば、財布のお金は1円も減っていません。コイルはこれを1秒に何十回もやっているだけなので、電流は流れていても、電力は使っていないのです。
だから見るのは抵抗Rの4Aだけ
消費電力を出すのに必要なのは、抵抗Rにかかる電圧と、抵抗Rに流れる電流の2つだけです。コイルに流れている3Aは、この計算には一切登場しません。
コツ手順1 RとXは並列なので、Rにかかる電圧は電源と同じ = 100V
手順2 電気を消費するのは抵抗Rだけ → コイルXの3Aは使わない
手順3 消費電力 = 電圧 × 電流 = 100 × 4 = 400W
よって答えはロの400Wです。
念のため:3Aは何のためにある数字なのか
「3Aを使わないなら、なぜ問題文に書いてあるの?」と思った人は正しい感覚です。この3Aは、まちがえさせるために置かれています。そして同時に、別の問い方をされたときに使う数字でもあります。
用語皮相電力(ひそうでんりょく)とは?
電圧と、実際に流れている電流全部をかけた、見かけ上の電力のことです。単位はV・A(ボルトアンペア)。この回路の電流の合計は4Aと3Aを単純に足した7Aではありません。
なぜ?なぜ4Aと3Aを足して7Aにならないのか?
抵抗を流れる電流とコイルを流れる電流は、流れるタイミングがずれているからです。ふたりで荷物を押すとき、同時に押せば力は足し算になりますが、90度ちがう向きに押したら、合計の力は斜め方向になります。電気でも同じで、4と3を三平方の定理(直角三角形の辺の長さの関係)で合成して、√(4²+3²)=√25=5Aになります。この5Aを使うと皮相電力は100×5=500V・Aですが、これは「送りこんだ量」であって「使った量」ではありません。
覚えるこの問題の覚え方
「電気を食べるのは抵抗だけ」——これ1つです。コイルもコンデンサも電流は流しますが、受け取ってすぐ返すので食べていません。だから消費電力を聞かれたら、問題文の中から「抵抗」という言葉を探して、そこだけ見る。この問題なら「抵抗Rに流れる電流が4A」——ここだけ読めば、100×4=400Wで終わりです。ちなみに4と3が出てきたら5(三平方の定理の代表的な組み合わせ)も電気の試験で使われることがあるので、セットで覚えておくと役に立ちます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.500 … 合成した電流5Aで計算した人。100×5=500ですが、これは皮相電力(見かけの電力)で、単位もWではなくV・Aです。「消費電力」と聞かれているので不正解になります。特に引っかかりやすい選択肢です。
ニ.700 … 4Aと3Aを単純に足して7Aにした人。交流では、タイミングのちがう電流をそのまま足すことはできません。
イ.300 … 抵抗ではなくコイルのほうで計算した人。100×3=300ですが、コイルは電力を消費しないので、この値には意味がありません。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)
問5
分野:電気の基礎(三相交流)重要度 ★★★
図のような三相3 線式回路の全消費電力[kW]は。
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この問題は何を聞いているの?
「3本の電線で200Vを送る回路に、三角形の形で負荷(電気を使うもの)をつないだとき、全部でどれだけ電力を使っているか」を聞いています。くり返し出題されている定番の形なので、解き方の手順を丸ごと覚える価値があります。
用語三相3線式(さんそう3せんしき)とは?
3本の電線を使って電気を送る方式です。工場の機械や、お店の大きなエアコン・モーターに使われます。図の左にある「3φ3W 電源」という表示がそれで、φ(ファイ)は「相」、Wは「線(Wire)」を表しています。
なぜ?なぜ3本もの電線で送るのか?
モーターを回すのに都合がよく、同じ電力なら電線を細くできるからです。3本にタイミングをずらして電気を流すと、モーターの中でぐるぐる回る磁石の力が自然に生まれます。また電気が3本に分かれる分、1本あたりの電流が減るので、電線が細くて済みます。
用語負荷(ふか)とは?
電気を使う側のもののことです。モーター・照明・ヒーターなど、電源から見て「電気を届ける相手」を全部まとめてこう呼びます。この図では、三角形に組まれた抵抗とコイルが負荷です。
なぜ?なぜ「負荷」という言い方をするのか?
電源から見ると背負わされる荷物(負担)だからです。負荷が増えれば電源はそれだけ多くの電気を送り出さねばならず、電線も太いものが必要になります。
まず「Δ結線かY結線か」を見分ける
三相の問題は、つなぎ方が2種類しかありません。そしてどちらかを見分けるだけで、計算のしかたが決まります。図を見ると、3つの負荷が三角形に組まれているのが分かります。これがΔ結線です。
用語Δ(デルタ)結線とは?
3つの負荷を三角形につないだ形です。ギリシャ文字のΔ(デルタ)が三角形なので、この名前が付いています。大事な性質は負荷1つにかかる電圧が、電線と電線のあいだの電圧とまったく同じになることです。
なぜ?なぜΔ結線だと電圧がそのままかかるのか?
三角形の1辺の両はしが、そのまま2本の電線につながっているからです。間に何もはさまっていないので、電線と電線のあいだの200Vが、負荷1つにまるごとかかります。Δ結線は√3で割らない——ここを間違えると答えが必ずずれます。
用語Y(スター)結線とは? = こちらではない
もう1つのつなぎ方がY結線で、3つの負荷の片方の端を1点に集めた形です。こちらは負荷1つにかかる電圧が、電線間の電圧 ÷ √3になります。
なぜ?なぜ2種類のちがいを覚える必要があるのか?
まちがえると答えが3倍ずれるからです。図が三角形ならΔでそのまま、図がY字(またはカタカナのト)の形なら√3で割る。この問題の図は三角形なので、200Vをそのまま使います。
負荷1つの中身を見る=抵抗8Ωとリアクタンス6Ω
三角形の1辺をよく見ると、細長い長方形(抵抗8Ω)と、ぐるぐる巻いた記号(リアクタンス6Ω)が1本道に並んでいます。3辺とも同じ組み合わせです。
用語インピーダンスとは?
抵抗とリアクタンスを合わせた、交流全体としての流れにくさのことです。記号はZ、単位はΩ。抵抗8Ωとリアクタンス6Ωをそのまま足して14Ωにはなりません。
なぜ?なぜ8と6を足して14にならないのか?
抵抗の邪魔し方とリアクタンスの邪魔し方は、はたらくタイミングがずれているからです。まっすぐ北に8歩、東に6歩あるいた人は、スタート地点から14歩の場所ではなく斜め10歩の場所にいます。同じように三平方の定理で √(8²+6²) = √100 = 10Ωとなります。
用語√(ルート)とは?
2回かけるとその数になる数のことです。√100は「2回かけると100になる数」なので10です。(10×10=100だから)
なぜ?なぜここで√が出てくるのか?
三平方の定理が「たて²+よこ²=ななめ²」という形をしているからです。ななめの長さそのものを知りたいので、2乗をほどく操作(=√)が必要になります。試験では3・4・5と6・8・10の組み合わせがたびたび使われるので、この2つは計算せずに答えが言えるようにしておくと時間が節約できます。
消費するのは抵抗8Ωだけ
ここが問4と同じ考え方です。リアクタンス6Ωは電気をいったん受け取ってすぐ返すだけなので、電力を消費しません。したがって、電流を出すときは10Ω(インピーダンス)を使い、電力を出すときは8Ω(抵抗)を使う——この使い分けがこの問題の山場です。
コツ手順1 Δ結線なので、負荷1つにかかる電圧は電線間と同じ = 200V
手順2 負荷1つのインピーダンス = √(8×8 + 6×6) = √(64 + 36) = √100 = 10Ω
手順3 負荷1つに流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 200 ÷ 10 = 20A
手順4 負荷1つの消費電力 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 20 × 20 × 8 = 3 200W
手順5 負荷は3つあるので = 3 200 × 3 = 9 600W
手順6 kWに直す = 9 600 ÷ 1000 = 9.6kW
よって答えはハの9.6kWです。
なぜ?なぜ手順4で「電流×電流×抵抗」を使うのか?
抵抗にかかっている電圧が分からないからです。負荷1つに200Vかかっていても、その200Vは抵抗8Ωとリアクタンス6Ωで分け合っています。抵抗のぶんだけを取り出すのは面倒なので、両方に共通して流れている電流20Aのほうを使うほうが早いのです。
なぜ?なぜ電流は共通なのに電圧は共通でないのか?
抵抗とリアクタンスが1本道(直列)に並んでいるからです。1本道では電流はどこでも同じ、電圧は部品ごとに分け合う——これは直列回路のいちばん基本の性質です。
覚えるこの問題の覚え方
「電流は10Ω、電力は8Ω」——この使い分けだけ覚えてください。流れにくさは抵抗とリアクタンスの両方が効くので合わせた10Ω、電気を食べるのは抵抗だけなので8Ωです。そして最後に「3つあるから3倍」を忘れないこと。手順を書き出すと「三角形→そのまま200V→ルートで10Ω→割って20A→2乗して8をかけて→3倍」の6歩です。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
選択肢が2.4・4.8・9.6・19.2と、きれいに2倍ずつ並んでいるのに気づいてください。これは途中でよけいに2倍したり2で割ったりするミス1つでどれかに当たりやすい並びです。だから「選択肢にあったから合っている」という確かめ方は通用しません。
ロ.4.8 … 途中で2で割ってしまった人が選ぶ数字です(9.6÷2=4.8)。
ニ.19.2 … 正解9.6kWのちょうど2倍の値で、誤りです。電力を出すときは抵抗8Ωを使う、という使い分けを守れば迷いません。
イ.2.4 … 正解9.6kWの4分の1の値で、誤りです。なお、Y結線と思いこんで√3で割った場合(200÷√3≒115.5V、電流≒11.5A、11.5²×8×3≒3.2kW)も、3倍を忘れて1つぶんで止めた場合も3.2kWになります。3.2kWは選択肢にないので、「あれ、無い」と思ったら結線と3倍を確かめてください。
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問6
分野:配電理論(電力損失)重要度 ★★★
図のような三相3 線式回路で,電線1 線当たりの抵抗が0.15 Ω,線電流が10 A のとき,この配線の電力損失[W]は。
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この問題は何を聞いているの?
「電気を運んでいる電線そのものが、どれだけ電気をムダにしているか」を聞いています。負荷(電気を使う機械)が何ワット使うかではなく、途中の電線で熱になって捨てられてしまう分を求める問題です。
用語電力損失とは?
電線を通っているあいだに、熱になって失われてしまう電力のことです。「線路損失」「配線の損失」とも呼ばれます。使われずに捨てられる分なので、少ないほど良い電気設備です。
なぜ?なぜ電線でも電気が失われるのか?
電線にもわずかな抵抗があるからです。銅は電気をよく通しますが、まったく0Ωではありません。抵抗があるところに電流が流れると必ず熱が出るので、この問題では1本あたり0.15Ωという小さな抵抗が、熱を出しているというわけです。
用語線電流(せんでんりゅう)とは?
電線1本を流れている電流のことです。図では3本の電線それぞれに矢印と「10 A」が書かれています。
なぜ?なぜ「線」電流とわざわざ言うのか?
三相の回路では電線を流れる電流と、負荷1つを流れる電流がちがう場合があるからです。区別するために、電線を流れるほうを線電流、負荷1つを流れるほうを相電流と呼び分けています。この問題は電線の損失を聞いているので、使うのは線電流の10Aです。
1本ぶんの熱を出してから、本数をかける
電力損失の計算は、「電線1本ぶんを出す → 電線の本数をかける」という2段構えで考えると、迷いにくくなります。
用語熱として出る電力の式
抵抗に電流が流れたとき出る電力は電流 × 電流 × 抵抗(I²R)です。電流を2回かけるのがポイントです。
なぜ?なぜ電流を2回かけるのか?
電力の基本は電圧 × 電流ですが、ここでの電圧はその抵抗にかかる電圧=電流×抵抗です。これを代入すると(電流×抵抗)× 電流 = 電流×電流×抵抗になります。2回かけるということは、電流が2倍になると熱は4倍になるということ。電線が焼ける事故には、この「2乗」が大きく関わっています。
コツ手順1 電線1本ぶんの損失 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 0.15 = 15W
手順2 三相3線式なので電線は3本 → 15 × 3 = 45W
よって答えはニの45Wです。
本数をまちがえないための整理
この問題で起こりやすいミスが本数の数えまちがいです。方式ごとに、損失を計算する電線の本数を整理しておきます。
例配線方式ごとの「損失を数える電線の本数」
単相2線式 … 2本。行きと帰りの2本。損失 = 電流² × 抵抗 × 2
単相3線式(上下のバランスが取れているとき) … 2本。まん中の中性線には電流が流れないので数えません。損失 = 電流² × 抵抗 × 2
三相3線式 … 3本。3本すべてに同じ電流が流れます。損失 = 電流² × 抵抗 × 3
なぜ?なぜ三相3線式には「帰りの線」が無いのか?
3本がおたがいに行きと帰りを兼ねているからです。3本の電気はタイミングが少しずつずれていて、ある瞬間に出ていく分と帰ってくる分が、3本のあいだで自動的につり合っています。
なぜ?なぜそれで「電線が細くて済む」と言えるのか?
単相2線式なら往復2本必要なところを、三相なら3本で3回線ぶんの電気を運べるからです。運べる電力に対して電線の本数が少なくて済むので、工場のように大きな電力を使う場所では三相が使われます。
覚えるこの問題の覚え方
「1本ぶんを出してから本数をかける」——この順番を必ず守ってください。いきなり全体を出そうとすると、√3をかけるべきか迷ってしまいます。電力損失の計算に√3は出てきません。√3が必要なのは負荷側の電力(送っている電力そのもの)を出すときだけで、電線の熱を数えるときは、ただの足し算(=本数のかけ算)です。「損失は本数、電力は√3」と対で覚えると混ざりません。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.15 … 電線1本ぶんで止めてしまった人。手順1で出た数字がそのまま選択肢に置いてあるので、特に引っかかりやすい形です。「本数をかけたか?」を最後に必ず確認してください。
ハ.30 … 2本ぶんで計算した人。単相2線式のクセが抜けていないとこうなります。図の左に「3φ3W」と書いてあるので、3本です。
ロ.26 … √3をかけてしまった人。15 × 1.73 = 約26となり、ちょうどこの数字になります。電線の損失に√3は使いません。
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問7
分野:配電理論(単相3線式)重要度 ★★★
図1 のような単相2 線式回路を,図2 のような単相3 線式回路に変更した場合,配線の電力損失はどうなるか。ただし,負荷電圧は100 V 一定で,負荷A,負荷B はともに消費電力1 kW の抵抗負荷で,電線の抵抗は1 線当たり0.2 Ωとする。
イ.0 になる。
ロ.小さくなる。
ハ.変わらない。
ニ.大きくなる。
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この問題は何を聞いているの?
「同じ2つの機器に、同じ100Vで電気を届けるのに、配線のしかたを2線式から3線式に変えたら、電線でムダになる電気は増えるか減るか」を聞いています。実際に家を建てるときになぜ単相3線式にするのかという、現場で大切な理由を問う問題です。
用語単相2線式とは?
2本の電線で100Vを送る、いちばん単純な方式です。行きの線と帰りの線の2本だけ。図1がこれです。
なぜ?なぜ2本必要なのか?
電気はぐるっと1周まわって帰ってこないと流れないからです。行きの線だけあっても、帰り道がなければ電気は動きません。電流は必ず2本の電線を往復している——これが「損失を計算するときに2本ぶん数える」理由でもあります。
用語単相3線式とは?
3本の電線で送る方式です。上・まん中・下の3本があり、上とまん中で100V、まん中と下で100V、そして上と下のあいだでは200Vが取り出せます。今の日本の住宅では、この方式が主流です。図2がこれです。
なぜ?なぜ住宅で単相3線式が主流になったのか?
200Vが使えるうえに、電線のムダも減るからです。エアコン・IHクッキングヒーター・エコキュート(電気でお湯をわかす給湯器)など、200Vでないと動かない(または200Vのほうが効率のよい)機器が増えたことが大きな理由です。この問題は、その「ムダも減る」ほうを計算で確かめる問題になっています。
用語中性線(ちゅうせいせん)とは?
単相3線式のまん中の電線のことです。上側の回路と下側の回路の共通の帰り道になっています。
なぜ?なぜまん中の線だけ特別な名前が付いているのか?
上下のバランスが取れているとき、この線だけ電流が流れなくなるという特別な性質があるからです。上から帰ってくる電流と下から帰ってくる電流がちょうど打ち消し合うので、差し引き0Aになります。この性質のおかげで電線のムダが減る、というのがこの問題の答えにつながります。
図1(単相2線式)の損失を計算する
まず変更前の図1です。1kWの負荷が2つ、どちらも100Vにつながっています。
コツ手順1 負荷A・Bを合わせた電力 = 1kW + 1kW = 2kW = 2 000W
手順2 電線を流れる電流 = 電力 ÷ 電圧 = 2 000 ÷ 100 = 20A
手順3 電線1本ぶんの損失 = 20 × 20 × 0.2 = 80W
手順4 単相2線式は電線が2本 → 80 × 2 = 160W
図2(単相3線式)の損失を計算する
次に変更後の図2です。負荷Aは上側の100Vに、負荷Bは下側の100Vに、分けてつながっています。ここが決定的なちがいです。
コツ手順1 上側の電流 = 1 000 ÷ 100 = 10A
手順2 下側の電流 = 1 000 ÷ 100 = 10A
手順3 中性線(まん中)の電流 = 上下が同じ大きさで打ち消し合うので 0A
手順4 上の線の損失 = 10 × 10 × 0.2 = 20W
手順5 下の線の損失 = 10 × 10 × 0.2 = 20W
手順6 中性線の損失 = 0 × 0 × 0.2 = 0W
手順7 合計 = 20 + 20 + 0 = 40W
160W が 40W になったので、配線の電力損失は小さくなります。よって答えはロです。
なぜ4分の1にまで減るのか
計算すると160W → 40Wで、ちょうど4分の1になっています。これは偶然ではありません。理由をおさえておくと、数字がちがう問題が出ても同じように解けます。
用語電流が半分になると、損失は4分の1
損失は電流 × 電流 × 抵抗で、電流を2回かける形です。だから電流が半分(1/2)になると、1/2 × 1/2 = 1/4になります。
なぜ?なぜ電流が半分になったのか?
2線式では1本の電線に2つの負荷ぶん(20A)がまとめて流れていました。3線式では負荷を上下に振り分けたので、1本あたり1つの負荷ぶん(10A)だけになります。さらに中性線には0Aしか流れない=損失0なので、電線が1本増えたのに損失は増えません。電線を1本足すだけで、ムダが4分の1になる——これが単相3線式の大きな利点です。
用語「バランスが取れている」とはどういう状態か?
上側の負荷と下側の負荷が、同じ大きさになっている状態のことです。「平衡(へいこう)している」とも言います。この問題では両方1kWなので、完全にバランスが取れています。
なぜ?なぜバランスが崩れると中性線に電流が流れるのか?
帰ってくる量に差ができるからです。上が15A、下が5Aなら、打ち消し合った残りの10Aが中性線を流れます。実際の住宅では上下がぴったり同じになることはまずないので、中性線にもいくらかは電流が流れています。ただし試験の問題文で「同じ」と書かれていれば0Aとしてよいと覚えてください。
覚えるこの問題の覚え方
「2線式から3線式にすると、損失は4分の1になる」——結論をこのまま覚えて構いません。理由は「負荷を上下に振り分けたから電流が半分、損失は2乗で効くから4分の1」の一言です。計算しなくても、「小さくなる」以外に答えはないと分かります。実際、電力会社が住宅を単相3線式にしているのは、200Vが使えることと、この損失の少なさの2つが理由です。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.0 になる。 … 中性線の電流が0Aになることと、損失全体が0Wになることを混同した人。0になるのはまん中の1本だけで、上と下の線には10Aずつ流れているので、そこでは熱が出ています。
ハ.変わらない。 … 「送る電力(合計2kW)が同じだから損失も同じ」と考えた人。損失を決めるのは電力ではなく、1本の電線を流れる電流です。同じ電力でも、何本に分けて運ぶかで損失は変わります。
ニ.大きくなる。 … 「電線が2本から3本に増えたのだから、損失も増えるはず」と考えた人。増えた1本(中性線)には電流が流れないので熱も出ません。本数ではなく電流で決まるのがポイントです。
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問8
分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★
合成樹脂製可とう電線管PF 管による低圧屋内配線工事で,管内に断面積5.5 mm2の600V ビニル絶縁電線(軟銅線)7 本を収めて施設した場合,電線1 本当たりの許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.49 とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「1本のパイプの中に電線を7本まとめて通したとき、電線1本にどれだけの電流まで流してよいか」を聞いています。暗記している数字に、決められた係数をかけるだけの問題なので、表さえ覚えていれば10秒ほどで解けるでしょう。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
その電線に安全に流してよい電流の上限のことです。これを超えると電線が熱を持ちすぎて、まわりのビニル(電気を通さない絶縁体)が溶けて火事につながります。
なぜ?なぜ電線ごとに上限が決まっているのか?
電線が太いほど熱が逃げやすく、たくさん流せるからです。細い電線に大きな電流を流すと、狭い場所に熱が集中して溶けてしまいます。だから太さごとに「ここまで」という数字が決められています。
用語合成樹脂製可とう電線管(PF管)とは?
曲げられるプラスチックのパイプのことです。電線を守るために、この中に通して配線します。「可とう(かとう)」は「曲げられる」という意味です。
なぜ?なぜわざわざ管に入れるのか?
電線を傷つけないためです。壁の中や天井裏では、ねじや金物にこすれて被覆(ひふく=まわりのビニル)が破れる危険があります。管に入れておけば、こうした傷を防げるというわけです。ただし管の中は熱がこもるので、その代わりに許容電流が下がります。
用語600Vビニル絶縁電線(IV)とは?
銅線のまわりをビニルで包んだ、いちばん基本的な電線です。記号はIV。600Vまでの回路に使えます。電線管の中に通して使うことが多い電線です。
なぜ?なぜIVは管に入れて使うことが多いのか?
ビニルが1枚しかなく、外からの傷に弱いからです。外側にもう1枚の丈夫な皮(シース)がある電線をケーブルと呼び、そちらは管なしでも使えます。この問題のIVは管の中を通す前提なので、PF管の話が出てきているわけです。
用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?
1本のパイプに何本もまとめて入れたときに、許容電流を減らすための割合です。この問題では0.49と問題文で与えられています。
なぜ?なぜ本数が多いと流せる電流が減るのか?
まわりの電線も熱を出すので、自分の熱が逃げにくくなるからです。1本だけなら熱はすぐ空気に逃げますが、7本が同じ管に押しこまれていると、おたがいの熱で管の中が高温になってしまいます。だから1本あたりに流してよい電流を減らして、全体の温度が上がりすぎないようにするのです。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車ほど暑い——そう考えれば感覚的にも納得できます。
まず「5.5mm²は49A」を思い出す
この問題を解くのに必要な暗記はたった1つ、断面積5.5mm²の電線の許容電流は49Aということだけです。ここが分からないと、あとの計算をどれだけ正しくやっても答えは出ません。
用語断面積5.5mm²とは?
電線を輪切りにしたときの切り口の面積が5.5平方ミリメートルという意味です。細い銅線をより合わせたより線の太さは、この面積(mm²)で表します。
なぜ?なぜ「直径○mm」と「断面積○mm²」の2通りの言い方があるのか?
電線の種類がちがうからです。銅線が1本だけの単線は「直径1.6mm」のように直径で、細い線をより合わせたより線は「5.5mm²」のように断面積で表します。単位にmmだけなら単線、mm²ならより線と見分けてください。
覚える許容電流の暗記表【この10問でいちばん大事な暗記】
単線(直径で表すもの)
直径1.6mm … 27A
直径2.0mm … 35A
直径2.6mm … 48A
より線(断面積で表すもの)
2mm² … 27A
3.5mm² … 37A
5.5mm² … 49A ← この問題で使う
8mm² … 61A
※ここに書いた値は周囲温度30℃以下・電線1本だけのときの数字です。
計算は3ステップだけ
コツ手順1 5.5mm²の電線1本の許容電流を思い出す = 49A
手順2 7本まとめたので減少係数をかける = 49 × 0.49 = 24.01A
手順3 選択肢のうちいちばん近い値 = 24A
よって答えはハの24Aです。
なぜ?なぜ「7本」という数字は計算に使わないのか?
本数の影響は、すでに減少係数0.49の中に入っているからです。本来は「7本なら0.49」という表があるのですが、この問題では親切にも問題文で0.49と教えてくれています。
なぜ?なぜ問題文が係数を教えてくれるのか?
試験で問いたいのは、係数の暗記ではなく「許容電流の表」と「かけ算の手順」だからです。だから7本という数字は読み飛ばしてよいのですが、「7本だから49÷7?」などと余計なことをすると必ず外します。与えられた係数をそのままかける——それだけです。
覚える周囲温度30℃以下という条件は何のためにあるのか?
暗記表の数字が使える条件だ、という確認のためです。許容電流の表は周囲が30℃以下という前提で作られています。
なぜ?なぜ暑い場所だとさらに減らすのか?
もともと周囲が暑いと、電線の熱が逃げにくいからです。天井裏など40℃・50℃になる場所では、さらに小さい係数をかけて減らします。この問題では「30℃以下」と書いてあるので、表の数字をそのまま使ってよいという合図になっています。
覚えるこの問題の覚え方
「表の数字 × 減少係数」——たったこれだけの問題です。暗記すべきは1.6mm=27/2.0mm=35/2.6mm=48と、2mm²=27/3.5mm²=37/5.5mm²=49/8mm²=61。数字の並びに注目すると、より線のほうは27・37・49・61と10・12・12ずつ増えるので、書き出して覚えると意外に頭に残ります。2mm²と1.6mmが同じ27Aという一致も、覚えるとっかかりになります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
この問題の4つの選択肢は、いずれも「暗記表の許容電流 × 0.49」の小数点以下を切り捨てた値になっています。つまり暗記表のどこを取りちがえたかで、選ぶ答えが決まるという作りです。
イ.13 … 1.6mm(27A)と取りちがえた人。27 × 0.49 = 約13。
ロ.17 … 2.0mm(35A)と取りちがえた人。35 × 0.49 = 約17。
ニ.29 … 8mm²(61A)と取りちがえた人。61 × 0.49 = 29.89(小数点以下を切り捨てて29)。
なお、減少係数をかけ忘れると49Aになりますが、これは選択肢にありません。「答えが選択肢に無い=かけ忘れ」と気づけるので、そのときは落ちついて0.49をかけ直してください。
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問9
分野:配線設計(幹線の分岐)重要度 ★★★
図のように定格電流60 A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10 m の位置に過電流遮断器を施設するとき,a−b 間の電線の許容電流の最小値[A]は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「太い幹の電線から枝を出して、10m先にブレーカーを付けるとき、その枝の電線はどれだけ太くしなければならないか」を聞いています。距離によって決まる3つのルールを覚えていれば、かけ算1回で終わる問題です。
用語幹線(かんせん)とは?
建物に引きこんだ電気を、各部屋へ配る前の太い電線のことです。木の幹にあたるので幹線。そこから枝分かれした細い電線を分岐回路といいます。
なぜ?なぜ幹と枝に分けるのか?
1本の太い線で全部の部屋に配ったほうが安上がりだけれど、事故のときに建物全体が止まってしまうからです。枝に分けてそれぞれにブレーカーを付ければ、故障した部屋だけ止まって、ほかの部屋は使い続けられます。
用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?
決めた電流より大きな電流が流れたら、自動で電気を切る装置のことです。家庭でいうブレーカーです。図の中の四角の中にBと書かれた記号がそれで、幹線側には「60 A」と書かれています。
なぜ?なぜ電流が大きすぎると切らないといけないのか?
電線が焼けて火事になるからです。電線には許容電流という上限があり、それを超えた電流が流れ続けると熱で被覆が溶けます。電線が燃える前にブレーカーが落ちる——この関係が成り立つように設計するのが「配線設計」という分野です。
例「a−b間」とはどこのことか?
図の分岐した点aから、その先に付けるブレーカーの手前bまでの10mの区間のことです。この区間の電線の太さを決めるのが、この問題です。
なぜ?なぜこの区間だけ特別なルールがあるのか?
この区間は、自分専用のブレーカーにまだ守られていないからです。bのところにあるブレーカーは、bより先を守ります。a−b間で事故が起きたときに頼れるのは、ずっと手前にある60Aのブレーカーだけ。だから60Aが流れても焼けない太さが必要になり、その度合いが距離で決められています。
距離で決まる3つのルール
この問題は、次の3つのルールのどれに当てはまるかを見るだけです。基準になるのは手前のブレーカーの定格電流(ブレーカーが基準にしている電流の値。この問題では60A)です。
覚える分岐点からブレーカーまでの長さで決まるルール【暗記】
3m以下 … 電線の太さに制限なし(どんな太さでもよい)
3mをこえて8m以下 … 手前のブレーカーの定格電流の35%以上
8mをこえる … 手前のブレーカーの定格電流の55%以上
なぜ?なぜ距離が長いほど太い電線が必要なのか?
守られていない区間が長いほど、事故が起きる確率が高くなるからです。短ければ「めったに事故は起きない」と割り切れますが、長い区間をむき出しにしておくなら、60Aが流れても平気なくらい太くしておく必要があります。
なぜ?なぜ「35%」「55%」という半端な数字なのか?
電気設備の技術基準の解釈でそう決められている値だからです。試験で理屈から導く数字ではないので、3m・8m・35%・55%はそのまま覚えてください。試験ではこの3つのルールがたびたび問われます。
この問題は10mなので「55%」を使う
コツ手順1 分岐点aからブレーカーbまでの長さを読む = 図より10m
手順2 10mは8mをこえている → 使うルールは55%以上
手順3 手前のブレーカーの定格電流 = 60A
手順4 必要な許容電流 = 60 × 0.55 = 33A
よって答えはニの33Aです。
なぜ?なぜ「最小値」と聞かれているのか?
これ以上太ければ何でもよいからです。ルールは「55%以上」なので、33Aでも40Aでも60Aでも問題ありません。ぎりぎり許される下限を聞かれているので、かけ算した数字がそのまま答えになります。
なぜ?なぜ太いぶんには構わないのか?
太い電線ほど熱に強く、安全だからです。危険なのは、細すぎる場合に限られます。ただし実際の工事では、太い電線は値段が高く曲げにくいので、ルールを満たすいちばん細いものを選ぶのが一般的です。
覚えるこの問題の覚え方
「3・8・35・55」の4つの数字だけ覚えてください。3m以下は自由、8mまでは35%、それより先は55%です。覚え方のイメージは「近いほど気楽、遠いほど太く」。手前のブレーカーから遠く離れるほど、いざというときに助けが来るまでの距離が長いので、電線自身が丈夫でなければいけない——そう考えると理屈が通ります。あとは手前のブレーカーの数字にかけるだけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.21 … 35%のルールを使ってしまった人。60 × 0.35 = 21 とぴったり選択肢になっています。10mは8mをこえているので、使うのは55%のほうです。「8m以下」なのか「8mをこえる」のか、境目の読み方を落ちついて確認してください。
イ.15 / ハ.27 … どちらも誤りです。距離のルールで使う割合は35%(60×0.35=21)と55%(60×0.55=33)の2つだけで、15や27はどちらにも当てはまりません。この問題で使うのは電線の太さの表ではなく、距離のルールです。
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問10
分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
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正解
ハ.40A(配線用遮断器)・8mm²・定格電流30Aのコンセント1個
この問題は何を聞いているの?
「ブレーカー・電線・コンセントの3点セットの組み合わせとして、正しいものはどれか」を聞いています。1つの表を覚えているかどうかだけの問題で、計算はまったくありません。出題されることの多い形なので、ここを落とすのはもったいない問題です。
用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
幹線(太い電線)から枝分かれして、部屋のコンセントや照明につながる回路のことです。家の分電盤(ブレーカーが並んだ箱)から出ている1本1本が、それぞれ分岐回路です。
なぜ?なぜ回路を分けるのか?
1か所の故障で家じゅうの電気が止まらないようにするためと、1つの回路に電気を使いすぎないようにするためです。台所・エアコン・照明などを別々の回路にしておけば、電子レンジでブレーカーが落ちても照明は消えません。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
決めた電流をこえたら自動で電気を切る装置で、何度でも入れ直して使えるタイプのことです。図では四角の中にBと書かれた記号で表され、そのとなりに20A・30A・40Aといった定格電流が書かれています。
なぜ?なぜ「配線用」と付いているのか?
守っている相手が「配線(電線)」だからです。この装置は人を感電から守るものではなく、電線が焼けるのを防ぐためのものです。人を守るのは漏電遮断器という別の装置で、試験ではこの2つの役割のちがいが問われることもあります。
用語定格電流(ていかくでんりゅう)とは?
その機器が安全に使える、決められた電流の値のことです。ブレーカーなら「この電流をこえたら切る」という設定値、コンセントなら「ここまで流してよい」という上限を表します。
なぜ?なぜコンセントにも定格電流があるのか?
コンセントの中の金属の板や、差しこむ穴の形にも限界があるからです。15Aのコンセントに30Aを流すと、接触している部分が発熱して溶けたり、火花が出たりします。だからコンセントも電線と同じように「太さ」を持っていると考えると分かりやすくなります。
覚えるのはこの表ひとつだけ
ブレーカーの大きさが決まると、そこにつないでよい電線の細さの限界と、付けてよいコンセントの範囲が自動的に決まります。この対応表が、そのまま答えになります。
覚える分岐回路の組合せ表【必ず暗記】
15A … 電線1.6mm以上 / コンセント15A以下
20A 配線用遮断器 … 電線1.6mm以上 / コンセント20A以下
20A ヒューズ(配線用遮断器以外) … 電線2.0mm以上 / コンセント20A
30A … 電線2.6mm(または5.5mm²)以上 / コンセント20A以上30A以下
40A … 電線8mm²以上 / コンセント30A以上40A以下
50A … 電線14mm²以上 / コンセント40A以上50A以下
なぜ?なぜコンセントには「以下」だけでなく「以上」もあるのか?
大きすぎても、小さすぎても危険だからです。大きすぎる場合=ブレーカーが落ちる前にコンセントが溶ける。小さすぎる場合=そのコンセントに合わない大きな機器をつないでしまう危険がある、という理由です。
なぜ?なぜ小さいコンセントを付けるのが危ないのか?
ブレーカーが落ちてくれないからです。30Aの回路に15Aのコンセントを付けると、そのコンセントやコードが20A・25Aで焼け始めても、ブレーカーは30Aまで落ちません。守ってくれる相手がいないまま燃えることになるので、30A回路には20A以上のコンセントという決まりがあります。
選択肢を1つずつ表と照らし合わせる
見るところは「ブレーカー」「電線」「コンセント」の3つだけです。1つでもルールを外れていたら、その選択肢は消える——そう決めて上から順に見ていきます。
例イ ブレーカー20A/電線2.0mm/コンセント30A×1個 … 電線は1.6mm以上でよいので2.0mmはOK。しかし20A回路のコンセントは20A以下。30Aは大きすぎる。 → 誤り
ロ ブレーカー30A/電線2.0mm/コンセント30A×1個 … コンセントは20A以上30A以下なのでOK。しかし30A回路の電線は2.6mm以上。2.0mmでは細すぎる。 → 誤り
ハ ブレーカー40A/電線8mm²/コンセント30A×1個 … 40A回路の電線は8mm²以上なのでちょうどOK。コンセントは30A以上40A以下なので30AもOK。 → すべて適切
ニ ブレーカー30A/電線2.6mm/コンセント15A×2個 … 電線2.6mmはOK。しかし30A回路のコンセントは20A以上30A以下。15Aは小さすぎる。 → 誤り
よって答えはハです。
「3m」「8m」という条件は今回は関係ない
問題文のただし書きに「分岐点から配線用遮断器までは3m」とありますが、これは問9で出てきた距離のルールの話です。
なぜ?なぜ3mだと考えなくてよいのか?
分岐点からブレーカーまでが3m以下なら、電線の太さに追加の制限は付かないというルールがあるからです。この問題はちょうど3mなので、距離のルールは全部クリア済み。表だけで判断できます。
なぜ?なぜ問題文にわざわざ書いてあるのか?
「距離の条件は満たしているので、気にしなくてよい」と伝えるためです。書いていないと「距離が分からないから解けない」となってしまいます。ただし書きは、邪魔をするためではなく、条件を確定させるために置かれていると考えると読みやすくなります。なお「配線用遮断器からコンセントまで8m」のほうにも太さの制限はありません。
用語「兼用コンセントではない」とはどういう意味か?
15Aと20Aの両方のプラグが差せるタイプのコンセントではない、という意味です。つまり図に書かれた定格電流だけを持つ、一般的なコンセントとして考えなさい、ということです。
なぜ?なぜこの断り書きが必要なのか?
兼用コンセントは「15A以下」と「20A」の両方の枠に入れるので、当てはめ方が変わってしまうからです。この一文があることで、表をそのまま当てはめてよいと決まります。
覚えるこの問題の覚え方
「電線は細すぎると使えない、コンセントは大きすぎても小さすぎても使えない」——この2行が言えれば、選択肢は自動的に絞れます。数字の覚え方は「20Aは1.6mm、30Aは2.6mm、40Aは8mm²、50Aは14mm²」。そしてコンセントの範囲は「ブレーカーの1つ下の段からブレーカーまで」(30A回路なら20A〜30A、40A回路なら30A〜40A)とずれた階段のイメージで覚えると、上限だけでなく下限も一緒に思い出せます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.30A・2.0mm・30Aコンセント … コンセントだけ見て正しいと思った人が選ぶ形です。コンセントは合っていますが電線が細すぎます。3つとも確かめるという習慣が必要です。
ニ.30A・2.6mm・15Aコンセント2個 … 「小さいぶんには安全だろう」と考えた人が選ぶ形です。コンセントは小さすぎても不可というのが、この問題の大きな落とし穴です。
イ.20A・2.0mm・30Aコンセント … 電線が太いから安全だと考えた人。電線は問題ありませんが、20Aのブレーカーに30Aのコンセントは付けられません。
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この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返ります。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で必ず持ち帰ること
問1 回路の電圧 … スイッチを閉じたら短絡された抵抗を消す。端子の先が開いていれば、その抵抗にも電流は流れない
問2 抵抗率 … 長さLは1乗、直径Dは2乗。mmが混ざったら10⁶が出てくる
問3 電力量 … まず2時間30分を2.5時間に直す。電力量÷時間=電力、電力÷電圧=電流
問4 交流の消費電力 … 電気を消費するのは抵抗だけ。コイルの電流は使わない
問5 三相交流 … 三角形(Δ)なら200Vをそのまま。電流は10Ω、電力は8Ω、最後に3倍
問6 電力損失 … 1本ぶん(I²R)を出してから本数をかける。三相3線式は3本。√3は使わない
問7 単相3線式 … 負荷を上下に振り分けると電流が半分、損失は2乗で効くので4分の1
問8 許容電流 … 5.5mm²=49A。それに減少係数0.49をかけて24A
問9 幹線の分岐 … 3m以下は自由、8mまで35%、それより先は55%。10mなので60×0.55=33A
問10 分岐回路 … 20A=1.6mm・30A=2.6mm・40A=8mm²。コンセントは大きすぎても小さすぎても不可
計算問題が続くと身構えてしまいますが、この10問の計算の土台はオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流²×抵抗)の2本でした。これに抵抗率・電力量・インピーダンスの式が加わり、残りは暗記表を引くか、図から本数や距離を読み取るかです。式を増やすのではなく、この2本をどう使うかに慣れる——それがいちばん近道になります。
出典
令和5年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
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