第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和2年度 下期・午後(2020年10月4日実施)の問1〜10です。

問1〜問10には計算問題と配線の決まりが並んでいます。式が続くと身構えてしまいがちですが、多くはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式の組み合わせです。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和2年度下期第二種電気工事士試験(午後)

問1

分野:電気の基礎(直流回路の電圧)重要度 ★★★

図のような直流回路で,a−b 間の電圧[V]は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問1 の回路図
イ.10
ロ.20
ハ.30
ニ.40
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正解

ロ.20[V]
この問題は何を聞いているの?

電池2個と抵抗2個でできた回路で、まん中にある「a」と「b」という2つの点のあいだに、何ボルトの差があるかを聞いています。aとbは線でつながっておらず、すき間があいている点がポイントです。まず、図に出てくる言葉と記号を1つずつ確かめましょう。

用語直流(ちょくりゅう)とは?

いつも同じ向きに流れる電気のことです。乾電池の電気は直流です。図の左にある長い線と短い線を組み合わせた記号が電池で、ここでは100Vの電池が上下に2個あります。

なぜ?なぜ電池の記号は線の長さがちがうのか?

長い線がプラス(+)側、短い線がマイナス(−)側を表す決まりだからです。この図では、上の電池も下の電池も、長い線が上にあります。つまりどちらも上がプラスの向きで、2個が同じ向きに積み重なっている形です。

用語電圧[V]とは?

電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)。水道でいえば水圧にあたります。

なぜ?なぜ電圧は「2つの点のあいだ」で表すのか?

電圧は高さの差のようなものだからです。給水タンクの水は、高い所と低い所の差があるから流れ落ちます。電気も同じで、「どこから見て何ボルト高いか」という2点の差で表すのです。

用語抵抗[Ω]とは?

電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、図の細長い長方形が抵抗です。右側に20Ωと30Ωが縦に並んでいます。

なぜ?なぜ抵抗のところで電圧が下がるのか?

水が細い管を通るときに勢いを失うのと同じで、電気も抵抗を通るときに押す力を使うからです。この「抵抗で使われる電圧」は電流×抵抗で求められ、これをオームの法則と呼びます。

用語接地(せっち)とは?

電線を地面(大地)につなぐことで、アースとも呼びます。図の左にある横線を3本重ねた記号が接地です。

なぜ?なぜ接地した点を「0V」と考えるのか?

地面は電圧を比べるときの基準(高さ0の地点)として使われるからです。海面を高さ0mとして山の高さを測るのと同じで、地面につながった点を0Vとして、ほかの点が何ボルト高いか・低いかを数えます。

aとbがどこにつながっているかを見る

図をよく見ると、aの点は2つの電池のあいだにつながり、そこから左へ伸びて接地されています。一方、bの点は20Ωと30Ωのあいだにつながった点です。

aとbのあいだはすき間があいているので、ここには電流は流れません。電流が流れるのは、電池2個→20Ω→30Ωとぐるっと回る外側の輪だけです。

なぜ?なぜaとbのあいだには電流が流れないのか?

aとbは小さな丸(端子)で止まっていて、線がつながっていないからです。電気は道がつながっていないと流れません。電流は流れなくても、2つの点の高さの差(電圧)はあるので、それを求めるのがこの問題です。

ステップ1 外側の輪に流れる電流を出す

上下の電池は同じ向きに積み重なっているので、電圧は足し算になります。100V+100V=200Vの力で、20Ωと30Ωに電流を流しているわけです。

用語直列(ちょくれつ)とは?

部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の抵抗はそのまま足し算します。この回路の20Ωと30Ωは、1本道に並んでいるので直列です。

なぜ?なぜ直列だと抵抗が足し算になるのか?

1本道なので、電気はどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより通りにくくなります。

手順1 電池の電圧の合計 → 100 + 100 = 200V

手順2 抵抗の合計(直列) → 20 + 30 = 50Ω

手順3 電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 200 ÷ 50 = 4A

ステップ2 aとbの「高さ」をそれぞれ出す

aは接地されているので0Vです。aの上には100Vの電池がプラスを上にしてつながっているので、いちばん上の線は+100Vになります。同じように、aの下の電池を下りていくと、いちばん下の線は−100Vです。

bの高さは、いちばん上の線(+100V)から20Ωを1つ下りた所です。20Ωを通るときに使われる電圧は、オームの法則で出せます。

手順1 aの高さ → 接地されているので 0V

手順2 いちばん上の線の高さ → 0 + 100 = +100V

手順3 20Ωで使われる電圧 → 電流×抵抗 = 4 × 20 = 80V

手順4 bの高さ → 100 − 80 = +20V

手順5 aとbの差 → 20 − 0 = 20V

よって答えはロの20Vです。

例下から数えても同じになるか確かめる

いちばん下の線は−100Vでした。そこから30Ωを上っていくと、30Ωで使われる電圧は4×30=120Vです。−100+120=+20Vとなり、上から数えたときのbの高さとぴったり同じになります。2通りで同じ答えが出れば、計算ミスがないと確かめられるでしょう。

覚えるこの問題の覚え方

「接地した点が0V。そこから電池で上がり、抵抗で下がる」。aとbのようにすき間がある2点の電圧は、それぞれの点の高さを別々に出して引き算します。高さの差は、階段を上り下りするように1段ずつ足し引きすると迷いにくいでしょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.10 … 誤りです。外側の輪の電流(4A)と、20Ωで使われる電圧(80V)を順番に確かめましょう。

ハ.30 … 誤りです。aは0V、bは+20Vと、2つの点の高さを別々に出してから引き算しましょう。

ニ.40 … 誤りです。電池が2個同じ向きに重なっていて合計200Vになる点を確かめましょう。

問2

分野:電気の基礎(電線の抵抗)重要度 ★★★

A,B 2 本の同材質の銅線がある。A は直径 1.6 mm,長さ 100 m,B は直径 3.2 mm,長さ 50 m である。A の抵抗は B の抵抗の何倍か。

イ.1
ロ.2
ハ.4
ニ.8
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正解

ニ.8[倍]
この問題は何を聞いているの?

同じ銅でできた2本の電線AとBについて、太さと長さが分かっているとき、Aの抵抗はBの抵抗の何倍かを聞いています。抵抗の値そのものは出さなくてかまいません。「長さで何倍」「太さで何倍」を別々に出して、最後にかけ合わせる問題です。

用語同材質(どうざいしつ)とは?

同じ材料でできているという意味です。この問題では、AもBも同じ銅でできています。

なぜ?なぜわざわざ「同材質」と書いてあるのか?

電線の抵抗は、材料・長さ・太さの3つで決まるからです。材料が同じなら材料の影響はAとBで同じになり、長さと太さを比べるだけで答えが出せます。

用語抵抗[Ω]とは?

電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど電気が流れにくくなります。

なぜ?なぜ電線にも抵抗があるのか?

銅は電気を通しやすい金属ですが、それでも電気の通り道を少しだけ邪魔するからです。電線が長くなったり細くなったりすると、その邪魔が大きくなります。

用語直径(ちょっけい)とは?

円の端から端まで、まん中を通って測った長さのことです。「1.6mm」「3.2mm」は、銅線を輪切りにしたときの丸の直径を表しています。

なぜ?なぜ電線の太さを直径で表すのか?

1本の銅の棒でできた電線(単線)は切り口がきれいな円なので、直径を測れば太さがすぐ分かるからです。家の配線でよく使われる1.6mmや2.0mmも、この直径の値です。

電線の抵抗は「長いほど大きく、太いほど小さい」

電線の抵抗は、長さに比例し、断面積に反比例します。ここで出てきた言葉を、順に説明しましょう。

用語比例・反比例とは?

比例は、片方が2倍になるともう片方も2倍になる関係です。反比例は、片方が2倍になるともう片方は半分になる関係を指します。

なぜ?なぜ長いと抵抗が大きく、太いと小さくなるのか?

水道のホースで考えてみましょう。長いホースほど水は通りにくく、太いホースほどたくさん流れます。電気も同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。

用語断面積(だんめんせき)とは?

電線を輪切りにしたときの、切り口の面積のことです。切り口は円なので、面積は直径×直径に比例します。

なぜ?なぜ直径が2倍になると断面積は4倍になるのか?

面積はたて×よこのように、長さを2回かけて出すからです。直径が2倍なら、2×2=4倍になります。1辺2cmの正方形の中に、1辺1cmの正方形が4つ入るのと同じです。

「長さ」と「太さ」を別々に比べる

手順1 長さを比べる → Aは100m、Bは50m。AはBの2倍の長さなので、抵抗も2倍

手順2 直径を比べる → Aは1.6mm、Bは3.2mm。Aの直径はBの半分

手順3 断面積を比べる → 直径が半分なら、断面積は 半分×半分 = 4分の1

手順4 太さによる抵抗 → 断面積が4分の1なので、抵抗は反対に4倍

手順5 合わせる → 長さで2倍、太さで4倍、2 × 4 = 8倍

よって答えはニの8倍です。Aは長くて細いので、どちらの面から見ても抵抗が大きくなる電線だと分かります。

コツ式で確かめるなら

抵抗は長さ÷(直径×直径)に比例します。Aは100÷(1.6×1.6)、Bは50÷(3.2×3.2)です。AをBで割ると、(100÷50)×(3.2×3.2)÷(1.6×1.6)=2×4=8。直径は2乗、長さはそのままと覚えておきましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「長さは1乗、直径は2乗」。長さが2倍なら抵抗は2倍、直径が半分なら抵抗は4倍になります。細く長い電線ほど抵抗が大きいというホースのイメージと合わせておくと、向きを取り違えにくいでしょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.4 … 直径を2乗し忘れた人が選ぶ数字です。長さで2倍、直径の比2をそのまま使って2倍とすると、2×2=4倍になってしまいます。

ロ.2 … 太さのちがいを考えず、長さだけで比べた人が選ぶ数字です。100m÷50m=2倍で止めてしまうとこの数字になります。

イ.1 … 誤りです。細い電線のほうが抵抗は大きくなる(太さで4倍)という向きを確かめましょう。

問3

分野:電気の基礎(発熱量)重要度 ★★★

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が 0.2 Ω となった。この電線に 10 A の電流が流れると,接続点から 1 時間に発生する熱量[kJ]は。
ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。

イ.72
ロ.144
ハ.288
ニ.576
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正解

イ.72[kJ]
この問題は何を聞いているの?

電線のつなぎ目がうまくつながっておらず、そこに0.2Ωの抵抗ができてしまった場面です。そこへ10Aの電流が流れ続けたとき、つなぎ目から1時間でどれだけの熱が出るかを聞いています。

用語接続不良(せつぞくふりょう)とは?

電線どうしのつなぎ目が、しっかりつながっていない状態のことです。ねじがゆるんでいたり、金具の締め付けが弱かったりすると起こります。

なぜ?なぜ接続不良が問題になるのか?

つなぎ目がゆるいと、電気の通り道がせまくなって抵抗ができ、そこが熱くなるからです。熱が続くと、まわりの被覆(電線を包むビニル)が傷み、火災の原因になることがあります。

用語接触抵抗(せっしょくていこう)とは?

2つの金属が触れ合っている所に生じる抵抗のことです。この問題では、つなぎ目の部分に0.2Ωの抵抗ができています。

なぜ?なぜ0.2Ωという小さな抵抗でも熱が問題になるのか?

熱の量は電流×電流に比例するので、電流が大きいと小さな抵抗でも熱が多く出るからです。しかもその熱がつなぎ目の1か所に集中するため、そこだけが熱くなります。

用語熱量[J]とは?

発生した熱の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1000Jが1kJ(キロジュール)です。

なぜ?なぜ電気が流れると熱が出るのか?

抵抗のある所を電気が通るとき、電気が押し通るために使った力が熱に変わるからです。電気ストーブやドライヤーは、この性質をわざと利用して熱をつくっています。

熱量は「電流×電流×抵抗×秒」

抵抗から出る熱の量は、熱量[J]=電流×電流×抵抗×時間[秒]で求めます。このうち電流×電流×抵抗の部分は、1秒あたりに出る熱、つまり電力[W]です。

用語電力[W]とは?

1秒あたりに電気が行う仕事の量のことです。単位はW(ワット)。1Wの電力が1秒続くと、1Jの熱になります。

なぜ?なぜ電力は「電流×電流×抵抗」で出せるのか?

電力は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は電流×抵抗(オームの法則)だからです。電圧の所に「電流×抵抗」を入れると、電流×電流×抵抗になります。

単位をそろえる

式に入れる時間は秒です。問題文は「1時間」なので、先に秒に直します。

手順1 1時間を秒に直す → 60分 × 60秒 = 3600秒

手順2 1秒あたりの熱(電力) → 10 × 10 × 0.2 = 20W

手順3 1時間の熱量 → 20 × 3600 = 72000J

手順4 kJに直す → 72000 ÷ 1000 = 72kJ

よって答えはイの72kJです。20Wは、小さめの電球1個ぶんくらいの電力です。それがつなぎ目のほんの小さな部分で出続けるので、危険な熱さになります。

注意答えの単位はkJ

問題は「熱量[kJ]」と聞いています。計算の結果は72000Jなので、1000で割ってkJに直すのを忘れないようにしましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「熱量=電流×電流×抵抗×秒」。時間は必ず秒に直す(1時間=3600秒)。電流は2回かけるので、電流が2倍になると熱は4倍になります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.144 … 誤りです。電流を2回かける(10×10)こと、時間を3600秒に直すことを順に確かめましょう。

ハ.288 … 誤りです。抵抗0.2Ωと電流10Aから、まず1秒あたりの熱(20W)を出すと確かめやすくなります。

ニ.576 … 誤りです。20W×3600秒=72000J、これを1000で割ってkJに直します。

問4

分野:電気の基礎(交流回路の力率)重要度 ★★★

図のような交流回路で,電源電圧 204 V,抵抗の両端の電圧が 180 V,リアクタンスの両端の電圧が 96 V であるとき,負荷の力率[%]は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問4 の回路図
イ.35
ロ.47
ハ.65
ニ.88
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正解

ニ.88[%]
この問題は何を聞いているの?

交流の電源に、抵抗とコイル(リアクタンス)を1本道につないだ負荷がある回路です。それぞれにかかる電圧が分かっているとき、この負荷の力率は何%かを聞いています。

用語交流(こうりゅう)とは?

流れる向きが1秒間に100回以上も入れかわる電気のことです。家庭用コンセントの電気は交流です。図の左の丸の中に波の印(〜)がある記号が、交流の電源を表します。

なぜ?なぜ交流では電圧の足し算が単純にいかないのか?

交流では、抵抗とコイルで電圧の山が来るタイミングがずれるからです。タイミングのずれた2つの電圧は、そのまま足すと実際より大きくなってしまいます。この問題でも、180V+96V=276Vは、電源の204Vと合いません。

用語リアクタンスとは?

コイルなどが交流の流れを妨げる働きのことです。図のくるくる巻いた線の記号がコイルで、その両端に96Vの電圧がかかっています。

なぜ?なぜコイルは電気を使わないのに電圧がかかるのか?

コイルは電気を一時的にためては返す動きをくり返しているからです。電流の変化を邪魔するので電圧はかかりますが、熱や光として電気を使い切ることはありません。

用語負荷(ふか)とは?

電気を受け取って働く側のもののことです。図の破線で囲まれた部分(抵抗とコイル)が負荷にあたります。モーターや照明器具なども負荷です。

なぜ?なぜ抵抗とコイルをまとめて「負荷」と呼ぶのか?

モーターなどの実際の機械は、電気を使う部分(抵抗)と、電気をためては返す部分(コイル)を両方持っているからです。それを計算しやすいように、2つの部品に分けて描いています。

用語力率(りきりつ)とは?

電源から送った電圧(電力)のうち、実際に仕事に使われる割合のことです。この回路では、力率=抵抗にかかる電圧÷電源電圧で求められます。

なぜ?なぜ力率は「抵抗の電圧÷電源の電圧」で出せるのか?

電気を実際に使って熱や仕事にするのは抵抗だけだからです。電源の204Vのうち、抵抗で使われる分(180V)がどれくらいの割合かを見れば、役に立っている割合が分かります。

電圧の関係を確かめる

タイミングのずれた2つの電圧は、直角三角形の2辺のような関係になります。抵抗の電圧とコイルの電圧が直角に交わる2辺で、電源の電圧がななめの辺です。

手順1 抵抗の電圧を2回かける → 180 × 180 = 32400

手順2 コイルの電圧を2回かける → 96 × 96 = 9216

手順3 足す → 32400 + 9216 = 41616

手順4 電源の電圧を2回かけると → 204 × 204 = 41616(ぴったり同じ)

なぜ?なぜ2回かけて足すと電源の電圧と合うのか?

直角三角形では、短い2辺をそれぞれ2回かけて足すと、ななめの辺を2回かけたものと等しくなるからです(三平方の定理)。この問題の数字は、その関係がぴったり成り立つように作られています。

力率を計算する

手順1 力率 = 抵抗の電圧 ÷ 電源電圧 = 180 ÷ 204

手順2 計算する → 180 ÷ 204 = 0.882…

手順3 %に直す → 0.882 × 100 = 約88%

よって答えはニの88%です。送った電圧のうち、約9割が実際の仕事に使われているということになります。

コツ180÷204を暗算するには

180÷204は、1より少し小さい数です。204の9割は183.6なので、180はそれより少し小さい約0.88だと見当がつきます。選択肢で9割近いのは88だけです。

覚えるこの問題の覚え方

「力率=抵抗の電圧÷電源の電圧」。電気を使うのは抵抗だけなので、コイルの電圧(96V)は力率の計算に使いません。180+96と足して比べないことも大切です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.47 … 抵抗ではなくコイルの電圧で割り算した人が選ぶ数字です。96÷204=0.47…で、約47%になります。

ハ.65 … 電源電圧の代わりに、180と96を足した276で割った人が選ぶ数字です。180÷276=0.65…で、約65%になります。

イ.35 … コイルの電圧を、180と96を足した276で割った人が選ぶ数字です。96÷276=0.34…で、約35%になります。

問5

分野:電気の基礎(三相交流の線間電圧)重要度 ★★★

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき,各線に 15 A の電流が流れた。線間電圧 E[V]は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問5 の回路図
イ.150
ロ.212
ハ.260
ニ.300
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正解

ハ.260[V]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で電気を送る三相交流の電源に、10Ωの抵抗3つをY字形につないだ負荷がある回路です。各線に15Aの電流が流れたとき、電線と電線のあいだの電圧Eは何Vかを聞いています。

用語三相交流(さんそうこうりゅう)とは?

タイミングを少しずつずらした3つの交流を、3本の電線でまとめて送る方式のことです。工場やビルのモーターなど、大きな力が要る機械に使われます。図の「3φ3W」は、三相(3φ)を3本の電線(3W)で送るという意味の記号です。

なぜ?なぜ3つの交流のタイミングをずらすのか?

タイミングがずれていると、どの瞬間にも3本のうちどれかが電気を送っている状態になるからです。電気が途切れにくく、モーターがなめらかに回るという利点があります。

用語Y(スター)結線とは?

3つの負荷の片方の端を1点にまとめ、残りの端をそれぞれの電線につなぐつなぎ方のことです。形がアルファベットのYに見えるので、こう呼びます。この図の10Ω3つが、まん中の1点で集まっているのがY(スター)結線です。

なぜ?なぜY(スター)結線では、線の電流と抵抗の電流が同じになるのか?

Y(スター)結線では、1本の電線が、途中で枝分かれせずに1つの抵抗へそのままつながっているからです。だから各線の15Aが、そのまま各抵抗に流れる電流になります。

用語線間電圧(せんかんでんあつ)とは?

3本の電線のうち、2本のあいだの電圧のことです。図のE[V]が線間電圧です。

なぜ?なぜ線間電圧は1つの抵抗にかかる電圧と同じではないのか?

2本の電線のあいだには、抵抗が2つ(まん中の点を通って)入っているからです。ただし、2つの抵抗の電圧はタイミングがずれているので、単純な2倍ではなく、√3倍(約1.73倍)になります。

用語√3(ルート3)とは?

2回かけると3になる数のことで、約1.73です(1.73×1.73=2.99…)。問題用紙の最初にも「√3=1.73」と書いてあります。

なぜ?なぜ三相の計算に√3が出てくるのか?

三相の3つの交流は、タイミングが3分の1周ずつずれているからです。そのずれた2つの電圧の差を計算すると、1つぶんの電圧の√3倍になるという性質があるのです。試験では「Y(スター)結線の線間電圧=1つの抵抗の電圧×√3」と覚えておけば解けます。

1つの抵抗にかかる電圧を出してから√3倍する

手順1 1つの抵抗に流れる電流 → 線の電流と同じ 15A

手順2 1つの抵抗にかかる電圧(相電圧) → 電流×抵抗 = 15 × 10 = 150V

手順3 線間電圧 → 150 × √3 = 150 × 1.73 = 259.5V

手順4 最も近い選択肢 → 260V

用語相電圧(そうでんあつ)とは?

Y(スター)結線の1つの負荷にかかる電圧のことです。この問題では、10Ωの抵抗1つにかかる150Vが相電圧です。

なぜ?なぜ相電圧から先に出すのか?

分かっているのが1つの抵抗の値(10Ω)とそこを流れる電流(15A)なので、オームの法則でまずその抵抗1つぶんの電圧が出せるからです。そこから√3倍して線間電圧にします。

問題の最初に「選択肢が数値の場合は最も近い値を選びなさい」とあるので、259.5Vに最も近いハの260Vが答えです。

覚えるこの問題の覚え方

「Y(スター)結線は、電流はそのまま、電圧は√3倍」。まず1つの抵抗の電圧(15×10=150V)を出し、それに1.73をかけるだけです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.150 … 1つの抵抗の電圧で止めて、√3倍し忘れた人が選ぶ数字です。15×10=150Vは相電圧で、線間電圧ではありません。

ロ.212 … √3(1.73)ではなく√2(1.41)をかけた人が選ぶ数字です。150×1.41=211.5で、約212Vになります。

ニ.300 … 線と線のあいだの抵抗2つ分の電圧を、そのまま足した人が選ぶ数字です。150+150=300Vとすると、タイミングのずれを無視したことになります。

問6

分野:配電理論(単相2線式の電圧降下)重要度 ★★★

図のように,電線のこう長 12 m の配線により,消費電力 1600 W の抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は 100 V であった。配線における電圧降下[V]は。
ただし,電線の電気抵抗は長さ 1000 m 当たり 5.0 Ω とする。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問6 の配線図
イ.1
ロ.2
ハ.3
ニ.4
答え・解説を見る
正解

ロ.2[V]
この問題は何を聞いているの?

電源から12m離れた所にある1600Wの機械(抵抗負荷)へ、2本の電線で電気を送る回路です。電線にもわずかな抵抗があるので、電線を通るあいだに電圧が少し減ってしまいます。問われているのは、その減った電圧が何Vかです。

用語こう長(こうちょう)とは?

電源から負荷までの、配線の道のりの長さのことです。この問題では12mです。

なぜ?なぜ「こう長12m」なのに電線は24m分で考えるのか?

電気は行きの電線で負荷へ行き、帰りの電線で電源へ戻るからです。図でも上と下に1本ずつ、12mの電線が2本描かれているのが分かるでしょう。電流はこの2本を両方通るので、電線の長さは合わせて24mになります。

用語1φ2W(単相2線式)とは?

2本の電線で交流を送る方式のことです。家庭用コンセントの100Vも、この単相2線式で送られています。図の「1φ2W」は単相(1φ)を2本の電線(2W)で送るという意味の記号です。

なぜ?なぜ電線の本数を確かめる必要があるのか?

電線で減る電圧は、電流が通る電線の本数ぶん起こるからです。単相2線式なら行きと帰りの2本で電圧が減ります。

用語抵抗負荷(ていこうふか)と消費電力とは?

抵抗負荷は、電気ストーブのように抵抗だけでできている機械のことです。消費電力は、その機械が1秒あたりに使う電気の量で、単位はW(ワット)です。

なぜ?なぜ消費電力と電圧から電流が出せるのか?

電力は電圧×電流で表されるからです。電力と電圧が分かっていれば、電流=電力÷電圧の形にして電流が求められます。

用語電圧降下(でんあつこうか)とは?

電線を通るあいだに減ってしまう電圧のことです。電線の抵抗で電圧が使われるために起こります。

なぜ?なぜ電線を通ると電圧が下がるのか?

長いホースで水を送ると、先のほうで勢いが弱くなるのと同じです。電線にもわずかな抵抗があるので、電気が通るたびに電流×抵抗の分だけ電圧が使われます(オームの法則)。

電流・電線の抵抗・電圧降下の順に出す

問題文の「長さ1000m当たり5.0Ω」は、電線1000mで5.0Ωの抵抗という意味です。12mならその1000分の12になります。

手順1 電流 = 電力 ÷ 電圧 = 1600 ÷ 100 = 16A

手順2 電線1mあたりの抵抗 → 5.0 ÷ 1000 = 0.005Ω

手順3 電線1本(12m)の抵抗 → 0.005 × 12 = 0.06Ω

手順4 行きと帰りの2本ぶん → 0.06 × 2 = 0.12Ω

手順5 電圧降下 = 電流 × 抵抗 = 16 × 0.12 = 1.92V

手順6 最も近い選択肢 → 2V

よって答えはロの2Vです。電源側では約102V出ていて、電線で約2V減り、機械には100Vが届いたことになります。

なぜ?なぜ電流は100Vを使って計算してよいのか?

問題文に「負荷の両端の電圧は100V」とあり、1600Wはその負荷が使う電力だからです。負荷そのものの電圧と電力で割り算すれば、負荷に流れる電流が出ます。その電流が、そのまま電線にも流れているのです。

覚えるこの問題の覚え方

「単相2線式の電圧降下=電流×電線1本の抵抗×2」。こう長は片道の長さなので、行きと帰りで2本あることを忘れないようにしましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.1 … 電線を1本ぶん(12m)だけで計算した人が選ぶ数字です。16×0.06=0.96Vで、約1Vになります。帰りの電線の分も足さなければなりません。

ハ.3 … 誤りです。電流16A、2本ぶんの抵抗0.12Ωを順に確かめましょう。

ニ.4 … 誤りです。電線1000mで5.0Ωなので、12mでは0.06Ωになる点を確かめましょう。

問7

分野:配電理論(単相3線式の電力損失)重要度 ★★★

図のような単相 3 線式回路で,電線 1 線当たりの抵抗が 0.1 Ω,抵抗負荷に流れる電流がともに 20 A のとき,この電線路の電力損失[W]は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問7 の回路図
イ.40
ロ.69
ハ.80
ニ.120
答え・解説を見る
正解

ハ.80[W]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で電気を送る単相3線式の回路で、上下の機械(抵抗負荷)にどちらも20Aが流れている場面です。このとき、電線の抵抗で熱として失われる電力は合わせて何Wかを聞いています。

用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?

3本の電線を使い、100Vと200Vの両方を取り出せる送り方のことです。多くの住宅に引き込まれています。図の「1φ3W」は、単相(1φ)を3本の電線(3W)で送るという意味です。

なぜ?なぜ3本の電線で100Vと200Vの両方が使えるのか?

3本のうちまん中の線(中性線)と外側の線のあいだが100V、外側の2本のあいだが200Vになるように作られているからです。照明やコンセントは100V、大きなエアコンなどは200Vと使い分けられます。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

単相3線式の3本のうち、まん中の電線のことです。図ではまん中の0.1Ωが入った線がこれにあたり、上下の機械のあいだの点(黒い点)につながっています。

なぜ?なぜ上下の電流が同じだと中性線には電流が流れないのか?

中性線には上の機械から戻ってくる電流と、下の機械へ向かう電流が、逆向きに重なるからです。上下がどちらも20Aなら、20−20=0Aとなり、打ち消し合うのです。図の矢印も、上の20Aと下の20Aが同じ下向きで、上から下へ1本の流れとして通り抜けているのが分かります。

用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?

電線の抵抗で熱に変わってしまい、機械に届かずに失われる電力のことです。単位はW(ワット)です。

なぜ?なぜ電力損失は「電流×電流×抵抗」で出すのか?

抵抗で使われる電力は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は電流×抵抗(オームの法則)だからです。合わせると電流×電流×抵抗になります。電線1本ずつ、この式で出して足していきましょう。

電線1本ずつ損失を出して足す

手順1 上の線に流れる電流 → 20A

手順2 中性線に流れる電流 → 20 − 20 = 0A

手順3 下の線に流れる電流 → 20A

手順4 上の線の損失 → 20 × 20 × 0.1 = 40W

手順5 中性線の損失 → 0 × 0 × 0.1 = 0W

手順6 下の線の損失 → 20 × 20 × 0.1 = 40W

手順7 合計 → 40 + 0 + 40 = 80W

よって答えはハの80Wです。電線は3本ありますが、電流が流れているのは外側の2本だけなので、損失も2本ぶんになります。

覚えるこの問題の覚え方

「単相3線式で上下の電流が同じなら、中性線は0A。損失は外側2本ぶん」。電線1本の損失(電流×電流×抵抗)を出してから、電流が流れる本数をかけます。√3は三相交流で使う数なので、単相3線式では使いません。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.40 … 電線1本ぶんの損失で止めた人が選ぶ数字です。20×20×0.1=40Wは上の線だけの損失で、下の線の分も足す必要があります。

ニ.120 … 中性線にも20A流れると考えて、3本ぶん足した人が選ぶ数字です。40×3=120Wになりますが、上下の電流が同じなら中性線は0Aです。

ロ.69 … 三相交流と取り違えて、1本ぶんの40Wに√3(1.73)をかけた人が選ぶ数字です。40×1.73=69.2で、約69Wになります。

問8

分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に断面積 3.5 mm2 の 600V ビニル絶縁電線(軟銅線)4 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は 30℃以下,電流減少係数は 0.63 とする。

イ.19
ロ.23
ハ.31
ニ.49
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正解

ロ.23[A]
この問題は何を聞いているの?

金属の管の中に3.5mm²の電線を4本まとめて通したとき、電線1本に流してよい電流の上限(許容電流)は何Aかを聞いています。表で覚える数字×問題文の係数0.63で答えが出る問題です。

用語低圧屋内配線(ていあつおくないはいせん)とは?

建物の中に施設する、低い電圧の電気の配線のことです。低圧とは、交流なら600V以下の電圧を指します。家庭やお店の100V・200Vの配線も、この低圧の配線です。

なぜ?なぜ「低圧」と区切って呼ぶのか?

電圧が高いほど感電や事故のときの危険が大きく、守る決まりも厳しくなるからです。第二種電気工事士が扱うのは、主にこの低圧の範囲です。

用語金属管工事(きんぞくかんこうじ)とは?

電線を鉄などの金属でできた管の中に通して配線する工事のことです。管が電線を外からの衝撃から守ります。

なぜ?なぜ管に入れる本数で流せる電流が変わるのか?

電線は電流が流れると熱を持つからです。管の中に何本もまとめると熱がこもって逃げにくくなります。熱くなりすぎると電線のビニルが傷むため、本数が増えるほど1本に流せる電流を減らす決まりです。

用語600Vビニル絶縁電線(軟銅線)とは?

やわらかい銅の線を、ビニルで包んだ電線のことです。IV線とも呼ばれ、管に通して使います。「600V」は、600Vまでの電圧で使えるという意味です。

なぜ?なぜ「IV」と呼ぶのか?

I=Indoor(屋内)、V=Vinyl(ビニル)の頭文字で、「屋内用のビニル電線」という意味だからです。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

その電線に、安全に流し続けてよい電流の上限のことです。電線の太さごとに決められています。

なぜ?なぜ電線ごとに流せる電流の上限があるのか?

電流が多すぎると電線が熱くなりすぎて、ビニルが溶けたり燃えたりするおそれがあるからです。太い電線ほど熱が出にくいので、許容電流は大きくなります。

用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?

管に何本も電線を入れたとき、許容電流を減らすためにかける数のことです。この問題では4本なので0.63と、問題文に書いてあります。

なぜ?なぜ係数をかけるだけで1本あたりの値が出るのか?

「管に入れない電線1本なら何Aまで」というもとの許容電流が表で決まっていて、そこに熱がこもる分の割引率をかける考え方だからです。0.63なら、もとの値の63%までという意味になります。

もとの許容電流を表から引く

覚える電線の太さと許容電流(周囲温度30℃以下・管に入れない場合)

単線(1本の銅線) … 1.6mm=27A/2.0mm=35A/2.6mm=48A

より線(細い線をより合わせた線) … 2mm²=27A/3.5mm²=37A/5.5mm²=49A/8mm²=61A/14mm²=88A

なぜ?なぜ「mm」と「mm²」の2種類の表し方があるのか?

1本の丸い銅線(単線)は直径(mm)で、細い線をより合わせた電線(より線)は銅の部分の断面積(mm²)で太さを表す決まりだからです。この問題の「断面積3.5mm²」は、より線の太さの表し方です。

手順1 3.5mm²の許容電流を表から引く → 37A

手順2 管に4本入れるので、電流減少係数は 0.63

手順3 1本あたりの許容電流 → 37 × 0.63 = 23.31A

手順4 最も近い選択肢 → 23A

問題の最初に「選択肢が数値の場合は最も近い値を選びなさい」とあるので、23.31Aに最も近いロの23Aが答えです。

コツ37×0.63を暗算するには

0.63を0.6と0.03に分けると楽です。37×0.6=22.2、37×0.03=1.11、合わせて23.31。大まかに40×0.6=24より少し小さいと考えても、23を選べます。

覚えるこの問題の覚え方

「許容電流=表の値×電流減少係数」。表の値は3.5mm²=37A、5.5mm²=49Aのように太さとセットで覚えます。係数は問題文に書いてあることが多いので、表の数字を確実に覚えるのが近道です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.31 … 3.5mm²と5.5mm²を取り違えた人が選ぶ数字です。5.5mm²の49Aに0.63をかけると、49×0.63=30.87で約31Aになります。

ニ.49 … 5.5mm²の許容電流をそのまま答えた人が選ぶ数字です。太さの読み取りと、係数のかけ忘れの両方を確かめましょう。

イ.19 … 誤りです。3.5mm²=37Aを確かめてから、0.63をかけましょう。

問9

分野:配線設計(幹線の許容電流)重要度 ★★★

定格電流 12 A の電動機 5 台が接続された単相 2 線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし,需要率は 80 % とする。

イ.48
ロ.60
ハ.66
ニ.75
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正解

ロ.60[A]
この問題は何を聞いているの?

1本の太い電線(幹線)に12Aのモーターが5台つながった場面です。このとき、幹線にはどれだけの電流に耐えられる太さが必要か、その最小の電流値を聞いています。需要率で同時に使う分を出し、モーターの割り増しをかけるという2段階の問題です。

用語幹線(かんせん)とは?

電気が建物に入ってくる所から、それぞれの枝分かれした回路へ電気を配る大もとの電線のことです。木でいえば幹にあたります。

なぜ?なぜ幹線には全部の機器の電流が流れるのか?

枝分かれした先の機器へ行く電気は、すべて一度幹線を通ってから分かれていくからです。そのため幹線は、つながっている機器の電流をまとめて流せる太さが必要です。

用語電動機(でんどうき)と定格電流とは?

電動機はモーターのことです。定格電流は、その機械をふだん決められた条件で運転しているときに流れる電流を指します。この問題では1台あたり12Aです。

なぜ?なぜモーターの電流は割り増して考えるのか?

モーターは回り始める瞬間に、ふだんより大きな電流(始動電流)が流れるからです。幹線にはその分の余裕を持たせる必要があるため、モーターの電流には割り増しの係数をかける決まりになっています。

用語需要率(じゅようりつ)とは?

つながっている機器のうち、同時に使われる割合のことです。80%なら、全体の8割が同時に動いているとして計算します。

なぜ?なぜ需要率をかけてよいのか?

5台のモーターがいつも全部同時に動くとは限らないからです。実際に同時に流れる電流で考えれば、必要以上に太い電線を使わずに済みます。

用語単相2線式(たんそうにせんしき)とは?

2本の電線で交流を送る方式のことです。家庭用コンセントの100Vも、この方式です。

なぜ?なぜ配線方式が書いてあるのか?

どんな電線路の話かをはっきりさせるためです。この問題では、モーターの電流を足して割り増す計算に集中すれば答えが出ます。

幹線の太さを決める電流の決まり

覚えるモーターがあるときの幹線の許容電流

① モーターの電流の合計(IM)と、それ以外の電流の合計(IH)を出す

② IMがIH以下なら … そのまま足す(IM+IH)

③ IMがIHより大きく、IMが50A以下なら … IM×1.25+IH

④ IMがIHより大きく、IMが50Aを超えるなら … IM×1.1+IH

なぜ?なぜ係数が1.25と1.1の2種類あるのか?

モーターの電流の合計が50A以下か、50Aを超えるかによって、係数を分けて定めているからです。試験では「50A以下なら1.25、超えたら1.1」と、境目の50Aとセットで覚えましょう。

需要率をかけてから、割り増しを決める

手順1 モーター5台の定格電流の合計 → 12 × 5 = 60A

手順2 需要率80%をかける → 60 × 0.8 = 48A(これがIM)

手順3 モーター以外の電流 → ないので 0A(IH)

手順4 比べる → 48Aは0Aより大きく、しかも50A以下なので、1.25倍を使う

手順5 割り増す → 48 × 1.25 = 60A

よって答えはロの60Aです。

注意50Aと比べるのは「需要率をかけたあと」の値

需要率をかける前の60Aで比べると「50A超え→1.1倍」と判断してしまうでしょう。実際に同時に流れる電流(48A)を出してから50Aと比べるので、ここでは1.25倍になります。

覚えるこの問題の覚え方

「まず需要率で同時に流れる電流、次にモーターの割り増し」の順です。割り増しは50A以下なら1.25倍、50A超えなら1.1倍。たまたま60Aに戻りますが、計算の道すじは別物だと考えましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.48 … 需要率はかけたが、モーターの割り増しを忘れた人が選ぶ数字です。60×0.8=48Aで止めると、この数字になります。

ニ.75 … 需要率をかけ忘れて、60Aにそのまま1.25をかけた人が選ぶ数字です。60×1.25=75Aになります。

ハ.66 … 需要率をかけ忘れ、60Aを「50A超え」として1.1をかけた人が選ぶ数字です。60×1.1=66Aになります。

問10

分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは 3 m,配線用遮断器からコンセントまでは 8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問10 の選択肢(4つの分岐回路の図)
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正解

ハ.40Aの配線用遮断器・8mm²・30Aのコンセント1個
この問題は何を聞いているの?

幹線から枝分かれした分岐回路について、ブレーカー(配線用遮断器)の大きさ・電線の太さ・コンセントの大きさの組み合わせが決まりに合っているものを1つ選ぶ問題です。ブレーカーの大きさごとに、使ってよい電線の太さとコンセントの範囲が決まっているので、その表と見比べます。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

幹線から枝分かれして、コンセントや照明などへ電気を送る回路のことです。家の分電盤に並んだ小さなブレーカー1つ1つが、それぞれ1つの分岐回路を守っています。

なぜ?なぜ分岐回路ごとにブレーカーを付けるのか?

ある回路で電流が流れすぎたとき、その回路だけを止めて、ほかの部屋の電気は使えるようにするためです。全部を1つで守ると、1か所の不具合で家中が停電してしまいます。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

電流が流れすぎたときに、自動で電気を止める装置で、いわゆるブレーカーのことです。図の四角にBの記号で表し、横の「20A」「30A」「40A」はブレーカーの定格電流(どれだけの電流まで止めずに流せるかの目安)を示します。

なぜ?なぜブレーカーの大きさで電線の太さが決まるのか?

ブレーカーはその電流までは止めずに流し続けるからです。30Aのブレーカーなら30A近くまで流れることがあるので、電線はそれに耐えられる太さでなければ、ブレーカーが切れる前に電線が熱くなりすぎてしまいます。

用語コンセントの定格電流とは?

コンセントにも「何Aまで使えるか」の大きさがあり、15A・20A・30Aなどがあります。家庭用コンセントの多くは15Aです。

なぜ?なぜコンセントは「小さすぎても」いけないのか?

ブレーカーが30Aなのに15Aのコンセントを付けると、コンセントの限度を超える電流が流れても、ブレーカーが切れないからです。コンセントが熱くなる危険があるので、ブレーカーに見合った大きさのコンセントを付ける決まりになっています。

用語兼用コンセントとは?

15A用と20A用のどちらのプラグも差し込めるコンセントのことです。この問題では「兼用コンセントではない」とあるので、書かれたAの値どおりのコンセントとして考えます。

なぜ?なぜ「兼用ではない」と断っているのか?

兼用コンセントは15Aと20Aの両方にまたがるので、表との見比べで扱いにまぎれが出るからです。条件をはっきりさせて、答えが1つに決まるようにしています。

なぜ?なぜ「3m」「8m」と長さが書いてあるのか?

分岐回路のブレーカーは、原則として幹線から分かれた点から3m以下の所に付ける決まりがあり、この問題はその条件を満たしていることを示しています。8mはコンセントまでの距離で、選択肢の良し悪しには関係しません。表との見比べに集中しましょう。

ブレーカー×電線×コンセントの表

覚える分岐回路の決まり(軟銅線)

20Aの配線用遮断器 … 電線1.6mm以上/コンセント20A以下

30Aの配線用遮断器 … 電線2.6mm(5.5mm²)以上/コンセント20A以上30A以下

40Aの配線用遮断器 … 電線8mm²以上/コンセント30A以上40A以下

50Aの配線用遮断器 … 電線14mm²以上/コンセント40A以上50A以下

なぜ?なぜ電線は「以上」、コンセントは「範囲」なのか?

電線は太いぶんには熱くなりにくく、安全側だからです。一方コンセントは、ブレーカーの大きさに見合ったものだけを付けるように、使ってよい大きさが上と下の両方で決められています。試験では表の範囲どおりかどうかで判断しましょう。

4つの選択肢を表と見比べる

手順1 イ(20A・2.0mm・30Aのコンセント1個) → 電線は1.6mm以上なのでOK。でも20Aのブレーカーにはコンセント20A以下なので、30Aは不適切

手順2 ロ(30A・2.0mm・30Aのコンセント1個) → コンセント30Aは範囲内。でも30Aのブレーカーには電線2.6mm以上が必要なので、2.0mmは不適切

手順3 ハ(40A・8mm²・30Aのコンセント1個) → 電線8mm²以上もOK、コンセント30A以上40A以下もOK。適切

手順4 ニ(30A・2.6mm・15Aのコンセント2個) → 電線はOK。でも30Aのブレーカーにはコンセント20A以上が必要なので、15Aは不適切

よって答えはハです。

覚えるこの問題の覚え方

「ブレーカーを見たら、まず電線、次にコンセント」の順に表と見比べます。電線は20A=1.6mm、30A=2.6mm、40A=8mm²、50A=14mm²。コンセントはブレーカーと同じか1段下まで(20Aのブレーカーだけは20A以下ならよい)と覚えると整理しやすくなります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ … 電線の太さだけ確かめて、コンセントの下限を見落とした人が選びやすい組み合わせです。30Aのブレーカーに15Aのコンセントは小さすぎます。2個あっても、判断するのは1個ずつの大きさです。

ロ … コンセントだけ確かめて、電線の太さを見落とした人が選びやすい組み合わせです。30Aのブレーカーには2.6mm以上の電線が必要です。

イ … 「コンセントは大きいほうが安全」と考えた人が選びやすい組み合わせです。20Aのブレーカーに付けてよいのは20A以下のコンセントです。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 直流回路の電圧 … 接地した点が0V。電池で上がり、抵抗で下がる。bは100−80=+20V

問2 電線の抵抗 … 長さは1乗、直径は2乗。長さで2倍、太さで4倍、合わせて8倍

問3 発熱量 … 電流×電流×抵抗×秒。20W×3600秒=72000J=72kJ

問4 力率 … 力率=抵抗の電圧÷電源の電圧。180÷204で約88%

問5 三相の線間電圧 … Y(スター)結線は電流そのまま、電圧は√3倍。150×1.73で約260V

問6 電圧降下 … こう長は片道。行きと帰りの2本ぶんで16×0.12=約2V

問7 単相3線式の損失 … 上下が同じなら中性線は0A。外側2本で40+40=80W

問8 許容電流 … 3.5mm²=37A。4本なら係数0.63をかけて約23A

問9 幹線の許容電流 … 先に需要率で48A。50A以下なので×1.25で60A

問10 分岐回路 … 40Aのブレーカーには8mm²以上の電線と30〜40Aのコンセント

この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流×電流×抵抗)の2本でした。そこに交流の力率や三相の√3が加わり、残りは覚えた表に当てはめる問題です。新しい式を増やすより、この2本をどう使うかに慣れるほうが近道になるでしょう。

出典

令和2年度下期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

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▶ 問11〜20
材料と器具(プルボックス・絶縁物の最高許容温度・パイプベンダ・同期速度・零相変流器・写真の見分け・リングスリーブの絶縁処理・施設場所と工事の種類)

▶ 問21〜30
施工・検査・法令(ルームエアコンの施工・D種接地工事・電磁的不平衡・回路計・絶縁抵抗の値 ほか)

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図記号と数字もの(配線図の図記号・電線の本数・測定や工事の決まり)

▶ 配線図 問41〜50
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用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

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スイッチ・コンセント・照明の記号

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VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

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幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する