第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和2年度 下期・午後(2020年10月4日実施)の問21〜問30です。

ここは工事のルール・検査・法令の分野です。計算はほとんど出てきませんが、そのかわり数字と言葉の決まりごとが多く並んでいます。丸暗記しようとすると混ざりやすいので、この記事では「なぜその決まりがあるのか」を一つずつ書きました。理由が分かると、似た数字が並んでいても迷いにくくなります。

各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和2年度下期第二種電気工事士試験(午後)

用語この10問で問われている分野

問21 店舗付き住宅の三相200 Vエアコン / 問22 D種接地工事(省略の条件と接地線の太さ) / 問23 金属管に電線を入れる方法(電磁的不平衡) / 問24 回路計(テスタ)の使い方 / 問25 絶縁抵抗の最小値 / 問26 接地抵抗計の補助接地極の配置 / 問27 導通試験の目的 / 問28 電気の保安に関する法令 / 問29 特定電気用品 / 問30 一般用電気工作物と小出力発電設備

なぜ?なぜこの10問はまとめて勉強すると効率がいいのか?

「接地(アース)」「測定」「法令」の3つの話が、何度も形を変えて出てくるからです。例えば問22と問26は、どちらもアースの工事とその確かめ方の話です。問24・問25・問27は測定器と検査、問28〜問30は法令でつながっています。まとめて整理すると、1つ覚えたことが隣の問題にも使えるでしょう。

問21

分野:施工(住宅の三相200 Vエアコン)重要度 ★★★

店舗付き住宅に三相200 V,定格消費電力2.8 kWのルームエアコンを施設する屋内配線工事の方法として,不適切なものは。

イ.屋内配線には,簡易接触防護措置を施す。
ロ.電路には,漏電遮断器を施設する。
ハ.電路には,他負荷の電路と共用の配線用遮断器を施設する。
ニ.ルームエアコンは,屋内配線と直接接続して施設する。
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正解

ハ.電路には,他負荷の電路と共用の配線用遮断器を施設する。
この問題は何を聞いているの?

「お店と住まいが一緒になった建物に、三相200 Vという強めの電気で動くエアコンを付けるとき、決まりに合っていない工事はどれか」を聞いています。

住宅の中で200 Vの三相を使うには、守らなければならない条件がいくつも決められています。4つの選択肢のうち3つはその条件どおりで、1つだけ条件を破っている、という形です。

問題文の言葉を説明する

用語店舗付き住宅とは?

店舗付き住宅とは、1階がお店で2階が住まい、のように、お店と住居が1つになった建物のことです。住む人がいる以上、電気の決まりのうえでは住宅と同じ厳しさで考えます。

用語三相200 Vとは?

一般的な家のコンセントは、2本の電線で電気を送る「単相(たんそう)」という方式です。これに対して三相(さんそう)は、3本の電線で電気を送る方式のことです。200 Vは電気を押し出す力(電圧)の大きさで、家庭用コンセントの100 Vの2倍にあたります。

用語対地電圧(たいちでんあつ)とは?

対地電圧とは、電線と地面(大地)との間の電圧のことです。地面に立ったまま電線に触れると、この対地電圧が体にかかるのです。一般的な三相200 Vでは、電線と地面の間に200 Vがかかることがあります。

なぜ?なぜ住宅では対地電圧の大きさが問題になるのか?

住宅には電気の専門家ではない家族が住み、子どもやお年寄りも電気製品に触れるからです。そのため決まり(電気設備の技術基準の解釈)では、住宅の屋内の電路の対地電圧は原則150 V以下とされています。三相200 Vのエアコンはこの原則をはみ出すので、特別な条件をすべて満たしたときだけ使えるのです。

用語定格消費電力(ていかくしょうひでんりょく)とは?

定格消費電力とは、その機械を決められた条件で使ったときに消費する電力の大きさのことです。単位はW(ワット)で、1 kW(キロワット)=1,000 Wです。この問題のエアコンは2.8 kW=2,800 Wになります。

用語簡易接触防護措置(かんいせっしょくぼうごそち)とは?

簡易接触防護措置とは、人がうっかり触れないように、手の届きにくい高さに置いたり、さくや覆いを設けたりすることです。

用語配線用遮断器と漏電遮断器とは?

配線用遮断器とは、電気が流れすぎたとき(使いすぎやショートのとき)に自動で電気を止める装置です。分電盤に並んでいる「ブレーカー」がこれにあたります。漏電遮断器は、電気が本来の通り道から漏れたとき(漏電したとき)に自動で電気を止める装置のことです。役割が別なので、片方がもう片方の代わりにはなりません。

住宅で対地電圧150 Vを超えてよい条件

住宅の中で対地電圧150 Vを超える(300 V以下の)電気を使えるのは、定格消費電力が2 kW以上の機械だけです。この問題のエアコンは2.8 kWなので対象です。そのうえで、次の条件をすべて満たす必要があります。

① 屋内配線と機械に簡易接触防護措置をする

② 機械は屋内配線と直接つなぐ(コンセントを使わない)

③ その機械だけのための専用の開閉器と過電流遮断器(配線用遮断器など)を付ける

④ 漏電遮断器を付ける

なぜ?なぜ配線用遮断器は「専用」でなければならないのか?

200 Vの機械の回路を、ほかの電気製品の回路と分けておき、その機械だけを確実に止められるようにするためです。ほかの負荷(電気を使う機械)と共用にすると、エアコンの回路だけを切ることができません。また、ほかの機械の使用分まで1つの遮断器に流れるので、エアコンの回路を守る働きもあいまいになります。

なぜ?なぜコンセントを使わず直接つなぐのか?

コンセントがあると、誰でもプラグを抜き差しでき、そこで200 Vに触れるおそれが生まれるからです。直接つないでしまえば、抜き差しする場所そのものがなくなります。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 屋内配線に簡易接触防護措置 … 条件①そのものです。→ 適切

ロ 電路に漏電遮断器 … 条件④そのものです。→ 適切

ハ 他負荷の電路と共用の配線用遮断器 … 条件③は「専用」の遮断器です。共用は条件を破っています。→ 不適切=これが答え

ニ 屋内配線と直接接続 … 条件②そのものです。→ 適切

よって答えはハです。

間違えた人が選びやすいのはロ

分電盤にはふつう配線用遮断器が付いているので、「漏電遮断器まで付けるのはやりすぎでは?」と感じてロを選ぶ人がいます。

ですが住宅で三相200 Vを使う場合は、配線用遮断器(専用)と漏電遮断器の両方が必要です。「2つとも付ける」とセットで押さえておきましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「住宅の200 Vエアコン=2 kW以上・直接つなぐ・専用のブレーカー+漏電遮断器・触れない工夫」。選択肢に「共用」「コンセント」という言葉が出てきたら、それが不適切の目印です。

問22

分野:施工(D種接地工事)重要度 ★★★

機械器具の金属製外箱に施すD種接地工事に関する記述で,不適切なものは。

イ.一次側200 V,二次側100 V,3 kV·Aの絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に電動丸のこぎりを接続し,接地を施さないで使用した。
ロ.三相200 V定格出力0.75 kW電動機外箱の接地線に直径1.6 mmのIV電線(軟銅線)を使用した。
ハ.単相100 V移動式の電気ドリル(一重絶縁)の接地線として多心コードの断面積0.75 mm2の1心を使用した。
ニ.単相100 V定格出力0.4 kWの電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流15 mA,動作時間0.1秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。
答え・解説を見る
正解

ニ.単相100 V定格出力0.4 kWの電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流15 mA,動作時間0.1秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。
この問題は何を聞いているの?

「機械の金属の箱にするアース(D種接地工事)について、決まりに合っていないものはどれか」を聞いています。4つのうち2つは接地を省略してよいか、残り2つは接地線の太さの話です。

問題文の言葉を説明する

用語接地工事(せっちこうじ)とは?

接地工事とは、機械の金属の部分を、電線で地面とつないでおく工事のことです。「アース」とも呼ばれる工事です。機械の中で電線が傷んで、金属の箱に電気が漏れても、電気を地面へ逃がして感電を防ぎます。

なぜ?なぜ金属製外箱を地面とつなぐのか?

漏れた電気に「人の体より通りやすい道」を用意しておくためです。アースがないと、漏電した箱に触れた瞬間に人の体を通って地面へ電気が流れます。これが感電です。アースがあれば、電気は通りやすいアース線のほうへ流れるので、人に流れる電気を小さくできます。

用語D種接地工事とは?

接地工事にはA種・B種・C種・D種の4つがあります。D種接地工事とは、300 V以下の低い電圧で使う機械の金属の箱などに行う接地工事のことです。住宅や小さな工場の機械でいちばん多く出てくる種類です。

接地を省略してよい場合(イとニの話)

D種接地工事は原則として必要です。ただし、感電の危険が十分に小さいときは省略できると決められています。この問題に関係するのは次の2つです。

① 絶縁変圧器を使う場合 … 電源側に絶縁変圧器(二次側の電圧300 V以下・容量3 kV·A以下)を置き、その二次側の電路を接地しない場合

② 漏電遮断器を付ける場合 … 定格感度電流15 mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型の漏電遮断器を付け、機械を水気のある場所以外に置く場合

用語絶縁変圧器(ぜつえんへんあつき)とは?

変圧器とは、電圧を上げ下げする装置のことです。絶縁変圧器は、入る側(一次側)と出る側(二次側)が電気的に直接つながっていない変圧器を指します。二次側を地面とつながない(非接地の)まま使うと、二次側の電線に触れても、地面を通って戻る電気の道ができにくいというしくみです。

用語kV·A(キロボルトアンペア)とは?

kV·Aとは、変圧器がどれだけの電気を送り出せるか(容量)を表す単位です。「電圧×電流」の大きさで、3 kV·A=3,000 V·Aになります。

用語定格感度電流と動作時間とは?

定格感度電流とは、漏電遮断器が「これだけ漏れたら切る」という電流の大きさのことです。15 mA(ミリアンペア)=0.015 Aというごく小さな電流です。動作時間は、漏電を感じてから電気を止めるまでの時間を表します。

なぜ?なぜ水気のある場所では、漏電遮断器を付けても省略できないのか?

水にぬれた体や床は電気を通しやすく、感電したときの危険が大きくなるからです。そのため漏電遮断器による省略は、水気のある場所以外に置く機械に限られています。水気のある場所では、漏電遮断器を付けたうえで接地工事もするのが決まりです。

接地線の太さ(ロとハの話)

固定して使う機械 … D種接地工事の接地線は、直径1.6 mm以上の軟銅線(やわらかい銅の線)

移動して使う機械 … 多心コード(何本もの線をまとめたコード)の1心で、断面積0.75 mm2以上のものを使ってよい

なぜ?なぜ移動して使う機械は細い線でよいのか?

持ち運ぶ機械には、太くてかたい線では曲げにくく、使いにくいからです。そこで、電源コードの中の1本をアース線として使うことが認められています。0.75 mm2は、線の切り口の面積が0.75平方ミリメートルという意味です。

用語IV電線と一重絶縁とは?

IV電線とは、銅の線をビニルで1回だけ包んだ、屋内配線用の電線のことです。一重絶縁とは、電気の通る部分を1重にしか覆っていない構造を指します。2重に覆った「二重絶縁」の機械と違い、一重絶縁の機械にはアースが必要です。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 絶縁変圧器(3 kV·A・二次側100 V・二次側非接地)で接地なし … 条件①の300 V以下・3 kV·A以下・非接地をすべて満たします。→ 適切

ロ 固定の電動機に直径1.6 mmのIV電線(軟銅線) … 直径1.6 mm以上の軟銅線なので決まりどおりです。→ 適切

ハ 移動式の電気ドリルに多心コードの0.75 mm2の1心 … 移動して使う機械は0.75 mm2以上でよいので、決まりどおりです。→ 適切

ニ 水気のある場所で、漏電遮断器を付けて接地を省略 … 漏電遮断器の性能(15 mA・0.1秒)は条件どおりですが、水気のある場所なので省略できません。→ 不適切=これが答え

よって答えはニです。

間違えた人が選びやすいのはイ

イは「接地を施さないで使用した」とはっきり書いてあるので、アースなし=危険と感じて選びやすい選択肢です。

ですが、条件どおりの絶縁変圧器を使えば省略してよいと決まっています。反対にニは、数字(15 mA・0.1秒)が正しいので見落としやすいのが落とし穴です。数字だけでなく「場所」も確かめましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「漏電遮断器で接地を省略できるのは、15 mA以下・0.1秒以下・水気のない場所の3つがそろったときだけ」。水にぬれると感電が重くなる、という理由とセットで覚えると、場所の条件を忘れにくくなります。

問23

分野:施工(金属管工事と電磁的不平衡)重要度 ★★☆

電磁的不平衡を生じないように,電線を金属管に挿入する方法として,適切なものは。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問23 の図。3φ3W・1φ2W・1φ3W・3φ3Wの電源から金属管に電線を通して負荷へつなぐ4通りの入れ方(イ・ロ・ハ・ニ)。
イ.(図のイ)
ロ.(図のロ)
ハ.(図のハ)
ニ.(図のニ)
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正解

イ.(図のイ:三相用の負荷の3本を1本の管に,単相用の負荷の2本を別の1本の管に入れたもの)
この問題は何を聞いているの?

「金属の管に電線を通すとき、どのように電線を分けて入れれば、管が熱くなるなどの不具合(電磁的不平衡)が起きないか」を聞いています。4つの図のうち、正しい入れ方を1つ選ぶ問題です。

問題文と図の言葉を説明する

用語金属管(きんぞくかん)とは?

金属管とは、電線を中に通して守るための鉄などの管のことです。図の横長の筒の形が金属管で、中の破線(短い線の並び)が管の中を通る電線を表しています。

用語電磁的不平衡(でんじてきふへいこう)とは?

電線に電気が流れると、まわりに目に見えない磁石の力(磁界)ができます。電磁的不平衡とは、1本の管の中で、この磁界が打ち消し合わずに残ってしまう状態のことです。

なぜ?なぜ磁界が残ると困るのか?

鉄の管の中で磁界が残ると、管そのものに電気がうず巻くように流れて、管が熱くなるからです。これを放っておくと、電線の被覆が傷んだり、電気がむだになったりします。交流の電気は向きが何度も入れ替わるので、この影響が出やすいのです。

なぜ?なぜ「行き」と「帰り」の電線を同じ管に入れると打ち消し合うのか?

1つの回路の電線どうしは、流れる電流の合計がいつも0になるからです。単相なら、行きの線と帰りの線に同じ大きさで反対向きの電流が流れます。三相なら、3本の電流を足すと0になる関係です。同じ管に入れておけば、それぞれの磁界が打ち消し合い、管の外に残りません。

用語3φ3W・1φ2W・1φ3Wとは?

「φ(ファイ)」は相(そう)、「W」は電線(Wire)の本数を表します。3φ3W=三相3線式(3本の電線を使う三相)です。1φ2W=単相2線式は、2本の電線を使う一般的な単相を表します。1φ3W=単相3線式は、3本の電線で100 Vと200 Vを取り出す単相です。

用語負荷(ふか)とは?

負荷とは、電気を使う機械や器具のことです。図の四角い箱が負荷で、エアコンや照明などをまとめて表した記号だと思ってください。

正しい入れ方のルール

ルールは1つだけです。1つの負荷につながる電線は、全部まとめて同じ1本の管に入れる。言いかえると、1本の管の中の電流を足したら0になるように入れるということです。

選択肢を1つずつ確かめる

イ(3φ3W) … 上の管には三相用の負荷につながる3本、下の管には単相用の負荷につながる2本が入っています。どちらの管も1つの負荷の電線がそろっているので、磁界は打ち消し合うのです。→ 適切=これが答え

ロ(1φ2W) … 上の管には電源の左の線から出た2本、下の管には右の線から出た2本が入っています。管の外で交差させて負荷に配っているため、どちらの管も「行き」だけ・「帰り」だけです。→ 不適切

ハ(1φ3W) … 上の負荷の2本は1本の管に入っていますが、下の負荷の2本は別々の管に1本ずつ入っています。→ 不適切

ニ(3φ3W) … 1つの負荷につながる3本が、3本の管に1本ずつ分かれています。→ 不適切

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはロ

ロは、どちらの管にも電線が2本ずつ入っているので、ぱっと見ると正しそうに見えます。

ですが、管の右側を見ると電線が交差しています。線をたどると、上の管の2本はどちらも電源の左の線から出ていることが分かるでしょう。本数ではなく「どの負荷の行きと帰りか」をたどって確かめるのがポイントです。

覚えるこの問題の覚え方

「1つの負荷の線は、1本の管に全部まとめる」。行きと帰りを同じ管に入れると、反対向きの磁界がけんかして消えると思い浮かべてください。図に線の交差があったら、たどって確かめる合図です。

問24

分野:検査(回路計の使い方)重要度 ★★★

回路計(テスタ)に関する記述として,正しいものは。

イ.アナログ式で交流又は直流電圧を測定する場合は,あらかじめ想定される値の直近上位のレンジを選定して使用する。
ロ.抵抗を測定する場合の回路計の端子における出力電圧は,交流電圧である。
ハ.ディジタル式は電池を内蔵しているが,アナログ式は電池を必要としない。
ニ.電路と大地間の抵抗測定を行った。その測定値は電路の絶縁抵抗値として使用してよい。
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正解

イ.アナログ式で交流又は直流電圧を測定する場合は,あらかじめ想定される値の直近上位のレンジを選定して使用する。
この問題は何を聞いているの?

「電圧や抵抗を測る道具(回路計)の使い方として、正しい説明はどれか」を聞いています。4つのうち正しいのは1つだけで、残り3つはどこかに誤りがあるという形です。

問題文の言葉を説明する

用語回路計(かいろけい)とは?

回路計とは、電圧・電流・抵抗などを、つまみを切り替えて1台で測れる測定器のことです。「テスタ」とも呼ばれます。2本の棒(テストリード)を測りたい所に当てて使う道具です。

用語アナログ式とディジタル式とは?

アナログ式とは、針が動いて目盛りを指すことで値を示すタイプです。ディジタル式は、数字が画面に表示されるタイプを指します。

用語レンジとは?

レンジとは、測れる範囲の切り替えのことです。例えば「300 Vレンジ」なら、最大300 Vまでを測れる設定になります。

用語直近上位(ちょっきんじょうい)とは?

直近上位とは、測りたい値より大きいもののうち、いちばん近いものという意味です。100 Vを測るとき、レンジが30 V・120 V・300 Vなら、直近上位は120 Vです。

なぜ?なぜ直近上位のレンジを選ぶのか?

小さすぎるレンジだと針が振り切れて計器が壊れるおそれがあり、大きすぎるレンジだと針の動きが小さくて読み取りにくいからです。少しだけ上のレンジを選ぶと、安全で、しかも針が大きく動いて正確に読めます。値の見当がつかないときは、いちばん大きいレンジから始めるのが基本です。

抵抗を測るときの仕組み

なぜ?なぜ抵抗を測るには回路計の中の電池が必要なのか?

抵抗は、自分で電気を流してみて、どれだけ流れにくいかを調べないと測れないからです。回路計は内蔵の電池から電気を流し、その流れ方から抵抗の大きさを出す仕組みです。そのため、アナログ式でも抵抗を測るには電池が要ります。電池から出る電気なので、端子に出る電圧は直流です。

用語絶縁抵抗と絶縁抵抗計とは?

絶縁抵抗とは、電線と地面の間などで、電気がどれだけ漏れにくいかを表す値のことです。単位はMΩ(メガオーム)=100万Ωという大きな値で表します。これを測る専用の道具が絶縁抵抗計(メガー)です。

なぜ?なぜ回路計で測った値を絶縁抵抗として使えないのか?

絶縁抵抗は、絶縁抵抗計で高めの直流電圧をかけて測るものだからです。回路計の抵抗測定は内蔵電池の低い電圧で測るので、実際に使う電圧をかけたときの漏れやすさを正しく調べられません。

選択肢を1つずつ確かめる

イ アナログ式は直近上位のレンジを選ぶ … 上で説明したとおり、正しい使い方です。→ 正しい=これが答え

ロ 抵抗測定の出力電圧は交流 … 内蔵の電池から出る電気なので直流です。→ 誤り

ハ アナログ式は電池が要らない … 電圧を測るだけなら電池なしで針が動きますが、抵抗を測るには電池が要ります。→ 誤り

ニ 回路計の抵抗測定値を絶縁抵抗として使ってよい … 絶縁抵抗は絶縁抵抗計で測ります。→ 誤り

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはハ

アナログ式は針が電気の力で動くので、「電池は要らない」と思い込みやすい選択肢です。

確かに電圧を測るときは、測る相手の電気で針が動きます。しかし抵抗には相手の電気がないため、回路計の電池で電気を流す必要があるのです。「抵抗を測るには、自分で電気を流す」と考えると迷いません。

覚えるこの問題の覚え方

「レンジは少し上から。抵抗は電池の直流で測る。絶縁抵抗はメガーで測る」。回路計の問題は、この3つを押さえておけば多くの選択肢を見分けられます。

問25

分野:検査(絶縁抵抗の基準値)重要度 ★★★

単相3線式100/200 Vの屋内配線において,開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとの絶縁抵抗の最小値として,「電気設備に関する技術基準を定める省令」に規定されている値[MΩ]の組合せで,正しいものは。

イ.電路と大地間 0.2
電線相互間 0.4
ロ.電路と大地間 0.2
電線相互間 0.2
ハ.電路と大地間 0.1
電線相互間 0.1
ニ.電路と大地間 0.1
電線相互間 0.2
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正解

ハ.電路と大地間 0.1
電線相互間 0.1
この問題は何を聞いているの?

「一般的な家の配線(単相3線式100/200 V)で、電気の漏れにくさ(絶縁抵抗)は最低いくつ以上あればよいか」を聞いています。電線と地面の間と、電線どうしの間の2つの数字の組合せを選ぶ問題です。

問題文の言葉を説明する

用語絶縁抵抗(ぜつえんていこう)とは?

絶縁抵抗とは、電線と地面の間や電線どうしの間で、電気がどれだけ流れにくいか(漏れにくいか)を表す値のことです。数字が大きいほど漏れにくく、安全です。単位はMΩ(メガオーム)で、1 MΩ=100万Ωという大きな値になります。

なぜ?なぜ絶縁抵抗に「最小値」が決められているのか?

絶縁抵抗が小さいと、電気が漏れて感電や火災の原因になるからです。電線の被覆が古くなったり傷んだりすると、絶縁抵抗は下がっていきます。そこで「これより下がっていたら危険」という最低ラインが法令で決められているのです。

用語開閉器・過電流遮断器で区切ることができる電路とは?

開閉器とは電気を入れたり切ったりするスイッチ、過電流遮断器とは電気が流れすぎたときに止める装置(ブレーカーなど)のことです。「区切ることができる電路ごと」とは、ブレーカー1つ分の回路ごとにという意味です。

用語単相3線式100/200 Vとは?

単相3線式とは、3本の電線で100 Vと200 Vの両方を取り出す配線の方式です。一般的な住宅の多くがこの方式です。3本のうち真ん中の中性線は地面につないであるので、外側の2本の電線と地面との間(対地電圧)はどちらも100 Vになります(中性線そのものは0 V)。

絶縁抵抗の最小値の表

「電気設備に関する技術基準を定める省令」では、電路の使用電圧によって、次のように決められています。表の値は電路と大地間・電線相互間のどちらにも同じです。

使用電圧300 V以下で、対地電圧150 V以下 … 0.1 MΩ以上

使用電圧300 V以下で、その他(対地電圧150 V超) … 0.2 MΩ以上

使用電圧300 Vを超えるもの … 0.4 MΩ以上

用語使用電圧と対地電圧の違いは?

使用電圧とは、その電路で使っている電圧(電線どうしの間の電圧)のことです。対地電圧は、電線と地面の間の電圧を指します。単相3線式100/200 Vは、使用電圧は最大200 V、対地電圧は100 Vです。

なぜ?なぜ200 Vで使っていても0.1 MΩでよいのか?

表の区分は「使用電圧」だけでなく「対地電圧」でも分けられているからです。単相3線式は200 Vで使っても、どの電線と地面の間も100 V以下にしかなりません。人が地面に立って触れたときにかかるのは対地電圧の100 Vなので、「対地電圧150 V以下」の0.1 MΩの区分に入ります。

この問題に当てはめる

ステップ1 … 使用電圧は最大200 Vなので、300 V以下

ステップ2 … 対地電圧は100 Vなので、150 V以下

ステップ3 … 表から0.1 MΩ以上。電路と大地間も電線相互間も同じ0.1 MΩ

選択肢を1つずつ確かめる

イ 0.2と0.4 … どちらも単相3線式100/200 Vの値ではありません。→ 誤り

ロ 0.2と0.2 … 0.2 MΩは対地電圧が150 Vを超える場合の値です。→ 誤り

ハ 0.1と0.1 … 対地電圧150 V以下の0.1 MΩが、どちらの間にも当てはまります。→ 正しい=これが答え

ニ 0.1と0.2 … 電線相互間だけ0.2にする決まりはありません。→ 誤り

よって答えはハです。

間違えた人が選びやすいのはニ

ニは「電線どうしの間は200 Vだから0.2 MΩ」と考えた人が選びやすい組合せです。電線相互間には200 Vがかかるので、一見もっともらしく見えます。

ですが表は、電路の使用電圧と対地電圧で区分を1つ決めたら、電路と大地間・電線相互間に同じ値を使う作りです。単相3線式100/200 Vの電路は対地電圧150 V以下の区分なので、どちらも0.1 MΩになります。

覚えるこの問題の覚え方

「0.1・0.2・0.4は倍々に増える」。対地150 V以下が0.1、そのほかの300 V以下が0.2、300 V超が0.4です。家庭の単相3線式は対地100 Vなので0.1と、理由ごと覚えておきましょう。

問26

分野:検査(接地抵抗の測定)重要度 ★★☆

直読式接地抵抗計(アーステスタ)を使用して直読で接地抵抗を測定する場合,補助接地極(2箇所)の配置として,適切なものは。

イ.被測定接地極を端とし,一直線上に2箇所の補助接地極を順次10 m程度離して配置する。
ロ.被測定接地極を中央にして,左右一直線上に補助接地極を5 m程度離して配置する。
ハ.被測定接地極を端とし,一直線上に2箇所の補助接地極を順次1 m程度離して配置する。
ニ.被測定接地極と2箇所の補助接地極を相互に5 m程度離して正三角形に配置する。
答え・解説を見る
正解

イ.被測定接地極を端とし,一直線上に2箇所の補助接地極を順次10 m程度離して配置する。
この問題は何を聞いているの?

「アースがきちんと効いているかを測る道具(アーステスタ)を使うとき、地面に刺す2本の補助の棒をどう並べればよいか」を聞いています。並べ方(一直線か三角形か)と、間隔(1 m・5 m・10 m)の組合せを見分ける問題です。

問題文の言葉を説明する

用語接地抵抗(せっちていこう)とは?

接地抵抗とは、アース(接地)の線と地面の間の、電気の通りにくさを表す値のことです。単位はΩ(オーム)で、小さいほど地面とよくつながっている=アースがよく効いていることを表します。

用語接地極(せっちきょく)と被測定接地極とは?

接地極とは、アースを取るために地面に埋めた金属の棒や板のことです。被測定接地極とは、今回、接地抵抗を測りたい接地極を指します。

用語直読式接地抵抗計(アーステスタ)と補助接地極とは?

直読式接地抵抗計とは、接地抵抗の値を、目盛りや画面からそのまま読み取れる測定器のことです。「アーステスタ」とも呼ばれる測定器です。補助接地極は、測るために一時的に地面に刺す、測定用の補助の棒で、2本使います。

なぜ?なぜ補助接地極が2本も必要なのか?

1本は地面に電気を流すため、もう1本は地面の電圧を測るために使うからです。アーステスタは、被測定接地極から補助の棒へ地面を通して電気を流し、そのときの電圧と電流から接地抵抗を出しています。流す役と測る役で2本というわけです。

正しい並べ方

並べ方 … 被測定接地極を端(はし)にして、一直線上に補助接地極を2本並べる

間隔 … それぞれ10 m程度離す(被測定接地極→10 m→補助1本目→10 m→補助2本目)

なぜ?なぜ10 mも離す必要があるのか?

棒どうしが近すぎると、それぞれの棒のまわりで電気が地面に広がる範囲が重なり合い、正しい値が出なくなるからです。水面に石を2つ落としたとき、近いと波紋が重なってしまうのと同じ理屈です。10 m程度離すことで、互いの影響が小さくなり、被測定接地極の接地抵抗だけを測れます。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 端から一直線に10 m程度ずつ … 正しい並べ方と間隔です。→ 適切=これが答え

ロ 中央にして左右に5 m程度 … 被測定接地極は端に置くのが正しい並べ方で、間隔も短すぎます。→ 不適切

ハ 端から一直線に1 m程度ずつ … 並べ方は合っていますが、1 mでは近すぎます。→ 不適切

ニ 5 m程度の正三角形 … 一直線に並べるのが正しい方法です。→ 不適切

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはハ

ハは「被測定接地極を端とし、一直線上に」までイと同じ文章なので、間隔の数字を読み飛ばすと区別がつきません。

違いは1 mか10 mかだけです。近すぎると地面の電気の広がりが重なることを思い出せば、離れている10 mを選べます。

覚えるこの問題の覚え方

「アーステスタは、端から一直線に10 mずつ」。測りたい棒を先頭に、補助の棒2本を一列に並べる姿を思い浮かべてください。

問27

分野:検査(導通試験)重要度 ★★☆

導通試験の目的として,誤っているものは。

イ.電路の充電の有無を確認する。
ロ.器具への結線の未接続を発見する。
ハ.電線の断線を発見する。
ニ.回路の接続の正誤を判別する。
答え・解説を見る
正解

イ.電路の充電の有無を確認する。
この問題は何を聞いているの?

「導通試験(電気の通り道がつながっているかを調べる検査)で調べられないものはどれか」を聞いています。3つは導通試験の目的で、1つだけ別の検査の目的が混ざっているという形です。

問題文の言葉を説明する

用語導通試験(どうつうしけん)とは?

導通試験とは、電線や回路が、端から端まで途切れずにつながっているかを調べる検査のことです。「導通」とは電気が通じることを意味します。工事が終わったあと、電気を送る前に行う検査の1つです。

なぜ?なぜ電気を送る前に導通を調べるのか?

つなぎ忘れや、つなぎ間違いがあるまま電気を送ると、器具が動かなかったり、ショートして事故になったりするからです。導通試験は、回路計(テスタ)や導通試験器の電池で小さな電気を流して調べるのが特徴です。そのため、電源を切ったままの安全な状態で確かめられます。

用語充電の有無とは?

ここでの「充電」は、スマートフォンの充電とは意味が別です。電路に電気(電圧)が来ている状態のことを「充電している」といいます。充電の有無とは、その電線に今、電気が来ているかどうかということです。

用語検電器(けんでんき)とは?

検電器とは、電線や器具に電気が来ているかどうかを調べる道具のことです。電気が来ているとランプが光ったり音が鳴ったりして知らせます。充電の有無を確かめるのは、検電器の役目です。

用語結線・未接続・断線とは?

結線とは、器具などに電線をつなぐことです。未接続は、つなぐべき電線がつながっていないことを指します。断線とは、電線が途中で切れていることです。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 電路の充電の有無を確認する … 電気が来ているかどうかは検電器で調べます。導通試験は電源を切って行う検査です。→ 誤り=これが答え

ロ 器具への結線の未接続を発見する … つながっていなければ電気が通らないので、導通試験で見つけられます。→ 正しい

ハ 電線の断線を発見する … 途中で切れていれば電気が通らないので、導通試験で見つけられます。→ 正しい

ニ 回路の接続の正誤を判別する … つながるべき所どうしがつながっているかを調べられるので、つなぎ間違いを見つけられます。→ 正しい

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはニ

「正誤を判別する」というと、難しい判断のように聞こえるため、導通試験ではできないと考えてニを選ぶ人がいます。

ですが、決められた所どうしに電気が通るかを1つずつ確かめれば、つなぎ方が正しいかが分かります。導通試験は「つながっているか」、検電は「電気が来ているか」と、調べる中身が違うと押さえましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「導通試験は、電気を切ったまま『つながり』を見る。電気が来ているかは検電器」。導通=道がつながっているか、検電=電気が来ているか、と言葉の意味から覚えると混ざりません。

問28

分野:法令(電気の保安に関する法令)重要度 ★★★

電気の保安に関する法令についての記述として,誤っているものは。

イ.「電気工事士法」は,電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定めた法律である。
ロ.一般用電気工作物の定義は,「電気設備に関する技術基準を定める省令」において定めている。
ハ.「電気用品安全法」は,電気用品の製造,販売等を規制することなどにより,電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とした法律である。
ニ.「電気用品安全法」では,電気工事士は,同法に基づく表示のない電気用品を電気工事に使用してはならないと定めている。
答え・解説を見る
正解

ロ.一般用電気工作物の定義は,「電気設備に関する技術基準を定める省令」において定めている。
この問題は何を聞いているの?

「電気の安全を守るための法律について、内容を取り違えている説明はどれか」を聞いています。どの法律が何を決めているかを区別できるかがポイントです。

出てくる法律を1つずつ説明する

用語電気工事士法とは?

電気工事士法とは、電気工事をする「人」について決めた法律のことです。電気工事の作業に従事する者の資格と義務を定め、電気工事の欠陥による災害の発生を防ぐことを目的としています。

用語電気用品安全法とは?

電気用品安全法とは、電気用品という「モノ」について決めた法律のことです。電気用品の製造や販売などを規制し、電気用品による危険や障害の発生を防ぐことを目的としています。決まりを満たした製品に付くのがPSEマークです。

用語電気事業法とは?

電気事業法とは、電気を作って送る事業や、電気の設備(電気工作物)について決めた法律のことです。一般用電気工作物・自家用電気工作物などの区分も、この法律で決められています。

用語電気設備に関する技術基準を定める省令とは?

「電気設備に関する技術基準を定める省令」とは、電気事業法にもとづいて、電気設備が守るべき技術的な基準(絶縁抵抗の値など)を決めたルールのことです。略して「電技(でんぎ)」と呼ばれるルールです。省令とは、法律を実際に運用するために、国の省(この場合は経済産業省)が出す命令を指します。

用語一般用電気工作物とは?

一般用電気工作物とは、電力会社から低い電圧(600 V以下)で電気を受けている住宅や小さなお店などの電気設備のことです。第二種電気工事士が工事できるのは、この一般用電気工作物です。

なぜ?なぜ一般用電気工作物の定義は技術基準の省令ではないのか?

技術基準の省令は「設備をどう作るか」の中身を決めるルールで、「設備をどの区分に分けるか」を決めるのは電気事業法だからです。電気工作物を一般用・自家用などに分ける仕組みは、電気事業法(とその施行規則)に書かれています。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 電気工事士法は、作業に従事する者の資格と義務を定めた法律 … 電気工事士法の目的のとおりです。→ 正しい

ロ 一般用電気工作物の定義は技術基準の省令で定めている … 定義は電気事業法で定められています。→ 誤り=これが答え

ハ 電気用品安全法は、製造・販売等の規制で危険と障害の発生を防ぐ法律 … 電気用品安全法の目的のとおりです。→ 正しい

ニ 電気工事士は、表示のない電気用品を電気工事に使ってはならない … 電気用品安全法に、この決まりがあります。→ 正しい

よって答えはロです。

なぜ?なぜ電気工事士の義務が電気用品安全法に書かれているのか?

表示のない(安全が確かめられていない)電気用品が、工事で建物に取り付けられるのを防ぐためです。売る人だけでなく、実際に取り付ける電気工事士にも使ってはいけないと決めておくことで、危険な製品が使われにくくなります。

間違えた人が選びやすいのはニ

ニは「電気工事士の義務なのに、電気工事士法ではなく電気用品安全法に書いてある」という点が意外なので、誤りだと感じやすい選択肢です。

ですが、表示のない電気用品を工事に使ってはならないという決まりは、電気用品安全法に定められています。「モノの決まりは電気用品安全法」と考えれば、自然に結びつくでしょう。

覚えるこの問題の覚え方

「工事士法=人、用品安全法=モノ、事業法=設備の区分、電技=設備の作り方」。4つの法令をそれぞれ何を決めているかで分けておくと、取り違えの選択肢を見抜けます。

問29

分野:法令(電気用品安全法・特定電気用品)重要度 ★★★

「電気用品安全法」において,特定電気用品の適用を受けるものは。

イ.外径25 mmの金属製電線管
ロ.定格電流60 Aの配線用遮断器
ハ.ケーブル配線用スイッチボックス
ニ.公称断面積150 mm2の合成樹脂絶縁電線
答え・解説を見る
正解

ロ.定格電流60 Aの配線用遮断器
この問題は何を聞いているの?

「電気用品安全法で、特に危険が大きいとされる『特定電気用品』に入るものはどれか」を聞いています。4つのうち、特定電気用品は1つだけです。

問題文の言葉を説明する

用語電気用品安全法と電気用品とは?

電気用品安全法とは、電気用品の製造や販売を規制して、電気用品による事故を防ぐための法律のことです。電気用品とは、電線・ブレーカー・家電製品など、この法律の対象として決められた製品を指します。

用語特定電気用品とは?

特定電気用品とは、電気用品のうち、構造や使い方から見て、特に危険や障害が起きるおそれが大きいもののことです。それ以外の電気用品は「特定電気用品以外の電気用品」と呼ばれます。

用語PSEマークの形の違いとは?

電気用品にはPSEマークが付いています。特定電気用品はひし形の中にPSE、特定電気用品以外の電気用品は丸の中にPSEと、形で区別するのが決まりです。

なぜ?なぜ特定電気用品を分けているのか?

壊れたときに火災や感電につながりやすい製品ほど、より厳しく確かめる必要があるからです。特定電気用品は、国に登録された検査機関の検査(適合性検査)を受けることが求められます。ブレーカーや電線のように、建物の配線に組み込まれて長く使われる部品の多くが特定電気用品です。

選択肢に出てくるものを説明する

用語配線用遮断器と定格電流とは?

配線用遮断器とは、電気が流れすぎたときに自動で電気を止める装置で、分電盤に並ぶ「ブレーカー」のことです。定格電流とは、その遮断器が問題なく流し続けられる電流の大きさを指します。

用語金属製電線管・スイッチボックス・合成樹脂絶縁電線とは?

金属製電線管は電線を通して守る金属の管、ケーブル配線用スイッチボックスは壁の中でスイッチやコンセントを取り付けるための箱です。合成樹脂絶縁電線とは、銅の線をビニルなどの合成樹脂で覆った電線のことです。公称断面積は電線の切り口の面積で、150 mm2はかなり太い電線になります。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 外径25 mmの金属製電線管 … 電線管は特定電気用品以外の電気用品です。→ 当てはまらない

ロ 定格電流60 Aの配線用遮断器 … 配線用遮断器は、定格電流100 A以下のものが特定電気用品です。60 Aは100 A以下なので特定電気用品です。→ 当てはまる=これが答え

ハ ケーブル配線用スイッチボックス … 特定電気用品以外の電気用品です。→ 当てはまらない

ニ 公称断面積150 mm2の合成樹脂絶縁電線 … 絶縁電線が特定電気用品になるのは公称断面積100 mm2以下のものです。150 mm2はこれを超えるので、特定電気用品には入りません。→ 当てはまらない

よって答えはロです。

間違えた人が選びやすいのはニ

電線は特定電気用品の代表なので、「絶縁電線」という言葉だけで選んでしまいやすい選択肢です。

ですが、絶縁電線が特定電気用品になるのは100 mm2以下の太さのものです。大きさの数字が付いていたら、範囲の中に入っているかを確かめましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「配線に組み込まれて電気を流す・止める部品(電線・ブレーカー・漏電遮断器など)は特定、電線を収める入れ物(管・ボックス)は特定以外」。電気が直接通る部品ほど危険が大きい、と考えると見分けやすくなります。

問30

分野:法令(一般用電気工作物)重要度 ★★★

一般用電気工作物の適用を受けるものは。
ただし,発電設備は電圧600 V以下で,同一構内に設置するものとする。

イ.低圧受電で,受電電力の容量が40 kW,出力15 kWの非常用内燃力発電設備を備えた映画館
ロ.高圧受電で,受電電力の容量が55 kWの機械工場
ハ.低圧受電で,受電電力の容量が40 kW,出力15 kWの太陽電池発電設備を備えた幼稚園
ニ.高圧受電で,受電電力の容量が55 kWのコンビニエンスストア
答え・解説を見る
正解

ハ.低圧受電で,受電電力の容量が40 kW,出力15 kWの太陽電池発電設備を備えた幼稚園
この問題は何を聞いているの?

「4つの建物のうち、電気設備が『一般用電気工作物』に分類されるのはどれか」を聞いています。判断に使うのは、①どんな電圧で電気を受けているかと②どんな発電設備を、どのくらいの出力で持っているかの2つです。

問題文の言葉を説明する

用語一般用電気工作物とは?

一般用電気工作物とは、電力会社から低圧(600 V以下)で電気を受けている、住宅や小さなお店などの電気設備のことです。第二種電気工事士が工事できるのは、この一般用電気工作物です。

用語自家用電気工作物とは?

自家用電気工作物とは、高圧(600 Vを超える電圧)で電気を受けている工場やビルなどの電気設備のことです。一般用の範囲を超える発電設備を持つ建物も、こちらに入ります。

用語低圧受電・高圧受電とは?

受電とは、電力会社から電気を受け取ることです。低圧受電=600 V以下で受け取る、高圧受電=600 Vを超える電圧(一般には6,600 V)で受け取ることを指します。

なぜ?なぜ高圧受電だと一般用電気工作物にならないのか?

高い電圧の設備は、事故が起きたときの危険が大きく、専門の管理が必要だからです。そのため、高圧で受電していれば、業種や電力の大きさに関係なく自家用電気工作物になります。

用語小出力発電設備(しょうしゅつりょくはつでんせつび)とは?

小出力発電設備とは、一般用電気工作物の中に含めてよい、出力の小さい発電設備のことです。これより大きな発電設備を同じ敷地(構内)に持つと、一般用電気工作物ではなくなります。

用語内燃力発電設備と非常用とは?

内燃力発電設備とは、エンジンを燃料で動かして電気を作る発電機のことです。非常用とは、停電したときに使うための予備という意味です。

この試験の当時の小出力発電設備の出力

この試験(2020年10月実施)の時点では、問題に関係する発電設備の小出力発電設備の範囲は次のとおりでした。

太陽電池発電設備 … 出力50 kW未満

内燃力発電設備 … 出力10 kW未満

なぜ?なぜ太陽電池と内燃力で出力の上限が違うのか?

内燃力発電は燃料を燃やしてエンジンを動かすため、火災などの危険が太陽電池より大きいと考えられるからです。そのため、一般用電気工作物に含めてよい出力も、内燃力のほうが小さく決められています。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 低圧受電、非常用内燃力発電設備15 kWの映画館 … 低圧受電ですが、内燃力発電設備の小出力発電設備は10 kW未満です。15 kWはこれを超えるので、一般用電気工作物になりません。→ 当てはまらない

ロ 高圧受電の機械工場 … 高圧受電なので自家用電気工作物です。→ 当てはまらない

ハ 低圧受電、太陽電池発電設備15 kWの幼稚園 … 低圧受電で、太陽電池発電設備は当時50 kW未満が小出力発電設備でした。15 kWはその範囲内です。→ 当てはまる=これが答え

ニ 高圧受電のコンビニエンスストア … お店でも高圧受電なので自家用電気工作物です。→ 当てはまらない

よって答えはハです。

間違えた人が選びやすいのはイ

イは非常用の発電設備なので、「ふだんは使わない予備だから、数に入れなくてよいのでは」と考えて選んでしまう人がいます。

この問題の公式の正解はハで、イは一般用電気工作物に当てはまらないとされています。内燃力は10 kW未満、15 kWは超えていると、出力の数字で判断しましょう。

注意現在の規定(2023年3月20日から)

太陽電池発電設備の小出力発電設備は、出力10 kW未満に変わりました。

10 kW以上50 kW未満の太陽電池発電設備は、「小規模事業用電気工作物」という別の区分になります。

そのため今の決まりでは、ハの出力15 kWの太陽電池発電設備は小出力発電設備に入りません。この問題は、試験当時(2020年)の決まりで正解がハです。

覚えるこの問題の覚え方

「高圧受電なら自家用。低圧受電なら、発電設備の出力を確かめる」。当時の小出力発電設備は太陽電池50 kW未満・内燃力10 kW未満でした。今の太陽電池は10 kW未満なので、年度に注意して覚えましょう。

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この記事のまとめ

問21〜30は施工のルール・検査・法令の分野でした。計算がないぶん、数字と言葉を正確に覚えているかが得点を左右します。下に、この10問から持ち帰ってほしいことをまとめました。

まとめこの10問で持ち帰ること

問21 住宅の三相200 Vエアコン … 2 kW以上の機械だけ。簡易接触防護措置・直接接続・専用の配線用遮断器・漏電遮断器。「共用」は不可。

問22 D種接地工事 … 漏電遮断器(15 mA以下・0.1秒以下)で省略できるのは水気のある場所以外。絶縁変圧器(300 V以下・3 kV·A以下・二次側非接地)でも省略できる。接地線は固定1.6 mm以上/移動0.75 mm2以上。

問23 金属管と電磁的不平衡 … 1つの負荷の電線は、全部まとめて1本の管に入れる。

問24 回路計(テスタ) … レンジは直近上位。抵抗測定は内蔵電池の直流なのでアナログ式も電池が要る。絶縁抵抗は絶縁抵抗計で。

問25 絶縁抵抗の最小値 … 0.1(対地150 V以下)→ 0.2(その他300 V以下)→ 0.4 MΩ(300 V超)。単相3線式100/200 Vは対地100 Vなのでどちらも0.1 MΩ。

問26 接地抵抗の測定 … 被測定接地極を端に、一直線上に10 m程度ずつ補助接地極を並べる。

問27 導通試験 … 断線・未接続・接続の正誤を調べる。充電の有無は検電器。

問28 保安の法令 … 工事士法=人、用品安全法=モノ、事業法=設備の区分。一般用電気工作物の定義は電気事業法。

問29 特定電気用品 … 配線用遮断器は100 A以下が特定。絶縁電線は100 mm2以下が特定。電線管・ボックスは特定以外。

問30 一般用電気工作物 … 高圧受電は自家用。当時の小出力発電設備は太陽電池50 kW未満・内燃力10 kW未満(今の太陽電池は10 kW未満)。

コツこの分野を伸ばすコツ

数字が出てきたら、必ず「何の数字か」をセットで書き出すことです。15 mA・0.1秒(接地を省略できる漏電遮断器)/1.6 mmと0.75 mm2(接地線の太さ)/0.1・0.2・0.4 MΩ(絶縁抵抗)/10 m(補助接地極の間隔)/100 A(特定電気用品の配線用遮断器)——この10問に出てきた大事な数字です。

なぜ?なぜ数字や名前だけを丸暗記するのは危ないのか?

理由を知らないと、言葉を少し変えられただけで迷うからです。問22のように数字は正しいのに「場所」の条件だけが違う選択肢もありました。「なぜそうするのか」とセットで覚えると、本番で迷いにくくなります。

出典

令和2年度下期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和2年度下期 午後 全5記事)

▶ 問1〜10
計算と配線の設計(直流回路・電線の抵抗・接触抵抗の熱量・力率・三相の線間電圧・電圧降下・単相3線式の電力損失・許容電流・幹線・分岐回路)

▶ 問11〜20
材料と器具・工事の種類(金属管の集合場所の部品・絶縁物の最高許容温度・ねじなし電線管の工具・同期速度・零相変流器・写真の材料と機器と測定器・絶縁処理・施設場所と工事)

▶ 配線図 問31〜40
配線図の図記号と工事の決まり

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(機器・材料・工具を写真から選ぶ)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号

▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する